特許第6225801号(P6225801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6225801
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】電線保持装置及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20171030BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01R13/46 A
   H01R13/648
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-76250(P2014-76250)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-198043(P2015-198043A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】今堀 雅明
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−253008(JP,A)
【文献】 特開2008−251511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を保持するための樹脂からなる電線保持部材と、
前記電線保持部材に嵌合され、前記電線保持部材の少なくとも一部を収容する導電性の金属からなる筒状部材とを備え、
前記電線保持部材は、前記筒状部材が嵌合される嵌合部の外周に、前記筒状部材の内面に当接する複数の突起が形成されており、
前記電線の長手方向において前記筒状部材と並んで配置されたシール部材をさらに備え、
前記電線保持部材は、前記嵌合部における前記複数の突起よりも前記シール部材側の前記外周に、前記複数の突起の突出高さよりも低い壁部が形成されている
電線保持装置。
【請求項2】
前記複数の突起は、前記筒状部材を前記電線保持部材に嵌合する際の嵌合方向に延びている、
請求項1に記載の電線保持装置。
【請求項3】
前記複数の突起は、その基端部における前記嵌合方向に直交する幅方向の寸法が、前記筒状部材の前記内面に当接する先端部における前記幅方向の寸法よりも大きい、
請求項2に記載の電線保持装置。
【請求項4】
前記壁部は、その外周面が前記筒状部材の前記内面に接触していない、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電線保持装置。
【請求項5】
前記壁部は、前記嵌合部の前記外周を一周するように環状に形成されている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の電線保持装置。
【請求項6】
前記シール部材は、シール保持部の外周に保持され、
前記シール保持部は、前記嵌合方向に直交する方向の寸法が、前記電線保持部材における前記嵌合方向に直交する方向の寸法以下である、
請求項乃至の何れか1項に記載の電線保持装置。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか1項に記載の電線保持装置と、
前記電線とを備えた
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保持する電線保持装置、及びその電線保持装置と電線とを備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線保持装置として、金属製のシールドケース(筒状部材)と、当該シールドケースに収容され、シールドケース内における複数の電線の相対位置を固定する電線ホルダ(電線保持部材)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の電線保持装置は、複数の電線の端末を挿通するための複数の挿通部を有するユニットハウジングに取り付けられるシールドケースと、一対の半割ホルダからなる電線ホルダとを備えている。
【0004】
電線ホルダは、合成樹脂等からなり、各電線に取り付けられた防水栓及び防水栓を固定する固定用金具を挟むようにして一対の半割ホルダを合体させることによって構成されている。当該電線ホルダにシールドケースを嵌合させることにより、電線ホルダは、防水栓を保持しながらシールドケース内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3819229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電線保持装置では、電線ホルダにシールドケースを嵌合させる際、電線ホルダ又はシールドケースの寸法誤差により、嵌合方向に直交する方向における電線ホルダの寸法がシールドケースの寸法よりも大きいと、電線ホルダとシールドケースとを嵌合させることが困難となる。また、電線ホルダの外面とシールドケースの内面との隙間が大きいと、シールドケース内において電線ホルダががたついてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、寸法誤差を許容して筒状部材を電線保持部材に嵌合し易くすると共に、筒状部材に収容された電線保持部材のがたつきを抑制することが可能な電線保持装置及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、電線を保持するための樹脂からなる電線保持部材と、前記電線保持部材に嵌合され、前記電線保持部材の少なくとも一部を収容する導電性の金属からなる筒状部材とを備え、前記電線保持部材は、前記筒状部材が嵌合される嵌合部の外周に、前記筒状部材の内面に当接する複数の突起が形成されている電線保持装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、前記電線保持装置と、前記電線とを備えたワイヤハーネスを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電線保持装置及びワイヤハーネスによれば、寸法誤差を許容して筒状部材を電線保持部材に嵌合し易くすると共に、筒状部材に収容された電線保持部材のがたつきを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電線保持装置、及びこの電線保持装置を備えたワイヤハーネスの一構成例を示す構成図である。
図2】ワイヤハーネスを示し、(a)は第1乃至第3の電線の長手方向に沿った断面図であり、(b)は図1のA−A線断面図である。
図3】電線ホルダの第2ホルダを示し、(a)は複数の円弧溝側を見た平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
図4図2(b)のB部拡大図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る電線保持装置及びこの電線保持装置を備えたワイヤハーネスの一構成例を示す構成図である。
図6】第2の実施の形態に係るワイヤハーネスを示し、(a)は図5のD−D線断面図、(b)は(a)のE部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る電線保持装置2及びワイヤハーネス11の構成について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0013】
このワイヤハーネスは、例えば車両に搭載され、車両の走行用の駆動電流を供給するために用いられる。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電線保持装置2、及びこの電線保持装置2を備えたワイヤハーネス11の一構成例を示す構成図である。なお、図1では、説明のため、電線保持装置2の電線ホルダ21とシールドケース22とが嵌合されていない状態を示し、シールドケース22が電線ホルダ21に嵌合した状態を二点鎖線で示す。
【0015】
ワイヤハーネス11は、第1乃至第3の電線31〜33と、第1乃至第3の電線31〜33を保持する樹脂からなる電線保持部材としての電線ホルダ21と、電線ホルダ21に嵌合され、電線ホルダ21の少なくとも一部を収容する導電性の金属からなる筒状部材としてのシールドケース22と、外側シール部材50が外周に保持されたシール保持部としてのリテーナ23とを備えている。本実施の形態では、電線ホルダ21、シールドケース22、及びリテーナ23によって電線保持装置2が構成されている。
【0016】
電線ホルダ21及びリテーナ23は、例えばPVD(ポリフッ化ビニリデン)やPA(ポリアミド)、あるいはPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の電気絶縁性を有する樹脂からなり、例えば射出成形により成形される。
【0017】
電線ホルダ21及びリテーナ23は、第1乃至第3の電線31〜33の長手方向に並んで配置され、第1乃至第3の電線31〜33は、一端がリテーナ23から外部に導出され、他端が電線ホルダ21から外部に導出されている。本実施の形態では、電線ホルダ21とリテーナ23とは、それぞれ別部材で形成されているが、これに限らず、電線ホルダ21とリテーナ23とが一体に形成されていてもよい。
【0018】
第1乃至第3の電線31〜33は、リテーナ23から外部に導出された一端に、端子41〜43がそれぞれ接続されている。すなわち、リテーナ23は、第1乃至第3の電線31〜33の長手方向において、端子41〜43と電線ホルダ21との間に配置されている。
【0019】
リテーナ23の外周に保持された環状の外側シール部材50は、ワイヤハーネス11が取り付けられる図略の被取付部材との間をシールして、防水性を高める。リテーナ23及び外側シール部材50は、第1乃至第3の電線31〜33の長手方向においてシールドケース22と並んで配置されている。
【0020】
電線ホルダ21は、シールドケース22が嵌合される嵌合部211の外周に、複数の突起210(図1では8つの突起210を示す)が形成されている。複数の突起210は、シールドケース22を電線ホルダ21に嵌合する際の嵌合方向(図1の矢印X方向)にそれぞれ延びており、その長さは1mm〜15mm程度である。本実施の形態では、複数の突起210は、嵌合部211の周方向に並んで形成されている。
【0021】
また、電線ホルダ21は、嵌合部211におけるリテーナ23側の一端から延出する延出部212を有している。延出部212は、シールドケース22から外部に露出している。
【0022】
シールドケース22は、例えば鉄や黄銅、あるいはアルミニウム等の導電性の金属からなり、電線ホルダ21の少なくとも一部(嵌合部211)を収容する収容部221と、収容部221の外周面から外方に張り出して形成されたフランジ部222とを一体に有している。収容部221は、その周方向に切れ目を有することなく一体に形成され、電線ホルダ21の周方向全周を覆っている。
【0023】
図2は、ワイヤハーネス11を示し、図2(a)は、第1乃至第3の電線31〜33の長手方向に切断したワイヤハーネス11の断面図であり、図2(b)は、図1のA−A線断面図である。
【0024】
図2(b)に示すように、電線ホルダ21は、第1乃至第3の電線31〜33を挟んで対向する第1及び第2のホルダ21a,21bを組み合わせて構成されている。なお、図2(a)では、第1及び第2のホルダ21a,21bのうち第2のホルダ21bのみを示している。本実施の形態では、第1及び第2のホルダ21a,21bは同形状に形成されている。
【0025】
電線ホルダ21の嵌合部211は、第1ホルダ21aの第1嵌合部211a及び第2ホルダ21bの第2嵌合部211bを組み合わせてなり、電線ホルダ21の延出部212は、第1ホルダ21aの第1延出部212a及び第2ホルダ21bの第2延出部212bを組み合わせてなる。
【0026】
第1ホルダ21aの第1嵌合部211a及び第1延出部212aには、第1乃至第3の電線31〜33の長手方向に延びる複数(本実施の形態では3つ)の第1円弧溝214aが形成されている。同様に、第2ホルダ21bの第2嵌合部211b及び第2延出部212bには、第1ホルダ21aの複数の第1円弧溝214aに対応する複数(本実施の形態では3つ)の第2円弧溝214bが形成されている。
【0027】
第1及び第2ホルダ21a,21bが組み合わされて、複数の第1円弧溝214aと複数の第2円弧溝214bとがそれぞれ組み合わされることにより、第1乃至第3の電線31〜33を保持するための複数(本実施の形態では3つ)の保持孔214が形成される。なお、図2(b)では、第2の電線32に対応する保持孔214、第1円弧溝214a、及び第2円弧溝214bが示されている。
【0028】
第1乃至第3の電線31〜33は、各保持孔214に挿通された状態で電線ホルダ21(第1及び第2ホルダ21a,21b)に一括して保持されている。本実施の形態では、第1及び第2円弧溝214a,214bは、延出部212側において内径が第1乃至第3の電線31〜33の外径よりも大きくなるように形成されている。
【0029】
また、第1及び第2ホルダ21a,21bには、リテーナ23に係止される複数の爪部213が、第1及び第2嵌合部211a,211bから第1乃至第3の電線31〜33の長手方向に第1及び第2延出部212a,212bを越えて突出して形成されている。なお、図2(a)では、第2ホルダ21b側の2つの爪部213を示している。
【0030】
シールドケース22の収容部221には、フランジ部222とは反対側の端面に第1乃至第3の電線31〜33を導出させるための複数(本実施の形態では3つ)導出口221aが形成されている。各導出口221aは、シールドケース22を電線ホルダ21に嵌合した際、電線ホルダ21の各保持孔214の配置位置に対応する位置に配置されるように形成されている。
【0031】
リテーナ23には、第1乃至第3の電線31〜33を挿通させる複数(本実施の形態では3つ)の挿通孔230が形成されている。各挿通孔230の内周面と第1乃至第3の電線31〜33との間には、円筒状の内側シール部材51〜53がそれぞれ設けられている。また、リテーナ23における隣り合う2つの挿通孔230の間にはそれぞれ、電線ホルダ21の爪部213が係止される被係止部231が形成されている。
【0032】
図3は、電線ホルダ21の第2ホルダ21bを示し、図3(a)は複数の円弧溝214b側を見た平面図、図3(b)は図3(a)のC−C線断面図である。図4は、図2(b)のB部拡大図である。
【0033】
なお、本実施の形態では、電線ホルダ21の第1及び第2ホルダ21a,21bは同形状に形成されているため、第2ホルダ21bを例にとって以下説明する。
【0034】
図3(a)に示すように、第2ホルダ21bには、第1ホルダ21aと結合するための複数(本実施の形態では2つ)のフック215b及び複数(本実施の形態では2つ)の係合部216bが形成されている。また、第2嵌合部211bには、第1及び第2ホルダ21a,21bを相対的に位置決めするための嵌合突起217b及び嵌合凹部218bが、複数の第2円弧溝214bをそれらの並び方向に挟む位置に形成されている。
【0035】
フック215bは、第1ホルダ21a側の係合部に係合し、係合部216bには、第1ホルダ21a側のフックが係合する。また、嵌合突起217bは、第1ホルダ21a側の嵌合凹部に嵌合され、嵌合凹部218bには、第1ホルダ21a側の嵌合突起が嵌合される。
【0036】
図3(b)に示すように、第2嵌合部211bの外周には、複数(本実施の形態では8つ)の突起210が形成されている。本実施の形態では、複数の突起210は、複数の第2円弧溝214bの並び方向に沿って等間隔に並んで形成されている。
【0037】
シールドケース22と電線ホルダ21との嵌合は、複数の突起210を変形させながら、シールドケース22を電線ホルダ21に圧入することにより行われる。図4に示すように、シールドケース22が電線ホルダ21に嵌合された状態において、突起210はシールドケース22の収容部221の内面221cに当接する。この図4では、突起210の変形前の形状を二点鎖線で示している。
【0038】
この場合において、突起210の圧入代γは、例えば0.1mm程度である。また、シールドケース22の内面221cと嵌合部211の外周面211cとの間には隙間が形成され、この隙間におけるシールドケース22の内面221cと嵌合部211の外周面211cとの間の距離δは、例えば0.5mm程度である。
【0039】
図3(b)に示すように、突起210は、その基端部210bにおけるシールドケース22の嵌合方向に直交する幅方向(第2円弧溝214bの延伸方向に直交する幅方向)の寸法Dが、シールドケース22の収容部221の内面221cに当接する先端部210aにおける当該幅方向の寸法dよりも大きい(D>d)。このため、突起210は、シールドケース22を電線ホルダ21に嵌合する際、主として先端部210aにおいて変形する。
【0040】
なお、「嵌合方向に直交する幅方向」とは、嵌合方向に対して厳密に直交している方向である必要はなく、例えば嵌合方向に直交する方向に対して±5°以内の角度で傾いた方向であってもよい。
【0041】
本実施の形態では、突起210は、図3(b)における拡大図に示すように、基端部210bの断面が長方形状を有しており、先端部210aの断面が、基端部210bとは反対側の部分が円弧状である半円形状を有している。
【0042】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0043】
(1)電線ホルダ21は、シールドケース22が嵌合される嵌合部211の外周に突起210が形成されているため、シールドケース22を電線ホルダ21に嵌合した際に突起210がシールドケース22の内面221cに当接する。これにより、電線ホルダ21又はシールドケース22の寸法誤差を許容して、電線ホルダ21にシールドケース22を嵌合し易くなると共に、電線ホルダ21とシールドケース22との間におけるがたつきを抑制することが可能である。すなわち、電線ホルダ21又はシールドケース22に寸法誤差があっても、その寸法誤差が複数の突起210の変形によって吸収可能な範囲であれば、シールドケース22を電線ホルダ21に嵌合することで、電線ホルダ21のシールドケース22内でのがたつきを抑制することができる。
【0044】
(2)突起210は、シールドケース22を電線ホルダ21に嵌合する嵌合方向に延びているため、例えば電線ホルダ21の周方向に沿って延びている場合と比較して、電線ホルダ21にシールドケース22を嵌合し易い。また、突起210の長さの分だけシールドケース22の内面221cに当接する部分が長くなるため、電線ホルダ21とシールドケース22との間におけるがたつきをより抑制することができる。
【0045】
(3)突起210は、その基端部210bにおけるシールドケース22の嵌合方向に直交する幅方向の寸法Dが、先端部210aにおける当該幅方向の寸法dよりも大きいため(図3(b)参照)、先端部210aにおける変形量を確保しながら、先端部210aにシールドケース22の内面221cとの摩擦による力が加わった場合でも、突起210の破損を抑制することができる。
【0046】
(4)複数の突起210は、嵌合部211の周方向に並んで形成されているため、シールドケース22の内面221cに当接する部分が増え、電線ホルダ21とシールドケース22との間におけるがたつきをより抑制することができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5及び図6を参照して説明する。
【0048】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る電線保持装置20、及びこの電線保持装置20を備えたワイヤハーネス12の一構成例を示す構成図である。図6は、第2の実施の形態に係るワイヤハーネス12を示し、図6(a)は図5のD−D線断面図、図6(b)は図6(a)のE部拡大図である。なお、図5では、シールドケース22が電線ホルダ24に嵌合した状態を二点鎖線で示す。図6(b)では、突起240の変形前の形状を二点鎖線で示す。
【0049】
図5及び図6において、第1の実施の形態について説明したものと同様の機能を有する構成要素については、共通する符号を付してその重複した説明を省略する。
【0050】
本実施の形態に係る電線保持装置20及びこの電線保持装置20を備えたワイヤハーネス12は、電線ホルダ24の構成が、第1の実施の形態における電線ホルダ21の構成と異なる。
【0051】
電線ホルダ24は、嵌合部241における複数の突起240よりもリテーナ23側の外周に、複数の突起240よりも突出高さの低い壁部243が形成されている。ここで、「突出高さ」とは、嵌合部241の外周面241aとシールドケース22の内面221cとが対向する方向の寸法のことである。図6(b)に示すように、壁部243の突出高さWは、突起240の突出高さWよりも低くなっている(W<W)。
【0052】
本実施の形態では、壁部243の突出高さWは、シールドケース22の収容部221の内面221cに接触しない寸法に設定されている。すなわち、壁部243は、その外周面243aがシールドケース22の内面221cに接触していない。壁部243の外周面243aとシールドケース22の内面221cとの間の距離δは、例えば0.05mm程度である。なお、これに限らず、壁部243は、シールドケース22の内面221cに接触していても構わない。
【0053】
本実施の形態では、壁部243は、リテーナ23との間に延出部242が介在するように配置されていると共に、嵌合部241の外周を一周するように環状に形成されている。
【0054】
図6(a)に示すように、リテーナ23は、シールドケース22の嵌合方向(図5の矢印X方向)に直交する方向の寸法hが、電線ホルダ24における当該嵌合方向に直交する方向の寸法H以下である。
【0055】
なお、「嵌合方向に直交する方向」とは、嵌合方向に対して厳密に直交する方向である必要はなく、例えば嵌合方向に直交する方向に対して±5°以内の角度で傾いた方向であってもよい。以下の説明においても同様とする。
【0056】
本実施の形態では、リテーナ23における当該寸法hは、電線ホルダ24における当該寸法Hよりも小さい(h<H)。電線ホルダ24における当該寸法Hは、より具体的には、複数の突起240と壁部243との間における当該嵌合方向に直交する方向の寸法である。
【0057】
シールドケース22と電線ホルダ24との嵌合は、第1の実施の形態と同様に、複数の突起240を変形させながら、シールドケース22を電線ホルダ24に圧入することにより行われる。すなわち、シールドケース22は、リテーナ23及びシール部材50側に向かって(図5の矢印X方向)電線ホルダ24に嵌合される。
【0058】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(4)の作用及び効果と同様の作用及び効果の他に次の作用及び効果が得られる。
【0059】
(5)電線ホルダ24は、嵌合部241における突起240よりもリテーナ23側の外周に、突起240の突出高さよりも低い壁部243が形成されているため、シールドケース22を電線ホルダ24に嵌合する際に突起240がシールドケース22の内面221cに擦れて発生した削りカスがリテーナ23側に侵入して外側シール部材50の防水性を低下させるといった問題を回避することができる。
【0060】
(6)壁部243は、その外周面243aがシールドケース22の内面221cに接触しないため、シールドケース22を電線ホルダ24に嵌合する際、壁部243がシールドケース22の内面221cに擦れて削りカスが発生することがない。
【0061】
(7)壁部243は、電線ホルダ24の嵌合部241の外周を一周するように環状に形成されているため、電線ホルダ24の周方向全体に亘ってリテーナ23側への削りカスの侵入を抑制することができる。
【0062】
(8)リテーナ23は、シールドケース22の嵌合方向に直交する方向の寸法hが、電線ホルダ24における当該嵌合方向に直交する方向の寸法H以下であるため(図6(a)参照)、電線保持装置20及びワイヤハーネス12の小型化を図りながらも、複数の突起240によって電線ホルダ24にシールドケース22を確実に固定すると共に、壁部243によってリテーナ23側への削りカスの侵入を抑制することが可能となる。また、リテーナ23が挿入されるる相手側機器等の貫通孔の大きさを大きくする必要がなくなる。
【0063】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0064】
[1]電線(第1乃至第3の電線31〜33)を保持するための樹脂からなる電線保持部材(電線ホルダ21/24)と、電線ホルダ(21/24)に嵌合され、電線ホルダ(21/24)の少なくとも一部を収容する導電性の金属からなる筒状部材(シールドケース22)とを備え、電線ホルダ(21/24)は、シールドケース(22)が嵌合される嵌合部(211/241)の外周に、シールドケース(22)の内面(221a)に当接する複数の突起(210/240)が形成されている電線保持装置(2/20)。
【0065】
[2]複数の突起(210/240)は、シールドケース(22)を電線ホルダ(21/24)に嵌合する際の嵌合方向に延びている、[1]に記載の電線保持装置(2/20)。
【0066】
[3]複数の突起(210)は、その基端部(210b)における嵌合方向に直交する幅方向の寸法が、シールドケース(22)の内面(221a)に当接する先端部(210a)における幅方向の寸法よりも大きい、[2]に記載の電線保持装置(2/20)。
【0067】
[4]シールドケース(22)の外部に配置されたシール部材(外側シール部材50)をさらに備え、電線ホルダ(24)は、嵌合部(241)における突起(240)よりも外側シール部材(50)側の外周に、複数の突起(240)の突出高さよりも低い壁部(243)が形成されている、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の電線保持装置(20)。
【0068】
[5]壁部(243)は、その外周面(243a)がシールドケース(22)の内面(221a)に接触していない、[4]に記載の電線保持装置(20)。
【0069】
[6]壁部(243)は、嵌合部(241)の外周を一周するように環状に形成されている、[4]又は[5]に記載の電線保持装置(20)。
【0070】
[7]外側シール部材(50)は、シール保持部(リテーナ23)の外周に保持され、嵌合方向に直交する方向の寸法が、電線ホルダ(24)における嵌合方向に直交する方向の寸法以下である、[4]乃至[6]の何れか1項に記載の電線保持装置(20)。
【0071】
[8][1]乃至[7]の何れか1項に記載の電線保持装置(2/20)と、第1乃至第3の電線(31〜33)とを備えたワイヤハーネス(11/12)。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0073】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、ワイヤハーネス11,12は、車両に搭載される場合について説明したが、これに限らず、例えば通信装置や情報処理装置等にも適用することが可能である。
【0074】
また、上記実施の形態では、電線ホルダ21は、第1及び第2ホルダ21a,21bが組み合わされて構成されていたが、これに限らず、1つの部材から構成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、ワイヤハーネス11,12は、3本の電線(第1乃至第3の電線31〜33)を備えていたが、電線の本数に特に制限はない。
【0076】
また、上記実施の形態では、電線ホルダ21,24は、延出部212,242を有していたが、これに限らず、例えば延出部212,242を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0077】
2,20…電線保持装置
11,12…ワイヤハーネス
21,24…電線ホルダ(電線保持部材)
22…シールドケース(筒状部材)
23…リテーナ(シール保持部材)
31〜33…第1乃至第3の電線
50…外側シール部材(シール部材)
210,240…突起
210a…先端部
210b…基端部
211,241…嵌合部
211c…外周面
214,244…保持孔
221c…内面
241a…外周面
243…壁部
243a…外周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6