特許第6226162号(P6226162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6226162少ない数の絶縁素子を使用して2次保護信号及び診断信号を伝送できるバッテリー管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226162
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】少ない数の絶縁素子を使用して2次保護信号及び診断信号を伝送できるバッテリー管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20171030BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20171030BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20171030BHJP
   B60L 3/00 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
   H02J7/00 Q
   H01M10/48 P
   H04J3/00 H
   !B60L3/00 S
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-525979(P2016-525979)
(86)(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-503457(P2017-503457A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】KR2014009751
(87)【国際公開番号】WO2015060581
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0127905
(32)【優先日】2013年10月25日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0139330
(32)【優先日】2014年10月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュ−ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】江口 安仁
(72)【発明者】
【氏名】谷名 正次
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−147660(JP,A)
【文献】 特開2012−047520(JP,A)
【文献】 特開2009−168720(JP,A)
【文献】 特開2009−232671(JP,A)
【文献】 特開2013−083514(JP,A)
【文献】 特開2003−070179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H04J 3/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックを管理するバッテリー管理システムであって、
前記バッテリーパックに含まれた二次電池を管理するN(Nは2以上の自然数)個のバッテリー管理ユニット;
前記バッテリー管理システムを制御する外部装置にデータを送信できるように各バッテリー管理ユニットに電気的に連結された通信ライン;
前記外部装置と前記バッテリー管理システムとを電気的に絶縁しながら信号を伝達する絶縁素子;及び
前記通信ラインと電気的に連結され、前記通信ラインを介して受信した信号を混合する信号混合器;を含み、
前記各バッテリー管理ユニットは、前記外部装置との間でデータの送受信するための通信プロトコルとして、データ伝送準備区間及びデータ伝送区間のスタートポイントで信号のロジックレベルが変化するADSYNC(Active Directory SYNC)を用いて、時分割によって前記バッテリーパックに関する2以上のデータを前記外部装置に伝送することを特徴とするバッテリー管理システム。
【請求項2】
前記絶縁素子は、フォトカプラであることを特徴とする請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記各バッテリー管理ユニットと前記通信ラインとの間に電気的に連結されたレベルシフトをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記ADSYNCのデータ伝送区間に含まれる2以上のデータは、それぞれのデータの幅が同じであることを特徴とする請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記ADSYNCのデータ伝送区間に含まれる2以上のデータは、前記データ伝送区間のスタートポイントに近いデータの幅よりスタートポイントから遠いデータの幅が広いことを特徴とする請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
前記データの幅は、前記データ伝送区間のスタートポイントに近いデータの幅より前記データ伝送区間のスタートポイントから遠いデータの幅が5%以上増加したことを特徴とする請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項7】
前記ADSYNCのデータ伝送区間には、前記データの間に境界を示すパルスが含まれたことを特徴とする請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項8】
前記N個のバッテリー管理ユニットは、隣接した他のバッテリー管理ユニットとの同期化のために両者を電気的に連結させる同期化ラインをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項9】
前記N個のバッテリー管理ユニットは、前記ADSYNCによって同期化を行うことを特徴とする請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項10】
前記N個のバッテリー管理ユニットは、それぞれフリーランADSYNCを出力し、出力されたフリーランADSYNCのうちいずれか1つのフリーランADSYNCに同期化されることを特徴とする請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項11】
前記N個のバッテリー管理ユニットは、前記N個のバッテリー管理ユニットが出力したフリーランADSYNCのうち、データ伝送準備区間の幅及びADSYNC周期の幅が最も狭いフリーランADSYNCに同期化されることを特徴とする請求項10に記載のバッテリー管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次保護信号及び診断信号を伝送できるバッテリー管理システムに関し、より詳しくは、少ない数の絶縁素子を使用して2次保護信号及び診断信号を伝送できるバッテリー管理システムに関する。
【0002】
本出願は、2013年10月25日出願の韓国特許出願第10−2013−0127905号及び2014年10月15日出願の韓国特許出願第10−2014−0139330号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
製品群毎の適用性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV;Electric Vehicle)またはハイブリッド自動車(HV;Hybrid Vehicle)、電力貯蔵装置(Energy Storage System)などに普遍的に用いられている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させるという一次的な長所だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点で環境にやさしく、エネルギー効率向上のための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
このような二次電池は、正極及び負極集電体、セパレータ、活物質、電解液などを含み、構成要素間の電気化学的反応によって充放電を繰り返すことができる。一例として、広く使用されるリチウムポリマー二次電池の場合、約3.7V〜4.2Vの動作電圧を有している。したがって、前記電気自動車などに適用される高出力バッテリーパックを得るためには、複数の単位二次電池セル(cell)を直列で連結してバッテリーパックを構成する。
【0005】
このような基本的な構造に加えて、前記バッテリーパックには、モーターなどの駆動負荷に対する電力供給の制御、電流または電圧などの電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化(equalization)制御、SOC(State Of Charge)の推定などのためのアルゴリズムが適用され、二次電池の状態をモニタリングし制御するBMS(Battery Management System)などがさらに含まれて構成される。
【0006】
一方、近来、エネルギー貯蔵源としての活用を含めて大容量構造に対する要求が高まるとともに、複数の二次電池セルを含むバッテリーモジュールを集合させたマルチモジュール構造のバッテリーパックに対する需要が伸びている。
【0007】
このようなマルチモジュール構造のバッテリーパックは、多数の二次電池セルを含むため、一つのBMSを使用して全ての二次電池セルまたは複数のバッテリーモジュールの充放電状態を制御するには限界がある。したがって、近年は、バッテリーパックに含まれているバッテリーモジュール毎にバッテリー管理ユニット(Battery Management Unit)を装着し、これらをスレーブユニットに指定した後、スレーブユニットを制御するマスターユニットをさらに装着するマスター・スレーブ方式によって各バッテリーモジュールの充放電を制御する技術が用いられている。
【0008】
図1は、外部装置10と従来技術によるBMS100とが連結された状態を概略的に示したブロック図である。
【0009】
図1を参照すれば、8つのスレーブユニット210と1つのマスターユニット211を含むBMS100が確認できる。そして、前記BMS100は複数の二次電池セル111が直列で連結されたバッテリーパック110と連結されている。前記BMS100は前記バッテリーパック110の充電及び放電を制御し、さらに前記バッテリーパック110に含まれた二次電池セル111の電圧などを測定する。前記BMS100は外部装置10から充電及び放電に関連する制御信号を受信し、二次電池セル111の状態に関連するデータを送信する。なお、前記バッテリーパック110は、上述したように、電気自動車などに適用される高出力バッテリーパックを得るために複数の単位二次電池セルを直列で連結した構成を有しているため、前記BMS100と前記外部装置10とは電気的に絶縁することで高電圧による前記外部装置10の故障を防止する。
【0010】
このような目的から、前記BMS100と前記外部装置10とは電気的に絶縁されながらも電気的信号の送受信が自在なフォトカプラ(Photo Coupler)を使用して連結される。
【0011】
前記フォトカプラは、オプトカプラ(opto−coupler)とも称される。前記フォトカプラは発光源(入力)と光検出器(出力)からなるスイッチング素子である。一般に、発光源としては赤外線発光ダイオード(LED)が使用され、光検出器としては光に反応してターンオンするフォトダイオードやフォトトランジスタが使用される。したがって、入力側に電流が流れれば、発光源で光を発散し、出力側素子であるフォトダイオードやフォトトランジスタがターンオンされる。すなわち、電気的カップリングではなく、光によってターンオンまたはターンオフされるスイッチング素子である。
【0012】
前記フォトカプラを使用してBMS100と外部装置10とを連結する場合、前記BMS100と前記外部装置10とが電気的に絶縁されるという長所がある。また、データ信号を伝達する役割を果たすと同時に、バッテリーパック110の高電圧電流が前記外部装置10側に流れる逆電流を防止でき、バッテリーパック110の充放電過程で発生する電磁波の影響を低減させることができる。
【0013】
一方、マスター・スレーブ方式で運営されるBMSの場合、マスターユニット211に故障が生じる場合に備えて、スレーブユニット210が二次電池セル111に関する情報を直接外部装置10に伝達する構成を有することもある。図1には、マスターユニット211に故障が生じる場合に備えて、各スレーブユニット210が前記外部装置10に伝送する3種のデータが示されている。
【0014】
前記スレーブユニット210から伝送する「2nd PROT」信号は、二次電池セル111が予め設定された電圧以上に過充電されたことを示す信号である。前記スレーブユニット210から伝送する「Under V PROT」信号は、二次電池セル111が予め設定された電圧以下に過放電したことを示す信号である。前記スレーブユニット210から伝送する「Diag」信号は、スレーブユニット210自体の故障診断を通じた異常発生如何を示す信号である。
【0015】
このように、各スレーブユニット210が3種のデータをそれぞれ前記外部装置10に伝送し、このようなスレーブユニット210が8つあると仮定すれば、前記外部装置10とスレーブユニット210とを連結するためのフォトカプラは全部で24つが必要となる。しかし、前記フォトカプラは他の電気電子素子に比べてかなり高価であるため、BMSの製造コストが嵩む要因にもなる。
【0016】
したがって、BMS100と外部装置10との絶縁状態を維持しながらも、BMS100に含まれたスレーブユニット210の信号を外部装置10に伝送できるバッテリー管理システムに対する研究が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、少ない数の絶縁素子を使用して2次保護信号及び診断信号を伝送できるバッテリー管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を達成するため、本発明によるバッテリー管理システムは、バッテリーパックを管理するシステムであって、前記バッテリーパックに含まれた二次電池を管理するN(Nは2以上の自然数)個のバッテリー管理ユニット;前記バッテリー管理システムを制御する外部装置にデータを送信できるように各バッテリー管理ユニットに電気的に連結されたN本の通信ライン;前記外部装置と前記バッテリー管理システムとを電気的に絶縁しながら信号を伝達する絶縁素子;及び前記N本の通信ラインと電気的に連結され、前記N本の通信ラインを介して受信した信号を混合する信号混合器;を含み、前記各バッテリー管理ユニットは、時分割によって2以上のデータを伝送する。
【0019】
本発明による前記絶縁素子は、フォトカプラになり得る。
【0020】
本発明によるバッテリー管理システムは、前記各バッテリー管理ユニットと通信ラインとの間に電気的に連結されたレベルシフトをさらに含むことができる。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記各バッテリー管理ユニットは、データ伝送準備区間及びデータ伝送区間のスタートポイントで信号のロジッグレベルが変化するADSYNCを用いて時分割によって2以上のデータを伝送する。
【0022】
このとき、前記ADSYNCのデータ伝送区間に含まれる2以上のデータは、それぞれのデータの幅が同じであり得、前記データ伝送区間のスタートポイントに近いデータの幅よりスタートポイントから遠いデータの幅が広いこともあり得る。後者の場合、前記データの幅は前記データ伝送区間のスタートポイントに近いデータの幅より前記データ伝送区間のスタートポイントから遠いデータの幅が5%以上増加し得る。
【0023】
一方、前記ADSYNCのデータ伝送区間には、前記データの間に境界を示すパルスが含まれ得る。
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記N個のバッテリー管理ユニットは、隣接した他のバッテリー管理ユニットとの同期化のために両者を電気的に連結させる同期化ラインをさらに含むことができる。このとき、前記N個のバッテリー管理ユニットは、ADSYNCによって同期化を行うことができる。
【0025】
前記N個のバッテリー管理ユニットは、それぞれフリーラン(free−run)ADSYNCを出力し、出力されたフリーランADSYNCのうちいずれか1つのフリーランADSYNCに同期化されるが、前記N個のバッテリー管理ユニットは、前記N個のバッテリー管理ユニットが出力したフリーランADSYNCのうち、データ伝送準備区間の幅及びADSYNC周期の幅が最も狭いフリーランADSYNCに同期化され得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、少ない数の絶縁素子を使用してバッテリー管理システムと外部装置とを連結することができる。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】外部装置と従来技術によるBMSとが連結された状態を概略的に示したブロック図である。
図2】本発明によるバッテリー管理システムの構成を概略的に示したブロック図である。
図3】本発明によるバッテリー管理システムの構成を概略的に示したブロック図である。
図4】本発明によるバッテリー管理システムの構成を概略的に示したブロック図である。
図5】本発明によるバッテリー管理システムの構成を概略的に示したブロック図である。
図6】本発明によるバッテリー管理システムの構成を概略的に示したブロック図である。
図7】ADSYNCの構成を示した波形図である。
図8】本発明によるバッテリー管理ユニットが出力するフリーランADSYNCを示した波形図である。
図9】本発明の一実施例による同期化されたフリーランADSYNCの波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
図2ないし図6は、本発明によるバッテリー管理システム101〜105の構成を概略的に示したブロック図である。
【0031】
以下、図2ないし図6を参照して本発明によるバッテリー管理システム101〜105を説明するが、同じ部材番号を有する構成は同じ機能を果たす構成要素として理解せねばならない。したがって、各構成要素についての詳しい説明は後述し、各実施例による相違点を中心にまず説明する。
【0032】
まず、図2に示された本発明による第1実施例を説明する。理解の便宜上、本発明の第1実施例によるバッテリー管理システム101と図1に示された従来技術によるバッテリー管理システム100を一緒に参照する。図2に示されたバッテリー管理ユニット310はそれぞれ1本の通信ライン330と連結されている。すなわち、従来技術と違って、伝送しようとするデータの個数によって通信ラインの個数が増加することはない。各バッテリー管理ユニット310が1本の通信ライン330を介して外部装置10にデータを伝送することが第1実施例の特徴である。したがって、前記各バッテリー管理ユニット310は時分割によって2以上のデータを伝送する。
【0033】
そして、前記各バッテリー管理ユニット310は絶縁素子を介して1:1で前記外部装置10に連結される。本発明において、前記絶縁素子はフォトカプラ320であり得る。前記フォトカプラ320についての説明は上述したため、繰り返される説明は省略する。
【0034】
図3に示された本発明による第2実施例を説明する。理解の便宜上、本発明の第2実施例によるバッテリー管理システム102と図2に示された第1実施例によるバッテリー管理システム101を一緒に参照する。
【0035】
本発明の第2実施例によるバッテリー管理システム102は、第1実施例によるバッテリー管理システム101と比べて、前記バッテリー管理ユニット310と外部装置10とを連結するフォトカプラ(上端に示された320)の個数が1つに減っている。また、前記バッテリー管理ユニット310と外部装置10とを選択的に連結するため、スイッチ350及びスイッチ制御器340を含むことが確認できる。そして、スイッチ制御器340を制御するための制御用フォトカプラ(下端に示された320)が1つ加えられたことが確認できる。したがって、フォトカプラ320は全部で2つになる。
【0036】
前記スイッチ350は、前記スイッチ制御器340の制御信号によって前記通信ライン330のうちいずれか1本の通信ラインを前記フォトカプラ320と選択的に連結する役割をする。このとき、前記スイッチ制御器340は前記外部装置10とフォトカプラ320を介して連結され、前記外部装置10によって制御され得る。前記スイッチ350を介して前記フォトカプラ320と連結された通信ライン330が設けられたバッテリー管理ユニット310は、前記外部装置10にデータを伝送することができる。
【0037】
次いで、図4に示された本発明による第3実施例を説明する。理解の便宜上、本発明の第3実施例によるバッテリー管理システム103と図3に示された第2実施例によるバッテリー管理システム102を一緒に参照する。
【0038】
本発明の第3実施例によるバッテリー管理システム103は、前記バッテリー管理ユニット310と外部装置10とを連結する構成が、スイッチ350及びスイッチ制御器340から演算装置360に代替されていることが確認できる。
【0039】
前記演算装置360は、前記バッテリー管理ユニット310と前記フォトカプラ320とを自由に且つ選択的に連結することができる。前記演算装置360の構成要素は、論理回路を含む電子回路モジュールに具体化され得る。電子回路モジュールの一例としては、注文型半導体(ASIC)が挙げられるが、本発明がこれによって限定されることはない。
【0040】
前記演算装置360を通じて前記フォトカプラ320と連結された通信ライン330が設けられたバッテリー管理ユニット310は、前記外部装置10にデータを伝送することができる。
【0041】
次いで、図5に示された本発明による第4実施例を説明する。理解の便宜上、本発明の第4実施例によるバッテリー管理システム104と図4に示された第3実施例によるバッテリー管理システム103を一緒に参照する。
【0042】
本発明の第4実施例によるバッテリー管理システム104は、前記バッテリー管理ユニット310と外部装置10とを連結する構成が、演算装置360から信号混合器370に代替されていることが確認できる。
【0043】
前記信号混合器370とは、N個のデータ信号を混合して1つの信号に出力する装置を意味する。前記信号混合器370は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者に周知された公知の構成要素であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
前記信号混合器370は、前記N本の通信ライン330の全てとそれぞれ電気的に連結される。そして、それぞれのバッテリー管理ユニット310から受信した信号を1つの信号に混合する。したがって、前記N個のバッテリー管理ユニット310が出力した信号が1つの信号に混合されて前記外部装置10に伝送される。
【0045】
図6に示された本発明による第5実施例を説明する。理解の便宜上、本発明の第5実施例によるバッテリー管理システム105と図5に示された第4実施例によるバッテリー管理システム104を一緒に参照する。
【0046】
本発明の第5実施例によるバッテリー管理システム105は、1本の通信ライン330を介して前記各バッテリー管理ユニット310と信号混合器370とが電気的に連結されていることが確認できる。したがって、前記N個のバッテリー管理ユニット310が出力した信号を前記信号混合器が順次受信して1つの信号に混合した後、前記外部装置10に伝送する。
【0047】
本発明による実施例の説明において、前記外部装置10と前記バッテリー管理システム101〜105とを連結する素子としてフォトカプラ320を示した。前記フォトカプラ320は、前記外部装置10と前記バッテリー管理システム101〜105とを電気的に絶縁しながら信号を伝達する絶縁素子の一例である。したがって、絶縁素子の一例として示された前記フォトカプラ320によって本発明の範囲が制限されることはない。
【0048】
一方、本発明によるバッテリー管理システム101〜105は、前記各バッテリー管理ユニット310と通信ライン330との間に電気的に連結されたレベルシフト390をさらに含むことができる。レベルシフト390とは、入力された信号を所望の範囲の電位値に出力する装置である。レベルシフト390については本発明が属する技術分野で公知の素子であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
本発明によるバッテリー管理システム101〜105は、N個のバッテリー管理ユニット310を含む。前記N個のバッテリー管理ユニット310は、バッテリーパック110に含まれた二次電池111を管理する。バッテリー管理ユニット310による二次電池111の管理とは、充放電電流、各二次電池111の電圧または電流を含む電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化制御、SOCの推定などを含み、当業者水準で適用可能な多様な制御を行うことを意味する。
【0050】
一方、前記バッテリーパック110は、1つ以上の二次電池111を含むものであり、二次電池111の種類は特に限定されない。それぞれの二次電池は、再充電自在であって、充電または放電電圧を考慮してリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などで構成できる。また、前記バッテリーパック110に含まれる二次電池111の個数は、求められる出力電圧または充電容量に応じて多様に設定することができる。しかし、本発明が二次電池111の種類、出力電圧、充電容量などによって限定されることはない。また、図2ないし図6には前記二次電池111が全て直列で連結された実施例を示したが、本発明が前記二次電池111の連結方法によって制限されることはない。
【0051】
本発明によるバッテリー管理ユニット310は従来技術と異なって、2以上のデータを1本の通信ライン330を介して伝送する。したがって、2以上のデータを時分割によって1つのデータ信号として出力する。そのため、本発明によるバッテリー管理ユニット310は、2以上のデータをデータ伝送準備区間及びデータ伝送区間のスタートポイントで信号のロジッグレベルが変化するADSYNCを用いて時分割によって2以上のデータを伝送することができる。
【0052】
前記ADSYNCとは、前記バッテリー管理ユニット310と前記外部装置10との間でデータの送受信するための一種の通信プロトコルである。すなわち、2以上のデータを予め定められた方法によって前記バッテリー管理ユニット310が伝送し、前記外部装置10は前記予め定められた方法によって2以上のデータを受信及び解読する。
【0053】
図7はADSYNCの構成を示した波形図である。
【0054】
前記ADSYNCはデータ伝送準備区間とデータ伝送区間が1つの周期を成す。前記データ伝送準備区間とデータ伝送区間とを区分するため、ADSYNCはデータ伝送準備区間及びデータ伝送区間のスタートポイントで信号のロジッグレベルが変化する。前記データ伝送準備区間では高いロジッグレベル信号(H)が、前記データ伝送区間では低いロジッグレベルの信号(L)が出力され得る。前記高いロジッグレベルは5V、低いロジッグレベルは0Vに設定され得るが、本発明がこのような例示に限定されることはない。一方、図示されたデータ伝送準備区間は予め設定された最小幅であり、1周期は予め設定されたADSYNC周期の最小幅であると理解すれば良い。
【0055】
前記ADSYNCによって同期化されたバッテリー管理ユニット310及び外部装置10は、前記データ伝送区間では収集したデータを予め設定された幅内で送受信することができる。図7に示されたデータ伝送区間のスタートポイントから「2nd PROT」、「Under V PROT」及び「Diag」を順次伝送することができる。勿論、前記データの伝送順序は多様に設定され得る。
【0056】
一方、ADSYNC周期とは、前記データ伝送準備区間とデータ伝送区間からなる1周期の信号を意味する(ADSYNCの周期=データ伝送準備区間+データ伝送区間)。
【0057】
前記ADSYNCのデータ伝送区間に含まれる2以上のデータは、それぞれのデータの幅が同一であっても良く、異なっても良い。
【0058】
前記ADSYNCのデータ伝送区間に含まれる2以上のデータの幅が異なる場合、前記データ伝送区間のスタートポイントに近いデータの幅よりスタートポイントから遠いデータの幅がより広くなる。一例として、前記データの幅は前記データ伝送区間のスタートポイントに近いデータの幅より前記データ伝送区間のスタートポイントから遠いデータの幅が5%増加する。
【0059】
データを受信する側、すなわち外部装置10又はデータを送信する側、すなわちバッテリー管理システム102で、RCオシレーターを使用して信号を検出または送信するとき、送受信間に約5%以上の誤差が発生し得る。勿論、優れた性能のRCオシレーターを使用すれば誤差が減少するはずであるが、その分RCオシレーターの価格が上昇する。したがって、2以上のデータを伝送するとき、各データの幅を、例えば、5%ずつ増加させることで、高性能のRCオシレーターを使用しなくても、誤差発生を勘案してデータを通信することができる。−5%〜+5%の誤差が発生したのに一定幅でデータを送信した場合は、送受信可能なデータの個数が9個以下に制限される。
【0060】
図7から各データの幅を少しずつ増加させてデータを伝送することが確認できる。また、前記ADSYNCのデータ伝送区間には前記データの間に境界を示すパルスが含まれ得る。このとき、増加されたデータの幅は実際適用されるシステムで予想される誤差が大きい場合、その幅を大きくする。
【0061】
一方、本発明による前記バッテリー管理ユニット310は、隣接した他のバッテリー管理ユニットとの同期化のために両者を電気的に連結させる同期化ラインをさらに含むことができる。このとき、前記バッテリー管理ユニット310はADSYNCによって同期化を行う。
【0062】
各バッテリー管理ユニットが電圧を測定するか又は自己診断するタイミングが相異なる場合、電圧測定などが適切に行われないか又は電圧測定などによって得られたデータが外部装置10に役立たないことがあり得る。したがって、バッテリー管理システム101〜105には全てのバッテリー管理ユニット310が同期化された動作及びデータの送信が求められる。
【0063】
そのため、前記バッテリー管理ユニット310の間に連結された同期化ラインを通じてフリーランADSYNCを出力する。本明細書においてフリーランADSYNCとは、バッテリー管理ユニット310同士を同期化するための予備信号である。
【0064】
図8は、本発明によるバッテリー管理ユニット310が出力するフリーランADSYNCを示した波形図である。
【0065】
図8を参照すれば、バッテリー管理ユニット1〜8が出力したフリーランADSYNCの各データ伝送準備区間の幅及びADSYNC周期の幅がそれぞれ異なることが確認できる。このような各バッテリー管理ユニット310のフリーランADSYNCは前記同期化ラインを通じてすべてのバッテリー管理ユニット310が相互確認できる。
【0066】
このとき、本発明による前記バッテリー管理ユニット310は、出力されたフリーランADSYNCのうちいずれか1つのフリーランADSYNCに同期化される。
【0067】
本発明の一実施例によれば、前記バッテリー管理ユニット310は前記複数のバッテリー管理ユニット310が出力したフリーランADSYNCのうちデータ伝送準備区間の幅及びADSYNC周期の幅が最も狭いフリーランADSYNCに同期化される。
【0068】
図9は、本発明の一実施例による同期化されたフリーランADSYNCの波形図である。
【0069】
図8及び図9を一緒に参照すれば、図8に示されたユニット8のデータ伝送準備区間の幅が最も狭く、フリーランADSYNCの1周期が最も短いことが確認できる。したがって、本発明の一実施例によって前記ユニット8のフリーランADSYNCに前記ユニット1及びユニット2のフリーランADSYNCが同期化されたことを図9から確認できる。
【0070】
その後、同期化されたADSYNCの周期に合わせて各バッテリー管理ユニット310は二次電池111の電圧を測定するか又は故障を診断する。また、前記外部装置10にデータを伝送する際、自分のデータを伝送する順番の判断にも使用できる。
【0071】
本発明によれば、少ない数の絶縁素子を使用してバッテリー管理システムと外部装置とを連結することができる。
【0072】
一方、本発明の説明において、図2ないし図6に示された本発明の各構成要素は、物理的に区分される構成要素というよりは、論理的に区分される構成要素として理解されねばならない。
【0073】
すなわち、各構成要素は、本発明の技術思想を実現するための論理的な構成要素に該当するため、各構成要素が統合または分離されても、本発明の論理構成が果たす機能を実現できれば、本発明の範囲内であると解釈されねばならず、同一または類似機能を果たす構成要素であれば、その名称の一致如何とは関係なく、本発明の範囲内であると解釈されねばならないことは勿論である。
【0074】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれらによって限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者にとって、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
104 バッテリー管理システム
310 バッテリー管理ユニット
320 フォトカプラ
330 通信ライン
370 信号混合器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9