(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、予めすべての前記加工領域を設定すると共に、当該すべての加工領域と、前記表示手段に表示される前記試料画像の表示サイズを示す幅Wとに基づき、前記試料ステージの移動量を設定する請求項1又は2記載の集束イオンビーム装置。
前記制御手段は、前記試料ステージの移動量を設定すると共に、当該移動量に基づき、前記移動前の試料画像上で前記基準マークの位置を検出する請求項1又は2記載の集束イオンビーム装置。
前記制御手段は、前記試料ステージの移動後の前記試料画像において前記加工を行った後、当該試料画像内に新たな加工領域を設定し、かつ前記試料画像内の前記基準マークと異なる位置に新たな位置検出マークを形成し、
さらに前記制御手段は、前記位置検出マークを形成する前後の前記試料画像からそれぞれ特徴量を抽出し、各特徴量の間の位置ずれを補正するように前記新たな加工領域に照射する前記集束イオンビームの照射位置を制御する請求項1〜5のいずれかに記載の集束イオンビーム装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、試料の加工領域はディスプレイ上に表示された試料画像を用いて設定され、試料画像の画素を、イオンビームを照射するピクセルの大きさの最小単位としてイオンビームが2次元走査されて画像表示及び試料の加工が行われる。ここで、ディスプレイ上での試料画像の表示サイズ(FOV:field of view)を示す幅Wと、試料上にイオンビームを照射するピクセルの幅Dとの比(W/D)を「加工倍率」とする。幅Wはディスプレイの画素数で制限されるために通常は一定であるから、加工倍率が高いほど(Dが小さいほど)加工精度が高くなる。但し、実際には幅Dはイオンビームのスポット径より小さくはならないから、加工倍率の最高倍率には限界がある。なお、加工倍率は、実際の試料の大きさに対し、ディスプレイに表示される試料の大きさを表す「表示倍率」とは異なる。
従って、試料の加工領域が広い場合、すべての加工領域を試料画像内に表示させて加工を行おうとすると加工倍率が低倍率となり、加工精度も低下してしまう。一方、加工倍率を高倍率にして加工精度を向上させようとすると、すべての加工領域を試料画像内に表示できないので、試料ステージを移動させて加工領域を画像中に順次表示させながら加工する必要がある。
ところが、試料ステージの物理的(機械的)移動の位置決め精度は、イオンビーム照射の位置決め精度よりも低く、通常、数μm程度の誤差が生じる。このため、試料ステージの移動前の試料画像の位置検出マークを検出して位置ずれを補正しても、試料ステージの移動によって新たな位置ズレが生じるが、試料画像の切り替えによって元の位置検出マークが見えなくなるので、試料ステージの移動後に加工位置ずれを補正することができないという問題がある。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、試料ステージを移動させて試料画像の表示範囲を超える加工領域を加工する場合であっても、加工位置ずれを補正することができる集束イオンビーム装置、それを用いた試料の加工方法、及び集束イオンビーム加工用コンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の集束イオンビーム装置は、加工対象の試料を載置すると共に該試料の位置を移動させる移動機構を有する試料ステージと、集束イオンビームを前記試料に照射する集束イオンビーム照射機構と、前記集束イオンビームを前記試料に照射して生じる二次荷電粒子を検出する検出器と、前記検出器の検出データに基づき、前記試料に形成された位置検出マークを含む試料画像を生成する画像生成手段と、前記試料画像を表示する表示手段と、前記試料ステージを移動させ、前記表示手段の表示範囲を超える加工領域に前記集束イオンビームを照射して加工する場合に、前記試料ステージの移動前の前記試料画像に含まれる前記位置検出マークのうち、前記移動後の前記試料画像に含まれることとなるいずれかの位置検出マークを基準マークとしてその位置を検出し、前記試料ステージの移動後の前記試料画像において前記基準マークの位置を検出し、当該基準マークに基づいて前記集束イオンビームの照射位置を制御する制御手段と、を有する。
この集束イオンビーム装置によれば、加工精度を高めるために高い倍率の試料画像上で加工を行った後、試料ステージを移動させて試料画像の表示範囲を超える加工領域を加工する場合であっても、移動後の試料画像に含まれる基準マークを用いることにより、加工位置ずれを補正しながらすべての加工領域を高精度で加工することができる。
【0007】
前記制御手段は、前記試料ステージの移動先に最も近い前記基準マークを検出してもよい。
このようにすると、移動後の試料画像に基準マークを確実に含ませることができる。
【0008】
前記制御手段は、予めすべての前記加工領域を設定すると共に、当該すべての加工領域と、前記表示手段に表示される前記試料画像の表示サイズを示す幅Wとに基づき、前記試料ステージの移動量を設定してもよい。
この集束イオンビーム装置によれば、低倍率の試料画像上で、予めすべての加工領域を設定することで、試料ステージの移動及びその後の基準マークの検出や加工を自動で行うことができる。
【0009】
前記制御手段は、前記試料ステージの移動量を設定すると共に、当該移動量に基づき、前記移動前の試料画像上で前記基準マークの位置を検出してもよい。
この集束イオンビーム装置によれば、加工精度を高めるために高い倍率の試料画像内のみの加工領域を加工した後、事後的に試料ステージを移動させて試料画像の表示範囲を超える部分を加工する必要が生じた場合であっても、基準マークによる加工位置ずれを補正することができる。
【0010】
前記制御手段は、前記移動量に基づき、前記基準マークを形成してもよい。
この集束イオンビーム装置によれば、予め位置検出マークを先に形成しなくとも、移動量が判明してから位置検出マークを形成することができる。
【0011】
前記制御手段は、前記試料ステージの移動後の前記試料画像において前記加工を行った後、当該試料画像内に新たな加工領域を設定し、かつ前記試料画像内の前記基準マークと異なる位置に新たな位置検出マークを形成し、さらに前記制御手段は、前記位置検出マークを形成する前後の前記試料画像からそれぞれ特徴量を抽出し、各特徴量の間の位置ずれを補正するように前記新たな加工領域に照射してもよい。
この集束イオンビーム装置によれば、新たな加工領域を含む試料画像内に新たな位置検出マークを形成するので、既存の基準マークがイオンビームの照射により損傷していても、新たな位置検出マークを用いて加工領域を正確に加工できる。
但し、新たな位置検出マークを形成中にドリフトが発生し、当該位置検出マークが位置ズレすることがある。そこで、位置検出マークを形成する前後の試料画像からそれぞれ抽出した特徴量を位置の基準として位置ズレを補正することで、本来の加工領域の位置を正確に加工できるので、より高精度な加工ができる。
【0012】
本発明の集束イオンビーム装置を用いた試料の加工方法は、集束イオンビームを加工対象の試料に照射して生じる二次荷電粒子に基づき、前記試料に形成された位置検出マークを含む試料画像を生成する画像生成過程と、前記試料画像を表示する表示過程と、前記試料を載置する試料ステージを移動させ、前記表示過程における前記試料画像の表示範囲を超える加工領域に前記集束イオンビームを照射して加工する場合に、前記試料ステージの移動前の前記試料画像に含まれる前記位置検出マークのうち、前記移動後の前記試料画像に含まれることとなるいずれかの位置検出マークを基準マークとしてその位置を検出し、前記試料ステージの移動後の前記試料画像において前記基準マークの位置を検出し、当該基準マークに基づいて前記集束イオンビームの照射位置を制御する制御過程と、を有する。
【0013】
本発明の集束イオンビーム加工用コンピュータプログラムは、集束イオンビームを加工対象の試料に照射して生じる二次荷電粒子に基づき、前記試料に形成された位置検出マークを含む試料画像を生成する画像生成過程と、前記試料画像を表示する表示過程と、前記試料を載置する試料ステージを移動させ、前記表示過程における前記試料画像の表示範囲を超える加工領域に前記集束イオンビームを照射して加工する場合に、前記試料ステージの移動前の前記試料画像に含まれる前記位置検出マークのうち、前記移動後の前記試料画像に含まれることとなるいずれかの位置検出マークを基準マークとしてその位置を検出し、前記試料ステージの移動後の前記試料画像において前記基準マークの位置を検出し、当該基準マークに基づいて前記集束イオンビームの照射位置を制御する制御過程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、集束イオンビーム装置を用い、試料ステージを移動させて試料画像の表示範囲を超える加工領域を加工する場合であっても、加工位置ずれを補正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る集束イオンビーム装置100の全体構成を示すブロック図である。
図1において、集束イオンビーム装置100は、真空室10と、イオンビーム照射系(特許請求の範囲の「集束イオンビーム照射機構」)20と、電子ビーム照射系30と、アルゴンイオンビーム照射系40と、試料ステージ60と、二次荷電粒子検出器(特許請求の範囲の「検出器」)70と、ガス銃80と、制御部90とを備えている。真空室10の内部は所定の真空度まで減圧され、集束イオンビーム装置100の各構成部分の一部又は全部が真空室10内に配置されている。
【0017】
又、試料ステージ60は、試料台61を移動可能に支持し、試料台61上には試料2が載置されている。そして、試料ステージ60は、試料台61を5軸で変位させることができる移動機構を有している。この移動機構は、試料台61を水平面に平行で且つ互いに直交するX軸及びY軸と、X軸及びY軸に直交するZ軸とに沿ってそれぞれ移動させるXYZ移動機構60bと、試料台61をZ軸回りに回転させるローテーション機構60cと、試料台61をX軸(又はY軸)回りに回転させるチルト機構60aとを備えている。試料ステージ60は、試料台61を5軸に変位させることで、試料2をイオンビーム20Aの照射位置に移動させる。
【0018】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPUと、データやプログラムなどを格納する記憶部(RAMおよびROM)93と、外部機器との間で信号の入出力を行う入力ポートおよび出力ポートとを備えるコンピュータで構成することができる。制御部90は、記憶部93に格納されたプログラムに基づいてCPUが各種演算処理を実行し、集束イオンビーム装置100の各構成部分を制御する。そして、制御部90は、イオンビーム(以下、適宜、集束イオンビームを「イオンビーム」と略記する)照射系20、電子ビーム照射系30、アルゴンイオンビーム照射系40、二次荷電粒子検出器70、及び試料ステージ60の制御配線等と電気的に接続されている。
制御部90は、画像生成手段90Aを有する。
また制御部90は、ソフトウェアの指令やオペレータの入力に基づいて試料ステージ60を駆動し、試料2の位置や姿勢を調整して試料2表面へのイオンビーム20Aの照射位置や照射角度を調整できるようになっている。
なお、制御部90には、オペレータの入力指示を取得するキーボード等の入力手段92が接続されている。
【0019】
画像生成手段90Aは、二次荷電粒子検出器70で検出された二次荷電粒子を輝度信号に変換して試料表面を表す画像データを生成し、この画像データを基に試料画像を生成する。試料画像は、制御部90に接続された表示装置(ディスプレイ、特許請求の範囲の「表示手段」)91に出力され、さらに表示装置91上で、後述する加工領域を指定できるようになっている。
この加工領域は、画像データ(ビットマップデータ)として記憶部93に格納される。
【0020】
制御部90は、試料画像に含まれる位置検出マークの位置を随時検出すると共に、加工前の位置検出マークの位置を記憶部93に初期位置として記録する。又、制御部90は、イオン源21及びイオンビーム照射系光学系12を制御してイオンビーム20Aの照射を制御する。具体的には、制御部90は、イオン源11から出射されるイオンビーム20Aの出力を制御すると共に、偏向器22bを制御して、イオンビーム20Aの幅D(
図2参照)を制御する。又、制御部90は、偏向器22bを制御することで、試料ステージ60を動かさずにイオンビーム20Aの照射位置を調整し、加工領域に沿って幅Dで加工を行う。さらに、制御部90は、記憶部93に記憶されている位置検出マークの初期位置と、加工中の位置検出マークの位置とを照合し、両者の位置のずれを補正するように偏向器22bを制御してイオンビーム20Aの照射位置を調整し、加工時の位置ずれ(加工位置ずれ)を補償する。又、制御部90は、イオンビーム20Aを照射して適宜試料の所定位置に位置検出マークを形成することもできる。
又、試料画像上で、作業者は、試料の加工領域の位置(座標)を指定し、その指定情報は入力手段92を介して制御部90に送信される。制御部90は受信した位置を記憶部93に登録する。
【0021】
イオンビーム照射系20は、イオンを発生させるイオン源21と、イオン源21から流出したイオンを集束イオンビームに成形するとともに走査させるイオン光学系22とを備えている。イオンビーム鏡筒23を備えたイオンビーム照射系20から、真空室10内の試料ステージ60上の試料2に荷電粒子ビームであるイオンビーム20Aが照射される。このとき、試料2からは二次イオンや二次電子等の二次荷電粒子が発生する。この二次荷電粒子を、二次荷電粒子検出器70で検出して試料2の像が取得される。また、イオンビーム照射系20は、イオンビーム20Aの照射量を増すことで、照射範囲の試料2をエッチング加工する。
イオン光学系22は、例えば、イオンビーム20Aを集束するコンデンサーレンズと、イオンビーム20Aを絞り込む絞りと、イオンビーム20Aの光軸を調整するアライナと、イオンビーム20Aを試料に対して集束する対物レンズと、試料上でイオンビーム20Aを走査する偏向器22bとを備えて構成される。
【0022】
電子ビーム照射系30は、電子を放出する電子源31と、電子源31から放出された電子をビーム状に成形するとともに走査する電子光学系32とを備えている。電子ビーム照射系30から射出される電子ビーム30Aを試料2に照射することによって、試料2からは二次電子が発生するが、この発生した二次電子を、二次荷電粒子検出器70で検出して試料2の像を取得することができる。ここで、電子ビーム鏡筒33から射出される電子ビーム30Aは、イオンビーム20Aと同一位置の試料2上に照射する。
【0023】
アルゴンイオンビーム照射系40は、アルゴンイオン源41と、アルゴンイオン光学系42と、アルゴンイオンビーム鏡筒43とを備え、さらに、アルゴンイオンビームの照射位置を制御するビーム位置制御手段44を備えている。アルゴンイオンビーム照射系40からは、試料2をクリーニングするためのアルゴンイオンビームが照射される。
二次荷電粒子検出器70は、試料2へイオンビーム20A又は電子ビーム30Aが照射された際に、試料2から発生する二次荷電粒子(二次電子や二次イオン)を検出する。
【0024】
ガス銃80は、試料2へエッチングガス等の所定のガスを放出する。ガス銃80からエッチングガスを供給しながら試料2にイオンビーム20Aを照射することで、イオンビーム20Aによる試料のエッチング速度を高めることができる。又、ガス銃80から化合物ガスを供給しながら試料2にイオンビーム20Aを照射することで、イオンビーム20Aの照射領域近傍に局所的なガス成分の析出(デポジション)を行うことができる。
【0025】
次に、
図2〜
図4を参照し、本発明の第1の実施形態に係る集束イオンビーム装置において、試料ステージを移動させて試料の加工を行う際の位置検出マークの検出処理について説明する。第1の実施形態は、
図3に示すように予め加工倍率が低倍率P2の試料画像G3ですべての加工領域W2(A点〜C点)を設定すると共に、位置検出マークM1、M2を予め形成した後、
図2に示すように加工倍率が高倍率P1の試料画像G1、G2上で位置検出マークを検出しつつ試料の加工を行う場合を想定している。
なお、上述のように、表示手段91(ディスプレイ)上での試料画像の表示サイズ(FOV:field of view)を示す幅Wと、試料上にイオンビームを照射するピクセルの幅Dとの比(W/D)を「加工倍率」とする。
【0026】
図2は、試料ステージ60を移動させて試料2の加工を行う際の位置検出マークM1、M2の検出方法を示す図である。
図2において、試料台61上に試料2が載置され、試料ステージ60が試料台61を移動可能に支持している。
試料の加工は試料画像G1、G2を用いて行われ、加工精度を高めるために幅Dを小さく(イオンビームのスポット径と同等)するため、倍率P1=(幅W/イオンビーム20Aの幅D)としている。このため、加工領域2Wが試料画像G1からはみ出した状態で加工を行うことになる。
このように、すべての加工領域2Wを試料画像G1内に表示できないので、試料画像G1内で加工領域2Wの一部(A点からB点)をイオンビーム20Aで加工した後、試料ステージ60を左側に移動量Lだけ移動させ、残りの加工領域2W(B点からC点)を試料画像G2内に表示させ、同様にイオンビーム20Aで加工する。なお、便宜上、試料画像G1、G2を別の位置に表示しているが、実際には試料ステージ60を左側に移動させ、試料画像G1とG2とは同じ位置に重なることになる。
【0027】
ここで、試料画像G1、G2のそれぞれにおける加工位置ずれを防止するため、まず、試料画像G1では、試料2の左下端(A点側)に形成した位置検出マークM1に基づいて位置ずれを補正しながら加工を行う。次に、試料ステージ60の移動前の試料画像G1に含まれ、かつ試料ステージ60の移動先(試料ステージ60の移動方向と反対向きである
図2の右側)に最も近い試料画像G1の右下端(B点側)の位置検出マークM2の位置を検出する。位置検出マークM2が基準マークとなる。そして、試料ステージ60の移動後の試料画像G2において、位置検出マーク(基準マーク)M2の位置を検出し、位置ずれを補正しながら加工を行う。
このようにして、倍率P1により加工精度を高めつつ、試料ステージ60を移動させた場合であっても、加工位置ずれを補正しながらすべての加工領域2W(A点からC点)を加工することができる。
なお、試料画像G2内に位置検出マークM2が表示されるように移動量Lを調整する。又、試料画像G1とG2でいずれも位置検出マークM2が表示されるよう、移動量Lは、幅Wから、試料画像G1の右下端と位置検出マークM2の左端との距離を引いた値Tより小さくする必要がある。又、位置検出マークM1、M2の形状は
図2に示される十字状に限定されない。
【0028】
次に、
図3を参照し、予め加工領域2W(A点〜C点)を設定すると共に、位置検出マークM1、M2を予め形成する方法について説明する。まず、すべての加工領域2W(A点〜C点)を表示させるため、試料画像G3を倍率P1より低い倍率P2で表示する。倍率P2では、イオンビーム20Aの幅Dxは、倍率P1での幅Dより小さく、加工精度も低下するので、倍率P2の試料画像G3上では加工は行わず、イオンビーム20Aによる試料画像G3の取得及び加工領域2Wの設定を行う。
試料画像G3上で、すべての加工領域2W(A点〜C点)を設定する。又、試料2の所定位置に位置検出マークM1,M2を形成する。ここで、移動方向に沿った位置検出マークM1,M2の間隔SがW未満である必要がある。
【0029】
位置検出マークM1,M2の形成位置は、試料画像G3上で作業者が任意に決めてもよく、加工領域2Wの大きさに応じてシステム上で自動的に決めてもよい。後者の場合、例えば移動方向に沿った加工領域2W(A点〜C点)の位置(座標)と、倍率P1での移動方向に沿った試料画像の幅Wとに応じて、幅W未満となる移動量Lを設定する。又、上述の値Tを考慮し、移動量Lは(W−T)に設定するが、例えば値Tはデフォルト値で予め決めておいてもよく、位置検出マークM2を操作者が任意の位置に形成した場合は位置検出マークM2の位置をシステム上で検出してから値Tを算出するようにしてもよい。
以上のようにして加工領域2Wを設定すると共に、適宜位置検出マークM1、M2を形成した後、上記した
図2に示す加工を行う。なお、位置検出マークM1、M2の形成は、
図3の段階で行わず、
図2に示す試料画像G1上で行うようにしてもよい。
【0030】
次に、
図4を参照し、
図2及び
図3の処理のフローについて説明する。なお、以下のフローにて、画像生成手段90Aは、二次荷電粒子検出器70から二次荷電粒子の検出データを取得し、試料2の表面形状を示す試料画像を生成して表示装置91に送信し、表示装置91は試料画像を表示する。
まず、
図3に示すように、倍率P2で表示された試料画像G3上で、作業者は、すべての加工領域2W(A点〜C点)の位置(座標)を指定し、その指定情報は入力手段92を介して制御部90に送信される。制御部90は受信した位置を記憶部93に登録し、加工領域2Wを設定する(ステップS2)。次に、制御部90は、記憶部93に登録された加工領域2Wの座標に基づき、倍率P1での幅Wに対し、W>Sとなる所定間隔で位置検出マークM1,M2の位置を算出し、試料2の当該位置にイオンビーム20Aを照射して位置検出マークM1,M2を形成する(ステップS4)。なお、位置検出マークM1,M2の形成位置は、試料画像G3上で作業者が任意に決めてもよく、この場合に制御部90はステップS4を行う代わりに、作業者が指定した位置に位置検出マークを形成する。
【0031】
次に、制御部90は、倍率P1に切り替えられた試料画像G1上で、試料画像G1の左下端(A点側)の位置検出マークM1を検出し(ステップS6)、加工位置ずれを補正する(ステップS8)。ステップS6では、まず制御部90は、位置検出マークM1の加工前の位置を検出して記憶部93に予め登録する。そして、加工中にも制御部90は、ステップS6で位置検出マークM1の検出を随時行う。制御部90は、ステップS6で随時検出したマーク位置と、最初に登録したマーク位置とのずれを補正するように、偏向器22bにてイオンビーム20Aの照射位置を調整する。
次に、制御部90は、試料画像G1上で、加工領域2Wの座標に基づき、試料ステージ60を動かさずに加工領域2Wの一部(A点〜B点)をイオンビーム20Aにより加工する(ステップS10)。
【0032】
次に、ステップS12では、制御部90は、ステップS10の加工が終了したか否かを判定し、ステップS10で「No」であればステップS6に戻り、ステップS10で「Yes」であれば処理を終了してステップS14に移行する。又、ステップS10の加工が終了したか否かの判定は、例えば、イオンビーム20Aの照射位置が試料画像G1中の加工領域2Wの右端(B点)に到達したか否かで行う。
又、ステップS6での位置検出マークM1の検出は、例えば試料画像G1内で、試料ステージ60の移動先(
図2の右側)と反対側の領域(
図2の左側)の画像の中から位置検出マークM1を探し出してもよく、試料画像G1の中からすべての位置検出マークM1、M2を探し出し、これらのマークの中から試料ステージ60の移動先(
図2の右側)と反対側のマークM1を抽出してもよい。
なお、ステップS10は、イオンビーム20Aの幅D毎に行われ、ステップS6の検出処理はステップS10毎(つまり幅D毎)に行ってもよく、ステップS10の加工を何回か行う毎に検出処理を行ってもよい。以下の対応する加工及び検出処理についても同様である。
【0033】
次に、ステップS14で制御部90は、試料画像G1の右下端(B点側)の位置検出マーク(基準マーク)M2を検出して記憶部93に予め登録する。なお、上述のように、ステップS10ですべての位置検出マークM1、M2を探し出し、これらの位置を記憶部93に予め登録した場合には、ステップS14は不要となる。
次に制御部90は、ステップS2で登録された座標と幅Wに基づき、上述のように試料ステージ60の移動量Lを設定し、試料ステージ60を左側に移動量Lだけ移動させる(ステップS16)。
なお、試料ステージ60の移動指示は作業者が行ってもよく、この場合にステップS16は不要となる。
【0034】
次に、制御部90は、試料ステージ60の移動後の試料画像G2上で、試料画像G2の左下端(B点側)の基準マークM2を検出し(ステップS18)、加工位置ずれを補正する(ステップS20)。ステップS18では、制御部90は、加工中に基準マークM2の検出を随時行う。又、制御部90は、ステップS18で随時検出したマーク位置と、ステップS14で登録したマーク位置とのずれを補正するように、偏向器22bにてイオンビーム20Aの照射位置を調整する。
次に、制御部90は、試料画像G2上で、加工領域2Wの座標に基づき、試料ステージ60を動かさずに加工領域2Wの残り(B点〜C点)をイオンビーム20Aにより加工する(ステップS22)。
【0035】
次に、ステップS24では、制御部90は、ステップS22の加工が終了したか否かを判定し、ステップS24で「No」であればステップS18に戻り、ステップS24で「Yes」であれば
図4の処理を終了する。又、ステップS22の加工が終了したか否かの判定は、例えば、イオンビーム20Aの照射位置が試料画像G2中の加工領域2Wの右端(C点)に到達したか否かで行う。
【0036】
次に、
図5〜
図6を参照し、本発明の第2の実施形態に係る集束イオンビーム装置において、試料ステージを移動させて試料の加工を行う際の位置検出マークの検出処理について説明する。第2の実施形態は、予め低倍率の試料画像上で加工領域をすべて設定せず、高倍率P1の試料画像G1上で試料の加工を行った後で、事後的に試料ステージ60を移動させ、試料画像G1を超えて加工を行う場合を想定している。
【0037】
図5は、試料画像G1内に位置する加工領域2W(A点〜D点)を加工したところ、試料画像G1の右端に不純物Yの一部を発見したため、不純物Yをすべて除去すべく、試料ステージ60を移動させて試料画像G1より右側をさらに加工する場合を示す図である。なお、便宜上、試料画像G1、G2を別の位置に表示しているが、実際には試料ステージ60を左側に移動させ、試料画像G1とG2とは同じ位置に重なることになる。
試料画像G1内での加工領域2Wの加工及び位置ずれの補正方法については、第1の実施形態と同様である。但し、
図5では、試料2の中央上部をデフォルト位置として位置検出マークMdが予め自動的に形成されたものとし、試料画像G1上で位置検出マークMdに基づいて位置ずれを補正する。
【0038】
加工領域2Wの加工が終了後、不純物Yを除去するために試料ステージ60の移動が設定されると、試料画像G1内で試料ステージ60の移動先に近い位置(
図5の試料画像G1右端)に位置検出マークM2が形成される。
その後、試料ステージ60が移動量Lだけ左に移動し、試料画像G2内に不純物Y(の加工領域)が表示され、試料画像G2内で位置検出マークM2を用いて位置ずれの補正を行いつつ、不純物Yの加工が行われる。これら加工及び位置ずれの補正方法については、第1の実施形態と同様である。
以上のようにして、1つの加工領域を加工後に事後的に試料ステージを移動させた場合であっても、加工精度を高めつつ、加工位置ずれを補正しながらすべての加工領域2W、Yを加工することができる。
【0039】
次に、
図6を参照し、
図5の処理のフローについて説明する。
まず、
図5に示すように、倍率P1で表示された試料画像G1上で、作業者は、すべての加工領域2W(A点〜D点)の位置(座標)を指定し、その指定情報は入力手段92を介して制御部90に送信される。制御部90は受信した位置を記憶部93に登録し、加工領域2Wを設定する。次に、照射制御手段90Cは、試料画像G1上の適当なデフォルト位置に位置検出マークMdを形成する(ステップS104)。
図5の例では、試料2の中央上部をデフォルト位置として位置検出マークMdを自動的に形成する。なお、位置検出マークMdの形成位置は、試料画像G1上で作業者が任意に決めてもよく、この場合に照射制御手段90CはステップS104を行う代わりに、作業者が指定した位置に位置検出マークを形成する。
【0040】
次に、制御部90は、試料画像G1上で、試料画像G1の左下端(A点側)の位置検出マークMdを検出し(ステップS106)、加工位置ずれを補正する(ステップS108)。ステップS106、S108の処理は、
図4のステップS6、S8と同様であるので説明を省略する。
次に、制御部90は、試料画像G1上で、加工領域2Wの座標に基づき、試料ステージ60を動かさずに、すべての加工領域2W(A点〜D点)をイオンビーム20Aにより加工する(ステップS110)。
次に、ステップS112では、制御部90は、ステップS110の加工が終了したか否かを判定し、ステップS110で「No」であればステップS106に戻り、ステップS110で「Yes」であれば処理を終了してステップS114に移行する。
【0041】
次に、ステップS114で制御部90は、試料ステージ60の移動設定の有無を判定する。上述のように、加工領域2Wの加工終了後、操作者は不純物Yを除去するため、入力手段92を介して試料ステージ60の移動量Lを入力する。その入力情報は制御部90により、移動量Lとして記憶部93に登録される。従って、制御部90は、記憶部93に移動量Lが登録されているか否かを参照し、移動設定の有無を判定することができる。
そして、ステップS114で「No」であれば、移動がなく加工がすべて終了したとみなして
図6の処理を終了し、ステップS114で「Yes」であればステップS116に移行する。
【0042】
次に、ステップS116で、制御部90は移動量Lに基づき、移動先(つまり、試料画像G1の右端)に近い所定位置に位置検出マーク(基準マーク)M2を形成する。そして、制御部90は、基準マークM2を検出して記憶部93に予め登録する。
なお、基準マークM2の形成指示は作業者が行ってもよく、この場合にステップS116の基準マークM2の形成処理は不要となる。
又、移動先に近い位置は、予め決めておけばよい。例えば、移動先が試料画像G1の右端側であれば、右端から内側へ所定距離離れた位置を設定しておけばよい。さらに、この位置が加工領域2Wに重なる場合には、重ならないように位置をずらせばよい。そして、制御部90は、この設定位置のマークを探し出すようにすればよい。
【0043】
次に、制御部90は試料ステージ60の移動が終了したか否かを判定し(ステップS118)、ステップS118で「No」であれば待機し、ステップS118で「Yes」であればステップS120に移行する。試料ステージ60の移動は、移動量Lに基づいて制御部90が行う。
ステップS120では、作業者は、移動後の試料画像G2上で不純物Yの範囲に相当する新たな加工領域Yの位置(座標)を指定し、その指定情報に基づき、加工領域設定手段90Dは加工領域Yを設定する。
【0044】
次に、制御部90は、試料画像G2の左下端(D点側)の基準マークM2を検出し(ステップS122)、加工位置ずれを補正する(ステップS124)。ステップS122では、制御部90は、加工中に基準マークM2の検出を随時行う。又、制御部90は、ステップS124で随時検出したマーク位置と、ステップS116で登録したマーク位置とのずれを補正するように、偏向器22bにてイオンビーム20Aの照射位置を調整する。
次に、制御部90は、試料画像G2上で、加工領域Yの座標に基づき、試料ステージ60を動かさずに、加工領域Yをイオンビーム20Aにより加工する(ステップS126)。
次に、ステップS128では、制御部90は、ステップS126の加工が終了したか否かを判定し、ステップS128で「No」であればステップS122に戻り、ステップS128で「Yes」であれば
図6の処理を終了する。又、ステップS126の加工が終了したか否かの判定は、例えば、イオンビーム20Aの照射位置が試料画像G2中の加工領域Yの右端に到達したか否かで行う。
【0045】
本発明を、いわゆる「カット・アンド・シー」と呼ばれる断面加工と観察を繰り返し行う技術に適用することもできる。
図7に示すように、「カット・アンド・シー」は、イオンビーム20Aによる試料2の断面加工と、断面2a〜2eに電子ビーム30Aを照射することによるSEM像の取得とを繰り返して実行される。具体的には、イオンビーム20Aを一方向に移動させて試料2をエッチング加工して断面2aを形成した後、この断面2aのSEM像(又は反射電子像)を取得する。次に、イオンビーム20Aを
図7の右方向へ移動して試料2をさらにエッチング加工し、断面2aの右側に断面2aと所定の間隔で略平行な断面2bを形成する。そして、断面2bのSEM像を取得する。以下、同様にして右方向にイオンビーム20Aを順次移動し、断面2aと平行な断面2c〜2eを順次形成し、各断面のSEM像を取得する。さらに、取得した複数の断面SEM像を組み合わせることにより、試料内部の三次元像を構築することができる。
【0046】
ところで、
図2と同様、
図7においてもイオンビーム20Aによる試料2の断面加工は試料画像G1、G2を用いて行われ、加工精度を高めるために高倍率P1で行う場合を考える。この場合も、加工領域2W(断面2a〜2eの形成領域に相当)が試料画像G1からはみ出した状態で加工を行うことになる。そのため、試料画像G1内で加工領域2Wの一部(断面2a〜2c)をイオンビーム20Aで加工した後、試料ステージ60を左側に移動させ、残りの加工領域2W(断面2c〜2e)を試料画像G2内に表示させ、同様にイオンビーム20Aで加工する。
【0047】
この際に、第1の実施形態と同様、試料画像G1、G2のそれぞれにおける加工位置ずれを防止するため、まず、試料画像G1に形成した位置検出マークM1、及び試料画像G2に形成した位置検出マークM2に基づいて位置ずれを補正しながら加工を行う。これにより、倍率P1により加工精度を高めつつ、試料ステージ60を移動させた場合であっても、加工位置ずれを補正しながらすべての加工領域2W(断面2a〜2e)を加工することができる。
【0048】
ところで、上述の
図2、
図5、又は
図7の「カット・アンド・シー」加工のように、試料ステージ60を移動させて加工領域2W(断面2a〜2e)を加工した後、その試料画像G2内に新たな加工領域Yを設定して加工を行いたい場合がある(
図5のように、加工領域2Wを加工した後、不純物を除去するために加工領域Yを設定した場合がこれに相当する)。ここで、加工領域Yの設定は、加工領域2Wを延長するように自動で設定しても良い。
この場合、
図8(a)に示すように、試料画像G2中の基準マークM2とは異なる予定位置PM3に、新たな位置検出マークM3(
図8(b)参照)を形成し、この位置検出マークM3に基づき、加工領域Yへのイオンビーム20Aの照射位置を制御すると、基準マークM2がイオンビーム20Aの照射により損傷していても、新たな位置検出マークM3を用いて加工領域Yを正確に加工できる。
しかしながら、イオンビーム20Aにより位置検出マークM3を形成中にドリフトが発生し、
図8(b)に示すように、試料画像G22中に実際に形成された位置検出マークM3が予定位置PM3からズレ量dvだけ、ずれる場合がある。この場合、本来の加工領域Yは、予定位置PM3との関係で位置決めされているため、位置検出マークM3を基準とした加工領域Y2の位置も本来の加工領域Yからずれてしまう。なお、実際の位置検出マークM3を形成後の試料画像を、位置検出マークM3形成前の試料画像G2と区別するため、「試料画像G22」と表記する。
【0049】
そこで、試料画像G2、G22からそれぞれ特徴量FV1、FV2を抽出し、各特徴量FV1、FV2の位置のずれから、上記ズレ量dvを検出する。ここで、特徴量FV1、FV2は、位置検出マークM3を除いた各試料画像G2、G22内の特徴的なパターンや形状等とすることができる。例えば、特徴量FV1、FV2は、試料表面にパターンや特徴のある構造が存在する場合はその形状とすることができ、又は、既に加工した加工領域2Wの特徴的な形状(加工溝等)とすることもできる。又、特徴量FV1、FV2は、例えば画像処理における公知の特徴抽出アルゴリズム(エッジ検出、コーナ検出、輪郭線検出、領域分割等)を用いて抽出できる。
なお、特徴量FV1、FV2を抽出する際、各試料画像G2、G22全体の画像データを取得してもよく、特徴量FV1、FV2付近の各試料画像G2、G22の一部の画像データを取得してもよい。そして、各試料画像G2、G22(又はその一部)と、各特徴量FV1、FV2との相対的な位置関係から、上記ズレ量dvを検出することができる。
【0050】
次に、
図8(b)に示すように、検出したズレ量dvに基づき、試料画像G22内の加工領域Y2の位置を補正する(本来の加工領域Yの位置を算出する)。そして、位置を補正した本来の加工領域Yにイオンビーム20Aを照射し、加工を実施する。これにより、試料画像G22内で位置検出マークM3の形成中にドリフトが発生して位置検出マークM3の位置がずれても、このズレを補正して本来の加工領域Yの位置を正確に加工できるので、より高精度な加工ができる。
【0051】
なお、試料画像G22で加工を行った後、試料ステージを移動させ、次の加工領域で加工を行う際、上記位置検出マークM3を移動後の試料画像に含まれるようにし、基準マークとして用いることもできる。
これにより、試料ステージを移動させた後の各試料画像において、位置検出マーク(基準マーク)自身がドリフトにより位置ズレしても、各基準マークの位置ズレに起因する加工領域の位置ズレを上述のように補正することができ、加工領域をさらに高精度で加工することができる。
【0052】
次に、
図9を参照し、
図8の処理のフローについて説明する。
まず、制御部90は、倍率P1で表示された試料画像G2を取得する(ステップS200)。作業者は、試料画像G2上で不純物Yの範囲に相当する新たな加工領域Yの位置(座標)を指定し、その指定情報に基づき、加工領域設定手段90Dは加工領域Yを設定する(ステップS202)。なお、ステップS202は、
図6のステップS120と同一である。
次に、照射制御手段90Cは、試料画像G2上の適当なデフォルト位置(予定位置PM3に相当)に位置検出マークM3を形成する(ステップS204)。なお、位置検出マークM3の形成位置(予定位置PM3)は、試料画像G2上で作業者が任意に決めてもよく、この場合に照射制御手段90CはステップS204を行う代わりに、作業者が指定した予定位置PM3に位置検出マークM3を形成する。
【0053】
次に、制御部90は、位置検出マークM3が形成され、倍率P1で表示された試料画像G22を取得する(ステップS206)。
次に、制御部90は、試料画像G2、G22から、それぞれ特徴量FV1、FV2を抽出するする(ステップS208)。そして、制御部90は、各特徴量FV1、FV2の位置のずれから、上記ズレ量dvを検出する(ステップS210)。
さらに、ステップS212で制御部90は、ズレ量dvに基づき、試料画像G22内の加工領域Y2の位置を補正する(本来の加工領域Yの位置を算出する)。次に、制御部90は、試料画像G22上で、本来の加工領域Yの座標に基づき、加工領域Yをイオンビーム20Aにより加工する(ステップS214)。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、
図2の例では、試料ステージ60の移動前の試料画像G1内で加工時の位置ずれを補正するために検出する位置検出マークM1と、基準マークM2が異なっているが、移動前後で同一の位置検出マークを検出してもよい。例えば、
図2の例で、位置検出マークM1を形成せず、移動先に近い位置検出マークM2のみを形成し、試料画像G1、G2で共に位置検出マークM2を検出するようにしてもよい。同様に、
図5の例でも、位置検出マークMdのデフォルトの形成位置が偶然に位置検出マークM2に相当する位置であれば、移動前後で同一の位置検出マークM2を検出することになる。
但し、加工中に何度も位置検出マークにイオンビームを照射するとマークが損傷することがあるので、各試料画像G1、G2で異なる位置検出マークを検出するように設定することが好ましい。このため、予め各試料画像G1、G2に複数の位置検出マークを形成して記憶部93に登録しておき、各試料画像G1、G2で異なる位置検出マークを検出するよう、試料画像G1、G2で検出するマークが重複しないように管理すればよい。
【0055】
又、移動後の試料画像に含まれる位置検出マークM2は、移動前の試料画像G1中の位置検出マークのうち移動先に近いものがよく、移動先に最も近いものがよい。位置検出マークと移動先との距離は、移動前の試料画像G1において移動先に最も近い画像端との距離とすればよい。
なお、試料画像G1の斜め上に移動する場合は、試料2を斜めに回転させて横か縦に移動させればよい。