(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
仮支持体上に第二樹脂層、中間層および第一樹脂層がこの順に積層され、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の少なくとも一方が20質量%以上の無機粒子を含み、前記第二樹脂層の波長365nmでの感光感度が前記第一樹脂層の波長365nmでの感光感度よりも高い、転写材料。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の感光性積層体、転写材料、パターン化された感光性積層体及びその製造方法、タッチパネル、並びに画像表示装置について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0016】
本明細書において各層の屈折率は、特に明記されていない限り、550nmの波長における屈折率を意味する。
本発明において各層の膜厚は、刃物等により塗布膜を削り、膜の断面が出た状態で、表面粗さ計によりその段差を測定することができる。表面粗さ計は市販の表面粗さ計を使用することができるが、TENCOR社製触針式膜厚計P-10により測定することができる。
【0017】
[感光性積層体、転写材料]
本発明の感光性積層体は、支持体上に第一樹脂層、中間層および第二樹脂層がこの順に積層され、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の少なくとも一方が20質量%以上の無機粒子を含み、前記第二樹脂層の感光感度が前記第一樹脂層の感光感度よりも高いことを特徴とする。また、本発明の転写材料は、仮支持体上に第二樹脂層、中間層および第一樹脂層がこの順に積層され、前記第一樹脂層および/又は前記第二樹脂層が20質量%以上の無機粒子を含み、前記第二樹脂層の感光感度が前記第一樹脂層の感光感度よりも高いことを特徴とする。このような構成とすることで、2層以上のパターニングを一括で行うことができ、特に、良好なパターニング性で、第二層の剥れを抑制でき、印刷方式等で必要となる第一層と第二層のアライメントの煩雑さを軽減することができる。本発明は理論に拘泥するものでもないが、無機粒子多量に含み下層までの紫外線の透過効率が低下した感光性材料において、多層構成にした時の表層だけを十分に光硬化し、強固な皮膜を形成することにより、下層の硬化は不十分であっても良好なパターニング特性を付与できると考えている。
以下、本発明の感光性積層体の好ましい態様について説明する。
【0018】
<第一樹脂層および第二樹脂層>
本発明の感光性積層体および転写材料は、第一樹脂層、中間層および第二樹脂層を有する。第一樹脂層および第二樹脂層の少なくとも一方は20質量%以上の無機粒子を含み、第二樹脂層の感光感度が第一樹脂層の感光感度よりも高い。感光性とは、物質が光の照射によって化学変化を起こし、アルカリ性水溶液などの現像液を用いてパターン形成が可能になる性質を意味する。積層体とは、ガラス基板やプラスチックフィルムなどの支持体上に複数の層から形成された構造体を意味する。第一樹脂層は、硬化性又は非硬化性の何れでもよいが、好ましくは硬化性であり、さらに好ましくは光硬化性である。第二樹脂層は光硬化性であることが好ましい。
【0019】
第一の態様において、本発明の感光性積層体における第一樹脂層、中間層および第二樹脂層は、加飾材として使用することができ、この場合、本発明の感光性積層体は加飾材付き基板として使用することができる。本発明の感光性積層体を加飾材付き基板として使用する場合、第一樹脂層を白色着色層(白材層ともいう)として使用でき、第二樹脂層を遮光層として使用できる。
【0020】
第二の態様において、本発明の感光性積層体における第一樹脂層、中間層および第二樹脂層は、屈折率調整層付き保護層(インデックスマッチング層付きオーバーコート層ともいう)として使用することができる。この場合、第一樹脂層を屈折率調整層(インデックスマッチング層)として使用でき、第二樹脂層をオーバーコート層として使用できる。
なお、本発明の感光性積層体は、上記以外の用途に使用することもできる。
【0021】
(第一樹脂層および第二樹脂層の材料)
第一樹脂層および第二樹脂層の材料は、少なくとも一方の層が20質量%以上の無機粒子を含む限り、特に制限されない。
【0022】
無機粒子は、第一樹脂層および第二樹脂層の両方に含めてもよいし、第一樹脂層のみに含めてもよいし、第二樹脂層のみに含めてもよい。本発明の感光性積層体を加飾材付き基板として使用する場合には、無機粒子は、第一樹脂層および第二樹脂層の両方に含めることが好ましい。本発明の感光性積層体における第一樹脂層、中間層および第二樹脂層を、屈折率調整層付き保護層として使用する場合には、無機粒子は、第一樹脂層に含め、第二樹脂層には含まなくてもよい。
【0023】
無機粒子としては、例えば、金属微粒子、金属酸化物微粒子、カーボンブラック、高屈折率透明顔料などが挙げられる。
【0024】
金属微粒子としては、鉄、アルミニウム、金、銀などの金属の微粒子を使用することができる。
【0025】
金属酸化物粒子の金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれるものとする。金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te、Si、Nb等の原子を含む酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物がより好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化ジルコニウムが更に好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウムが特に好ましい。第一樹脂層、中間層および第二樹脂層を加飾材として用いる場合、二酸化チタンが最も好ましい。第一樹脂層、中間層および第二樹脂層を屈折率調整層付き保護層として用いる場合、酸化ジルコニウム、又は二酸化チタンが最も好ましい。二酸化チタンとしては、特に屈折率の高いルチル型が好ましい。これら金属酸化物粒子は、分散安定性付与や光触媒活性を低下させるために表面を有機材料で処理することもできる。
【0026】
樹脂組成物の透明性の観点から、無機粒子の平均一次粒子径は、1〜200nmが好ましく、3〜80nmが特に好ましい。ここで粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡により任意の粒子200個の粒子径を測定し、その算術平均をいう。また、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を径とする。
【0027】
高屈折率透明顔料としては、粒子径が50nm以下の酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどが挙げられる。
また、無機粒子は、1種単独で使用してよいし、2種以上を併用することもできる。
【0028】
具体的に、例えば、第一樹脂層に無機粒子として二酸化チタンを含有させ、第二樹脂層にカーボンブラックを含有させた場合、第一樹脂層は白色着色層として機能し、第二樹脂層は遮光層として機能し、感光性積層体は加飾材付き基板として使用することができる。また、第一樹脂層に高屈折率透明顔料を含有させた場合、第一樹脂層は屈折率調整層として機能し、第二樹脂層はオーバーコート層として機能し、感光性積層体は屈折率調整層付き保護層として使用することができる。
【0029】
屈折率調整層のために使用する無機粒子としては、当該粒子を除いた材料からなる樹脂組成物の屈折率より屈折率が高いものであることが好ましく、具体的には、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上の粒子がより好ましく、屈折率が1.70以上の粒子が更に好ましく、1.90以上の粒子が特に好ましい。
【0030】
ここで、400〜750nmの波長を有する光における屈折率が1.50以上であるとは、上記範囲の波長を有する光における平均屈折率が1.50以上であることを意味し、上記範囲の波長を有する全ての光における屈折率が1.50以上であることを要しない。また、平均屈折率は、上記範囲の波長を有する各光に対する屈折率の測定値の総和を、測定点の数で割った値である。
【0031】
無機粒子を含む樹脂層における無機粒子の含有量は、20質量%以上であり、20〜70質量%含まれることが好ましく、30〜60質量%含まれることがより好ましい。
【0032】
本発明の感光性積層体および転写材料における第一樹脂層および第二樹脂層は、樹脂(好ましくはアルカリ可溶性樹脂)、重合性化合物、重合開始剤または重合開始系を含むことが好ましい。また、第一樹脂層および第二樹脂層は、感光性積層体をパターン化する際に現像をしやすくするという観点から、アルカリ水溶液に可溶であることが好ましい。さらに、添加剤などが用いられるがこれに限られたものではない。
【0033】
第一および第二樹脂層に用いられる樹脂(バインダー、ポリマーともいう)やその他の添加剤としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限は無い。
【0034】
第一および第二樹脂層に用いられる樹脂(バインダー、ポリマーともいう)としてはアルカリ可溶性樹脂が好ましく、前記アルカリ可溶性樹脂としては、特開2011−95716号公報の段落[0025]、特開2010−237589号公報の段落[0033]〜[0052]に記載のポリマーを用いることができる。第一樹脂層および第二樹脂層に用いられる具体的な樹脂としては、特開2005−202066の段落[0061]〜[0089]に記載の高分子化合物や特開2008−146018の段落[0028]〜[0073]に記載される高分子化合物などが挙げられる。
【0035】
第一および第二樹脂層に含有させる重合性化合物としては、特許第4098550号の段落[0023]〜[0024]に記載の重合性化合物を用いることができる。第一樹脂層および第二樹脂層に用いられる具体的な重合性化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、モノマーDPHA(日本化薬社製)、NKオリゴUA−32P(新中村化学社製)、ビスコートV#802(大阪有機化学社製)などが挙げられる。
【0036】
重合開始剤または重合開始系としては、特開2011−95716号公報に記載の[0031]〜[0042]に記載の重合開始剤または重合開始系を用いることができる。重合開始剤または重合開始系は、市販品を用いることができ、例えば、イルガキュア907、イルガキュア2959、イルガキュア379EG(ともにBASFジャパン社製)、DETX−S(日本化薬社製)などが挙げられる。
【0037】
さらに、第一樹脂層および第二樹脂層には、添加剤を用いてもよい。前記添加剤としては、例えば特許第4502784号公報の段落[0017]、特開2009−237362号公報の段落[0060]〜[0071]に記載の界面活性剤や、特許第4502784号公報の段落[0018]に記載の熱重合防止剤、さらに、特開2000−310706号公報の段落[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。具体的には、フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製)、蛍光増白剤(Tinopal OB、BASFジャパン社製)などが挙げられる。
【0038】
また、前記感光性フィルムを塗布により製造する際の溶剤としては、特開2011−95716号公報の段落[0043]〜[0044]に記載の溶剤を用いることができる。具体的には、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0039】
(第一樹脂層の物性)
本発明では、第一樹脂層は、第二樹脂層よりも感光感度が低い。第一樹脂層は、第二樹脂層よりも感光感度が低ければよく、非感光性であってもよいが、第二樹脂層の膜はがれ防止の観点から、感光性であることが好ましい。
【0040】
第一樹脂層を屈折率調整層として使用する場合、第一樹脂層の屈折率は、1.60〜1.78であることが好ましく、1.60〜1.75であることがより好ましく、1.60〜1.70であることがさらに好ましい。
【0041】
第一樹脂層が白色着色層として機能する場合、第一樹脂層の膜厚が、1〜110μmであることが好ましく、15〜60μmであることがより特に好ましく、25〜50μmであることがさらに好ましい。
【0042】
第一樹脂層が屈折率調整層として機能する場合、第一樹脂層の層厚は55〜110nmが好ましく、55〜105nmがより好ましく、60〜100nmがさらに好ましい。
【0043】
(第二樹脂層の物性)
本発明では、第二樹脂層は、後述する中間層上に配置されており、第二樹脂層の感光感度が第一樹脂層の感光感度よりも高い。
ネガ型の感光性樹脂層を例にとって説明すると、感光感度は、紫外線の露光量を種々変化させ、現像後にも塗布膜の厚みが90%以上残る露光量を調べることにより評価できる。又、このときの露光量は数値が小さい方が、膜の感度は高い。又、非感光性の樹脂層は、いかに多量の紫外線を照射しても光硬化反応が進まず塗布膜は現像で残らないので、非感光性の樹脂層は感光性を持ついかなる樹脂層よりも感度は低いと考える。
第二樹脂層の膜厚が90%以上残るのに必要な紫外線照射量は、第一樹脂層に必要な紫外線照射量の1/2以下であり、すなわち感度が高いことが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/5以下であることがさらに好ましい。
【0044】
第二樹脂層を屈折率調整層付き保護層における保護層として使用する場合、第二樹脂層の屈折率1.50〜1.53であることが好ましく、1.50〜1.52であることがより好ましく、1.51〜1.52であることがさらに好ましい。
【0045】
第二樹脂層を遮光層として使用する場合、第二樹脂層の膜厚は、第二樹脂層を用いてタッチパネルの透明保護層を形成するときに十分な表面保護能を発揮させる観点から、1〜50μmであることが好ましく、1〜30μmがより好ましく、1〜25μmがさらに好ましい。
第二樹脂層を屈折率調整層付き保護層における保護層として機能する場合、第二樹脂層の膜厚は1〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましく、3〜8μmであることがさらに好ましい。
【0046】
<中間層>
本発明では、複数層を塗布する際および塗布後の保存の際における成分の混合を防止する観点から第一樹脂層と第二樹脂層との間にさらに中間層を含む。
【0047】
中間層は、低い酸素透過性を示し、水またはアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができ中間層は好ましくは、水系、アルコール系、又は水とアルコールの混合系塗布液を用いて作製することができる。
中間層は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体などの樹脂を用いて構成することができ、中でも特に好ましいのはポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組合せである。
【0048】
中間層には、必要に応じて界面活性剤、光重合開始剤(例えばイルガキュア2959、BASFジャパン社製)、重合性モノマー(例えばライトアクリレート(3EG−A、共栄社化学社製)などの添加剤を添加してもよい。
【0049】
第一樹脂層、中間層および第二樹脂層を加飾材として使用する場合、中間層の膜厚としては、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましく、1〜3μmであることがさらに好ましい。
第一樹脂層、中間層および第二樹脂層を屈折率調整層、保護層として使用する場合、中間層の膜厚としては、中間層の膜厚としては、0.05〜5μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることがさらに好ましい。
【0050】
<支持体>
本発明の感光性積層体に用いる支持体には、種々のものを用いることができるが、フィルム支持体であることが好ましく、光学的に歪みがない支持体又は透明度が高い支持体が好ましい。本発明の感光性積層体では、支持体は、全光透過率が80%以上であることが好ましい。ここで、全光透過率は積分球を備えた市販の分光光度計により測定することができ、島津製作所社製 分光高度系UV-2100などにより測定ができる。
【0051】
支持体がフィルム支持体である場合の具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)を挙げることができる。支持体は、ガラスなどでもよい。
本発明の感光性積層体では、支持体は、ガラス、TAC、PET、PC、COPまたはシリコーン樹脂(ただし、本明細書中におけるシリコーン樹脂やポリオルガノシロキサンは、R
2SiOの構造単位式で現れる狭義の意味に限定されるものではなく、RSiO
1.5の構造単位式で表されるシルセスキオキサン化合物も含む)から選ばれることが好ましく、ガラス、シクロオレフィンポリマーまたはシリコーン樹脂からなることが好ましい。
シリコーン樹脂は籠型ポリオルガノシロキサンを主成分とすることが好ましく、かご型シルセスキオキサンを主成分とすることがより好ましい。なお、組成物または層の主成分とは、その組成物またはその層の50質量%以上を占める成分のことを言う。前記シリコーン樹脂やシリコーン樹脂を含む基板としては、特許第4142385号、特許第4409397号、特許第5078269号、特許第4920513号、特許第4964748号、特許第5036060号、特開2010−96848号、特開2011−194647号、特開2012−183818号、特開2012−184371号、特開2012−218322号の各公報に記載のものを用いることができ、これらの公報に記載の内容は本発明に組み込まれる。
【0052】
また、支持体表面には、種々の機能を付加しても良い。具体的には、反射防止層、防眩層、位相差層、視野角向上層、耐傷層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層を挙げることができる。
本発明の感光性積層体では、支持体は、支持体表面に導電性層を有していてもよい。導電性層としては、特表2009−505358号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
支持体は、さらに少なくとも、耐傷層および防眩層のうち少なくとも一つを有することが好ましい。
【0053】
本発明の感光性積層体では、前記支持体は、フイルム支持体の場合、膜厚が40〜200μmであることが好ましく、40〜150μmであることがより好ましく、50〜120μmであることが特に好ましい。支持体がガラス基板の時は、0.1〜1.0mmが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.7mmである。
【0054】
また、転写工程におけるラミネートによる着色層の密着性を高めるために、予め支持体(前面板)の非接触面に表面処理を施すことができる。表面処理としては、シラン化合物を用いた表面処理(シランカップリング処理)を実施することが好ましい。シランカップリング剤としては、感光性樹脂と相互作用する官能基を有するものが好ましい。例えばシランカップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学(株)製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄する。この後、加熱により反応させる。加熱槽を用いてもよく、ラミネーターの支持体予備加熱でも反応を促進できる。
【0055】
<仮支持体>
本発明の転写材料は、仮支持体を有する。
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧下または、加圧および加熱下で著しい変形、収縮もしくは伸びを生じない材料を用いることができる。このような支持体の例として、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0056】
仮支持体の厚みには、特に制限はなく、5〜200μmの範囲が一般的であり、取扱い易さ、汎用性などの点で、特に10〜150μmの範囲が好ましい。
また、仮支持体は透明でもよいし、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
また、前記仮支持体には、特開2005−221726号公報に記載の方法などにより、導電性を付与することができる。
【0057】
<保護フィルム>
本発明では、前記第二樹脂層の表面に保護フィルム(保護剥離層)などを更に設けることが好ましい。
【0058】
前記保護フィルムとしては、特開2006−259138号公報の段落[0083]〜[0087]および[0093]に記載のものを適宜使用することができる。
【0059】
<導電性層>
本発明では、第二樹脂層上に、さらに導電性層を有していてもよい。
前記導電性層としては、特表2009−505358号公報に記載のものを好ましく用いることができる。また、導電性層の構成や形状については、後述の本発明のタッチパネルの説明中における第一の透明電極パターン、第二の電極パターン、他の導電性要素の説明に記載する。本発明では、前記導電性層が、インジウム(ITOやインジウム合金など、インジウム含有化合物を含む)を含むことが好ましい。
【0060】
図1に、本発明の転写材料の好ましい構成の一例を示す。
図1の(a)は、仮支持体26、第二樹脂層18、中間層17、および第一樹脂層28、カバーフィルム29がこの順で互いに隣接して積層された、本発明の転写材料30の概略図である
【0061】
[転写材料の製造方法]
本発明の転写材料は、仮支持体上に、第二樹脂層を形成する工程と、第二樹脂層上に中間層を形成する工程と、中間層上に第一樹脂層を形成する工程とにより製造することができる。
【0062】
図5の構成の開口部8を有するタッチパネルにおいて、
図4に記載される前記白色着色層2aや遮光層2b等を、フィルム転写材料を用いて形成すると、開口部を有する支持体(前面板)でも開口部分からレジスト成分のモレによる支持体の汚染等がなく、特に前面板の境界ギリギリまで遮光パターンを形成する必要のある白色着色層2aや遮光層2bでのガラス端からのレジスト成分のはみ出しがないため支持体裏側を汚染することなく、簡略な工程で、薄層/軽量化のメリットがあるタッチパネルの製造を可能となる。
【0063】
転写材料を製造する方法としては、特に限定はないが、例えば特開2005−3861号公報の段落0064〜0066に記載の工程によって製造することができる。また、フィルム転写材料は、例えば特開2009−116078号公報に記載の方法で作製することもできる。
転写材料の製造方法の一例としては、仮支持体上に樹脂組成物を塗布し、乾燥させて各層を形成する方法が挙げられる。
【0064】
ここで、フィルム転写材料は、着色層としては白色着色層および遮光層の2層を少なくとも形成してもよく、一方で仮支持体および白色着色層を有するフィルム転写材料を支持体上に転写した後に仮支持体を取り除き、さらに少なくとも仮支持体および遮光層を含むフィルム転写材料を白色着色層上に転写する場合は着色層としては前記白色着色層および前記遮光層のうち少なくとも1層を形成したものを用いてもよい。前者の場合、本発明の転写材料は、仮支持体上に、前記遮光層および前記白色着色層をこの順番で積層したものを用いることができ、この場合は、(ガラス)支持体上に、一度に白色加飾材と遮光材を設けることができ、工程的に好ましい。
本発明に用いることができる転写材料では、本発明の趣旨に反しない限りにおいてさらにその他の層を形成してもよい。また、第一および第二樹脂層の形成前に、熱可塑性樹脂層を塗布形成してもよい。
仮支持体上に、前記第一および第二樹脂層用の塗布液、前記中間層形成用の塗布液を塗布する方法としては公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて、それらの塗液を塗布し、乾燥させることにより形成できる。
【0065】
(溶剤)
前記転写材料の各層を形成するための組成物は、組成物に含まれる各成分と共に溶剤を用いて好適に調製することができる。
【0066】
溶剤としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに、3−オキシプロピオン酸メチル及び3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、及び2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
【0067】
エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
【0068】
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
【0069】
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン等;
アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0070】
これらのうち、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好適である。
【0071】
溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
[感光性積層体の製造方法]
本発明の感光性積層体の製造方法は特に制限はなく、第一樹脂層および第二樹脂層をそれぞれ塗布により形成してもよいし、あるいは本発明の転写材料から転写する方法により製造してもよい。具体的には、本発明の感光性積層体の製造方法としては、支持体上に第一樹脂層、中間層および第二樹脂層をこの順で塗布して形成する方法、又は仮支持体上に第二樹脂層、中間層および第一樹脂層がこの順に積層されている転写材料から、支持体上に第二樹脂層、中間層および第一樹脂層を転写した後に前記仮支持体を取り除く方法から選ばれる方法を挙げることができる。
【0073】
<塗布法による感光性積層体の製造方法>
第一および第二樹脂層用塗布液、中間層用塗布液を塗布する方法としては公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて、それらの塗液を塗布し、乾燥させることにより形成できる。
【0074】
<転写法による感光性積層体の製造方法>
転写法による感光性積層体の製造方法としては、転写材料を上述するように作製し、作製した転写材料を支持体上にラミネート、および仮支持体をはがすことにより感光性積層体を作製することができる。即ち、
図2(a)に示す仮支持体26、第二樹脂層18、中間層17、および第一樹脂層28がこの順で互いに隣接して積層された本発明の転写材料を、支持体上にラミネートし、仮支持体をはがすことにより、
図2(b)に示す感光性積層体を作製することができる。
【0075】
(ラミネート方法)
第一および第二樹脂層の前記支持体表面への転写(貼り合わせ)は、第一樹脂層を支持体表面に重ね、加圧、加熱することに行われる。貼り合わせには、ラミネーター、真空ラミネーター、および、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用することができる。
ラミネート方法は、打ち抜いた加飾材料を支持体に転写することから、毎葉式で精度良く、支持体と加飾材料間に気泡が入らない方法が、得率を上げられる観点から好ましい。
具体的には、真空ラミネーターの使用を好ましく挙げることができる。
【0076】
ラミネート(連続式/枚葉式)に用いられる装置としては、例えば、クライムプロダクツ株式会社製 V−SE340aaHなどを挙げることができる。
真空ラミネーター装置としては、例えば、高野精機有限会社製のものや、大成ラミネーター株式会社製、FVJ−540R、FV700などを挙げることができる。
【0077】
転写材料を支持体に貼り付ける前に、仮支持体の着色剤と反対側に、さらに別の支持体を積層する工程を含むことが、ラミネート時に気泡を入れない好ましい効果を得ることが出来ることがある。このときに用いるさらに別の支持体としては特に制限はないが、例えば、以下のものを挙げることができる。
ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー。また、膜厚は、50〜200μmの範囲で選ぶことが出来る。
【0078】
(仮支持体を取り除く工程)
フィルム転写材料の製造方法は、前記支持体に貼り付けられた転写材料から仮支持体を取り除く工程を含むことが好ましい。
【0079】
(その他の工程)
前記転写材料の製造方法は、ポスト露光工程等、その他の工程を有していてもよい。
前記ポスト露光工程は前記白色着色層および前記遮光層の前記基板と接している側の表面方向のみから行っても、前記透明基板と接していない側の表面方向のみから行っても、両面方向から行ってもよい。
【0080】
なお、前記露光工程、現像工程、前記熱可塑性樹脂層と中間層を除去する工程、およびその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜0051に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
【0081】
[パターン化された感光性積層体の製造方法]
本発明のパターン化された感光性積層体の製造方法は、支持体上に第一樹脂層、中間層および第二樹脂層がこの順に積層されている本発明の感光性積層体の第二樹脂層のうちの所定のパターン化領域を硬化させる工程、および前記で得られた感光性積層体を現像液で処理して未硬化部分を除去する工程を含むことを特徴とする。上記の方法により得られるパターン化された感光性積層体も本発明の範囲内である。本発明のパターン化された感光性積層体の製造方法によれば、2層以上のパターニングを一括で行うことができる。
【0082】
本発明のパターン化された感光性積層体を露光する工程は、転写材料を用いて感光性積層体を形成する場合、仮支持体を取り除く工程の前に行ってもよく、仮支持体を取り除いた後に行ってもよいが、空気中の酸素による重合阻害を防止するために、仮支持体を取り除く前に行うことが望ましい。
【0083】
本発明のパターン化された感光性積層体の製造方法は、例えば、感光性積層体の第二樹脂層側に所定のマスクを配置し、その後、第二樹脂層側、中間層および第一樹脂層を介してマスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行う工程により行うことができる。ここで、前記露光の光源としては、第二樹脂層側、中間層および第一樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜20000mJ/cm
2程度であり、好ましくは10〜6000mJ/cm
2程度である。
【0084】
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
【0085】
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
現像液は、市販品を用いることができ、例えば、CD1(富士フイルム社製)等が挙げられる。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0086】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等のいずれでもよい。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に感光性樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0087】
(ポストベーク工程)
前記露光・現像工程後にポストベーク工程を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂層と中間層を除去工程後にポストベークを行う工程を含むことがより好ましい。
フィルム転写材料の製造方法は、フィルム転写材料の前記白色着色層および遮光層を0.08〜1.2atmの環境下で180〜300℃に加熱して形成することが白色度と生産性の両立の観点から好ましい。
前記ポストベークの加熱は0.5atm以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、1.1atm以下の環境下で行うことがより好ましく、1.0atm以下の環境下で行うことが特に好ましい。さらに、約1atm(大気圧)環境下で行うことが特別な減圧装置を用いることなく製造コストを低減できる観点からより特に好ましい。ここで、従来は前記白色着色層および遮光層を加熱により硬化して形成する場合、非常に低い圧力の減圧環境下で行い、酸素濃度を低くすることでベーク後の白色度を維持していたが、前記フィルム転写材料を用いることにより、上記圧力の範囲でベークした後も本発明の加飾材付き基板の前記白色着色層および遮光層の前記基板側の色味を改善し(b値を小さくし)、白色度を高めることができる。
前記ポストベークの温度は、70〜280℃であることがより好ましく、90〜260℃であることが特に好ましい。
前記ポストベークの時間は、20〜150分であることがより好ましく、30〜100分であることが特に好ましい。
前記ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよいが、空気環境下で行うことが、特別な減圧装置を用いることなく製造コストを低減できる観点から特に好ましい。
【0088】
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、本発明の感光性積層体を有することを特徴とする。
【0089】
<タッチパネル、およびタッチパネルを構成要素として備えた画像表示装置>
前記タッチパネルは、前面板(基板とも言う)と、前記前面板の非接触側に少なくとも下記(1)〜(4)の要素を有し、前記前面板(基板)と(1)遮光層(第二樹脂層)および白色着色層(第一樹脂層)を含む加飾材の積層体として本発明の感光性積層体を含むことができる。
(1)遮光層および白色着色層を含む加飾材
(2)複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン
(3)前記第一の透明電極パターンと電気的に絶縁され、前記第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の電極パターン
(4)前記第一の透明電極パターンと前記第二の電極パターンとを電気的に絶縁する絶縁層
また、前記タッチパネルは、第二の電極パターンが透明電極パターンであってもよい。
さらに、前記タッチパネルは、さらに下記(5)を有していてもよい。
(5)前記第一の透明電極パターンおよび前記第二の透明電極パターンの少なくとも一方に電気的に接続され、前記第一の透明電極パターンおよび前記第二の透明電極パターンとは別の導電性要素
【0090】
<タッチパネルの構成>
<<第一の態様>>
まず、本発明の製造方法によって形成される第一の態様のタッチパネルの構成について説明する。
図3および
図4は、本発明の第一の態様のタッチパネルの中でも好ましい構成を示す断面図である。
図3においてタッチパネルは、前面板1b(カバーガラス)と、白色着色層(第一樹脂層)2aと、遮光層(第二樹脂層)2bと、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、導電性要素6と、透明保護層7と、から構成されている。白色着色層2aと遮光層2bとの間には中間層(図示せず)を有する。
【0091】
前面板1および/または1bは、透光性基板で構成されていることが好ましい。透光性基板はカバーガラス1bに下記加飾材を設けたもの、又は、カバーガラス1b、フィルム基板1の順にフィルム基板に下記加飾材を設けたもの、いずれをも用いることが出来る。カバーガラスに加飾材を設ける場合は、タッチパネル薄型化に、フィルム基板に加飾材を設け、それをカバーガラスに張り合わせる場合は、タッチパネル生産性に、各々好ましい。
また、フィルム基板の電極の反対側に、更にカバーガラス1bを設けることが出来る。ガラス基板としては、コーニング社のGorillaガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、
図3および
図4において、前面板1および/または1bの各要素が設けられている側を非接触面1aと称する。本発明のタッチパネルにおいては、前面板1および/または1bの接触面(1a非接触面の反対の面)に指などを接触などさせて入力が行われる。以下、前面板を、「基板」と称する場合がある。
【0092】
また、前面板1および/または1bの非接触面上には白色着色層2aと遮光層2bが設けられている。白色着色層2aと遮光層2bは加飾材として、タッチパネル前面板の非接触側に形成された透光領域(表示領域)周囲の額縁状のパターンであり、引回し配線等が見えないようにする目的や、加飾を目的として形成される。
タッチパネルには、不図示の配線取出し口を設けることができる。配線取出し部を有するタッチパネルの加飾材付き基板を形成する場合、加飾材形成用液体レジストやスクリーン印刷インクを用いて白色着色層2aと遮光層2bからなる加飾材を形成しようとすると、配線取出し部からのレジスト成分のモレや、加飾材でのガラス端からのレジスト成分のはみ出しを生じ、基板裏側を汚染してしまうという問題が起こることがあるが、配線取出し部を有する加飾材付き基板を用いる場合、このような問題も解決することができる。
【0093】
前面板1および/または1bの非接触面には、複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の透明電極パターン3と、第一の透明電極パターン3と電気的に絶縁され、第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分からなる複数の第二の透明電極パターン4と、第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4を電気的に絶縁する絶縁層5とが形成されている。前記第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する導電性要素6とは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性の導電性金属酸化膜で作製することができる。このような金属膜としては、ITO膜;Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO
2等の金属酸化膜などが挙げられる。この際、各要素の、膜厚は10〜200nmとすることができる。また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜とするため、電気的抵抗を低減することもできる。また、前記第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、後述する導電性要素6とは、前記導電性繊維を用いた加飾材を有する転写フィルムを用いて製造することもできる。その他、ITO等によって第一の導電性パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落0014〜0016等を参考にすることができる。
【0094】
また、第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4の少なくとも一方は、前面板1および/または1bの非接触面および遮光層2bの前面板1および/または1bとは逆側の面の両方の領域にまたがって設置することができる。
図3および
図4においては、第二の透明電極パターン4が、前面板1および/または1bの非接触面および遮光層2bの前面板1および/または1bとは逆側の面の両方の領域にまたがって設置され、前記白色着色層2aの側面を第二の透明電極パターン4が覆っている図が示されている。ただし、前記白色着色層2aの幅を、前記遮光層2bの幅よりも狭くすることもでき、その場合は第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4の少なくとも一方は、前面板1および/または1bの非接触面、前記白色着色層2aおよび遮光層2bの前面板1および/または1bとは逆側の面の領域にまたがって設置することができる。このように、一定の厚みが必要な前記白色着色層2aおよび遮光層2bを含む加飾材と前面板裏面とにまたがって転写フィルムをラミネートする場合でも、フィルム転写材料(特に前記熱可塑性樹脂層を有するフィルム転写材料)を用いることで真空ラミネーターなどの高価な設備を用いなくても、簡単な工程で加飾材2の部分境界に泡の発生がないラミネートが可能になる。
【0095】
図6を用いて第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4について説明する。
図6は、本発明における第一の透明電極パターンおよび第二の透明電極パターンの一例を示す説明図である。
図6に示すように、第一の透明電極パターン3は、パッド部分3aが接続部分3bを介して第一の方向に延在して形成されている。また、第二の透明電極パターン4は、第一の透明電極パターン3と絶縁層5によって電気的に絶縁されており、第一の方向に交差する方向(
図6における第二の方向)に延在して形成された複数のパッド部分によって構成されている。ここで、第一の透明電極パターン3を形成する場合、前記パッド部分3aと接続部分3bとを一体として作製してもよいし、接続部分3bのみを作製して、パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)してもよい。パッド部分3aと第二の透明電極パターン4とを一体として作製(パターニング)する場合、
図6に示すように接続部分3bの一部とパッド部分3aの一部とが連結され、且つ、絶縁層5によって第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4とが電気的に絶縁されるように各層が形成される。
【0096】
図3および
図4において、遮光層2bの前面板1および/または1bとは逆側の面側には導電性要素6が設置されている。導電性要素6は、第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4の少なくとも一方に電気的に接続され、且つ、第一の透明電極パターン3および第二の透明電極パターン4とは別の要素である。
図3および
図4においては、導電性要素6が第二の透明電極パターン4に接続されている図が示されている。
【0097】
また、
図3および
図4においては、各構成要素の全てを覆うように透明保護層7が設置されている。透明保護層7は、各構成要素の一部のみを覆うように構成されていてもよい。絶縁層5と透明保護層7とは、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。絶縁層5と透明保護層7とを構成する材料としては、表面硬度、耐熱性が高いものが好ましく、公知の感光性シロキサン樹脂材料、アクリル樹脂材料などが用いられる。
【0098】
本発明の製造方法の過程で形成される態様例として、
図7〜11の態様を挙げることができる。
図7は、開口部8が形成された強化処理ガラス15の一例を示す上面図である。
図8は、加飾層2aが形成された前面板の一例を示す上面図である。
図9は、第一の透明電極パターン3が形成された前面板の一例を示す上面図である。
図10は、第一の透明電極パターン3と第二の透明電極パターン4が形成された前面板の一例を示す上面図である。
図11は、第一および第二の透明電極パターンとは別の導電性要素6が形成された前面板の一例を示す上面図である。これらは、上記説明を具体化した例を示すものであり、本発明の範囲はこれらの図面により限定的に解釈されることはない。
【0099】
前記タッチパネル、および当該タッチパネルを構成要素として備えた画像表示装置は、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行(株)テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
【0100】
<<第二の態様>>
本発明の第二の態様のタッチパネルの好ましい構成について、装置を構成する各部材の製造方法とあわせて説明する。なお、第一の態様と重複する箇所の説明は適宜省略する。
図12は、本発明の第二の態様のタッチパネルの好ましい構成を示す断面図である。
図12において第二の態様のタッチパネル10は、透明基板(前面板)1と、加飾材2と、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの透明膜11と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、絶縁層5と、導電性要素6と、第二の硬化性透明樹脂層(屈折率調整層)12と、第一の硬化性透明樹脂層7(保護層)と、から構成されている態様が示されている。
また、
図6におけるX−Xa断面を表した
図13も同様に、タッチパネルの好ましい構成を示す断面図である。
図13においてタッチパネル10は、透明基板(前面板)1と、屈折率1.6〜1.78であり膜厚が55〜110nmの透明膜11と、第一の透明電極パターン3と、第二の透明電極パターン4と、第二の硬化性透明樹脂層12と、第一の硬化性透明樹脂層7と、から構成されている態様が示されている。
【0101】
前面板1の非接触面上には加飾材2が設けられており、第一の態様の加飾材と同様の機能、構成である。
図6における第一の透明電極パターン3や第二の透明電極パターン4や導電性要素6が形成されていない領域が、本発明の透明積層体における非パターン領域22に相当し、
図13中の符号22は、透明電極パターンと第二の硬化性透明樹脂層と第一の硬化性透明樹脂層がこの順に積層された領域に相当する。
【0102】
また、
図12においては、各構成要素の全てを覆うように第一の硬化性透明樹脂層7が設置されている。第一の硬化性透明樹脂層7は、各構成要素の一部のみを覆うように構成されていてもよい。絶縁層5と第一の硬化性透明樹脂層7とは、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。絶縁層5を構成する材料としては、本発明の透明積層体における第一または第二の硬化性透明樹脂層の材料として挙げたものを好ましく用いることができる。
【0103】
[情報表示装置]
本発明の情報表示装置は、本発明のタッチパネルを有することを特徴とする。
本発明のタッチパネルを使用することができる情報表示装置としては、モバイル機器が好ましく、例えば、以下の情報表示装置を挙げることができる。
iPhone4、iPad(以上、米国 アップル社製)、Xperia(SO−01B)(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーション社製)、Galaxy S(SC−02B)、Galaxy Tab(SC−01C)(以上、韓国 サムスン電子社製)、BlackBerry 8707h(加国 リサーチ・イン・モーション社製)、Kindle(米国 アマゾン社製)、Kobo Touch(楽天株式会社製)。
【実施例】
【0104】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0105】
[実施例1]
<転写材料の作製>
<<第二樹脂層の形成>>
仮支持体として、離型層付きポリエチレンテレフタレート(PET)ベース(ユニピールTR6、ユニチカ株式会社製、厚さ50μm)の離型層付き面に、下記処方からなる第二樹脂層塗布液(K1)を塗布し、120℃で2分間乾燥を行い、乾燥膜厚3μmの第二樹脂層(遮光層)を得た。
【0106】
(第二樹脂層用塗布液:処方K1)
・カーボンブラック分散液(顔料比31.3%、下記組成) :360質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :115質量部
・メチルエチルケトン :400質量部
・光重合開始剤(イルガキュア907、BASFジャパン社製) :2.38質量部
・下記[化1]に示す構造のアクリル系樹脂 :61.1質量部
・モノマー DPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :61.2質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :0.600質量部
【0107】
顔料分散液は下記の組成であり、顔料、有機溶剤にあらかじめ溶解してある顔料分散剤を混合し、ペイントシェーカー(東洋精機製作所)により一時間分散処理した。
・カーボンブラック(商品名:Nipex35、デグッサ社製) 13.05質量部
・メチルエチルケトン 85.64質量部
・ ソルスパース32000(アビシア社製) 1.31質量部
又、ペイントシェーカーによる分散は、ペイントシェーカーに使用するポリビンに直径0.5mmのジルコニアビーズを、重量比で分散液:ジルコニアビーズ=1:6の比率で添加し分散を行った。
【0108】
<<中間層の形成>>
上記第二樹脂層上に下記処方の中間層塗布液(I2)を塗布し、120℃2分間乾燥を行い、乾燥膜厚2μmの中間層を得た。
【0109】
(中間層用塗布液:処方I2)
・純水 :524質量部
・メタノール :429質量部
・ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ社製) :21.1質量部
・ポリビニルアルコール(K−30、アイエスピー・ジャパン社製):9.75質量部
【0110】
<<第一樹脂層の形成>>
上記中間層上に下記処方の第一樹脂層塗布液(W1)を塗布し、120℃4分間乾燥を行い、乾燥膜厚20μmの第一樹脂層(白材層)を得た。
上記の操作により、感光性転写材料を作製した。
【0111】
(第一樹脂層用塗布液:処方W1)
・二酸化チタン分散液(顔料比31.3%、下記組成) :179質量部
・メチルエチルケトン :131質量部
・蛍光増白剤(Tinopal OB、BASFジャパン社製) :4.00質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :216質量部
・下記に示す構造のアクリル系樹脂 :302質量部
・モノマーDPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :161質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :1.60質量部
【0112】
顔料分散液は下記の組成であり、顔料、有機溶剤にあらかじめ溶解してある顔料分散剤を混合し、ペイントシェーカー(東洋精機製作所)により一時間分散処理した。
・ルチル型二酸化チタン(商品名:JR−805、テイカ社製)70.00質量部
・メチルエチルケトン 26.50質量部
・ ソルスパース32000(アビシア社製) 3.50質量部
又、ペイントシェーカーによる分散は、ペイントシェーカーに使用するポリビンに直径0.5mmのジルコニアビーズを、重量比で分散液:ジルコニアビーズ=1:6の比率で添加し分散を行った。
【0113】
アクリル系樹脂(特開2008−146018号公報に記載)
【化1】
【0114】
上記第二樹脂層上にカバーフィルム(タマポリ(株)社製、厚み30μmのポリエチレンフィルム(商品名:GF-8))を25℃、1MPa、1.0m/minの条件でラミネートした。
上記の操作により、転写材料を作製した。
【0115】
<感光性積層体の作製>
上記で作製した転写材料を、カバーフィルムを剥離した後、ガラス支持体(コーニング社製 イーグルXG 厚み0.7mm)に転写し、感光性積層体を作製した。
【0116】
[実施例2〜3、比較例1]
<転写材料の作製>
第一樹脂層、中間層、第二樹脂層の塗布液を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして転写材料を作製した。
実施例2〜3、比較例1で使用した各塗布液の処方を以下に示す。
【0117】
(第二樹脂層用塗布液:処方K2)
・カーボンブラック分散液(顔料比31.3%) :360質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :115質量部
・メチルエチルケトン :400質量部
・光重合開始剤(イルガキュア907、BASFジャパン社製) :0.81質量部
・上記[化1]に示す構造のアクリル系樹脂 :61.1質量部
・モノマーDPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :61.2質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :0.600質量部
【0118】
(中間層用塗布液:処方I1)
・純水 :524質量部
・メタノール :429質量部
・ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ社製) :21.1質量部
・ポリビニルアルコール(K−30、アイエスピー・ジャパン社製):9.75質量部
・モノマー ライトアクリレート(3EG−A、共栄社化学社製) :15.4質量部
・光重合開始剤(イルガキュア2959、BASFジャパン社製):0.772質量部
【0119】
(第一樹脂層用塗布液:処方W2)
・二酸化チタン分散液(顔料比31.3%) :179質量部
・メチルエチルケトン :131質量部
・光重合開始剤(イルガキュア907、BASFジャパン社製) :3.13質量部
・蛍光増白剤(Tinopal OB、BASFジャパン社製) :4.00質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :216質量部
・上記に示す構造のアクリル系樹脂 :302質量部
・モノマーDPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :161質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :1.60質量部
【0120】
<感光性積層体の作製>
上記で作製した転写材料を、カバーフイルムを剥離した後、ガラス支持体(コーニング社製 イーグルXG 厚み0.7mm)に転写し、感光性積層体を作製した。
【0121】
[実施例4]
<感光性積層体の作製>
支持体であるTAC(フジタック、富士フイルム社製、厚さ60μm)上に、上記処方の第一樹脂層用塗布液(W1)を塗布し120℃2分間乾燥を行い、乾燥膜厚20μmの第一樹脂層を得た。
【0122】
上記第一樹脂層上に上記処方の中間層用塗布液(I2)を塗布し、120℃2分間乾燥を行い、乾燥膜厚2μmの中間層を得た。
【0123】
上記中間層上に第二樹脂層用塗布液(K1)を塗布し、120℃4分間乾燥を行い、乾燥膜厚3μmの第二樹脂層(遮光層)を得た。
【0124】
上記第二樹脂層上にカバーフィルム(王子特殊紙社製、厚み12μmのポリプロピレンフィルム(商品名:アルファン))を25℃、1MPa、1.0m/minの条件でラミネートした。
上記の操作により、感光性積層体を作製した。
【0125】
<露光感度の評価>
第一樹脂層用塗布液、および第二樹脂層用塗布液をそれぞれガラス支持体上に塗布し、それぞれ何mJ以上の露光により塗布膜が硬化して、現像後も塗布膜が残っているかを評価した。
その結果、第一樹脂層用塗布液W2は(
600)mJ/cm2、第一樹脂層用塗布液W2は非感光性であるため感光性を持ついかなる樹脂層よりも感度は低いと考える、第二樹脂層用塗布液K1は(
80)mJ/cm2、第二樹脂層用塗布液K2は(
700)mJ/cm2、第二樹脂層用塗布液K3は非感光性であるため感光性を持ついかなる樹脂層よりも感度は低いと考える。
【0126】
[実施例5〜6]
<感光性積層体の作製>
第一樹脂層、中間層、第二樹脂層の塗布液を表1のように変更した以外は実施例4と同様にして感光性積層体を作製した。
実施例5〜6で使用した各塗布液の処方は上記のとおりである。
【0127】
[比較例2]
スクリーン印刷機(HP−320型スクリーン印刷機、ニューロング精密工業(株)製)を使用して第一樹脂層、中間層、第二樹脂層をそれぞれ印刷し、積層体を作製した。
使用した塗布液は表1の通りである。又、各塗布液の処方は上記の通りである。
(第二樹脂層用塗布液:処方K3)
・カーボンブラック分散液(顔料比31.3%) :360質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :115質量部
・メチルエチルケトン :400質量部
・上記[化1]に示す構造のアクリル系樹脂 :61.1質量部
・モノマーDPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :61.2質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :0.600質量部
【0128】
上記で作製した実施例1〜6並びに比較例1及び2における第一樹脂層及び第二樹脂層における無機粒子の含有率は全て20質量%以上であった。
【0129】
[評価]
<パターニング性>
フォトリソグラフィーを用いて、下記の条件によりパターンを作製した。
1500mJ/cm
2(i線)の露光量で所定のパターンを有するフォトマスクを介し、パターン状にUV露光を行った。
実施例1〜3、および比較例1は、仮支持体を剥がす前に、仮支持体側から露光を行った。
実施例4〜6はカバーフィルムを剥がす前に、カバーフィルム側から露光を行った。
露光後、現像液(CD1(富士フイルム社製))現像液の原液を純水で7倍に希釈して使用)を用いて32℃90秒間現像を行い、未硬化部分を除去することでパターニングを行い、以下の基準で評価した。
A:第1樹脂層のパターンエッジと第2樹脂層のパターンエッジがほぼ同じ位置に得られ、本実験の加飾材のように第1樹脂層が白材、第2樹脂層が隠蔽力を高めるための裏打ち層である場合に、パターンエッジのぎりぎりまで高い隠ぺい力が得られて好ましい見た目が得られる(
図14に示す状態を参照)
B:第2樹脂層とのパターンエッジが第1樹脂層のパターンエッジと数100μm以上程度かけ離れてしまい、パターン周辺の隠ぺい力が落ちてしまい、好ましくない。(
図15に示す状態を参照)
【0130】
<遮光層(第二樹脂層)のはがれ>
パターニング性を評価したサンプルを用いて、パターニングされていないベタの部分を観察した。ベタ部分に第二樹脂層のはがれた部分が存在すると、第2樹脂層が裏打ち層であった場合は、その部分の隠ぺい力が低くなってしまい、美観の上で好ましくない。
A:第2樹脂層(裏打ち層)のはがれが少なく最も好ましい。はがれている部分が全体に対し面積比で0.1%未満。
B:Aよりは多いが第2樹脂層のはがれは少ない。はがれている部分が全体に対し面積比で0.1%以上1%未満。
C:第2樹脂層のはがれがBよりも多く発生している。はがれている部分が全体に対し面積比で1%以上10%未満。
D:第2樹脂層のはがれがCよりも多く好ましくない。はがれている部分が全体に対し面積比で10%以上。
【0131】
<アライメントの必要性>
第1樹脂層が白材、第2樹脂層が黒色の裏打ち層である場合、第1樹脂層と第2樹脂層の位置がズレてしまうと、パターンのエッジ部から裏打ち層のはみ出しが見えてしまったり、白材のパターンエッジ部の隠蔽性が不足してしまうため、美観の上で好ましくない。
【0132】
A:一度の露光と現像によりパターンが得られるため、第1樹脂層と第2樹脂層を別々にアライメント、露光、現像を行う必要がない
B:第1樹脂層をパターン状に印刷した上に、第2樹脂層をパターンの位置のアライメントをしながら印刷する必要がある。
【0133】
【表1】
【0134】
上記表から、実施例1〜6は、2層以上のパターニングを一括で行っても、パターニング性、第二樹脂層のはがれ、およびアライメントの必要性の評価のいずれもが優れていることがわかる。
【0135】
[実施例101]
<転写材料の作製>
<<第二樹脂層の形成>>
仮支持体として、離型層付きポリエチレンテレフタレート(PET)ベース(ユニピールTR6、ユニチカ株式会社製、厚さ50μm)の離型層付き面に、下記処方からなる第二樹脂層塗布液(OC1)を塗布し、120℃で2分間乾燥を行い、乾燥膜厚5μmの第二樹脂層(オーバーコート層)を得た。
【0136】
(第二樹脂層用塗布液:処方OC1)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :733質量部
・メチルエチルケトン :424質量部
・モノマー DPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :54.5質量部
・モノマー NKオリゴUA−32P(新中村化学社製) :25.9質量部
・モノマー ビスコートV#802(大阪有機化学社製) :68.5質量部
・上記に示す構造のアクリル系樹脂 :479質量部
・光重合開始剤(イルガキュア379EG、BASFジャパン社製):6.36質量部
・光重合開始剤(DETX−S、日本化薬社製): 6.36質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :1.93質量部
【0137】
<<中間層の形成>>
上記第二樹脂層上に上記処方の中間層塗布液(I2)を塗布し、120℃2分間乾燥を行い、乾燥膜厚0.5μmの中間層を得た。
【0138】
<<第一樹脂層の形成>>
上記中間層上に下記処方の第一樹脂層塗布液(IM1)を塗布し、120℃4分間乾燥を行い、乾燥膜厚80nmの第一樹脂層(屈折率調整層)を得た。
【0139】
(第一樹脂層用塗布液:処方IM1)
・酸化ジルコニウム分散液Zr−010
(株式会社ソーラー社製、顔料比57.1%) :63.7質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :584質量部
・メチルエチルケトン :811質量部
・モノマー DPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :1.96質量部
・モノマー NKオリゴUA−32P(新中村化学社製) :0.93質量部
・モノマー ビスコートV#802(大阪有機化学社製) :2.47質量部
・上記に示す構造のアクリル系樹脂 :13.0質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :0.18質量部
【0140】
上記第二樹脂層上にカバーフィルム(タマポリ(株)社製、厚み30μmのポリエチレンフィルム(商品名:GF-8))を25℃、1MPa、1.0m/minの条件でラミネートした。
上記の操作により、転写材料を作製した。
【0141】
<感光性積層体の作製>
上記で作製した転写材料を、カバーフイルムを剥離した後、ITOパタンーン付PETフィルムに転写し、感光性積層体を作製した。
【0142】
[実施例102〜103、比較例101]
<転写材料の作製>
第一樹脂層、中間層、第二樹脂層の塗布液を表2のように変更した以外は実施例101と同様にして転写材料を作製した。
実施例102〜103、比較例101で使用した各塗布液の処方を以下に示す。
【0143】
(第二樹脂層用塗布液:処方OC2)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :733質量部
・メチルエチルケトン :424質量部
・モノマー DPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :54.5質量部
・モノマー NKオリゴUA−32P(新中村化学社製) :25.9質量部
・モノマー ビスコートV#802(大阪有機化学社製) :68.5質量部
・上記に示す構造のアクリル系樹脂 :479質量部
・光重合開始剤(イルガキュア379EG、BASFジャパン社製):2.17質量部
・光重合開始剤(DETX−S、日本化薬社製): 2.17質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :1.93質量部
【0144】
(第二樹脂層用塗布液:処方OC3)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :733質量部
・メチルエチルケトン :424質量部
・モノマー DPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :54.5質量部
・モノマー NKオリゴUA−32P(新中村化学社製) :25.9質量部
・モノマー ビスコートV#802(大阪有機化学社製) :68.5質量部
・上記に示す構造のアクリル系樹脂 :479質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :1.93質量部
【0145】
(第一樹脂層用塗布液:処方IM2)
・酸化ジルコニウム分散液
Zr−010(株式会社ソーラー社製、顔料比57.1%) :63.7質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :584質量部
・メチルエチルケトン :811質量部
・モノマー DPHA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 固形分76質量%)(日本化薬社製) :1.96質量部
・モノマー NKオリゴUA−32P(新中村化学社製) :0.93質量部
・モノマー ビスコートV#802(大阪有機化学社製) :2.47質量部
・上記に示す構造のアクリル系樹脂 :13.0質量部
・光重合開始剤(イルガキュア379EG、BASFジャパン社製):0.23質量部
・光重合開始剤(DETX−S、日本化薬社製): 0.23質量部
・フッ素系化合物(メガファックF−556、DIC社製) :0.18質量部
【0146】
<感光性積層体の作製>
上記で作製した転写材料を、カバーフイルムを剥離した後、ITOパタンーン付PETフィルムに転写し、感光性積層体を作製した。
【0147】
<露光感度の評価>
第一樹脂層用塗布液、および第二樹脂層用塗布液をそれぞれガラス支持体上に塗布し、それぞれ何mJ以上の露光により塗布膜が硬化して、現像後も塗布膜が残っているかを評価した。
その結果、第一樹脂層用塗布液IM2は(70)mJ/cm2、第一樹脂層用塗布液IM1は非感光性であるため感光性を持ついかなる樹脂層よりも感度は低いと考える、第二樹脂層用塗布液OC1は20mJ/cm2、第二樹脂層用塗布液OC2は100mJ/m2、および第二樹脂層用塗布液OC3は非感光性であるため感光性を持ついかなる樹脂層よりも感度は低いと考える。
【0148】
[実施例104]
<感光性積層体の作製>
支持体であるITOパターン付きのPETフィルム、上記処方の第一樹脂層用塗布液(IM1)を塗布し120℃2分間乾燥を行い、乾燥膜厚80nmの第一樹脂層(屈折率調整層)を得た。
【0149】
上記第一樹脂層上に上記処方の中間層用塗布液(I2)を塗布し、120℃2分間乾燥を行い、乾燥膜厚0.5μmの中間層を得た。
【0150】
上記中間層上に第二樹脂層用塗布液(OC1)を塗布し、120℃4分間乾燥を行い、乾燥膜厚5μmの第二樹脂層(オーバーコート層)を得た。
【0151】
上記第二樹脂層上にカバーフィルム(王子特殊紙社製、厚み12μmのポリプロピレンフィルム(商品名:アルファン))を25℃、1MPa、1.0m/minの条件でラミネートした。
上記の操作により、感光性積層体を作製した。
【0152】
[実施例105〜106]
<感光性積層体の作製>
第一樹脂層、中間層、第二樹脂層の塗布液を下記表のように変更した以外は実施例104と同様にして感光性積層体を作製した。
実施例105〜106で使用した各塗布液の処方は上記のとおりである。
【0153】
[比較例102]
スクリーン印刷機(ニューロング精密工業(株)製 HP−320型スクリーン印刷機)を使用して第一樹脂層、中間層、第二樹脂層をそれぞれ印刷を行い、積層体を作製した。
【0154】
上記で作製した実施例101〜106並びに比較例101及び102における第一樹脂層における無機粒子の含有率は全て20質量%以上であった。
【0155】
[評価]
<パターニング性>
フォトリソグラフィーを用いて、下記の条件によりパターンを作製した。
100mJ/cm
2(i線)の露光量で所定のパターンを有するフォトマスクを介し、パターン状にUV露光を行った。
実施例101〜103、および比較例101は、仮支持体を剥がす前に、仮支持体側から露光を行った。
実施例104〜106はカバーフィルムを剥がす前に、カバーフィルム側から露光を行った。
露光後、現像液(CD1(富士フイルム社製))現像液の原液を純水で7倍に希釈して使用)を用いて30℃60秒間現像を行い、未硬化部分を除去することでパターニングを行い、以下の基準で評価した。
A:第1樹脂層のパターンエッジと第2樹脂層のパターンエッジがほぼ同じ位置に得られ、本実験の加飾材のように第1樹脂層がIM層(屈折率調整層)、第2樹脂層がOC層(保護層)である場合に、パターンエッジのぎりぎりまで屈折率調整層が保護層によりカバーされるため、保護機能の観点から好ましい。
B:第2樹脂層とのパターンエッジが第1樹脂層のパターンエッジと数100μm以上かけ離れてしまい、パターン周辺部の屈折率調整層に保護層による保護されていない部分が生じてしまい好ましくない。
【0156】
パターニング性を評価したサンプルを用いて、パターニングされていないベタの部分を観察した。 ベタ部分に第二樹脂層のはがれた部分が存在すると、第2樹脂層が保護層であった場合は、その部分が保護されていないことになってしまい、保護機能の上で好ましくない。
A:(第2樹脂層(保護層)のはがれが少なく最も好ましい。)ははがれている部分が全体に対し面積比で0.1%未満。
B:(Aよりは多いが第2樹脂層のはがれは少ない)はがれている部分が全体に対し面積比で0.1%以上1%未満。
C:(第2樹脂層のはがれがBよりも多く発生している)はがれている部分が全体に対し面積比で1%以上10%未満。
D:(第2樹脂層のはがれがCよりも多く好ましくない。)はがれている部分が全体に対し面積比で10%以上。
【0157】
<アライメントの必要性>
実施例1と同様にして行い、同様の基準で評価した。
【0158】
【表2】
【0159】
上記表から、実施例101〜106は、2層以上のパターニングを一括で行っても、パターニング性、第二樹脂層のはがれ、およびアライメントの必要性の評価のいずれもが優れていることがわかる。