特許第6226746号(P6226746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226746
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】対称給電構造を有する基板サポート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20171030BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H01L21/302 101G
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-535078(P2013-535078)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-543269(P2013-543269A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】US2011057024
(87)【国際公開番号】WO2012054689
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年10月16日
(31)【優先権主張番号】12/910,547
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】リン シング
(72)【発明者】
【氏名】ブッフベルガー ダグラス エー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ショウ シャオピング
(72)【発明者】
【氏名】ヌグエン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シェイナー アンチェル
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−078133(JP,A)
【文献】 特開2005−347620(JP,A)
【文献】 特開2004−342984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0274590(US,A1)
【文献】 特開平06−243994(JP,A)
【文献】 特開2004−273974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するための支持面を有し、中心軸を有する基板支持体と、
DCエネルギーが第2電極に供給されたときに、前記基板支持体上に配置された基板を静電保持するために、第1電極の上方の誘電体層内に配置された第2電極と、
前記第1電極と前記支持面の間に配置され、基板が基板支持体上に存在するときに、複数のヒーター電極へのACエネルギーの印加に応答して、基板に熱を供給する複数のヒーター電極と、
対称給電構造を含み、対称給電構造は、
基板が前記支持面上に配置されたときに、基板にRF電力を供給するために、前記基板支持体内に配置された第1電極と、
前記支持面に対向する前記第1電極の表面の中心の周囲で、前記第1電極に結合された内側導体であって、前記内側導体は、筒状であり、前記中心軸に平行で前記中心軸の周囲にある前記第1電極から、前記基板支持体の前記支持面から離れた方向に延在している内側導体と、
前記内側導体の軸方向の開口部内の内側誘電体層内に配置された複数の導体であって、複数の導体は、
前記中心軸に沿って前記内側誘電体層内に中央配置され、前記第2電極をDC電源に結合する第2導体と、
前記中心軸の周囲に対称的に配置される第3導体であって、前記複数の第3導体の夫々1つが、前記複数のヒーター電極の対応する1つに結合されている複数の第3導体を含む複数の導体と、
前記内側導体の周囲に配置された外側導体と、
前記内側導体と前記外側導体の間に配置され、前記外側導体を前記内側導体から電気的に絶縁する外側誘電体層を含む基板支持体。
【請求項2】
前記外側導体は電気的接地に結合されている請求項1記載の基板支持体。
【請求項3】
前記外側導体に結合された導電板を含む請求項2記載の基板支持体。
【請求項4】
前記第1電極と前記導電板の間に配置された誘電体層を含む請求項3記載の基板支持体。
【請求項5】
前記第1電極の下方で前記内側導体に結合される第1導体を含み、前記第1導体は、前記内側導体から、前記中心軸から軸を外して配置されたRF電源まで横方向に延在し、前記RF電源は、前記第1電極までRF電力を供給し、前記導電板は、前記第1電極と前記第1導体の間に配置される請求項4記載の基板支持体。
【請求項6】
前記第1導体の周囲に配置された接地ケースと、
前記第1導体から前記接地ケースを電気的に絶縁するために、前記第1導体と前記接地ケースの間に配置された第2誘電体層を含む請求項5記載の基板支持体。
【請求項7】
前記ヒーター電極は、複数のゾーン内に配置されている請求項記載の基板支持体。
【請求項8】
前記複数の第3導体の夫々1つを、前記複数のヒーター電極の対応する1つに結合するための、前記第1電極の上方に配置された配電板を含む請求項記載の基板支持体。
【請求項9】
誘電体層であって、前記第1電極が前記誘電体層と前記支持面の間に配置された誘電体層と、
前記第1電極とは反対の前記誘電体層の側に配置された導電板を含む請求項1記載の基板支持体。
【請求項10】
内部容積内に配置された基板支持体を備えた内部容積を有する処理チャンバであって、前記基板支持体は支持面と中心軸を有する処理チャンバと、
DCエネルギーが第2電極に供給されたときに、前記基板支持体上に配置された基板を静電保持するために、第1電極の上方の誘電体層内に配置された第2電極と、
前記第1電極と前記支持面の間に配置され、基板が基板支持体上に存在するときに、複数のヒーター電極へのACエネルギーの印加に応答して、基板に熱を供給する複数のヒーター電極と、
対称給電構造を含み、対称給電構造は、
前記基板支持体上に基板が存在するときに、基板にRF電力を供給するために、前記基板支持体内に配置された第1電極と、
前記支持面から離れて対向する前記第1電極の表面の中心の周囲で、前記第1電極と結合された第1端部を有する内側導体であって、前記内側導体は、管状であり、前記中心軸に平行で前記中心軸の周囲にある前記第1電極から離れて延在する内側導体と、
内側導体の軸方向開口部内の内側誘電体層内に、前記中心軸に対して対称的に配置された複数の導体であって、複数の導体は、
前記中心軸に沿って前記内側誘電体層内に中央配置され、前記第2電極をDC電源に結合する第2導体と、
前記中心軸の周囲に対称的に配置される第3導体であって、前記複数の第3導体の夫々1つが、前記複数のヒーター電極の対応する1つに結合されている複数の第3導体を含む複数の導体と、
前記内側導体の周囲に配置された外側導体と、
前記内側導体と前記外側導体の間に配置され、前記外側導体を前記内側導体から電気的に絶縁する外側誘電体層と、
前記第1端部とは反対の前記内側導体の第2端部に近接して前記内側導体に結合された第1導体であって、前記第1導体は、前記中心軸から、前記中心軸から軸を外して配置されたRF電源に向かって横方向に延在し、前記RF電源は、前記第1電極にRF電力を供給する第1導体と、
前記第1電極と前記第1導体の間に配置され、前記外側導体に結合された導電板であって、前記導電板と外側導体は電気的接地に結合された導電板と、
前記導電板と前記第1電極との間に配置された誘電体層を含むプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記複数の第3導体の夫々1つを、前記複数のヒーター電極の対応する1つに結合するための、前記第1電極の上方に配置された配電板を含む請求項10記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、基板処理装置に関する。
【背景】
【0002】
デバイスのクリティカルディメンジョンが縮小し続けるにつれて、大きな寸法では無関係な又はあまり重要とはならなかったかもしれない要因が、より小さい寸法では重要な意味を持つ可能性がある。
【0003】
本発明者らは、基板を処理するときに改善された処理結果を促進させることができる改良された装置を提供している。
【概要】
【0004】
基板を処理するための装置が本明細書内で開示される。いくつかの実施形態では、基板支持体は、基板を支持するための支持面を有し、中心軸を有する基板支持体と、基板が支持面上に配置されたときに、基板にRF電力を供給するために、基板支持体内に配置された第1電極と、支持面に対向する第1電極の表面の中心の周囲で、第1電極に結合された内側導体であって、内側導体は、筒状であり、中心軸に平行で中心軸の周囲にある第1電極から、基板支持体の支持面から離れた方向に延在している内側導体と、内側導体の周囲に配置された外側導体と、内側導体と外側導体の間に配置され、外側導体を内側導体から電気的に絶縁する外側誘電体層を含むことができる。いくつかの実施形態では、外側導体は電気的接地に結合することができる。いくつかの実施形態では、中心軸に沿って延在する第2導体を介して第2電極にDCエネルギーを供給することができる。いくつかの実施形態では、中心軸の周囲に対称的に配置された複数の第3導体を介して1以上のヒーター電極へACエネルギーを供給することができる。いくつかの実施形態では、第2及び第3導体は、内側導体の軸方向開口部内に配置することができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理装置は、内部容積内に配置された基板支持体を備えた内部容積を有する処理チャンバであって、基板支持体は支持面と中心軸を有する処理チャンバと、基板支持体上に基板が存在するときに、基板にRF電力を供給するために、基板支持体内に配置された第1電極と、支持面から離れて対向する第1電極の表面の中心の周囲で、第1電極と結合された第1端部を有する内側導体であって、内側導体は、管状であり、中心軸に平行で中心軸の周囲にある第1電極から離れて延在する内側導体と、第1端部とは反対の内側導体の第2端部に近接して内側導体に結合された第1導体であって、第1導体は、中心軸から、中心軸から軸を外して配置されたRF電源に向かって横方向に延在し、RF電源は、第1電極にRF電力を供給する第1導体と、内側導体の周囲に配置された外側導体と、内側導体と外側導体の間に配置され、外側導体を内側導体から電気的に絶縁する外側誘電体層を含むことができる。
【0006】
本発明の他の及び更なる実施形態は、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上記で簡単に要約し、以下でより詳細に説明される本発明の実施形態は、添付図面に示された本発明の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限されていると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る処理チャンバの概略側面図を示す。
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る基板支持体の概略側面図を示す。
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る中心軸の周囲に配置された複数の導体の上部断面図を示す。
図4】本発明のいくつかの実施形態による基板支持体に結合された機構の概略側面図を示す。
【0008】
理解を促進するために、図面に共通する同一要素を示す際には可能な限り同一参照番号を使用している。図面は、比例して描かれているわけではなく、明確にするために簡素化されているかもしれない。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【詳細な説明】
【0009】
基板を処理するための装置が、本明細書内で開示されている。本発明者らは、基板支持体内に配置された電極に電力を供給するための非対称な給電構造を有する基板支持体が、プロセスの不均一性(例えば、基板支持体上に配置された基板上のエッチング速度及びエッチング寸法の不均一性など)を引き起こす可能性があることを発見した。このため、本発明者らは、エッチング速度及び/又はエッチング寸法の均一性を有利に向上させる基板支持体内に組み込み可能な対称給電構造を提供している。いくつかの実施形態では、本発明の装置は、基板支持体の中心軸に対して対称的に配置された1以上の導体を介して、基板支持体の様々なコンポーネントに電力を導くことによって、及び/又は、電場及び/又は磁場を閉じ込める又は均一に分布させるための1以上の要素を提供することによって、基板の表面に沿った電磁スキューを有利に低減することができる。
【0010】
図1は、本明細書内で説明されるような本発明の実施形態を実施するために用いることができる一種の例示的エッチングリアクタ100の概略図を示す。リアクタ100は、単独で、又はより典型的には、統合化半導体基板処理システムの処理モジュールとして、又は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.)から入手可能なCENTURA(商標名)統合化半導体基板処理システムなどのクラスタツールの処理モジュールとして使用することができる。適当なエッチングリアクタ100の例としては、エッチングリアクタのADVANTEDGE(商標名)ライン(例えば、AdvantEdge S又はAdvantEdge HT)、エッチングリアクタのDPS(商標名)ライン(例えば、DPS(商標名)、DPS(商標名)II、DPS(商標名)AE、DPS(商標名)HT、DPS(商標名)G3ポリエッチャー)、又はアプライドマテリアルズ社から入手可能な他のエッチングリアクタを含む。他のメーカーのものも含めて、他のエッチングリアクタ及び/又はクラスタツールもまた使用可能である。
【0011】
リアクタ100は、導電体(壁)130内に形成された処理容積117内に配置された基板支持体116を有する処理チャンバ110と、コントローラ140を含む。後述するように、基板支持体116内に配置された1以上の電極に電気エネルギーを結合するために、対称電気フィードスルーを提供することができる。実質的に平坦な誘電体天井120と共に、チャンバ110を供給することができる。あるいはまた、チャンバ110は、他のタイプの天井(例えば、ドーム状の天井)を有することができる。少なくとも1つの誘導コイル要素312を備えるアンテナが、天井120の上方に配置される(2つの同軸要素112が示されている)。誘導コイル要素112は、第1マッチングネットワーク119を介してプラズマ電源118に結合されている。プラズマ電源118は、典型的には50 kHzから13.56MHzの範囲の調整可能な周波数で、3000Wまで生成可能であるかもしれない。
【0012】
図1に示されるように、基板支持体116は、基板支持体116の下方に配置された1以上の機構148によって操作可能な複数のコンポーネント(例えば、電極、ヒーター等)を含むことができる。例えば、図1に示されるように、1以上の機構は、導電体130を貫通して配置された開口部115を介して基板支持体116に結合することができる。ベローズ152は、基板支持体が処理チャンバに対して移動することを可能にしながら、処理チャンバの内部と処理チャンバの外部との間のシールを維持するのを促進するために設けることができる。例えば、ベローズ152は、基板支持体116が処理容積117内で上昇又は下降するのに伴い、圧縮又は拡張することができる。1以上の機構148は、基板支持体116の上方に配置された1以上のプラズマ生成要素(例えば、誘導コイル要素112)に対して基板支持体116を上げ下げするために利用可能なリフト機構154を含むことができる。1以上の機構148は、以下で更に詳細に、図4を参照しながら説明する。
【0013】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に係る基板支持体116及び対称給電構造150の概略側面図を示す。図2に示されるように、基板支持体は、中央開口部202を有するベース200を含むことができる。中央開口部202は、例えば、基板支持体116の下方に配置された1以上の機構148からの高周波(RF)、交流(AC)、直流(DC)電力のうちの1以上を結合するための1以上の導体を貫通して提供するために利用することができる。ベース200は、処理チャンバの他のコンポーネントにベース200を結合するのを促進するための突起部204を有してもよい。
【0014】
基板支持体116は、基板支持体116上に配置されたときに、基板(例えば、(図1に示される)基板114)にRF電力を供給するために、基板支持体116内に配置された第1電極206を含むことができる。第1電極206は、中心軸208を含むことができる。内側導体210は第1電極206に結合することができる。内側導体210は、中心軸208と揃った中心軸を有する円筒チューブであることができ、これによって内側導体210は第1電極206にRFエネルギーを対称に提供することができる。内側導体210は、一般に、中心軸208と平行に、中心軸208の周囲に、第1電極206から離れて延在する。内側導体210は、(図示されるように)ベース200内の中央開口部202を通り、(図1に図示されるように)ベローズ152を介して、(図4に図示されるように、後述)1以上の機構148へと延びることができる。内側導体210は、任意の適切な導電性材料(例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金メッキされた銅等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側導体は銅を含むことができる。
【0015】
基板支持体116は、内側導体210の少なくとも一部の周囲に配置された外側導体212を更に含む。内側導体210と同様に外側導体212は、形状が管状であり、概して中心軸208に平行で中心軸208の周囲に延在することができる。外側導体212は、任意の適切な導電性材料(例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)を含むことができる。いくつかの実施形態では、外側導体212は、Alを含むことができる。外側導体212は、ベース200の上方に配置された導電板214から離れて延在してもよい。外側導体212は、図4に示され、後述されるように、外側導体212の反対側の端部を、1以上の機構148を含むケース400に結合することなどによって、電気的接地に結合することができる。あるいはまた、外側導体212は、別々に接地してもよい(図示せず)。
【0016】
外側誘電体層216は、内側導体210と外側導体212の間に配置され、これによって外側導体212を内側導体210から電気的に絶縁することができる。外側誘電体層216は、任意の適切な誘電体材料(例えば、テフロン(商標名)(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能)等のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)含有材料)等を含むことができる。いくつかの実施形態では、外側誘電体層216は、PTFEを含むことができる。動作中、電気エネルギー(例えば、RFエネルギー)は、内側導体210を通って第1電極206へと流れることができる。電場は通常、内側導体210と内側導体210に近接する他の導電要素との間に存在することができる。更に、磁場は、内側導体210を通過する電流によって誘導することができる。外側導体212は、内側導体210と外側導体212の間の領域に、例えば、外側誘電体層216を含む領域に、電場と磁場を閉じ込めるように作用することができる。この領域への電場と磁場の閉じ込めは、電場と磁場の分布の均一性を改善する結果をもたらすことができ、これは基板支持体116上に配置された基板114上のエッチング速度及びエッチング寸法の均一性を改善する結果をもたらすことができる。更に、導電板214は、同様に電場と磁場を閉じ込める及び/又は電場と磁場を導電板214の周囲で対称的に分布するように作用することができる。更に、導電板214は、図4に示され、後述される第1導体408などの他のコンポーネントによって引き起こされる非対称電場・磁場から基板214を隔離するためのシールドとして作用することができる。
【0017】
基板支持体116は、第1電極206と導電板214の間に配置された誘電体層218を更に含むことができる。誘電体層218は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのC−Lecプラスチックス社(C−Lec Plastics, Inc.)から入手可能なRexolite(商標名)、架橋ポリスチレン等のプロセス互換性誘電体材料を含むことができる。誘電体層218は、例えば、第1電極206と導電板214との間の電力損失を制限するために利用することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、基板支持体116は、第1電極206の上方に配置された静電チャック(ESC)220を含むことができる。ESCは、一般的にはベース層226の上に誘電体層248を配置したベース層226を含むことができる。ベース層226は冷却板であってもよく、これによって動作中に所望の温度で静電チャック220を維持するのを促進することができる。例えば、ベース層226は、高熱伝導性材料(例えば、アルミニウム又は銅)を含むことができ、チャネルを通って熱伝導流体を流すための1以上のチャネルを有する。
【0019】
ESC220は、第2電極222を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2電極222は、誘電体層248内に配置することができる。第2電極222は、DCエネルギー源に結合することができ、これによって第2導体236を介して基板114を基板支持体116に静電的に固定することができる。いくつかの実施形態では、第2導体236は、供給されるDCエネルギーからのRF干渉を最小化し、このようなRF干渉を対称にするために、軸208に沿って、内側導体210の軸方向の開口部内に配置することができる。いくつかの実施形態では、第2導体236は、導電性ロッドであってもよい。第2導体236は、任意の適切なプロセス互換性のある導電性材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、第2導体236は、銅を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、ESC220は、1以上のヒーター電極238を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、1以上のヒーター電極238は、誘電体層248内に配置することができる。1以上のヒーター電極238は、任意の適切なパターンで提供することができ、1以上のヒーターゾーンに配置することができ、これによって基板を加熱するための所望の加熱パターンを提供することができる。1以上のヒーター電極238は、複数の第3導体234を介してACエネルギー源に結合することができる。1以上のヒーター電極238へのACエネルギーの印加は、電極に抵抗加熱(すなわち、ジュール加熱)による加熱をもたらす。いくつかの実施形態では、第3導体234は、導電性ロッドであってもよい。第3導体234は、任意の適切なプロセス互換性のある導電性材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、第3導体234は、銅を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、配電板240は、複数の第3導体234から1以上のヒーター電極238までの接続の経路を決めるために提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、配電板240は、複数の第3導体234に接続するためと、複数のAC端子224までの導電経路(例えば、電気配線)を提供するためのプリント回路基板(PCB)242などを含むことができる。AC端子絶縁板244がPCB242の上に配置され、これによって隣接する導電性要素(例えば、ESC220のベース層226)から導電経路とAC端子224を絶縁することができる。導体246は、AC端子224を、複数の第3導体234の夫々1つに結合するために提供することができる。いくつかの実施形態では、導体246は、導電性ロッドであってもよい。いくつかの実施形態では、導体246は、銅を含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第3導体234は、中心軸208の周囲に対称的に配置することができる。いくつかの実施形態では、第3導体234は、(図のように)中心軸208の周囲に対称的に配置することができ、内側導体210の軸方向の開口部内に配置することができる。いくつかの実施形態では、AC端子224は、例えば、各AC端子224を複数の第3導体234の夫々1つと整列させて、中心軸208の周囲に対称的に配置することができる。本発明者らは、中心軸208の周囲に第3導体234を対称的に配置することによって、RF干渉を更に最小限にし、処理性能の向上(例えば、基板上のエッチング速度の均一性及び/又はエッチング寸法の均一性の向上)が可能であることを見出した。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2導体236と複数の第3導体234は、内側導体210の開いた中央部を通して配線することができる。内側誘電層228は、内側導体210内に配置されてもよく、内側誘電体層228を通して配置された通路を通って配線された第2導体236と複数の第3導体234を有してもよい。内側誘電体層228の通路は、第2導体236と複数の第3導体234を、互いから、内側導体210から、及び他の隣接する導電性要素又は層から絶縁することができる。内側誘電層228の通路は更に、第2導体236及び複数の第3導体234を所望の位置又はパターン(例えば、対称パターン)に配置することができる。内側誘電層228は、外側誘電体層216に対して上述したのと同様の誘電体材料を含んでもよい。
【0024】
図2及び図3の上部断面図に示されるように、内側誘電層228は、一般的に内側導体210内に配置されているが、内側導体210の端部を超えて延在する第2導体236及び複数の第3導体234の長さの少なくとも一部を取り囲むように、内側導体210の端部を超えて延在してもよい。例えば、内側誘電体層228は、配電板242に向かって内側導体210の端部を超えて延在する複数の第3導体234の一部を取り囲む第1部分230を含むことができる。第2部分232が、第2電極222に向かって内側導体210の端部を超えて延在する第2導体236の一部を取り囲んでもよい。
【0025】
図3は、本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る対称給電構造150の模式的な部分上面図を示す。図3に示されるように、対称給電構造150は、内側導体210及び外側誘電体層216によって分離された外側導体216を含む。内側誘電層228は、第2導体236と複数の第3導体234を所望のパターンで(例えば、対称的に)絶縁し配置する。例えば、第2導体236は、中心軸208に沿って内側誘電層228内に中央配置することができ、複数の第3導体234は、中心軸208に対して対称的に配置することができる。
【0026】
図4は、本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る基板支持部116に結合された1以上の機構148を示す対称給電構造150の下部の概略側面図を示す。図4に示されるように、対称給電構造150の下部は、RFエネルギー源への接続や、オプションで1以上のAC又はDCエネルギー源への接続を提供することができる。例えば、内側導体210は、例えば、第1導体408を介してRF電源406に結合することができ、これによって第1導体408を介して第1電極206にRFエネルギーを提供することができる。いくつかの実施形態では、第2導体236は、DC電源402に結合することができ、これによって第2電極222にDCエネルギーを供給して、基板を基板支持体116上に静電保持することができる。いくつかの実施形態では、複数の第3導体234は、AC電源404に結合することができ、これによって電極238にACエネルギーを供給して、基板に熱を供給することができる。
【0027】
第1導体408は、内側導体210の外側表面の周囲で内側導体210に結合することができ、これによって内側導体210に対称的にRFエネルギーを供給することができる。第1導体408は、中心軸208のそばに配置することができるRF電源406に向かって、中心軸208から横方向に延在することができる。RF電源406は、マッチングネットワーク410を介して第1導体408に結合することができる。RF電源406は、特定のアプリケーションのために、任意の適切な周波数及び電力のRFエネルギーを供給することができる。いくつかの実施形態では、RF電源406は、約13.56MHzの周波数で約1500WまでのRFエネルギーを供給することができるかもしれない。RF電力は、連続波又はパルスモードのいずれかで提供することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2誘電体層414は、隣接した導電性コンポーネント(例えば、以下で説明される給電構造150の下部を囲む接地ケース400)から第1導体408を電気的に絶縁するために提供することができる。いくつかの実施形態及び図4に示されるように、第1導体408は、第2誘電体層414内に埋め込まれてもよい。
【0029】
第1導体408は、内側導体210に対してある角度で配置されており、これはRF電流によって生成された電磁界の乱れを引き起こす場合があるが、導電板214は、第1導体408の向きによって生じる電磁効果を制限するように機能することができる。このように、第1導体の方向性に起因して発生する可能性がある電界内の任意の非対称性は、基板支持体116上に配置された基板上で実行中のプロセスへの影響を制限する又は影響を与えない必要がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、誘電体エンドキャップ416は、RF給電構造150の端部の周囲に提供することができる。例えば、誘電体エンドキャップ416は、内側導体210を超えて延在する内側誘電層228の一部の周囲に配置することができる。いくつかの実施形態では、誘電体エンドキャップ416は、第2誘電体層414を超えて延在する内側誘電層228の一部を覆うことができる。誘電体エンドキャップ416は、給電構造150の導体が貫通して延在できるように複数の開口部を有することができる。導体は、複数の導線234及び導線236に結合された夫々の導電経路によって、DC電源402及び/又はAC電源404に夫々結合することができる。例えば、複数の導体234をAC電源404に形成された配線するために、内部又は表面に電気配線が形成されたプリント回路基板(PCB)418が提供されてもよい。導体236をDC電源402に結合するために、別の導電経路が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、(点線で示される)導体236のDC電源402への結合を促進するために、端子420が提供されてもよい。端子420は、PCB418の全体又はPCB418の一部だけを通して延在してもよい。いくつかの実施形態では、PCB418は、ベース422、ベース422によって支持された基板424、及びカバー426を含むことができる。カバー426は、基板424を覆い、ベース422とカバー426の間で基板424を保持することができる。開口部は、導体234、236、端子420、及び/又は基板424内又は上の又は基板424を通過する任意の電気配線に電気的接続を行うのを促進するために、カバー426内に設けられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、接地ケース400は、例えば、RFエネルギーが内側導体210に結合される領域内の、対称給電構造150の下部を実質的に取り囲むように提供することができる。接地ケース400は、開口部401を含むことができ、これを貫通して対称給電構造150の1以上のコンポーネント(例えば、外側誘電体層216、内側導体210、内側誘電体層228、第2導体236、及び複数の第3導体234)を配置することができる。いくつかの実施形態及び図4に示されるように、ベローズ152の端部及び外側導体212の端部は、開口部401の近傍で接地ケース400に結合することができる。いくつかの実施形態では、接地ケース400は、外側導体212に対して電気的接地を提供することができる。
【0032】
接地ケース400はまた、第2導体236及び複数の第3導体234をDC及びAC電源に夫々配線するのを促進するために開口部403を有することができる。図示されるように、内側誘電体層228及び/又は誘電体416は、接地ケース400から第2及び第3導体234、236を電気的に絶縁することができる。いくつかの実施形態では、追加の導体が提供され、これによって第2導体236及び複数の第3導体234をDC電源402及びAC電源404に夫々結合することができる。
【0033】
図1に戻ると、コントローラ140は、中央処理装置(CPU)144、メモリ142、及びCPU144のためのサポート回路146を備えており、チャンバ110のコンポーネントの制御を促進する。上記のように、処理チャンバ110の制御を促進するために、コントローラ140は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するための工業環境で使用可能な汎用コンピュータプロセッサの任意の形式のうちの1つであることができる。CPU144のメモリ142又はコンピュータ可読媒体は、1以上の容易に利用可能なメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピー(商標名)ディスク、ハードディスク、又はその他の形式のデジタルストレージ、ローカル又はリモート)が可能である。サポート回路146は、従来の方法でプロセッサを支援するためにCPU144に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステム等を含む。基板114を処理するために使用されるエッチングプロセスレシピ等の方法は、一般的に、ソフトウェアルーチンとしてメモリ142に格納することができる。ソフトウェアルーチンは、CPU144によって制御されているハードウェアから離れて配置されている第2のCPU(図示せず)によって、保存及び/又は実行することもできる。
【0034】
動作中、基板114は、基板支持体116上に配置され、プロセスガスが、入口ポート126を介してガスパネル138から供給され、ガス混合物を形成する。ガス混合物は点火され、プラズマ源118及びRF電源406から、誘導コイル要素312及び第1電極206に、夫々電力を印加することによって、チャンバ110内でプラズマ155になる。チャンバ110の内部の圧力は、スロットルバルブ127及び真空ポンプ136を使用して制御される。通常、チャンバ壁130は、電気的接地134に結合されている。壁130の温度は、壁130を貫通して走る液体含有コンジット(図示せず)を用いて制御される。
【0035】
基板114の温度は、基板支持体116の温度を安定化させることによって制御することができる。一実施形態(図示せず)では、ガス源からのヘリウムガスを、基板114の下の基板支持体116の表面内に形成されたチャネル(図示せず)に、ガスコンジットを介して供給することができる。ヘリウムガスは、基板支持体116と基板114との間の熱伝達を促進するために使用することができる。処理中に、基板支持部116は、抵抗ヒーター(例えば、上述した複数のAC端子224)で定常状態の温度に加熱することができ、そのときヘリウムガスが基板114の均一加熱を促進する。このような熱制御を使用して、基板114は、摂氏約0度〜約150度の温度に維持することができる。
【0036】
誘導結合プラズマエッチングチャンバに関して説明してきたが、リモートプラズマ源を備えたチャンバ及び電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマチャンバ等を含む他のエッチングチャンバが、本発明を実施するために使用されてもよい。また、基板支持体内に配置された電極にRFエネルギーを供給する他の非エッチングチャンバを、本明細書内で提供された開示内容に従って修正してもよい。
【0037】
このように、基板を処理するための装置を、本明細書内で開示した。本発明の装置の少なくともいくつかの実施形態では、基板処理(例えば、エッチング速度及び/又はエッチング寸法の均一性)を有利に改善することができる対称給電構造を含むことができる。本発明の対称給電構造とこれを組み込んだ基板支持体は、基板支持体の中心軸に対して対称的に配置された1以上の導体を介して基板支持体の様々なコンポーネントに電力を給電することによって、及び/又は、電場及び/又は磁場を閉じ込める又は均一分布させる1以上の要素を提供することによって、基板の表面に沿った電磁スキューを有利に低減することができる。
【0038】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができる。
図1
図2
図3
図4