(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱硬化性シロキサン重合体層(B)における25mm幅のポリイミド試験片の180°ピール剥離力が2gf以上50gf以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の仮接着方法。
(a)表面に回路形成面及び裏面に回路非形成面を有するウエハの前記表面の回路形成面に非シリコーン熱可塑性樹脂(A)からなる第一仮接着層を形成した後、その上に熱硬化性シリコーン組成物層(B’)を形成すると共に、支持体の一面にシロキサン含有組成物層(C’)を形成し、前記ウエハの熱硬化性シリコーン組成物層(B’)と前記支持体のシロキサン含有組成物層(C’)とを真空下で貼り合せる工程と、
(b)前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)とシロキサン含有組成物層(C’)をそれぞれ熱硬化させて、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)の硬化物からなる熱硬化性シロキサン重合体層(B)の第二仮接着層とシロキサン含有組成物層(C’)の硬化物からなる熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)の第三仮接着層とを接着させる工程と、
(c)前第一、第二及び第三仮接着層の三層構造を有する複合仮接着材層を介して支持体に接合された前記ウエハの回路非形成面を研削又は研磨する工程と、
(d)前記ウエハの回路非形成面に加工を施す工程と、
(e)前記加工を施したウエハを前記複合仮接着材層及び支持体から剥離する工程と、
(f)前記加工を施したウエハの剥離面に対し洗浄を行う工程
を含むことを特徴とする薄型ウエハの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、仮接着が容易であり、かつ、高段差基板の均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、ウエハ裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVD(化学的気相成長)といったウエハ熱プロセス耐性に優れ、剥離も容易で、薄型ウエハの生産性を高めることができるウエハと支持体との仮接着方法、及び薄型ウエハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、表面に回路面を有し、裏面を加工すべきウエハをウエハ加工用仮接着材を介して支持体に仮接着させる方法であって、
前記ウエハ加工用仮接着材が、前記ウエハの表面に剥離可能に接着された非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)からなる第一仮接着層と、該第一仮接着層に積層された熱硬化性シロキサン重合体層(B)からなる第二仮接着層と、該第二仮接着層に積層され、前記支持体に剥離可能に接着された熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)からなる第三仮接着層の三層構造を有する複合仮接着材層を備えたものであって、
前記ウエハの表面に前記樹脂層(A)を形成した後、その上に前記熱硬化性シロキサン重合体層(B)を形成するための熱硬化性シリコーン組成物層(B’)を形成したウエハ積層体を得ると共に、前記支持体上に熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)を得るためのシロキサン含有組成物層(C’)を形成した支持体積層体を得、次いで前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)とシロキサン含有組成物層(C’)とを真空下で加熱して貼り合せを行い、上記両層をそれぞれ熱硬化すると共に、両層を接着させることを特徴とするウエハと支持体との仮接着方法を提供する。この場合、上記真空下での貼り合せに際し、40〜200℃の加熱下で貼り合せを行うことが好ましい。
【0008】
このような方法で得られたウエハ加工用仮接着材を用いれば、ウエハと支持体との仮接着が容易であり、かつ、高段差基板の均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、ウエハ裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVD等の熱プロセス耐性も良好かつ剥離も容易で、薄型ウエハの生産性を高めることができる。
【0009】
またこれらの場合、前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)が、
(B−1)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B−2)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(B−1)成分中のアルケニル基に対する(B−2)成分中のSi−H基のモル比が0.3〜10となる量、
(B−3)白金系触媒
を含有する組成物の層であることが好ましい。
【0010】
このような熱硬化性シリコーン組成物層(B’)であれば、CVD耐性により優れるため好ましい。
この場合、前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)が、更に、(B−4)成分として反応制御剤:前記(B−1)及び前記(B−2)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部を含有するものであることが好ましい。
【0011】
このような熱硬化性シロキサン重合体層(B)であれば、加熱硬化前に処理液(組成物)が増粘やゲル化を起こさないようにすることができる。
また、これらの場合、前記熱硬化性シロキサン重合体層(B)における25mm幅のポリイミド試験片の180°ピール剥離力が2gf以上50gf以下であることが好ましい。
【0012】
このようなピール剥離力を有する熱硬化性シロキサン重合体層(B)であれば、ウエハ研削時にウエハのズレが生じるおそれがなく、剥離が容易なため好ましい。
【0013】
更にこれらの場合、前記シロキサン含有組成物層(C’)が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000、好ましくは10,000〜100,000のシロキサン結合含有重合体100質量部に対して、架橋剤としてホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれるいずれか1種以上を0.1〜50質量部含有する組成物の層であることが好ましい。
【化1】
[式中、R
1〜R
4は同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。また、mは1〜100の整数であり、Bは正数、Aは0又は正数である。但し、A+B=1である。Xは下記一般式(2)で示される2価の有機基である。
【化2】
(式中、Zは
【化3】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、Nは0又は1である。また、R
5、R
6はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。kは0、1、2のいずれかである。)]
【0014】
このような熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)であれば、耐熱性により一層優れるため好ましい。
【0015】
更にこれらの場合、前記シロキサン含有組成物層(C’)が、下記一般式(3)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のシロキサン結合含有重合体100質量部に対して、架橋剤として1分子中に平均して2個以上のフェノール
性水酸基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれるいずれか1種以上を0.1〜50質量部含有する組成物の層であることが好ましい。
【化4】
[式中、R
1〜R
4は同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。また、mは1〜100の整数であり、Bは正数、Aは0又は正数である。但し、A+B=1である。更に、Yは下記一般式(4)で示される2価の有機基である。
【化5】
(式中、Vは
【化6】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。また、R
7、R
8はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。hは0、1、2のいずれかである。)]
【0016】
このような熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)であれば、耐熱性により一層優れるため好ましい。
【0017】
更に本発明では、
(a)表面に回路形成面及び裏面に回路非形成面を有するウエハの前記表面の回路形成面に非シリコーン熱可塑性樹脂(A)からなる第一仮接着層を形成した後、その上に熱硬化性シリコーン組成物層(B’)を形成すると共に、支持体の一面にシロキサン含有組成物層(C’)を形成し、前記ウエハの熱硬化性シリコーン組成物層(B’)と前記支持体のシロキサン含有組成物層(C’)とを真空下で貼り合せる工程と、
(b)前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)とシロキサン含有組成物層(C’)をそれぞれ熱硬化させて、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)の硬化物からなる熱硬化性シロキサン重合体層(B)の第二仮接着層とシロキサン含有組成物層(C’)の硬化物からなる熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)の第三仮接着層とを接着させる工程と、
(c)前第一、第二及び第三仮接着層の三層構造を有する複合仮接着材層を介して支持体に接合された前記ウエハの回路非形成面を研削又は研磨する工程と、
(d)前記ウエハの回路非形成面に加工を施す工程と、
(e)前記加工を施したウエハを前記複合仮接着材層及び支持体から剥離する工程と、
(f)前記加工を施したウエハの剥離面に対し洗浄を行う工程
を含むことを特徴とする薄型ウエハの製造方法を提供する。
【0018】
更に前記工程(e)においてウエハから支持体を剥離する前にウエハ全体を溶剤中に浸漬させてから支持体を剥離する工程を含むことを特徴とする薄型ウエハの製造方法、及び前記工程(f)において二流体洗浄を用いて洗浄を行うことを特徴とする薄型ウエハの製造方法を提供する。
【0019】
このような薄型ウエハの製造方法であれば、本発明における3層系からなる仮接着材層を、ウエハと支持体の接合に使用することで、この仮接着材層を使用して貫通電極構造や、バンプ接続構造を有する薄型ウエハを、容易に製造することができる。
なお、上記薄型ウエハの製造方法において、貼り合せを行うときの温度、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)及びシロキサン含有組成物層(C’)の組成は、仮接着方法の場合と同様である。
【発明の効果】
【0020】
本発明における複合仮接着材層は、3層構造を有し、特に熱硬化性シロキサン変性樹脂(重合体層(C))を基板接合用支持層として使用しても、該層(C)を形成するシロキサン含有組成物層(C’)を熱硬化性シリコーン組成物層(B’)と真空下で貼り合せ処理することで、基板側に発生する凹凸などの段差により発生するボイドを抑制でき、樹脂の熱分解が生じないことはもとより、特に200℃以上の高温時での樹脂の流動も生じず、耐熱性が高いために、幅広い半導体成膜プロセスに適用できる。また段差を有するウエハに対しても、前記樹脂層(A)を形成し、更に前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)を形成した後、該重合体層(A)と層(B’)の形成されたウエハと、前記シロキサン含有組成物層(C’)の形成された支持体とを真空下で貼り合せるため、上記両層(B’)と(C’)を硬化して膜厚均一性の高い仮接着材層を形成でき、この膜厚均一性のため、容易に50μm以下の均一な薄型ウエハを得ることが可能となり、更には、薄型ウエハ作製後、このウエハを支持体より例えば室温で容易に剥離することができるため、割れ易い薄型ウエハを容易に製造することができる。更に、本発明は、重合体層(B)として熱硬化性シロキサン重合体層(B)を含むため、CVD耐性により優れる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、仮接着が容易であり、かつ、高段差基板の均一な膜厚での形成も可能であり、TSV形成、ウエハ裏面配線工程に対する工程適合性が高く、更には、CVDといったウエハ熱プロセス耐性に優れ、剥離も容易で、薄型ウエハの生産性を高めることができるウエハ加工用仮接着材が求められているが、本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、
(A)の非シリコーン熱可塑性樹脂層からなる熱可塑性仮接着層と
(B)の熱硬化性シロキサン重合体層からなる熱硬化性仮接着層と、更には、
(C)の熱硬化性シロキサン変性重合体層からなる熱硬化性仮接着層
との3層系からなる複合仮接着材層を、ウエハと支持体の接合にウエハ側から(A)、(B)、(C)の順で形成した構造として使用したものであり、この場合、前記ウエハの表面に前記樹脂層(A)を形成した後、その上に前記熱硬化性シロキサン重合体層(B)を形成するための熱硬化性シリコーン組成物層(B’)を形成したウエハ積層体を得ると共に、前記支持体上に熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)を得るためのシロキサン含有組成物層(C’)を形成した支持体積層体を得、次いで前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)とシロキサン含有組成物層(C’)とを真空下で加熱して貼り合せを行い、上記両層をそれぞれ熱硬化すると共に、両層を接着させることにより、貫通電極構造や、バンプ接続構造を有する薄型ウエハを、簡単に製造する方法を見出した。
【0023】
図1は、本発明のウエハ加工体の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明のウエハ加工体は、表面に回路面を有し、裏面を加工すべきウエハ(デバイスウエハ)1と、ウエハ1の加工時にウエハ1を支持する支持体3と、これらウエハ1と支持体3との間に介在する複合仮接着材層2を備え、この複合仮接着材層2が、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)(第一仮接着層)と、熱硬化性シロキサン重合体層(B)(第二仮接着層)と、更には熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)(第三仮接着層)の3層構造からなり、第一仮接着層がウエハ1の表面に剥離可能に接着され、第三仮接着層が支持体3に剥離可能に接着されているものである。
【0024】
このように、本発明のウエハ加工用の複合仮接着材は、上記(A)、(B)及び(C)の積層体からなるものである。
【0025】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[複合仮接着材層]
−第一仮接着層(A)/非シリコーン熱可塑性樹脂層(熱可塑性オルガノポリシロキサン非含有重合体層)−
第一仮接着層(A)は、オルガノポリシロキサンを有しない熱可塑性樹脂から構成される。段差を有するシリコンウエハなどへの適用性から、良好なスピンコート性を有する熱可塑性樹脂が第一仮接着層(A)を形成する材料として好適に使用され、特にガラス転移温度−80〜120℃程度の熱可塑性樹脂が好ましく、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー、スチレン・ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、特に耐熱性に優れた水素添加ポリスチレン系エラストマーが好適である。具体的にはタフテック(旭化成ケミカルズ)、エスポレックスSBシリーズ(住友化学)、ラバロン(三菱化学)、セプトン(クラレ)、DYNARON(JSR)などが挙げられる。またゼオネックス(日本ゼオン)に代表されるシクロオレフィンポリマー及びTOPAS(日本ポリプラスチック)に代表される環状オレフィンコポリマーが挙げられる。
【0026】
上記のように、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)が、非シリコーン熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
このようなものであれば、薄型ウエハ作製後、このウエハを支持体から、容易に剥離することができるため、割れ易い薄型ウエハをより容易に扱うことができる。
【0027】
この非シリコーン熱可塑性樹脂層は、溶剤に溶解して、スピンコートやスプレーコート等の手法で、シリコンウエハ等の半導体基板等の上に形成される。溶剤としては、炭化水素系溶剤、好ましくは、ノナン、p−メンタン、ピネン、イソオクタン等が挙げられるが、そのコーティング性より、ノナン、p−メンタン、イソオクタンがより好ましい。このとき、形成される膜厚に制約はないが、その基板上の段差に応じて樹脂皮膜を形成することが望ましく、好適には、0.5〜50μm、更に好ましくは0.5〜10μmの膜厚が形成される。また、この熱可塑性樹脂には、その耐熱性向上の目的で、酸化防止剤や、コーティング性向上のため、界面活性剤を添加することができる。酸化防止剤の具体例としては、ジ−t−ブチルフェノールなどが好適に使用される。界面活性剤の例としては、フッ素シリコーン系界面活性剤X−70−1102(信越化学工業株式会社製)等が好適に使用される。
【0028】
第二仮接着層(B)/熱硬化性シロキサン重合体層(熱硬化性シリコーン重合体層)
本発明のウエハ加工体及びウエハ加工用仮接着材の構成要素である熱硬化性シロキサン重合体層(B)は、熱硬化性のシロキサン重合体からなるものであれば、特に限定されない。例えば、下記(B−1)〜(B−3)成分、必要に応じて(B−4)成分を含有する熱硬化性シリコーン組成物の硬化物層であることが好ましい。
(B−1)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B−2)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(B−1)成分中のアルケニル基に対する(B−2)成分中のSi−H基のモル比が0.3〜10となる量、
(B−3)白金系触媒。
【0029】
この場合、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)が、更に、(B−4)成分として反応制御剤:(B−1)及び(B−2)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部を含有するものであることが好ましい。
【0030】
以下各成分について説明する。
[(B−1)成分]
(B−1)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(B−1)成分は、好ましくは、1分子中に2個以上のアルケニル基を含有する直鎖状又は分岐状のジオルガノポリシロキサンである。特に好ましくは、1分子中に0.3〜10mol%、特に0.6〜9mol%(アルケニル基モル数/Siモル数)〜9mol%のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサンである。
【0031】
このようなジオルガノポリシロキサンとして、具体的には下記式(5)及び/又は(6)で示されるものを挙げることができる。
R
9(3-a)X
aSiO−(R
9XSiO)
m−(R
92SiO)
n−SiR
9(3-a)X
a
(5)
R
92(HO)SiO−(R
9XSiO)
m+2−(R
92SiO)
n−SiR
92(OH)
(6)
(式中、R
9は夫々独立して脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基、Xは夫々独立してアルケニル基含有1価有機基、aは0〜3の整数である。また、式(5)において、2a+mは1分子中にアルケニル基含有量が0.3〜10mol%となる数である。式(6)において、m+2は1分子中にアルケニル基含有量が0.3〜10mol%となる数である。mは0又は10以下の正数であり、nは1〜1,000の正数である。)
【0032】
上記式中、R
9としては、炭素原子数1〜10の1価炭化水素基が好ましく、例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基などであり、特にメチル基等のアルキル基又はフェニル基が好ましい。
【0033】
Xのアルケニル基含有1価有機基としては、炭素原子数2〜10の有機基が好ましく、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基等の(メタ)アクリロイルアルキル基;アクリロキシプロピル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基等の(メタ)アクリロキシアルキル基;シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基などの酸素原子が介在してもよいアルケニル基含有1価炭化水素基が挙げられ、特に、工業的にはビニル基が好ましい。
【0034】
上記一般式(5)中、aは0〜3の整数であるが、aが1〜3であれば、分子鎖末端がアルケニル基で封鎖されるため、反応性のよい分子鎖末端アルケニル基により、短時間で反応を完結することができ、好ましい。更には、コスト面において、a=1が工業的に好ましい。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの性状はオイル状又は生ゴム状であることが好ましい。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0035】
[(B−2)成分]
(B−2)成分は架橋剤であり、1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(B−2)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上20個以下有するものであり、直鎖状、分岐状、又は環状のものを使用できる。
(B−2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における回転粘度計による粘度は、1〜5,000mPa・sであることが好ましく、5〜500mPa・sであるのが更に好ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物でもよい。
【0036】
(B−2)成分は、(B−1)成分中のアルケニル基に対する(B−2)成分中のSi−H基のモル比(SiH基/アルケニル基)が0.3〜10、特に1〜8の範囲となるように配合することが好ましい。このSiH基とアルケニル基とのモル比が0.3以上であれば、架橋密度が低くなることもなく、粘着剤層が硬化しないといった問題も起こらない。10以下であれば、架橋密度が高くなりすぎることもなく、十分な粘着力及びタックが得られる。また、上記のモル比が10以下であれば、処理液の使用可能時間を長くすることができる。
【0037】
[(B−3)成分]
(B−3)成分は白金系触媒(即ち、白金族金属触媒)であり、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
(B−3)成分の添加量は有効量であり、通常(B−1)、(B−2)の合計(下記に示す(B−4)成分を含有する場合には、(B−1)、(B−2)及び(B−4)の合計)に対し、白金分(質量換算)として1〜5,000ppmであり、5〜2,000ppmであることが好ましい。1ppm以上であれば組成物の硬化性が低下することもなく、架橋密度が低くなることも、保持力が低下することもない。0.5%以下であれば、処理浴の使用可能時間を長くすることができる。
【0038】
[(B−4)成分]
(B−4)成分は反応制御剤であり、組成物を調合ないし基材に塗工する際に、加熱硬化前に処理液が増粘やゲル化を起こさないようにするために必要に応じて任意に添加するものである。
具体例としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられ、好ましいのは1−エチニルシクロヘキサノール、及び3−メチル−1−ブチン−3−オールである。
【0039】
組成物中に(B−4)成分を含有する場合、その配合量は、(B−1)及び(B−2)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。より好ましくは0.1〜8.0質量部、特に好ましくは0.1〜2.0質量部である。10質量部以下であれば、シリコーン粘着剤組成物の硬化性が低下することもなく、0.1質量部以上であると反応制御の効果が十分発揮される。
【0040】
また、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)にはR
103SiO
0.5単位(式中、R
10は独立に炭素原子数1〜10の非置換もしくは置換の1価の炭化水素基)及びSiO
2単位を含有し、R
103SiO
0.5単位/SiO
2単位のモル比が0.3〜1.8であるポリオルガノシロキサンを添加しても良い。添加量としては上記(B−1)成分の0〜30質量%が好ましく、配合する場合は1〜30質量%とすることが好ましい。
【0041】
熱硬化性シリコーン組成物層(B’)は、その溶液をスピンコート、ロールコータなどの方法によって非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)上に形成して使用することができる。スピンコートなどの方法によって、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)を、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)上に形成する場合には、該層(B’)を溶液としてコートすることが好ましいが、このときには、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、p−メンタン、ピネン、イソドデカン、リモネンなどの炭化水素系溶剤が好適に使用される。また、この層(B’)の溶液には、公知の酸化防止剤を耐熱性向上のために添加することができる。
【0042】
また、上記シリコーン組成物層(B’)を硬化して得られる熱硬化性シロキサン重合体層(B)は、膜厚が0.1〜30μm、好ましくは1.0〜15μmの間で形成されて使用されるのが好ましい。膜厚が0.1μm以上であれば、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)上に塗布する場合に、塗布しきれない部分を生じることなく全体に塗布することができる。一方、膜厚が30μm以下であれば、薄型ウエハを形成する場合の研削工程に耐えることができる。なお、この熱硬化性シリコーン組成物層(B’)には、耐熱性を更に高めるため、シリカ等のフィラーを、上記(B−1)成分100質量部に対して、50質量部以下添加してもよい。
【0043】
また、上記シリコーン組成物層(B’)を硬化してなる熱硬化性シロキサン重合体層(B)は、25mm幅の試験片(例えば、ポリイミド試験片)の180°ピール剥離力が、通常2gf以上かつ50gf以下であり、好ましくは3gf以上30gf以下であり、更に好ましくは5gf以上20gf以下である。2gf以上であればウエハ研削時にウエハのズレが生じるおそれがなく、50gf以下であればウエハの剥離が容易となるため好ましい。
なお詳細は後述するが、貼り合せウエハを溶剤に浸漬させてから支持体を剥離する処理を行った場合、上記ピール剥離力が70gf以下であれば支持体を容易に剥離できる。
【0044】
第三仮接着層(C)/熱硬化性シロキサン変性重合体層
本発明のウエハ加工体及びウエハ加工用仮接着材の構成要素である熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)は、熱硬化性シロキサン変性重合体層であれば特に限定されないが、下記一般式(1)或いは(3)で示される熱硬化性シロキサン変性重合体を主成分とするシロキサン含有組成物の硬化物の層が好ましい。
【0045】
一般式(1)の重合体(フェノール性シロキサン重合体):
下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000、好ましくは10,000〜100,000のシロキサン結合含有重合体。
【化7】
[式中、R
1〜R
4は同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。また、mは1〜100の整数であり、Bは正数、Aは0又は正数である。Xは下記一般式(2)で示される2価の有機基である。この場合、A+B=1である。また、好ましくはAは0〜0.9、Bは0.1〜1であり、またAを添加する場合には、好ましくはAは0.1〜0.7、Bは0.3〜0.9である。
【化8】
(式中、Zは、
【化9】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、Nは0又は1である。また、R
5、R
6はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。kは0、1、2のいずれかである。)]
【0046】
この場合、R
1〜R
4の具体例としては、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、mは、好ましくは3〜60、より好ましくは8〜40の整数である。また、B/Aは0〜20、特に0.5〜5である。
【0047】
一般式(3)の重合体(エポキシ変性シロキサン重合体)
下記一般式(3)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のシロキサン結合含有重合体。
【化10】
[式中、R
1〜R
4は同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。また、mは1〜100の整数であり、Bは正数、Aは0又は正数である。更に、Yは下記一般式(4)で示される2価の有機基である。この場合、A+B=1である。また、好ましくはAは0〜0.9、Bは0.1〜1であり、またAを添加する場合には、好ましくはAは0.1〜0.7、Bは0.3〜0.9である。
【化11】
(式中、Vは
【化12】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。また、R
7、R
8はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に同一でも異なっていてもよい。hは0、1、2のいずれかである。)]
【0048】
この場合、R
1〜R
4、mの具体例は上記一般式(1)と同様である。
【0049】
上記一般式(1)又は(3)の熱硬化性シロキサン変性重合体を主成分とする熱硬化性のシロキサン含有組成物は、その熱硬化のために、一般式(1)のフェノール性シロキサン重合体の場合には、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれるいずれか1種以上の架橋剤を含有する。
【0050】
ここで、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、メラミン樹脂、尿素樹脂としては、以下のものを挙げることができる。例えば、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性されたメラミン樹脂(縮合物)は、変性メラミンモノマー(例えばトリメトキシメチルモノメチロールメラミン)、又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)を公知の方法に従ってホルムアルデヒドと所望の分子量になるまで付加縮合重合させて得ることができる。なお、これらは1種又は2種以上を、混合して使用することができる。
【0051】
また、ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性された尿素樹脂(縮合物)の調製は、例えば公知の方法に従って所望の分子量の尿素縮合物をホルマリンでメチロール化して変性し、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性して行ってよい。ホルマリン又はホルマリン−アルコールにより変性された尿素樹脂の具体例としては、例えばメトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。なお、これらは1種又は2種以上を、混合して使用することができる。
【0052】
また、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物としては、例えば(2−ヒドロキシ−5−メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール、2,2’,6,6’−テトラメトキシメチルビスフェノールA等を挙げることができる。なお、これらフェノール化合物は1種又は2種以上を、混合して使用することができる。
【0053】
一方、一般式(3)のエポキシ変性シロキサン重合体の場合には、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物或いは1分子中に平均して2個以上のフェノール
性水酸基を有するフェノール化合物のいずれか1種以上を架橋剤として含有する。
【0054】
ここで、一般式(1)及び(3)に用いられる多官能エポキシ基を有するエポキシ化合物としては、特にその制約はないが、特に、2官能、3官能、4官能以上の多官能エポキシ樹脂、例えば、日本化薬(株)製のEOCN−1020、EOCN−102S、XD−1000、NC−2000−L、EPPN−201、GAN、NC6000や下記式のような架橋剤を含有することができる。
【0056】
熱硬化性シロキサン変性重合体が、上記一般式(3)のエポキシ変性シロキサン重合体の場合には、その架橋剤として、m、p−系クレゾールノボラック樹脂、例えば、旭有機材工業製EP−6030Gや、3官能フェノール化合物、例えば、本州化学製Tris−P−PAや、4官能性フェノール化合物、例えば、旭有機材工業製TEP−TPAなどが挙げられる。
【0057】
架橋剤の配合量は、熱硬化性シロキサン変性重合体100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは1〜20質量部であり、2種又は3種以上を混合して配合してもよい。
【0058】
また、熱硬化性シロキサン変性重合体100質量部に対して、酸無水物のような硬化触媒を10質量部以下含有させてもよい。
【0059】
このシロキサン含有組成物を溶液に溶解し、塗布、具体的にはスピンコート、ロールコータ、ダイコータなどの方法によって支持体上に形成してもよい。その場合には、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
【0060】
なお、耐熱性を更に高めるため、熱硬化性シロキサン変性重合体100質量部に対して、公知の酸化防止剤、シリカ等のフィラーを50質量部以下添加してもよい。更に、塗布均一性を向上させるため、界面活性剤を添加してもよい。
【0061】
シロキサン含有組成物層(C’)中に添加することができる酸化防止剤の具体的としては、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブ AO−60)等のヒンダードフェノール系化合物を挙げることができる。
【0062】
上記の熱硬化性シロキサン変性重合体を含むシロキサン含有組成物層(C’)は、ウエハ側の段差に応じて、硬化時の膜厚が15〜150μmであることが好ましく、20〜120μmで成膜することが更に好ましい。膜厚が15μm以上であれば、ウエハ薄型化の研削工程に十分耐えることができ、150μm以下であれば、TSV形成工程などの熱処理工程で樹脂変形を生じるおそれがなく、実用に耐えることができるため好ましい。
【0063】
[薄型ウエハの製造方法]
本発明の薄型ウエハの製造方法は、半導体回路等を有するウエハと支持体との接着層として、非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と熱硬化性シロキサン重合体層(B)と熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)の3層を含む複合仮接着材層を用いることを特徴とする。本発明の製造方法により得られる薄型ウエハの厚さは、典型的には5〜300μm、より典型的には10〜100μmである。
【0064】
本発明の薄型ウエハの製造方法は、(a)〜(f)の工程を有する。また、必要に応じて、(
g)〜(i)の工程を有する。
【0065】
回路形成面及び回路非形成面を有するウエハは、一方の面が回路形成面であり、他方の面が回路非形成面であるウエハである。本発明が適用できるウエハは、通常、半導体ウエハである。該半導体ウエハの例としては、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウムウエハ、ガリウム−ヒ素ウエハ、ガリウム−リンウエハ、ガリウム−ヒ素−アルミニウムウエハ等が挙げられる。該ウエハの厚さは、特に制限はないが、典型的には600〜800μm、より典型的には625〜775μmである。
【0066】
支持体としては、シリコンウエハやガラス板、石英ウエハ等の基板が使用可能であるが、なんら制約はない。本発明においては、支持体を通して仮接着材層に放射エネルギー線を照射する必要はなく、支持体は、光線透過性を有さないものであってもよい。
【0067】
上記層(A)、(B’)及び(C’)はそれぞれフィルムで、ウエハや支持体に形成することもでき、或いは、それぞれの溶液をスピンコート、ロールコータなどの方法によりウエハや支持体に形成することができる。この場合、スピンコート後、その溶剤の揮発条件に応じ、80〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度で、予めプリベークを行ったのち、使用に供される。
【0068】
上記層(A)、(B’)と(C’)が形成されたウエハ及び支持体は、これら層を硬化して、層(A)、(B)及び(C)を介して、接合された基板として形成されるが、まず、層(A)を基板上に形成し、更に層(B’)を層(A)上に形成させる(層(A)−(B’))。また、別に層(C’)は支持体上に形成させる(層(C))。このようにして得られた層(A)−(B)及び層(C)を貼り合せることにより、そしてその後硬化させることにより、接着界面(B/C)を有する本願の構成である複合仮接着材層を得ることができる。
【0069】
このとき、好ましくは40〜200℃、より好ましくは60〜180℃の温度領域で、この温度にて真空下、
全体を均一に圧着することで、ウエハが支持体と接合したウエハ加工体(積層体基板)が形成される。
なお、上記真空条件としては、減圧下であればよいが、0.01〜500Pa、好ましくは0.01〜100Paがよい。また、圧力条件は0.1〜50kNで行うことが好ましい。
ウエハ貼り合せ装置としては、市販のウエハ接合装置、例えばEVG社のEVG520IS、850TB等が挙げられる。
【0070】
[工程(b)]
前記熱硬化性シリコーン組成物層(B’)とシロキサン含有組成物層(C’)をそれぞれ熱硬化させて、熱硬化性シリコーン組成物層(B’)の硬化物からなる熱硬化性シロキサン重合体層(B)の第二仮接着層とシロキサン含有組成物層(C’)の硬化物からなる熱硬化性シロキサン変性重合体層(C)の第三仮接着層とを接着させる工程であり、上記ウエハ加工体(積層体基板)が形成された後、120〜220℃、好ましくは150〜200℃で10分〜4時間、好ましくは30分〜2時間加熱することによって、重合体層(B
’)及び(C
’)の硬化を行う。
【0071】
[工程(c)]
工程(c)は、前記第一、第二及び第三仮接着層の三層構造を有する複合仮接着材層支持体に接合されたウエハの回路非形成面を研削又は研磨する工程、即ち、工程(a)にて貼り合せて得られたウエハ加工体のウエハ裏面側を研削して、該ウエハの厚みを薄くしていく工程である。ウエハ裏面の研削加工の方式には特に制限はなく、公知の研削方式が採用される。研削は、ウエハと砥石(ダイヤモンド等)に水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。ウエハ裏面を研削加工する装置としては、例えば(株)ディスコ製DAG−810(商品名)等が挙げられる。また、ウエハ裏面側をCMP研磨してもよい。
【0072】
[工程(d)]
工程(d)は、回路非形成面を研削したウエハ加工体、即ち、裏面研削によって薄型化されたウエハ加工体の回路非形成面に加工を施す工程である。この工程にはウエハレベルで用いられる様々なプロセスが含まれる。例としては、電極形成、金属配線形成、保護膜形成等が挙げられる。より具体的には、電極等の形成のための金属スパッタリング、金属スパッタリング層をエッチングするウェットエッチング、金属配線形成のマスクとするためのレジストの塗布、露光、及び現像によるパターンの形成、レジストの剥離、ドライエッチング、金属めっきの形成、TSV形成のためのシリコンエッチング、シリコン表面の酸化膜形成など、従来公知のプロセスが挙げられる。
【0073】
[工程(e)]
工程(e)は、工程(d)で加工を施した
ウエハを複合仮接着材層及
び支持体から剥離する工程、即ち、薄型化したウエハに様々な加工を施した後、ダイシングする前にウエハを支持体から剥離する工程である。この剥離工程は、一般に室温から60℃程度の比較的低温の条件で実施され、ウエハ加工体のウエハ又は支持体の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法、及び、研削されたウエハの研削面に保護フィルムを貼り、ウエハと保護フィルムをピール方式でウエハ加工体から剥離する方法等が挙げられる。
【0074】
本発明には、これらの剥離方法のいずれにも適用可能である。もちろん上記の方法には限定されない。これらの剥離方法は、通常、室温で実施される。
【0075】
また、上記(e)加工を施したウエハを支持体から剥離する工程は、
(g)加工を施したウエハのウエハ面にダイシングテープを接着する工程と、
(h)ダイシングテープ面を吸着面に真空吸着する工程と、
(i)吸着面の温度が10℃〜100℃の温度範囲で、支持体を、加工を施したウエハからピールオフにて剥離する工程と
を含むことが好ましい。このようにすることで、支持体を、加工を施したウエハから容易に剥離することができ、また、後のダイシング工程を容易に行うことができる。
【0076】
更に、上記工程(e)においてウエハから支持体を剥離する前にウエハ全体を溶剤中に浸漬させてから支持体を剥離する工程を行うことが好ましい。
この工程を行うことでウエハ上の外周部分の仮接着剤が膨潤、溶解するため、ウエハから支持体を剥離するのが容易となる。
この工程では、複合仮接着材層中の(A)層である非シリコーン熱可塑性樹脂層を膨潤、溶解させるような洗浄液であればすべて使用可能であり、具体的には、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、デカン、イソノナン、p−メンタン、ピネン、イソドデカン、リモネンなどが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0077】
また、上記(e)加工を施したウエハを支持体から剥離する工程後に、
(f)剥離したウエハの回路形成面に残存する仮接着剤層を洗浄により除去する工程
を行うことが好ましい。工程(e)により支持体より剥離されたウエハの回路形成面には、仮接着層(A)が一部残存している場合があり、該仮接着層(A)の除去は、例えば、ウエハを洗浄することにより行うことができる。
【0078】
この工程(f)では、仮接着材層中の層(A)である非シリコーン熱可塑性樹脂層を溶解するような洗浄液であればすべて使用可能であり、具体的には、ペンタン、へキサン、シクロヘキサン、デカン、イソノナン、p−メンタン、ピネン、イソドデカン、リモネンなどが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。また、除去しにくい場合は、上記溶剤に、塩基類、酸類を添加してもよい。塩基類の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アンモニア等のアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム塩類が使用可能である。酸類としては、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸が使用可能である。添加量は、洗浄液中濃度で、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。また、残存物の除去性を向上させるため、既存の界面活性剤を添加してもよい。
【0079】
洗浄方法としては、上記液を用いてパドルでの洗浄を行う方法、スプレー噴霧での洗浄方法、洗浄液槽に浸漬する方法など公知の方法が挙げられるが、中でも二流体洗浄を用いて洗浄を行うことが好ましい。二流体洗浄は高圧で洗浄を行えるため、短時間で残存樹脂を取り除くことが可能である。混合させるガスは窒素が好ましく、洗浄時間は5秒〜10分程度、更に10秒〜5分程度が好ましい。
温度は10〜80℃、好ましくは15〜65℃が好適であり、必要があれば、これらの溶解液で層(A)を溶解したのち、最終的に水洗又はアルコール(好ましくは炭素数1〜5)によるリンスを行い、乾燥処理させて、薄型ウエハを得ることも可能である。
【実施例】
【0080】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例において、部は質量部を示す。
【0081】
[樹脂合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備したフラスコ内に9,9’−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(M−1)43.1g、平均構造式(M−3)で示されるオルガノハイドロジェンシロキサン29.5g、トルエン135g、塩化白金酸0.04gを仕込み、80℃に昇温した。その後、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(M−5)17.5gを1時間掛けてフラスコ内に滴下した。このとき、フラスコ内温度は、85℃まで上昇した。滴下終了後、更に80℃で2時間熟成した後、トルエンを留去すると共に、シクロヘキサノンを80g添加して、樹脂固形分濃度50質量%のシクロヘキサノンを溶剤とする樹脂溶液を得た。この溶液の樹脂分の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量45,000であった。更に、この樹脂溶液50gに、架橋剤としてエポキシ架橋剤であるEOCN−1020(日本化薬(株)製)を7.5g、硬化触媒として、和光純薬工業(株)製、BSDM(ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン)を0.2g、更に、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン(商品名:アデカスタブ AO−60)を0.1g添加し、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、シロキサン含有組成物溶液(C−1)を得た。
【0082】
[樹脂合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内にエポキシ化合物(M−2)84.1gをトルエン600gに溶解後、化合物(M−3)294.6g、化合物(M−4)25.5gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)1gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、90℃まで加温し、3時間熟成した。次いで室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン(MIBK)600gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。この樹脂溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)270gを添加して、固形分濃度60質量%のPGMEAを溶剤とする樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中の樹脂の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量28,000であった。更にこの樹脂溶液100gに4官能フェノール化合物であるTEP−TPA(旭有機材工業製)を9g、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、リカシッドHH−A)0.2gを添加して、1μmのメンブレンフィルターで濾過して、シロキサン含有組成物溶液(C−2)を得た。
【化14】
【0083】
[樹脂溶液作製例1]
水素添加ポリスチレン系熱可塑性樹脂セプトン4033(クラレ製)16gをイソノナン184gに溶解し、8質量%のセプトン4033のイソノナン溶液を得た。得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、非シリコーン熱可塑性樹脂のイソノナン溶液(A−1)を得た。
【0084】
[樹脂溶液作製例2]
水素添加ポリスチレン系熱可塑性樹脂セプトン4033(クラレ製)24gをイソノナン176gに溶解し、12質量%のセプトン4033のイソノナン溶液を得た。得られた溶液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、非シリコーン熱可塑性樹脂のイソノナン溶液(A−2)を得た。
【0085】
[樹脂溶液作製例3]
0.5モル%のビニル基を分子側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のポリジメチルシロキサン80部及びイソドデカン400部からなる溶液に下記式(M−6)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを3.0部、エチニルシクロヘキサノール0.7部を添加し混合した。更に白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業株式会社製)を0.5部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−1)を得た。
【化15】
【0086】
[樹脂溶液作製例4]
0.5モル%のビニル基を分子側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のポリジメチルシロキサン80部、イソドデカン400部からなる溶液に(M−6)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを5.0部、エチニルシクロヘキサノール0.7部を添加し混合した。更に白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業株式会社製)を0.5部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−2)を得た。
【0087】
[樹脂溶液作製例5]
0.5モル%のビニル基を両末端及び側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のポリジメチルシロキサン80部及びイソドデカン400部からなる溶液に(M−6)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン7.5部、エチニルシクロヘキサノール0.7部を添加し混合した。更に白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業株式会社製)を0.5部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−3)を得た。
【0088】
[樹脂溶液作製例6]
0.5モル%のビニル基を両末端及び側鎖に有し、数平均分子量(Mn)が3万のポリジメチルシロキサン80部及びイソドデカン400部からなる溶液に(M−6)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン10部、エチニルシクロヘキサノール0.7部を添加し混合した。更に白金触媒CAT−PL−5(信越化学工業株式会社製)を0.5部添加し、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して、熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−4)を得た。
【0089】
[実施例1〜5及び比較例1〜2]
表面に高さ10μm、直径40μmの銅ポストが全面に形成された直径200mmシリコンウエハ(厚さ:725μm)にA−1の溶液をスピンコート後、ホットプレートにて、150℃で5分間加熱することにより、層(A)に対応する材料を表1に示す膜厚で、ウエハバンプ形成面に成膜した。その後、層(B’)に相当する熱硬化性シリコーン組成物溶液(B−1)を、ウエハ上に形成された層(A)上に、やはりスピンコートすることで、表1中の膜厚で形成した。更にその後、150℃で3分間、ホットプレート上で加熱した。一方、直径200mm(厚さ:500μm)のガラス板を支持体とし、この支持体に層(C’)に対応するシロキサン含有組成物溶液(C−1)をスピンコートし、ホットプレートにより150℃で5分間加熱することで、表1中に記載された膜厚でガラス支持体上に形成した。このようにしてこの非シリコーン熱可塑性樹脂層(A)と、その層(A)上に層(B’)を有するシリコンウエハ、及び熱硬化性シロキサン変性重合体層を含むシロキサン含有組成物層(C’)を有するガラス板とをそれぞれ、樹脂面が合わされるように、真空貼り合せ装置(EVG社のEVG520IS)内で10
-3mbar以下の減圧条件のもと、表1に示す条件にて貼り合せ、ウエハ加工体を作製した。この場合の接合界面は「B’/C’」と表記する。また、実施例2以降についても上記方法と同様に処理した。
また比較として、支持体に熱硬化性シロキサン変性重合体をシロキサン含有組成物層(C’)を形成後、その上に熱硬化性シリコーン組成物層(B−1、B−2)を形成し、この層(C’)と(B’)の形成された支持体と、樹脂層(A)の形成されたウエハを同様に貼り合せたウエハ加工体を作製した。この場合の接合界面は「A/B’」と表記する。
【0090】
なお、ここで、基板接着後の異常を判別するために支持体としてガラス板を使用したが、ウエハなどの光を透過しないシリコン基板も使用可能である。
その後、この接合された基板に対し、下記試験を行い、実施例及び比較例の結果を表1に示した。また、下記の順で評価を実施した。
【0091】
−接着性試験−
200mmのウエハ接合は、EVG社のウエハ接合装置EVG520ISを用いて行った。接合温度は表1に記載の値、接合時のチャンバー内圧力は10
-3mbar以下、荷重は5kNで実施した。
接合後、一旦、180℃で1時間オーブンを用いて基板を加熱し、層(B’)及び(C’)の硬化を実施したのち、室温まで冷却し、その後の界面の接着状況を目視及び光学顕微鏡それぞれで確認し、界面での気泡などの異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
【0092】
−裏面研削耐性試験−
グラインダー(DISCO製、DAG810)でダイヤモンド砥石を用いてシリコンウエハの裏面研削を行った。最終基板厚50μmまでグラインドした後、光学顕微鏡(100倍)にてクラック、剥離等の異常の有無を調べた。異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
【0093】
−CVD耐性試験−
シリコンウエハを裏面研削した後の加工体をCVD装置に導入し、2μmのSiO
2膜の生成実験を行ない、その際の外観異常の有無を調べた。外観異常が発生しなかった場合を良好と評価して「○」で示し、ボイド、ウエハ膨れ、ウエハ破損等の外観異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。CVD耐性試験の条件は、以下の通りである。
装置名:プラズマCVD PD270STL(サムコ社製)
RF500W、内圧40Pa
TEOS(テトラエチルオルソシリケート):O
2=20sccm:680sccm
【0094】
−剥離性試験−
基板の剥離性は、まず、CVD耐性試験を終えたウエハ加工体の50μmまで薄型化したウエハ側にダイシングフレームを用いてダイシングテープを貼り、このダイシングテープ面を真空吸着によって、吸着板にセットした。その後、室温にて、ガラスの1点をピンセットにて持ち上げることで、ガラス基板を剥離した。この時、剥離前処理としてp−メンタンに室温で5分間浸漬させた基板の剥離性も検討した。50μmのウエハを割ることなく剥離できた場合を「○」で示し、割れなどの異常が発生した場合を不良と評価して「×」で示した。
【0095】
−洗浄除去性試験−
上記剥離性試験終了後のダイシングテープを介してダイシングフレームに装着された200mmウエハ(CVD耐性試験条件に晒されたもの)を、接着層を上にしてスピンコーターにセットし、洗浄溶剤としてp−メンタンを用い、洗浄方法として5分間噴霧、1分間噴霧、又は1分間二流体洗浄(窒素混合)それぞれを行い、ウエハを回転させながらイソプロピルアルコール(IPA)を噴霧にてリンスを行った。なお二流体洗浄はSuss製Delta12Lを使用した。その後、外観を観察して残存する接着材樹脂の有無を目視でチェックした。樹脂の残存が認められないものを良好と評価して「○」で示し、部分的に樹脂の残存が認められたものを部分的不良として「△」で示し、ウエハ全面に樹脂の残存が認められたものを不良と評価して「×」で示した。
【0096】
−ピール剥離力試験−
直径200mmシリコンウエハ(厚さ:725μm)にスピンコート後、ホットプレートにて、150℃で5分間加熱することにより、層(A)に対応する材料を表1に示す膜厚で、ウエハバンプ形成面に成膜した。その後、層(B’)に相当する熱硬化性シリコーン組成物溶液を、シリコンウエハ上に形成された層(A)上に、やはりスピンコートし、更にその後、150℃で3分間、ホットプレート上で加熱して2μm膜厚で形成した。更に層(B’)上に層(C’)に対応するシロキサン含有組成物溶液をスピンコート、及びホットプレートにより、やはり、150℃で5分間加熱することで、50μm膜厚で、シリコンウエハ上に形成した。その後オーブンで180℃で1時間かけて硬化させた。
その後、上記ウエハの層(C)上に150mm長×25mm幅のポリイミドテープを5本貼り付け、テープが張られていない部分の仮接着材層を除去した。島津製作所社のAUTOGRAPH(AG−1)を用いて300mm/分の速度でテープの一端から180°剥離で120mm剥がし、そのときにかかる力の平均(120mmストローク×5回)を、その仮接着層(B)の剥離力とした。
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示されるように、本発明の要件を満たす実施例1〜4では、仮接着及び剥離が容易であることがわかる。また実施例5では支持体剥離前に溶剤に浸漬させることで剥離が可能となる。一方、本発明の要件を満たさない比較例1,2では貼り合せ後、光学顕微鏡観察からボイドが発生した。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。