(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
図1〜
図4に、本実施形態にかかるベルトコンベア機構が用いられる冷却機械1を示す。
冷却機械1は、詳細は後述するが樹脂、グラスファイバ若しくは金属からなるハウジング2内に被冷却物を搬送するベルトコンベア機構3と、被冷却物を冷却若しくは冷凍する冷風を生成する熱交換部4とを収容して構成される。
被冷却物はここでは食品を対象とし、例えば肉類、レトルト食品等の各種食品、包装されたもの、またはそれらの加工途中品も含む。
【0021】
ハウジング2は、繊維強化プラスチック(FRP)及び断熱材で構成され、少なくともハウジング2の凹面形状の底面部2bから両側壁2s内にかけて埋設した支持枠体5を具備する。
ハウジング2は筒体状の複数のハウジングモジュール2uを長手方向に任意数連接して構成される。
ハウジング2をFRP及び断熱材で構成したことにより、造形性が自在であり、設計に自由度が増す。すなわち表面が円滑であり、連続的な平面及び曲面で構成され、これまでのような冷却機械のハウジングに比較して、直角状態の隅角部はないので洗浄しやすく、表面に長期に亘る使用によっても異物などの滞留を防止して、衛生性の維持を図ることができる。
【0022】
またハウジング2には、その両端側に夫々食品の入口開口と出口開口とを備えたハウジングモジュール入口部2uiとハウジングモジュール出口部2uoとが設けられている。
すなわちハウジングモジュール入口部2uiには食品の入口開口2inが、ハウジングモジュール出口部2uoには食品の出口開口2outが設けられている。
また、ハウジングモジュール入口部2uiにおける入口開口2in並びにハウジングモジュール出口部2uoにおける出口開口2out近傍のハウジング内壁面が、先細状で且つ連続的な平面及び曲面で構成されている。
【0023】
ハウジングモジュール入口部2uiおよびハウジングモジュール出口部2uoは、食品の入口開口2inおよび出口開口2outが大きく開口されるように、周知の開閉機構(図示省略)によって開閉可能な蓋部2tを具備する。
出口開口2outおよび入口開口2inに至る蓋部2tを開口させて、入口開口2inおよび出口開口2outを大きく開放することで、ハウジング2の内壁面の洗浄が容易となり、洗浄水を汚れと共に留まることなく底面部2bに流下して排出することができる。
このようにハウジング内空間の清掃や、ベルトコンベア機構3若しくは熱交換部4の点検作業の容易化を図っている。
【0024】
さらに、ハウジングモジュール出口部2uoには、ハウジング2内空間を、後述する冷気噴出部によって冷却される冷気を循環させる冷却ゾーンと食品の搬出ゾーンとに仕切る仕切壁2wが設けられている。一方、ハウジングモジュール入口部2uiにおいても同様、食品の導入ゾーンと冷却ゾーンとに仕切る仕切壁(図示省略)が設けられている。
これにより、熱交換部4で生成され冷却ゾーンで循環される冷気の漏出が減じられ、且つ外部からの異物が冷却ゾーン内に侵入するのを抑制することができる。
【0025】
ハウジング2の底面部2bから両側壁2s内にかけて埋設した支持枠体5は、ハウジング2の両側壁2s内に埋設した支柱部5pと、ハウジング2の底面部2bに埋設した基部枠部5fと、ハウジング2の空間部中間で支柱部5p間を連結してベルトコンベア機構3と冷気噴出部(後述)とを懸架支持する梁部5bと、を含む(
図4参照)。また、基部枠部5fには、ハウジング2を設置床面にがたつきなく接地させるための接地調整部材5gが取着されている。
【0026】
このような構造とすることにより、ベルトコンベア機構3下方から底面部2b間にかけて開放空間が形成され、かかる開放空間はハウジングモジュール入口部2uiからハウジングモジュール出口部2uoまで通じる空間であり、点検、清掃等に活用することができる。
またかかる開放空間によって、後述するが熱交換部4から冷気噴出部、ベルトコンベア機構3、予備冷却器40を通じて熱交換部4へ戻る冷気循環路が形成され、冷気の良好な循環を促進させることができる。
【0027】
次に、以上のようなハウジング2内に配置されるベルトコンベア機構3について説明する。
ベルトコンベア機構3は、ハウジング2内において、最後尾のハウジングモジュール入口部2uiにおける食品の入口開口2inから、先頭のハウジングモジュールであるハウジングモジュール出口部2uoの出口開口2outに至るように、ハウジング2長手方向に沿って配置されている。
またベルトコンベア機構3のベルトコンベア6は、支持枠体5の梁部5bから垂下される一対の垂下枠5d、5dに直交し、且つ互いに対向するように取り付けられた支持台5e、5eを介し、架け渡された支承部材5rに支承される。
【0028】
ベルトコンベア機構3は、食品を載置して、食品の搬送に用いられるベルトコンベア6を備えている(
図5参照)。ベルトコンベア6は、連結部7によって互いに無端状に連結した長方形状の複数のベルトコンベア板6nで構成される。ベルトコンベア板6nには、可撓性に富んだ、例えばSUS製の薄板(例えば厚さ0.3mm)を用いており、表面に一間隔ごとに複数の穴ph(以下、パンチング穴ph)が穿設されている。そしてこれらベルトコンベア板6nは、ハウジング長手方向に沿って配設された複数の支承部材5r上に、弛まないように、かつ移送可能に支承されている。
【0029】
支承部材5rは、例えば食品を支える上部側のベルトコンベア板6n群が4つ、食品を搬出した後の下部側のベルトコンベア板6n群は、2つ、移送方向に平行若しくは交叉する方向に配設されている。食品を支える上部側のベルトコンベア板6n群を4つの支承部材5rで支えるようにしたのは、食品を支える上部側のベルトコンベア板6n群は、ベルトコンベア板6n群の荷重に加えて、直接、食品の重みが加わっているからである。なお、支承部材5rは、ベルトコンベア6の幅によって増減することができる。
【0030】
次に、連結部7は、
図5、
図6、
図7に示すように、隣接するベルトコンベア板6nを連結するために、移送方向の側部に直交する方向の端面に沿って取着した連結枠部材7a、7bとこれら連結枠部材7a、7bを互いに回動自在に連結する連結治具7cを備えている。連結枠部材7a、7bは、櫛歯状に、且つ、軸方向に互い違いに、連結治具7cを挿通する挿通パイプ7pが形成されている。
【0031】
また、ベルトコンベア板6nには、
図5、6に示すように、無端状に連結した複数のベルトコンベア板6nの移送方向の側部に沿って噛合穴8が穿設され、かかる噛合穴8に噛合うスプロケットホイール9が設けられる。スプロケットホイール9は、外周方向に、前述のベルトコンベア板6nの噛合穴8にずれることなく噛合可能に、歯9tが列設されている。
【0032】
連結部7は、双方のベルトコンベア板6nを連結する際、連結部7の連結治具7cが、双方のベルトコンベア板6nにおける噛合穴8間の離間距離の中間位置に位置させている。
そしてスプロケットホイール9には、
図8、9に示すように、隣り合う歯9tの間にベルトコンベア板6nにおける連結部7を受容する、逃げスペースたる凹部9dが形成されている。この場合、凹部9dは、隣り合う歯9tをそれぞれ径方向に貫く、中心軸間の距離の中間に位置する。
【0033】
なお、ベルトコンベア板6nが巻き掛けられるスプロケットホイール9近傍には、ベルトコンベア板6nを支える支承部材5rの端部が延在しており、かかる端部は、スプロケットホイール9と干渉しないようにするために、スプロケットホイール9から退避するように湾曲されている。
【0034】
さらに、ベルトコンベア板6nは、
図10に示すように、スプロケットホイール9の他、スプロケットホイール9と同軸的に設けられた複数の支持ホイール10とにより、移送可能に支持されており、支持ホイール10には、ベルトコンベア板6nと接する外周に隣り合うベルトコンベア板6n同士を連結する連結部7を受容する凹部9dが設けられている。
以上のような構成によりスプロケットホイール9が回転させられて噛合穴8を介して動力が伝達され、ベルトコンベア板6nをハウジング長手方向に沿って配設された複数の支承部材5r上において順次移送する構成である。
【0035】
次に、支持枠体5で支持される熱交換部4について説明する。
熱交換部4は、ハウジング2の空間部中間で支柱部5p間を連結する梁部5bに支持される(
図2、
図4参照)。
熱交換部4は、
図3、
図11に示すように、ハウジング2を構成する複数のハウジングモジュール2uに、それぞれのハウジングモジュール2uの長手方向に沿って、両側部近傍において、ハウジングモジュール2uの両端部間に立設したヘッダ11、11間を互いに平行状に連通連絡する冷媒管群(複数の冷媒管12)からなる一対の熱交換体13を有する。この場合、冷媒管12は、
図12に示しているように、管外周面にフィンのない、フィンレスチューブ(裸管)で構成されている。
すなわち、熱交換体13は、冷媒管12の長さ寸法とヘッダ11、11間の間隔がなす、平面を熱交換領域としたもので、長尺な長方形状の枠体fによって、複数の冷媒管12が微小な間隔ごとに互いに平行に支えられ、ヘッダ11、11の一方から、外部冷凍設備からの冷媒(例えば低温CO2液)を導入して複数の冷媒管12を通過させ、他方のヘッダ12から冷媒を回収して再び、外部冷凍設備に冷媒を戻すというものである。
【0036】
さらに、熱交換体13には、複数の冷媒管12に対向して配置され、各冷媒管12に対面した位置に各冷媒管12の軸方向に沿って形成された穴群を有する通気板13rと、穴群から周囲空気を吸引し、穴群を通過した空気が複数の冷媒管12に衝突する空気流を形成させる誘引ファン(後述)と、を備えている。
この場合、通気板13rは、複数の冷媒管12を支える枠体fに、図中、縦方向に、4枚、ボルト等で止め付けられている。また通気板13rには、4本の冷媒管12の軸方向に沿って、穴群、すなわち複数の穴hが4列に亘って穿設されている。
以上のような構成により、熱交換体13では、
図13に示すように、吸引空気が通気板13rを通過する際に、複数の穴hを通過することにより、通気圧が高められて流速が増し、これによって、吸引空気は噴流となってフィンレスチューブである、複数の冷媒管12に当たる、いわゆる衝突噴流型としている。
【0037】
また、熱交換部4は、
図3に示すように、一対の熱交換体13を挟むハウジング2内空間の中央空間側に、ハウジング2内空間長手方向、すなわちベルトコンベア6の搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれずらして、且つそれぞれの熱交換体13にファン14fを向けて誘引ファン14が配置されている。この場合、誘引ファン14には、ターボファンを採用することができる。
ハウジング2内空間、特にハウジング2内空間の幅方向の寸法に対し、誘引ファン14のモータ部14mからファン14fまでの寸法により、二つの誘引ファン14を、ハウジング2内空間の幅方向に、一直線上に配置できなくても、ベルトコンベア6の搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれずらすことにより、それぞれの誘引ファン14を、熱交換体13、13にファン14fを向けるように配置することができる。
【0038】
誘引ファン14と熱交換体13とには、
図3に示すように、傾斜ダクト15が介在される。
傾斜ダクト15は、ハウジング2の中央空間側において、一対の熱交換体13、13とそれぞれ対向配置された誘引ファン14のファン14fとの間に、それぞれ互い違いに配置され、熱交換体13からファン14fに至る吸入空間を画成している。
これにより、誘引ファン14は、それぞれハウジング内空気を熱交換体13から傾斜ダクト15を通じてのみ吸引し、複数の穴hを穿設した通気板13rを介して、熱交換体13を構成する複数の冷媒管12間を通気させることで、空気を冷媒管12に噴流として衝突させ、空気と冷媒管12との熱交換作用によって、空気を冷却する構成である。
そして、熱交換体13を通過することで冷却された空気を、誘引ファン14により後述する冷気噴出部に供給して冷気噴出部を介して、ベルトコンベア機構3のベルトコンベア6上の食品に噴射して食品を冷却するようにしている。
【0039】
そこで、冷気噴出部20について説明する。冷気噴出部20は、ハウジング2の空間部中間で支柱部5p間を連結する梁部5bの垂下枠5d、5dに支承される(
図4参照)。すなわち、冷気噴出部20は、ベルトコンベア6の食品配置面に、食品と対面して配置されている。
【0040】
冷気噴出部20は、ベルトコンベア6に沿って略全長に亘り配設されている。冷気噴出部20は、
図14、
図15に示すように、食品に向かって形成される冷気通路をスリットノズルとして、実質的に第1枠体、第2枠体(以下、固定枠体21、可動枠体22)で構成される。
すなわち、固定枠体21および可動枠体22には、それぞれ冷気通路を形成する漏斗状断面の一対の壁体23のうちの一方の壁体24と、他方の壁体25が一体に形成される。また、冷気通路における漏斗状断面と交差する方向の両端の開口を遮蔽する第1の端板26aおよび第2の端板26bが設けられている。
【0041】
固定枠体21は、ベルトコンベア6を構成するベルトコンベア板6nの幅方向、すなわち漏斗状断面と交差する方向に平行に延在する冷気増速部(傾斜部24a)と助走部24bとを有する。
【0042】
可動枠体22は、固定枠体21の一方の壁体24と相対する他方の壁体25として、冷気増速部(傾斜部25a)と助走部25bとを有し、固定枠体21上に、ベルトコンベア板6nの幅方向に直交する方向に相対位置を調整可能に(摺動可能に)配置される。
固定枠体21の一方の壁体24の助走部24bに対し、可動枠体22の他方の壁体25の助走部25bを近接離間することで、固定枠体21および可動枠体22の一対の壁体23のそれぞれの助走部24b、25b先端側に、開口間隔の調節が可能な先端噴出口27としている。
【0043】
また、固定枠体21と可動枠体22とには、以下のように可動枠体22は、固定枠体21上での可動範囲が規制されるようになっている。
このために、固定枠体21には、可動枠体22が載置される支持面を有する支持部28が形成され、可動枠体22には、固定枠体21の支持部28の支持面に載置される係止面を有する係止部29が形成されている。
そして、可動枠体22の係止部29に、一対の壁体23の間隔を変更可能な方向に長辺を有する長穴30が形成されると共に、固定枠体21の支持部28に、長穴30に挿通される突部b(以下、ボルトb)が設けられ、一対の壁体23の間隔は、長穴30内におけるボルトbの移動によって調整可能としている。
さらに、可動枠体22の係止部29には、可動枠体22を移動させる操作のための把持部、すなわち把持穴31が設けられている。
【0044】
以上のような冷気噴出部20に、誘引ファン14を通じて吸引された冷気を通過させる際、
図16、
図17に示すように、冷却すべき食品に対応して固定枠体21の助走部24bに対し、可動枠体22の助走部25bを近接離間するようにする。これにより、助走部24b、25b先端側の先端噴出口26の開口間隔が調節され、冷気の噴射圧を調節し、冷却能力の調節を行っている。
【0045】
さらに、冷気噴出部20は、前述の冷気噴出部20により食品に噴射して食品を冷却した後の空気を衝突噴流型の熱交換器である熱交換体13に戻す前に、予備的に冷却を行う予備冷却器40を具備する(
図4参照)。
予備冷却器40は、食品の冷却によって昇温し、水分が含まれる空気を冷却することで、水分を霜として除去して空気から水分を分離させ、熱交換体13に添設される通気板13rの霜による目詰まりを防止するようにしている。
【0046】
以上のような冷却機械1において、構築手順、並びに、冷却手順、動作作用について説明する。
かかる冷却機械1のハウジング2は、自由に長手方向に連接できるハウジングモジュール構造であるので、ベルトコンベア機構3のベルトコンベア6の構造とも相俟って、処理される食品の量、種類に対応して、ハウジングモジュール2uを複数連接して、全長を調整して、冷却機械1を構築することができる(
図1参照)。
【0047】
冷却機械1のハウジング2が構築されると、ハウジング2の全長に合わせて、ベルトコンベア板6nを複数枚連結して、無端状のベルトコンベア6として、最後尾のハウジングモジュール入口部2uiにおける食品の入口開口2inから、先頭のハウジングモジュール出口部2uoの出口開口2outに至る長さのベルトコンベア機構3を構築することができる。
【0048】
ベルトコンベア板6nを複数枚連結して、無端状のベルトコンベア6とする際、各ベルトコンベア板6nは、短手方向両端側に設けられた連結部7を用いる。
連結すべき双方のベルトコンベア板6nの連結枠部材7a、7bを櫛歯状に噛み合わせ、かかる櫛歯状に噛み合わせた連結枠部材7a、7bに連結治具7cを挿設することで、双方のベルトコンベア板6nを連結し、順次、同様の作業により複数枚のベルトコンベア板6n同士を連結して無端状のベルトコンベア6として形成することができる(
図7、
図5参照)。
【0049】
次いで、ベルトコンベア6に、動力伝達手段であるスプロケットホイール9の歯9tを、ベルトコンベア板6nの長手方向両端側の噛合穴8に係合させることで、動力伝達可能にスプロケットホイール9をセットすることができる。このとき、スプロケットホイール9と同軸的に設けられた支持ホイール10も同時にセットすることができる。
ベルトコンベア板6nは、可撓性に富んだ、SUS製の薄板(例えば厚さ0.3mm)であるので、スプロケットホイール9および支持ホイール10に、柔軟に撓ませてセットすることができる。
【0050】
そして、かかるベルトコンベア機構3をハウジング2にセットする際、支持枠体5の梁部5bから垂下される一対の垂下枠5d、5dに、直交するように互いにベルトコンベア6は、対向するように取り付けられた支持台5e、5eに架け渡された支承部材5rに支承される。この時、支承部材5rは、ベルトコンベア板6nのうち、例えば食品を載置する上部側のベルトコンベア板6nを支える支承部材5rが4つ、下部側のベルトコンベア板6nを支える支承部材5rが2つとしているので、食品を載置する上部側のベルトコンベア板6nが食品の重みによる撓みを抑え、安定して食品を搬送することができる。
【0051】
以上のように、ベルトコンベア機構3は、ベルトコンベア6が、ハウジング2に支持枠体5の梁部5bから垂下される一対の垂下枠5d、5dに支持台5e、5e、支承部材5rを介して支承されるので、ハウジング2のベルトコンベア機構3下方から底面部2b間にかけて開放空間が形成され、かかる開放空間はハウジングモジュール入口部2uiからハウジングモジュール出口部2uoまで通じる空間となり、点検、清掃等に活用することができる。
またかかる開放空間によって、後述するが熱交換部4から冷気噴出部20、ベルトコンベア機構3、予備冷却器40を通じて熱交換部4へ戻る冷気の良好な循環を促進させることができる。
【0052】
次に、冷却機械1の冷却手順、動作作用について説明する。
各ハウジングモジュール2nを長手方向に連接したハウジング2において、最後尾のハウジングモジュールであるハウジングモジュール入口部2uiの食品の入口開口2inから食品がハウジング2内に導入されると、食品は、ベルトコンベア機構3により、ハウジングモジュール入口部2uiにおける食品の入口開口2inから、先頭のハウジングモジュール出口部2uoの出口開口2outに至るまで搬送される。
【0053】
ハウジングモジュール入口部2uiの入口開口2inから食品を導入する際に、入口開口2inに至る蓋部2tを開口させることで、食品を容易にベルトコンベア6に載せることができる。
また、ハウジングモジュール出口部2uoの出口開口2outから食品を取り出す際に、出口開口2outに至る蓋部2tを開口することで、食品を容易にベルトコンベア6から取り出すことができる。
【0054】
なお、ハウジングモジュール入口部2uiおよびハウジングモジュール出口部2uoは、出口開口2outおよび入口開口2inに至る蓋部2tを開口させることで、ハウジング2の内壁面の洗浄が容易となり、洗浄水を汚れと共に留まることなく底面部2bに流下して排出することができる。また、ベルトコンベア機構3若しくは熱交換部4の点検作業の容易化を図ることができる。
【0055】
スプロケットホイール9によってベルトコンベア板6nを移送させる際、スプロケットホイール9の歯9tを、ベルトコンベア板6nの噛合穴8に係合させる。
その際、ベルトコンベア板6nと隣接するベルトコンベア板6nを連結する連結部7は、スプロケットホイール9における歯9tと歯9tとの間の凹部9dに受容することで、スプロケットホイール9からの回転力を支障なくベルトコンベア板6nに伝達することができる。
【0056】
また、ベルトコンベア板6nは、スプロケットホイール9と、スプロケットホイール9と同軸的に設けられた複数の支持ホイール10とにより、移送可能に支持され、しかもベルトコンベア板6nを支える支承部材5rは、スプロケットホイール9に近接する近接部位が、スプロケットホイール9から退避するように湾曲されている(
図8参照)。
【0057】
かかる搬送中において、ハウジング2外部の冷凍設備から冷媒が、ハウジングモジュール2uの長手方向の、両側部近傍において立設した熱交換体13の一方のヘッダ12に導入される。次いで冷媒は、複数の冷媒管12を通過して、他方のヘッダ12を通じ、外部冷凍設備に戻され、再び、外部冷凍設備から冷媒が熱交換体13に供給される。
【0058】
その際、双方の熱交換体13近傍の誘引ファン14を作動させることで、それぞれ対向する熱交換体13を通じてハウジング2内空気が吸引される。
誘引ファン14と熱交換体13とには、傾斜ダクト15が介在されるため、誘引ファン14は、それぞれハウジング内空気を熱交換体13から傾斜ダクト15を通じてのみ吸引することができる。
【0059】
熱交換体13を構成する複数の冷媒管12には、上流側に通気板13rが対向配設されているため、吸引空気が通気板13rを通過する際に、複数の穴hを通過することにより、通気抵抗により通気圧が高められて流速が増し、これによって、吸引空気は噴流となって複数の冷媒管12に当たることになる(
図13参照)。
この場合、冷媒管12はフィンレスチューブで、単なるパイプであるため、吸引空気は流速が増した噴流となって冷媒管12に当たるため、吸引空気は冷媒管12表面に沿った層流を形成することが妨げられることなく、コアンダ効果が発揮され、これによって熱伝達率が高められ、熱交換作用が向上する。このため、吸引空気は、好適に冷却されて冷気となる。
【0060】
それぞれの誘引ファン14のファン14fは、背面側、すなわち、ハウジング2の中央空間側に、傾斜ダクト15を通じてハウジング2内空間長手方向に亘って、冷却された吸込み空気を行き渡らせることができ、ハウジング2内空間長手方向に亘って、ベルトコンベア機構3により搬送される食品に対し噴射する冷気を十分に確保することができる。
【0061】
なお、冷媒管12がフィンレスチューブであるがために、フィンを有する冷媒管に比較して洗浄しやすく、異物など付着するようなことはなく、熱交換効率の低下を回避することができ、衛生性も維持することができる。
【0062】
そしてかかる冷気は、誘引ファン14により、誘引ファン14下方の冷気噴出部20へと導かれる。
冷気噴出部20は、ベルトコンベア6の食品配置面に、食品Fと対面して配置されており、このため、
図18に示すように、誘引ファン14からの冷気を確実に食品Fに直交方向から当てることができる。
【0063】
このとき、冷気噴出部20においては、
図16、
図17に示すように、ベルトコンベア板6nの幅方向に平行に延在する固定枠体21の助走部24bに対し、可動枠体22を固定枠体21上で、ベルトコンベア板6nの幅方向に直交する方向に摺動調節することで、可動枠体22の助走部25bが近接離間される。
可動枠体22の位置を変更するために、作業者は、可動枠体22の係止部29の把持穴31を把持して可動枠体22を移動させることができる。
可動枠体22の長穴30を、固定枠体21側のボルトbが相対的に移動する範囲内で、可動枠体22を移動させて、冷気通路である一対の壁体23の間隔を調整することができる。
これにより、助走部24b、25b先端側の先端噴出口26の開口間隔がスリットノズルとして調節され、冷気の噴射圧を調節し、冷却能力を調節することができる。
【0064】
冷気が冷気通路である一対の壁体23を通過する際、下流側に向かって通路幅が漸減する傾斜部24a、25aにおいて冷気が増速され、等幅の通路である助走部24b、25bにおいて整流され、先端噴出口27から冷気が、冷却すべき食品Fに衝突噴流となって当たり、食品Fを効果的に冷却することができる。
このように冷却手順が実行されるので、ベルトコンベア6上を搬送される食品Fに対して、所望の冷却処理を行うことができ、冷却、冷凍処理された食品Fは、先頭のハウジングモジュール出口部2uoの出口開口2outに搬送され、取出される。
【0065】
ところで、以上のように、冷気噴出部20から噴出された冷気は、食品を冷却処理する際、ベルトコンベア6のベルトコンベア板6nにおける多数のパンチング穴phを通過するので、冷気の流れは阻害されることなく、ベルトコンベア6下方のハウジング2の底面部2bに至る。
この際、ハウジング2の下半部の底面部2b側には、ベルトコンベア機構3と冷気噴出部20とを支えるための支柱部5pが露出しておらず、冷気噴出部20が存在していない開放空間となっているため、冷気は、凹面形状の底面部2bに沿って、回り込むように予備冷却器40に向かって上昇していく。
【0066】
かかる冷気は、食品を冷却処理した後であるので、昇温し、水分を含むものとなるが、予備冷却器40を通過させて冷却させることで、水分を霜として除去して空気から水分を分離させることができる。これにより、予備冷却器40を通過させた空気が、ハウジング2の上部の熱交換体13までもたらされても、熱交換体13に添設される通気板13rが、霜による目詰まりを起こすことはない。
【0067】
なお、冷却機械1におけるハウジング2のうち、ハウジングモジュール入口部2uiおよびハウジングモジュール出口部2uoには、冷却ゾーンと食品の導入ゾーン、搬出ゾーンとに仕切る仕切壁2wが設けられているため、熱交換部4で生成され冷却ゾーンで循環される冷気の漏出が減じられ、且つ外部からの異物が冷却ゾーン内に侵入するのを抑制することができる。
【0068】
いずれにしても、冷却機械1では、冷気噴出部20より噴出される冷気が、ベルトコンベア6のパンチング穴ph、底面部2bの凹面形状空間、ベルトコンベア機構3の短手側両側部の予備冷却器40、および熱交換部4を経て、冷気噴出部20に戻る冷気循環路が形成されているので、冷気の循環が効率的になされ、高い冷却効果を奏することができる。
【0069】
以上、本発明にかかるベルトコンベア板およびベルトコンベア機構を冷却機械1に用いた実施形態を示して、説明した。
本実施形態におけるベルトコンベア機構3におけるベルトコンベア6は、複数のベルトコンベア板6nを連結部7により連結が可能であるので、用いられる冷却機械1のハウジング2の室内空間長さに対応して、複数のベルトコンベア板6nを連結部7により連結することができ、様々な規模の装置に対応してベルトコンベア機構3を構築することができる。