【文献】
西本 友成 ほか,狭帯域放送のためのアクセス制御方式,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2006年 9月 7日,Vol.106,No.245,pp.39−44
【文献】
本人認証技術の現状に関する調査報告書,日本,情報処理振興事業協会セキュリティセンター[オンライ,2003年 3月,pp.4−7,13−18,[平成24年 8月17日検索],インターネット,URL,<http://www.ipa.go.jp/security/fy14/reports/authentication/authentication2002.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1等で開示された従来技術を用いれば、予め個別の識別子を持たない受信装置であっても、放送事業者が指定した識別子によって、それぞれの受信装置が特定され、個別にメッセージの表示制御を行うことができる。
しかし、従来技術では、受信装置側で乱数によって識別子を生成するため、乱数が一致して、受信装置間で識別子が一致する可能性がある。すなわち、従来技術では、受信装置を完全に特定することができない可能性があるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、不特定多数の受信装置側で識別子を生成するのではなく、放送事業者側で受信装置個別の識別子を生成して受信装置に付与することが可能な識別子発行装置および送信装置、ならびに、その識別子を取得する受信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の識別子発行装置は、デジタル放送の受信装置に、当該受信装置を個別に識別する受信機識別を発行する識別子発行装置であって、デバイス情報記憶手段と、通信制御手段と、受信機識別要求受信手段と、認証手段と、受信機識別生成手段と、受信機識別送信手段と、を備える構成とした。
【0009】
かかる構成において、識別子発行装置は、受信装置に記憶されている当該受信装置のデバイスを識別するデバイス識別(デバイスID)と暗号鍵であるデバイス鍵とを対応付けて予めデバイス情報記憶手段に記憶しておく。このデバイス識別およびデバイス鍵は、受信装置のメーカー、機種等のデバイス単位で予め受信装置に記憶されているものである。
【0010】
そして、識別子発行装置は、受信機識別要求受信手段によって、受信装置から、当該受信装置を個別に識別する受信機識別(受信機ID)の発行要求を、通信制御手段を介して受信する。さらに、識別子発行装置は、認証手段によって、受信装置との間で、デバイス鍵を用いた共通鍵暗号方式により、デバイス識別の単位で機器認証を行う。このように、デバイス識別単位で認証を行うことで、識別子発行装置は、少なくとも当該受信装置が、正規のメーカーが製造した正当な受信装置であるか否かを判定することができる。
【0011】
そして、識別子発行装置は、受信機識別生成手段によって、認証に成功した受信装置に対して、受信装置間で重複がない識別子で受信機識別を生成する。例えば、受信機識別生成手段は、連続番号で順番に受信機識別を生成する。そして、識別子発行装置は、受信機識別送信手段によって、受信機識別を要求した受信装置に対して、生成した受信機識別を、通信制御手段を介して送信する。
これによって、識別子発行装置は、個別の識別子を持たない正規の受信装置に対して、受信機識別を付与することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の識別子発行装置は、請求項1に記載の識別子発行装置において、認証手段が、受信機認証情報受信手段と、受信機認証手段と、を備える構成とした。
【0013】
かかる構成において、識別子発行装置は、認証手段の受信機認証情報受信手段によって、受信装置において生成した乱数と、当該乱数をデバイス鍵で暗号化した暗号化情報と、デバイス識別とを、受信機認証情報として、通信制御手段を介して受信する。
【0014】
そして、識別子発行装置は、認証手段の受信機認証手段によって、受信機認証情報に含まれるデバイス識別に対応してデバイス情報記憶手段に記憶されているデバイス鍵で暗号化情報を復号し、受信機認証情報に含まれる乱数と一致するか否かにより、受信装置の認証を行う。
これによって、識別子発行装置は、正当な受信装置と共通で記憶しているデバイス鍵を共通鍵として、受信装置が正当であるか否かを認証することができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載の識別子発行装置は、請求項2に記載の識別子発行装置において、認証手段が、発行元認証情報生成手段と、発行元認証情報送信手段と、発行元認証結果受信手段と、をさらに備える構成とした。
【0016】
かかる構成において、識別子発行装置は、認証手段の発行元認証情報生成手段によって、乱数を生成するとともに、受信機認証情報に含まれるデバイス識別に対応してデバイス情報記憶手段に記憶されているデバイス鍵で当該乱数を暗号化して暗号化情報を生成し、当該乱数と当該暗号化情報とを、発行元認証情報として生成する。
【0017】
そして、識別子発行装置は、認証手段の発行元認証情報送信手段によって、受信機識別を要求した受信装置に対して、発行元認証情報生成手段で生成された発行元認証情報を、通信制御手段を介して送信する。これによって、受信装置において、識別子発行装置が正当なものであるか否かを認証することができる。
さらに、識別子発行装置は、認証手段の発行元認証結果受信手段によって、発行元認証情報による認証結果を、受信装置から通信制御手段を介して受信する。
これによって、識別子発行装置において、機器相互の認証結果を把握することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の送信装置は、放送ストリームに多重化して受信装置にメッセージを送信する送信装置において、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の識別子発行装置と、メッセージ情報生成手段と、を備える構成とした。
【0019】
かかる構成において、送信装置は、識別子発行装置によって、受信装置との間でデバイス識別およびデバイス鍵を用いて機器認証を行い、受信機識別を発行する。
そして、送信装置は、メッセージ情報生成手段によって、受信機識別により受信装置を特定して放送ストリームに多重化するメッセージを生成する。これによって、送信装置は、個々の受信装置を特定してメッセージの表示制御を行うことが可能になる。
【0020】
また、請求項5に記載の受信装置は、放送ストリームに多重化されたメッセージを受信する受信装置において、デバイス情報記憶手段と、通信制御手段と、受信機識別要求送信手段と、認証手段と、受信機識別受信手段と、受信機識別記憶手段と、メッセージ受信手段と、を備える構成とした。
【0021】
かかる構成において、受信装置は、当該受信装置のデバイスを識別するデバイス識別と暗号鍵であるデバイス鍵とを対応付けて予めデバイス情報記憶手段に記憶しておく。
そして、受信装置は、受信機識別要求送信手段によって、当該受信装置を個別に識別する受信機識別の発行要求を、通信制御手段を介して識別子発行装置に送信する。
【0022】
そして、受信装置は、認証手段によって、受信装置が記憶しているデバイス識別とデバイス鍵とを予め対応付けて記憶している識別子発行装置との間で、デバイス鍵を用いた共通鍵暗号方式により、デバイス識別の単位で機器認証を行う。このように、デバイス識別単位で認証を行うことで、受信装置は、少なくとも当該受信装置が、正規のメーカーが製造した正当な受信装置であるか否かを識別子発行装置に判定させることができる。
【0023】
そして、受信装置は、受信機識別受信手段によって、認証に成功した結果、識別子発行装置から送信される受信機識別を、通信制御手段を介して受信し、受信機識別記憶手段に記憶する。これによって、受信装置は、当該受信装置を個別に識別する受信機識別を取得することができる。
また、受信装置は、メッセージ受信手段によって、放送ストリームに多重化されたメッセージから、受信機識別記憶手段に記憶されている受信機識別に対応するメッセージを受信することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の受信装置は、請求項5に記載の受信装置において、認証手段が、受信機認証情報生成手段と、受信機認証情報送信手段と、を備える構成とした。
【0025】
かかる構成において、受信装置は、認証手段の受信機認証情報生成手段によって、乱数を生成するとともに、デバイス情報記憶手段に記憶されているデバイス鍵で当該乱数を暗号化して暗号化情報を生成し、当該乱数と当該暗号化情報と当該デバイス識別とを、受信機認証情報として生成する。
【0026】
そして、受信装置は、認証手段の受信機認証情報送信手段によって、受信機認証情報生成手段で生成された受信機認証情報を、通信制御手段を介して、識別子発行装置に送信する。これによって、識別子発行装置において、受信装置が正当なものであるか否かを認証することができる。
【0027】
さらに、請求項7に記載の受信装置は、請求項6に記載の受信装置において、認証手段が、発行元認証情報受信手段と、発行元認証手段と、発行元認証情報送信手段と、をさらに備える構成とした。
【0028】
かかる構成において、受信装置は、認証手段の発行元認証情報受信手段によって、識別子発行装置において生成した乱数と、当該乱数をデバイス鍵で暗号化した暗号化情報とを、発行元認証情報として、通信制御手段を介して受信する。
そして、受信装置は、認証手段の発行元認証手段によって、発行元認証情報に含まれる暗号化情報を、デバイス情報記憶手段に記憶されているデバイス鍵で復号し、発行元認証情報に含まれる乱数と一致するか否かにより、識別子発行装置の認証を行う。
これによって、受信装置は、正当な識別子発行装置と共通で記憶しているデバイス鍵を共通鍵として、識別子発行装置が正当であるか否かを認証することができる。
【0029】
そして、受信装置は、認証手段の発行元認証情報送信手段によって、発行元認証手段における認証結果を、通信制御手段を介して、識別子発行装置に送信する。
これによって、識別子発行装置において、機器相互の認証結果を把握することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1,4,5に記載の発明によれば、受信装置を個別に識別する受信機識別を予め持っていない受信装置であっても、デバイス識別とデバイス鍵とによって、機器認証を行うことで、正当な受信装置に対して、確実に受信機識別を付与することができる。
また、請求項1,4,5に記載の発明によれば、受信装置で受信機識別を生成しないため、重複のない受信機識別を発行することができ、受信装置を個別に特定してメッセージの表示制御を行うことができる。
【0031】
請求項2,6に記載の発明によれば、デバイス鍵を共通鍵として、受信装置の正当性を認証することができる。これによって、識別子発行装置は、正当な受信装置に対して、確実に受信機識別を付与することができる。
【0032】
請求項3,7に記載の発明によれば、デバイス鍵を共通鍵として、識別子発行装置の正当性を認証することができる。これによって、受信装置が、不正な識別子発行装置から受信機識別を取得することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[メッセージ表示システムの概要]
最初に、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るデジタル放送によるメッセージ表示システムSの概要について説明する。
メッセージ表示システムSは、放送事業者が有するデジタル放送の送信装置1(識別子発行装置2を含む)と、各家庭等に設置されたデジタル放送の受信装置3,3,…とで構成され、有料放送の放送契約や受信契約(以下、単に契約という)による受信装置3の登録の有無等によって、受信装置3の画面上におけるメッセージの表示を制御するものである。
【0035】
ここで、受信装置3は、当初(製造時)、メッセージを表示する受信装置3を個別に識別するための識別子(以下、受信機IDという)を保持していないものとする。
そして、受信装置3は、送信装置1から受信機IDを取得した後、送信装置1によって、受信機IDを特定してメッセージの表示が制御される。
【0036】
受信装置3が送信装置1から受信機IDを取得し、送信装置1が個別の受信装置3に表示するメッセージを制御する動作の概要は、以下の通りである。
まず、受信装置3(ここでは、受信装置3
3)は、通信により、送信装置1に受信機IDを要求する(ステップS1)。
そして、送信装置1は、受信装置3
3との間で、認証(機器認証)を行う(ステップS2)。そして、送信装置1は、認証に成功した場合に、受信機IDを生成し(ステップS3)、通信により、生成した受信機ID(ここでは、ID3)を受信装置3
3に送信する(ステップS4)。そして、受信装置3
3は、受信した受信機IDを内部に保持する(ステップS5)。
【0037】
その後、送信装置1は、例えば、未契約の受信装置3に対してメッセージを表示させる場合、未契約の受信装置3を特定する受信機ID(ここでは、ID3)を宛先、メッセージの表示のON/OFFを制御する制御情報(ここでは、ON)を内容とする個別の受信装置3宛てのメッセージである個別メッセージを放送する(ステップS6)。この制御情報は、受信機IDで特定された受信装置に保持される(ステップとして図示せず)。
そして、送信装置1は、制御情報を宛先、表示させたいメッセージテキストを内容とする受信装置3共通のメッセージである共通メッセージを放送する(ステップS7)。
そして、共通メッセージの制御情報と、内部に保持している制御情報とが一致する受信装置3(ここでは、受信装置3
3)が、メッセージを表示する(ステップS8)。
【0038】
このように、メッセージ表示システムSは、受信装置3が予め受信機IDを保持していない場合であっても、送信装置1が生成した受信機IDによって、受信装置3を特定してメッセージの表示を制御することができる。
以下、本発明の実施形態に係る送信装置1および受信装置3について詳細に説明する。
【0039】
[送信装置(識別子発行装置)の構成]
まず、
図2を参照(適宜
図1参照)して、本発明の実施形態に係る識別子発行装置2を含んだ送信装置1の構成について説明する。
【0040】
送信装置1は、放送波Wを介して、コンテンツ(放送番組)を受信装置3に送信するものである。また、送信装置1は、放送波Wを介して、映像上にテキスト文字としてオーバーレイ表示するメッセージを送信するとともに、その表示を制御する機能を有する。さらに、送信装置1は、通信回線Nを介して、受信装置3を個別に特定するための受信機IDを発行する機能を有する。
【0041】
ここでは、送信装置1は、コンテンツ配信手段10と、個別メッセージ情報生成手段11と、共通メッセージ情報生成手段12と、多重化手段13と、識別子発行装置2(受信機ID発行手段20、デバイス情報記憶手段21、認証手段22、通信制御手段23)と、を備える。
【0042】
コンテンツ配信手段10は、入力されたコンテンツを受信装置3に配信するものである。このコンテンツ配信手段10は、入力されたコンテンツを構成する映像信号、音声信号等を符号化し、多重化手段13に出力する。例えば、コンテンツ配信手段10は、コンテンツをMPEG−2 TS等で符号化する。
なお、コンテンツ配信手段10は、コンテンツへのアクセスを制限するため、コンテンツをスクランブル鍵でスクランブルし、スクランブルした鍵の関連情報とともに送信する限定受信方式によりコンテンツを暗号配信するものであってもよい。
【0043】
個別メッセージ情報生成手段(メッセージ情報生成手段)11は、個々の受信装置3に対して個別に配信する情報(個別メッセージ情報)を生成するものである。ここでは、個別メッセージ情報生成手段11は、受信装置3の識別子(受信機ID)を宛先とし、受信装置3が属する予め定めたグループ種別を示す制御情報をメッセージの内容とする個別メッセージ情報を生成する。なお、個別メッセージ情報は、ARIB STD−B25で規定されているEMM個別メッセージとして生成することができる。ここでは、個別メッセージ情報生成手段11は、外部から、受信機IDおよび制御情報が入力され、EMM個別メッセージとして個別メッセージ情報を生成し、多重化手段13に出力する。
【0044】
ここで、受信機IDは、受信装置3を特定する識別子であって、後記する受信機ID発行手段20によって、個々の受信装置3に発行されたものである。
また、制御情報は、メッセージの表示制御を行う予め定めたグループ単位に、受信装置3を区分するための識別情報(グループ種別)である。この制御情報は、例えば、受信契約を行っていない未登録の受信装置3のグループ(未登録受信装置グループ)を示す値(例えば、“0x0000”)、受信契約を行っている既登録の受信装置3のグループ(既登録受信装置グループ)を示す値(例えば、“0x0001”)等、を用いることができる。
【0045】
なお、受信機IDがどのグループを示す制御情報に対応するかは、放送事業者が予め定めることとする。例えば、受信機ID発行手段20によって受信装置3に対して受信機IDが発行された後、受信装置3の使用者(視聴者)から、放送事業者に対して電話、インターネット等によって受信機IDが通知され、受信契約を行った場合、放送事業者は、当該受信機IDを、既登録受信装置グループを示す制御情報と対応付ける。
【0046】
この個別メッセージ情報生成手段11は、例えば、
図3(a)に示すように、ヘッダ部に受信機ID、ペイロード部に制御情報を配置して個別メッセージ情報を生成する。
また、個別メッセージ情報生成手段11は、例えば、
図3(b)に示すように、
図3(a)の構造に加え、受信装置3ごとに個別に表示させたいメッセージテキストの文字列(コード列)である個別メッセージテキストをペイロード部に付加してもよい。
【0047】
共通メッセージ情報生成手段(メッセージ情報生成手段)12は、受信装置3,3,…に対して共通に配信する情報(共通メッセージ情報)を生成するものである。ここでは、共通メッセージ情報生成手段12は、制御情報を宛先とし、当該制御情報で特定されるグループの受信装置3に表示させるメッセージテキストの文字列(テキストコード)をメッセージの内容とする共通メッセージ情報を生成する。なお、共通メッセージ情報は、ARIB STD−B25で規定されているEMM共通メッセージとして生成することができる。ここでは、共通メッセージ情報生成手段12は、外部から、制御情報および共通メッセージテキストが入力され、EMM共通メッセージとして共通メッセージ情報を生成し、多重化手段13に出力する。
【0048】
ここで、制御情報は、個別メッセージ情報生成手段11によって、予め個別に受信装置3に配信された情報である。
また、共通メッセージテキストは、メッセージの文字列(コード列)であって、例えば、受信契約が行われていない旨を示す文章である。
【0049】
この共通メッセージ情報生成手段12は、例えば、
図4(a)に示すように、ヘッダ部に制御情報、ペイロード部に共通メッセージテキストを配置して共通メッセージ情報を生成する。
また、共通メッセージ情報生成手段12は、例えば、
図4(b)に示すように、
図4(a)の構造に加え、テキスト表示位置をペイロード部に付加してもよい。
ここで、テキスト表示位置は、メッセージを表示画面のどこに表示させるかを示す情報であって、例えば、画面横方向の位置(左、中、右)、画面縦方向の位置(上、中、下)を、それぞれ予め定めたビット値で示した情報である。これによって、受信装置3におけるメッセージの表示位置を送信装置1から指定することができる。
【0050】
多重化手段13は、コンテンツ配信手段10が配信するコンテンツと、個別メッセージ情報生成手段11が生成した個別メッセージ情報と、共通メッセージ情報生成手段12が生成した共通メッセージ情報とを、それぞれ入力された段階で多重化して、放送ストリームとして送信するものである。
【0051】
ここでは、多重化手段13は、入力された各情報を、MPEG−2 Systemsで定義されるTS(トランスポートストリーム)の形式(MPEG−2 TS)に多重化するものとする。このように多重化された放送ストリームは、放送波Wを介して、受信装置3に送信される。なお、ここでは、放送波Wを介して、放送ストリームを送信することとしているが、通信回線Nを介して送信する形態であっても構わない。
また、ここでは図示を省略するが、多重化手段13は、これらの情報以外にも、番組配列情報であるPSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)の情報テーブル等を適宜多重化することはいうまでもない。
【0052】
識別子発行装置2は、デジタル放送の受信装置3に、当該受信装置3を個別に識別する受信機IIDを発行するものである。ここでは、識別子発行装置2は、受信機ID発行手段20と、デバイス情報記憶手段21と、認証手段22と、通信制御手段23と、を備える。
【0053】
受信機ID発行手段(受信機識別発行手段)20は、受信装置3に対して、受信装置3を個別に識別する識別子である受信機IDを発行するものである。ここでは、受信機ID発行手段20は、受信機ID要求受信手段201と、受信機ID生成手段202と、受信機ID送信手段203と、を備える。
【0054】
受信機ID要求受信手段(受信機識別要求受信手段)201は、通信回線Nを経由して受信装置3から送信される受信機IDを発行する旨の要求(受信機ID要求)を、通信制御手段23を介して受信するものである。
この受信機ID要求受信手段201は、受信機ID要求を受信した際に、受信機ID要求を送信した受信装置3のアドレス(例えば、IPアドレス)とともに、認証手段22に、受信機ID要求を受信した旨を通知する。これによって、認証手段22が、受信機ID要求を受信した受信装置3との間で認証処理を実行する。
【0055】
受信機ID生成手段(受信機識別生成手段)202は、受信機IDを生成するものである。ここでは、受信機ID生成手段202は、認証手段22から、認証結果として、認証が成功した旨が通知された場合のみ、受信機IDを生成し、受信機ID送信手段203に出力する。
また、受信機ID生成手段202は、生成した受信機IDを外部に出力し、放送事業者が受信機IDを、別途図示を省略した記憶手段に記憶して管理する。例えば、放送事業者が、受信装置3の使用者(視聴者)から、電話、インターネット等によって受信機IDが通知され、受信契約を行った際に、受信機IDと、契約の有無を識別するグループを示す制御情報とを対応付けて管理する。
【0056】
なお、受信機ID生成手段202における受信機IDの生成手法は、受信機IDを重複して生成しなければ、どのような手法でも構わない。例えば、受信機ID生成手段202は、連続番号で順次受信機IDを生成する。また、例えば、受信機ID生成手段202は、乱数によって受信機IDを生成し、受信機IDを、図示を省略した記憶手段に記憶しておき、すでに生成した受信機IDが存在する場合は、再生成することとしてもよい。
【0057】
受信機ID送信手段(受信機識別送信手段)203は、受信機ID生成手段202で生成された受信機IDを、通信制御手段23を介して、受信機IDを要求した受信装置3に送信するものである。
【0058】
デバイス情報記憶手段21は、個々の受信装置3に予め記憶されている、受信装置3のデバイス固有の情報(デバイス情報)を記憶するもので、半導体メモリ、ハードディスク等の一般的な記憶媒体である。
このデバイス情報記憶手段21には、デバイス情報として、予め受信装置3のデバイスを特定するデバイスID(デバイス識別)と、デバイス鍵(暗号鍵)とが複数対応付けられて記憶されている。
【0059】
認証手段22は、受信機IDを要求した受信装置3との間で機器認証を行うものである。この認証手段22は、受信機IDを要求した受信装置3が正当な受信装置であるか否かを認証するとともに、受信装置3にとって、受信機IDの発行元(送信装置1)が正当な発行元であるか否かを認証する。
【0060】
ここでは、認証手段22は、認証情報要求送信手段221と、受信機認証情報受信手段222と、受信機認証手段223と、発行元認証情報生成手段224と、発行元認証情報送信手段225と、発行元認証結果受信手段226と、認証結果生成手段227と、を備える。
【0061】
認証情報要求送信手段221は、受信装置3に対して、受信装置3を認証するための情報(受信機認証情報)を要求するものである。この認証情報要求送信手段221は、受信機ID発行手段20(受信機ID要求受信手段201)から、受信機ID要求を受信した旨が通知されたタイミングで、受信機ID要求を送信した受信装置3に、通信制御手段23を介して、受信機認証情報の要求を送信する。
【0062】
なお、受信機認証情報は、受信装置3で生成され、当該受信装置3が正当な受信装置であることを示す情報である。この受信機認証情報は、受信装置3に予め記憶されているデバイスIDと、受信装置3で生成した乱数と、当該乱数を受信装置3に予め記憶されているデバイス鍵で暗号化した暗号化情報と、を含んだ情報である。
【0063】
受信機認証情報受信手段222は、受信装置3で生成された受信機認証情報を、通信制御手段23を介して受信するものである。この受信機認証情報受信手段222は、受信した受信機認証情報を受信機認証手段223に出力する。
【0064】
受信機認証手段223は、受信機認証情報受信手段222で受信した受信機認証情報を解析し、受信機認証情報を送信した受信装置3が正当な受信装置であるか否かを認証するものである。
具体的には、受信機認証手段223は、受信機認証情報に含まれている暗号化情報を、受信機認証情報に含まれているデバイスIDに対応して、デバイス情報記憶手段21に記憶されているデバイス鍵で復号する。そして、受信機認証手段223は、暗号化情報をデバイス鍵で復号した値と、受信機認証情報に含まれている乱数とが一致する場合、受信装置3が正当な受信装置であると認定する。一方、受信機認証手段223は、暗号化情報をデバイス鍵で復号した値と、受信機認証情報に含まれている乱数とが一致しない場合、受信装置3が正当な受信装置ではないと認定する。
この受信機認証手段223は、受信装置3の認証結果を認証結果生成手段227に出力する。
【0065】
また、受信機認証手段223は、受信装置3を正当であると認定した場合、受信機認証情報に含まれているデバイスIDを、発行元認証情報生成手段224に出力する。
なお、受信機認証手段223は、受信装置3を正当でないと認定した場合、図示を省略した受信機認証結果送信手段によって、その旨を、通信制御手段23を介して、受信装置3に通知することで、認証処理を終了することとする。
【0066】
発行元認証情報生成手段224は、受信装置3で受信機IDの発行元(ここでは、送信装置1)を認証するための情報(発行元認証情報)を生成するものである。
具体的には、発行元認証情報生成手段224は、受信機認証手段223から受信装置3が正当であると認定された後、乱数を生成し、受信機認証手段223から通知されたデバイスIDに対応する、デバイス情報記憶手段21に記憶されているデバイス鍵で乱数を暗号化することで暗号化情報を生成する。なお、暗号化情報を生成する暗号化方式は、例えば、共通鍵暗号方式のAES(Advanced Encryption Standard)等のアルゴリズムを利用することができる。
そして、発行元認証情報生成手段224は、生成した乱数と暗号化情報とを、発行元認証情報として、発行元認証情報送信手段225に出力する。
【0067】
発行元認証情報送信手段225は、受信機ID要求を送信した受信装置3に、通信制御手段23を介して、発行元認証情報生成手段224で生成された発行元認証情報を送信するものである。この発行元認証情報によって、受信装置3において、受信機IDを発行する発行元が、正当であるか否かを判定することが可能になる。
【0068】
発行元認証結果受信手段226は、受信装置3で認証された発行元の認証結果を、通信制御手段23を介して受信するものである。この発行元認証結果受信手段226は、受信した発行元の認証結果を認証結果生成手段227に出力する。
【0069】
認証結果生成手段227は、受信機認証手段223で認証された受信装置3の認証結果と、発行元認証結果受信手段226で受信した発行元の認証結果とから、受信機IDの発行元(送信装置1)と受信装置3との間の相互の認証結果を生成するものである。
すなわち、認証結果生成手段227は、受信装置3の認証結果と、発行元の認証結果との両方が共に正当であると認定した場合にのみ、認証に成功した旨を示す認証結果を生成し、それ以外では、認証に失敗した旨を示す認証結果を生成する。
この認証結果生成手段227は、生成した認証結果を、受信機ID発行手段20に出力する。
【0070】
通信制御手段23は、通信回線Nを介して、受信装置3との間で、通信データの送受信を行うものである。
【0071】
以上説明したように送信装置1を構成することで、送信装置1は、受信装置3が予め個別の識別子を保持していない場合であっても、受信装置3に受信機IDを付与することができる。また、送信装置1は、受信装置3との間で、デバイスIDやデバイス鍵を用いて機器認証を行うことで、不正な受信装置に対して受信機IDを付与することがなく、正当な受信装置3に対して、メッセージの表示制御を行うことができる。
【0072】
[受信装置の構成]
次に、
図5を参照(適宜
図1参照)して、本発明の実施形態に係る受信装置3の構成について説明する。
【0073】
受信装置3は、放送波Wを介して、コンテンツ(放送番組)を受信するものである。また、受信装置3は、放送波Wを介して送信される信号によって、映像上にテキスト文字をオーバーレイ表示する機能を有する。さらに受信装置3は、通信回線Nを介して、受信装置3を個別に特定するための受信機IDを取得する機能を有する。
【0074】
ここでは、受信装置3は、分離手段30と、コンテンツ受信手段31と、個別メッセージ情報処理手段32と、共通メッセージ情報処理手段33と、制御情報記憶手段34と、合成手段35と、通信制御手段40と、受信機ID取得手段41と、受信機ID記憶手段42と、受信機ID表示手段43と、認証手段44と、デバイス情報記憶手段45と、を備える。
【0075】
分離手段30は、送信装置1から送信された放送ストリーム(多重化信号;MPEG−2 TS)を分離するものである。この分離手段30は、MPEG−2 TSから、コンテンツと、個別メッセージ情報と、共通メッセージ情報と、を分離する。
【0076】
コンテンツ受信手段31は、分離手段30で分離抽出されたコンテンツを受信するものである。このコンテンツ受信手段31は、受信したMEPG−2等で符号化されているコンテンツを復号し、合成手段35に出力する。
なお、コンテンツ受信手段31は、スクランブル鍵でスクランブルしたコンテンツと、スクランブルした鍵の関連情報とともに受信し、限定受信方式によりコンテンツを復号するものであってもよい。
【0077】
個別メッセージ情報処理手段(メッセージ受信手段)32は、分離手段30で分離抽出された、受信装置3に対する個別に配信された情報(個別メッセージ情報)を受信するものである。より具体的には、個別メッセージ情報処理手段32は、複数の個別メッセージ情報を含んだEMM個別メッセージから、自身の受信装置3宛ての情報を受信する。
この個別メッセージ情報は、送信装置1の個別メッセージ情報生成手段11(
図2参照)で生成された情報であって、受信機IDに制御情報を対応付けた情報である(
図3(a)参照)。
【0078】
この個別メッセージ情報処理手段32は、EMM個別メッセージから、受信機ID記憶手段42に記憶されている受信機IDに対応する個別メッセージ情報を抽出し、抽出した個別メッセージ情報に含まれている制御情報を制御情報記憶手段34に書き込み記憶する。また、個別メッセージ情報に個別メッセージテキストが含まれている場合(
図3(b)参照)、個別メッセージ情報処理手段32は、制御情報とともに、個別メッセージテキストを制御情報記憶手段34に書き込み記憶する。
【0079】
なお、受信機ID記憶手段42には、予め受信機IDは記憶されておらず、後記する受信機ID取得手段41によって、受信機IDが書き込まれた後、個別メッセージ情報処理手段32が、個別メッセージ情報を受信する。
【0080】
共通メッセージ情報処理手段(メッセージ受信手段)33は、分離手段30で分離抽出された、受信装置3,3,…に対して共通に配信された情報(共通メッセージ情報)を受信するものである。より具体的には、共通メッセージ情報処理手段33は、EMM共通メッセージで共通メッセージ情報を受信する。
この共通メッセージ情報は、送信装置1の共通メッセージ情報生成手段12(
図2参照)で生成された情報であって、制御情報にメッセージテキストを対応付けた情報である(
図4(a)参照)。
【0081】
この共通メッセージ情報処理手段33は、共通メッセージ情報に含まれている制御情報と、制御情報記憶手段34に記憶されている制御情報とが一致する場合だけ、共通メッセージ情報に含まれているメッセージテキスト(共通メッセージテキスト)を合成手段35に出力する。また、共通メッセージ情報にテキスト表示位置が含まれている場合(
図4(b)参照)、共通メッセージ情報処理手段33は、メッセージテキストとともに、テキスト表示位置を合成手段35に出力する。
【0082】
また、共通メッセージ情報処理手段33は、制御情報記憶手段34に、個別メッセージテキストが記憶されている場合、共通メッセージテキストとともに、個別メッセージテキストを、合成手段35に出力することとしてもよい。
なお、制御情報記憶手段34に記憶されている制御情報が、メッセージの消去を示す予め定めた値(例えば、0x0000)であった場合、共通メッセージ情報処理手段33は、合成手段35へのメッセージテキストの出力は行わないこととする。
【0083】
制御情報記憶手段34は、個別メッセージ情報処理手段32で受信した制御情報を記憶するものである。例えば、この制御情報記憶手段34は、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。この制御情報記憶手段34に記憶された制御情報は、共通メッセージ情報処理手段33によって参照される。
【0084】
合成手段35は、コンテンツにメッセージテキストを合成して、コンテンツの映像上に、メッセージをオーバーレイ表示させるものである。ここでは、合成手段35は、コンテンツ受信手段31で受信したコンテンツの映像上の予め定めた位置に、適宜、共通メッセージ情報処理手段33から出力されるメッセージテキストを合成する。なお、共通メッセージ情報でテキスト表示位置が指定されている場合は、合成手段35は、指定された表示位置にメッセージテキストをオーバーレイ表示させることとする。
このように、合成手段35は、図示を省略した表示装置にコンテンツを出力する際に、メッセージテキストが入力された場合、当該メッセージテキストをコンテンツに合成して表示装置に出力する。
【0085】
通信制御手段40は、通信回線Nを介して、送信装置1との間で、通信データの送受信を行うものである。
【0086】
受信機ID取得手段(受信機識別取得手段)41は、送信装置1から、受信機IDを取得するものである。ここでは、受信機ID取得手段41は、受信機ID要求送信手段411と、受信機ID受信手段412と、を備える。
【0087】
受信機ID要求送信手段(受信機識別要求送信手段)411は、通信制御手段40を介して、送信装置1に対して、受信機IDの要求(受信機ID要求)を送信するものである。
この受信機ID要求送信手段411は、受信機ID記憶手段42に受信機IDが記憶されているかを検出し、受信機IDが記憶されていない場合に、送信装置1に受信機ID要求を送信する。ここで、受信機ID要求送信手段411が動作するタイミングは、例えば、受信装置3の起動時(電源ON時)とする。なお、通信回線Nに接続されていない等、通信不可の場合、受信機ID要求送信手段411は、通信接続が可能となったタイミングで、受信機ID要求を送信する。
【0088】
受信機ID受信手段(受信機識別受信手段)412は、通信制御手段40を介して、送信装置1から、受信機IDを受信するものである。この受信機ID受信手段412は、受信した受信機IDを受信機ID記憶手段42に書き込む。
なお、受信機ID受信手段412は、後記する認証手段44によって、送信装置1が、正当な受信機IDの発行元であると認証されなかった場合、受信機IDを受信しても、受信機ID記憶手段42への書き込みは行わないこととする。
【0089】
受信機ID記憶手段(受信機識別記憶手段)42は、受信装置3を個別に識別する識別子である受信機IDを記憶するものである。例えば、この受信機ID記憶手段42は、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。
なお、受信機ID記憶手段42は、当初(製造時)、受信機IDを記憶しておらず、受信機ID取得手段41が受信機IDを取得した後に書き込まれる。
【0090】
受信機ID表示手段(受信機識別表示手段)43は、受信機ID記憶手段42に記憶されている受信機IDを、表示画面上に表示させるものである。この受信機ID表示手段43は、例えば、リモコン装置等の入力手段(図示せず)によって、初期設定画面の表示を指示されることで、受信機ID記憶手段42から受信機IDを読み出し、初期設定画面内の予め定めた領域に、受信機IDの値をテキストデータ(10進数の数字等で表現した文字列)として表示する。
この画面上に表示された受信機IDは、視聴者が、電話、インターネット等によって、氏名等の個人情報とともに放送事業者に通知することとする。これによって、放送事業者と視聴者との間で受信契約等がなされることになる。
【0091】
認証手段44は、受信機IDを発行する発行元(送信装置1)との間で機器認証を行うものである。この認証手段44は、受信装置3が正当な受信装置であることで発行元に認証させるとともに、受信機IDの発行元が正当な発行元であるか否かを認証する。
【0092】
ここでは、認証手段44は、認証情報要求受信手段441と、受信機認証情報生成手段442と、受信機認証情報送信手段443と、発行元認証情報受信手段444と、発行元認証手段445と、発行元認証結果送信手段446と、を備える。
【0093】
認証情報要求受信手段441は、通信制御手段40を介して、送信装置1から、受信装置3を認証するための情報(受信機認証情報)の要求を受信するものである。この認証情報要求受信手段441は、要求を受信した旨を受信機認証情報生成手段442に通知する。
【0094】
受信機認証情報生成手段442は、受信機IDの発行元(送信装置1)で受信装置3を認証するための情報(受信機認証情報)を生成するものである。
具体的には、受信機認証情報生成手段442は、認証情報要求受信手段441から受信機認証情報の要求を受信した旨が通知された後、乱数を生成し、デバイス情報記憶手段45に記憶されているデバイス鍵で乱数を暗号化することで暗号化情報を生成する。なお、暗号化情報を生成する暗号化方式は、例えば、共通鍵暗号方式のAES等のアルゴリズムを利用することができる。
そして、受信機認証情報生成手段442は、デバイス情報記憶手段45に記憶されているデバイスIDと、生成した乱数および暗号化情報とを、受信機認証情報として、受信機認証情報送信手段443に出力する。
【0095】
受信機認証情報送信手段443は、受信機認証情報生成手段442で生成された受信機認証情報を、通信制御手段40を介して、送信装置1に送信するものである。これによって、送信装置1において、受信装置3が正当な受信装置であるか否かを判定することが可能になる。
【0096】
発行元認証情報受信手段444は、送信装置1で生成された、受信機IDの発行元を認証するための情報(発行元認証情報)を、通信制御手段40を介して受信するものである。この発行元認証情報受信手段444は、受信した発行元認証情報を発行元認証手段445に出力する。
【0097】
発行元認証手段445は、発行元認証情報受信手段444で受信した発行元認証情報を解析し、発行元認証情報を送信した送信装置1が正当な受信機IDの発行元であるか否かを認証するものである。
具体的には、発行元認証手段445は、発行元認証情報に含まれている暗号化情報を、デバイス情報記憶手段45に記憶されているデバイス鍵で復号する。そして、発行元認証手段445は、暗号化情報をデバイス鍵で復号した値と、発行元認証情報に含まれている乱数とが一致する場合、送信装置1が正当な発行元であると認定する。一方、発行元認証手段445は、暗号化情報をデバイス鍵で復号した値と、発行元認証情報に含まれている乱数とが一致しない場合、送信装置1が正当な発行元ではないと認定する。
この発行元認証手段445は、発行元の認証結果を発行元認証結果送信手段446に出力するとともに、受信機ID取得手段41に出力する。
【0098】
発行元認証結果送信手段446は、発行元認証手段445で認証された発行元の認証結果を、通信制御手段40を介して送信するものである。
【0099】
デバイス情報記憶手段45は、受信装置3のデバイス固有の情報(デバイス情報)を記憶するもので、半導体メモリ、ハードディスク等の一般的な記憶媒体である。このデバイス情報記憶手段45には、デバイス情報として、予め受信装置3のデバイスを特定するデバイスID(デバイス識別)と、デバイス鍵(暗号鍵)とが記憶されている。
【0100】
ここで、デバイスIDとは、受信装置3のメーカーごと、機種ごと、製造のロットごと等の予め定めた区分(デバイス)で識別(管理)される識別子をいう。すなわち、デバイスIDは、個々の受信装置3を特定するものではなく、メーカー等のある一定の区分を示す識別子である。また、デバイス鍵は、デバイスIDによって特定される暗号鍵であって、デバイスIDと同様に、メーカー等のある一定の区分で共通の情報である。
【0101】
以上説明したように受信装置3を構成することで、受信装置3が予め個別の識別子を保持していない場合であっても、送信装置1から受信機IDを取得することができる。また、受信装置3は、送信装置1との間で、デバイスIDやデバイス鍵を用いて機器認証を行うことで、正当な送信装置1から受信機IDを取得して、メッセージの表示制御を行うことができる。
【0102】
なお、受信装置3は、コンピュータを前記した各手段として機能させるためのプログラム(デジタル放送受信プログラム)で動作させることができる。このデジタル放送受信プログラムは、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)上で動作させることもできる。
【0103】
[メッセージ表示システムの動作]
次に、
図6〜
図8を参照して、メッセージ表示システムSの動作について説明する。なお、コンテンツの送受信動作については、一般的な動作であるため、ここでは説明を省略する。
【0104】
〔受信機ID発行動作〕
最初に、
図6を参照(適宜
図1,
図2,
図5参照)して、送信装置1から受信装置3に対して、受信機IDを発行する動作について説明する。
まず、受信装置3は、受信機ID記憶手段42に受信機IDが記憶されていない場合、受信機ID取得手段41の受信機ID要求送信手段411によって、通信制御手段40を介して、送信装置1に対して、受信機IDの要求(受信機ID要求)を送信する(ステップS10)。
【0105】
一方、送信装置1は、受信機ID発行手段20の受信機ID要求受信手段201によって、通信制御手段23を介して、受信機ID要求を受信する(ステップS11)。
その後、送信装置1および受信装置3は、認証手段22および認証手段44によって、認証処理を行う(ステップS12,S13)。
【0106】
この認証処理の動作については、
図7を参照して、詳細に説明する。
図7に示すように、まず、送信装置1は、認証手段22の認証情報要求送信手段221によって、受信装置3に受信機認証情報の要求(認証情報要求)を送信する(ステップS20)。そして、受信装置3は、認証手段44の認証情報要求受信手段441によって、認証情報要求を受信する(ステップS21)。
【0107】
その後、受信装置3は、受信機認証情報生成手段442によって、受信機認証情報を生成する(ステップS22)。すなわち、受信機認証情報生成手段442が、乱数(乱数A)を生成するとともに、デバイス情報記憶手段45に記憶されているデバイス鍵で乱数Aを暗号化する。そして、受信機認証情報生成手段442が、デバイス情報記憶手段45に記憶されているデバイスIDと、生成した乱数Aおよび暗号化情報とからなる受信機認証情報を生成する。
そして、受信装置3は、受信機認証情報送信手段443によって、ステップS22で生成した受信機認証情報を、送信装置1に送信する(ステップS23)。
【0108】
一方、送信装置1は、認証手段22の受信機認証情報受信手段222によって、受信装置3から送信された受信機認証情報を受信する(ステップS24)。
その後、送信装置1は、受信機認証手段223によって、受信機認証情報に含まれている暗号化情報を、受信機認証情報に含まれているデバイスIDに対応して、デバイス情報記憶手段21に記憶されているデバイス鍵で復号する(ステップS25)。
【0109】
そして、受信機認証手段223は、ステップS25で復号された値が、受信機認証情報に含まれている乱数(乱数A)と一致するか否かを判定する(ステップS26)。
ここで、復号した値と乱数Aとが一致する場合(ステップS26でYes)、受信機認証手段223は、受信装置3を正当な受信装置と認定する(ステップS27)。一方、復号した値と乱数Aとが一致しない場合(ステップS26でNo)、受信機認証手段223は、受信装置3を不当な受信装置と認定する(ステップS28)。
なお、ここでは、ステップS28の後、動作を継続しているが、受信装置3を不当な受信装置と認定した場合、送信装置1は、その旨を受信装置3に通知することで、認証処理を終了することとする。
【0110】
そして、送信装置1は、発行元認証情報生成手段224によって、発行元認証情報を生成する(ステップS29)。すなわち、発行元認証情報生成手段224が、乱数(乱数B)を生成するとともに、ステップS24で受信した受信機認証情報に含まれているデバイスIDに対応する、デバイス情報記憶手段21に記憶されているデバイス鍵で乱数Bを暗号化する。そして、発行元認証情報生成手段224が、生成した乱数Bおよび暗号化情報とからなる発行元認証情報を生成する。
そして、送信装置1は、発行元認証情報送信手段225によって、ステップS29で生成した発行元認証情報を、受信装置3に送信する(ステップS30)。
【0111】
一方、受信装置3は、認証手段44の発行元認証情報受信手段444によって、送信装置1から送信された発行元認証情報を受信する(ステップS31)。
その後、受信装置3は、発行元認証手段445によって、発行元認証情報に含まれている暗号化情報を、デバイス情報記憶手段45に記憶されているデバイス鍵で復号する(ステップS32)。
【0112】
そして、発行元認証手段445は、ステップS32で復号された値が、発行元認証情報に含まれている乱数(乱数B)と一致するか否かを判定する(ステップS33)。
ここで、復号した値と乱数Bとが一致する場合(ステップS33でYes)、発行元認証手段445は、送信装置1を正当な発行元と認定する(ステップS34)。一方、復号した値と乱数Bとが一致しない場合(ステップS33でNo)、発行元認証手段445は、送信装置1を不当な発行元と認定する(ステップS35)。
そして、受信装置3は、発行元認証結果送信手段446によって、発行元の認証結果を、送信装置1に送信する(ステップS36)。
【0113】
そして、送信装置1は、発行元認証結果受信手段226によって、受信装置3から、発行元の認証結果を受信する(ステップS37)。そして、認証手段22の認証結果生成手段227によって、ステップS26で判定された認証結果と、ステップS37で受信した認証結果とにより、発行元(送信装置1)と受信装置3とが双方とも正当であると認定された場合に、認証に成功した旨の認証結果を生成する(ステップとして図示せず)。
以上の一連の動作によって、送信装置1および受信装置3の機器認証を終了する。
図6に戻って、受信機ID発行動作について説明を続ける。
【0114】
認証処理(ステップS12,S13)を行った後、送信装置1は、認証手段22における認証が成功した場合(ステップS14でYes)、受信機ID発行手段20の受信機ID生成手段202によって、受信機IDを生成する(ステップS15)。そして、送信装置1は、受信機ID送信手段203によって、ステップS15で生成した受信機IDを、受信装置3に送信する(ステップS16)。なお、認証手段22における認証が失敗した場合(ステップS14でNo)、送信装置1は、受信機IDの発行を行わずに処理を終了する。
【0115】
一方、受信装置3は、受信機ID取得手段41の受信機ID受信手段412によって、ステップS16で送信装置1から送信された受信機IDを受信し(ステップS17)、受信した受信機IDを受信機ID記憶手段42に書き込み記憶する(ステップS18)。
なお、ここでは、図示を省略しているが、受信装置3は、ステップS13における認証処理で、発行元(送信装置1)を正当でないと認定した場合は、受信機IDの受信を行わず処理を終了することとする。
以上の動作によって、送信装置1は、受信装置3を個別に識別する識別子を有さない受信装置3に対して、安全に受信機IDを発行することができる。
【0116】
〔メッセージ表示動作〕
次に、
図8を参照(適宜
図1,
図2,
図5参照)して、送信装置1から受信装置3に対してメッセージを表示させるメッセージ表示動作について説明する。
なお、
図6で説明した受信機ID発行動作によって発行された受信機IDは、予め、放送事業者によって管理されているものとする。例えば、放送事業者は、受信装置3の使用者(視聴者)から、電話、インターネット等によって受信機IDが通知され、受信機IDと、契約の有無を識別するグループを示す制御情報とを対応付けて管理しているものとする。ここでは、動作の一例として、契約を行っていない受信装置3に、メッセージを表示させる動作について説明する。
【0117】
まず、送信装置1は、個別メッセージ情報生成手段11によって、個別の受信装置3ごとに、受信機IDを宛先とし、受信装置3が属する予め定めたグループ(ここでは、契約を行っていないグループ)を示す制御情報をメッセージの内容とする個別メッセージ情報をEMM個別メッセージとして生成する(ステップS40)。そして、送信装置1は、多重化手段13によって、ステップS40で生成した個別メッセージ情報(EMM個別メッセージ)を放送ストリームに多重化して送信する(ステップS41)。
【0118】
一方、受信装置3は、分離手段30によって放送ストリームを分離し、個別メッセージ情報処理手段32によって、EMM個別メッセージから、受信機ID記憶手段42に記憶されている受信機IDに対応する個別メッセージ情報を受信する(ステップS42)。そして、受信装置3は、個別メッセージ情報処理手段32によって、個別メッセージ情報に含まれている制御情報を制御情報記憶手段34に書き込み記憶する(ステップS43)。これによって、個々の受信装置3は、制御情報で特定される値によって、グループ分けされることになる。
【0119】
次に、送信装置1は、共通メッセージ情報生成手段12によって、各受信装置3に対して共通に配信するメッセージとして、メッセージを表示させたいグループを示す制御情報を宛先とし、表示させたいメッセージテキストの文字列(テキストコード)をメッセージの内容とする共通メッセージ情報をEMM共通メッセージとして生成する(ステップS44)。そして、送信装置1は、多重化手段13によって、ステップS44で生成した共通メッセージ情報(EMM共通メッセージ)を放送ストリームに多重化して送信する(ステップS45)。
【0120】
一方、受信装置3は、分離手段30によって放送ストリームを分離し、共通メッセージ情報処理手段33によって、EMM共通メッセージとして、共通メッセージ情報を受信する(ステップS46)。そして、受信装置3は、共通メッセージ情報処理手段33によって、共通メッセージ情報に含まれている制御情報と、制御情報記憶手段34に記憶されている制御情報とが一致するか否かを判定する(ステップS47)。
【0121】
ここで、制御情報が一致する場合(ステップS47でYes)、受信装置3は、合成手段35によって、ステップS46で受信した共通メッセージ情報に含まれているメッセージテキスト(共通メッセージテキスト)を、コンテンツ受信手段31で受信したコンテンツに合成する(ステップS48)。
一方、制御情報が一致ない場合(ステップS47でNo)、合成手段35は、コンテンツへのメッセージテキストの合成を行わず、そのままコンテンツを出力する。
以上の動作によって、送信装置1は、制御情報で特定するグループごとに、メッセージの表示を制御することができる。
【0122】
以上説明したように、メッセージ表示システムSは、受信装置3が個々の受信装置3を識別するための識別子を持っていない場合であっても、デバイスIDやデバイス鍵といったデバイス単位の情報によって、機器認証を行うことで、送信装置1から、重複のない安全な受信機IDを受信装置3に付与することができる。
【0123】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
例えば、ここでは、送信装置1内に識別子発行装置2を備える構成としたが、識別子発行装置2は、送信装置1と分離して、識別子発行サーバとして構成しても構わない。
【0124】
また、ここでは、送信装置1は、受信装置3との間で機器認証を行い、双方の認証が成功した場合に、受信機IDを発行することとした。しかし、送信装置1は、受信装置3の正当性を認証しただけで、受信機IDを発行する簡易な構成としても構わない。
その場合、
図2の送信装置1の認証手段22における発行元認証情報生成手段224、発行元認証情報送信手段225および発行元認証結果受信手段226と、
図5の受信装置3の認証手段44における発行元認証情報受信手段444、発行元認証手段445、発行元認証結果送信手段446とを、それぞれの構成から省略することができる。
【0125】
また、ここでは、送信装置1は、受信装置3から受信機ID要求を受信したタイミングで、受信装置3に対して認証情報(受信機認証情報)を要求した。しかし、受信装置3が受信機IDを要求する際に、併せて受信機認証情報を通知することとしても構わない。
その場合、送信装置1は、
図2の送信装置1の認証手段22において、認証情報要求送信手段221と受信機認証情報受信手段222とを構成から省略し、受信機ID要求受信手段201が、受信機ID要求と併せて受信した受信機認証情報を受信機認証手段223に出力することとすればよい。また、その場合、受信装置3は、
図5の受信装置3の認証手段44において、認証情報要求受信手段441と受信機認証情報送信手段443とを構成から省略し、受信機ID要求送信手段411が、受信機認証情報生成手段442に受信機認証情報を生成する旨を指示し、受信機ID要求を送信する際に、併せて受信機認証情報を送信すればよい。