(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223722
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】電圧検出回路
(51)【国際特許分類】
H03K 5/1534 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
H03K5/1534
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-122324(P2013-122324)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-241462(P2014-241462A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】三添 公義
【審査官】
及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−060379(JP,A)
【文献】
特開2001−352237(JP,A)
【文献】
特開平07−183776(JP,A)
【文献】
特開昭47−022060(JP,A)
【文献】
実開昭57−163836(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/00−5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、
前記第1のバッファ回路が前記レベルシフト手段を備え、前記第2のバッファ回路が前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を同一に設定し、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項2】
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、
前記第1および第2のバッファ回路の一方が前記レベルシフト手段および前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を同一に設定し、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項3】
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、
前記第1のバッファ回路が前記レベルシフト手段を備え、前記第2のバッファ回路が前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を同一に設定したことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項4】
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、
前記第1および第2のバッファ回路の一方が前記レベルシフト手段および前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を同一に設定したことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項5】
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、
前記第1のバッファ回路が前記レベルシフト手段を備え、前記第2のバッファ回路が前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項6】
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、
前記第1および第2のバッファ回路の一方が前記レベルシフト手段および前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする電圧検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧の立上りエッジあるいは立下りエッジを検出する電圧検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
<従来例1>
入力電圧の立上りエッジを検出する回路として、
図9に示す立上りエッジ検出回路がある。この立上りエッジ検出回路は、入力電圧Vinが入力する入力端子41をアンド回路AND1の入力端子の一方に接続し、入力端子41を抵抗R4とコンデンサC3で構成した遅延回路42を介してインバータINV2の入力端子に接続し、そのインバータINV2の出力端子をアンド回路AND1の他方の入力端子に接続し、アンド回路AND1の出力端子43から出力電圧Voutを取り出すよう構成されている。
【0003】
入力電圧Vinが
図10の波形のように立上る場合、インバータINV2の出力電圧V2は入力電圧Vinが立ち上がってから、遅延回路42での遅れ時間が経過した後に立ち下がる。このとき、入力電圧VinとインバータINV2の出力電圧V2がともに“H”の期間があり、アンド回路AND1の出力電圧Voutは、この期間に“H”を示す。これにより、入力電圧Vinが立ち上ったことを検出することができる。なお、アンド回路AND1をノア回路に置摸えると、立下りエッジ検出が可能となる。
【0004】
<従来例2>
また、特許文献1に記載される従来技術のパルスエッジ検出回路を
図11に示す。このパルスエッジ検出回路は、入力端子51をコンパレータ55の非反転入力端子に直接接続し、一方、入力端子51を遅延線52の一端に接続し、遅延線52の他端はバッファアンプ53の入力端子に接続して、そのバッファアンプ53の出力端子をリミッタ54に接続するとともにコンパレータ55の反転入力端子に接続している。
【0005】
このパルスエッジ検出回路の入力端子51に入力電圧Vinを印加した場合の波形を
図12に示す。コンパレータ55の反転入力端子の信号V4は、まず、入力電圧Vinが遅延線52で設定された時間だけ遅れ、その遅延した電圧V4がリミッタ電圧VL以下になっていると、V4=VLとしてコンパレータ55の反転入力端子に入力する。これにより、コンパレータ55の非反転入力端子に入力した入力電圧Vinと反転入力端子に入力した電圧V4とに電圧差が生じ、立ち上り時には入力電圧Vinの方が電圧V4よりも高くなるので、コンパレータ55はハイレべレの信号を出力する。このようにパルスエッジ検出回路は、入力電圧Vinの立ち上り期間に対応したパルス幅の信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−337119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図9の立上りエッジ検出回路では、インバータやアンド回路などに、入力電圧がある一定レベルにならないと出力電圧が変化しないような閾値電圧が存在する。例えば、インバータINV2が、入力電圧のレベルがグランドに対して1Vを超えるか下回るかで出力が変化する特性の場合、“L”が0V、“H”が0.5Vのパルスを入力するときは、1Vを超えないので出力は変化せずに“H”のままとなる。
【0008】
また、
図11のパルスエッジ検出回路では、入力電圧Vinが絶えず変化している場合は、確実に出力に検出信号が得られるが、入力電圧Vinが台形波などのパルス状で一定時間以上同じレベルになる場合、
図13に示すようにコンパレータ55のオフセット電圧によって、出力電圧Voutが“H”になるか“L”になるかが不安定になる可能性がある。
【0009】
本発明は、閾値設定の必要がなく、入力電圧の立ち上がりや立ち下りの変化時のみの検出信号を確実に出力する電圧検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明の電圧検出回路は、入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備え
る電圧検出回路において、前記第1のバッファ回路が前記レベルシフト手段を備え、前記第2のバッファ回路が前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を同一に設定し、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、前記第1および第2のバッファ回路の一方が前記レベルシフト手段および前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を同一に設定し、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、前記第1のバッファ回路が前記レベルシフト手段を備え、前記第2のバッファ回路が前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を同一に設定したことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、前記第1および第2のバッファ回路の一方が前記レベルシフト手段および前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を同一に設定したことを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、前記第1のバッファ回路が前記レベルシフト手段を備え、前記第2のバッファ回路が前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、
入力端子にゲート又はベースが接続された第1のトランジスタおよび該第1のトランジスタにバイアス電流を供給する第1のバイアス電流源を有する第1のバッファ回路と、前記入力端子にゲート又はベースが接続され前記第1のトランジスタと同一導電型の第2のトランジスタおよび該第2のトランジスタにバイアス電流を供給する第2のバイアス電流源を有する第2のバッファ回路と、前記第1および第2のバッファ回路の出力電圧を比較するコンパレータとを備え、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するレベルシフト手段を備え、且つ、前記第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力する遅延手段を備える電圧検出回路において、前記第1および第2のバッファ回路の一方が前記レベルシフト手段および前記遅延手段を備え、前記第1および前記第2のトランジスタのサイズ比を異ならせ、前記第1および前記第2のバイアス電流源の電流を異ならせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、入力端子に入力する入力電圧のレベルを異なったレベルにシフトして出力するので、外部から閾値電圧を設定することなく電圧比較を行うことができる。また、第1および第2のバッファ回路の一方は、他方に対して、前記入力端子に入力する前記入力電圧を異なった遅延量だけ遅延して出力するので、第1および第2のバッファ回路の出力電圧の比較を行うことができる。よって、外部からの閾値電圧の設定の必要がなく、入力する電圧のレベルに関係なく入力電圧の立上り時や立下り時を検出して、変化時のみに検出信号を確実に出力できる。
また、入力電圧の立上り/立下りの一方の検出に容易に設定することができる。また、抵抗、電流源の電流、あるいはトランジスタのサイズ比の設定によって所望のレベルシフトを実現することができ、実装や集積回路における面積を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1の電圧検出回路の回路図である。
【
図3】
図1の電圧検出回路の別の具体的回路図である。
【
図4】本発明の実施例2の電圧検出回路の回路図である。
【
図6】
図4の電圧検出回路の別の具体的回路図である。
【
図7】本発明の実施例1の電圧検出回路の動作波形図である。
【
図8】本発明の実施例2の電圧検出回路の動作波形図である。
【
図9】従来例1の立上りエッジ検出回路の回路図である。
【
図10】従来例1の立上りエッジ検出回路の動作波形図である。
【
図11】従来例2のパルスエッジ検出回路の回路図である。
【
図12】従来例2のパルスエッジ検出回路の動作波形図である。
【
図13】従来例2のパルスエッジ検出回路にパルスを入力した場合の立上り部分の動作波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施例1>
図1に実施例1の電圧検出回路を示す。この電圧検出回路は、レベルシフタ用のバッファ回路10、遅延用のバッファ回路20およびコンパレータ30を備えている。バッファ回路10は、入力端子11にゲートが接続されたPMOSトラシジスタMP1と、電圧V1のシフト電圧源12と、バイアス電流Ib1を流すバイアス電流源Ib1で構成されている。バッファ回路20は、入力端子11にゲートが接続されてPMOSトランジスタMP2と、バイアス電流Ib2を流すバイアス電流源Ib2と、遅延要素21で構成されている。コンパレータ30は、バッファ回路10の出力ノードの電圧Vaと遅延回路20の出力ノードの電圧Vbを入力するよう差動入力回路を構成するNMOSトランジスタMN1,MN2と、その差動入力回路の能動負荷を構成するカレントミラー接続のPMOSトランジスタMP3,MP4と、ドライブ用のPMOSトランジスタMP5と、バイアス電流Ib3,Ib4を流すバイアス電流源Ib3,Ib4と、インバータINV1とで構成されている。この電圧検出回路は、入力電圧Vinが立ち下がるときに、出力端子31に“H”のパルスを出力する。
【0016】
図2に実施例1の電圧検出回路の具体的回路を示す。ここでは、バイアス電流源Ib1は、基準電流源Iref1に接続したPMOSトランジスタMP6にカレントミラー接続したPMOSトランジスタMP7で構成している。バイアス電流源Ib2は、そのトランジスタMP6にカレントミラー接続したPMOSトランジスタMP8で構成している。また、バイアス電流源Ib3は、基準電流源Iref2に接続したNMOSトランジスタMN3にカレントミラー接続したNMOSトランジスタMN4で構成している。バイアス電流源Ib4は、そのトランジスタMN3にカレントミラー接続したNMOSトランジスタMN5で構成している。また、遅延要素21を、抵抗R2とキャパシタC1の積分回路で構成している。さらに、電圧V1を発生させるために、トランジスタNP7のドレインとトランジスタMP1のソースの間に抵抗R1を接続している。
【0017】
さて、
図2の電圧検出回路では、バッファ回路10の出力電圧Vaは、
である。Vgs
(MP1)は、トランジスタMP1のソース・ゲート間電圧である。また、バッファ回路20の出力電圧Vbは、入力電圧Vinが変化しない定常状態においては、
である。Vgs
(MP2)は、トランジスタMP2のソース・ゲート間電圧である。
【0018】
トランジスタMP1,MP2が同じサイズ比で、且つバイアス電流がIb1=Ib2であれば、Vgs
(MP1)=Vgs
(MP2)であり、よって、コンパレータ30には、
の電圧が入力する。Va>Vbである。
【0019】
コンパレータ30は、トランジスタMN1のゲートが非反転入力端子、トランジスタMN2のゲートが反転入力端子であり、非反転入力端子に電圧Vbが入力し、反転入力端子に電圧Vaが入力するので、トランジスタMN1がオフ、トランジスタMN2がオンとなり、トランジスタMP5がオンとなって、インバータINV1の入力側が“H”となり、出力電圧Voutは“L”となる。
【0020】
この状態から、入力電圧Vinが低下すると、
図7に示すように、電圧Vaは入力電圧Vinに追従して低下し、電圧Vbは遅延素子21の特性により、緩やかに低下する。そうすると、電圧Va,Vbの関係は、Va<Vbに逆転する。このとき、出力電圧Voutは“L”から“H”に立ち上がるパルスとなり、入力電圧Vinが低下したことを示す。このHパルスの発生タイミングとパルス幅は、バッファ回路10の抵抗R1に発生する電圧V1(=R1×Ib1)とバッファ回路20の遅延素子21の遅延時間により決まる。
【0021】
図3に実施例1の電圧検出回路の別の具体的回路を示す。ここでは、
図2におけるPMOSトランジスタMP7を2個のPMOSトランジスタMP71,MP72を並列接続して構成している。この構成によって、トランジスタMP7のサイズ比をトランジスタMP8のサイズ比に対してn倍に設定すると、バイアス電流比は、Ib1/Ib2=nとなる。このとき、トランジスタMP1,MP2のゲート・ソース間電圧Vgs
(MP1)とVgs
(MP2)は、それぞれ次のようになる。μpはキャリア移動度、Coxは酸化膜容量、VthはPMOSトランジスタMP1,MP2の閾値電圧である。
【0022】
ここで、トランジスタMP1,MP2のサイズ比を同じにする、つまり、
とすると、ゲート・ソース間電圧Vgs
(MP1)とVgs
(MP2)の差分電圧V1は、次のようになる。
したがって、トランジスタMP1のゲート・ソース間電圧Vgs
(MP1)の方が大きくなり、この差分電圧V1をシフト電圧とすることができる。
【0023】
<実施例2>
図4に実施例2の電圧検出回路を示す。本実施例の電圧検出回路は、レベルシフトと遅延を行うバッファ回路10A、レベルシフトも遅延も行わないバッファ回路20A、およびコンパレータ30を備えている。バッファ回路10Aは、バイアス電流源Ib1と、トランジスタMP1と、電圧V1のシフト電源12と、遅延要素13で構成されている。バッファ回路20Aは、トランジスタMP2と、バイアス電流源Ib2で構成されている。コンパレーク30は、
図1で説明したものと同じ構成である。このように、この電圧検出回路は、レベルシフト機能と遅延機能をバッファ回路10Aに持たせ、バッファ回路20Aにはバッファ機能のみを持たせている。この電圧検出回路は、入力電圧Vinが立ち上がるときに、出力端子31に“H”のパルスを出力する。
【0024】
図5に実施例2の電圧検出回路の具体的回路を示す。ここでは、バイアス電流源Ib1は、基準電流源Iref1に接続したPMOSトランジスタMP6にカレントミラー接続したPMOSトランジスタMP7で構成している。バイアス電流源Ib2は、そのトランジスタMP6にカレントミラー接続したPMOSトランジスタMP8で構成している。また、バイアス電流源Ib3は、基準電流源Iref2に接続したNMOSトランジスタMN3にカレントミラー接続したNMOSトランジスタMN4で構成している。バイアス電流源Ib4は、そのトランジスタMN3にカレントミラー接続したNMOSトランジスタMN5で構成している。また、遅延要素13を、抵抗R3とキャパシタC2の積分回路で構成している。さらに、電圧V1を発生させるために、トランジスタNP7のドレインとトランジスタMP1のソースの間に抵抗R1を接続している。
【0025】
さて、
図5の電圧検出回路では、バッファ回路10Aの出力電圧Vaは、入力電圧Vinが変化しない定常状態においては、
である。また、バッファ回路20Bの出力電圧Vbは、
である。トランジスタMP1,MP2が同じサイズ比で、且つバイアス電流がIb1=Ib2であれば、Vgs
(MP1)=Vgs
(MP2)であり、よって、コンパレータ30には、
の電圧が入力する。定常状態では、Va>Vbである。このとき、コンパレータ30の出力電圧Voutは、
図2の場合と同様に、“L”となる。
【0026】
この状態から、入力電圧Vinが上昇すると、
図8に示すように、電圧Vbは入力電圧Vinに追従して上昇するが、電圧Vaは遅延素子13の特性により、緩やかに上昇する。そうすると、電圧Va,Vbの関係は、Va<Vbに逆転する。このとき、出力電圧Voutは“L”から“H”に立ち上がるパルスとなり、入力電圧Vinが上昇したことを示す。このHパルスの発生タイミングとパルス幅は、バッファ回路10Aの抵抗R1に発生する電圧V1(=R1×Ib1)とバッファ回路20Aの遅延素子13の遅延時間により決まる。
【0027】
図6に実施例2の電圧検出回路の別の具体的回路を示す。ここでは、
図5におけるPMOSトランジスタMP2を、2個のPMOSトランジスタMP21,MP22を並列接続して構成している。この構成によって、トランジスタMP2のサイズ比をトランジスタMP1のサイズ比に対してm倍に設定することで、シフト電圧を発生させている。
【0028】
このとき、トランジスタMP1,MP2のゲート・ソース間電圧Vgs
(MP1)とVgs
(MP2)は、それぞれ次のようになる。
【0029】
ここで、バイアス電流を、Ib1=Ib2 にすると、ゲート・ソース間電圧Vgs
(MP1)とVgs
(MP2)の差分電圧V1は、次のようになる。
したがって、トランジスタMP1のゲート・ソース間電圧Vgs
(MP1)の方が大きくなり、この差分電圧V1をシフト電圧とすることができる。
【0030】
<その他の実施例>
図3ではトランジスタMP1,MP2のサイズ比を同じ値に設定してバイアス電流Ib1,Ib2を異ならせ、
図6では逆に、それらのトランジスタMP1,MP2に流れるバイアス電流Ib1,Ib2を同じ値に設定してサイズ比を異ならせたが、バイアス電流Ib1,Ib2とサイズ比(W/L)
MP1,(W/L)
MP2の両方の異ならせて、シフト電圧V1を設定することもできる。
【0031】
また、
図2、
図3の遅延要素21や、
図5、
図6の遅延要素13は、抵抗とキャパシタで構成されているが、
図2、
図3ではトランジスタMP8が、
図5、
図6ではトランジスタMP7がそれぞれバイアス電流源となっているので、それらの遅延要素をキャパシタのみとして、当該キャパシタへのバイアス電流源からの充電で遅延時間を発生させることも可能である。
【0032】
図3および
図6の構成を集積回路に組み込む場合は、MOSトランジスタのサイズ比でレベルシフト電圧を設定できるので、
図2,
図4に示したような抵抗R1を使用した構成に比べて、エリア面積を小さくすることができる。なお、使用するトランジスタはMOSトランジスタに限られるものではなく、バイポーラトランジスタを使用しても実現することができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0033】
10,10A:バッファ回路、11:入力端子、12:シフト電源、13:遅延要素
20,20A:バッファ回路、21:遅延要素
30:コンパレータ、31:出力端子