特許第6227466号(P6227466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227466
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置および検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20171030BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01B15/00 K
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-82640(P2014-82640)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-203614(P2015-203614A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦子
(72)【発明者】
【氏名】井上 修
(72)【発明者】
【氏名】川田 洋揮
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−133378(JP,A)
【文献】 特開2014−72226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源と、
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料を載置する試料台と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料台に載置された前記試料へ照射する照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出された二次荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記二次荷電粒子の信号に基づいて得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する算出部と、
前記複数のライン状パターンにおける前記ラインエッジラフネス値同士を比較し、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定する判定部と、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記試料は、前記第一パターンに対して2本の前記第二パターンが形成され、更に、前記第二パターンに対してそれぞれ2本ずつ形成された合計4本のライン状パターンを有し、
前記判定部は、前記4本のラインにおける前記ラインエッジラフネス値の大きさを比較したとき、順に小中大中中大中小であった場合、前記イニシャルコアはラインエッジラフネス値が中中となるラインエッジで挟まれた位置にあることを判定することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記判定部は、前記ライン状パターンがポジ型プロセスで形成された場合、前記イニシャルコアがスペース部に位置すると判定することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記判定部は、前記ライン状パターンがネガ型プロセスで形成された場合、前記イニシャルコアがライン部に位置すると判定することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記イニシャルコアの位置を基準として、予め定められた位置にある二つのエッジの距離を算出するエッジ算出部を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記表示部は、前記第一パターンの幅、或いは前記イニシャルコアの幅と前記イニシャルコアを挟んで両側に配置されるライン或いはスペースの幅を合計した値を表示することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
荷電粒子源と
層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料を載置する試料台と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料台に載置された前記試料へ照射する照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出された二次荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記二次荷電粒子の信号に基づいて得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のスペースの左右のエッジ形状の類似度を算出する算出部と、
前記ライン状のパターンまたは前記スペースにおける左右のエッジ形状の類似度に基づき、前記第一パターンの両側に形成された前記第二パターンであるセカンドコアの位置を判定する判定部と、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項7記載の荷電粒子線装置において、
前記判定部は、
前記セカンドコアの位置に基づいて、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項8記載の荷電粒子線装置において、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する算出部を有し、
前記判定部は、前記複数のライン状パターンにおける前記ラインエッジラフネス値同士を比較し、前記比較した結果と、前記複数のライン状パターンにおいて実測された前記ラインエッジラフネス値との相関値を求め、前記イニシャルコアの位置を判定することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項9記載の荷電粒子線装置において、
前記表示部は、前記イニシャルコアの位置と前記相関値とを表示することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項11】
荷電粒子源と、
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料を載置する試料台と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料台に載置された前記試料に照射する照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出された二次荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記二次荷電粒子の信号に基づいて得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記複数のライン状パターンのスペースを挟んで隣接するエッジの凹凸形状の類似度或いは隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンに対してライン中心位置のライン長手方向に沿った変動を算出することによりラインの中心変動として隣接するラインの中心変動の形状の類似度を算出する類似度算出部と、
前記エッジの凹凸形状の類似度または前記ラインの中心変動の形状の類似度に基づき、
最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置を判定する位置判定部と、
隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する、ラフネス値算出部と、
前記最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置および前記ラインエッジラフネス値に基づき、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定するイニシャルコア判定部と、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項12】
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料へ荷電粒子線を照射し得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する算出部と、
前記複数のライン状パターンにおける前記ラインエッジラフネス値同士を比較し、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定する判定部と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項13】
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料へ荷電粒子線を照射し得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のスペースの左右のエッジ形状の類似度を算出する算出部と、
前記ライン状のパターンまたは前記スペースにおける左右のエッジ形状の類似度に基づき、前記第一パターンの両側に形成された前記第二パターンであるセカンドコアの位置を判定する判定部と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項14】
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料へ荷電粒子線を照射し得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記複数のライン状パターンのスペースを挟んで隣接するエッジの凹凸形状の類似度或いは隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンに対してライン中心位置のライン長手方向に沿った変動を算出することによりラインの中心変動として隣接するラインの中心変動の形状の類似度を算出する類似度算出部と、
前記エッジの凹凸形状の類似度または前記ラインの中心変動の形状の類似度に基づき、
最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置を判定する位置判定部と、
隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する、ラフネス値算出部と、
前記最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置および前記ラインエッジラフネス値に基づき、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定するイニシャルコア判定部と、
有することを特徴とする検査装置。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れか1項に記載の検査装置において、
前記ライン状パターンまたは前記ライン状パターンのスペースの幅を算出することを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、パターンの代表寸法(Critical dimension、以下CDと記す)が30nm以下となり、よりピッチの小さいパターンを形成する新技術が導入されている。代表的なものは、Self-aligned double patterning(SADP)と呼ばれるプロセスである。従来のリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、全体に膜を形成し、エッチングを施してレジストパターン側壁にパターンを形成する、という手法である。これにより、最初のリソグラフィで作成したパターンのピッチの半分のピッチの密集パターンを形成することができる。さらに近年は、SADPで形成したパターンに対して膜堆積を行い、エッチングを施してピッチを分割するという方法、いわばSADPを2回行う、Self-aligned quadruple patterning(SAQP)と呼ばれるプロセスが開発された。この手法の例を図1に示す。図1はSAQPを用いて微細なライン&スペースを形成する工程を説明するためのパターンの断面模式図である。図1(a)〜図1(f)が1回目のSADPでラインパターンを形成する工程を示しており、図1(g)〜図1(i)が2回目のSADPでラインパターンを形成する工程を示している。先ず、下から順に積層されたシリコン酸化膜126、シリコン窒化膜125、シリコン酸化膜124、カーボン膜123、反射防止膜122上にライン状にパターニングされたレジスト層121を形成する(図1(a))。次に、レジスト層121を覆うようにシリコン酸化膜131を形成する(図1(b))。なお、レジスト層121は図面上では1本であるが、実際には多数本が形成されている。次いで、シリコン酸化膜131を異方性エッチングすることにより、レジスト層121の両サイドにライン状のシリコン酸化膜131を形成する(図1(c))。次いで、レジスト層121をアッシング等で除去する(図1(d))。次に、ライン状のシリコン酸化膜131をマスクとして反射防止膜122及びカーボン膜123の積層膜をエッチング異方性エッチングすることによりライン状の積層膜を形成する(図1(e))。次いで、反射防止膜122を除去する(図1(f))。これにより、最初のリソグラフィで作成したパターンのピッチの半分のピッチの密集パターンを形成することができる。
【0003】
引き続き、ライン状のカーボン膜123を覆ってシリコン酸化膜141を形成後、異方性ドライエッチングによりシリコン酸化膜141をエッチングすることにより、カーボン膜123の両サイドにライン状のシリコン酸化膜141を形成する(図1(g))。次に、カーボン膜123を除去する(図1(h))。次いで、シリコン酸化膜141をマスクとして異方性エッチングを行うことにより、ライン状のシリコン酸化膜124とシリコン窒化膜125との積層膜を形成する(図1(i))。これにより、SADPで形成したパターンに対してさらにピッチを分割することができる。なお、上記材料は1例であり上記材料に限定されない。
【0004】
図1(i)は最終的なパターン形状であるが、さらにラインのトップに残っているエッチングマスク材料を除去した後にパターン検査を行う可能性もある。ここで、符号1,2,3は最終形状におけるスペース部分をさしている。また、符号101から108は着目すべきラインパターンのエッジをさしている。
【0005】
SAQPでは最初に従来のリソグラフィで形成された1本のラインが最終的に4本のラインになる。そのため、並んだラインパターンやスペースパターンの性質(CDやエッジの凹凸の様子)はライン、スペースとも4本を周期として変動する。
【0006】
なお、以下では、SAQPで形成された最終的なライン&スペース形状のスペース群のうち、そのスペースの中心が最初のリソグラフィで形成されたレジストラインパターンの中心に相当するもの(マンドレル:図1中の符号1で示すスペース部)を、ここではイニシャルコアと呼ぶことにする。これに対して、最初のレジストパターン側壁の外側に堆積された膜が最終的にスペースとなった部分をセカンドコアと定義(図1中の符号2で示すスペース部)、さらにこれらいずれでもないスペースをギャップ(図1中の符号3で示すスペース部)と定義する。
【0007】
SAQPで作成された密集ラインパターンには、他の方法を用いた場合には見られなかった、システマティックな、即ちランダムでない、寸法変動が生じる可能性がある。この典型的な様子を図2及び3に示す。図2は最後に形成したラインパターンのCDが均一でない場合である。図2のように太いラインと細いラインが互い違いになる現象は、製膜時に異方性をもった膜堆積が起こった場合に見られることがある。図3は、スペースCDが均一でない場合である。これはさまざまな原因が考えられるが、後述する。通常のウエハ管理者はラインパターンの寸法に注目しているが、この場合はラインパターンの寸法が正しくできていても、ラインの位置がずれてしまうことになる。
【0008】
SAQPに限らず、一般に微細なパターンの検査には、測長機能を有する走査型電子顕微鏡(Critical dimension scanning electron microscope、以下CD-SEMと記す)が用いられてきた。その理由は、高い倍率と高い計測再現性である。さらに近年、単純なCDやピッチ測定だけでなく、画像に写っているパターンの出来ばえを評価する指標が提案され、CD-SEMの機能は増えている。そのような機能を用いれば、リソグラフィで作成したパターンのCDが大きいことから、露光量が不足していることを指摘できたり、ラインエッジの細かい凹凸(Line-edge roughness、以下LERと記す)が大きいことから、露光装置のフォーカス設定が正常でない可能性を指摘できたり、あるいは画面内の複数パターンの寸法を短時間で次々に算出できたり、するようになった。また、精度が向上し、20nm以下のCD値に対しても充分な感度をもつようになってきている。そのため量産現場では、CD-SEMはパターン形成プロセスの問題点を推定するための重要なツールとなってきた。
【0009】
しかし上記のSAQPプロセスではこれまで以上にCD-SEMによる検査が重要で、かつ、難しい。重要になる理由は、最終的なパターンを形成するまでに、通常のリソグラフィ即ち露光と現像、2回の製膜、2回のエッチング、2回のコアパターン除去など複数の工程を経ている点にある。これまでの単純なリソグラフィではCDが目標値からずれる現象が見られた場合は、露光工程の条件を調べればよかった。またSADPであっても露光と現像、製膜、エッチング、コアパターン除去はそれぞれ1回である。SAQPでは、工程数が多いため、寸法異常が起こりやすい。また、検査が難しい理由は、最終パターンを得るまでの工程数が多いため、複数のプロセスの問題が関係した寸法異常が起こることにある。寸法検査では、単に寸法異常を検出するだけでなく、異常の原因となった工程を特定するための手がかりを得る必要がある。複数の工程が関係した結果のパターンデータから、問題点を指摘するための指標やアルゴリズムが必要になる。
【0010】
また、SAQPプロセスでは寸法異常の検知、問題工程の推定のほかに、重ね合わせずれの問題もある。図3に示したようにスペースCDのばらつきがあるということは、下記の問題が生じる。最初のレジストパターン形成時のパターン位置が設計どおりであった場合、即ち下層のパターンに対して適切な位置に形成できた場合、層間の重ね合わせ量は充分小さいと判断し、この重ね合わせずれによる素子性能の劣化は小さいと期待する。しかしSAQPの結果としてラインパターン位置がずれてしまうため、個々のパターンと下層ないしは上層パターンとの位置のずれは大きくなっている。この重ね合わせずれは、パターン露光のときには認識されていないため、予想しなかった素子の不良を招く可能性がある。しかし、これを検知する方法はまだ見出されていない。
【0011】
上に述べた難しいが重要なSAQPパターンの寸法検査方法を構築するためには、二つの技術が必要である。第一には、同じように見えるが違うプロセスで形成されているラインパターン、スペースパターンを見分ける技術である。それには、いずれも同じに見える4種類のスペースパターンのうち、最初のレジストパターンが占めていた位置にあるもの、即ちイニシャルコアがどこに相当するのか、を特定すればよい。第二には、イニシャルコアの特定の後に、最初のリソグラフィ、2回の製膜などの各工程の異常に対応している指標を算出したり、実質的な重ね合わせずれ量を算出したりすることである。
【0012】
第一の技術の実現方法として最も単純なものは、撮像範囲を広くとり、1画像の中にラインパターン群の端をおさめる、というやり方である。しかしこの方法をとると、画像1枚の撮像範囲に入りきらない領域は検査できない。通常デバイス作成で重要になるのはパターン群の中央近傍であり、ラインパターン群の端から遠い領域の検査は必須である。画像のサイズを広げるという方法が考えられるがそれを実現するにはハードウエアの改良が必要となる。また、広い範囲を精確に撮像するには時間がかかるためスループットが低下したり、画像を保存するために大きな記憶領域が必要になったりするというデメリットもある。従って、ラインパターン群の端が含まれないCD-SEM画像から、そのコア位置を特定する方法が必要である。
【0013】
SADPパターンの場合には、特許文献1に示す方法が提案されている。SAQPの場合には、スペースパターンにイニシャルコア、セカンドコア、ギャップ、の3種類があったが、SADPの場合にはコアとギャップのみである。特許文献1では、コアの外側に膜を堆積させて形成したエッジ、即ちギャップを挟むエッジは、コア領域の左右のエッジに比べて凹凸が小さくなるという現象を利用している。エッジの凹凸即ちラインエッジラフネスをエッジごとに計算し、スペースの左右のエッジを組にして組に属するエッジのLERの平均を出し、LER値が大きいエッジの組はコアに属していると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表2012−519391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明者等は、特許文献1の方法のSAQPへの適用の可能性について検討を行った。その結果、この方法をSAQPに適用することは原理的には可能であると思われた。しかし、本方法についてさらに詳細に検討した結果、判断の信頼性が劣化するという問題が判明した。
【0016】
以下発明者の検討した内容について説明する。図1に示すようにSAQPを用いてパターンを作製した場合、ラインの断面形状は2回目の製膜とエッチングとで決定する。特許文献1の方法を適用するときの課題を以下図中のラインのエッジに番号を振って説明する。特許文献1では、コアパターンの左右に膜を堆積したときの、膜表面に相当する新しいエッジと、元のパターンの側壁に相当するエッジとで差ができるため、スペースごとにエッジの性質を平均して算出する。エッジの性質として、エッジに相当する信号形状が上げられているが図1(i)のパターンから得られる信号の形状を考えると、エッジ101とエッジ104、エッジ105とエッジ108は同じ信号形状を与えることになってしまう。従って、イニシャルコアのスペースのエッジであるエッジ104、105とギャップ側にあるエッジ101、108の区別はつかず、セカンドコアが同定できるのみにとどまる。
【0017】
次にエッジの性質として特許文献1にあるLERを用いた場合を考えてみる。製膜のたびにLERが小さく転写されると考えると、図1(i)において最初のリソグラフィで形成されたエッジが転写された結果であるエッジ103及び106のLERに比べて、その次の1回目の製膜で形成されたものが転写された結果であるエッジ102、107はより小さいLERをもつ。さらに2回目の製膜で形成されたエッジ101及び108はエッジ102、107より小さいLERを持ち、エッジ104及び105はエッジ103及び106より小さいLERを持つことになる。特許文献1にあるようにスペースに注目し、スペースを挟む両エッジのLERの平均をとることを考える。すると、以下の問題が起こる可能性がある。第一に、ギャップを挟むスペースでは両側のエッジがLER最小値となるため、平均値は元のLER最小値となるが、それ以外のスペースでは大きいLER値と中程度のLER値が平均化されてしまう。これにより、ギャップを挟むスペースのLER平均値と他のスペースのLER平均値との差分は見えにくくなる。第二に、1回目の製膜、2回目の製膜で全く同じようにLERが減少するとは限らない。2回目の製膜でのLER低減効果が大きければ、イニシャルコアをはさむエッジのLER平均値とギャップをはさむエッジのLER平均値は同程度に見えてしまう。第三に、リソグラフィやエッチングの結果、左右のエッジで若干LERが異なることがある。そのような場合も、LERを平均してしまうことで、違いが見えなくなってしまう。これらのことが原因で、現実のパターンに対して適用した場合はイニシャルコアの位置をギャップと間違うことが頻繁に生じる。
【0018】
なお、特許文献1の方法をイニシャルコア特定に用いるのではなく、2回目のSADPの部分だけに用いる、すなわちセカンドコアだけを特定する、という限定的な用途も考えられるが、この場合にも問題がある。図1(h)の段階で観察していれば区別はつくが、図1(i)の段階では、エッチングやレジスト除去の条件が適切で、全てのラインパターンが等しい断面形状を持つように形成され下地の表面も同じ物理的性質を持つように形成された場合、エッジ101、104、105、108の側壁形状とエッジ102、103、106、107の側壁形状は等しくなる。図1(h)の段階であっても、膜堆積の影響が小さくトップの丸まりが小さければ、図1(i)同様に区別はつかない。従って、特許文献1の適用によるセカンドコア同定においても、ジャッジの確からしさは低くなる。
【0019】
さらに、現状では第二の技術の具体的な解はない。たとえ広い視野の画像を得てイニシャルコアの位置を知ることができたとしても、従来の単なるラインCD、スペースCDの値のデータだけでは、プロセス上の問題は特定できない。また、実質的な重ね合わせずれは検知できない。
【0020】
このような状況から、現状の方法や装置でSAQPのプロセスの課題を見出すためには、最初のリソグラフィ、製膜などの各工程を経たあとでウエハをCD-SEMに投入し検査を行う以外にない。しかしその場合、検査にかかるコストが増大し、時間も長くなる。SAQPのみならず、SADPを3回行った場合も同様である。
【0021】
以上説明したように、SADPを2回以上行うプロセスで形成した最終的なラインパターン群のCD-SEM観察を行って、高スループットで精確にプロセス上の問題点を検知したり、各パターンの下層との重ね合わせずれを精確に求めたりするための指標算出を行う方法及び装置が存在しない。
【0022】
本発明の目的は、SADPを複数回用いて形成された微細ライン&スペースパターンであってもイニシャルコアの位置を高精度に特定可能な荷電粒子線装置および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するための1実施形態として、荷電粒子源と、
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料を載置する試料台と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料台に載置された前記試料へ照射する照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出された二次荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記二次荷電粒子の信号に基づいて得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する算出部と、
前記複数のライン状パターンにおける前記ラインエッジラフネス値同士を比較し、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定する判定部と、を有することを特徴とする荷電粒子線装置とする。
【0024】
また、荷電粒子源と、
前記試料は、積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料を載置する試料台と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料台に載置された前記試料へ照射する照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出された二次荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記二次荷電粒子の信号に基づいて得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のスペースの左右のエッジ形状の類似度を算出する算出部と、
前記ライン状のパターンまたは前記スペースにおける左右のエッジ形状の類似度に基づき、前記第一パターンの両側に形成された前記第二パターンであるセカンドコアの位置を判定する判定部と、を有することを特徴とする荷電粒子線装置とする。
【0025】
また、荷電粒子源と、
積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料を載置する試料台と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料台に載置された前記試料に照射する照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により前記試料から放出された二次荷電粒子を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記二次荷電粒子の信号に基づいて得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記複数のライン状パターンのスペースを挟んで隣接するエッジの凹凸形状の類似度或いは隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンに対してライン中心位置のライン長手方向に沿った変動を算出することによりラインの中心変動として隣接するラインの中心変動の形状の類似度を算出する類似度算出部と、
前記エッジの凹凸形状の類似度または前記ラインの中心変動の形状の類似度に基づき、最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置を判定する位置判定部と、
隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する、ラフネス値算出部と、
前記最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置および前記ラインエッジラフネス値に基づき、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定するイニシャルコア判定部と、を有することを特徴とする荷電粒子線装置とする。
【0026】
また、積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料へ荷電粒子線を照射し得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する算出部と、
前記複数のライン状パターンにおける前記ラインエッジラフネス値同士を比較し、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定する判定部と、
を有することを特徴とする検査装置とする。
【0027】
また、積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料へ荷電粒子線を照射し得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、 前記画像データに基づき、前記試料において隣接して並ぶ複数のスペースの左右のエッジ形状の類似度を算出する算出部と、
前記ライン状のパターンまたは前記スペースにおける左右のエッジ形状の類似度に基づき、前記第一パターンの両側に形成された前記第二パターンであるセカンドコアの位置を判定する判定部と、
を有することを特徴とする検査装置とする。
【0028】
また、積層膜上に形成されたライン状の第一パターンを覆い、膜堆積を行って第一パターンの両側壁にライン状の第二パターンを形成する工程を2回以上行うことで形成される複数のライン状パターンを有する試料へ荷電粒子線を照射し得られる前記試料の表面の画像データを表示する表示部と、
前記複数のライン状パターンのスペースを挟んで隣接するエッジの凹凸形状の類似度或いは隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンに対してライン中心位置のライン長手方向に沿った変動を算出することによりラインの中心変動として隣接するラインの中心変動の形状の類似度を算出する類似度算出部と、
前記エッジの凹凸形状の類似度または前記ラインの中心変動の形状の類似度に基づき、最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置を判定する位置判定部と、
隣接して並ぶ前記複数のライン状パターンのラインエッジの凹凸の指標であるラインエッジラフネス値を算出する、ラフネス値算出部と、
前記最後の膜堆積の前に形成されたライン状パターンの位置および前記ラインエッジラフネス値に基づき、前記第一パターンの中心であるイニシャルコアの位置を判定するイニシャルコア判定部と、有することを特徴とする検査装置とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、SADPを複数回用いて形成されたパターンであってもイニシャルコアの位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】SAQPを用いて微細なライン&スペースを形成したときの工程を説明するためのパターンの断面模式図であり、(a)〜(f)は1回目のSADPによるパターン形成工程、(g)〜(i)が2回目のSADPによるパターン形成工程を示す。
図2】SAQPを用いて形成された微細なラインパターンのライン幅に分布(寸法変動)が生じた場合のパターン断面の例を示す模式図である。
図3】SAQPを用いて形成された微細なラインパターンのスペース幅に分布(寸法変動)が生じた場合のパターン断面の例を示す模式図である。
図4】本発明を適用する微細パターンの模式図であり、(a)は鉛直上方からの観察像(平面図)、(b)は断面図である。
図5】(a)は微細パターンの側壁を覆って膜を堆積させ、エッチングを施して微細パターンの側壁に膜を形成したときのパターンの鉛直上方からの観察像を示す平面模式図であり、(b)は微細パターンの側壁を覆って膜を堆積させたときの断面模式図である。
図6】本発明で測定する箇所を示すパターン断面模式図である。
図7】本発明の第一の実施例で説明したイニシャルコア特定を特定するためのフローチャートの一例である。
図8】本発明に用いる走査電子顕微鏡(検査装置)を示す概念図(一部断面図)である。
図9】本発明の第一の実施例において操作端末画面に表示されたウィンドウの模式図である。
図10】本発明の第一の実施例において操作端末画面に表示された測定結果のグラフの一例である。
図11】本発明の第一の実施例において操作端末画面に表示された測定結果のグラフの一例である。
図12】本発明の第一の実施例において推定されたパターン形成工程の途中におけるパターン断面図である。
図13】本発明の第一の実施例において操作端末画面に表示された測定結果の表の一例である。
図14】本発明の第二の実施例において操作端末画面に表示されたウィンドウの模式図である。
図15】本発明の第二の実施例において操作端末画面に表示された表等の一例であり、(a)はx軸原点としたときの各パターンの中心位置を示す表を、(b)はラインパターンのピッチの設計値及び重ね合わせずれ量の入力画面を示す。
図16】本発明の第二の実施例において操作端末画面に表示された解析結果の表の一例である。
図17】本発明の第三の実施例において本発明を適用する微細パターン加工工程を示すパターンの断面の模式図であり、(a)〜(c)は1回目のSADPによるパターン形成工程、(d)〜(e)が2回目のSADPによるパターン形成工程、(f)〜(g)が3回目のSADPによるパターン形成工程を示す。
図18】本発明の第三の実施例において得られた観察画像の模式図である。
図19】本発明の第三の実施例において算出され、操作端末画面に表示されたLER値の表の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、ラインパターン群の端が含まれないCD-SEM画像から、パターンエッジのLER値の分布を得ること、スペースの左右エッジの形状の類似度あるいは隣接するラインの中心位置のラインに沿った変動の類似度を得ること、前者のデータセットから或いは前者と後者とを組み合わせることからSAQPの最初のリソグラフィで形成したラインパターンの位置を特定すること、最初のリソグラフィ、1回目の製膜、2回目の製膜で形成されたパターンの寸法に相当する寸法指標や重ね合わせずれ量を算出すること等の中の何れか一の構成を含むことを特徴とする。なお、本発明はSADPを2回以上行うパターン形成法全てに適用可能であるが、ここでは代表的なSAQPの場合を取り上げて説明する。
【0032】
手法を記述するに先立ち、前述の、LER値、スペースの左右エッジの形状の類似度、隣接するラインの中心位置のラインに沿った変動の類似度の算出方法の一例を説明する。
【0033】
まずLER値を以下に説明する。図4(a)に示すようなCD-SEM画像を取得し、画像内で、ラインに平行な方向をy、垂直な方向をxとする。図4(a)のCD-SEM画像に対応する観察対象の断面図は図4(b)に記した。図4(a)の斜め格子模様部分はスペース領域に相当する。次に画像内にあるラインパターンのエッジに番号をつける。例えば画像の左側から右側に、1、2・・・と番号を振る。但し、図4中では他の図中の番号と区別するため、エッジの番号1、2、3・・・を符号401、402、403、404、405、406、407、408、409、410と記してある。図4(a)と(b)とで同じ番号のエッジは同じエッジを意味している。奇数はラインの左エッジ、偶数は右エッジとなる。符号412、414、416、418、420はライン部を、符号411、413、415、417、419、421はスペース部を示す。以下、エッジの番号をE_nとする。さらに、画像処理によって各ラインエッジを表すエッジ点の集合を得る。エッジ番号E_nのエッジを構成するエッジ点は、そのx座標の集合として表すものとする。即ち、{x(i,E_n)|i=1,2,3…P_n}である。ここではラインエッジがP_n個の点で定義されているとする。この量は、ラインエッジの番号E_nと、エッジ内での点の番号(多くの場合、点のy座標が小さいほうから順に番号をつけられる)iの関数となる。また、なお、i番めのエッジ点のy座標y(i,E_n)は
【0034】
【数1】
で与えられる。
【0035】
次に、ラインエッジを直線で近似し、各エッジ点のx座標のこの近似直線からのずれをΔx(i,E_n)とする。E_n番目のラインエッジのラフネスは{Δx(i,E_n)|i=1,2,3…P_n}という、ずれ量の集合で表される。
【0036】
LER値は、この集合から求められる、1本のエッジの凹凸の大きさである。よく使われるのは以下に定義される、標準偏差の3倍の値である。
【0037】
【数2】
これは一例であり、左辺の数値3を1、2、あるいは6としたものや、あるエッジに属するΔx(i,E_n)の最大値と最小値の差などもLER値として用いられることがある。
【0038】
次に、スペースの左右エッジの形状の類似度について説明する。これは、あるスペースの左側のエッジがE_n番目のエッジであるとき、{Δx(i,E_n)|i=1,2,3…P_n}及び{Δx(i,E_n+1)|i=1,2,3…P_n}という二つの数列の類似度である。類似度の指標の例としては以下のものが挙げられる。
【0039】
【数3】
これは即ち、二つの数列の規格化された相関係数である。
【0040】
最後に、隣接するラインの中心位置の変動の類似度の算出方法の一例を説明する。まず、1本のラインについて、その中心位置を、左エッジのエッジ点と右エッジのエッジ点との中央の点の集合{x_c(i,L_n)|i=1,2,3…P_n}を求める単純に、ライン左エッジのx座標と右エッジのx座標の平均である。ここでL_nはラインの番号であり、E_nとは以下の関係にある。
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
次に、LER値を求めたときと同様、{x_c(i,L_n)|i=1,2,3…P_n}に対しても近似を行って、近似直線からのずれ量{Δx_c(i,L_n)|i=1,2,3…P_n}を求める。隣接するラインの中心位置の変動の類似度は、{Δx_c(i,L_n)|i=1,2,3…P_n}及び{Δx_c(i,L_n+1)|i=1,2,3…P_n}という二つの数列の類似度である。類似度の指標の例としては以下のものが挙げられる。
【0043】
【数6】
ここでσ_c(L_n)は、{Δx_c(i,L_n)|i=1,2,3…P_n}の標準偏差である。
【0044】
以下、上記の指標を用いた本発明の内容を説明する。パターン形成プロセスは図1の通りとする。なお、形成したパターンの隙間、即ちスペース部分にシリコン酸化膜などを埋め込み、エッチングによりシリコン酸化膜を残して元のライン部分を除去するという工程を加えることができる。これによりラインとスペースとの関係を逆転させること、いわゆるポジ型−ネガ型反転、が可能になるが、ここでは説明を単純化するため、全てコアパターンを除去する工程を仮定する。尚、ポジ型−ネガ型反転を行って形成したパターンについては、下記の方法を、一部のラインとスペースの関係を交換して実施すればよい。
【0045】
以下ではイニシャルコアを特定するための方法を述べる。
本手法の前提となる膜堆積によるライン形成時のエッジ形状の転写について説明する。図5(a)は、コアパターンに対して膜を堆積したのち、エッチングを行ってコア部分を露出させ、さらにコアを除去して得られるラインパターンのエッジのトップビューの模式図であり、図5(b)は、コアパターンに対して膜を堆積したときの断面の模式図である。図5(a)と(b)とで同じ番号を用いているエッジは対応している。図5(a)では破線で示されている符号501は堆積した膜の表面に相当するラインエッジであり、実線で示されている符号502はコアパターンのラインエッジである。
【0046】
元のコアパターンのエッジにLERがあると膜を堆積させてもその凹凸は残る。そのため図5(b)のラインの左エッジ501は右エッジ502に似た凹凸を持つ。しかし一般に膜を堆積させると細かい凹凸は平滑化される。そのため、左エッジ501のLERは右エッジ502のLERよりも小さい値となる。これを以下、LER転写モデルと呼ぶことにする。
【0047】
但し、まれに膜堆積工程の条件が最適化されていないために、エッジ501のLERがエッジ502のLERよりも大きくなることがある。このような場合には膜厚が均一に堆積されておらず、従って出来上がる最終的なデバイスの性能は著しく低いものになる可能性がある。本発明を適用する上では、膜堆積条件を正しく保つようモニタリングするか、あるいは、ウエハ上の基準パターンを用いて膜厚変動量をモニタリングしておく必要がある。もしも膜厚変動量が大きく、かつ、その状況でデバイスを作成する場合は、これ以降、LER値の大小を逆にした解析を行うものとする。
【0048】
図5に示すモデルに従えば、図1(i)に示された中央をイニシャルコアとして並んでいる8本のエッジ101からエッジ108に対して、(数2)に従って3σ、即ちLERを求めれば、LER値の大小は、小、中、大、中、中、大、中、小、となる。LERが中程度のエッジが並んでいる部分の間がイニシャルコア、LERが小さいエッジが並んでいる間がギャップである。つまり逆に考えれば、ラインエッジのデータからLERを計算し、その分布の大小を見れば、イニシャルコアの位置がわかることになる。しかし特許文献1を適用したときの課題を述べたように、LERが中程度の部分と小程度の部分を直接比較しようとしてもその差は小さい。
【0049】
そこで、本発明ではLER値が大きいエッジと、小さいエッジとを特定する。具体的には、まず、複数あるエッジに画像内の一方向から他方向に向かって番号をつける。LER値の数列を作成する際には必ず、この番号の順序に従って値を並べるものとする。次にイニシャルコア位置を仮定し、その仮定のもとで予測されるLER値の大きさ(大・中・小の三種類値の分布)のエッジ番号依存性と、実際のLER測定値のエッジ番号依存性とを比較し、両者の類似度を算出して一致しているかどうかを判定する。仮定するイニシャルコアの位置を変えて、これを行えばよい。LERが大きくなるエッジはイニシャルコアにもギャップにも面していないが、このエッジを同定できれば、全体としてイニシャルコアがどこにあるかがわかることになる。この方法を以下、イニシャルコアを特定する第一の方法と呼ぶ。
【0050】
しかし、最初のレジストラインから膜堆積により派生したライン(後にセカンドコアになる)のLERが充分平滑化されていると、そのラインエッジ側壁にさらに膜堆積を行って最終ラインを形成しても、新しく出来たエッジのLERはさほど平滑化されない可能性がある。即ち、上記の中程度のLERが、大きいLERと同程度の可能性もあり、中程度のLERが小さいLERの値に近いか、大きいLERと小さいLERの中間に近いかは予測が難しい。そのため、上記の方法を以下のように修正することができる。まず、前述の方法と同様にエッジに画像内の一方向から他方向に向かって番号をつける。LER値の数列を作成する際には必ず、この番号の順序に従って値を並べるものとする。次にイニシャルコア位置を仮定し、その仮定のもとでLERが大きい値となるはずのエッジのLER測定値と、LERが小さい値となるはずのエッジのLER測定値とだけで新たなLER値の列を作り、それが予測されるLER値の分布(大と小の二値の分布)に等しいかどうかを判定する。仮定するイニシャルコアの位置を変えて、これを行えばよい。この修正により、計算時間は増加するが判定の精度が向上する。計算時間よりも判定精度を優先する場合はこちらの方法が良い。この方法を以下、イニシャルコアを特定する第二の方法と呼ぶ。
【0051】
イニシャルコアの特定はできないものの、セカンドコアの特定に有効な手段がある。次にこれを説明する。セカンドコアはスペースになる前はレジストラインの側壁への膜堆積で形成されたラインであった。従ってLER転写モデルに従えば、セカンドコアの左エッジと右エッジのエッジ形状は似通っている。そこで、CD-SEM観察で得られたトップビュー画像に写る全てのスペースパターンに対して、左エッジのエッジ形状と右エッジのエッジ形状の類似度を算出すればよい。類似度の例としては(数3)を用いればよい。しかし、最終パターンが帯電するなどして、スペースの左右いずれかのエッジだけがノイズの影響を大きく受けることがある。この場合は、類似度が小さくなり、セカンドコアの特定が難しくなる。そのときには、(数4)に従って、スペースを挟んで隣り合うラインの、中心位置変動の類似度を計算すればよい。
【0052】
上記手順の結果、高い類似度が得られたスペースはセカンドコアである。さらに、単純に高い類似度のスペースをセカンドコアと断定するよりも判定の精度を上げる方法がある。SAQPで形成されたパターンにおいて、並んでいるスペースは、セカンドコア、イニシャルコア、セカンドコア、ギャップ、の繰り返しになるが、イニシャルコア及びギャップでは左右エッジ形状の類似度は高くならないことを利用する。具体的には、スペースに対して並んでいる順に番号をつけ、スペースの左右エッジの類似度のスペース番号依存性を求める。するとこの類似度のスペース番号依存性は、大・小の繰り返しとなるはずであり、大に相当する部分がセカンドコアとなる。
【0053】
上記の発明は、特許文献1に示す方法をSAQPに適用してイニシャルコアは特定せずセカンドコアだけを特定する方法よりも精度が高い。なぜなら、膜堆積によって形成されるラインは元々、左右対称な形状にすることが望ましいため、エッチングのプロセスを工夫することで対称に近づけられているからである。この場合は信号波形において、元のエッジと膜堆積で作られたエッジとの違いはきわめて小さい。しかしLERの大小は残るため、本発明を用いればセカンドコア特定の精度は高くなる。
【0054】
当初の目的に戻ると、イニシャルコアを高い精度で求めるためには、初めにセカンドコアを求めるとよい。スペースに1,2,3・・・と番号をつけると、セカンドコアに相当するスペースの番号は上述したスペースの左右エッジの類似度を用いた方法によって、1及び3(mod4)あるいは2及び0(mod4)のいずれであるかがわかる。従って、イニシャルコアの候補は、前者の場合2または0(mod4)、後者の場合は1または3(mod4)、と二つのケースに絞られることになる。このプロセスを抜いてイニシャルコアを求めようとすると、イニシャルコアがスペース1,2,3,4の場合全てについて確からしさを評価し、四つのなかから正解を導き出さねばならない。しかし最初に候補を二つに絞っておくことで、より精度の高い同定ができる。この方法は、イニシャルコアを直接求める方法よりも計算時間が長くなるが、精度は向上する。
【0055】
以上、イニシャルコアを特定するための方法を述べた。次に、イニシャルコア位置を特定した後にパターン形成工程の問題点を推定するための寸法指標について述べる。
【0056】
最も基本的な指標は、最終的なラインパターンの幅である。以下これをCDL_finalと記す。2回目の製膜工程は図1では略されており、図1(f)と図1(g)との間に行われているが、膜が一様に堆積されていれば最終的なCD_finalはライン番号によらず一定となる。しかし下地表面の化学的な性質の違いやセカンドコアパターン間の距離の分布によって、CDL_finalに周期的な変化が現れる可能性がある。そこで、イニシャルコアを挟むラインの幅、CDL_finalcoreとギャップを挟むラインの幅、CDL_finalgapとを提案する。複数個所のデータが取れる場合は、単純なライン幅CDL_finalの平均値ではなく、CDL_finalcoreとCDL_finalgapの平均値をとるとよい。前者は、元々レジストパターンがあった位置に形成されたラインの寸法であり、後者は元々スペース領域にあった位置に形成されたラインの寸法である。即ち、異なる過程を経て形成されているため、これらの量に差があれば、元々のレジストパターンの影響が見えることになる
同様に、重要な寸法指標として、スペースパターンの幅がある。この値の周期的な変化は主として1回目の製膜工程での膜の不均一性による。このような不均一性が発現する原因は、上記のCDL_finalの場合と同じである。この指標自体は従来計測されてきたスペース幅と同じものであるが、イニシャルコアの位置がわかれば、区別することができる。イニシャルコアのスペース幅をCDS_initcore、セカンドコアのスペース幅をCDS_2ndcore、ギャップのスペース幅をCDS_gapとし、それらの値を比較すれば、工程の影響を分離できる。複数のデータがある場合は、平均値をとるとよい。例えば、CDS_2ndcoreが異常に小さい値であれば、1回目の製膜で膜堆積量が不十分だったということになる(詳細は実施例に記す)。
【0057】
上記の寸法を表す指標を、図6に図示した。符号601がCDL_finalcore、符号602がCDL_finalgap、符号603がCDS_initcore、符号604がCDS_2ndcore、符号605がCDS_gapである。本発明では、さらに新規な以下の指標を提案する。それらは、図6中の符号606に示すCD_coreと、符号607に示すCD_gapである。前者は最初に形成したレジストパターン寸法に相当するが、エッチング工程などを経ているため最初のレジストパターン寸法と完全に等しい値とはならない。これら二つは、寸法あるいはパターン位置の異常が最初のレジストパターン寸法と関係があるかどうかを判定するために用いられる。この指標についても、複数個所からデータが取得できれば、平均をとるとよい。
【0058】
実効的な重ね合わせ誤差については、イニシャルコアが特定できれば計算できる。イニシャルコアが特定されたことで、最初のレジストパターンのエッジが転写されてできたエッジが特定できる。図6では、符号606に示すCD_coreを与える二つのエッジである。x座標の上で、この二つのエッジの中央を基準点とする。これよりも下層のパターンに対する各ラインパターンの重ね合わせ誤差を求めるには、各ラインパターンの中心のx座標を求め、最初のレジストパーンを形成したときに算出した重ね合わせ誤差にこの基準点からのずれ量を足し合わせればよい。
【0059】
本発明では、これまでできなかったSAQPプロセスで作成した最終パターン画像からのプロセスの課題推定や各パターンの重ね合わせずれ評価を可能にする。画像内の各エッジのLERやエッジ形状の相関値、特定のエッジ間の距離を計算するものであるため、ラインパターン群の端を撮像する必要がなく、デバイス性能上重要な領域を直接検査することができる。また、一辺が数百ナノメータ程度の視野の画像を撮ればよいので、撮像時間は従来と同等で済む。画像を保存するための記憶領域も従来と同等である。即ち、コストやスループットを悪化させることなく、これまでできなかったプロセスの評価を可能にする。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0060】
なお、本願発明は主としてCDSEMを例として記載しているが、パターンの測長や検査は他の装置で行ってもよく、例えば汎用的な走査型電子顕微鏡を用いてもよく、イオン顕微鏡や透過型電子顕微鏡や走査透過型電子顕微鏡などの荷電粒子線装置を用いることが可能である。また、得られたパターンの情報を用いた計算装置を使うことができれば、必ずしも荷電粒子線装置と一体化した装置である必要はない。
【0061】
また、検出器で検出する対象も、主として2次電子を例として記載しているが、反射電子やミラー電子、試料から発するイオンなどの荷電粒子を検出して実現できることを予め述べておく。
【実施例1】
【0062】
本発明の第一の実施例を以下に述べる。本実施例では、既に取得したSAQPにより形成したパターンの画像から、計算時間よりも精度を重視してイニシャルコアを特定し、さらに寸法計測を行って、工程の問題点を推定し、歩留まりを向上した例を説明する。
【0063】
本実施例で解析したライン&スペースパターンの画像の模式図を図4(a)に示す。また、このパターンの断面構造に相当する模式図を図4(b)に示す。このパターンは図1にその断面を示すプロセスによって作製した。図1(a)で最上面に形成されている断面が矩形のパターンは、液浸ArFリソグラフィによって作られた。また、図7に本実施例で用いた、イニシャルコア特定のフローチャートを、図8に本実施例で用いたサンプル観察装置及び解析システムの構成を含む走査電子顕微鏡の概念図を示す。また、画像解析中のモニタ画面中の、本発明を実施させたときに現れるウィンドウの模式図、二つのグラフを図9、10、11に示す。また、本発明の適用の結果推定されたパターン形成の途中工程における断面図を図12に示す。また、図13に最終的に得られた結果の表を操作端末画面に表示した図の一例を示す。
【0064】
図7のフローを実施する前にSAQPを用いて微細なライン&パターン画像を取得した。走査電子顕微鏡のサンプルステージ(試料台)808の上にサンプル(試料)807を載置し、電子銃802からされた電子線803をレンズ804、806及び偏向器805を含む電子光学系(照射光学系)によりサンプル807へ照射し、サンプルから発生した二次電子809を検出器(検出光学系)810で検出し、走査電子顕微鏡の各部位の制御系811、及びサンプル観察装置及び解析システムの端末(すなわち、検出器から得られた結果を画像データとして算出する算出部)812を介して検出信号に基づく画像データをデータ記憶装置813に格納する。なお、符号801は走査電子顕微鏡の筐体である。
【0065】
次に、操作者はサンプル観察装置及び解析システムを含む走査電子顕微鏡からデータ送受信可能な、画像解析装置814の端末を操作し、イニシャルコア特定を実行するプログラムを動作させた(工程S701)。次にデータ記憶装置813から画像データを呼び出して、画像解析装置814のモニタ画面に表示させた(工程S702)。すなわち、画像解析装置814はデータ記憶装置813から画像データを呼び出すための入出力部815と、イニシャルコアやセカンドコア等を判定するプログラムを動作させる判定部816と、その判定結果を表示する表示部817とを有する。また、図示はしないが解析システムの端末(算出部)812のほうに表示部を設けてもよい。入出力部や判断部も同様に本願の課題を解決する範囲で走査電子顕微鏡や画像解析装置、もしくはその他の装置に組み込まれていても構わない。
【0066】
そして、この操作により表示されたウィンドウを図9に示す。呼び出した画像を符号901で示す。
【0067】
次に操作者は工程S703に進み、画像901の上で解析をしたい領域を設定した。設定された領域は、破線の枠902で示されている。
【0068】
次に操作者は工程S704に進み、エッジの定義を入力した。具体的には、画面に示されているEdge Parametersのボタン903をクリックした。すると、ラインパターンのエッジを定義するためのパラメータ設定ウィンドウが現れ、操作者はそこでエッジの定義を入力した。
【0069】
次に操作者は工程S705に進み、Edge Extractionのボタン904をクリックしてエッジを抽出した。すると画像901の破線枠(解析領域)902内にあるラインパターン上に、左から番号(1、2、3、4、5)が振られた。これらの番号は図4で示されたラインパターン412、414、416、418、420にそれぞれ対応する。また、画像の上にエッジが点の集合として表示された。
【0070】
次に操作者は工程S706に進み、コア特定アルゴリズムのうち、セカンドコアのみを求めるか、セカンドコアを求めた後にイニシャルコアも求めるか、の選択をした。セカンドコアを求めた後にイニシャルコアを求めることを選び、2nd + initial cores estimationの表示の左にある選択記号をクリックした。また、コア特定の際に算出するρ_sやLER値を表示することを希望したので、Show detailの表示の左にある選択記号をクリックした。なお、ここではセカンドコアを求めてからイニシャルコアを求めているが、先にも説明したが、直接イニシャルコアを求めるアルゴリズムとすることもできる。
【0071】
その後操作者は、Analysisの表示ボタン905をクリックし、イニシャルコア特定の解析を実行させた。
【0072】
すると画像解析装置814において、ライン1から5のエッジ(エッジ番号E_nは1から10の値をとる。図4で示されたエッジ401〜410に対応)の位置情報から、Δx(E_n, i)を算出した。ここでiは1から256の値をとる。即ちP_n=256である。次に、(数3)に従ってスペース番号1から4のスペース(図4ではスペース411、413、415、417に対応)に対して、ρ_sを求めた。なお、スペース番号はその左にあるラインの番号と等しい。また、このρ_sのL_n依存性を操作端末画面にグラフ表示させた。このグラフを図10に示す。画像解析装置814はこの結果を大小の値の繰り返しにあてはめ、スペース2(画面内ライン2の右)とスペース4のρ_sが大きいことから、これらがセカンドコアと判断した(工程S707)。
【0073】
引き続いて画像解析装置814は10本のエッジから(数2)に従ってLERを算出した。また、このLERのエッジ番号E_nに対する依存性を操作端末画面にグラフ表示させた。このグラフを図11に示す。
【0074】
画像解析装置814は次に、工程S708に進み、イニシャルコアを特定した。その手順は以下の通りである。まず、イニシャルコアがスペース1(画面内でライン1の右、即ちE_n=2のエッジとE_n=3のエッジの間)であると仮定した。この仮定の下では、エッジ1から10までの値のLER値の変化は、大中中大中小小中大中、となる。そこで、大あるいは小となるエッジの番号E_nだけを抜き出すと、1, 4, 6, 7, 9となり、大小の値の列は大を1、小を0とすると、1, 1, 0, 0, 1となる。次に、E_n=1, 4, 6, 7, 9のエッジのLER値を抜き出し数列にしたところ、2.51, 2.79, 2.77, 2.44, 2.42、となった。単位はナノメータである。これら二つの数列の相関値は-0.10となり、ほとんど相関していない。
【0075】
画像解析装置814は次に、イニシャルコアがスペース3(画面内でライン3の右、即ちE_n=6のエッジとE_n=7のエッジの間)であると仮定した。この仮定の下では、エッジ1から10までの値のLER値の変化は、中小小中大中中大中小、となる。そこで、大あるいは小となるエッジの番号E_nだけを抜き出すと、2, 3, 5, 8, 10となり、大小の値の列は大を1、小を0とすると、0, 0, 1, 1, 0となる。次に、E_n=2, 3, 5, 8, 10のエッジのLER値を抜き出し数列にしたところ、2.46, 2.58, 3.04, 2.82, 2.71、となった。単位はナノメータである。これら二つの数列の相関値は0.85という大きな値となった。
【0076】
この結果から、画像解析装置814はスペース3がイニシャルコアであると判定し、画像901の右上領域に『イニシャルコア:スペース3』と表示させ、さらに『相関値0.85』も表示した(工程S708)。なお、イニシャルコアの位置を相関値を用いて特定する場合、全ての候補の上記相関値を求めてその値が最大値となる候補でイニシャルコアの位置を特定してもよいが、上述のように相関値が大きく異なる場合があるため(ここでは、-0.10と0.85)、全ての候補の相関値を求めるのではなく、相関値に対して閾値を設定しておき、閾値を超える候補が特定された時点でその候補でイニシャルコアの位置を特定することもできる。
【0077】
操作者はこの結果から、ライン1、4、5がギャップを挟むライン、ライン2及び3がイニシャルコアを挟むラインと知り、それぞれのライン幅を計測したところ、ギャップを挟むラインの幅の平均は19.51nm、イニシャルコアを挟むラインの幅の平均は16.38nmとなった。設計寸法はいずれも18nmである。このことから、初めにレジストパターンが形成されていた領域のパターンと、初めにレジストパターンが形成されていなかった領域のパターンとで寸法が異なることがわかった。調べてみたところ、図1(d)の次にレジストを除去する工程で時間が短かったためレジストがわずかに残り、図1(e)の状態にすべきところ、図12のように元々レジストがあった位置に膜が残っていることがわかった。この膜の上では2回目に製膜する膜の成分が特に堆積しにくくなる性質をもっていたため、最終的に、イニシャルコアを挟むラインのほうが細くなっていた。
【0078】
尚、イニシャルコアがスペース3であることがわかったあと、各種指標を自動で算出するプログラムを実行させることもできた。この場合は、モニタ画面に結果を示すウィンドウが現れる。このウィンドウの模式図を図13に示す。尚これは画像1枚からの算出例だが、測定のレシピに組み込んで、複数画像からのデータを図13に示した形式の表にまとめ、テキストファイルとして指定した媒体や、記憶装置813に出力し、格納することもできる。
【0079】
本実施例によりこの問題が明確になり、レジスト除去工程を改良したため、最終製品の性能が均一になり、歩留まりが向上した。
【0080】
以上本実施例によれば、SADPを複数回用いて形成された微細ライン&スペースパターンであってもイニシャルコアの位置を高精度に特定可能な走査電子顕微鏡および検査装置を提供することができる。また、イニシャルコアのスペース等の寸法の各種指標を用いることにより、SADPプロセスを複数回用いて作製した最終パターン画像からのプロセスの課題推定やプロセスの改良が可能となる。
【実施例2】
【0081】
本発明の第二の実施例を以下に述べる。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。本実施例では、半導体素子の量産工場において、重ね合わせ誤差を算出したことで歩留まりの低下を防いだ例を説明する。
【0082】
本実施例で用いた走査電子顕微鏡は実施例1と同じく、図8に示される構成となっている。また、図14に、画像解析中のモニタ画面中の本発明を実施させたときに現れるウィンドウの模式図を示す。図15、16は本発明を実施した結果現れる解析結果の表を操作端末画面に表示した図の一例である。
【0083】
観察パターンは、図1にその断面を示すプロセスによって作製した。図1(a)で最上面に形成されている断面が矩形のパターンは、液浸ArFリソグラフィによって作られた。液浸ArFリソグラフィを実施した際のレジストパターンの下層(図1には表示されていない)パターンとのx方向の重ね合わせ誤差は、x座標プラスの方向に2.10nmであった。また、デバイスの性能を一定以上にするために、この層と下層との重ね合わせ誤差は、絶対値で4nm以下とすることが必要であった。
【0084】
まず操作者はサンプル観察装置及び解析システムの端末812を操作し、サンプル(半導体ウエハ)807を装置内に取り込み、電子ビーム803を照射し、制御系811を通してパターンの画像を取得した。また、画像解析プログラムを動作させ、モニタ上にプログラムのウィンドウを表示させた。この様子を図14に示す。このウィンドウには取得した画像1401が表示されており、操作者は画像上で解析する領域を設定した。設定された領域は、破線の枠1402で示されている。
【0085】
次に操作者は画面に示されているEdge Parametersのボタン1403をクリックした。すると、ラインパターンのエッジを定義するためのパラメータ設定ウィンドウが現れ、操作者はそこでエッジの定義を入力した。次に、Edge Extractionのボタン1404をクリックした。すると画像1401の破線枠(解析領域)1402内にあるラインパターン上に、左から番号が振られた。また、画像の上にエッジが点の集合として表示された。
【0086】
次に操作者は、コア特定アルゴリズムのうち、セカンドコアのみを求めるか、セカンドコアを求めた後にイニシャルコアも求めるか、の選択をした。ここではセカンドコアを求めた後にイニシャルコアを求めることを選んだ。
【0087】
その後操作者はAnalysisの表示ボタン1405をクリックし、イニシャルコア特定の解析を実行させた。すると画像1401の右上領域に『イニシャルコア:スペース4』『相関値0.66』の表示が現れた。
【0088】
その後、Calculationのボタン1406をクリックしたところ、最初のレジストパターンの中心位置を推定し、そこをx軸原点とした際の各パターンの中心位置の座標を算出して、図15(a)に示す表として画面に表示した。また図15(b)に示すウィンドウが現れた。ここでラインにはAからDまでの種類があるが、ラインBとCはイニシャルコアを挟むラインを意味している。ラインAとDはイニシャルコアから最も遠いラインのことを意味している。図15(b)のセル1501に、ラインパターンのピッチの設計値を、セル1502に最初のレジストパターンを形成したリソグラフィにおける下層との重ね合わせずれ量2.10nmを入力したところ、各パターンの重ね合わせずれ量を自動的に算出し、操作端末画面に表示された計算結果の表は、例えば図16のようになった。
【0089】
操作者は画像を取得した後に図16の結果を出すまでの操作をレシピに登録し、100箇所の画像に対して同様の解析を自動で行うようにした。1枚の画像には8から9本のラインが含まれていたが、端末812の計算機能はそれらのラインを全てAからDのどれに相当するかを分類し、各ラインの重ね合わせずれ量を算出した。その結果、合計868本のラインのうち、約1/4に当たる212本のラインで重ね合わせずれ量が4nmを超えてしまうことが判った。これは製品不良率を増加させ問題となるレベルである。
【0090】
そこで操作者は量産工程を一時停止させ、それ以上の歩留まり低下を防ぐとともに工程のチェックを行ったところ、CDS_2ndcoreの値のばらつきが大きいことがわかった。そこで1回目の製膜を行う装置を点検したところ、電圧が不安定であることがわかり、これを修理して歩留まりを目標レベルに戻すことができた。
【0091】
本発明により、以前は見えなかった重ね合わせずれ量の増大が検知され、歩留まりの低下を抑制することができた。また、改善策を打つことができ、最終製品の歩留まりが確保できた。
【0092】
以上本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、SAQPプロセスで作成した最終パターン画像から各パターンの重ね合わせずれ評価やプロセスの改善が可能となる。
【実施例3】
【0093】
本発明の第三の実施例を以下に述べる。本実施例では、半導体素子の量産工場において、SADPを3回実施して形成した微細なラインパターン群の検査に本発明を適用して、イニシャルコア位置を特定した例を示す。なお、実施例1又は2に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
【0094】
図17に本実施例で観察したパターンの形成工程の概略を表す模式図を示す。図18には、本実施例で得られた観察画像を示す。図19は本実施例の結果得られた表を操作端末画面に表示した図の一例である。
【0095】
パターンの形成過程の模式図を図17に示す。SADPを3回行うことで、最初に形成したパターンのピッチの1/8のピッチをもつ密集パターンが得られる。
【0096】
図17はSADPを3回用いて微細なライン&スペースを形成する工程を説明するためのパターンの断面模式図である。図17(a)〜図17(c)が1回目のSADPでラインパターンを形成する工程を示しており、図17(d)〜図17(e)が2回目のSADPでラインパターンを形成する工程、図17(f)〜図17(g)が3回目のSADPでラインパターンを形成する工程を示している。先ず、下から順に積層されたシリコン酸化膜228、カーボン膜227、シリコン酸化膜226、シリコン窒化膜225、シリコン酸化膜224、カーボン膜223、反射防止膜222の積層膜上にライン状にパターニングされたレジスト層221を形成する(図17(a))。なお、レジスト層121は図面上では1本であるが、実際には多数本が形成されている。次に、レジスト層221を覆うようにシリコン酸化膜231を形成し、シリコン酸化膜131を異方性エッチングすることにより、レジスト層221の両サイドにライン状のシリコン酸化膜231を形成すし、レジスト層221をアッシング等で除去する(図1(b))。次に、ライン状のシリコン酸化膜231をマスクとして反射防止膜222及びカーボン膜223の積層膜をエッチング異方性エッチングすることによりライン状の積層膜を形成する(図1(c))。これにより、最初のリソグラフィで作成したパターンのピッチの半分のピッチの密集パターンを形成することができる。
【0097】
次いで、反射防止膜222を除去し、ライン状のカーボン膜223を覆ってシリコン酸化膜241を形成後、異方性ドライエッチングによりシリコン酸化膜241をエッチングすることにより、カーボン膜223の両サイドにライン状のシリコン酸化膜241を形成し、カーボン膜223を除去する(図17(d))。次いで、シリコン酸化膜241をマスクとして異方性エッチングを行うことにより、ライン状のシリコン酸化膜224とシリコン窒化膜225との積層膜を形成する(図17(e))。これにより、SADPで形成したパターンに対してさらにピッチを分割することができる。
【0098】
引き続き、シリコン酸化膜224を除去し、ライン状のシリコン窒化膜225を覆ってシリコン酸化膜251を形成後、異方性ドライエッチングによりシリコン酸化膜251をエッチングすることにより、シリコン窒化膜225の両サイドにライン状のシリコン酸化膜251を形成し、シリコン窒化膜225を除去する(図17(f))。次いで、シリコン酸化膜251をマスクとして異方性エッチングを行うことにより、ライン状のシリコン酸化膜226とカーボン膜227との積層膜を形成する(図17(g))。これにより、SAQPで形成したパターンに対してさらにピッチを分割することができる。なお、上記材料は1例であり上記材料に限定されない。
【0099】
図17に示した工程で作製した微細なライン&スペースパターンを観察して得られた画像の模式図を図18に示す。斜め格子模様の部分がスペース、白い部分がラインパターンである。
【0100】
図5に示した規則に基づくと、図17において、ライン群1701に属するエッジの形状は全て似ており、ライン群1702に属するエッジの形状も全て似ている。従って、隣り合うエッジの類似度の分布を調べることによって、イニシャルコアの候補位置とギャップの候補位置が判明する。ここでは、イニシャルコアはライン群1701とライン群1702の間にあるが、図中のライン群1701の左側、あるいはライン群1702の右側(これらはギャップである)も、この段階では区別できない。
【0101】
図18に対してこの規則を適用したところ、画像内左から12番目のエッジ1801と13番目のエッジ1802の間及び同じく左から4番目のエッジ1803と5番目のエッジ1804の間が、イニシャルコアの候補であることがわかった。
【0102】
また、図5に示した規則に基づくと、図17でイニシャルコアのひとつ外側のスペースの外側エッジ即ち、エッジ1703とエッジ1704が最も大きいLERを持つことになる。また、ギャップに隣接するエッジ即ち、エッジ1705、1706やエッジ1707が最も小さいLERを持つことになる。そこでイニシャルコアがエッジ1801とエッジ1802との間にあると仮定し、LERが大きくなると期待されるエッジ1801を含むラインに対して左側のスペースの左側のエッジ(左から10番目となる)1805とエッジ1802を含むラインに対して右側のスペースの右側のエッジ(左から15番目となる)1806、LERが小さくなると仮定されるエッジ1803とエッジ1804のLERを算出した。また、逆にイニシャルコアが左から4番目と5番目のエッジ(それぞれエッジ1803とエッジ1804)の間にある場合についても同様に、LERが大きくなると期待される左から2番目と7番目のエッジ(それじれエッジ1807とエッジ1808)のLER、また、小さくなると期待されるエッジ1801とエッジ1802のLERを比較すればよいことになる。そこでこれらを算出した。
【0103】
この結果を操作端末画面に表示した図の一例を図19に示す。初めのケースを考えると、確かにエッジ1805とエッジ1806のLERが大きく、エッジ1803とエッジ1804のLERは比較的小さいことがわかる。逆のケースを考えるとエッジ1807とエッジ1808のLERとエッジ1801、1802のLERを比較するが、これらの値はほとんど同じで差異が見られない。これにより前者が正しいと推定し、イニシャルコアはエッジ1801とエッジ1802の間にあると判断した。
【0104】
これにより、実施例2と同様に各パターンの下層に対する重ね合わせずれが計算でき、重ね合わせずれの工程管理がより精確にできるようになった。
【0105】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0106】
以上、本願発明を詳細に説明したが、以下に発明の形態を列挙する。
(1)基板上に形成された第一のパターンに対して膜堆積を行って第一のパターンの両側壁に第二のパターンを形成するという工程を1回以上行うことで形成される複数のラインパターンを有する試料に対して、上空から観察を行うパターン検査方法であって、隣接して並ぶ複数のライン群からそれぞれのラインエッジの凹凸の指標即ちラインエッジラフネス値を算出し、ラインエッジラフネス値の画像内における分布から、第一のパターンの中心がどこのラインまたはスペースの位置に形成されていたかを特定することを特徴とするパターン検査方法。
(2)基板上に形成された第一のパターンに対して膜堆積を行って第一のパターンの両側壁に第二のパターンを形成するという工程を1回以上行うことで形成される複数のラインパターンを有する試料に対して、上空から観察を行うパターン検査方法であって、スペースを挟んで隣接するエッジの凹凸形状の類似度を算出することで、最後の膜堆積の前に形成されていたラインパターンの位置を特定し、
隣接して並ぶ複数のライン群からそれぞれのラインエッジの凹凸の指標即ちラインエッジラフネス値を算出し、ラインエッジラフネス値の画像内における分布から、第一のパターンの中心がどこのラインまたはスペースの位置に形成されていたかを特定することを特徴とするパターン検査方法。
(3)基板上に形成された第一のパターンに対して膜堆積を行って第一のパターンの両側壁に第二のパターンを形成するという工程を1回以上行うことで形成される複数のラインパターンを有する試料に対して、上空から観察を行うパターン検査方法であって、隣接して並ぶ複数のラインに対してライン中心位置のライン長手方向に沿った変動を算出しそれをラインの中心変動とし、隣接するラインの中心変動の形の類似度を算出することで、最後の膜堆積の前に形成されていたラインパターンの位置を特定し、
隣接して並ぶ複数のライン群からそれぞれのラインエッジの凹凸の指標即ちラインエッジラフネス値を算出し、ラインエッジラフネス値の画像内における分布から、第一のパターンの中心がどこのラインまたはスペースの位置に形成されていたかを特定することを特徴とするパターン検査方法。
(4)(1)乃至(3)の何れかに記載のパターン検査方法であって、第一のパターンのエッジの位置に形成されているエッジと、第一のパターンから最も遠い位置に形成されているエッジについてのラインエッジラフネス値のみを用いることを特徴とするパターン検査方法。
(5)(1)乃至4の何れかに記載のパターン検査方法であって、画像内において特定された第一のパターンの中心があった位置を基準として、予め定められた位置にある二つのエッジの距離を算出することを特徴とするパターン検査方法。
(6)基板上に形成された第一のパターンに対して膜堆積を行って第一のパターンの両側壁に第二のパターンを形成するという工程を1回以上行うことで形成される複数のラインパターンを有する試料に対して、上空から観察を行うパターン検査装置であって、
画像からパターンのエッジを抽出するための演算装置と、
スペースを挟んで隣接する二つのエッジの形状の類似度を算出する演算装置かスペースを挟んで隣接する二つのラインの中央位置のラインに沿った方向の変動の類似度を算出する演算装置の少なくとも一方と、
ラインエッジラフネスの値の分布を解析する解析装置と、
画像及びエッジ位置のデータとを記憶するための装置と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【符号の説明】
【0107】
1…イニシャルコア、2…セカンドコア、3…ギャップ、101…ラインパターンの左エッジ、102…ラインパターンの右エッジ、103…ラインパターンの左エッジ、104…ラインパターンの右エッジ、105…ラインパターンの左エッジ、106…ラインパターンの右エッジ、107…ラインパターンの左エッジ、108…ラインパターンの右エッジ、121…レジスト層、122…反射防止膜、123…カーボン膜、124…シリコン酸化膜、125…シリコン窒化膜、126…シリコン酸化膜、131…シリコン酸化膜、141…シリコン酸化膜、221…レジスト層、222…反射防止膜、223…カーボン膜、224…シリコン酸化膜、225…シリコン窒化膜、226…シリコン酸化膜、227…カーボン膜、228…シリコン酸化膜、231…シリコン酸化膜、241…シリコン酸化膜、251…シリコン酸化膜、401…ラインパターンの左エッジ、402…ラインパターンの右エッジ、403…ラインパターンの左エッジ、404…ラインパターンの右エッジ、405…ラインパターンの左エッジ、406…ラインパターンの右エッジ、407…ラインパターンの左エッジ、408…ラインパターンの右エッジ、409…ラインパターンの左エッジ、410…ラインパターンの右エッジ、411…スペース部、412…ライン部、413…スペース部、414…ライン部、415…スペース部、416…ライン部、417…スペース部、418…ライン部、419…スペース部、420…ライン部、421…スペース部、501…堆積した膜の表面に相当するラインエッジ、502…コアパターンのラインエッジ、601…CDL_finalcore、602…CDL_finalgap、603…CDS_initcore、604…CDS_2ndcore、605…CDS_gap、606…CD_core、607…CD_gap、S701…イニシャルコア特定プログラムを動作させる工程、S702…対象データを呼び出す工程、S703…解析対象領域を設定する工程、S704…エッジの定義を入力する工程、S705…エッジを抽出する工程、S706…アルゴリズムやオプションを選択する工程、S707…セカンドコアを特定する工程、S708…イニシャルコアを特定する工程、801…筐体、802…電子銃、803…電子線、804…レンズ、805…偏向器、806…レンズ、807…サンプル、808…サンプルステージ、809…サンプルから発生した二次電子、810…検出器、811…制御系、812…サンプル観察装置及び解析システムの端末、813…データ記憶装置、814…画像解析装置、815…入出力部、816…判定部、817…表示部、901…ウィンドウ内の画像表示領域、902…画像上に表示された解析領域、903…エッジ定義の入力を開始するためのボタン、904…エッジ抽出を実行するためのボタン、905…解析を実行させるためのボタン、1401…ウィンドウ内の画像表示領域、1402…画像上に表示された解析領域、1403…エッジ定義の入力を開始するためのボタン、1404…エッジ抽出を実行するためのボタン、1405…解析を実行させるためのボタン、1406…重ね合わせずれ計算を実行させるためのボタン、1501…重ね合わせすれ計算を実行するための入力セル、1502…重ね合わせすれ計算を実行するための入力セル、1701…ラフネス形状が似ているライン群、1702…ラフネス形状が似ているライン群、1703…ラインの右エッジ、1704…ラインの左エッジ、1705…ラインの左エッジ、1706…ラインの右エッジ、1707…ラインの左エッジ、1801…画像内の左から12番目のエッジ、1802…画像内の左から13番目のエッジ、1803…画像内の左から4番目のエッジ、1804…画像内の左から5番目のエッジ、1805…画像内の左から10番目のエッジ、1806…画像内の左から15番目のエッジ、1807…画像内の左から2番目のエッジ、1808…画像内の左から7番目のエッジ。
図1
図2
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図5
図6
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