【文献】
Xin Zhang et.al,Morphology Control of Fluorescent Nanoaggregates by Co-Self-Assembly of Wedge- and Dumbbell-Shaped A,J.AM.CHEM.SOC.,2007年,129,4886-4887
【文献】
Zhiyuan Tian et.al,Twisted perylene dyes enable highly fluorescent and photostable nanoparticles,Chem.Commun.,2009年,180-182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
ペリレン構造を有する物質として、ペリレン顔料が着色材として知られている。光安定性、耐水性が高く、耐油性が高く、耐酸性が高く、耐石灰性が高く、耐アルカリ性が高く、耐溶媒性が高く、オーバーラッカリング(over−lacquering)に対する耐性が高く、スプレーしぶきに対する耐性が高く、昇華に対する耐性が高く、耐熱性が高く、かつ加硫に対する耐性が高く、その上、非常に良好な着色収率(tinctorial yield)を与えかつ容易に分散し得る(例えばプラスチック材料などの中に)ものである。
【0014】
本発明は、堅牢性の高いペリレン骨格を有する重合性化合物であるため、優れた耐候性、耐光性を有する化合物である。また、本発明のペリレン骨格を有する重合性化合物は、ペリレン構造に特別置換基を有していないため、さらに耐候性、耐光性が高く、分子の直線方向にポリマー鎖を有するため立体障害が少なく、有機溶媒、有機物質との相溶性が高く、分散性に優れている。
【0015】
(一般式(1)で表される重合性化合物)
前記一般式(1)において、Aは(メタ)アクリロイルオキシ基である。これらの構造は、具体的には、下記一般式で示される。
【0017】
上記式において、(A−1)はアクリロイルオキシ基を表し、(A−2)はメタクリロイルオキシ基を表す。
【0018】
前記一般式(1)において、R
1は単結合、炭素原子数2〜16の2価の炭化水素基(但し該炭化水素基は置換基を有していてもよく、分岐あるいは環構造を形成してもよく、また途中にエーテル結合、エステル結合、フェニレン基を介してもよい)を表す。
炭素原子数2〜16の2価の炭化水素基(但し該炭化水素基は置換基を有していてもよく、分岐あるいは環構造を形成してもよく、また途中にエーテル結合、エステル結合、フェニレン基を介してもよい)は、具体的には、炭素原子数2〜16の直鎖状アルキレン基、炭素原子数2〜16の分岐状アルキレン基、置換基等を有していてもよいp−フェニレン基等のフェニレン基等が挙げられる。これらは途中にエーテル結合や、エステル結合を介したり、ポリエーテル構造や、ポリエステル構造であってもよい。
好ましくは、炭素原子数2〜6のアルキレン基や、炭素原子数3〜6の分岐状アルキレン基等が、挙げられる。
また、置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基や、アミノ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0019】
前記一般式(1)において、Bは、ポリエーテル鎖を表し、ポリエーテル鎖としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、トリオキサン、オキセタン等の開環重合により得られるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエピクロロヒドリン、ポリオキシメチレン、ポリオキセタン等があげられる。
【0020】
又、前記一般式(1)において、Bは、ビニル系ポリマー鎖、ポリシロキサン鎖、ポリエーテル鎖、ポリシラン鎖を表す。
【0021】
例えばビニル系ポリマー鎖は、各種公知のビニル系モノマーを重合または共重合させたポリマー鎖である。
ビニル系モノマーとして具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の脂肪族ビニル系炭化水素や、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等の脂環式ビニル系炭化水素や、スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系炭化水素や、
【0022】
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、アミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート等のビニルエステルや、
【0023】
各種官能基を有するビニル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーやビニルスルホン酸等のスルホン基含有ビニル系モノマー、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル系モノマー、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン等、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等の含窒素ビニル系モノマー、塩化ビニル等を使用することができる。
【0024】
これらのビニル系モノマーは、公知の重合方法、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、またはリビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合等を適用することができる。またこれらのビニル系モノマーは、単独重合であっても共重合であってもよい。
【0025】
例えば、前記エチレンやプロピレン等の脂肪族ビニル系炭化水素を単独もしくは共重合させたポリアルキレン鎖や、ブタジエンを単独もしくは共重合させたブタジエン樹脂鎖や、前記(メタ)アクリレートを単独もしくは共重合させた(メタ)アクリレート樹脂鎖や、前記(メタ)アクリレートと前記スチレン等の芳香族ビニル系炭化水素を共重合させたスチレン−(メタ)アクリレート樹脂鎖や、前記スチレン等の芳香族ビニル系炭化水素と前記酢酸ビニルを共重合させたスチレン−酢酸ビニル樹脂鎖や、塩化ビニルを単独もしくは共重合させたポリ塩化ビニル樹脂鎖、等が好ましく使用できる。
【0026】
更に、前記一般式(1)において、Bは、ポリシロキサン鎖を表す。ポリシロキサン鎖としては、鎖状のポリシロキサン鎖は、環状シロキサンの塩基又は酸によるアニオン開環重合又はカチオン開環重合により、環状シロキサン鎖は、環状三量体及び環状四量体をモノマーに使用した共重合により、ジクロロシランやジアルコキシシランの加水分解又は重縮合により得られる、ジメチルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、メチルヒドロゲンポリシロキサン等があげられる。
【0027】
前記一般式(1)で表される重合性化合物として、具体的には、以下(I−1)〜(IV−2)の化合物があげられる。
【0041】
(一般式(1)で表される重合性化合物の製造方法)
一般式(1)で表される重合性化合物は、公知の方法(例えば特許文献:特開昭56−139477、特開昭56−169691、特開昭61−238853、特開平11−286489、特開2000−297224等)に従い得ることができる。以下に具体例を挙げる。
【0042】
(一般式(1)で表される重合性化合物の製造方法)
例えば、式(P1)と一当量の式(P2)
【0044】
【化17】
(P2)
のアミノアルコール(nは2以上)の合成は、公知の方法で調製することができ、その反応物は、式(P3)
【0046】
【化19】
(P4)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸一無水物モノアミノアルコールイミドで表すことが出来る。式(P3)と、式(P4)のアミン変性ポリエーテル、又はアミン変性ビニル系ポリマー、もしくはアミン変性ポリシロキサンの合成は、公知の方法で調整することで得ることができ、その反応物は、式(P5)
【0047】
【化20】
(P5)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸モノポリエーテル、又はビニル系ポリマー、もしくはポリシロキサンイミドモノアミノアルコールイミドで表すことができる。式(P7)と、式(P6)
【0048】
【化21】
(P6)
の、末端塩化物の重合性基(Aは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基等があげられる)を公知の方法(参考文献:特開昭61−246157)で反応させることができ、その反応物は式(P7)
【0049】
【化22】
(P7)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸モノポリエーテル、又はビニル系ポリマー、もしくはポリシロキサンイミドモノアミノアルコールイミド重合性基付加物として調整することができる。
【0050】
前記製造方法は、公知の一般的な製造方法で調整することができるが、反応は、水性、有機、または水性−有機媒体中、250度まで、好ましくは180度までの温度で行うことができる。好適な有機媒体としては、不活性有機溶媒が挙げられ、好ましくは沸点が水より高温であるものであり、例としてDMSO、NMP、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン類、トリクロロベンゼン類、比較的高沸点のアルコール類、カルボキサミド類、キノリン、イミダゾール、ナフタレン、フェノール、および比較的高沸点のエーテル類が挙げられる。アミンは同時に溶媒としての役割をすることもできる。水性または水性−有機媒体のpHは、酸性、中性、またはアルカリ性でもよく、好ましくはpH3〜14の間である。生成する式(I)の生成物は、好ましくはろ過または一般的なカラム分離によって反応混合物から分離される。
【0051】
また、縮合反応は、水溶液中、アルカリ性pH条件において、50〜180度の範囲の温度で行うことが特に好ましい。縮合は、過剰のアミンを使用することが適切であり、適切には2倍まで、好ましくは1.2倍までのモル過剰にする。生成する式(I)の生成物は、好ましくはろ過または一般的なカラム分離によって反応混合物から分離される。
【0052】
前記アミノ基及び他の反応性官能基とを有する化合物としては、例えば、アミノアルコールが挙げられる。
【0053】
また、前記反応性官能基と反応しうる反応性基及び重合性官能基とを1分子中に持つ化合物としては、例えば反応性官能基がヒドロキシル基である場合、(メタ)アクリル酸クロライド等があげられる。
【0054】
また、前記Bで表されるポリマー鎖は、前記式(P1)で表されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物の、ペリレン骨格の両端に存在する2つのアシル基に挟まれて酸無水物を形成する酸素原子と反応する基、例えばアミノ基と、前記Bで表されるポリマー鎖とを有する化合物を使用するのが好ましい。
アミノ基と、前記Bで表されるポリマー鎖とを有する化合物としては、例えば、ビニル系ポリマー鎖を導入するのであれば、アミン変性ビニル系ポリマー鎖を、ポリシロキサン鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリシロキサン鎖を、ポリエーテル鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリエーテル鎖を、末端でも側鎖でも良い。
【0055】
また、前記Bで表されるポリエーテル鎖は、前記式(P1)で表されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物の、ペリレン骨格の両端に存在する2つのアシル基に挟まれて酸無水物を形成する酸素原子と反応する基、例えばアミノ基と、前記Bで表されるポリエーテル鎖とを有する化合物を使用するのが好ましい。
アミノ基と、前記Bで表されるポリエーテル鎖とを有する化合物としては、例えば、ポリエーテルアミンを反応させることで得られる。
【0056】
Bのポリエーテル鎖の分子量は、一般的な重合性化合物と同様に特に限定されないが、重量平均分子量に換算して100〜30000の範囲が好ましく、300〜20000の範囲がより好ましく、500〜15000の範囲が更に好ましい。
【0057】
また、前記反応性官能基と反応しうる反応性基、及びビニル系ポリマー鎖を有する化合物としては、例えば反応性官能基がヒドロキシル基の場合は、カルボン酸基を有するビニル系ポリマー鎖、C(=O)−Cl基を有するビニル系ポリマー鎖、エポキシ基を有するビニル系ポリマー鎖、イソシアナト基を有するビニル系ポリマー鎖、等があげられる。
このような材料は、ここに挙げた材料だけではなく、前記のアミノ基を含む化合物と、一般的な公知の方法で反応することができる材料であればよい。
このとき、得られる重合性化合物において、Bのビニル系ポリマー鎖は、アミノ基−(R
2−X
1)−基を介して結合する。
【0058】
また、Bのビニル系ポリマー鎖の分子量は、一般的な重合性化合物と同様に特に限定されないが、重量平均分子量に換算して500〜30000の範囲が好ましく、1000〜20000の範囲がより好ましく、1500〜15000の範囲が更に好ましい。
【0059】
また、前記反応性官能基と反応しうる反応性基、及びポリシロキサン鎖を有する化合物としては、例えば反応性官能基がヒドロキシル基の場合は、カルボン酸基を有するポリシロキサン鎖、C(=O)−Cl基を有するポリシロキサン鎖、エポキシ基を有するポリシロキサン鎖、イソシアナト基を有するポリシロキサン鎖、等があげられる。
このような材料は、ここに挙げた材料だけではなく、前記のアミノ基を含む化合物と、一般的な公知の方法で反応することができる材料であればよい。
このとき、得られる顔料分散剤において、Bのポリシロキサン鎖は、アミノ基−(R
2−X
1)−基を介して結合する。
【0060】
また、Bのポリシロキサン鎖の分子量は、一般的な顔料分散剤と同様に特に限定されないが、重量平均分子量に換算して500〜30000の範囲が好ましく、1000〜20000の範囲がより好ましく、1500〜15000の範囲が更に好ましい。
【0061】
((I―1)〜(III−1)で示される重合性化合物の製造方法)
前記(I―1)〜(III−1)で示される化合物である重合性化合物は、前記の一般式(1)で表される重合性化合物の製造方法を用いて製造することができる。
【0062】
(重合性組成物)
本発明の重合性化合物は重合性官能基を有しているため、そのままで、あるいは重合性モノマーやオリゴマーを組み合わせた組成物を、熱や活性エネルギー線により硬化重合させることが可能である。
使用できる重合性モノマーやオリゴマーとしては特に限定はなく、本発明の重合性化合物が有する重合性官能基や、所望される用途に応じて適宜選択される。例えば、本発明の重合性化合物の重合性官能基が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合は、(メタ)アクリロイルオキシ基と反応性の高い公知の(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー等のラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
【0063】
(蛍光物質)
本発明における蛍光物質とは、波長320〜550nmの紫外〜可視光によって520〜650nmの可視光を発する蛍光物質である。蛍光物質として、本発明の蛍光物質以外に無機化合物やその他の有機物質の蛍光物質を合わせて使用しても良い。また、遅延蛍光物質を用いると反射光が利用できない暗がりでもディスプレイとしての機能を果たすことができるが、この場合は電気エネルギーを利用したほうがより視認性が向上することは、一般的に起こり得ることである。具体的な蛍光物質としては上記特性を備えるものであれば、特に限定されるものでない。
【0064】
一例を挙げると、無機化合物では蛍光水銀ランプ用蛍光体である、りん酸塩((Sr,Mg)3(PO4)2 :Sn2+(橙赤色))、ゲルマン酸塩(4MgO・GeO2 :Mn4+(深赤色))、イットリウム酸塩(Y2O3:Eu3+(赤色))、バナジン酸塩(Y,VO4 :Eu3+(赤色))、ハロけい酸塩(Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu2+(青緑色))、アルミン酸塩((Ba,Mg)2Al16O24:Eu2+(青色);(Ba,Mg)2Al16O24:Eu2+,Mn2+(緑色);Y2O3・Al2O3:Tb3+(黄緑色))、CRT用蛍光体である、ZnS:Ag(青色),ZnS:Au,Cu,Al(緑色),ZnS:Cu,Al(緑色),Y2O2S:Eu3+(赤),蛍光表示管用蛍光体である、ZnO:Zn(緑),ZnS:[Zn]+In2O3(青),ZnS:Cu,Al+In2O3(黄みの緑),ZnS:Au,Al+In2O3(黄緑),(Zn0.9,Cd0.1)S:Au,Al+In2O3,エレクトロルミネセンス用蛍光体である、PrF3(白)、NdF3(橙)、SmF3(橙赤)、EuF3(ピンク)、TbF3(緑)、Dy3(黄白)、HoF3(ピンク)、ErF3(緑)、TmF3(青)、YbF3(赤)、MnF2(橙赤)、プラズマディスプレイ用蛍光体である、CaWO4:Pb(青)、YSiO5Ce(青)、Ba,MgAl14O23:Eu(青色)、Zn2SiO4:Mn(緑)、BaAl12O19:Mn(緑)、ZnAl12O19:Mn(緑)、CaAl12O19:Mn(緑)、YBO3:Tb(緑)、GdBO3:Tb(緑)、ScBO3:Tb(緑)、Sr4Si3O8Cl4:Eu(緑)、Y2O3:Eu(赤)、Y2SiO5:Eu(赤)、Y3Al5O12:Eu(赤)などが挙げられる。
【0065】
有機物質は、量子効率が高く化合物の選択も多いことから様々な蛍光物質が知られており、ここではその一例を示すが本発明は以下の化合物に限定されるものではない。有機蛍光物質としては、芳香族炭化水素系化合物としてナフタレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ペリレン、トリフェニレン、ピレン、アセナフテン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルベンゼン、クオーターフェニル、ジフェニルアントラセン、ルブレンおよびその置換体、アリレンおよびアリルアセチレン系化合物としてジアリルエチレン、ジアリルポリエン、アリル置換ビニルベンゼン、ジスチリリルベンゼン、五員環複素環化合物としてフラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドールとそれらの誘導体、ポルフィリン、フタロシアニン、ジアザボラインダセンとそれらの誘導体、アリル置換オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾールとそれらの誘導体、アリル置換ピラゾリンとピラゾールとそれらの誘導体、六員環複素環化合物として、キノリン、イソキノリン、ベンゾキノリン、フェナントリジンとそれらの誘導体、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、キノキサリン、フェナジン、キナゾリン、フェナントロリンとそれらの誘導体、酸素含有複素環化合物として、フルオレセイン、ローダミン、ピロニン、ベンズキサンテン、ベンゾジオキサンとその誘導体、環に二つの異なるヘテロ原子を持つフェノチアジン誘導体、フェノオキサジン誘導体、カルボニル含有化合物としては、α,β−不飽和ケトン、アントロン、ベンズアントロン、アントラピリドン、オキサゾールアントラピリジン、フルオレノン、ベンゾキノリン、ナフトキノン、アントラキノン、ナフタセンキノン、ヘプタセンキノン、ピラントロン、クマリン、カルボスチリル、オキサゾロン、インジゴ、チオインジゴとそれらの誘導体、ナフタル酸化合物として、アセチルアミノナフタル酸、ナフタルイミド、フェニルヒドラジン、ペリレンテトラカルボン酸、ナフトキシレンベンズイミダゾールとそれらの誘導体、その他、キノリノール、フラボノール誘導体、カルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体との金属錯体系蛍光材料などが好適な蛍光材料として挙げることができる。
【0066】
蛍光物質を含有する蛍光材料の構成は、印刷インキ、プラスチック、塗料、ディスプレイ等に利用するものであり、またこれらに限定されるものではない。
【0067】
印刷インキに使用する場合、オフセットインキ、グラビアインキ、UVインキ等さまざまなインキに使用することができる。インキの組成は、基本的に有機溶媒や水の溶媒とワニス又は樹脂により構成され、本発明の蛍光物質を分散させて使用する。溶媒としては、トルエン、酢酸エチルエステル、2-プロパノール。ワニスとしては、NCグラビアニス、ポリアミドグラビアニスが使用できる。インキ中の蛍光物質の濃度は、1.0〜0.01%の範囲で濃度調整が可能であり、蛍光物質の添加量が多いほど、発光強度が高くなる。しかし、インキの流動性、コストの観点から、0.5〜0.05%の濃度が好ましい。
【0068】
蛍光体は、上記のように各種のバインダー中に分散された時はできるだけ高濃度にした方が発光強度が稼げるので好ましいはずであるが、蛍光体の場合は濃度消光現象といって高濃度にするほど蛍光が弱められることがある。従って、蛍光物質がバインダー成分と混合して用いられた場合は、その含有率については、個々の物質によって最適値があるので一概には示せない。一般的には1重量%以下の濃度で使用される。これは、多くの蛍光物質の濃度が上がることによって濃度消光現象を起こし、著しく蛍光強度が弱められることとバインダー成分が減少することによる自己支持性が低下するという二つの理由による。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下実施例中にあるg、%は質量換算である。
【0070】
N−ヘドロキシエチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸−3,4−酸無水物−9,10−イミドの合成はFanfan Du, Jiao Tian, Hu Wang, Bin Liu, Bangkun Jin, and Ruke Bai “Synthesis and Luminescence of POSS-Containing Perylene Bisimide-Bridged Amphiphilic Polymers” Macromolecules 2012 45, 3086-3093に参考して合成した。
【0071】
(合成例1)
(重合性基及びビニル系ポリマー鎖を有する重合性化合物(X)の製造方法)
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、0.86部のN−ヘドロキシエチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸−3,4−酸無水物−9,10−イミドと2.0部のイミダゾール、100.0部の1−メチル−2ピロリドンを仕込み、80℃で攪拌30分後、その後、24.8部のポリジメチルシロキサン(KF−865:信越化学社製)を追加し、80℃ のまま23時間攪拌した。その後、105部のメタノールを加え、生成物が沈殿させ、ろ過し、生成物Aを得た。生成物Aをトルエン+5%イソブタノール溶液を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、11.4部の赤色粘調液(B)を得た。
【0072】
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に11.4部の赤色粘調液(B)と87.0部のテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で攪拌しながら、2. 0部のピリジンと、2.0部の塩化アクリロイルを添加し、8.5時間攪拌し反応を続け、反応性生物(X4)を得た。エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/イソブタノール/テトラヒドロフラン=1/1/1展開溶媒としたシリカゲルカラムにより分取し、真空ポンプで脱溶剤を行い、重合性化合物(X1)を7.3部得た。
【0073】
【化23】
(重合性化合物(X1)の構造)
【0074】
1HNMR(CDCl
3)測定結果
ペリレン:δ8.5〜8.7ppm、アクリロイル:5.5〜6.23ppm、ヒドロキシエチル:3.25ppm、シロキサンのメチル:0.02〜0.05ppm、シロキサンのプロピレン:0.44〜1.53ppm
【0075】
(合成例2)
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、11.0gの末端アミン変性ポリイソブチレン(KerocomPIBA03:BASF社製)と、60.0gのテトラヒドロフラン(和光純薬製)を仕込み、完全溶解確認後、2.0gの暗赤色生成物(X2)を追加した。室温のまま15時間攪拌し、生成物(X3)を得た。生成物(X3)をトルエン/テトラヒドロフラン=1/1を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、9.00gの赤色粘調液(X4)を得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、11.0部の末端アミン変性ポリイソブチレン(KerocomPIBA03:BASF社製)と60.0gのテトラヒドロフランを仕込み、完全溶解確認後、2.0部のN−ヘドロキシエチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸−3,4−酸無水物−9,10−イミドを追加した。室温のまま15時間攪拌し、生成物(B)を得た。生成物(B)をトルエン/テトラヒドロフラン=1/1を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、9.00gの赤色粘調液(B)を得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に4.5部の赤色粘調液(B)と150.0部のテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で攪拌しながら、4.0部のピリジンと、4.0部の塩化アクリロイルを添加し、8時間攪拌し反応を続け、反応性生物(X2)を得た。エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/イソブタノール/テトラヒドロフラン=1/1/1展開溶媒としたシリカゲルカラムにより分取し、真空ポンプで脱溶剤を行い、重合性化合物(X2)を2.6部得た。
【0076】
【化24】
(重合性化合物(X2)の構造)
【0077】
1HNMR(CDCl
3)測定結果
ペリレン:δ8.5〜8.7ppm、アクリロイル:5.79〜6.41ppm、ヒドロキシエチル:4.22〜4.57ppm、ポリイソブチレン由来の脂肪族水素:0.68〜1.43ppm
【0078】
(合成例3)
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に6.4gの赤色粘調液(Y4)と400.0gのテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で1時間攪拌し、3.6gのトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)と、3.0gのアクリル酸クロライドを添加し、8時間攪拌し反応を続け、反応生成物(Y5)を得た。この反応生成物(Y5)をエバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/イソブタノール/メタノール=1/1/1を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより生成物(Y6)を得た。生成物(Y6)をエバポレーターで減圧濃縮し、シクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)を加え、目的化合物を沈殿させ、上澄みを除去する工程を3回繰り返し、その後真空ポンプで脱溶剤を行い、重合性化合物(X3)4.3gを得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、14.0部の末端アミン変性ポリエーテル(JEFFAMINE M−1000:HUNTSMAN社製)と4.0部のイミダゾールおよび30.0部の1−メチル−2ピロリドンを仕込み、完全溶解確認後、4.0部のN−ヘドロキシエチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸−3,4−酸無水物−9,10−イミドを追加した。110℃ のオイルバスで17時間攪拌し、生成物(C)を得た。生成物Cをテトラヒドロフラン展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、6.4部の赤色粘調液(C)を得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に6.4部の赤色粘調液(C)と400.0部のテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で1時間攪拌し、3.6部のトリエチルアミンと、3.0部の塩化アクリロイルを添加し、8時間攪拌し反応を続け、反応生成物(X3)を得た。エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/イソブタノール/メタノール=1/1/1展開溶媒としたシリカゲルカラムにより生成物(X3)を得た。生成物(X3)をエバポレーターで減圧濃縮し、シクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)を加え、目的化合物を沈殿させ、上澄みを除去する工程を3回繰り返し、その後真空ポンプで脱溶剤を行い、重合性化合物(X3)4.3gを得た。
【0079】
【化25】
(重合性化合物(X3)の構造)
【0080】
1HNMR(CDCl
3)測定結果
ペリレン構造:δ8.60〜8.70ppm、アクリロイル基:δ5.75〜6.40ppm、ポリエーテル基:δ3.30〜3.63ppm
【0081】
(実施例1)
得られた重合性化合物(X1)1部、50部のSUPER UV UV BF SG A メジウム(DIC(株))をフーバーバーラーで混合して、蛍光UVインク用組成物を得た。この組成物をしらおい上質紙(日本製紙(株))上に展色した。ブラックライターを照射したところ良好に黄味赤色発光することを確認した。
【0082】
(実施例2)
得られた重合性化合物(X3)1部、100部のSUPER UV UV BF SG A メジウム(DIC(株))をフーバーバーラーで混合して、蛍光UVインク用組成物を得た。この組成物をしらおい上質紙(日本製紙(株))上に展色した。ブラックライターを照射したところ良好に黄味赤色発光することを確認した。
【0083】
(実施例3)
得られた重合性化合物(X3)1部、278部のトルエン/酢酸エチルエステル/イソプロピルアルコール=2/2/1の混合溶剤、更に721部のニトロセルロールニスを追加して、攪拌溶解させることにより、グラビアインク用組成物を得た。本発明のインク組成物は貯蔵中に沈殿分離が生じず、又、長期間保存後も物性変化は生じなかった。この組成物をバーコーターでしらおい上質紙(日本製紙(株))上に展色した。ブラックライターを照射したところ良好に赤味黄色発光することを確認した。キセノン耐光性試験機(ATLAS社製Suntest CPS+)を用い、〔E(300−800nm)=550W/m
2〕63℃、8時間の条件で光照射し、照射前後の蛍光強度変化は生じなかった。
【0084】
(実施例4)
上記重合性化合物(X3)を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様に展色した。ブラックライターを照射したところ良好に赤味黄色発光することを確認した。
【0085】
(比較例1)
クマリン6(東京化成)1部、278部のトルエン/酢酸エチルエステル/イソプロピルアルコールの混合溶剤に1部のP−Jeffを添加して、更に721部のニトロセルロールニスを追加して、攪拌溶解させることにより、グラビアインク用組成物を得た。この組成物をバーコーターでしらおい上質紙(日本製紙(株))上に展色した。ブラックライターを照射したところ良好に緑色発光することを確認した。キセノン耐光性試験機(ATLAS社製Suntest CPS+)を用い、〔E(300−800nm)=550W/m2〕63℃、4時間の条件で光照射し、蛍光は無くなった。