特許第6227406号(P6227406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227406SGLTの阻害剤としての1−(β−D−グルコピラノシル)−2−チエニル−メチルベンゼン誘導体を含有する医薬製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227406
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】SGLTの阻害剤としての1−(β−D−グルコピラノシル)−2−チエニル−メチルベンゼン誘導体を含有する医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/381 20060101AFI20171030BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   A61K31/381
   A61K9/20
   A61P3/04
   A61P3/10
【請求項の数】17
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-510272(P2013-510272)
(86)(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公表番号】特表2013-526534(P2013-526534A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2011036038
(87)【国際公開番号】WO2011143296
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月8日
【審判番号】不服2016-2528(P2016-2528/J1)
【審判請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】61/333,495
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ワング,ウェンフア
(72)【発明者】
【氏名】アウトウィン,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ,トーマス シー.
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 蔵野 雅昭
【審判官】 穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/043682号
【文献】 国際公開第2009/091082号
【文献】 国際公開第2009/035969号
【文献】 国際公開第2008/069327号
【文献】 医薬品製剤化方略と新技術,株式会社シーエムシー出版,2007年3月31日,第1刷,152〜171頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)
【化1】
(式中、
1は、ハロ、シアノ、場合により置換された低級アルキル、又は場合により置換された低級アルコキシルであり、
2は、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロシクリルである)の化合物、
はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)希釈剤又は充填剤として微結晶セルロースとラクトースとの組み合わせ
(c)壊剤としてクロスカルメロースナトリウムと、
(d)合剤としてヒドロキシプロピルセルロースと、
(e)沢剤としてステアリン酸マグネシウムと、を含有する経口投与可能な医薬組成物であって、
前記式(I)の化合物が、1重量%〜80重量%の範囲内の量で存在し、
前記希釈剤又は充填剤が、10重量%〜95重量%の範囲内の量で存在し、
前記崩壊剤が、.1重量%〜20重量%の範囲内の量で存在し、
前記結合剤が、.1重量%〜20重量%の範囲内の量で存在し、
前記滑沢剤が、.1重量%〜5重量%の範囲内の量で存在し、上記の全ての重量%が、前記医薬組成物の重量に基づく、医薬組成物。
【請求項2】
1が、ハロゲン原子、又は低級アルキル基であり、
2が、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されたフェニルである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物が、式(I−S):
【化2】
の化合物、はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記化合物が、25mg〜600mgの量で存在する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物が、50mg〜300mgの量で存在する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記化合物が、100mgの量で存在する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物が、300mgの量で存在する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記化合物が1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ナトリウム依存性グルコース輸送体仲介疾患を処置するのに使用するための請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物が50mg〜300mgの用量で1日1回投与されるように用いられる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記化合物が100mg/日の用量で投与されるように用いられる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記化合物が300mg/日の用量で投与されるように用いられる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
(a)40重量%〜60重量%の範囲内の量で存在する、式(I−S)
【化3】
の化合物、はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)希釈剤又は充填剤として、30重量%〜50重量%の範囲内の量で存在する微結晶セルロースとラクトースとの組み合わせ
(c)崩壊剤として、3重量%〜10重量%の範囲内の量で存在するクロスカルメロースナトリウムと、
(d)結合剤として、0.5重量%〜5重量%の範囲内の量で存在するヒドロキシプロピルセルロースと、
(e)滑沢剤として、0.5重量%〜2重量%の範囲内の量で存在するステアリン酸マグネシウムと、を含有する経口投与可能な医薬組成物であって、
前記重量%が前記医薬組成物の重量に基づく、医薬組成物。
【請求項15】
前記化合物が1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が錠剤である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物が錠剤である、請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/333,495号(2010年5月11日出願)の利益を主張するものであり、該出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府支援の研究又は開発に関する供述)
下に記述される本発明の研究及び開発は、連邦政府の支援によるものではない。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、真性糖尿病、肥満症、糖尿病合併症、及び関連疾病の処置に使用され得る、本明細書に開示される式(I)の化合物、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩を含有する新規な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2005/012326号は、ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)の阻害剤である化合物のクラス、及びそのような化合物の糖尿病、肥満、糖尿病合併症等の処置等の治療的使用を開示している。国際公開第2005/012326号は、化合物1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)を開示している。1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物、及びその所定の結晶形は、同様にその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/069327号に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その多数の実施形態において、式(I)の化合物、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩の新規な医薬組成物と、そのような医薬組成物を使用した、ナトリウム依存性グルコース輸送体関連の1つ以上の疾病の処置、予防、阻害又は回復の方法と、を提供する。
【0006】
本発明の一態様は、
(a)式(I)
【0007】
【化1】
(式中、
1は、ハロ、シアノ、場合により置換された低級アルキル、又は場合により置換された低級アルコキシルであり、
2は、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロシクリルである)の化合物、
又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)少なくとも1種の希釈剤又は充填剤と、
(c)場合により少なくとも1種の崩壊剤と、
(d)場合により少なくとも1種の結合剤と、
(e)場合により少なくとも1種の滑沢剤と、を含有する経口投与可能な医薬製剤であって、
式(I)の化合物が、約1重量%〜約80重量%の範囲内の量で存在し、
希釈剤又は充填剤が、約10重量%〜約95重量%の範囲内の量で存在し、
崩壊剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約20重量%の範囲内の量で存在し、
結合剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約20重量%の範囲内の量で存在し、
滑沢剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約5重量%の範囲内の量で存在し、上記の全ての重量%が、製剤の重量に基づく、医薬製剤を特徴とする。
【0008】
所定の実施形態では、式(I)の化合物は、本明細書に記載する式(I−S)の化合物である。
【0009】
所定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した式(I)の化合物をバイオアベイラビリティ促進剤と組み合わせて含有する、経口投与可能な医薬製剤に関する。
【0010】
所定の実施形態では、バイオアベイラビリティ促進剤は、化合物のバイオアベイラビリティを増大させ、また製薬処方にて既知の賦形剤を含む。式(I)の化合物をバイオアベイラビリティ促進剤と共に処方することにより、製剤の投与の際、化合物の測定可能なバイオアベイラビリティの向上がもたらされることが好ましい。
【0011】
好ましくは、本発明は更に、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、又はこれらの組み合わせ等の賦形剤の組成物を含むバイオアベイラビリティ促進剤に関する。
【0012】
所定の実施形態では、本発明の製剤は固体経口剤形であり、該固体経口製剤は、該剤形と同一の量で化合物を含有する経口懸濁剤と比較して増大された、該製剤中に含まれる化合物のバイオアベイラビリティを提供する。
【0013】
本発明の追加の実施形態及び利点は、下記の議論、スキーム、実施例及び請求項から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】犬における式(I−S)の化合物の様々な製剤の経口投与後の、式(I−S)の化合物の線形及び対数血漿濃度プロファイル。
図1B】犬における式(I−S)の化合物の様々な製剤の経口投与後の、式(I−S)の化合物の線形及び対数血漿濃度プロファイル。
図2】ヒト対象における式(I−S)の化合物の様々な製剤の経口投与後の、式(I−S)の化合物の血漿濃度プロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、部分的に、
(a)式(I−S):
【0016】
【化2】
の化合物、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)少なくとも1種の希釈剤又は充填剤と、
(c)場合により少なくとも1種の崩壊剤と、
(d)場合により少なくとも1種の結合剤と、
(e)場合により少なくとも1種の滑沢剤と、を含有する経口投与可能な医薬製剤であって、
式(I−S)の化合物が、約1重量%〜約80重量%の範囲内の量で存在し、
希釈剤又は充填剤が、約10重量%〜約95重量%の範囲内の量で存在し、
崩壊剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約20重量%の範囲内の量で存在し、
結合剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約20重量%の範囲内の量で存在し、
滑沢剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約5重量%の範囲内の量で存在し、上記の全ての重量%が、製剤の重量に基づく、医薬製剤に関する。
【0017】
所定の実施形態では、本発明は、
(a)約40重量%〜約60重量%の範囲内の量で存在する式(I−S)の化合物、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)約30重量%〜約50重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の希釈剤又は充填剤と、
(c)約3重量%〜約10重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の崩壊剤と、
(d)約0.5重量%〜約5重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の結合剤と、
(e)約0.5重量%〜約2重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の滑沢剤と、を含有する経口投与可能な医薬製剤であって、
重量%が製剤の重量に基づく、医薬製剤に関する。
【0018】
式(I−S)の化合物は、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)とも称され得る。
【0019】
所定の好ましい実施形態では、式(I−S)の化合物は、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物とも称される、式(I−S)の化合物の半水和物である。
【0020】
所定の実施形態では、本発明は、処置を必要としている哺乳動物に経口投与するための、医薬剤形の製造における使用のための本明細書に記載する医薬組成物に関し、その剤形が、その哺乳動物による食物摂取とは独立して、1日のうちいつでも投与できることを特徴とする。
【0021】
所定の実施形態では、本発明は、ヒト又はヒト以外の動物体の治療方法に関し、前記方法は、その動物体に、治療的有効量の本明細書に記載する医薬組成物を投与することを含む。
【0022】
所定の実施形態では、本発明は、容器、本明細書に記載する経口剤形を含む、商業的販売に好適な医薬品パッケージに関し、そのパッケージに、その剤形が食事と共に又は食事なしで投与できるかどうかについて非限定的である書面を伴う。
【0023】
A)用語
いくつかの用語は、下記に、及び本開示を通じてそれらの慣用法により定義される。
【0024】
「投与」又は「投与する」は、薬理学的に有用な方法で患者に薬剤を提供することを意味する。
【0025】
「患者」又は「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトで、治療的介入を必要としている者を意味する。
【0026】
「剤形」は、患者への投与に好適な媒体、担体、ビヒクル、又は装置内にある1種以上の化合物を意味する。「経口剤形」は、経口投与に好適な剤形を意味する。
【0027】
「用量」は、薬物の単位を意味する。通常、一用量は一剤形として供給される。用量は、様々な用量レジメンに従って患者に投与され得る。一般的な用量レジメンには、1日1回経口(qd)、1日2回経口(bid)、及び1日3回経口(tid)が挙げられる。
【0028】
「終末半減期」(t1/2)は、0.693/kとして計算され、「k」は、最終対数−線形消失相中の対数−変換血漿濃度の線形回帰により概算される、見かけの消失速度定数を意味する。薬物の血漿半減期(t1/2)は、血漿濃度を半減する、例えば100mg/Lから50mg/Lに減少させるのに必要な時間である。半減期の情報は、所望の血漿濃度を得るための薬物の投与頻度(1日当たりの摂取数)を決定するのに有用である。一般に、特定の薬物の半減期は、投与される用量に依存しない。所定の例外的なケースでは、半減期は用量と共に変化する。半減期は、機構(消失、異化反応、血漿タンパク質への結合等)の飽和に従って増大又は減少し得る。
【0029】
「曲線下面積」又は「AUC」は、血漿濃度プロファイルとも称される、血漿薬物濃度曲線下で測定される面積である。多くの場合、AUCは、血漿薬物濃度曲線がその間に統合される時間間隔(例えば、AUC開始〜終了)によって特定される。よって、AUC0〜48hは、血漿濃度曲線を0〜48時間にわたって統合することによって得たAUCを指し、その場合、0は通常、患者に対する薬物の、又は薬物を含む剤形の、投与時刻である。AUCtは、台形公式によって計算される、時間0から、時間tの最後に検出可能な濃度までの血漿濃度曲線の下の面積を指す。AUCinfは、無限時間まで外挿したAUC値を指し、AUCtと、無限時間まで外挿した面積の合計として計算され、時間tの濃度(Ct)をkで割って計算される。(対象に関してt1/2値が概算されなかった場合、処置の平均t1/2値を使用してAUCinf.を計算した)。
【0030】
「平均血漿濃度プロファイル下の平均面積」は、各患者に対する剤形の1回の投与後、数人にわたる患者にて得られた平均AUCinf、又は投与間に十分なウォッシュアウトを有して薬物レベルを投与前レベルまで低下させて、異なるときにおいて同一の患者に多数回投与されて得られた平均AUCinf等を意味する。
【0031】
「C」は、対象の血漿又は血清中の薬剤の濃度を意味し、一般に、単位容積当たりの質量、典型的にはミリリットル当たりのナノグラムとして表わされる。便宜上、この濃度は、本明細書において「薬物血漿濃度」、「血漿薬物濃度」、又は「血漿濃度」と称される場合がある。薬物投与後の任意の時間における血漿薬物濃度は、例えばC9h又はC24h等におけるように、C時間として参照される。外挿なしで実験データから直接得られる、剤形の投与後に得られる最大血漿濃度は、Cmaxと称される。対象期間の間に得られる平均血漿濃度は、Cavg又はCmeanと称される。「平均、単回投与、最大血漿濃度Cmax」は、各患者に対する剤形の1回の投与後、数人にわたる患者にて得られた平均Cmax、又は投与間に十分なウォッシュアウトを有して薬物レベルを投与前レベルまで低下させて、同一の患者に多数回投与されて得られた平均Cmax等、などを意味する。
【0032】
「血漿濃度プロファイル」は、薬物化合物の血漿濃度対時間をプロットすることにより得られる曲線を指す。通常、時間スケール上のゼロ点(通常はx軸上にある)は、患者に対する薬剤化合物又は薬剤化合物を含有する剤形の投与時刻であるのが一般的なことである。
【0033】
「最大血漿濃度までの平均時間」は、薬物を含有する剤形を患者に投与してから、その薬物に関するCmaxが、各患者に対する剤形の1回の投与後、数人にわたる患者にて得られた時間までに経過した平均時間、又は投与間に十分なウォッシュアウトを有して薬物レベルを投与前レベルまで低下させて、同一の患者に多数回投与されて得られた時間までに経過した平均時間等であり、また外挿なしで実験データから直接得られた平均時間である。
【0034】
バイオアベイラビリティは、中心コンパートメント内に到達する、投与された薬物の百分率を示す。バイオアベイラビリティは、一般に、例えば静脈内投与後、及び経口投与後に得られるAUCを比較することにより測定される。静脈内投与後、得られるAUCは、100%と定義されるバイオアベイラビリティに対応し、経口投与後、AUCは、よくても同一のバイオアベイラビリティに対応する。これは一般により低く、時にはゼロである。対照的に、本出願では、バイオアベイラビリティは、薬物の投与後に到達した最大血漿濃度Cmaxにより示される。薬物剤形のより高いCmaxは、この剤形の投与による、より良好な薬物バイオアベイラビリティを示す。
【0035】
コンパートメントは、薬物が分配されるであろう仮想容積を示す。コンパートメントは、実際の容積に対応し又は対応せず、例えば第1の若しくは中心コンパートメントと呼ばれる血液の容積、又は第2のコンパートメントと呼ばれる、血液以外の全身であってもよい。中心コンパートメントは、一般的には血漿を含み、加えて、薬物濃度が急速に血漿と平衡になる組織又は組織の一部を含む。薬物が異なる濃度で分配される実際の解剖学的部門は、薬物の濃度が均質と見なされる1つ、2つ、希に3つの事実上のコンパートメントにより表される。よって、コンパートメントの概念は、薬物の運命をモデリングすることを可能にする。
【0036】
用語「ハロ」は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素を意味し、塩素及びフッ素が好ましい。
【0037】
用語「アルキル」又は「アルキル基」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和一価炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基がより好ましい。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、及びその様々な分枝鎖異性体である。更に、アルキル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に列挙するような1〜5個の置換基で置換されてもよい。
【0038】
「アルコキシ」ラジカルは、前述の直鎖又は分枝鎖のアルキル基から形成される、酸素エーテルである。いくつかの実施形態では、アルコキシは場合によりかつ独立して、以下に定義する1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0039】
用語「アルキレン基」又は「アルキレン基」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖二価飽和炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルレンル基がより好ましい。その例は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等である。必要に応じて、アルキレン基は場合により上述の「アルキル基」と同じ様式で置換されてもよい。上記定義のアルキレン基がベンゼン環の2つの異なる炭素原子に結合する場合、それらは結合する炭素原子と共に、環付加された5、6又は7員炭素環を形成し、場合により1つ以上の以下に定義する置換基で置換されてもよい。
【0040】
用語「アルケニル基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基がより好ましい。その例は、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、3−オクテニル基、3−ノネニル基、4−デセニル基、3−ウンデセニル基、4−ドデセニル基、4,8,12−テトラデカトリエニル基等である。アルケニル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0041】
用語「アルケニレン基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分枝鎖二価炭化水素鎖を意味する。2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基が好ましく、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基がより好ましい。その例は、ビニレン基、プロペニレン基、フタシエニレン基等である。必要に応じて、アルキレン基は場合により、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。上記定義のアルケニレン基がベンゼン環の2つの異なる炭素原子に結合する場合、それらは結合する炭素原子と共に、環付加された5、6又は7員炭素環(例えば、縮合ベンゼン環)を形成し、場合により1つ以上の以下に定義する置換基で置換されてもよい。
【0042】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基がより好ましい。その例は、2−プロピニル基、3−ブチニル基、2−ブチニル基、4−ペンチニル基、3−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、3−オクチニル基、3−ノニニル基、4−デシニル基、3−ウンデシニル基、4−ドデシニル基等である。アルキニル基は場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。
【0043】
用語「シクロアルキル基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価飽和炭化水素環を意味し、3〜7個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環がより好ましい。その例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等の単環式アルキル基及び二環式アルキル基である。これらの基は、場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてよい。シクロアルキル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により必要に応じて環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び縮環した不飽和炭化水素環は、場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0044】
用語「シクロアルキリデン基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式二価飽和炭化水素環を意味し、3〜6個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環が好ましい。その例は、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等の単環式アルキリデン基及び二環式アルキリデン基である。これらの基は、場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてよい。それに加えて、シクロアルキリデン基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0045】
用語「シクロアルケニル基」は、4〜12個の炭素原子、及び少なくとも1つの二重結合を有する単環式又は二環式一価不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルケニル基は、4〜7個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。その例は、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の単環式アルケニル基である。これらの基は、場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてよい。それに加えて、シクロアルケニル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0046】
用語「シクロアルキニル基」は、6〜12個の炭素原子、及び少なくとも1つの三重結合を有する単環式又は二環式不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルキニル基は、6〜8個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。その例は、シクロオクチニル基、シクロデシニル基のような単環式アルキニル基である。これらの基は、場合により、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されてもよい。それに加えて、シクロアルキニル基は、場合によりかつ独立して、飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は、場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0047】
用語「アリール基」は、6〜10個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価芳香族炭化水素基を意味する。その例は、フェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基及び2−ナフチル基を含む)である。これらの基は、場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基で置換されてもよい。それに加えて、アリール基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は、場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0048】
用語「不飽和の単環式複素環」は、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する不飽和炭化水素環を意味し、好ましいものは、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和又は不飽和炭化水素環である。その例は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、4,5−ジヒドロオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等である。その中でも、好ましくはピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール及びチアゾールが使用され得る。「不飽和の単環式複素環」は、場合によりかつ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されてもよい。
【0049】
用語「不飽和の縮合二環式複素環」は、上述の不飽和の単環式複素環と縮環した飽和又は不飽和炭化水素環を含む炭化水素環を意味し、上記の飽和炭化水素環及び上記の不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい。「不飽和の縮合二環式複素環」には、例えば、ベンゾチオフェン、インドール、テトラヒドロベンゾチオフェン、ベンゾフラン、イソキノリン、チエノチオフェン、チエノピリジン、キノリン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾール、ジヒドロイソキノリン等が挙げられる。更に、「複素環」には、その可能なN−又はS−酸化物も挙げられる。
【0050】
用語「ヘテロシクリル」は、上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環の一価基、及び上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環の飽和バージョンの一価基を意味する。必要に応じて、ヘテロシクリルは、場合によりかつ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されてもよい。
【0051】
用語「アルカノイル基」は、ホルミル基を意味し、「アルキル基」をカルボニル基に結合させることにより形成されるものである。
【0052】
用語「置換された」は、1つ以上の水素原子が、同一又は異なる置換基(1つ又は複数)でそれぞれ独立して置き換えられた、ラジカルを指す。
【0053】
置換基に関して、用語「独立して」は、1つを超えるこのような置換基が可能であるとき、このような置換基は、互いに同じであってもよく、異なってもよいことを意味する。
【0054】
分子内のある位置における任意の置換基又は可変要素の定義は、その分子内の他の場所の定義とは無関係であることを意図する。当業者であれば、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンを選択して、化学的に安定であり、かつ当該技術分野で知られている技術並びに本明細書に記載する方法により容易に合成できる化合物を提供することができるであろう、と理解される。
【0055】
上記各基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ−シクリルカルボニル基、アルコキシ−カルボニル基、アルケニルオキシ−カルボニル基、アルキニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシ−カルボニル基、シクロアルケニル−オキシ−カルボニル基、シクロ−アルキニル−オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ−シクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニル−カルボニルオキシ基、アルキニル−カルボニルオキシ基、シクロアルキル−カルボニルオキシ基、シクロアルケニル−カルボニルオキシ基、シクロアルキニル−カルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ−シクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニル−チオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニル−チオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキル−アミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシ−カルボニル−アミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニル−アミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキル−スルホニル−アミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキル−カルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニル−スルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキル−スルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニル−スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリル−スルフィニル基、アルキル−スルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニル−スルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリール−スルホニル基、及びヘテロシクリルスルホニル基が挙げられる。上述の各基は、場合によりこれらの置換基で置換されてもよい。
【0056】
更に、ハロアルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、ハロフェニル基又はハロヘテロシクリル基のような用語は、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基、低級アルコキシ基、フェニル基又はヘテロシクリル基(以後、アルキル基等、と称する)がそれぞれ1つ以上のハロゲン原子に置換されていることを意味する。好ましいものは、1〜7個のハロゲン原子に置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜5個のハロゲン原子に置換されているアルキル基等である。同様に、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシ−低級アルコキシ基、及びヒドロキシフェニル基のような用語は、1つ以上のヒドロキシ基に置換されているアルキル基等を意味する。好ましいものは、1〜4個のヒドロキシ基に置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜2個のヒドロキシ基に置換されているアルキル基等である。更に、アルコキシアルキル基、低級アルコキシアルキル基、アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、アルコキシアルコキシ基、低級アルコキシアルコキシ基、アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、アルコキシフェニル基、及び低級アルコキシフェニル基のような用語は、1つ以上のアルコキシ基に置換されているアルキル基等を意味する。好ましいものは、1〜4個のアルコキシ基に置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜2個のアルコキシ基に置換されているアルキル基等である。
【0057】
単独で、又は他の基の一部として使用される用語「アリールアルキル」及び「アリールアルコキシ」は、アリール置換基を有する、上述したアルキル及びアルコキシ基を指す。
【0058】
本明細書中の式の定義で用いられる用語「低級」は、特に規定しない限り、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。より好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。
【0059】
用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図する。
【0060】
用語「プロドラッグ」は、式(I)の化合物の1つ以上のヒドロキシ基を、アルキル、アルコキシ又はアリールで置換されたアシル化剤と従来の方法により反応させて、アセテート、ピバレート、カルボン酸メチル、ベンゾエート等を生成することによって形成されたエステル又はカーボネートを意味する。更に、プロドラッグには、同様に従来の方法により、縮合剤を使用して式(I)の化合物の1つ以上のヒドロキシ基をα−アミノ酸又はβ−アミノ酸等と反応させることにより形成されたエステル又はアミドも含まれる。加えて、プロドラッグには、同様に従来の方法を介して式(I)の化合物の1つ以上のヒドロキシ基を縮合剤と反応させることにより形成されたエーテルも含まれる。
【0061】
「薬学的に許容し得る」は、本発明の組成物又は薬剤の製剤中で使用するための十分な純度と品質を有する、分子実体及び組成物を意味する。ヒトでの使用(臨床及び市販)及び獣医学的使用の両方が本発明の範囲内に等しく含まれることから、製剤には、ヒトでの又は獣医学的用途でのいずれの組成物又は薬剤も含まれるであろう。
【0062】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のようなアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のようなアルカリ土類金属との塩;亜鉛又はアルミニウムとの塩、アンモニウム、コリン、ジエタノールアミン、リジン、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−メチルグルコサミン、トリエタノールアミン、及びデヒドロアビエチルアミンのような有機塩基との塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸との塩;又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のような有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸等のような酸性アミノ酸との塩を指す。
【0063】
本発明の式(I)の化合物は、立体異性体の混合物、又は純粋な若しくは実質的に純粋な各異性体も含む。例えば、本化合物は場合により、いずれか1つの置換基を含有する炭素原子に、1つ以上の不斉中心を有してもよい。したがって、式(I)の化合物は、エナンチオマー、又はジアステレオマー、又はそれらの混合物の形態で存在し得る。式(I)の本化合物が二重結合を含む場合、本化合物は、幾何異性形態(シス−化合物、トランス−化合物)で存在してもよく、式(I)の本化合物がカルボニル等の不飽和結合を含む場合、本化合物は互変異性体の形態で存在してもよく、本化合物は、これらの異性体、又はそれらの混合物も含む。ラセミ混合物、エナンチオマー又はジアステレオマー形態の出発化合物を、本化合物を製造する方法で用いてもよい。本化合物がジアステレオマー又はエナンチオマー形態で得られるとき、それらはクロマトグラフィー又は分別晶出のような従来の方法により分離できる。
【0064】
加えて、式(I)の本化合物は、その分子内塩、水和物、溶媒和物、又は多型を含む。
【0065】
より簡潔な説明を提供するために、本発明に提供されるいくつかの量的表現は、用語「約」により修飾されていない。用語「約」が明白に使用されていても、又はされていなくとも、本明細書に提供されるあらゆる量は、実際の提供される値を指すことを意味し、また、そのような所定の値に関する実験条件及び/又は測定条件による近似値を含む、当業者に基づき合理的に推測されるそのような所定の値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0066】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書でいくつかの量的表現は、約Xの量〜約Yの量の範囲として列挙される。範囲が列挙される場合、その範囲は、列挙された上限及び下限に限定されず、約Xの量〜約Yの量の完全範囲、又はその中の任意の量若しくは範囲を含むことが理解される。
【0067】
B)化合物
式(I)の化合物は、ナトリウム依存性グルコース輸送体に対する卓越した阻害活性と、卓越したグルコース低下効果とを有する。したがって、本発明の製剤は、ナトリウム依存性グルコース輸送体仲介疾患の進行又は発症を処置する又は遅延させるのに有用である。特に、本発明の製剤は、真性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム性動脈硬化症又は高血圧症の、進行若しくは発症を処置する又は遅延させるのに有用である。特に、本発明の製剤は、真性糖尿病(1型及び2型真性糖尿病等)、糖尿病性合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症のような)又は肥満の処置若しくは予防に有用であり、又は食後の高血糖症の処置に有用である。
【0068】
所定の好ましい実施形態では、式(I)に示すR1は、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり;式(I)に示すR2フェニルは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されている。
【0069】
好ましくは、開示した製剤中に使用される式(I)の薬物化合物は、一般に、それらの結晶形又は非晶質形で僅かな〜乏しい水溶性を所有し、したがって乏しいバイオアベイラビリティを所有するが、本発明は必ずしも殆ど〜全く水溶性を有さない化合物に限定されない。
【0070】
本発明の製剤中に使用される代表的な好ましい化合物には、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩が挙げられる。更なる所定の好ましい実施形態では、本発明の製剤中に使用される化合物は、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物である。
【0071】
好ましくは、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩は、約25mg〜約600mg、好ましくは約50mg〜約400mgの量で、本発明の製剤中に含まれる。
【0072】
更なる所定の好ましい実施形態では、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、又は約400mgの量で、本発明の製剤中に含まれる。更なる所定の好ましい実施形態では、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩は、約100mg又は約300mgの量で、本発明の製剤中に含まれる。1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)が半水和物形態にある所定の実施形態では、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物は、好ましくは約25.5mg、約51mg、約102mg、約204mg、又は約306mgの量で、好ましくは約102mg又は約306mgの量で、本発明の製剤中に含まれる。
【0073】
C)製剤
本発明の実施形態において、化合物は、それを必要とする患者に投与するのに好適な経口剤形に処方される。
【0074】
経口剤形は、薬学的に許容し得る任意の固体剤形にて提供され得る。好ましくは、固体剤形は、例えば錠剤、丸剤、顆粒、カプセル剤、散剤、又はその他等の固体調合物を含む。より好ましくは、固体剤形は、経口錠剤又はカプセル製剤である。最も好ましくは、固体剤形は、経口錠剤である。
【0075】
本発明の所定の実施形態では、製剤は、充填剤又は希釈剤を、製剤の約10重量%〜約95重量%、好ましくは製剤の約25重量%〜約90重量%、より好ましくは製剤の約30重量%〜約50重量%、又は製剤の約35重量%〜約45重量%の量で含有する。
【0076】
本発明の所定の実施形態では、製剤は、崩壊剤を、製剤の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは製剤の約0.25重量%〜約10重量%、より好ましくは製剤の約3重量%〜約10重量%、又は製剤の約5重量%〜約7重量%の量で含有する。
【0077】
本発明の所定の実施形態では、製剤は、結合剤を、製剤の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは製剤の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは製剤の約0.5重量%〜約5重量%、又は製剤の約1重量%〜約4重量%の量で含有する。
【0078】
本発明の所定の実施形態では、製剤は、滑沢剤を、製剤の約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは製剤の約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは製剤の約0.5重量%〜2重量%、又は製剤の0.5重量%〜1.5重量%の量で含有する。
【0079】
本発明の所定の実施形態では、製剤は、場合により界面活性剤を、製剤の約0重量%〜約10重量%、好ましくは製剤の約0重量%〜約5重量%の量で含有する。
【0080】
固体剤形は、化合物を薬学的に許容し得る様々な賦形剤との組み合わせで含有してもよく、好ましくは、剤形は、患者への経口投与を介して所望の臨床効果が得られる方法で、化合物のバイオアベイラビリティの増大を提供するように適合される。
【0081】
本発明のバイオアベイラビリティ促進剤は、製剤が該製剤中に含まれる化合物のバイオアベイラビリティの増大を提供するように、本明細書に記載される賦形剤の任意の組み合わせを含む。所定の好ましい実施形態では、バイオアベイラビリティ促進剤は、本明細書に記載される2種以上の賦形剤を含む。
【0082】
薬学的に許容し得る賦形剤は、当技術分野にて既知であり、所望の機能性とプロセス能力との考慮に従って提供され得る。経口剤形中での賦形剤の役割としては、充填剤、結合剤、崩壊剤、放出制御剤、流動促進剤(glidant)、滑沢剤、コーティング等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
例えば、本発明の一実施形態では、剤形に関する即時放出プロファイルを有することが望ましい。固体剤形でこのプロファイルの達成を助けるために、剤形は、本明細書に記した量の崩壊剤を含有することが好ましい。本発明の別の実施形態では、化合物の制御又は持続放出製剤が望ましい。そのような製剤は、所定の放出制御ポリマーの量、濃度及び比を変更することにより達成され得る。
【0084】
一実施形態では、本発明の製剤は、化合物を、約1%〜約80%、好ましくは製剤の約5重量%〜約60重量%、より好ましくは製剤の約40重量%〜約60重量%、又は製剤の約45重量%〜約55重量%の量で含有する。化合物の所望の用量に応じて、1つ又はそれ以上の剤形が投与され得る。
【0085】
例えば、本発明の好ましい一実施形態において、経口放出製剤は、約100mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、無水ラクトース、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤形態で提供される。
【0086】
本発明の好ましい別の実施形態では、経口放出製剤は、約300mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、無水ラクトース、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤形態で提供される。
【0087】
本発明の好ましい別の実施形態では、経口放出製剤は、約102mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、無水ラクトース、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤形態で提供される。
【0088】
本発明の好ましい別の実施形態では、経口放出製剤は、約306mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、無水ラクトース、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤形態で提供される。
【0089】
本発明の製剤中に使用される充填剤又は希釈剤としては、製剤処方に一般的に使用される充填剤又は希釈剤が挙げられる。本発明に従って使用される充填剤又は希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、ブドウ糖、スクロース、セルロース、澱粉及び炭水化物誘導体、多糖(デキストレート(dextrates)及びマルトデキストリン)等の糖、ポリオール(マニトール、キシリトール及びソルビトールを含む)、シクロデキストリン(cycludextrin)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、微結晶セルロース、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。所定の好ましい実施形態では、充填剤又は希釈剤は、ラクトース、微結晶セルロース、又はこれらの組み合わせである。数個のタイプの微結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)タイプ:PH101、PH102、PH103、PH105、PH112、PH113、PH200、PH301、及びケイ化微結晶セルロース等の他のタイプの微結晶セルロースからなる群から選択される微結晶セルロースが、本明細書に記載した製剤中に使用されるのに好適である。数個のタイプのラクトース、例えば、無水ラクトース、ラクトース一水和物、ラクトースファストフロー(lactose fast flo)、直接圧縮性無水ラクトース及び修飾ラクトース一水和物からなる群から選択されるラクトースが、本明細書に記載した製剤中に使用されるのに好適である。本発明の一実施形態において、充填剤又は希釈剤は、微結晶セルロースとラクトースとの組み合わせである。
【0090】
本発明の製剤中に使用される結合剤としては、製薬処方に一般的に使用される結合剤が挙げられる。本発明に従って使用される結合剤の例としては、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む)、グリコール、スクロース、デキストロース、コーンシロップ、多糖(アカシア、トラガカント(targacanth)、グアー、アルギン酸塩及び澱粉を含む)、トウモロコシ澱粉、α化澱粉、修飾トウモロコシ澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤は、存在する場合、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
【0091】
本発明の製剤中に使用される崩壊剤としては、製薬処方に一般的に使用される崩壊剤が挙げられる。本発明に従って使用される崩壊剤の例としては、粘土、セルロース、アルギネート(alginates)及びゴム(gums)、及び架橋澱粉、セルロース及びポリマー、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な崩壊剤としては、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスポビドン、セルロース、アガー及び関連するガム、澱粉グリコール酸ナトリウム、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、ビーガムHV、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアーガム、これらの組み合わせ等が挙げられる。崩壊剤は、存在する場合、架橋セルロース、より好ましくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はクロスカルメロースナトリウムが好ましい。
【0092】
本発明の製剤中に使用される滑沢剤としては、製薬処方に一般的に使用される滑沢剤が挙げられる。本発明に従って使用される崩壊剤の例としては、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、フュームド二酸化ケイ素、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、微結晶セルロース、澱粉、鉱油、ワックス、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。滑沢剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸が好ましく、ステアリン酸マグネシウムがより好ましい。
【0093】
本発明の製剤中に使用される界面活性剤としては、製薬処方に一般的に使用される界面活性剤が挙げられる。本発明に従って使用される界面活性剤の例としては、製薬処方に一般的に使用されるイオン性及び非イオン性界面活性剤又は湿潤剤、例えばエトキシ化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、モノグリセリド又はそのエトキシ化誘導体、ジグリセリド又はそのポリオキシエチレン誘導体、ドクサートナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、コール酸又はその誘導体、レシチン、リン脂質、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
賦形剤として一般的に使用される他のポリマーとしては、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリマーは、単独で又は様々な組み合わせで、本発明の製剤の化合物の制御放出を含むがこれに限定されない多数の目的に役立ち得る。
【0095】
いずれの場合でも、他の賦形剤と適合可能であり、かつ薬物化合物と結合せず又は薬物を分解しないような適切な賦形剤を選択する必要がある。
【0096】
本明細書に開示した医薬製剤は、更に抗酸化剤及びキレート化剤を含有し得る。例えば、医薬製剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ピロ亜硫酸カリウム、EDTA二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸;エデト酸2ナトリウムとしても既知)、EDTA、酒石酸、クエン酸、クエン酸一水和物及び亜硫酸ナトリウムを含有し得る。
【0097】
別の実施形態では、本発明の錠剤又はカプセル剤は、保護外側層を有する。錠剤又はカプセル剤の保護外側層は、存在する場合、コーティング層の重量に基づいて、約10%〜約95%のポリマーを含んでもよく、従来の手順を用いて調製されてもよい。一実施形態において、錠剤又はカプセル剤の外側層は、コーティング層の重量に基づいて約20%〜約90%のポリマーを含む。製剤は、少なくとも1種のコーティング層ポリマーと、加工に使用され、乾燥により除去されるコーティング溶媒、例えば水とを含んでもよい。コーティング層用のポリマーの好適な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、エチルセルロース、メタクリル系ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、及び澱粉が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、コーティング層ポリマーはPVAである。別の実施形態では、コーティング層ポリマーはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0098】
コーティングは、場合により、コーティング層の重量に基づいて約0重量%〜約30重量%の可塑剤も含み得る。一実施形態において、可塑剤は、コーティング層の約15重量%〜約25重量%である。好適な可塑剤としては、例えばトリアセチン、ジエチルフタレート、セバシン酸トリブチル、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、トリアセチン、及びクエン酸トリアエチル(triaethyl citrate)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
別の実施形態では、コーティングは、場合により、例えばタルク、ヒュームドシリカ、又はステアリン酸マグネシウム等の抗粘着剤(anti-adherent)又は流動促進剤も含み得る。
【0100】
別の実施形態では、コーティングは、場合により、例えば二酸化チタン等の乳白剤も含み得る。
【0101】
製剤が錠剤である更なる別の実施形態では、錠剤は、剤形に美的利益を提供するコーティング層で更にコーティングされてもよい。所定の実施形態では、そのようなコーティングは錠剤の保護を助ける。所定の実施形態では、そのようなコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、二酸化チタン及びトリアセチンを含む。所定の別の実施形態では、そのようなコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール400、ポリデキストロース、二酸化チタン、カルナバ蝋、及び鉄黄を含む。少なくとも1つの実施形態では、そのようなコーティング層は、Opadry(登録商標)II(white)を、錠剤の約0重量%〜約10重量%の量;所定の別の実施形態では、錠剤の約0重量%〜約6重量%の量;尚別の実施形態では、錠剤の約0重量%〜約3重量%の量;別の実施形態では、錠剤の約2〜約4重量%で含む。
【0102】
D)追加の治療薬
別の実施形態では、本発明の製剤は、更に1種以上の追加の治療薬を含有して所望の治療効果を提供する。
【0103】
本発明の製剤との組み合わせに好適な他の治療薬(1種又は複数)としては、抗糖尿病薬、高血糖治療薬、抗高脂血症薬又は高脂血症治療薬、抗肥満薬、抗高血圧薬及び食欲抑制薬を含む、SGLT2活性に関連した前述した疾患の処置に有用な既知の治療薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
本発明は更に、SGLT2活性に関連した疾病又は疾患の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、以下の1つ以上:抗糖尿病薬(1種又は複数)、高血糖治療薬(1種又は複数)、抗高脂血症薬又は高脂血症治療薬(1種又は複数)、抗肥満薬(1種又は複数)、抗高血圧薬(1種又は複数)及び食欲抑制薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。
【0105】
一実施形態では、本発明は、II型糖尿病を処置するための方法を提供し、該方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、1種以上の抗糖尿病薬とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を遅延させるための方法を提供し、該方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、1種以上の抗糖尿病薬とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、以下の1つ以上:高血糖治療薬(1種又は複数)、抗高脂血症薬又は高脂血症治療薬(1種又は複数)、抗肥満薬(1種又は複数)、抗高血圧薬(1種又は複数)及び食欲抑制薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。例えば、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、高血糖治療薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、抗高脂血症薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、抗肥満薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、抗高血圧薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、II型糖尿病の進行又は発症を処置する又は遅延させるための方法を提供し、前記方法は、治療的有効量の本発明の医薬製剤と、食欲抑制薬(1種又は複数)とを、そのような処置を必要とする哺乳動物種に投与することを含む。
【0107】
本発明の製剤と組み合わせて使用するのに好適な抗糖尿病薬の例としては、ビグアナイド(例えば、メトホルミン又はフェンホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース又はミグリトール)、インスリン(インスリン分泌促進物質又はインスリン感作物質を含む)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニルウレア(例えば、グリメピリド、グリブリド、グリクラジド、クロルプロパミド及びグリピジド)、ビグアナイド/グリブリド組み合わせ(例えば、Glucovance(登録商標))、チアゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)、PPAR−α作動薬、PPAR−γ作動薬、PPARα/γ二重作動薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、脂肪酸結合タンパク質の阻害剤(aP2)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及びGLP−1受容体の他の作動薬、並びにジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
他の好適なチアゾリジンジオンとしては、MCC−555、ファルグリタザル(faraglitazar)、エングリタゾン又はダルグリタゾン;イサグリタゾン、レグリタザル、リボグリタゾン、リラグルチド、及び(Z)−1,4−ビス−4−[(3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジン−2−イル−メチル)]フェノキシブタ−2−エンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
PPAR−α作動薬、PPAR−γ作動薬及びPPARα/γ二重作動薬の例としては、ムラグリタザル、ペリグリタザル、テサグリタザルAR−HO39242、GW−501516、及びIRP297が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
好適なDPP4阻害剤としては、シタグリプチン(sitigliptin)及びサクサグリプチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の製剤と組み合わせて使用するのに好適な高血糖治療薬の例としては、GLP−1(1〜36)アミド、GLP−1(7〜36)アミド、GLP−1(7〜37)等のグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、エクセナチド、LY−315902、MK−0431、リラグルチド、ZP−10、及びCJC−1131が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本発明の製剤と組み合わせて使用するのに好適な抗高脂血症薬/高脂血症治療薬の例としては、1種以上のMTP阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、メバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、アタバスタチン、ロスバスタチン等)、スクアレンシンセターゼ阻害剤、フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート等、プロブコール、コレスチラミン、コレスチポール及びDEAE−セファデックス等の胆汁酸捕捉剤、並びにリポスタビル)、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方調節剤(up-regulator)、胆汁酸捕捉剤、コレステロールエステル転送タンパク質(例えば、トルセトラピブ及びJTT−705等のCETP阻害剤、PPAR作動薬(上述したような)、並びに/又はニコチン酸及びその誘導体が挙げられる。好ましい抗高脂血症薬としては、例えばプラバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン及びロスバスタチンが挙げられる。
【0113】
本発明の製剤と組み合わせて使用するのに好適な抗高血圧薬の例としては、βアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L−型及びT−型;例えばジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン及びミベフラジル)、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネン(triamtrenene)、アミロライド、スピロノラクトン)、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、ホシノプリル、エナラプリル、セラノプリル(ceranopril)、シラゾプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT−1受容体拮抗薬(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、及びET受容体拮抗薬(例えば、シタクスセンタン及びアトラセンタン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明の製剤と組み合わせて使用するのに好適な抗肥満薬の例としては、β 3アドレナリン作動薬、リパーゼ阻害剤、セロトニン(及びドーパミン)再取り込み阻害剤、甲状腺受容体β薬、5HT2C作動薬;シナプス性SNAP−7941及びTakeda T−226926等のMCHR1拮抗薬、メラノコルチン受容体(MC4R)作動薬、メラニン凝集ホルモン受容体(MCHR)拮抗薬、ガラニン受容体修飾因子、オレキシン拮抗薬、CCK作動薬、NPY1又はNPY5拮抗薬、NPY2及びNPY4修飾因子、副腎皮質刺激ホルモン放出因子作動薬、ヒスタミン受容体−3(H3)修飾因子、11−β−HSD−1阻害剤、アディノペクチン(adinopectin)受容体修飾因子、モノアミン再取り込み阻害剤又は放出剤、毛様体神経栄養因子、BDNF(脳由来神経栄養因子)、レプチン及びレプチン受容体修飾因子、カンナビノイド−1受容体拮抗薬、並びに食欲抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本発明の製剤との組み合わせで使用され得るリバーゼ阻害剤の例としては、オルリスタット及びATL−962(Alizyme)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
本発明の製剤との組み合わせで使用され得るセロトニン(及びドーパミン)再取り込み阻害剤(又はセロトニン受容体作動薬)としては、BVT−933、シブトラミン、トピラマート及びアクソカイン(axokine)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明の製剤との組み合わせで使用され得るモノアミン再取り込み阻害剤の例としては、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フルボキサミン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、クロルフェンテルミン、クロホレックス、クロルテルミン、ピシロレックス、シブトラミン、デキサムフェタミン(dexamphetamine)、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン及びマジンドールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の製剤との組み合わせで使用され得る食欲抑制剤としては、トピラマート、デキサムフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン及びマジンドールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明の任意の製剤が他の治療薬(1種又は複数)との組み合わせで使用される場合、他の治療薬(1種又は複数)は、例えば、Physician’s Desk Referenceに示される量、又は別様に当業者に既知であり、かつ使用される量で使用されてもよい。
【0120】
本発明の任意の製剤が他の治療薬(1種又は複数)との組み合わせで使用される場合、組み合わせ化合物のそれぞれは、同時に又は連続的に投与され、また任意の順序で投与されてもよく、構成成分は、例えば本明細書に記載する一日投与量にて、連帯的な治療的有効量で別々に又は固定的な組み合わせとして投与されてもよい。本発明の一実施形態において、本発明の固定的な組み合わせは、本発明の式(I)若しくは(I−S)の化合物又は製剤の乾燥造粒物と、他の治療薬(1種又は複数)の乾燥造粒物とを混合し、該混合物を、所望のサイズ、形状、色、若しくは他の特徴を有するカプセル中に満たし、又は圧縮して錠剤を形成することにより調製され得る。
【0121】
E)製剤の製造
所定の実施形態において、本発明の製剤は、薬物化合物とバイオアベイラビリティ−促進剤との混合物を作製することにより調製される。したがって、これらの構成成分を液体溶媒に溶解した後、溶媒を除去することは、該調製を最も直接に達成し得る。よって、更なる態様から見れば、本発明は医薬組成物の調製方法を提供し、前記方法は、薬物化合物と薬学的に許容し得る賦形剤とを溶媒に溶解する工程と、得られた溶液から溶媒を除去する工程と、場合により、得られた生成物を所望の形状に形成する工程と、場合により、得られた生成物を生理学的に耐容性のあるコーティング材料でコーティングする工程と、を含む。
【0122】
本明細書に示した実施形態による剤形は、標準的な技術により製造されることが好ましい。例えば、剤形は、湿式造粒法により製造されてもよい。湿式造粒法では、薬物及び担体は、造粒流体としての水性溶媒又は変性無水エタノール等の有機溶媒を使用してブレンドされる。残りの成分は、上述した溶媒等の造粒流体の一部に溶解されてもよく、後に調製されたこの湿潤ブレンドを、ブレンダ内での連続混合を用いて薬物ブレンドにゆっくりと添加する。湿潤ブレンドが製造されるまで造粒流体を添加し、次いで予め設定したスクリーンにより湿潤ブレンド塊に力を加え造粒し、流動床乾燥機で乾燥させる。次いで、乾燥させた顆粒の大きさを整える。次に、ステアリン酸マグネシウム又は他の好適な潤滑剤及び他の賦形剤材料を薬物造粒物に添加し、この造粒物を、ジャーミルで混合したミリングジャーサンドに10分にわたって注入する。組成物は、例えば、Manesty(登録商標)プレス機又はKorsch LCTプレス機で一層へとプレスされる。三層コアの場合、薬物層組成物の顆粒又は粉末、及び圧力(push)層組成物を、適切な大きさのダイ内に連続して配置し、最初の二層のそれぞれに中間圧縮工程が適用され、次いで最後の層がダイに加えられた後、最後の圧縮工程が適用されて三層コアを形成する。中間圧縮は、典型的には、約50〜100ニュートンの力の下で行われる。最終段階の圧縮は、典型的には、3500ニュートン以上、多くの場合、3500〜5000ニュートンの力で行われる。圧縮されたコアは乾燥コータープレス、例えばKilian(登録商標)Dry Coaterpressに供給され、続いて、本明細書に記載した壁材料でコーティングされる。
【0123】
パンコーティングが都合よく使用されて、完全な剤形を提供し得る。パンコーティングシステムでは、内部壁又は外部壁用の壁形成組成物を、場合によって、回転パン内での混転を伴って、適切な壁組成物を連続的に圧縮コア上に噴霧することにより堆積され得る。工業規模で利用可能なことから、パンコーターが使用される。圧縮コアのコーティングには他の技術を使用してもよい。コーティング後、強制対流式オーブン又は温度及び湿度制御オーブン内で壁を乾燥して、製造時に使用された溶媒を剤形から解放する。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚等に基づいて従来通り選択されるであろう。
【0124】
他のコーティング法を用いることもできる。例えば、1つの代替的な方法はエアサスペンジョン法(air-suspension procedure)を使用する。この方法は、コーティングがコアに適用されるまで、圧縮コアを気流中にて浮遊及び混転させることからなる。エアサスペンジョン法は、米国特許第2,799,241号;J.Am.Pharm.Assoc.,Vol.48,pp.451〜459(1959);及び同書、Vol.49,pp.82〜84(1960)に記載されている。剤形はまた、例えば壁形成材料用の共溶媒としての二塩化メチレンメタノールを使用して、Wurster(登録商標)エアサスペンジョンコーターによりコーティングされてもよい。Aeromatic(登録商標)エアサスペンジョンコーターは、共溶媒を用いて使用することができる。
【0125】
別の実施形態では、薬物層に含まれる薬物及び他の成分は、ブレンドされ、固体層にプレスされる。この層は、該層が剤形中に占める領域の内部寸法に対応する寸法を所有し、圧力層が含まれる場合、圧力層に対応する寸法も所有して、圧力層に接触配置を形成する。薬物及び他の成分はまた、溶媒と共にブレンドされ、ボールミリング、圧延、撹拌又はロールミリング等の従来の方法により固体又は半固体形態に混合された後、予め選択された形状にプレスされてもよい。次いで、本明細書に記載した内部壁材料及び半透性壁材料を、圧縮コアにコーティングしてもよい。
【0126】
使用し得る他の製造方法は、粉末化成分を流動床造粒機内でブレンドする工程を含む。粉末化成分を造粒機内で乾燥ブレンドした後、例えば、ポリビニルピロリドン水溶液といった造粒流体を粉末に噴霧する。次いで、コーティングされた粉末を造粒機内で乾燥する。このプロセスは、造粒流体を添加しつつ、造粒機中に存在する全ての材料から造粒する。顆粒を乾燥させた後、潤滑剤(ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム等)を、ブレンダ(例えば、Vブレンダ又はトートブレンダ)を用いて混合して造粒物とする。次いで顆粒をプレスし、上記の方法でコーティングする。
【0127】
剤形構成成分の製造に好適な代表的な溶媒は、系で使用する材料に悪影響を与えることのない水性溶媒又は不活性な有機溶媒を含む。溶媒には、水溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶剤、脂環式化合物、芳香族、複素環溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される部類が広範に含まれる。典型的な溶媒としては、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、nヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、テトラクロリデンニトロエタンカーボン(carbon tetrachloridenitroethane)、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフタ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩を含有している水溶媒、並びにアセトン及び水、アセトン及びメタノール、アセトン及びエチルアルコール、二塩化メチレン及びメタノール、並びに二塩化エチレン及びメタノール等のこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
本発明のための例示的な液体担体としては、親油性溶媒(例えば、油及び脂質)、界面活性剤、及び親水性溶媒が挙げられる。例示的な親油性溶媒としては、例えば、Capmul PG−8、Caprol MPGO、Capryol 90、Plurol Oleique CC497、Capmul MCM、Labrafac PG、N−デシルアルコール、Caprol 10G10O、オレイン酸、ビタミンE、Maisine 35−1、Gelucire 33/01、Gelucire 44/14、ラウリルアルコール、Captex 355EP、Captex 500、カプリル酸(Capylic)/カプリン酸(Caplic)トリグリセリド、Peceol、Caprol ET、Labrafil M2125 CS、Labrafac CC、Labrafil M20 1944 CS、Captex 8277、Myvacet 9−45、ミリスチン酸イソプロピル(Isopropyl Nyristate)、Caprol PGE 860、オリーブ油、Plurol Oleique、ピーナツ油、Captex 300 Low C6、及びカプリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
例示的な界面活性剤としては、例えば、ビタミンE TPGS、クレモフォア(等級EL、EL−P、及びRH40)、Labrasol、ツイーン(等級20、60、80)、プルロニック(等級L−31、L−35、L−42、L−64、及びL−121)、Acconon S−35、Solutol HS−15、及びスパン(等級20、及び80)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
例示的な親水性溶媒としては、例えば、イソソルビドジメチルエーテル、ポリエチレングリコール(PEG等級300、400、600、3000、4000、6000及び8000)及びプロピレングリコール(PG)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
一般に、得られた生成物が次いで容易に成形できることから、本質的に完全な溶媒除去が好ましいであろう。成形は、溶液の噴霧乾燥(による微粒子形態の生成物の提供)、鋳型内に配置された溶液からの溶媒の蒸発、成型(例えば射出成型)、押出等により達成することができる。一般に、生成物は熱い時に形成され、冷却により固化され得る。成形生成物は同様に、蒸発によって、又は加熱された塊をプレート上に注ぎ、溶媒を蒸発除去することによって、フィルム又はシート形態で生成されてもよい。
【0132】
F)製剤実施例
下記の製剤実施例は説明目的に限定され、本発明の範囲をいかなる意味でも制限するものではない。表1.1〜1.6に列挙した成分と、以下の手順とを用いて錠剤を調製した。
【0133】
以下の表1.1〜1.6の実施例において、例示的な化合物、無水ラクトース、微結晶セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムを篩にかけ、流動床内に配置した。
【0134】
ヒドロキシプロピルセルロースと精製水を混合して、造粒溶液を調製した。
【0135】
造粒溶液を流動床内に噴霧して、乾燥成分を造粒した。
【0136】
造粒溶液が枯渇した際、造粒物を流動床内で乾燥させた。
【0137】
適切な篩が装着された好適なミルに、乾燥顆粒を通過させた。
【0138】
粉砕された造粒物を適切なブレンダ内に配置し、篩にかけたステアリン酸マグネシウムと一緒にした。
【0139】
混合物を適切な時間中、ブレンドした。
【0140】
好適なロータリー打錠機を使用して、最終的なブレンドを錠剤に圧縮した。
【0141】
フィルムコーティング(例えば、Opadry II)を使用した場合、フィルムコーティング粉末を精製水と混合して、フィルム−コーティング懸濁液を得た。
【0142】
錠剤を好適なコーティングパン内でフィルムコートし、乾燥した。
【0143】
【表1】
1 100mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)と等価な半水和物の量
【0144】
【表2】
1 25mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)と等価な半水和物の量
【0145】
【表3】
1 200mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)と等価な半水和物の量
【0146】
【表4】
1 50mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)と等価な半水和物の量
【0147】
【表5】
1 300mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)と等価な半水和物の量
2 錠剤をOpadry IIで3重量%増量までコーティングする
【0148】
【表6】
1 100mgの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)と等価な半水和物の量
2 錠剤をOpadry IIで4重量%増量までコーティングする
【0149】
G)生物学的実施例
犬の試験からのインビボでの薬物動態学データ
犬における1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)の暴露を、様々な経口投与可能な製剤を使用して比較した。用量投与時の体重8.0〜10.0kgの、良好な全身の健康を有した11匹の雄のビーグル犬を、この試験用に選択した。犬をそれらの重量に従って3つのグループに配置した。一晩の絶食後、各犬は、単一の経口懸濁液剤形又は錠剤剤形のいずれかを受容した。全体で薬物化合物1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)の3種の剤形:5mg/mLナノ懸濁液、100mg錠剤製剤及び25mg錠剤製剤が投与された。グループ1の3匹の絶食犬は、20mLの5mg/mLナノ懸濁液を受容し;グループ2に割り当てられた4匹の絶食犬は、100mg錠剤製剤(1錠剤/犬;成分は表1.1に列挙)を受容し;グループ3に割り当てられた4匹の絶食犬は、25mg錠剤製剤(4錠剤/犬;成分は表1.2に列挙)を受容した。
【0150】
各投与後、犬は10mLの水道水を受容して、用量全部の送達を確実にした。最初の投与から0、0.5、1、2、4、8、24及び48時間後、頸静脈穿刺又は他の好適な部位を介して約3mLの血液試料をK2 EDTA管内に収集し、湿潤氷上に配置した。遠心分離により血漿を回収し、−20℃で凍結した。白色光からの保護のために全試料をアンバーバイアル内に配置し、収集から2時間以内に処理した。
【0151】
血漿試料を、液体クロマトグラフィー−三連四重極質量分析(LC−MS/MS)アッセイ手順を使用して、定量下限50ng/mLを用いて、薬物化合物1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)の血漿濃度に関して分析した。血漿濃度データを、Watson(商標)LIMSコンピュータシステムに電子的に転送した。Watson(商標)システムは、定量下限を下回る濃度に0.00値を割り当てる。
【0152】
【表7】
【0153】
この試験で対照として使用したナノ懸濁液は、重量百分率で測定して0.5%のMethocel(登録商標)懸濁液を含んでいた。Methocel(登録商標)は、高い粘度を有し、懸濁液用の増粘剤として使用されているヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ポリマーである。薬物濃度は、懸濁液の容積1mL当たり5mgの薬物であった。全体で20mLの懸濁液が、ナノ懸濁液グループの各犬に投与された。
【0154】
WinNonlin Version 4.0.1(Pharsight)を有効化したコンピュータプログラムを使用して、薬物化合物1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)の血漿濃度の薬物動態解析を行って、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度までの時間(tmax)、無限時間に外挿した血漿濃度対時間曲線下面積(AUCinf及びAUC0〜48h)、終末半減期(t1/2)、及び血漿クリアランス(CL/F)を決定した。
【0155】
【表8】
【0156】
雄のビーグル犬に対する化合物の5mg/mLナノ懸濁液の単一の20mL経口用量の後、化合物の吸収は1.17時間の平均tmax値に基づき急速であり、その消失は9.23時間の平均t1/2値に基づき緩徐であった。化合物の100mg錠剤製剤の単一の経口用量又は25mg錠剤製剤の4用量の投与は、それぞれ2.25時間及び3.50時間の平均tmax値で示されるように、化合物の遅延吸収を示した。
【0157】
それにも係わらず、両方の錠剤製剤の投与後の化合物の消失は、それぞれ9.13時間及び9.97時間の平均t1/2値により緩徐なままであった。1mg/kgに正規化された平均血漿薬物動態パラメーターに基づいて、100mg錠剤製剤の1用量と、25mg錠剤製剤の4用量との経口投与後の化合物の最大血漿濃度(Cmax)は、5mg/mLナノ懸濁液と比較して高かった(図1A & B)。
【0158】
更に、100mg錠剤製剤又は25mg錠剤製剤の化合物の投与後の、AUCinfにより示されるバイオアベイラビリティは、5mg/mLナノ懸濁液の投与後よりも高かった。
【0159】
ヒト試験からのインビボでの薬物動態学データ
健康なヒト対象は、食後及び/又は絶食条件下で、薬物化合物1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)の3つの異なる用量レベルで、液体ナノ懸濁液又は錠剤製剤の単一の経口用量を受容した。3つの用量レベルは、25mg(代表的な製剤は、表1.2に列挙)、200mg(代表的な製剤は、表1.3に列挙)及び400mgの薬物化合物を含んでいた。特に、400mg錠剤用量は、200mg錠剤製剤の2用量の投与により達成された。
【0160】
絶食及び食後条件下での200mg錠剤製剤、及び40mLの5mg/mL液体ナノ懸濁液(食後条件)の経口投与後の化合物の平均血漿濃度プロファイルを、図2に示す。錠剤製剤に対するナノ懸濁液に関して同様のプロファイルを用量25mg及び400mgで得た。
【0161】
表4に示すように、食後条件下での25及び200mg用量の後、化合物の最大血漿濃度(tmax)までの平均時間は、錠剤製剤のおよそ1〜1.5時間に対して、ナノ懸濁液では4時間であった。400mg用量レベルでは、平均tmaxは、200mg錠剤製剤の2用量のおよそ1.75時間に対して、ナノ懸濁液の場合は2.25時間であった。
【0162】
食後条件下での全用量(25mg、200mg、400mg)において、平均Cmaxは、錠剤製剤と比較してナノ懸濁液製剤でより低かった。
【0163】
25及び200mg用量の錠剤製剤の投与後、平均Cmaxは、食後条件下と比較して絶食条件下でより高かった。全用量(25mg、200mg及び400mg)において、食後又は絶食中(25mg及び200mg錠剤製剤のみ)条件下で、化合物の平均AUCinf値は同等であった。
【0164】
【表9】
【0165】
これらのデータは、食物が、薬物化合物に対するバイオアベイラビリティの高さに有意な効果を有さなかったが、Cmaxの低下とtmaxにおける遅延とにより証明されるように、吸収速度を低下させたことを示唆する。
【0166】
400mg用量(2×200mg錠剤)における錠剤投与後、食事時間の変更(朝食30分前の投与に対する朝食10分前の投与)は、tmax、t1/2、Cmax、又はAUCに影響を与えるように思われなかった。
【0167】
製剤及び食物摂取に係わらず、全用量レジメンに関して、薬物化合物の平均t1/2は、約8〜約12hの範囲であった。

本発明は以下の態様を包含し得る。
[1] (a)式(I)
【化3】
(式中、
1は、ハロ、シアノ、場合により置換された低級アルキル、又は場合により置換された低級アルコキシルであり、
2は、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロシクリルである)の化合物、
又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)少なくとも1種の希釈剤又は充填剤と、
(c)場合により少なくとも1種の崩壊剤と、
(d)場合により少なくとも1種の結合剤と、
(e)場合により少なくとも1種の滑沢剤と、を含有する経口投与可能な医薬製剤であって、
前記式(I)の化合物が、約1重量%〜約80重量%の範囲内の量で存在し、
前記希釈剤又は充填剤が、約10重量%〜約95重量%の範囲内の量で存在し、
前記崩壊剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約20重量%の範囲内の量で存在し、
前記結合剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約20重量%の範囲内の量で存在し、
前記滑沢剤が、存在する場合、約0.1重量%〜約5重量%の範囲内の量で存在し、上記の全ての重量%が、前記製剤の重量に基づく、医薬製剤。
[2] R1が、ハロゲン原子、又は低級アルキル基であり、
2が、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されたフェニルである、上記[1]に記載の医薬組成物。
[3] 式(I)の化合物が、式(I−S):
【化4】
の化合物、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩である、上記[1]に記載の医薬組成物。
[4] 前記化合物が、約25mg〜約600mgの量で存在する、上記[3]に記載の医薬組成物。
[5] 前記化合物が、約50mg〜約300mgの量で存在する、上記[3]に記載の医薬組成物。
[6] 前記化合物が、約100mgの量で存在する、上記[3]に記載の医薬組成物。
[7] 前記化合物が、約300mgの量で存在する、上記[3]に記載の医薬組成物。
[8] 前記化合物が1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物である、上記[1]に記載の医薬組成物。
[9] 前記製剤が錠剤である、上記[1]に記載の医薬組成物。
[10] ナトリウム依存性グルコース輸送体仲介疾患の処置方法であって、前記処置を必要とする患者に、上記[3]に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[11] 前記化合物が約50mg〜約300mgの用量で1日1回投与される、上記[10]に記載の方法。
[12] 前記化合物が約100mg/日の用量で投与される、上記[10]に記載の方法。
[13] 前記化合物が約300mg/日の用量で投与される、上記[10]に記載の方法。
[14] (a)約40重量%〜約60重量%の範囲内の量で存在する、式(I−S)
【化5】
の化合物、又はそのプロドラッグ、又はその薬学的に許容し得る塩と、
(b)約30重量%〜約50重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の希釈剤又は充填剤と、
(c)約3重量%〜約10重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の崩壊剤と、 (d)約0.5重量%〜約5重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の結合剤と、
(e)約0.5重量%〜約2重量%の範囲内の量で存在する少なくとも1種の滑沢剤と、を含有する経口投与可能な医薬製剤であって、
前記重量%が前記製剤の重量に基づく、医薬製剤。
[15] 前記化合物が1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン)半水和物である、上記[14]に記載の医薬組成物。
[16] 前記製剤が錠剤である、上記[14]に記載の医薬組成物。
[17] 前記製剤が錠剤である、上記[15]に記載の医薬組成物。
図1A
図1B
図2