特許第6226768号(P6226768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6226768
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】基板吸着離脱機構及び真空装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20171030BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/68 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-23994(P2014-23994)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-153795(P2015-153795A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100106666
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100102875
【弁理士】
【氏名又は名称】石島 茂男
(72)【発明者】
【氏名】前平 謙
(72)【発明者】
【氏名】嶽 良太
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−273508(JP,A)
【文献】 特開平05−275893(JP,A)
【文献】 特開2001−274225(JP,A)
【文献】 特開2013−055093(JP,A)
【文献】 特開2012−023104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を台座面上に配置して搬送する搬送台座と、
前記搬送台座に設けられ、基板の吸着及び離脱を行う吸着離脱部材とを有し、
前記吸着離脱部材は、表面が曲面状に形成された曲面領域を有し、当該曲面領域に、吸着領域と非吸着領域とが隣接して設けられるとともに、前記吸着領域の表面が前記台座面に対して面一の位置となる吸着位置と、前記非吸着領域の表面が前記台座面から離間した位置となる非吸着位置とに配置されるように、前記吸着離脱部材が前記曲面領域の湾曲方向に回転可能に構成されている基板吸着離脱機構。
【請求項2】
前記搬送台座の台座面に複数の開口部が設けられ、各開口部の内側に、前記吸着離脱部材がそれぞれ設けられている請求項1記載の基板吸着離脱機構。
【請求項3】
前記吸着離脱部材は、断面が真円形状に形成され、当該吸着離脱部材が前記搬送台座の台座面に対して交差する方向に移動するように構成されている請求項1又は2のいずれか1項記載の基板吸着離脱機構。
【請求項4】
前記吸着離脱部材は、断面が真円形状に形成され、当該真円の回転中心軸から偏芯させて設けた回転軸部を中心として回転するように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の基板吸着離脱機構。
【請求項5】
前記吸着離脱部材は、断面が長円形状に形成され、当該長円の回転中心軸の位置に設けた回転軸部を中心として回転するように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の基板吸着離脱機構。
【請求項6】
真空槽と、
前記真空槽内に配置され、請求項1乃至5のいずれか1項記載の基板吸着離脱機構とを有し、
前記真空槽内に設けられた駆動機構によって前記吸着離脱部材を動作させるように構成されている真空装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造工程、液晶ディスプレイ製造工程、プラズマディスプレイ製造工程等において、基板を搬送する際に粘着力によって基板を吸着し且つ離脱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、例えば真空槽内において基板を粘着力によって保持部に吸着して種々の処理を行うものが知られている。
例えば、リング状の粘着面によって基板を吸着保持する一方で、基板を粘着面から剥離する際に、膜を変形させて基板に対して押しつけるものや、剛体部を基板に対して押し付けるものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、可撓性ゴムからなる粘着パッドを基板に押し付けて基板を保持する一方で、粘着パッドを加圧膨張させて基板から剥離するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
しかし、このような従来技術では、基板を粘着面から剥離させる際に基板に対する局所的な応力集中によって基板の破損が生ずるという問題がある。
また、基板を粘着面から剥離させる際に発生する静電気によって、基板上のデバイス部分に対して悪影響を及ぼすという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3882004号公報
【特許文献2】特許第3917651号公報
【特許文献3】特開2012−204709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、基板を粘着力によって保持する真空装置等において、基板を離脱させる際に基板に対する局所的な応力集中による基板の破損を防止するとともに、基板を離脱させる際に生ずる静電気によって基板上のデバイス部分に対する悪影響を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明は、基板を台座面上に配置して搬送する搬送台座と、前記搬送台座に設けられ、基板の吸着及び離脱を行う吸着離脱部材とを有し、前記吸着離脱部材は、表面が曲面状に形成された曲面領域を有し、当該曲面領域に、吸着領域と非吸着領域とが隣接して設けられるとともに、前記吸着領域の表面が前記台座面に対して面一の位置となる吸着位置と、前記非吸着領域の表面が前記台座面から離間した位置となる非吸着位置とに配置されるように、前記吸着離脱部材が前記曲面領域の湾曲方向に回転可能に構成されている基板吸着離脱機構である。
本発明では、前記搬送台座の台座面に複数の開口部が設けられ、各開口部の内側に、前記吸着離脱部材がそれぞれ設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記吸着離脱部材は、断面が真円形状に形成され、当該吸着離脱部材が前記搬送台座の台座面に対して交差する方向に移動するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記吸着離脱部材は、断面が真円形状に形成され、当該真円の回転中心軸から偏芯させて設けた回転軸部を中心として回転するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記吸着離脱部材は、断面が長円形状に形成され、当該長円の回転中心軸の位置に設けた回転軸部を中心として回転するように構成されている場合にも効果的である。
一方、本発明は、真空槽と、前記真空槽内に配置され、前記いずれかの基板吸着離脱機構とを有し、前記真空槽内に設けられた駆動機構によって前記吸着離脱部材を動作させるように構成されている真空装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の基板吸着離脱機構の場合、吸着離脱部材の吸着領域の表面が台座面に対して面一となる吸着位置では、搬送台座の台座面上に基板が配置された場合に当該基板の裏側面と接触するから、この位置において基板を吸着離脱部材の吸着領域の表面に押し付けることにより、搬送台座の台座面上に基板を配置した状態で、吸着離脱部材の吸着領域の粘着力によって基板を吸着保持することができる。
【0008】
一方、吸着位置から吸着離脱部材を曲面領域の湾曲方向に回転させると、吸着領域の表面と基板の裏側面との吸着部分のうち基板移動方向先端部側の吸着部分が吸着離脱部材の回転開始によって剥離した後、基板は、吸着離脱部材の回転に伴い曲面状の吸着領域の表面をあたかも転がるように移動するため、この回転動作の際に吸着離脱部材の吸着領域の表面から基板の裏側面に対して与えられる剪断力は、基板の裏側面に吸着させた平面状の吸着面を基板の裏側面に対して直交する方向に剥離する場合と比べて非常に小さい。
【0009】
さらに、吸着離脱部材の曲面領域の湾曲方向への回転を継続すると、基板の裏側面と吸着離脱部材の吸着領域の表面との接触部分が、吸着領域から隣接する非吸着領域に向って移動して非吸着領域の表面に接触するようになるから、これにより基板と吸着離脱部材との間の粘着力が消滅する。
【0010】
この非吸着位置においては、吸着離脱部材の非吸着領域が台座面から離間していることから、例えばリフトピンやアーム等の搬送機構を用いることにより、基板を搬送台座から容易に離脱させることができる。
【0011】
以上述べた本発明によれば、吸着離脱部材の吸着領域の表面に吸着された基板を吸着離脱部材から離脱させる際、吸着離脱部材の吸着領域の表面から基板の裏側面に対して与えられる剪断力は、基板の裏側面に吸着させた平面状の吸着面を基板の裏側面に対して直交する方向に剥離する従来技術と比べて非常に小さく、かつ、基板の裏側面と各吸着離脱部材の表面との接触部分が非吸着領域の表面に移行した状態では、基板と各吸着離脱部材との間の粘着力が消滅している(又は殆どない)ため、基板を搬送台座から離脱させる際に吸着離脱部材から基板に対する局所的な応力集中は発生せず、その結果、基板の破損を防止することができる。
また、これにより、基板を搬送台座から離脱させる際の摩擦力も従来技術と比べて非常に小さく静電気が殆ど発生しないことから、基板上のデバイス部分に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0012】
本発明において、搬送台座の台座面に複数の開口部が設けられ、各開口部の内側に、吸着離脱部材がそれぞれ設けられている場合には、複数の吸着離脱部材によってバランス良く基板を保持することができ、また、各吸着離脱部材を搬送台座内に収容することによって基板吸着離脱機構の小型化を図ることができる。
【0013】
本発明において、吸着離脱部材は、断面が真円形状に形成され、当該吸着離脱部材が搬送台座の台座面に対して交差する方向に移動するように構成されている場合には、例えば円柱形状の部材に粘着性のシートと非粘着性又は弱粘着性のシートを貼付することにより、本発明に用いる吸着離脱部材を容易に作成することができる。
【0014】
本発明において、吸着離脱部材の断面が真円形状に形成され、当該真円の回転中心軸から偏芯させて設けた回転軸部を中心として回転するように構成されている場合、又は、吸着離脱部材の断面が長円形状に形成され、当該長円の回転中心軸の位置に設けた回転軸部を中心として回転するように構成されている場合には、吸着離脱部材を回転軸部を中心として回転させるだけで、吸着離脱部材の表面を台座面に対して交差する方向(例えば上下方向)へ移動させ、また、基板に対して吸着領域と非吸着領域との接触を切り換えることができるので、吸着離脱部材を駆動させる機構をより簡素な構成にすることができる。
【0015】
そして、真空槽と、前記真空槽内に配置され、上述したいずれかの基板吸着離脱機構とを有し、前記真空槽内に設けられた駆動機構によって前記吸着離脱部材を動作させるように構成されている場合には、基板を離脱させる際に基板に対する局所的な応力集中による基板の破損を防止するとともに、基板を離脱させる際に生ずる静電気によって基板上のデバイス部分に対する悪影響を防止可能な真空装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a):本発明に係る基板吸着離脱機構の実施の形態の外観構成を示す平面図(b):同基板吸着離脱機構の内部構成を示す部分断面図(c):同基板吸着離脱機構の吸着離脱部材の斜視図
図2】(a)(b):本実施の形態における吸着離脱部材の移動範囲を示す説明図
図3】(a)〜(c):本実施の形態における基板吸着動作を示す説明図
図4】(a)〜(d):本実施の形態における基板離脱動作を示す説明図
図5】(a)〜(c):本発明に用いる吸着離脱部材の他の例を示す側面図
図6】(a)〜(c):本発明に用いる吸着離脱部材の他の例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明に係る基板吸着離脱機構の実施の形態の外観構成を示す平面図、図1(b)は、同基板吸着離脱機構の内部構成を示す部分断面図、図1(c)は、同基板吸着離脱機構の吸着離脱部材の斜視図である。
また、図2(a)(b)は、本実施の形態における吸着離脱部材の移動範囲を示す説明図である。
【0018】
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態の基板吸着離脱機構1は、例えば真空槽2内で用いられるもので、基板20を搬送するための搬送台座3を有している。
なお、搬送台座3は、通常の場合、水平方向に向けて配置される。本明細書において部材等の上下関係について言及する場合には、図1(b)並びに図2(a)(b)の位置関係に基づくものとする。
【0019】
搬送台座3は基板20の形状と対応するように形成された例えば矩形板状に形成され、その一方の面(ここでは表側面)側に形成された平面状の台座面4上に基板20を載置支持するように構成されている。
【0020】
搬送台座3には、複数(本実施の形態では6個)の孔部3aが貫通して設けられ、これら孔部3a内に、基板20を昇降させるためのリフトピン21が挿入されるようになっている。
また、搬送台座3の台座面4には、複数(本実施の形態では4個)の動作開口部5が設けられている。
【0021】
本実施の形態の動作開口部5は、例えば矩形形状に形成され、例えば動作開口部5に対して搬送台座3の台座面4と反対側(ここでは裏側面)に貫通するように形成された収容部50が設けられている。
【0022】
収容部50内には、それぞれ吸着離脱部材6が設けられている。
吸着離脱部材6は、表面が曲面状に形成された曲面領域を有するもので、本実施の形態では、断面が真円形状(例えば円柱形状)に形成されている。
【0023】
そして、各吸着離脱部材6の表面には、基板20を吸着するための吸着領域61と、基板20を離脱するための非吸着領域62が設けられている。
吸着領域61は、粘着性を有する弾性材料(例えばシリコーンゴム)からなる例えばシート状の部材によって構成されている。
【0024】
本明細書における「粘着性」は、当該粘着性を有する物質が基板等の部材の表面に接触した場合に、当該粘着性を有する物質と、当該基板等の部材の表面との間における分子間力によって生ずるものをいう。
【0025】
本実施の形態では、吸着領域61は、吸着離脱部材6の断面円の中心角が例えば90度程度となるように、吸着離脱部材6の長手方向に沿って設けられている。
そして、吸着離脱部材6の円柱の回転中心軸線を中心として回転対称となるように二つの吸着領域61が配置されている。
【0026】
一方、非吸着領域62は、粘着性を有しない材料又は吸着領域61より粘着性の弱い材料(例えばフッ素樹脂)からなる例えばシート状の部材によって構成されている。
非吸着領域62は、吸着離脱部材6の断面円の中心角が例えば90度程度となるように、吸着離脱部材6の長手方向に沿って設けられている。
そして、非吸着領域62は、吸着離脱部材6の回転中心軸線を中心として回転対称となるように二つ配置されている。
このような構成により、本実施の形態では、吸着離脱部材6の表面に、吸着領域61と非吸着領域62とが交互に隣接して連続的に配置されている。
【0027】
各吸着離脱部材6は、その回転中心軸線の位置に設けた回転軸部63を有し、この回転軸部63を中心として回転可能な状態で搬送台座3の収容部50内に取り付けられている。
ここでは、各吸着離脱部材6は、回転軸部63が搬送台座3の台座面4(XY平面)と平行で、かつ、同一方向(図1(a)に示す矢印Y方向)に向けて配置されている。
【0028】
また、図2(a)(b)に示すように、各吸着離脱部材6は、搬送台座3の収容部50内において、図示しないガイドに沿って搬送台座3の台座面4と交差する例えば直交する方向(矢印Z方向)に移動可能に設けられている。
【0029】
この場合、各吸着離脱部材6は、後述する駆動機構22の駆動力により、その上方側の頂部が搬送台座3の動作開口部5(台座面4)に対して下方となる位置(図2(a)参照)から、搬送台座3の動作開口部5(台座面4)に対して上方となる位置(図2(b)参照)まで移動するように構成されている。
【0030】
また、各吸着離脱部材6は、搬送台座3の両側部側の回転軸部63aが、搬送台座3の両側部から突き出すようにその長さが設定されている。
さらに、各吸着離脱部材6の回転軸部63aの先端部には、それぞれ動力伝達機構64が設けられている。
【0031】
これら動力伝達機構64は、例えば真空槽2内に設けられた駆動機構22からそれぞれ回転動力及び搬送台座3の台座面4に対して直交する方向の動力が伝達されるように構成されている。
なお、これら駆動機構22及び動力伝達機構64としては、例えば歯車列や永久磁石又は電磁石を用いることができる。
【0032】
図3(a)〜(c)は、本実施の形態における基板吸着動作を示す説明図である。
本実施の形態において、基板20の吸着を行う場合には、例えば上述した真空槽2内に搬送台座3を搬入して所定の位置に配置する。
【0033】
そして、真空槽2内の駆動機構22を各吸着離脱部材6の動力伝達機構64に連結し、駆動機構22からの動力が動力伝達機構64を介して各吸着離脱部材6に伝達されるようにする(図1(a)参照)。
【0034】
さらに、駆動機構22を動作させ、吸着離脱部材6の吸着領域61を搬送台座3の台座面4側に向けるとともに、吸着離脱部材6を搬送台座3の台座面4に対して直交する方向に移動し、図3(a)に示すように、吸着離脱部材6の吸着領域61の表面の中央部分(頂部)が、搬送台座3の動作開口部5の内側において台座面4と面一(実際上は台座面4から若干上方の位置)となるように位置を設定する(吸着位置)。
【0035】
この状態で、図示しない搬送ロボットを用い、図3(b)に示すように、基板20を搬送台座3の台座面4上の所定の位置に配置する。これにより、基板20の裏側面が各吸着離脱部材6の吸着領域61の表面に接触する。
【0036】
次いで、例えば搬送台座3の下方から真空槽2内の真空排気を行うことにより、基板20に対して下方側の力を作用させ、図3(c)に示すように、各吸着離脱部材6の吸着領域61の表面に対して基板20の裏側面を押し付ける。
【0037】
これにより、各吸着離脱部材6の吸着領域61が弾性変形して押しつぶされ、その反力によって基板20の裏側面が各吸着離脱部材6の吸着領域61の表面に粘着保持される。また、基板20の裏側面が搬送台座3の台座面4に密着する。
この状態で、基板吸着離脱機構1を図示しない処理室内に移動し、基板20の表側面に対して例えば蒸着等の所定の処理を行う。
【0038】
なお、基板吸着離脱機構1の表裏を反転しても、基板20が各吸着離脱部材6から離脱することはないように、基板20の裏側面と各吸着離脱部材6の吸着領域61との間の粘着力を設定することが好ましい。
【0039】
図4(a)〜(d)は、本実施の形態における基板離脱動作を示す説明図である。
本実施の形態において、基板吸着離脱機構1から基板20の離脱を行う場合には、基板20を吸着した状態(図3(c)に示す状態)の基板吸着離脱機構1を例えば上述した真空槽2内に搬入して所定の位置に配置する。
【0040】
そして、真空槽2内の駆動機構22を各吸着離脱部材6の動力伝達機構64に連結し、駆動機構22からの動力が動力伝達機構64を介して各吸着離脱部材6に伝達されるようにする(図1(a)参照)。
【0041】
この状態で、駆動機構22の駆動力により、各吸着離脱部材6を、図3(c)に示す吸着位置から上方の例えば同じ高さ位置に移動し、図4(a)に示すように、基板20の裏側面を搬送台座3の台座面4から離間させる。
【0042】
そして、各吸着離脱部材6を回転軸部63を中心として、同一方向(例えば図中時計回り方向)へ回転させる。
これにより、基板20の裏側面が各吸着離脱部材6の吸着領域61の表面に接触しながら吸着離脱部材6の回転方向側に水平移動する。
【0043】
この場合、各吸着離脱部材6の吸着領域61の表面は曲面(凸面)状に形成されているため、吸着領域61の表面と基板20の裏側面との吸着部分のうち基板移動方向先端部側の吸着部分が吸着離脱部材6の回転開始によって剥離した後、基板20は、吸着離脱部材6の回転に伴い曲面状の吸着領域61の表面をあたかも転がるように移動するため、この回転動作の際に吸着離脱部材6の吸着領域61の表面から基板20の裏側面に対して与えられる剪断力は、基板20の裏側面に吸着させた平面状の吸着面を基板20の裏側面に対して直交する方向に剥離する場合と比べて非常に小さい。
【0044】
さらに、各吸着離脱部材6の回転により、基板20の裏側面と各吸着離脱部材6の吸着領域61の表面との接触部分が、吸着領域61から隣接する非吸着領域62に向って移動するから、基板20の裏側面と各吸着離脱部材6の表面との接触部分が吸着領域61の表面から非吸着領域62の表面に移行した時点(図4(b)参照)で、各吸着離脱部材6の回転を停止する(非吸着位置)。
この状態では、基板20の裏側面は各吸着離脱部材6の非吸着領域62に接触しているため、基板20と各吸着離脱部材6との間の粘着力が消滅している(又は殆どなくなる)。
【0045】
その後、図4(c)に示すように、搬送台座3の各孔部3aを介してリフトピン21を上昇させ、基板20を持ち上げて各吸着離脱部材6から離間させる。
さらに、図示しない搬送ロボットを用い、図4(d)に示すように、基板20をリフトピン上から移動して退避させ、例えば真空槽2から搬出させる。
【0046】
以上述べた本実施の形態によれば、吸着離脱部材6の吸着領域61の表面に吸着された基板20を吸着離脱部材6から離脱させる際、吸着離脱部材6の吸着領域61の表面から基板20の裏側面に対して与えられる剪断力は、基板20の裏側面に吸着させた平面状の吸着面を基板20の裏側面に対して直交する方向に剥離する場合と比べて非常に小さく、かつ、基板20の裏側面と各吸着離脱部材6の表面との接触部分が非吸着領域62の表面に移行した状態では、基板20と各吸着離脱部材6との間の粘着力が消滅している(又は殆どない)ため、基板20を搬送台座3から離脱させる際に吸着離脱部材6から基板20に対する局所的な応力集中は発生せず、その結果、基板20の破損を防止することができる。
また、これにより、基板20を搬送台座3から離脱させる際の摩擦力も従来技術と比べて非常に小さく静電気が殆ど発生しないことから、基板20上のデバイス部分に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0047】
図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)は、本発明に用いる吸着離脱部材の他の例を示す側面図であり、以下上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5(a)〜(c)に示すように、本例の吸着離脱部材6Aは、断面形状を上記実施の形態と同一の真円形状とし、回転軸部63を円柱の回転中心軸線Oから偏芯させて設けたものである。
【0048】
このような構成を有する本例においては、吸着離脱部材6Aの回転に伴い、回転中心である回転軸部63と吸着離脱部材6Aの表面との距離が変化する。
そこで、本例では、例えば図5(a)に示すように、吸着離脱部材6Aの吸着領域61の表面の例えば中央部分と回転軸部63との距離が最も小さくなるように吸着領域61を配置するとともに、この吸着領域61に隣接して非吸着領域62を配置するように構成する。
【0049】
そして、吸着離脱部材6Aの吸着領域61の例えば中央部分の表面が搬送台座3の台座面4と面一(実際上は台座面4から若干上方の位置)となるように吸着位置を設定する。
この状態において、基板20を搬送台座3の台座面4上に配置し、基板20の裏側面を吸着離脱部材6Aの吸着領域61に接触させる。
【0050】
そして、上述したように、例えば搬送台座3の下方から真空槽2内の真空排気を行うことにより、吸着離脱部材6Aの吸着領域61に対して基板20の裏側面を押し付け、基板20の裏側面を吸着離脱部材6Aの吸着領域61に粘着保持させる。
【0051】
一方、吸着離脱部材6Aから基板20の離脱を行う場合には、上述した駆動機構22を吸着離脱部材6Aの動力伝達機構64に連結し(図1(a)参照)、吸着離脱部材6Aを例えば図中時計回り方向へ回転させる。
【0052】
これにより、図5(b)に示すように、吸着離脱部材6Aの回転に伴い、その表面の頂部が搬送台座3の台座面4に対して離間する方向即ち上方に移動する。
これにより、基板20は、その裏側面が吸着離脱部材6Aの吸着領域61に接触しながら、吸着離脱部材6Aの回転方向に斜め上方に移動する。
そして、基板20の裏側面との接触部分が吸着離脱部材6Aの吸着領域61から非吸着領域62に移行した時点(図5(c)参照)で、吸着離脱部材6Aの回転を停止する(非吸着位置)。
【0053】
この状態では、基板20の裏側面は吸着離脱部材6Aの非吸着領域62に接触しており、基板20は吸着離脱部材6Aには吸着されていないから、図示しない搬送機構を用いて基板20を吸着離脱部材6Aから離脱させる。
その後、吸着離脱部材6Aを例えば反時計回り方向へ回転させることにより、図5(a)に示す吸着位置に戻すようにする。
【0054】
このような構成を有する本例によれば、上記実施の形態と同様の効果に加え、吸着離脱部材6Aを回転軸部63を中心として回転させるだけでその表面を上下方向に移動させ、また、基板20に対して吸着領域61と非吸着領域62との接触を切り換えることができるので、吸着離脱部材6Aを駆動させる機構をより簡素な構成にすることができる。
【0055】
一方、図6(a)〜(c)に示す吸着離脱部材6Bは、本体部の断面形状を長円(例えば楕円)形状に形成したものである。この場合、回転軸部63の回転中心は、長円の回転中心軸線Oに一致させている。
このような構成を有する本例においても、図5(a)〜(c)に示す例と同様に、吸着離脱部材6Bの回転に伴い、回転中心である回転軸部63と吸着離脱部材6Bの表面との距離が変化する。
【0056】
本例では、例えば図6(a)に示すように、吸着離脱部材6Bの吸着領域61の表面の例えば中央部分と回転軸部63との距離が最も小さくなるように吸着領域61を配置するとともに、この吸着領域61に隣接して非吸着領域62を配置するように構成する。
そして、吸着離脱部材6Bの吸着領域61の例えば中央部分の表面が搬送台座3の台座面4と面一(実際上は台座面4から若干上方の位置)となるように吸着位置を設定する。
【0057】
このような構成において、基板20を搬送台座3に保持する場合には、基板20を搬送台座3の台座面4上に配置し、基板20の裏側面を吸着離脱部材6Bの吸着領域61に接触させる。
そして、上述したように、例えば搬送台座3の下方から真空排気を行うことにより、吸着離脱部材6Bの吸着領域61に対して基板20の裏側面を押し付け、基板20の裏側面を吸着離脱部材6Bの吸着領域61に粘着保持させる。
【0058】
一方、吸着離脱部材6Bから基板20の離脱を行う場合には、上述した駆動機構22を吸着離脱部材6Bの動力伝達機構64に連結し(図1(a)参照)、吸着離脱部材6Bを例えば図中時計回り方向へ回転させる。
【0059】
これにより、図6(b)に示すように、吸着離脱部材6Bの回転に伴い、その表面の頂部が搬送台座3の台座面4に対して離間する方向即ち上方に移動する。
これにより、基板20は、その裏側面が吸着離脱部材6Bの吸着領域61に接触しながら、吸着離脱部材6Bの回転方向に斜め上方に移動する。
そして、基板20の裏側面との接触部分が吸着離脱部材6Bの吸着領域61から非吸着領域62に移行した時点(図6(c)参照)で、吸着離脱部材6Bの回転を停止する(非吸着位置)。
【0060】
この状態では、基板20の裏側面が吸着離脱部材6Bの非吸着領域62に接触しており、基板20は吸着離脱部材6Bには吸着されていないから、図示しない搬送機構を用いて基板20を吸着離脱部材6Bから離脱させる。
その後、吸着離脱部材6Bを例えば反時計回り方向へ回転させることにより、図6(a)に示す吸着位置に戻すようにする。
【0061】
このような構成を有する本例によれば、上記実施の形態と同様の効果に加え、吸着離脱部材6Bを回転軸部63を中心として回転させるだけで、吸着離脱部材6Bの表面を上下方向に移動させ、また、基板20に対して吸着領域61と非吸着領域62との接触を切り換えることができるので、吸着離脱部材6Bを駆動させる機構をより簡素な構成にすることができる。
【0062】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態では、吸着離脱部材の断面形状を真円又は長円形状としたが、本発明はこれに限られず、吸着離脱部材の表面が曲面状に形成された曲面領域を有していればよく、例えば断面形状が半円形状のものや、球状の吸着離脱部材を用いることもできる。
【0063】
また、図5(a)〜(c)に示す例と、図6(a)〜(c)に示す例を組み合わせることもできる。すなわち、吸着離脱部材の断面形状を長円形状とし、回転軸部を長円の回転中心軸から偏芯させて設けることもできる。
また、吸着離脱部材の数、並びに、吸着離脱部材に設ける吸着領域と非吸着領域の数や形状は上記実施の形態のものは限られず、基板の大きさや形状に応じて適宜変更することができる。
【0064】
さらに、本発明は、真空中のみならず、大気中やガス中においても使用することができる。
この場合、基板を吸着離脱部材の吸着領域に押し付けるには、機械的な押圧機構を用いるとよい。
【符号の説明】
【0065】
1…基板吸着離脱機構
2…真空槽
3…搬送台座
4…台座面
5…動作開口部
6…吸着離脱部材
20…基板
21…リフトピン
22…駆動機構
50…収容部
61…吸着領域
62…非吸着領域
63…回転軸部
64…動力伝達機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6