特許第6223826号(P6223826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223826表面の突起を低減させた強磁性アモルファス合金リボン、それらのキャスティング方法および用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223826
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】表面の突起を低減させた強磁性アモルファス合金リボン、それらのキャスティング方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C22C 45/02 20060101AFI20171023BHJP
   C21D 6/00 20060101ALI20171023BHJP
   H01F 1/153 20060101ALI20171023BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20171023BHJP
   H01F 27/25 20060101ALI20171023BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   C22C45/02 A
   C21D6/00 C
   H01F1/153 108
   H01F1/153 141
   H01F27/24 C
   H01F27/24 B
   H01F41/02 C
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-528226(P2013-528226)
(86)(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公表番号】特表2013-541642(P2013-541642A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】US2011049841
(87)【国際公開番号】WO2012033682
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】12/923,224
(32)【優先日】2010年9月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503393227
【氏名又は名称】メトグラス・インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】サイセン,エリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ペロジー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐治
(72)【発明者】
【氏名】東 大地
(72)【発明者】
【氏名】ハセガワ,リュウスケ
【審査官】 佐藤 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−302823(JP,A)
【文献】 特開2000−328206(JP,A)
【文献】 特開2000−054089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 45/00−45/10
C21D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性アモルファス合金リボンであって、
該リボンの合金は:
Fe、Si、B、C、並びに任意のCoおよび任意のNi、ここでFe、Si、BおよびCはFeSi(式中、80.5≦a≦83原子%、0.5≦b≦6原子%、12≦c≦16.5原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100である)で示される原子比にあり、20原子%以下のFeが任意にCoで置き換えられてもよく、10原子%以下のFeが任意にNiで置き換えられてもよく、
任意に、0.005〜0.20質量%の含量のCu、0.05〜0.30質量%の含量のMnおよび0.01〜0.2質量%の含量のCrからなる群より選択される少なくとも1種の微量元素、並びに
不可避な不純物
からなり、
該リボンは、キャスティングされたリボンであり;
該リボンは、リボン長さ、リボン厚さ、および、キャスティング用冷却体表面側のリボン表面を有し;
該リボンは、キャスティング用冷却体表面側のリボン表面上に形成された、リボン表面の突起を有し;
該リボン表面の突起の測定は、突起の高さと突起の数に関してなされ;
突起の高さが3μmを超え、かつリボン厚さの4倍未満であり、かつ突起の数は、リボン長さ1.5mあたり10個未満である、
上記合金リボン。
【請求項2】
前記Si含量bおよびB含量cとFe含量aおよびC含量dとが、b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100で示される関係に従って相関する、請求項1に記載の強磁性アモルファス合金リボン。
【請求項3】
該リボンは、直線状ストリップの形態で、60Hzおよび1.3Tの誘導レベルで測定したところ、1.60Tを超える飽和磁気誘導、および、0.14W/kg未満の磁気コア損失を示す、請求項1に記載の強磁性アモルファス合金リボン。
【請求項4】
前記合金組成が0.005質量%〜0.20質量%の範囲の含量のCu、0.05質量%〜0.30質量%の範囲の含量のMnおよび0.01質量%〜0.2質量%の範囲の含量のCrからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の強磁性アモルファス合金リボン。
【請求項5】
強磁性アモルファス合金リボンをキャスティングする方法であって、該方法は:
合金を選択すること、ここで合金は
Fe、Si、B、C、並びに任意のCoおよび任意のNi、ここでFe、Si、B、CはFeSi(式中、80.5≦a≦83原子%、0.5≦b≦6原子%、12≦c≦16.5原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100である)によって示される原子比にあり、20原子%以下のFeが任意にCoで置き換えられてもよく、10原子%以下のFeが任意にNiで置き換えられてもよく、
任意に、0.005〜0.20質量%の含量のCu、0.05〜0.30質量%の含量のMnおよび0.01〜0.2質量%の含量のCrからなる群から選択される少なくとも1種の微量元素、並びに
不可避な不純物
からなり;
1.1N/mより大きいかまたはそれに等しい溶融合金の表面張力を有する溶融状態の上記合金から冷却体表面上にキャスティングすること;および、
リボン長さ、リボン厚さ、および、冷却体表面側のリボン表面を有するリボンを得ること、
を含み、ここで、
該リボンは、冷却体表面側のリボン表面上に形成された、リボン表面の突起を有し;
該リボン表面の突起の測定は、突起の高さと突起の数に関してなされ;および
突起の高さが3μmを超え、かつリボン厚さの4倍未満であり、かつ突起の数は、リボン長さ1.5mあたり10個未満である、
、上記方法。
【請求項6】
前記Si含量bおよびB含量cとFe含量aおよびC含量dとが、b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100で示される関係に従って相関する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
該リボンを、直線状ストリップの形態で、60Hzおよび1.3Tの誘導レベルで測定したところ、1.60Tを超える飽和磁気誘導、および、0.14W/kg未満の磁気コア損失を示すようにアニーリングすることをさらに含む、請求項に記載の方法、
【請求項8】
前記合金組成が、0.005質量%〜0.20質量%の範囲の含量のCu、0.05質量%〜0.30質量%の範囲の含量のMnおよび0.01質量%〜0.2質量%の範囲の含量のCrからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記キャスティングが、1,250℃〜1,400℃の溶融合金の温度で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記キャスティングが、溶融合金とリボンとの境界において、5体積%未満の酸素を含む環境雰囲気で行われる、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、変圧器コア、回転式の機械、電気チョーク、磁気センサー、および、パルスパワー装置に使用するための強磁性アモルファス合金リボン、および、該リボンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]鉄ベースのアモルファス合金リボンは、例えば交流励起下での低い磁気損失といった優れたソフトな磁気特性を示すことから、エネルギー効率のよい磁気装置、例えば変圧器、モーター、ジェネレーター、パルスパワージェネレーターおよび磁気センサーのようなエネルギー管理装置において用途がある。このような装置において、高飽和磁気誘導と高い熱安定性を有する強磁性材料が好ましい。さらに、大規模な工業的利用において、材料の製造が容易であることやそれらの原材料コストは重要な要素である。アモルファスFe−B−Siベースの合金は、これらの必要条件を満たす。しかしながら、このようなアモルファス合金の飽和磁気誘導は、変圧器などの装置において従来用いられる結晶性ケイ素鋼の飽和磁気誘導よりも低いため、結果としていくらか大きいサイズのアモルファス合金ベースの装置が得られる。従って、より高い飽和磁気誘導を有する強磁性アモルファス合金を開発する努力がなされてきた。一つのアプローチは、Feベースのアモルファス合金中の鉄含量を高めることである。しかしながらこれは、Fe含量が増加すると合金の熱安定性が低下するためにそれほど簡単ではない。この問題を和らげるために、例えばSn、S、CおよびPなどの元素が添加されてきた。例えば米国特許第5,456,770号(770特許)は、Snの添加により合金の成形性およびそれらの飽和磁気誘導が高められたアモルファスFe−Si−B−C−Sn合金を教示している。米国特許第6,416,879号(879特許)において、高いFe含量で飽和磁気誘導を高めるために、アモルファスFe−Si−B−C−P系におけるPの添加が教示されている。しかしながら、Fe−Si−Bベースのアモルファス合金にSn、SおよびCのような元素を添加すると、キャストリボンの延性が減少するため、幅広のリボンの作製が難しくなり、879特許でも教示されているようにFe−Si−B−Cベースの合金にPを添加しても、長期にわたる熱安定性の損失が起こり、それに続いて数年以内に数十パーセントの磁気コア損失が起こる。従って実際には、770および879特許で教示されたアモルファス合金は、それらの溶融状態からのキャスティングによって製造されていない。
【0003】
[0003]変圧器、インダクターなどの磁気装置において必要な高飽和磁気誘導に加えて、高いB−H矩形比と低い保磁度(Hc)が望ましい(ここでBおよびHは、それぞれ磁気誘導および励起している磁場である)。その理由は、このような磁気材料は、高度な磁気的柔軟性(磁化の容易さを意味する)を有するためである。それにより、このような磁気材料を使用した磁気装置における磁気損失は低くなる。これらの要因を考慮すると、本発明者等は、高いリボン延性に加えてこのような必須の磁気特性は、米国特許第7,425,239号で説明されているようなアモルファスFe−Si−B−C系においてSi:Cの比率を所定レベルに選択することによって、リボン表面上にC沈殿層を所定の厚さで維持することによって達成されることを見出した。その上、特許第2009052064号において、高飽和磁気誘導アモルファス合金リボンが提供されており、これは、合金系にCrおよびMnを添加してC沈殿層の高さを制御することによって、150年もの間150℃で装置を稼動させる改善された熱安定性を示す。しかしながら、このようにして製造されたリボンは、移動する冷却体(chill body)表面側のリボン表面上に多数の突起を示した。図1に不規則な突起の例を示す。キャスティングノズル、回転式ホイール上の冷却体表面および結果得られたキャストリボンの基本的な配置は、米国特許第4,142,571号に記載されている。
【0004】
[0004]突起の性質とその形成を慎重に解析したところ、突起の高さがリボン厚さの4倍を超える場合、および/または、突起の数がリボンの長さ方向で1.5mあたり10個を超える場合、リボンの「詰め込み因子(packing factor)」(PF)が減少することが見出された。ここで、詰め込み因子PFは、リボンをスタックまたはラミネートする際のリボンの有効体積によって定義される。より小さい磁気部品が求められる際に、磁気部品にスタックまたはラミネートされた産物を使用する場合、PFは高いほど望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,456,770号
【特許文献2】米国特許第6,416,879号
【特許文献3】米国特許第7,425,239号
【特許文献4】特許第2009052064号
【特許文献5】米国特許第4,142,571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0005]従って、高飽和磁気誘導、低い磁気損失、高いB−H矩形比、高い機械的な延性、高い長期熱安定性、および、高レベルのリボン製造可能性と共にリボン表面の突起数が低減された強磁性アモルファス合金リボンが求められており、これが本発明の目的である。より具体的に言えば、キャスティング中のキャストリボン表面の品質を徹底的に研究したところ、以下のことが発見された:突起の高さがリボン厚さの4倍を超える場合、または、突起の数がキャストリボン長さ1.5mあたり10個を超える場合、詰め込み因子PFが、当産業において要求される最小PFの82%より大きくなるために、キャスティングが停止した。一般的に、突起の高さおよび数はキャスティング時間と共に増加する。従来の1.6T未満の飽和誘導Bを有するアモルファス合金リボンの場合、突起の高さがリボン厚さの4倍を超えるか、または、突起の数がキャストリボン長さ1.5mあたり10個に増加した時点で、リボンのキャスティング時間は約500分であった。1.6Tより大きいBを有するアモルファス合金リボンの場合、キャスティング時間が約120分に短くなることも多く、その結果、キャスティングが終了する割合が25%になる。従って、突起形成の原因を解明し、それを制御することが必要なことは明らかであり、これも本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]本発明の形態によれば、強磁性アモルファス合金リボンは、FeSiで示され、80.5≦a≦83原子%、0.5≦b≦6原子%、12≦c≦16.5原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100である組成を有し偶発的な不純物を含む合金からキャスティングされたものである。本リボンは、1.1N/mまたはそれより大きい溶融合金の表面張力を有する溶融状態の上記合金から冷却体表面上にキャスティングされ、本リボンは、リボン長さ、リボン厚さ、および、冷却体表面側のリボン表面を有する。本リボンは、冷却体表面側のリボン表面上に形成されたリボン表面の突起を有し、リボン表面の突起の測定は、突起の高さ、および、突起の数に関してなされる。突起の高さが3μmを超え、リボン厚さの4倍未満だと、突起の数は、リボン長さ1.5m内で10個未満である。本リボンは、アニールされた直線状ストリップの形態で、60Hzおよび1.3Tの誘導レベルで測定したところ、1.60Tを超える飽和磁気誘導、および、0.14W/kg未満の磁気コア損失を示す。
【0008】
[0007]本発明の一形態によれば、本リボンは、Si含量bおよびB含量cとFe含量aおよびC含量dとが、b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100で示される関係に従って相関する組成を有する。
【0009】
[0008]本発明のその他の形態によれば、本リボンにおいて、20原子%以下のFeが、任意にCoで置き換えられてもよく、10原子%以下のFeが、任意にNiで置き換えられてもよい。
【0010】
[0009]本発明の追加の形態によれば、本リボンはさらに、リボンの冷却体側におけるリボン表面の突起を減らすためにCu、MnおよびCrの少なくとも1種の微量元素を含む。これらの微量元素の濃度は、以下の通りである:Cuは、0.005質量%〜0.20質量%の範囲、Mnは、0.05質量%〜0.30質量%の範囲、および、Crは、0.01質量%〜0.2質量%の範囲である。
【0011】
[0010]本発明のさらなるその他の形態によれば、本リボンは、1,250℃〜1,400℃の温度で溶融状態の上記合金からキャスティングされたものである。好ましい温度は、1,280℃〜1,360℃の範囲である。
【0012】
[0011]本発明のさらなる追加の形態によれば、本リボンは、溶融合金とリボンとの境界において5体積%未満の酸素を含む環境雰囲気でキャスティングされる。
[0012]本発明の一以上の形態によれば、溶融合金の表面張力は、1.1N/mまたはそれより大きい。
【0013】
[0013]本発明のその他の形態によれば、巻線型磁気コアは、強磁性アモルファス合金リボンと磁気コアとを含み、ここでリボンは磁気コアに巻きつけられている。追加の形態によれば、巻線型磁気コアは、変圧器コアである。
【0014】
[0014]本発明のさらなるその他の形態によれば、巻線型変圧器コアは、リボンの長さ方向に沿って適用された磁場でアニールされた後、0.3W/kg未満の磁気コア損失を示し、60Hzおよび1.3Tの誘導において、0.4VA/kg未満の励起電力を示す。
【0015】
[0015]本発明のさらなる追加の形態によれば、巻線型磁気コアのリボンは、FeSiで示され、81≦a<82.5原子%、2.5<b<4.5原子%、12≦c≦16原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100であり、さらに、b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100の関係を満たす化学組成を有する合金からキャスティングされたものであり、このような合金は、Cu、MnおよびCrの少なくとも1種である微量元素をさらに含む。Cu含量は、0.005〜0.20質量%であり、Mn含量は、0.05〜0.30質量%であり、Cr含量は、0.01〜0.2原子%である。
【0016】
[0016]本発明のさらなる形態の一つによれば、巻線型磁気コアのリボンは、リボンの長さ方向に沿って適用された磁場でアニールされており、さらに、60Hzおよび1.3Tの誘導において、0.25W/kg未満の磁気コア損失、および、0.35VA/kg未満の励起電力を示す。巻線型変圧器コアは、300℃〜335℃の温度範囲でアニールされる。
【0017】
[0017]本発明のその他の形態によれば、巻線型変圧器コアのコアは、室温で最大で1.5〜1.55Tの誘導レベルで稼動する。本発明の別の形態によれば、コアは、ドーナツ型であるか、または部分的にドーナツ型である。本発明のさらなる形態によれば、コアは、ステップラップ式のジョイントを有する。本発明の一以上の形態によれば、コアは、オーバーラップ式のジョイントを有する。
【0018】
[0018]本発明の追加の形態によれば、強磁性アモルファス合金リボンをキャスティングする方法は:FeSiで示され、80.5≦a≦83原子%、0.5≦b≦6原子%、12≦c≦16.5原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100である組成を有し偶発的な不純物を含む合金を選択すること;1.1N/mまたはそれより大きい溶融合金の表面張力を有する溶融状態の上記合金から冷却体表面上にキャスティングすること;および、リボン長さ、リボン厚さ、および、冷却体表面側のリボン表面を有するリボンを得ること、を含む。本リボンは、冷却体表面側のリボン表面上に形成された、リボン表面の突起を有し、リボン表面の突起の測定は、突起の高さ、および、突起の数に関してなされる。突起の高さが3μmを超え、リボン厚さの4倍未満だと、突起の数は、リボン長さ1.5m内で10個未満である。本リボンは、アニールされた直線状ストリップの形態で、60Hzおよび1.3Tの誘導レベルで測定したところ、1.60Tを超える飽和磁気誘導、および、0.14W/kg未満の磁気コア損失を示す。
【0019】
[0019]以下の詳細な好ましい実施態様の説明および添付の図面を参照すれば、本発明をよりよく理解できるものと予想され、さらなる利点もそれらから明らかになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、移動する冷却体の、冷却体表面側のリボン表面上の典型的な突起を示す図画である。
図2図2は、キャストリボンのキャスティング雰囲気側のリボン表面で観察された波型パターンを示す図画である。量λは、パターンの波長である。
図3図3は、Fe−Si−B位相図で溶融合金の表面張力を示す図表である。示された数値は、溶融合金の表面張力をN/mで示す。
図4図4は、溶融合金の表面張力を溶融合金とリボンとの境界近傍における酸素濃度の関数として示すグラフである。
図5図5は、キャストリボン1.5mあたりの突起の数を溶融合金の表面張力の関数として示すグラフである。
図6図6は、オーバーラップ式のジョイントを有する変圧器コアを説明する図表である。
図7図7は、リボンの長さ方向に沿って適用された2,000A/mの磁場で1時間アニールされた磁気コアにおけるアモルファスFe81.7Si160.3、Fe81.7Si150.3、および、Fe81.7Si140.3合金のリボンについての、60Hzの励起および1.3Tの誘導における励起電力をアニーリング温度の関数として示すグラフである。
図8図8は、リボンの長さ方向に沿って適用された2,000A/mの磁場で330℃で1時間アニールした磁気コアにおけるアモルファスFe81.7Si160.3、Fe81.7Si150.3、および、Fe81.7Si140.3合金のリボンについての、60Hzの励起における励起電力を磁気誘導Bの関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0020]アモルファス合金は、米国特許第4,142,571号で教示されたように、溶融合金を穴の開いたノズルで回転する冷却体表面上に噴出させることによって製造することができる。冷却体表面側のリボン表面は鈍く見えるが、それとは逆側のキャスティング雰囲気側の表面は光沢があり、これは溶融合金の流体の性質を反映している。以下に示す本発明の実施態様の説明において、この側は、キャストリボンの「光沢のある側」とも称される。キャストリボンの光沢がない側における突起の形成は、溶融合金の表面張力の影響を受けることが見出された。リボンをラミネートまたは巻き取ることによって構築された磁気部品において、突起がアモルファス合金リボン表面上に形成される場合、リボンの詰め込み因子は減少する。従って、突起の高さを、当産業における必要条件を満たすように低いレベルに維持しなければならない。その一方で、リボンのキャスティング時間と共に突起の高さが高くなり、キャスティング時間が制限された。例えば従来の1.6T未満の飽和誘導を有するアモルファス合金リボンの場合、リボンの詰め込み因子が、例えば変圧器コア産業における最小値の82%のレベルに低下した時点で、キャスティング時間は約500分であった。これまでに開発された1.6Tよりも高い飽和誘導Bを有するアモルファス磁気合金の場合、要求される詰め込み因子が82%になった時点のキャスティング時間は約120分であった。
【0022】
[0021]さらなる観察から、以下のことが明らかになった:突起の高さが3μmを超え、リボン厚さの4倍未満になるようにキャスティングが行われた場合、突起の数はキャストリボン1.5m内で10個未満であり、リボンのキャスティング時間が顕著に長くなった。何度も試験した結果、発明者等は、突起の高さおよびその出現率を低減するには、溶融合金の表面張力を高いレベルで維持することが重要であることを見出した。
【0023】
[0022]溶融合金の表面張力σを定量するために、以下の式をMetallurgical and Materials Transactions, vol.37B, pp.445-456(Springerにより2006年に出版された)から採用した:
σ=Uρ/3.6λ
上記式中、上記式中、U、G、ρおよびλはそれぞれ、冷却体表面の速度、ノズルと冷却体表面とのギャップ、合金の質量密度、および、図2で示したようにリボンの光沢のある側の表面で観察された波型パターンの波長である。測定された波長λは、0.5mm〜2.5mmの範囲であった。
【0024】
[0023]本発明者等がとった次の工程は、本発明の形態の一つである、キャストアモルファスリボンの飽和誘導が1.60Tを超える化学組成の範囲を発見することであった。この必要条件を満たす合金の組成は、FeSiで示され、ここで、80.5≦a≦83原子%、0.5≦b≦6原子%、12≦c≦16.5原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100であり、さらに鉄(Fe)、フェロシリコン(Fe−Si)およびフェロボロン(Fe−B)のような市販の原材料に一般的に見出される偶発的な不純物を含むことが見出された。
【0025】
[0024]SiおよびB含量について、目的を達成するには、以下の化学的な制限:b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100がより有利であることが見出された。加えて、偶発的な不純物および意図的に添加された微量元素については、以下に示す所定の含量範囲を有する元素が有利であることがわかった:Mnは、0.05〜0.30質量%、Crは、0.01〜0.2質量%、および、Cuは、0.005〜0.20質量%である。
【0026】
[0025]加えて、20原子%未満のFeが、任意にCoで置き換えられてもよく、10原子%未満のFeが、任意にNiで置き換えられてもよい。
[0026]前述した三段落で示された組成の範囲が選択された理由は、以下の通りである:Fe含量「a」が80.5原子%未満であると、飽和誘導レベルが1.60T未満になり、一方で「a」が83原子%を超えると、合金の熱安定性とリボン成形性が低下するためである。Feを、20原子%以下のCo、および/または、10原子%以下のNiで置き換えることが、1.60Tを超える飽和誘導を達成するのに有利であった。Siについては、0.5原子%より高いと、リボン成形性を改善し、その熱安定性を強化し、6原子%未満で、想定される飽和誘導レベルおよび高いB−H矩形比を達成することができた。Bについては、12原子%より高く16.5原子%未満で、合金のリボン成形性およびその飽和誘導レベルに好ましい作用を与え、この濃度を超えるとこのような有利な作用は減少した。これらの発見を図3の位相図に要約したが、ここで、溶融合金の表面張力が1.1N/mよりも高いかまたは1.1N/mに等しい領域1、および、溶融合金の表面張力が1.1N/mを超える領域2が明確に示された。式b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100で示される化学的範囲は、図3における領域2に相当する。図における太い点線は、共晶組成に相当し、細い点線は、領域2における化学組成を示す。
【0027】
[0027]Cが、高いB−H矩形比と0.01原子%を超える高飽和磁気誘導を達成するのに有効であったが、Cが1原子%を超えると溶融合金の表面張力は減少することから、0.5原子%未満のCが好ましい。添加された微量元素のなかでも、Mnは、溶融合金の表面張力を減少させることから、許容できる濃度の限界は、Mn<0.3質量%であった。より好ましくは、Mn<0.2質量%である。Feベースのアモルファス合金中にMnとCが共存することにより合金の熱安定性が改善され、(Mn+C)>0.05質量%が有効であった。Crも熱安定性を改善し、Cr>0.01質量%が有効であるが、Cr>0.2質量%だと合金の飽和誘導が減少した。CuはFeに溶解せず、リボン表面上に沈殿しやすい傾向があり、溶融合金の表面張力を高めるのに有用である;Cu>0.005質量%が有効であり、Cu>0.02質量%がより好ましいが、Cu>0.2質量%だと脆いリボンになった。0.01〜5.0質量%のMo、Zr、HfおよびNbからなる群より選択される1種またはそれより多くの元素が許容できることが見出された。
【0028】
[0028]本発明の実施態様に係る合金は、1,250℃〜1,400℃の融解温度を有することが好ましい。1,250℃未満だと、ノズルが頻繁に詰りやすくなり、1,400℃を超えると溶融合金の表面張力が減少した。より好ましい融点は、1,280℃〜1,360℃であった。
【0029】
[0029]本発明者等は、キャスティングノズル真下の溶融合金とキャストリボンとの境界に濃度5体積%以下の酸素ガスを提供することによって、表面の突起をさらに減少させることができることを見出した。Oガスの上限は、酸素ガス濃度が5体積%を超えると溶融合金の表面張力は1.1N/m未満になることを示した図4に記載のO濃度に対する溶融合金の表面張力のデータに基づいて決定された。表2に、Oガスレベル、溶融合金の表面張力σ、表面の突起の数nおよび磁気特性の関係を示す。
【0030】
[0030]次の工程は、図5で示されるようなリボン表面の突起の数と溶融合金の表面張力との相互関係を示すことである。この図は、100mm〜170mmの幅と23〜25μmの厚さを有するキャストリボンで得られたデータから得られた一般概念から逸脱していない代表的なものであり、溶融合金の表面張力σが1.1N/m未満に減少すると表面の突起の数が増加することが示された。さらに表1〜6でも示されているように、キャストリボン1.5mあたりの突起の数nは、σ≧1.1N/mの場合に10個未満になった。σが1.25N/mのとき、突起の数はゼロになる。
【0031】
[0031]本発明者等はさらに、本リボン製造方法で、本発明の実施態様に従って10μm〜50μmのリボン厚さが得られることを見出した。厚さが10μm未満のリボンを形成することは困難であり、リボン厚さが50μmを超えるとリボンの磁気特性が変質した。
【0032】
[0032]本リボン製造方法は、実施例3で示したようにより幅広なアモルファス合金リボンにも適用することができる。
[0033]できる限り多くのアモルファス合金リボンを試験するために、本発明の実施態様に係る多数のアモルファス合金を試験し、表4、5および6に結果を示した。これらの表を、突起の高さや本発明の実施態様に記載されたアモルファス合金キャストリボンの所定長さあたりのそれらの数といった物理的な範囲の基準とした。
【0033】
[0034]本発明者等にとっても意外なことであったが、コア材料の飽和誘導が高くなるとコア損失は増加するという一般的な予想に反して、強磁性アモルファス合金リボンは、低い磁気コア損失を示した。例えば、本発明の実施態様に従ってストリップの長さ方向に沿って1,500A/mの磁場が適用され320℃〜330℃の温度でアニールされた強磁性アモルファス合金リボンの直線状ストリップは、60Hzおよび1.3Tの誘導で測定したところ、0.14W/kg未満の磁気コア損失を示した。
【0034】
[0035]直線状ストリップにおける低い磁気コア損失は、磁気リボンを巻き取ることによって製造された磁気コアにおいては、それに応じた低い磁気コア損失になる。しかしながら、コアの巻き取りの際に導入された機械的応力のために、巻線型コアは常に、その直線状ストリップの形態の場合の磁気コア損失よりも高い磁気コア損失を示す。巻線型コアのコア損失と直線状ストリップのコア損失との比率は、ビルディングファクター(BF)と称される。最適に設計された市販のアモルファス合金リボンベースの変圧器コアの場合、BF値は約2である。当然のことながら低いBF値が好ましい。本発明の実施態様によれば、オーバーラップ式のジョイントを有する変圧器コアを、本発明の実施態様のアモルファス合金リボンを用いて構築した。図6に構築され試験されたコアの寸法を示す。
【0035】
[0036]表7および8に図6の配置を有する磁気コアの試験結果を要約した。第一の重要な結果として、例えば300℃〜340℃でアニールされた変圧器コアで測定された60Hzおよび1.3Tの誘導におけるコア損失は、表7で示されるように、0.211W/kg〜0.266W/kgの範囲を示すことがわかった。これは、同じ60Hzの励起での直線状ストリップにおけるコア損失が0.14W/kg未満であることと比較するためになされた。従って、これらの変圧器コアのBF値は1.5〜1.9の範囲であり、このような値は従来のBF値である2よりも顕著に低い。試験された変圧器コアにおいてコア損失のレベルはほぼ同じであったが、Si含量がより高い合金は、以下の2つの有利な特徴を示した。第一に、表7で示したように、励起電力が低いアニーリング温度の範囲は、3〜4原子%のSiを含むアモルファス合金では、2原子%のSiを含むアモルファス合金よりもかなり広かった。これは図7に示されており、ここで曲線71、72および73は、それぞれ2原子%Si、3原子%Siおよび4原子%Siを含むアモルファス合金リボンに相当する。変圧器コアなどの磁気コアにおける励起電力は、磁気コアを励起された状態に維持するための事実的なパワーとして重要な要素である。従って、励起電力は低ければ低いほど優れており、結果として変圧器をより効率的に稼動させる。第二に、表8で示したように、リボンの長さ方向に沿って適用された磁場で300℃〜355℃の温度範囲でアニールされた3〜4原子%のSiを含むアモルファス合金リボンを含む変圧器コアは、最大で1.5〜1.55Tの誘導範囲で稼動し、それより高いと励起電力が室温で急速に上昇し、それに対して、2原子%のSiを含むアモルファス合金は、最大で約1.45Tで稼動し、それより高いと2原子%のSiベースのコアにおいて励起電力が急速に上昇した。この特徴は、図8で明確に実証されており、ここで曲線81、82および83は、それぞれ2原子%Si、3原子%Siおよび4原子%Siを含むアモルファス合金リボンに相当する。この差は、変圧器のサイズを小さくすることにおいて有意である。変圧器のサイズは、その稼働時の誘導が0.1Tまで増加するのに応じて5〜10%小さくすることができると推定される。さらに、その励起電力が低いと変圧器の品質が改善される。これらの技術的な利点を考慮して、本発明に係る組成物を有する変圧器コアを試験したところ、その結果から、最適な変圧器の性能は、FeSiで示され、81≦a<82.5原子%、2.5<b<4.5原子%、12≦c≦16原子%、0.01≦d≦1原子%、a+b+c+d=100であり、さらに、b≧166.5×(100−d)/100−2a、および、c≦a−66.5×(100−d)/100の関係を満たす化学組成を有するアモルファス合金で達成されることが示された。
【0036】
[0037]実施例1
[0038]本発明の実施態様に係る化学組成を有するインゴットを製造し、1,350℃で溶融金属から回転する冷却体上にキャスティングした。そのキャストリボンは170mmの幅を有し、その厚さは23μmであった。化学的な解析から、そのリボンは、0.10質量%のMn、0.03質量%のCu、および、0.05質量%のCrを含んでいたことが示された。COガスと酸素との混合物を、溶融合金とキャストリボンとの境界近傍に吹き込んだ。溶融合金とキャストリボンとの境界近傍の酸素濃度は0.5体積%であった。溶融合金の表面張力σを、式σ=Uρ/3.6λを用いて、キャストリボンの光沢のある側で波型パターンの波長を測定することによって決定した。約100分キャスティングされたリボンの長さ方向に沿って1.5m以内のリボン表面の突起の数を測定し、3サンプルにおける高さが3μmを超える表面突起の最大数nを表1に示した。全てのリボンサンプルは、リボン厚さの4倍未満の突起の高さを有していた。リボンから切り出した一つのストリップを、ストリップの長さ方向に沿って適用された1500A/mの磁場で300℃〜400℃でアニールし、このようにして加熱処理されたストリップの磁気特性をASTM標準規格A−932に従って測定した、表1に得られた結果を列挙した。サンプル番号1および2は、溶融合金の表面張力、キャストリボン1.5mあたりの表面の突起の数、飽和誘導B、および、60Hzの励起、1.3Tの誘導における磁気コア損失W1.3/60に関する本発明の目的の必要条件を満たしていた。比較サンプル番号1は12個の突起を有していたため、本発明の実施態様において求められる最小数10を超えた。
【0037】
【表1】
【0038】
[0039]実施例2
[0040]Fe81.7Si150.3の組成を有するアモルファス合金リボンを、Oガス濃度を0.1体積%から20体積%(空気と同じ)に変えたこと以外は実施例1の場合と同じキャスティング条件下でキャスティングした。表2に、得られた磁気特性B、W1.3/60、溶融合金の表面張力σ、および表面突起の平均数nを列挙した。このデータから、酸素レベルが5体積%を超えると、溶融合金の表面張力が減少し、それに続いて表面の突起の数が増加することが実証された。
【0039】
【表2】
【0040】
[0041]実施例3
[0042]リボン幅を50mmから254mmに変更し、リボン厚さを15μmから40μmに変更したこと以外は実施例1の場合と同じ条件下で、Fe81.7Si150.3の組成を有するアモルファス合金リボンをキャスティングした。表3に、得られた磁気特性B、W1.3/60、溶融合金の表面張力σ、および表面の突起の数nを列挙した。
【0041】
【表3】
【0042】
[0043]実施例4
[0044]実施例1の場合と同様にアモルファス合金リボンをキャスティングするのに表5および6に列挙した化学組成を有するインゴットを使用した。キャスティングは、0.5体積%のOガスを含む雰囲気で行われた。得られたリボンは、23μmの厚さと100mmの幅を有していた。リボン表面の突起の数とリボンの磁気特性を実施例1の場合と同様にして決定し、その結果を表4に示した。これらの実施例はいずれも、本発明の実施態様に記載された必要な特性を満たしていた。
【0043】
【表4】
【0044】
[0045]一方で、表5に列挙したアモルファス合金リボンを作製し、表4の場合と同様に試験したが、本発明の実施態様に記載の必要条件を満たしていなかった。
【0045】
【表5】
【0046】
[0046]実施例5
[0047]Cuを含むFe81.7Si150.3アモルファス合金を実施例4と同様にしてキャスティングし、試験結果を表6に列挙した。サンプル番号16、31および32は、本発明の実施態様に記載の必要な特性を満たしていた。比較サンプルのなかでも、サンプル番号12はより多くのリボン表面の突起nを示し、一方でサンプル番号13は全ての必要条件を満たしていたが脆かった。
【0047】
【表6】
【0048】
[0048]実施例6
[0049]Fe81.7Si160.3、Fe81.7Si150.3、および、Fe81.7Si140.3の組成を有し、23μmの厚さと170mmの幅を有するアモルファス合金リボンを、図6に示される寸法を有する磁気コアに巻きつけた。図6に示された変圧器に使用するためのコアは、当産業においてオーバーラップ型として知られている。コアを、330℃で、リボンの長さ方向に沿って適用された2000A/mの磁場でアニールした。コア損失および励起電力といった磁気特性を、ASTM標準規格A−912に従って測定した。表7および8ならびに図7および8に試験結果を示された。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
[0050]実施例6で示された300℃〜350℃でアニールされたアモルファス磁気合金を用いた変圧器コアは、60Hzおよび1.3Tの励起で、0.3W/kg未満のコア損失を示し、310℃〜350℃でアニールされたものは0.4VA/kg未満の励起電力を示した。最適な変圧器コア性能は、320℃〜330℃でアニールされた3原子%〜4原子%のSiを含むコアで得られた。これらのコアについて、60Hzおよび1.3Tの誘導における0.25W/kg未満のコア損失および0.35VA/kg未満の励起電力が達成され、3〜4原子%の好ましいSi範囲が示された。さらに注目すべきことに、3〜4原子%のSiを含むコアは、60Hzおよび1.5Tの誘導で1.0VA/kgよりもかなり低い励起電力を示し、これは、変圧器を効率的に稼動させるのに好ましい励起電力範囲である。
【0052】
[0051]本発明の実施態様を示し説明したが、当業者には当然のことと思われるが、これらの実施態様において、本発明の原理および本質から逸脱することなく変更を施すことが可能であり、本発明の原理および本質の範囲は、請求項およびそれらと同等のもので定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8