【文献】
Maeda, Y. et al.,Chemistry Letters,2005年,vol.34, no.3,p.380-381
【文献】
編 社団法人日本化学会,第4版 実験化学講座20 有機合成II −アルコール・アミン−,1992年,p.49-53
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式Vの化合物を、a)ブロモブチロラクトンをトリフェニルホスフィンと反応させた後反応生成物を熱的に脱炭酸することにより、又は、b)1,3-ジブロモプロパンをトリフェニルホスフィンと反応させた後反応生成物を環化することにより製造する、請求項3に記載の方法。
(3E,7E)-ホモファルネソールを請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により製造し、このようにして形成されたホモファルネソールをそれ自体公知の方法により化学的又は酵素的に反応させて、エナンチオマー的に純粋なアンブロックス又はアンブロックスの立体異性体混合物を得る、エナンチオマー的に純粋なアンブロックス又はアンブロックスの立体異性体混合物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
アンブロックス(Ambrox、登録商標)は、エナンチオマー的に純粋な化合物((-)-アンブロックス(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン)の商品名であって、需要の多い芳香剤である。天然起源の(-)-アンブロックスはアンバーグリスの嗅覚に関する最も重要な成分であり、マッコウクジラの消化産物である。
【0003】
(-)-アンブロックスの異なるジアステレオマーは同様の香りを有しているが、時折それらの香気閾値が異なる(G. Ohloff、W. Giersch、W. Pickenhagen、A. Furrer、B. Frei、Helv. Chim. Acta 68 (1985) 2022、G. Frater、J. A. Bajgrowicz、P. Kraft、Tetrahedron 54 (1998) 7633)。3a-epi-(-)-アンブロックスの香気閾値は、(-)-アンブロックスのものよりも100倍大きい。対照的に、9b-epi-(-)-アンブロックスは、実質的に同一の香気品質において(-)-アンブロックスの半分の大きさの香気閾値を有する。(+)-アンブロックスは、天然のエナンチオマーよりも8倍弱い。ラセミ化合物は、0.5ppbの香気閾値を有し、その調性において(-)-アンブロックス(登録商標)のものとほとんど違いがない(B. Schafer Chemie in unserer Zeit 2011、45、374)。
【0004】
ホモファルネソールは、アンブロックス(登録商標)を製造する合成方法における重要な中間体である(R. L. Snowden、Chemistry & Biodiversity 2008、5、958、J. and D. Leffingwell、Specialty Chemical Magazine 2011、30)。
【0005】
特に、式Ia
【0006】
【化1】
のall E-ホモファルネソールの環化により、ジアステレオマー的に純粋又はエナンチオマー的に純粋なアンブロックスが生産される(超酸: P. F. Vladら、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii、Engl. Transl. 1991、746; R. L. Snowden、Chemistry & Biodiversity 2008、5、958、ルイス酸-ブレンステッド酸: K. Ishiharaら、J. Am. Chem. Soc. 2002、124、3647、機構的研究: R. L. Snowdenら、J. Org. Chem. 1992、57、955)。
【0007】
文献は、様々なall E-ホモファルネソールの製造方法を記載している:
(1)立体異性体的に純粋な(3E,7E)-ホモファルネソールは、文献に記載された合成法に従って、(E,E)-ファルネソールから(E,E)-ファルネサールを経て、ウィティッヒ(Wittig)により、メチレントリフェニルホスホランを使用してC1伸長し、続いて共役ジエンの末端ヒドロホウ素化をすることによって製造することができる(D. S. Doddら、J. Org. Chem. 1992、57、2794)。
【0008】
しかしながら、この合成は、(E,E)-ホモファルネソールへの技術的、経済的に賢明な経路ではない。異性体的に純粋なファルネソールを製造するための技術的な方法については記載されていない。
(2)(3E,7E)-ホモファルネソールの合成に関する文献において公知である別の方法は、以下の手順を含む(A. F. Barreroら、J. Org. Chem. 1996、61、2215):a)(E/Z)-ネロリドールの蒸留分離、b)(E)-ネロリドールのジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)を使用するBuchi転位反応による、対応する(3E/Z,7E)-C
16-アミドの生成、c)立体異性体のアミドのフラッシュ-クロマトグラフィー分離、及びd)ヒドリドホウ酸トリエチルリチウムを使用する、(3E,7E)-アミドの対応する(3E,7E)-ホモファルネソールへの還元。この経路の欠点は、中程度の収率であること及び立体異性体を分離するためにフラッシュ-クロマトグラフィーを必要とすることである。
【0009】
【化2】
(3)Henkelによる特許出願(WO92/06063、Henkel Research Corporation)は、触媒量の比較的高価な試薬である塩化パラジウム(II)の添加による(E)-ネロリドールのカルボニル化について記載している。さらに、反応は実施には不利な約70barの高CO圧力で起こる。
【0010】
【化3】
(4)さらなる文献の出典(P. Kocienskiら、J. Org. Chem. 1989、54、1215)は、ジヒドロフランからのホモファルネソールの合成について記載している。それぞれのサイクルは、5-リチオ-2,3-ジヒドロフランのホモアリル性ヨウ化物を使用するアルキル化、続いてメチルマグネシウム臭化物を使用するNi(O)-触媒カップリングを必要とする。得られるホモゲラニオールは対応するヨウ化物に変換することができ、サイクルは繰り返される。合成はE-選択性であり、ホモファルネソールを5段階にわたり約70%の全収率で生産する。
【0011】
【化4】
前記の最初の3つの方法は、直接ホモファルネソールの酸化状態にならない。さらに、高価なヒドリド試薬をホモファルネシル酸(homofarnesylic acid)を還元するために必要とする。方法(4)は必要とする試薬のために経済的に魅力がない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
a)
一般的定義
それと反対の記述がない限り、以下の一般的な意味が適用される。
【0019】
【化5】
の(-)-アンブロックスを、立体異性体的に純粋な形態で、又は、任意に少なくとも1の以下のジアステレオマー
【0021】
「エナンチオマー的に純粋な」は、具体的に示されたエナンチオマー以外に、少なくとも1の対称中心を有する化合物の他のエナンチオマーの形態が分析によって検出され得ないことを意味する。
【0022】
「ヒドロカルビル」は、広い意味に解釈され、直鎖又はモノ(単)-もしくはポリ(多)分岐の1〜50の炭素原子を有する炭化水素基であって、任意にそれらの鎖の中に例えばO、N、NH、Sなどのヘテロ原子をさらに含むことができるものを含む。特に、ヒドロカルビルは、直鎖、及び特にモノ-又はポリ分岐のヘテロ原子のない前記鎖長の炭化水素基を表す。ヒドロカルビルは、例えば、以下に定義されるアルキル又はアルケニル基及びそれらの置換類似体、特に、直鎖もしくは分岐のC
1-C
20-、C
1-C
10-もしくはC
1-C
6-アルキル基、又は直鎖もしくは分岐のモノもしくはポリ不飽和、例えば、モノ不飽和、ジ不飽和、トリ不飽和、テトラ不飽和もしくはペンタ不飽和の共役もしくは特には非共役二重結合を有するアルケニル基を含む。
【0023】
「アルキル」は、特に飽和の、直鎖又は分岐の1〜4、1〜6、1〜8、1〜10、1〜14もしくは1〜20の炭素原子を有する炭化水素基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジ-メチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピル、さらには、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、及びさらに、それらのモノ-もしくはポリ分岐類似体を表す。
【0024】
「アルコキシ」は、前記アルキル基のO-アルキル類似体、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシもしくは1,1-ジメチルエトキシ、さらには、例えばペントキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキソキシ、1-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、4-メチルペントキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、1-エチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1,2,2-トリメチルプロポキシ、1-エチル-1-メチルプロポキシ又は1-エチル-2-メチルプロポキシを表す。
【0025】
「アルケニル」は、特に前記アルキル基の不飽和の直鎖又は分岐の類似体を表し、特に2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、2〜14又は2〜20の炭素原子を有する。特に、これらは、モノ不飽和又はポリ不飽和、例えば、ジ不飽和、トリ不飽和、テトラ不飽和又はペンタ不飽和であり得る。ここで、二重結合は、非累積二重結合である。特に、二重結合は共役又は特には非共役である。例えば、好適なアルケニル基は反復性イソプレン様構造構成部分を任意に含む。
【0026】
【化7】
(式中、nは1〜8の整数、例えば1、2、3又は4であり得る)
「アシル」(それ自体として又は「O-アシル」基の一部として)は、特に、直鎖又は分岐の、任意にモノ-又はポリ不飽和の、任意に置換C
1-C
24-、例えばC
1-C
6-又はC
1-C
4-のモノカルボン酸由来の基を表す。例えば、使用することができるアシル基は以下のカルボン酸由来である:飽和酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸並びにn-及びi-酪酸、n-及びイソ吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸(oenanthic acid)、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸及びメリシン酸;モノ不飽和酸、例えば、アクリル酸、クロトン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸及びエルカ酸;及びジ不飽和酸、例えば、ソルビン酸及びリノール酸。二重結合が脂肪酸に存在する場合は、これらはcis形態又はtrans形態のいずれかで存在し得る。
【0027】
「アリール」は、特に、単核性又は多核性、好適には単核性又は二核性、特には単核性の、任意に置換された、6〜20、例えば6〜10の環炭素原子を有する芳香族基、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、例えば1-もしくは2-ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インデニル及びフェナントレニルを表す。これらのアリール基は、例えば、ハロゲン、アルキル(特に1〜4の炭素原子を有する)、アルケニル(特に2〜4の炭素原子を有する)、OH、アルコキシ(特に1〜4の炭素原子を有する)、アシル(特に1〜4の炭素原子を有する)、NH
2又はNO
2から選択される、1、2、3、4、5もしくは6の同一の又は異なる置換基を任意に有し得る。
【0028】
「ハロゲン」はF、Cl、Br又はIを表す。
b)
特定の実施形態
本発明は特に以下の実施形態に関する。
1.一般式I
【0029】
【化8】
(式中、
R
1は直鎖もしくは分岐の、任意にモノ不飽和もしくはポリ(例えばモノ-又はジ-)不飽和のヒドロカルビル基、例えばC
1-C
20、C
1-C
11もしくはC
1-C
6ヒドロカルビル、例えば、特に、直鎖もしくは分岐のC
1-C
20-、C
1-C
11-もしくはC
1-C
6-アルキル基、もしくは、直鎖もしくは分岐の、1もしくは複数の共役もしくは特には非共役の二重結合を有するC
2-C
20-、C
2-C
10-もしくはC
2-C
6-アルケニル基、又は、例えば式
【0030】
【化9】
(式中、nは1、2、3、4又は5)
のイソプレン様基であり、
R
2はH又はC
1-C
6-アルキル、特にメチル又はエチルである)
の化合物の製造方法であって、
a)式II
【0031】
【化10】
(式中、R
1及びR
2は前記で定義された意味を有する)
のカルボニル化合物をウィティッヒオレフィン化により反応させて、一般式(III)
【0032】
【化11】
(式中、R
1及びR
2は前記で定義された意味を有する)
のシクロプロパン化合物を得、
b)式IIIのシクロプロパン化合物を反応させて開環させ、式IV
【0033】
【化12】
(式中、R
1及びR
2は前記で定義された意味を有し、Xはハロゲン、例えばClもしくはBr、又はO-R’(式中、R’はH、アシル、例えばC
1-C
4-アシル、特には、アセチル、Tf-アセチル又はSO
2-R”(式中、R”はアルキル、特にはC
1-C
4-アルキル又は任意に置換されたアリール、特には任意に置換されたフェニル))である)
の化合物を得、
c)一般式IVの化合物を一般式Iの化合物に変換する、
前記方法。
2.シクロプロピルホスホニウム塩を段階a)のウィティッヒオレフィン化に使用する、実施形態1に記載の方法。
3.シクロプロピルホスホニウム塩が式V
【0034】
【化13】
(式中、Z
-は強酸の陰イオン、例えば、特にはハロゲン化物、例えば、フッ化物、塩化物又は臭化物、好適には臭化物の陰イオンである)
のトリフェニルホスホニウム化合物である、実施形態2に記載の方法。
4.式Vの化合物を、a)ブロモブチロラクトンをトリフェニルホスフィンと反応させ、その後反応生成物を熱的に脱炭酸することにより、又は、b)1,3-ジブロモプロパンをトリフェニルホスフィンと、特に塩基、例えば、特に求核的性質を有さない塩基(例えば、PhLi、NaH、K tert-ブチレート)の存在下で反応させ、その後反応生成物を環化することにより製造する、実施形態3に記載の方法。
5.段階b)の開環が、ルイス酸(例えば、AlCl
3、BF
3、SiCl
4、PF
5、Sn(OTf)
2,、Cu(OTf)
2(式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニルである))又はブレンステッド酸/プロトン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、ピバル酸、イソ酪酸、アルキル-及びアリールスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸又はパラトルエンスルホン酸)及び求核剤(例えば、OH
-、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ピバレート、イソブチレート、アルキル-及びアリールスルホネート、例えば、メタンスルホネート又はパラ-トルエンスルホネート、塩化物、臭化物)の存在下で起こる、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
6.開環が、本質的に立体選択的に、特にはE-選択的(R
1に関して)に起こる、実施形態5に記載の方法。
【0035】
【化14】
ここで、E-選択的とは、特に、開環後に、E形態が量的(モル)に過剰(すなわち、E:Z>1、例えば>1.01、例えば>1.5又は>2、例えば、1.5〜100、2〜50又は2.2〜10の範囲内)に形成される、又はEが定量的に形成される、すなわちZ形態が分析によって検出され得ないことを表す。
7.段階c)において、XがO-アシル、例えばO-アセチル、の場合にはエステル開裂を実施することにより、又は、Xがハロゲン、例えばCl又はBr、の場合にはハロゲン化物をエステルに、例えばギ酸塩(例えば、ギ酸ナトリウム)を使用して対応するギ酸エステルに変換し、その後このエステルを開裂することにより、一般式IVの化合物を一般式Iの化合物に変換する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
8.式Ia
【0036】
【化15】
の(3E,7E)-ホモファルネソールを含む生成物が得られる、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。
9.段階a)において、式IIa
【0037】
【化16】
のE-ゲラニルアセトンをシクロプロピルホスホニウムハロゲン化物と反応させて、式IIIa
【0038】
【化17】
のシクロプロパン化合物を得る、実施形態8に記載の方法。
10.式III、特に式IIIaの化合物。
11.(3E,7E)-ホモファルネソールを前記実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法により製造し、このようにして形成されたホモファルネソールをそれ自体公知な方法において化学的又は酵素的に反応させて、エナンチオマー的に純粋な、もしくはラセミ体のアンブロックス又はそれらの任意に所望の立体異性体混合物を得る、エナンチオマー的に純粋なアンブロックス又はアンブロックスの立体異性体混合物の製造方法。
c)
本発明による方法の詳細な説明
本発明による方法の原理をall E-ホモファルネソールの製造における好適な実施形態に言及することによってより詳細に説明するが、この特別な反応に限定されない。したがって、具体的な構成は、使用する他の出発化合物に合わせて変更することができる。
【0039】
C
16ビルディングブロック(E)-C
16-シクロプロパンは、下記のように、シクロプロピルトリフェニルホスホニウム塩を使用する(E)ゲラニルアセトンのウィティッヒオレフィン化により得ることができる。
【0040】
【化18】
C
3塩は文献による手法に従って、α-ブロモブチロラクトンから2段階で、中間体としてC
4塩を経て、製造することができる(S. Fliszarら、Helv. Chim. Acta 1963、46、1580、 H. J. Bestmannら、Tetrahedron Lett. 1966、3591、E. E. Schweizerら、J. Chem. Soc.、Chem. Comm. 1966、666、H. J. Bestmannら、Angewandte Chemie 1965、77、1011)。
【0041】
【化19】
1,3-ジブロモプロパンから開始するC
3塩合成の代替方法は、文献において同様に知られている(K. Sisidoら、Tetrahedron Lett. 1966、3267、A. Maerckerら、Tetrahedron 1994、50、2439、K. Utimotoら、Tetrahedron 1973、29、1169、E. E. Schweizerら、J. Org. Chem. 1968、33、336)。
【0042】
【化20】
典型的なシクロプロピルトリフェニルホスホニウム臭化物を使用するウィティッヒオレフィン化は、わずかな文献に記載されているのみである(A. Brandiら、Chem. Rev. 1998、589及びそこに引用されている文献、M. Giersigら、Chem. Ber. 1988、525)。様々なケトン(例えば、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン)を使用するこれらのウィティッヒ反応の収率は、43%〜80%である。2次反応を避けるために、求核的性質を有さない塩基(PhLi、NaH、K tert-ブチレート)、本件においては、比較的費用効果のある塩基であるK tert-ブチレート又はNaHを使用する。一般に、ウィティッヒ反応においては、三置換オレフィンの収率は通常低く、四置換オレフィンの収率はより悪い(H. G. Ernst、Carotenoids、Volume 2、Synthesis、P. 80f)。
【0043】
驚くべきことに、シクロプロピルトリフェニルホスホニウム臭化物の脂肪族ケトン、例えば(E)-ゲラニルアセトンによる、カリウムtert-ブチレートを使用して(E)-C
16-シクロプロパンを得るウィティッヒオレフィン化が、>90%の収率を生じることが本発明により確立された(実施例1参照)。ウィティッヒ反応は、2当量のNaHを使用し、さらにTPP-ブロモプロパン塩から開始して、>90%の非常に良好な収率において、シクロプロピルホスホニウム塩への「その場(in situ)」環化を生じ得る(実施例2参照)。
【0044】
従来の文献において公知になっていない(E)-C
16-シクロプロパンは、酸、例えば、ルイス酸、例えば、AlCl
3又はBF
3*Et
2O及び求核剤の存在下で、位置選択的、かつ立体選択的に開環され、ホモファルネシル誘導体を得ることができる。
【0045】
【化21】
アルキリデンシクロプロパン誘導体の開環は文献に記載されている(H. Pellissier Tetrahedron 2010、66、8341及びそこに引用されている文献)が、本発明において生じたように、二重結合を有する側鎖は観測されなかった(実施例3及び4参照)。
【0046】
その後、典型的なアセテート置換及び加水分解によりホモファルネシル塩化物をホモファルネソールに変換することができる。あるいは、文献(H. A. Zahalkaら、Synthesis 1986、763)にしたがって、ホモファルネシル塩化物から開始して、ホルメートを経て、続いて加水分解することにより、ホモファルネソールを合成することができる(実施例5参照)。
【0047】
3E,7E-及び3Z/7E-ホモファルネソール並びに対応する3Z-異性体は、純粋な3E,7E-ホモファルネソールが得られるように蒸留により分離することができる。
【0048】
その後、このようにして得られたホモファルネソールはさらなる工程において環化して、アンブロックスを得ることができる(実施例6参照)。
【0049】
ここで、この環化は、それ自体公知の方法において又は以下の実施例に記載されているように起こすことができる。酵素的及び化学的な環化の両方が本目的のために考慮される。
【0050】
例えば、スクアレンホペンシクラーゼによる酵素的環化がWO2010/139719により公知であり、本明細書において、これを明確に参照する。
【0051】
超酸(2-ニトロプロパン中のフルオロスルホン酸)を使用する化学的環化反応は、例えば、P. F. Vladら、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii、Engl. Transl. 1991、746により公知である。さらなる方法は、Yamamotoにより記載されているような、O-(o-フルオロベンジル)バイノール及びSnCl
4の存在下でのホモファルネシルトリエチルシリルエーテルのエナンチオ選択的ポリエン環化を含む環化を含む(H. Yamamotoら、J. Am. Chem. Soc. 2002、3647.)。
【実施例】
【0052】
A)
材料及び方法
HPLC分析:
方法1)
装置設定及びクロマトグラフィー条件:
装置:アジレントシリーズ(Agilent Series)1100
カラム:アジレント(Agilent(登録商標))のZorbax Extend C18 1.8μm 50×4.6mm と組み合わされたZorbax Eclipse XDB-C18 1.8μm 50×4.6mm
溶離液:A:0.1容量%H
3PO
4を有する水
B:0.1容量%H
3PO
4を有するアセトニトリル
【0053】
【表1】
検出器:UV検出器 λ=197mm、BW=4nm
流量:1ml/分
注入:1μL
温度:50℃
実行時間:20分
圧力:約160bar。
方法2)
装置設定及びクロマトグラフィー条件:
装置:アジレントシリーズ1100
カラム:ダイセル(Daicel(登録商標))のChiralpak AD-RH 5μm 150×4.6mm
溶離液:A:0.1容量%H
3PO
4を有する水
B:0.1容量%H
3PO
4を有するアセトニトリル
【0054】
【表2】
検出器:UV検出器 λ=205mm、BW=5nm
流量:1.2ml/分
注入:5μL
温度:40℃
実行時間:45分
圧力:約70bar。
B)
製造実施例
実施例1:カリウムtert-ブチレートを使用するシクロプロピルホスホニウム塩から開始するウィティッヒ反応
【0055】
【化22】
供給物質:
【0056】
【表3】
反応器を窒素によりフラッシュする。THF(I)の500mlを最初の装填として導入し、0℃に冷却する。すり鉢において粉砕されたシクロプロピルホスホニウム塩(II)を加えて、THF(I)の残りの量(140ml)を使用してリンスして、0℃で8分間撹拌する。N
2雰囲気下、カリウムtert-ブチレート(III)を加え、その間に内部温度が5℃に上昇する。懸濁液は直ちに赤-オレンジになり、その後、約0℃で2時間撹拌する。
【0057】
ゲラニルアセトン(IV)を約10分間かけて滴下添加し(わずかに発熱性)、その後、撹拌を15分間-2℃のオイル温度で実施する。その後、反応混合物をデルタ1℃(オイル温度-内部温度)で加熱する。内部温度が35℃に到達したら、35℃のオイル温度で一晩撹拌を継続する。総撹拌時間24時間(TLC:n-ヘプタン/EE=10:1により変換確認)後に、混合物をワークアップする。35℃の内部温度で、1000mlのn-ヘプタンを反応懸濁液に加えて、内部温度が35℃を超えないように真空度を調節して、内部温度に対してデルタ15℃で加熱することによって蒸留物を抽出する。155mbarの圧力でオイル温度を35℃に下げ、その後、N
2により通気する。蒸留物及び冷却トラップを取り出す(留分1:494g、GC A%により、その内259g THF)。装置を150mbarへと真空排気する。真空度を調節することによって、内部温度が35℃を超えないように、内部温度に対してデルタ15℃で加熱して、蒸留物を抽出する。95mbarの圧力でオイル温度を20℃に下げ、その後、N
2により通気する。蒸留物及び冷却トラップを取り出す(留分2:292g、GC A%により、その内63g THF)。全部合わせると、569gのTHFの約320g(GC A%によるが、n-ヘプタンは過剰評価されている)が留去された。
【0058】
530gの水を撹拌しながら反応器の内容物へと混ぜ(懸濁液、20℃)、約5分後、相分離する。下層1(LP1、395g、薄茶色)を廃棄する。TPPOデトリタスを有する上層1を500mlの水と共に5分間撹拌し、5分後相分離する。下層2(LP2、559g、薄茶色)を廃棄する。TPPOデトリタスを有する上層2を500mlの水/メタノール(1:1体積部、455g)と共に5分間撹拌し、撹拌器のスイッチを切る。TPPOは水/MeOH中に完全には溶解しない。相分離が5分後に起こる。下層3(LP3、545g、雲つた相)。TPPOデトリタスを有する上層3を500mlの水/メタノール(1:1体積部、455g)と共に5分間撹拌し、撹拌器のスイッチを切る。TPPOが完全に溶解し、透明な相となる。相分離が5分後に起こる。下層4(LP4、557g、曇った相)。上層4を500mlの水/メタノール(1:1体積部、455g)と共に5分間再度撹拌し、撹拌器のスイッチを切る。実質的に透明な相が観測される。相分離が5分後に起こる。下層5(LP5、454g、わずかに曇った相)。上層5を500mlの水により再度洗浄し、相を分離する。下層6(LP6、509g、透明相)を廃棄する。上層6(303g)をロータリーエバポレーターにより濃縮する(45℃湯浴、完全真空オイルポンプ)。
【0059】
これにより、価値のある生成物が60.4g得られる(黄色のオイル)。所望の生成物は、ゲラニルアセトンに基づいて、約97.2 A%の純度(E&Z)で約93%の収率で分離することができ、C3-ホスホニウム塩に基づいて、収率は84.0%であった。
HPLC方法2
【0060】
【表4】
実施例2:NaHを使用するTPP-ブロモプロパン塩から開始するウィティッヒ反応
【0061】
【化23】
供給物質:
【0062】
【表5】
C
4塩(II)を最初の装填として室温でTHF(I)中に導入する。水素化ナトリウム(III)を3回(3×)それぞれの場合において100mlのn-ヘキサンにより洗浄し、窒素気流中において乾燥し、添加する。その後、白色の懸濁液を4.5時間室温で撹拌する(HPLCにより変換確認)。その後、ゲラニルアセトン(IV)を加えて、混合物を35℃で21時間加熱する。その後、500mlのn-ヘプタンを黄色がかった懸濁液に加える。その後、THFをロータリーエバポレーターにより取り除く。残った懸濁液を500mlの水/メタノールと混合し、相を分離する。水相を2回(2×)250mlのn-ヘプタンで抽出する。合わせた有機相を6回(6×)250mlの水/メタノールにより洗浄し、形成したNaBr及びTPPOを分離する。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより50℃/10mbarで濃縮する。これにより、価値のある生成物が茶色の透明なオイルの形態で、50.6g得られる。
【0063】
【表6】
HPLC方法2:
【0064】
【表7】
HPLC方法1:
【0065】
【表8】
実施例3:BF3エーテラート及び氷酢酸を使用する開環
【0066】
【化24】
供給物質:
【0067】
【表9】
C
16-シクロプロパン(I)を氷酢酸(II)中に溶解し、透明な黄色の溶液をつくる。BF
3エーテラートを氷酢酸中で予備希釈し、RTで2分間にわたって加える。溶液はゆっくりと暗くなり、熱調性はない。撹拌をRTで一晩実施する。茶褐色の透明な溶液(HPLC分析)が得られる。RTで27時間後、2.5 lの水及び1 lのシクロヘキサンを透明な、茶褐色の溶液に加え、相を分離する。水相を2回0.5 lのシクロヘキサンにより抽出する。合わせた有機相を4回(4×)0.2 lの水、0.25 lの飽和NaHCO
3溶液及び再度0.25 lの水により続けて洗浄する。上層の有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより40℃/4mbarで濃縮する。これにより、価値のある生成物がオレンジ色の液体粗生成物の形態で、122.5g得られる(理論118.3g)(HPLC分析方法2:A)。ホモファルネシルアセテートが1:2.45の3Z,7E:3E,7E比率で得られる。
【0068】
第1の水相の場合では、さらに約150mlの有機相が一晩で分離した。これを分離し、同様に、水及び飽和NaHCO
3により数回洗浄した。上層の有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより40℃/4mbarで濃縮する。これにより、価値のある生成物がさらに7.0g得られる(HPLC分析方法2:B)。
【0069】
【表10】
所望の生成物は、約60%の純度で約62%の収率で分離することができた。第1の水相の後抽出により、収率を65%へと増加することができた。
実施例4:AlCl3及び氷酢酸を使用する開環
【0070】
【化25】
供給物質:
【0071】
【表11】
C
16-シクロプロパンを最初の装填として氷酢酸中に室温で導入する。三塩化アルミニウムを加える。撹拌を室温で17.5時間実施する(薄層クロマトグラフィー及びHPLCにより変換確認)。その後、反応混合物を600mlの水と混合し、2回(2×)200mlのシクロヘキサンにより抽出する。有機相を合わせ(pH=3〜4)、120gのNaOH(5%濃度(strength))により洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより50℃/10mbarで濃縮する。これにより、価値のある生成物がオレンジ色の液体の形態で35.4g、すなわち、異性体の総量に基づいて96.4 HPLC面積%(HPLC area %)の純度で、90%の収率で得られる。
HPLC方法2:
【0072】
【表12】
実施例5:ホモファルネソールを得るためのホモファルネシル塩化物の置換
【0073】
【化26】
供給物質:
【0074】
【表13】
ホモファルネシル塩化物を最初の装填としてトルエン中に室温で導入する。ギ酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウム臭化物を加える。懸濁液を110℃とし、10時間撹拌する(HPLCにより変換確認;試料調製:1mlの反応混合物を1mlの25%濃度のNaOHと1時間室温で撹拌する。トルエン相→HPLC)。その後、反応混合物を25%濃度のNaOHと混合し、60分間室温で撹拌する(pH=10〜11)。その後、その懸濁液を300mlの蒸留水に加え、100mlのトルエンにより抽出する。有機相を1回(1×)150ml、1回(1×)100mlの脱イオン水により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより50℃/10mbarで乾燥蒸発する。これにより、価値のある生成物が茶色の透明なオイルの形態で11.1g、すなわち、異性体、3E,7E-及び3E,7Z-ホモファルネソールの総量に基づいて71.4 HPLC面積%の純度で、70%の収率で得られる。
HPLC方法2:
【0075】
【表14】
実施例6:アンブロックスを得るためのホモファルネソールの化学的環化
【0076】
【化27】
化学的環化についての様々な方法変更を以下に記載する。
a)
条件:2-ニトロプロパン、濃硫酸、-78℃
供給物質:
【0077】
【表15】
濃硫酸を最初の装填として50mlの2-ニトロプロパン中に窒素雰囲気下、-78℃で導入した。50mlの2-ニトロプロパン中の1gのホモファルネソールの溶液を-78℃で30分にわたって滴下添加した。反応制御をTLCにより実施した:2時間後、出発原料が使い果たされた。ワークアップのために、反応混合物を0℃とし、その後200mlの飽和NaHCO
3溶液にゆっくりと加えた。抽出を3回100mlのジエチルエーテルにより実施した。有機相を合わせて、100mlの飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより乾燥蒸発した。少なくとも(-)及び(+)-アンブロックス並びに9b-epi-(-)-アンブロックス及び3a-epi-(-)-アンブロックスの異性体混合物(上記参照)を得た。
b)
条件:2-ニトロプロパン、トリフルオロメタンスルホン酸、-78℃
供給物質:
【0078】
【表16】
トリフルオロメタンスルホン酸を最初の装填として50mlの2-ニトロプロパン中に窒素雰囲気下、-78℃で導入した。50mlの2-ニトロプロパン中の1gのホモファルネソールの溶液を-78℃で30分にわたって滴下添加した。反応制御をTLCにより実施した:2時間後、出発原料が使い果たされた。ワークアップのために、反応混合物を0℃とし、その後200mlの飽和NaHCO
3溶液にゆっくりと加えた。抽出を3回100mlのジエチルエーテルにより実施した。有機相を合わせて、100mlの飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより乾燥蒸発した。少なくとも(-)及び(+)-アンブロックス並びに9b-epi-(-)-アンブロックス及び3a-epi-(-)-アンブロックスの異性体混合物(上記参照)を得た。
c)
条件:2-ニトロプロパン、フルオロスルホン酸、-78℃
(P. F. Vladら、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii、Engl. Transl. 1991、746参照)
供給物質:
【0079】
【表17】
フルオロスルホン酸を最初の装填として50mlの2-ニトロプロパン中に窒素雰囲気下、-90℃で導入した。50mlの2-ニトロプロパン中の1gのホモファルネソールの溶液を-90℃で滴下添加した。撹拌を-78℃でさらに25時間実施した。ワークアップのために、反応混合物を0〜5℃とし、その後200mlの飽和NaHCO
3溶液にゆっくりと加えた。抽出を3回100mlのジエチルエーテルにより実施した。有機相を合わせて、100mlの飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにより乾燥蒸発した。少なくとも(-)及び(+)-アンブロックス並びに9b-epi-(-)-アンブロックス及び3a-epi-(-)-アンブロックスの異性体混合物(上記参照)を得て、クーゲルロール蒸留により分離した。
【0080】
本明細書において言及された文書の開示は明確に参照される。
(付記)
(付記1)
一般式I
【化28】
(式中、
R1は直鎖又は分岐の、任意にモノ又はポリ不飽和のヒドロカルビル基であり、
R2はH又はC1-C6-アルキルである)
の化合物の製造方法であって、
a)式II
【化29】
(式中、R1及びR2は前記で定義された意味を有する)
のカルボニル化合物をウィティッヒオレフィン化により反応して、一般式(III)
【化30】
(式中、R1及びR2は前記で定義された意味を有する)
のシクロプロパンを得て、
b)式IIIのシクロプロパンを反応して、開環し、式IV
【化31】
(式中、R1及びR2は前記で定義された意味を有し、Xはハロゲン又はO-R’(式中、R’はH、アシル、Tf-アセチル又はSO2-R’’(式中、R’’はアルキル又はアリール))である)
の化合物を得て、
c)一般式IVの化合物を一般式Iの化合物に変換する、
前記方法。
(付記2)
シクロプロピルホスホニウム塩を段階a)によるウィティッヒオレフィン化に使用する、付記1に記載する方法。
(付記3)
シクロプロピルホスホニウム塩が式V
【化32】
(式中、Z-は強酸の陰イオン、例えば、特にはハロゲン化物、好適には臭化物の陰イオンである)
のトリフェニルホスホニウム化合物である、付記2に記載する方法。
(付記4)
式Vの化合物を、a)ブロモブチロラクトンをトリフェニルホスフィンと反応し、その後反応生成物を熱的に脱炭酸することにより、又は、b)1,3-ジブロモプロパンをトリフェニルホスフィンと反応し、その後反応生成物を環化することにより製造する、付記3に記載の方法。
(付記5)
段階b)の開環が、ルイス酸又はブレンステッド酸/プロトン酸及び求核剤の存在下で起こる、付記1〜4のいずれか1つに記載の方法。
(付記6)
開環が、本質的に立体選択的に、特にはE-選択的(R1に関して)に起こる、付記5に記載の方法。
(付記7)
段階c)において、XがOR’の場合にはエステル開裂を実施することにより、又は、Xがハロゲンの場合にはハロゲン化物をエステルに、好適にはギ酸エステルに変換し、その後このエステルを開裂することにより、一般式IVの化合物を一般式Iの化合物に変換する、付記1〜6のいずれか1つに記載の方法。
(付記8)
式Ia
【化33】
の(3E,7E)-ホモファルネソールを含む生成物が得られる、付記1〜7のいずれか1つに記載の方法。
(付記9)
段階a)において、式IIa
【化34】
のE-ゲラニルアセトンをシクロプロピルホスホニウムハロゲン化物と反応して、式IIIa
【化35】
のシクロプロパンが得られる、付記8に記載の方法。
(付記10)
式IIIの化合物。
(付記11)
式IIIaの化合物
(付記12)
(3E,7E)-ホモファルネソールを付記1〜9のいずれか1つに記載する方法により製造し、このようにして形成されたホモファルネソールをそれ自体公知な方法において化学的又は酵素的に反応して、エナンチオマー的に純粋なアンブロックス又はアンブロックスの立体異性体混合物を得る、エナンチオマー的に純粋なアンブロックス又はアンブロックスの立体異性体混合物の製造方法。