【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な発光ダイオード(以下、「LED」)は、LEDチップ、第1シリコンフィルム層(以下、略して第1フィルム層とする。)及び第2シリコンフィルム層(以下、略して第2フィルム層とする。)を含むことができる。例えば、
図1に示すように、LEDは、LEDチップ101、該LEDチップ101の上部に存在する第1シリコンフィルム層102及び該第1フィルム層102の上部に存在する第2シリコンフィルム層103を順に含むことができる。上記において、第1シリコンフィルム層102は前記LEDチップ101に接触された状態であり、第2シリコンフィルム層103は第1フィルム層102に接触された状態とすることができる。
【0006】
以下、特に規定しない限り、本明細書において屈折率は約400nm波長の光に対して測定した屈折率を意味する。
【0007】
LEDに含まれるLEDチップの種類は、特に制限されず、公知のチップが用いられる。例えば、基板上に、半導体材料を積層して形成したLEDチップなどが用いられ、前記半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlNまたはSiCなどが例示されるが、これに限らない。LEDチップの発光波長は、例えば、250〜550nm、300〜500nmまたは330〜470nmとすることができる。前記発光波長は、主発光ピーク波長を意味する。LEDチップの発光波長を前記範囲に設定すると、より長い寿命を有し、エネルギー効率が高く、色再現性の高い白色LEDが得られる。
【0008】
一例として、前記第1及び第2フィルム層は、互いに相違する屈折率を有し、第1フィルム層が第2フィルム層よりも高い屈折率を有することができる。後述するように、第2フィルム層が蛍光体を含むものであれば、前記第1フィルム層と第2フィルム層との屈折率の比較において第2フィルム層の屈折率は前記蛍光体を含む状態での屈折率であるか、あるいは前記蛍光体を除いた状態での屈折率とすることができる。
【0009】
例えば、第1フィルム層は、400nmの波長の光に対して測定した屈折率が1.50以上または1.55以下とすることができる。また、第1フィルム層の前記屈折率の上限は、特に制限されず、例えば、約1.7以下、約1.65以下または約1.6以下の範囲で前記第1フィルム層の屈折率が決定される。
【0010】
第2フィルム層は、また400nm波長の光に対して測定した屈折率が1.6以下、1.6未満または1.55以上とすることができる。前記第2フィルム層の屈折率は、例えば、前記第2フィルム層が後述するように、蛍光体を含むものであれば、前記蛍光体を除いた第2フィルム層に対して測定した屈折率とすることができる。前記第2フィルム層の屈折率の下限は、特に制限されず、例えば、約1.3以上、約1.35以上、約1.4以上または約1.45以上の範囲で第2フィルム層の屈折率が決定される。
【0011】
LEDの構造において、例えば、第1及び第2フィルム層は、厚さがそれぞれ1〜300μmの範囲内とすることができる。例えば、第1フィルム層の厚さは、前記範囲内で約1〜250μm、約1〜200μm、1〜150μm、約1〜100μmまたは約1〜50μmの範囲内とすることができる。また、第2フィルム層は、厚さが約10〜300μm、約20〜300μm、約30〜300μm、約40〜300μm、約50〜300μm、約55〜300μm、約55〜250μm、約55〜200μmまたは約55〜150μm程度の範囲内とすることができる。このような範囲内で高い初期光束と共に、優れた色均一性と色分散特性が示される。
【0012】
第1及び第2フィルム層は、それぞれシリコン樹脂を含むシリコンフィルム層とすることができる。
【0013】
例えば、前記第1及び/または第2フィルム層は、(A)2つ以上の脂肪族不飽和結合を含むオルガノポリシロキサン及び(B)ケイ素原子に結合している水素原子を含むオルガノポリシロキサンを含む組成物を硬化させて形成したものとすることができる。
【0014】
上記において、(A)オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記化学式1の平均単位を有するオルガノポリシロキサンが例示される。
【0015】
P
aQ
bSiO
(4−a−b)/2 化学式1
【0016】
化学式1において、Pはアルケニル基であり、Qはエポキシ基または1価炭化水素基であり、a及びbは、a+bが0.8〜2.2または1〜2.2であり、a/(a+b)が0.001〜0.15とする数である。
【0017】
本明細書において、オルガノポリシロキサンが所定平均単位を有することは、そのオルガノポリシロキサンが所定平均単位を有する単一成分である場合は、当然2つ以上の成分の混合物であると共に、前記混合物内の各成分の組成の平均が、その所定平均単位に示す場合も含む。よって、前記(A)オルガノポリシロキサンは、前記化学式1の平均単位を有する単一の直鎖状、分枝鎖状または架橋型のオルガノポリシロキサンであるか、あるいは上記のうちの2つ以上の混合物とすることができる。
【0018】
本明細書において、用語「1価炭化水素基」は炭素及び水素からなる有機化合物またはその誘導体から誘導される1価残基を意味する。化学式1の1価炭化水素基は2つ以上の炭素を含み、他の例では、炭素数2〜25の1価炭化水素基とすることができる。1価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基またはアリール基などが例示される。
【0019】
本明細書において、用語「アルコキシ基」は、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味する。前記アルコキシ基は、直鎖状、分枝鎖状または環状の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。
【0020】
本明細書において、用語「アルキル基」は、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味する。前記アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。
【0021】
本明細書において、用語「アルケニル基」は、特に規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基を意味する。前記アルケニル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。
【0022】
本明細書において、用語「アリール基」は、特に規定しない限り、ベンゼン環を有するか、2つ以上のベンゼン環が連結または縮合された構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味する。すなわち、前記アリール基の範囲としては、通常にアリール基と呼称されるアリール基はもちろん、いわゆるアラルキル基(aralkyl group)またはアリールアルキル基なども含まれる。前記アリール基は、例えば、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜13のアリール基とすることができ、その例としては、フェニル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが例示され、好ましくはフェニル基が例示される。
【0023】
本明細書において、用語「エポキシ基」は、特に規定しない限り、3つの環構成原子を有する環状エーテル(cyclic ether)または該環状エーテルを含む化合物から誘導された1価残基を意味する。エポキシ基としては、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などが例示される。脂環式エポキシ基は、脂肪族炭化水素環の構造を含み、該脂肪族炭化水素環を形成している2つの炭素原子価もエポキシ基を形成する構造を含む化合物から来由される1価残基を意味する。脂環式エポキシ基としては、6〜12個の炭素原子を有する脂環式エポキシ基が例示され、例えば、3、4−エポキシシクロヘキシルエチル基などが例示される。
【0024】
本明細書において、1価炭化水素基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、エポキシ基またはアリール基などに任意に置換され得る置換基としては、ハロゲン、エポキシ基、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアネート基、チオール基または上述の1価炭化水素基などが例示されるが、これに限らない。
【0025】
化学式1において、Pはアルケニル基であって、これは後述する水素原子を含むオルガノポリシロキサンの水素原子と付加硬化反応することができる。一例として、前記アルケニル基は、(A)オルガノポリシロキサン、例えば前記化学式1のオルガノポリシロキサンに含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する前記アルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が0.05〜0.4または0.1〜0.35である量として存在することができる。前記モル比(Ak/Si)は0.05以上であり、0.4以下になるように調節し、LED素子が長期間駆動する場合にも安定的に信頼性を確保することができる。
【0026】
一例として、(A)オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合されるアリール基を1つ以上含むことができ、これにより、前記化学式1において、Qのうちの少なくとも1つはアリール基とすることができる。例示的なオルガノポリシロキサンとしては、全体ケイ素原子(Si)に対する前記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3以上、0.35以上または0.4以下とすることができる。この範囲において、LED素子の長期信頼性と輝度特性が安定的に確保され得る。前記モル比(Ar/Si)の上限は、特に制限することなく、例えば、1.2または1.5とすることができる。
【0027】
一例として、前記(A)オルガノポリシロキサンまたは化学式1のオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が2、000cP以上、3、000cP以上、4、000cP以上、5、000cP以上、7、000cP以上、9、000cP以上または9、500cP以下とすることができる。この範囲において、前記ポリシロキサンの加工性及び硬度特性などを適切に維持することができる。一方、前記粘度の上限は、特に制限することなく、例えば、前記粘度は、100、000cP以下、90、000cP以下、80、000cP以下、70、000cP以下または65、000cP以上とすることができる。
【0028】
一例として、前記(A)オルガノポリシロキサンまたは化学式1のオルガノポリシロキサンは、重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)が1、500以上、2、000以上、3、000以上、4、000以上または5、000以下とすることができる。本明細書において、用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算値を意味する。また、本明細書において、特に規定しない限り、用語分子量は重量平均分子量を意味する。この範囲において、前記ポリシロキサンの成形性、硬度及び強度特性などを適切に維持することができる。一方、前記分子量の上限は、特に制限することなく、例えば、前記分子量は、14、000以下、12、000以下または10、000以上とすることができる。
【0029】
例えば、(A)オルガノポリシロキサンまたは前記化学式1の平均単位のオルガノポリシロキサンは、下記化学式2の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンを含むことができる。
【0030】
(R
33SiO
1/2)
a(R
22SiO
2/2)
b(R
1SiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d 化学式2
【0031】
化学式2において、R
1及びR
2はそれぞれ独立的にアルコキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価炭化水素基であり、R
3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、R
1〜R
3のうちの少なくとも1つはアルケニル基であり、R
1〜R
3のうちの少なくとも1つはアリール基であり、a、b、c及びdの総合(a+b+c+d)は1であり、aは0〜0.5の数であり、bは0を超え0.8以下の数であり、cは0を超え0.8以下の数であり、dは0〜0.2である。
【0032】
化学式2の平均組成式において、a〜dは各シロキサン単位のモル比を表し、その総合(a+b+c+d)を1に換算した場合、aは0を超え0.5以下の数であり、bは0を超え0.8以下の数であり、cは0を超え0.8以下の数であり、dは0〜0.2の範囲内の数である。
【0033】
一例として、化学式2の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンは、上述のように、アルケニル基、アリール基及び/またはエポキシ基を含むことができ、その場合それぞれの包含割合は、上述のモル比を満足する範囲で決定される。
【0034】
(A)オルガノポリシロキサンまたは前記化学式1の平均単位のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記化学式3の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンを含むことができる。
【0035】
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
3R
4SiO
2/2)
b(R
5SiO
3/2)
c 化学式3
【0036】
化学式3において、R
1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R
2は炭素数2以上の1価炭化水素基であり、R
3及びR
4はそれぞれ独立的に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜25のアリール基であり、R
5は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜25のアリール基であり、R
2、R
3及びR
4のうちの少なくとも1つはアルケニル基であり、a+b+cを1に換算した場合、aは0.01〜0.10であり、bは0〜0.99であり、cは0.01〜0.30であり、b/aは5以上であり、b/cは5以上である。
【0037】
既に定義した1価炭化水素基の定義が、前記化学式1の「炭素数2以上の1価炭化水素基」に適用される場合には、各1価炭化水素基の炭素数の下限は2とすることができる。
【0038】
化学式3の平均組成式において、炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基とすることができる。前記アルキル基は、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。化学式1の平均組成式において、R
2は、好ましくはメチル基とすることができる。
【0039】
化学式3の平均組成式において、炭素数6〜25のアリール基は、他の例として、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜13のアリール基とすることができ、上記は任意に1つ以上の置換基で置換され得る。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などが例示され、好ましくはフェニル基が例示される。
【0040】
化学式3の平均組成式において、炭素数1〜20のアルキル基は、他の例として、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基とすることができ、前記アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。
【0041】
化学式3の平均組成式において、炭素数2〜20のアルケニル基は、他の例として、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基とすることができ、前記アルケニル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状の構造を有することができ、任意に1つ以上の置換基で置換され得る。
【0042】
化学式3において、R
2、R
3及びR
4のうちの少なくとも1つはアルケニル基とすることができる。一例として、前記アルケニル基は、前記化合物(A)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する前記アルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が0.001〜0.1または0.005〜0.1である量として存在することができる。このような範囲内において前記成分の他成分との反応性を適切に維持し、未反応成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができ、硬化物の亀裂耐性を良好に維持することができる。
【0043】
化学式3の平均組成式において、a、b及びcは各シロキサン単位のモル比を表し、その総合(a+b+c)を1に換算した場合、aは0.01〜0.10であり、bは0〜0.99であり、cは0.01〜0.30である。
【0044】
化学式3の平均組成式に示すオルガノポリシロキサンは、M単位、すなわち業界で通常(R
3SiO
1/2)を示す場合のいわゆる一官能性シロキサン単位、D単位、すなわち業界で通常(R
2SiO
2/2)を示す場合のいわゆる二官能性シロキサン単位、及びT単位、すなわち業界で(RSiO
3/2)を示す場合のいわゆる三官能性シロキサン単位を含むことができる。
【0045】
一例として、前記化学式3のポリシロキサンは、構造中のT単位から由来する構造(以下、「架橋構造」とする。)を有しながらD単位から由来する線形構造が十分に長い構造とすることができる。例示的なポリシロキサンは化学式1の平均組成式において、b/cが5以上、7以上、8以上または10以下とすることができる。また、前記平均組成式において、b/aは、5以上、8以上または10以下とすることができる。上記において、b/cの上限は、特に制限することなく、例えば、70、60、50または40とすることができる。また、b/aの上限も、特に制限することなく、例えば、110、100、90、80、70または60とすることができる。本明細書において、上記のようなシロキサン単位の割合を有するポリシロキサンは複合架橋構造のポリシロキサンと呼称され得る。ポリシロキサンが上記のような構造を有すると、適用用途に応じて適切な物性を示すことができる。
【0046】
一例として、化学式3の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合されるアリール基の1つ以上はD単位のケイ素原子に結合し得る。すなわち、例示的なポリシロキサンは、D単位のケイ素原子に結合されるアリール基を1つ以上含み、前記ポリシロキサンの全体ケイ素原子(Si)に対する前記D単位のケイ素原子に結合されるアリール基(Ar−D)のモル比(Ar−D/Si)が0.3以上、0.35以上または0.4以下とすることができる。前記例示において、前記モル比(Ar−D/Si)の上限は特に制限されず、例えば、1.2または1.5とすることができる。
【0047】
他の例において、化学式3の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合されるアリール基の1つ以上はT単位のケイ素原子に結合し得る。
【0048】
一例として、化学式3の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンは、下記化学式4の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンとすることができる。
【0049】
(R
1R
22SiO
1/2)
a(R
6R
7SiO
2/2)
l(R
8R
9SiO
2/2)
m(R
5SiO
3/2)
c 化学式4
【0050】
化学式4において、R
1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R
2は炭素数2以上の1価炭化水素基であり、R
6は炭素数6〜25のアリール基であり、R
7、R
8及びR
9はそれぞれ独立的に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜25のアリール基であり、R
5は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜25のアリール基であり、R
2、R
7、R
8及びR
9のうちの少なくとも1つはアルケニル基であり、a+l+m+cを1に換算した場合、aは0.01〜0.10であり、lは0〜0.90であり、mは0〜0.90であり、cは0.01〜0.30であるが、l及びmは同時に0とならず、(l+m)/aは5以上であり、(l+m)/cは5以上である。
【0051】
化学式4の平均組成式において、a、l、m及びcは、各シロキサン単位のモル比を表し、その総合(a+l+m+c)を1に換算した場合、aは0.01〜0.10であり、lは0〜0.90であり、mは0〜0.90であり、cは0.01〜0.30である。
【0052】
化学式4の平均組成式において、l及びmは同時に0とならない。また化学式4の平均組成式において、(l+m)/cは、5以上、7以上、8以上または10以下とすることができる。また、前記平均組成式において、(l+m)/aは、5以上、8以上または10以下とすることができる。上記において(l+m)/cの上限は、特に制限することなく、例えば、70、60、50または40とすることができる。また、(l+m)/aの上限は、特に制限することなく、例えば、110、100、90、80、70または60とすることができる。
【0053】
また、化学式4の平均組成式において、l及びmは両方とも0とはならない。l及びmが全部0でない場合、l/mは0.4〜2.0、0.4〜1.5または0.5〜1の範囲内とすることができる。
【0054】
一例として、化学式3または化学式4の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンは、下記化学式5または化学式6の単位を含むことができる。
【0055】
【化1】
【0056】
化学式5において、R
10、R
11及びR
12は、それぞれ独立的に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜25のアリール基であるが、R
10、R
11及びR
12のうちの少なくとも1つはアルケニル基である。
【0057】
【化2】
【0058】
化学式6において、R
5は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜25のアリール基であり、R
6は炭素数6〜25のアリール基であり、R
7、R
8及びR
9はそれぞれ独立的に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜25のアリール基であるが、R
7、R
8及びR
9のうちの少なくとも1つはアルケニル基である。
【0059】
化学式5において、R
12は、アリール基、例えば、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜13のアリール基またはフェニル基とすることができる。
【0060】
例示的なオルガノポリシロキサンは、化学式5または化学式6の単位を1つ以上含むことができる。化学式5または化学式6の単位は、オルガノポリシロキサンを形成するシロキサン単位のうちのD単位のケイ素原子とT単位のケイ素原子が酸素原子を媒介として直接結合される形態の単位である。一例として、上述のように、前記オルガノポリシロキサンが2つ以上の成分の混合物であると共に前記各成分の組成の平均が、化学式3または化学式4の平均組成式に示される場合でも前記オルガノポリシロキサンは下記化学式5または化学式6の単位を有する単一成分を少なくとも1つ含むことができる。化学式5または化学式6の単位を含むオルガノポリシロキサンは、例えば、後述するように、環状シロキサン化合物とケージ(cage)または部分ケージ(partial cage)構造のポリシロキサンを反応させて製造することができる。特に、前記方式を適用すると、化学式5または化学式6の単位を含みながらも、構造中のアルコキシ基が結合されたケイ素原子及びヒドロキシ基が結合されたケイ素原子などが最小化されたオルガノポリシロキサンの製造が可能である。
【0061】
一例として、化学式3または化学式4の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンは、
1H NMR測定により得られるスペクトルでケイ素原子に結合されたアルケニル基から由来する面積(Ak)に対し、ケイ素原子に結合されたアルコキシ基から由来するピークの面積(OR)の割合(OR/Ak)が0.05以下、0.03以下、0.01以下、0.005以下または0とすることができる。前記範囲において適切な粘度特性を示しながら、他の物性も良好に維持することができる。
【0062】
また、一例として、化学式3または化学式4の平均組成式を有するオルガノポリシロキサンは、KOH滴定により得られる酸価(acid value)が0.05mgKOH/g以下、0.03mgKOH/g以下、0.01mgKOH/g以下または0mgKOH/gとすることができる。前記範囲において、適切な粘度特性を示しながら、他の物性も良好に維持することができる。
【0063】
化学式3または4のオルガノポリシロキサンは、例えば、環構造のシロキサン化合物とケージ構造または部分ケージ構造のポリシロキサンを含む混合物の反応物とすることができる。上記において、環構造のシロキサン化合物としては、下記化学式7に示す化合物が例示される。また、ケージ構造のポリシロキサンは、下記化学式8の平均組成式に示すポリシロキサンとすることができ、部分ケージ構造のポリシロキサンは下記化学式9の平均組成式に示すポリシロキサンとすることができる。
【0064】
【化3】
【0065】
[R
eSiO
3/2] 化学式8
【0066】
[R
aR
b2SiO
1/2]
p[R
eSiO
3/2]
q 化学式9
【0067】
化学式7〜9において、R
a及びR
bは、それぞれ独立的に炭素数2以上の1価炭化水素基または炭素数1〜4のアルキル基であり、R
c及びR
dは、それぞれ独立的に炭素数6〜25のアリール基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2以上の1価炭化水素基であり、R
eはそれぞれ独立的に炭素数2以上の1価炭化水素基であり、oは3〜6であり、pは1〜2であり、qは3〜10である。
【0068】
化学式7〜9において、R
a、R
c、R
d及びR
eの具体的な種類とo、p及びqの具体的な数値、そして前記混合物内における各成分の割合は目的とする構造のオルガノポリシロキサンによって決定される。
【0069】
化学式7の化合物を化学式8の平均組成式に示すポリシロキサン及び/または化学式9の平均組成式に示すポリシロキサンと共に含む混合物を反応させると、目的とする構造、例えば、上述の部分架橋構造を有するオルガノポリシロキサンを十分な分子量で合成することができる。
【0070】
上記のような混合物を反応させると、合成されたポリシロキサン内でケイ素原子に結合しているアルコキシ基やヒドロキシ基のような官能基を最小化し、優れた物性を有する目的物を製造することができる。
【0071】
一例として、前記混合物は、下記化学式10に示す化合物をさらに含むことができる。
【0072】
(R
aR
b2Si)
2O 化学式10
【0073】
化学式10において、R
aは炭素数2以上の1価炭化水素基であり、R
bは炭素数1〜4のアルキル基である。
【0074】
化学式10において、1価炭化水素基及び炭素数1〜4のアルキル基の具体的な例は、化学式1の項目で記述したものと同一である。さらに、化学式9において、R
a及びR
bの具体的な種類と混合物への配合の割合は、目的とするオルガノポリシロキサンの構造によって決定される。
【0075】
一例として、前記混合物内の各成分の反応は、適切な触媒の存在下で行われる。よって、前記混合物は触媒をさらに含むことができる。
【0076】
前記混合物の含まれる触媒としては、例えば、塩基触媒があげられる。適切な塩基触媒としては、KOH、NaOHまたはCsOHなどのような金属水酸化物;アルカリ金属化合物とシロキサンを含む金属シラノラート(metal silanolate)またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylammonium hydroxide)またはテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(tetrapropylammonium hydroxide)などのような4級アンモニウム化合物などが例示されるが、これに限らない。
【0077】
混合物内において前記触媒の割合は、目的とする反応性などを考慮して適切に選択されることができ、例えば、混合物内の反応物の合計重量100重量部に対して0.01〜30重量部または0.03〜5重量部の割合で含まれる。本明細書において、特に規定しない限り、単位重量部は各成分間の重量割合を意味する。
【0078】
一例として、前記混合物の反応は、適切な溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、前記混合物内の反応物、すなわちジシロキサンまたはポリシロキサンなどと触媒が適切に混合されることができ、反応性に大きな影響を与えないものであれば、いかなる種類も使用することができる。溶媒としては、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼンまたはメチルエチルベンゼンなどの芳香族系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンまたはアセチルアセトンなどのケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジグライム、ダイオキシン、ジメチルダイオキシン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、メチルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN,N−ジエチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が例示されるが、これに限らない。
【0079】
上記反応は、例えば、前記反応物に触媒を添加して反応させて製造することができる。上記において、反応温度は、例えば、0〜150℃または30〜130℃の範囲内に調節することができる。さらに、前記反応時間は、例えば、1時間〜3日の範囲内に調節することができる。
【0080】
第1及び/または第2フィルム層を形成する組成物は、(B)ケイ素原子に結合した水素原子を有するケイ素化合物を含むことができる。前記ケイ素化合物は、前記水素原子を1つ以上または2つ以上有することができる。
【0081】
(B)化合物は、成分(A)を架橋させる架橋剤として作用することができ、具体的には、前記(B)化合物の水素原子と(A)成分中のアルケニル基とが付加反応して、架橋及び硬化が進行され得る。
【0082】
(B)化合物としては、分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を含むものであれば、多様な種類が用いられる。(B)化合物の分子構造には、特に制限がなく、従来の付加反応型の組成物において架橋剤として使用するものであれば、すべて使用することができる。前記(B)化合物は、線型、分枝型、環型または架橋型のオルガノポリシロキサンとすることができる。(B)化合物は、1つの分子中にケイ素原子価2〜1000個または3〜300個の化合物とすることができる。
【0083】
一例として、(B)化合物としては、下記化学式11の平均単位を有するオルガノポリシロキサンが使用される。
【0084】
H
cQ
dSiO
(4−c−d)/2 化学式11
【0085】
化学式11において、Qはエポキシ基または1価炭化水素基であり、c及びdはc+dが1〜2.8であり、c/(c+d)が0.001〜0.34とする数である。
【0086】
一例として、(B)化合物または前記化学式11のオルガノポリシロキサンに含まれる全体ケイ素原子(Si)に対するケイ素原子結合水素原子(H)のモル比(H/Si)を0.2〜0.8または0.3〜0.75とすることができる。前記モル比を0.2以上に調節して組成物の硬化性を良好に維持し、さらに0.8以下に調節して亀裂耐性及び耐熱衝撃性などを良好に維持することができる。
【0087】
(B)化合物または化学式11の平均単位を有するオルガノポリシロキサンは、少なくとも1つのアリール基を含むことができ、これにより、化学式11において、Qのうちの少なくとも1つはアリール基とすることができる。これにより、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。前記アリール基は、(B)化合物または化学式11のオルガノポリシロキサンに含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する、前記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3〜1.5または0.4〜1.2である量として存在することができる。前記モル比(Ar/Si)を0.3〜1.5に調節して硬化性組成物の物性を適切に維持することができる。
【0088】
(B)化合物または化学式11の平均単位を有するオルガノポリシロキサンは、25℃での粘度が0.1〜100、000cP、0.1〜10、000cP、0.1〜1、000cPまたは0.1〜300cPとすることができる。(B)化合物または化学式11の平均単位を有するオルガノポリシロキサンが上記のような粘度を有すると、組成物の加工性などを良好に維持することができる。
【0089】
(B)化合物または化学式11の平均単位を有するオルガノポリシロキサンは、例えば、1、000未満または800未満の分子量を有することができる。分子量が1、000以上であれば、硬化物の強度が低下する恐れがある。前記分子量の下限は特に制限されず、例えば、250とすることができる。(B)化合物または化学式11の平均単位を有するオルガノポリシロキサンの場合、分子量は重量平均分子量であるか、あるいは化合物の通常の分子量を意味する。
【0090】
一例として、(B)化合物は、下記化学式12に示す化合物とすることができる。
【0091】
【化4】
【0092】
化学式12において、Rはそれぞれ独立的に水素、アルコキシ、ヒドロキシ基、エポキシ基、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアネート基または1価の炭化水素基であり、nは1〜100である。
【0093】
化学式12の化合物は、分子鎖の両末端がケイ素原子に結合された水素原子により封鎖されている。必要に応じて、化学式12において分子の側鎖に存在するRのうちの1つ以上も水素原子とすることができる。
【0094】
化学式12において、nは1〜100、1〜50、1〜25、1〜10、1〜5または1〜3または1〜2とすることができ、これにより、硬化物の強度及び耐クラック特性を良好に維持することができる。
【0095】
(B)化合物を製造する方法には特に制限がなく、例えば、ポリシロキサン化合物の製造に通常に公知とされた方式を適用するか、あるいは前記(A)化合物に準ずる方式を適用して製造することができる。
【0096】
一例として、(B)化合物の含量は、(A)オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基(Ak)全体に対する(B)化合物に含まれるケイ素原子に結合した水素原子(H)のモル比(H/Ak)が0.8〜1.2、0.85〜1.15または0.9〜1.1になる範囲で選択され得る。(B)化合物の含量は、重量割合としては、例えば、(A)化合物100重量部に対して、50〜500重量部または50〜400重量部の範囲とすることができる。
【0097】
一例として、前記第1フィルム層は、ケイ素原子に結合されるアリール基を1つ以上含むことができる。これにより、前記第1フィルム層を形成する組成物の(A)または(B)化合物は前記アリール基を含むことができる。第1フィルム層としては、例えば、第1フィルム層の全体ケイ素原子(Si)に対する前記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3以上、0.35以上または0.4以下とすることができる。この範囲において、LED素子の長期信頼性と輝度特性が安定的に確保され得る。前記モル比(Ar/Si)の上限は、特に制限することなく、例えば、2.0、1.5または1.2とすることができる。
【0098】
一例として、前記第1フィルム層は、ケイ素原子に結合されるエポキシ基を含むことができる。これにより、前記第1フィルム層を形成する組成物の(A)または(B)化合物は前記エポキシ基を含むことができる。第1フィルム層としては、例えば、第1フィルム層の全体ケイ素原子(Si)に対する前記エポキシ基(E)のモル比(E/Si)が0.001〜0.15または0.005〜0.1とすることができる。この範囲において、LEDチップとのフィルム層との接着性や素子の長期信頼性などが安定的に確保され得る。
【0099】
第1及び/または第2フィルム層を形成する硬化性組成物は、ヒドロシリル化触媒をさらに含むことができる。前記ヒドロシリル化触媒は、上述した(A)オルガノポリシロキサンのアルケニル基と(B)化合物のケイ素原子結合水素原子の反応を促進するために使用することができる。ヒドロシリル化触媒としては、この分野で公知とされた通常の成分をすべて使用することができる。このような触媒の例としては、白金、パラジウムまたはロジウム系触媒などがあげられる。本出願では、触媒効率などを考慮し、白金系触媒を使用することができ、このような触媒の例としては、塩化白金酸、四塩化白金、白金のオレフイン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体または白金のカルボニル錯体などがあげられるが、これに限らない。
【0100】
ヒドロシリル化触媒の含量は、いわゆる触媒量、すなわち触媒として作用することができる量に含まれる限り、特に制限されない。通常に、白金、パラジウムまたはロジウムの原子量を基準に、0.1〜500ppm、好ましくは0.2〜100ppmの量で使用することができる。
【0101】
第1フィルム層は、高屈折フィラーを含むことができ、これにより前記第1フィルム層を形成する組成物は、例えば、高屈折フィラーをさらに含むことができる。用語の「高屈折フィラー」は、400nmの波長の光に対する屈折率が1.55以上のフィラーを意味する。このような高屈折フィラーを使用して第1フィルム層の屈折率を効果的に調節することができる。前記高屈折フィラーの屈折率の上限は、特に制限されず、目的とするフィルム層の屈折率を考慮して適正範囲に調節することができる。
【0102】
高屈折フィラーの種類は、上述の屈折率を示す限り、特に制限されず、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、五酸化ニオブ、五酸化タンタル、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫、酸化亜鉛、ケイ素、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムまたは酸化マグネシウムなどの1種または2種以上とすることができる。
【0103】
第1フィルム層を形成する硬化性組成物において、高屈折フィラーの割合や粒径などは、特に制限がなく、例えば、目的とする第1フィルム層の屈折率などを考慮して適正範囲を選択することができる。
【0104】
第1フィルム層は散乱粒子を含むことができ、これにより、前記第1フィルム層を形成する組成物は、必要に応じて散乱粒子をさらに含むことができる。本明細書において、用語「散乱粒子」は、例えば、周囲環境、例えば、第1フィルム層の場合、前記散乱粒子を除いた第1フィルム層の屈折率とは異なった屈折率を有し、また適切な大きさを有して入射される光を散乱、屈折または拡散させることができる粒子を意味する。例えば、前記散乱粒子は、前記散乱粒子を除いた第1フィルム層よりも低いか、あるいは高い屈折率を有することができる。例えば、散乱粒子は、前記散乱粒子を除いた第1フィルム層との屈折率差の絶対値が約1.0以下、約0.9以下、0.8以下または0.7以上とすることができる。前記屈折率差は、例えば、約0.15以上、0.2以上または約0.4以下とすることができる。また、散乱粒子は、例えば、平均粒径が100nm以上または200nm以下とすることができる。前記散乱粒子の平均粒径は、20000nm以下、15000nm以下、10000nm以下、5000nm以下、1000nm以下または500nm以下とすることができる。散乱粒子は、球形、楕円形、多面体または無定形のような形状を有することができるが、前記形態は特に制限されない。散乱粒子としては、例えば、ポリスチレンまたはその誘導体、アクリル樹脂またはその誘導体、シリコン樹脂またはその誘導体、またはノボラック樹脂またはその誘導体などのような有機材料、またはシリカ、アルミナ、酸化チタンまたは酸化ジルコニウムのような無機材料を含む粒子が例示される。散乱粒子は、上記材料のうちいずれか1つの材料のみを含むか、上記のうちの2種以上の材料を含んで形成され得る。例えば、散乱粒子として中空シリカ(hollow silica)などのような中空粒子またはコア/セル構造の粒子が使用することができる。
【0105】
このような散乱粒子は、例えば、第1フィルム層内における重量割合が約0.1〜30重量%または約0.5〜10重量%になるように含まれることができ、このような割合内で適切な散乱特性を確保することができる。
【0106】
第2フィルム層は蛍光体を含むことができ、したがって前記第2フィルム層を形成する組成物は、蛍光体をさらに含むことができる。蛍光体では特に制限がなく、公知の蛍光体を使用することができ、例えば、目的に応じて通常に公知とされたシリケート系蛍光体、ナイトライド系蛍光体またはYAG(Yttrium aluminium garnet)などが使用される。
【0107】
蛍光体の割合は必要に応じて調節することができ、例えば、蛍光体は、第2フィルム層内における重量割合が約5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上または50重量%以上程度になるように含まれることができ、前記蛍光体は、第2フィルム層内において、さらに90重量%以下、80重量%以下または70重量%以下程度になるように含まれる。
【0108】
必要に応じて第1フィルム層も蛍光体を含むことができ、したがって前記第1フィルム層を形成する組成物は、蛍光体をさらに含むことができる。この場合使用することができる蛍光体の種類及び第1フィルム層内での割合などは、特に制限がなく、例えば前記第2フィルム層での内容が同様に適用され得る。
【0109】
第1フィルム層及び/または第2フィルム層は、無機フィラー、例えば、上述した高屈折フィラーや散乱粒子または蛍光体を除いた無機フィラーをさらに含むことができ、これにより、前記第1及び/または第2フィルム層を形成する組成物は前記無機フィラーを含むことができる。
【0110】
このような場合に使用される無機フィラーの種類やその割合は、特に制限されず、目的に応じて適正に選択することができる。
【0111】
第1及び/または第2フィルム層を形成する硬化性組成物は、また、接着性の追加的な向上の観点から、接着性付与剤をさらに含むことができる。接着性付与剤は、組成物または硬化物に自己接着性を改善することができる成分であって、特に金属及び有機樹脂に対する自己接着性を改善することができる。
【0112】
接着性付与剤の例としては、ビニル基などのアルケニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基及びフェニル基からなる群から選択される1種以上、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン;または2〜30、好ましくは4〜20個のケイ素原子を有する環状または直鎖状シロキサンなどの有機ケイ素化合物があげられるが、これに限らない。本出願では、上記のような接着性付与剤の1種または2種以上の混合が使用される。
【0113】
接着性付与剤が組成物に含まれる場合、その含量は、目的とする接着性改善効果などを考慮して適切に変更することができる。
【0114】
第1及び/または第2フィルム層を形成する硬化性組成物は、必要に応じて、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−1−ブチン−2オール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンまたはエチニルシクロヘキサンなどの反応抑制剤;エポキシ基及び/またはアルコキシシリル基を有する炭素官能性シラン、その部分加水分解縮合物またはシロキサン化合物;ポリエーテルなどに併用されることができる煙霧状シリカなどの揺変性付与剤;銀、銅またはアルミニウムなどの金属粉末や、各種カーボン素材などのような導電性付与剤;顔料または染料などの色調調整剤などの添加剤を1種または2種以上をさらに含むことができる。
【0115】
上記のような硬化性組成物を使用して前記LEDを製造する方法には、特に制限がなく、例えば、LEDチップの上部に各硬化性組成物を順次コーティング及び硬化させるか、あるいはフィルム上に各硬化性組成物を形成した後にこれをLEDチップの上部に順に転写する方式が使用される。
【0116】
例えば、前記製造方法はLEDチップ上に前記第1シリコンフィルムを転写し、前記第1シリコンフィルム上に前記第2シリコンフィルムを転写することを含む。
【0117】
上記において、第1及び/または第2シリコンフィルムを形成する方法は、特に制限されない。例えば、上述の各フィルムを形成する硬化性組成物を適正な離形表面を有する支持体上に目的とする厚さを考慮してコーティングした後に必要であれば前記コーティング層を乾燥、半硬化または完全硬化させて形成することができる。例えば、第1及び第2フィルム層を形成するコーティング層を乾燥または適切に半硬化させた状態において、まずは第1フィルム層をLEDチップに転写した後に適正温度範囲で維持し、再びその上部に第2フィルム層を転写した後に完全に硬化させる方式などが適用される。
【0118】
この過程において、適用される乾燥、半硬化または硬化条件は、特に制限されず、使用される組成物の組成を考慮して変更され得る。
【0119】
本出願は、さらに前記LEDの用途に関する。前記LEDは、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)のバックライト、照明、各種センサ、プリンタ、複写機などの光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾または各種ライトなどに効果的に適用することができる。