特許第6227592号(P6227592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6227592吸収性物品の個包装体、個包装体を含むパッケージ、及び個包装体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227592
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】吸収性物品の個包装体、個包装体を含むパッケージ、及び個包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   A61F13/15 220
   A61F13/15 355B
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-94445(P2015-94445)
(22)【出願日】2015年5月1日
(65)【公開番号】特開2016-209211(P2016-209211A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年1月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】盛岡 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】入戸野 太朗
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−525245(JP,A)
【文献】 特開平08−324635(JP,A)
【文献】 特開2012−157396(JP,A)
【文献】 特開2000−109007(JP,A)
【文献】 特開2006−160353(JP,A)
【文献】 特開2007−282918(JP,A)
【文献】 特開2012−071858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向及び幅方向を有し且つ当該長手方向に折り畳まれた吸収性物品と、収納空間を備え、前記収納空間に前記吸収性物品を気密状態で収納する包装体とを含む、吸収性物品の個包装体であって、
前記包装体が包装シートにより構成されており、前記包装体が、前記吸収性物品と一緒に、1以上の折軸を基点に折り畳まれている前記包装シートにより区画される前記収納空間と、折り畳まれた前記包装シートを、前記長手方向の両側部においてシールしている、一対のシール部とを有し、
前記包装シートが、前記1以上の折軸により2以上のシート片に区画され、そして前記2以上のシート片のそれぞれが、気密層と、当該気密層よりも融点の低い融着層とを含み、
前記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つの前記シート片の融着層同士が融着しており
記一対のシール部のそれぞれが、25mm当たり10.0N以下の剥離強度を有し、
前記一対のシール部のそれぞれの少なくとも一部において、お互いに隣接し且つ融着している2つの前記シート片のそれぞれの融着層の融着面が、コロナ処理又はプラズマ処理に由来する極性基を有する、
ことを特徴とする、前記個包装体。
【請求項2】
長手方向及び幅方向を有し且つ当該長手方向に折り畳まれた吸収性物品と、収納空間を備え、前記収納空間に前記吸収性物品を気密状態で収納する包装体とを含む、吸収性物品の個包装体であって、
前記包装体が包装シートにより構成されており、前記包装体が、前記吸収性物品と一緒に、1以上の折軸を基点に折り畳まれている前記包装シートにより区画される前記収納空間と、折り畳まれた前記包装シートを、前記長手方向の両側部においてシールしている、一対のシール部とを有し、
前記包装シートが、前記1以上の折軸により2以上のシート片に区画され、そして前記2以上のシート片のそれぞれが、気密層と、当該気密層よりも融点の低い融着層とを含み、
前記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つの前記シート片の融着層同士が融着しており、
前記一対のシール部のそれぞれが、25mm当たり10.0N以下の剥離強度を有し、
前記一対のシール部のそれぞれの少なくとも一部において、お互いに隣接し且つ融着している2つの前記シート片のそれぞれの融着層が、コロナ処理又はプラズマ処理されている、
ことを特徴とする、前記個包装体。
【請求項3】
前記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接し且つ融着している2つの前記シート片の融着層同士の剥離力が、お互いに隣接する2つの前記シート片のそれぞれにおける、前記融着層及び前記気密層の間の剥離力よりも小さい、請求項1又は2に記載の個包装体。
【請求項4】
前記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つの前記シート片の気密層同士が融着していない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の個包装体。
【請求項5】
前記一対のシール部のそれぞれにおいて、前記融着層の厚さが、前記気密層の厚さよりも厚い、請求項1〜のいずれか一項に記載の個包装体。
【請求項6】
前記融着層が、ポリオレフィン系ポリマーであり、そして前記気密層が、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルアルコール、及びナイロンから成る群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の個包装体。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の、複数の個包装体を含む、吸収性物品のパッケージ。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の個包装体の製造方法であって、
前記包装シートを、前記吸収性物品と一緒に、1以上の折軸を基点に折り畳み、前記収納空間を形成するステップ、及び
折り畳まれた前記包装シートを、前記長手方向の両側部において、前記融着層の軟化点超且つ前記気密層の軟化点未満の温度でシールすることにより、折り畳まれた前記包装シートに、一対のシール部を形成するステップ、
を含む、前記製造方法。
【請求項9】
前記融着層の前記軟化点が、前記気密層の前記軟化点よりも10〜50℃低い、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品の個包装体、吸収性物品の個包装体を含むパッケージ、及び吸収性物品の個包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティーライナー、紙オムツ等の吸収性物品を、1つずつ包装シートで包むことにより個包装化された、吸収性物品の個包装体が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。吸収性物品を個包装化することにより、吸収性物品を1つずつ、簡易に且つ衛生的に持ち運ぶことができる。
【0003】
また、揮発性物質を含む、吸収性物品の個包装体が知られている。例えば、特許文献3では、包装シートが、中間層として、揮発性物質の透過性の低いバリア層を含むことにより、個包装体が保持する揮発性物質の揮発が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−10257号公報
【特許文献2】特開平9−10258号公報
【特許文献3】特表2007−525245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載の吸収性物品の個包装体では、包装体の気密性が不十分であり、保管中に折り畳まれた吸収性物品がその復元力により展開し、個包装体が膨張し、販売時に、吸収性物品の個包装体、又は複数の個包装体を含む、吸収性物品のパッケージの外観が損ねられる場合があった。
特許文献3に記載の吸収性物品の個包装体では、包装体の気密性が高いことから、保管中に包装体が膨張しにくく、吸収性物品の個包装体の外観が損ねられにくい利点があるが、シール部分においてバリア層同士が融着し、開封性に劣ることが多かった。
従って、本開示は、気密性に優れ、保管時に膨張等の変形が生じにくく、そして開封性に優れる吸収性物品の個包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者らは、長手方向及び幅方向を有し且つ当該長手方向に折り畳まれた吸収性物品と、収納空間を備え、上記収納空間に上記吸収性物品を気密状態で収納する包装体とを含む、吸収性物品の個包装体であって、上記包装体が、上記包装体を構成する包装シートを、上記吸収性物品と一緒に、1以上の折軸を基点に折り畳むことにより上記収納空間を形成するとともに、折り畳まれた上記包装シートを、上記長手方向の両側部においてシールすることにより形成された、一対のシール部とを有し、上記包装シートが、上記1以上の折軸により2以上のシート片に区画され、そして上記2以上のシート片のそれぞれが、気密層と、当該気密層よりも融点の低い融着層とを含み、上記一対のシール部のそれぞれが、25mm当たり10.0N以下の剥離強度を有することを特徴とする個包装体を見出した。
【発明の効果】
【0007】
本開示の吸収性物品の個包装体は、気密性に優れ、保管時に膨張等の変形が生じにくく、そして開封性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に従う吸収性物品の個包装体1の斜視図である。
図2図2は、図1に示される吸収性物品の個包装体1の一部開封状態を示す図である。
図3図3は、図1に示される吸収性物品の個包装体1の展開図である。
図4図4は、図1のIV−IV端面における端面図である。
図5図5は、第2実施形態に従う個包装体1を説明するための図である。
図6図6は、シール部の剥離強度の測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[定義]
・「軟化点」及び「融点」
本明細書において、「軟化点」及び「融点」は、それぞれ、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で、固体状から液状に変化する吸熱挙動を測定する際の、「吸熱開始温度」及び「ピークトップ温度」を意味する。
【0010】
・「長手方向」及び「幅方向」
本明細書において、「長手方向」及び「幅方向」は、それぞれ、吸収性物品の長手方向及び幅方向を意味する。
【0011】
本開示の吸収性物品は、以下の態様に関する。
[態様1]
長手方向及び幅方向を有し且つ当該長手方向に折り畳まれた吸収性物品と、収納空間を備え、上記収納空間に上記吸収性物品を気密状態で収納する包装体とを含む、吸収性物品の個包装体であって、
上記包装体が、上記包装体を構成する包装シートを、上記吸収性物品と一緒に、1以上の折軸を基点に折り畳むことにより上記収納空間を形成するとともに、折り畳まれた上記包装シートを、上記長手方向の両側部においてシールすることにより形成された、一対のシール部とを有し、
上記包装シートが、上記1以上の折軸により2以上のシート片に区画され、そして上記2以上のシート片のそれぞれが、気密層と、当該気密層よりも融点の低い融着層とを含み、
上記一対のシール部のそれぞれが、25mm当たり10.0N以下の剥離強度を有する、
ことを特徴とする、上記個包装体。
態様1の吸収性物品の個包装体は、気密性に優れ、保管時に膨張等の変形が生じにくく且つ開封性に優れる効果を有する。
【0012】
[態様2]
上記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つの上記シート片の融着層同士が融着している、態様1に記載の個包装体。
態様2の吸収性物品の個包装体では、一対のシール部が、シート片の融着層同士の融着により形成されているため、一対のシール部が接着剤等により形成された場合と比較して、外気が、個包装体内部に侵入しにくい。従って、態様2の吸収性物品の個包装体は、気密性に優れ、保管時に膨張等の変形が生じにくい効果を有する。
【0013】
[態様3]
上記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接し且つ融着している2つの上記シート片の融着層同士の剥離力が、お互いに隣接する2つの上記シート片のそれぞれにおける、上記融着層及び上記気密層の間の剥離力よりも小さい、態様2に記載の個包装体。
態様3の吸収性物品の個包装体では、開封時に、融着層及び気密層の間で層間剥離が生じにくく、そして2つの融着層の間で層間剥離が生じやすい。従って、態様3の吸収性物品の個包装体は、剥離した部分の美観に優れる効果を有する。
【0014】
[態様4]
上記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接し且つ融着している2つの上記シート片の融着層の一方又は両方の融着面が、コロナ処理又はプラズマ処理されている、態様2又は3に記載の個包装体。
態様4の吸収性物品の個包装体は、異なる2つのシート片において、2つの融着層の間の剥離力が低くなるため、開封性に優れる効果を有する。
【0015】
[態様5]
上記一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つの上記シート片の気密層同士が融着していない、態様1〜4のいずれか一項に記載の個包装体。
態様5の吸収性物品の個包装体は、異なる2つのシート片において、融着層よりも融点の高い気密層同士が融着していないため、開封性に優れる効果を有する。
【0016】
[態様6]
上記一対のシール部のそれぞれにおいて、上記融着層の厚さが、上記気密層の厚さよりも厚い、態様1〜5のいずれか一項に記載の個包装体。
態様6の吸収性物品の個包装体は、異なる2つのシート片において、気密層同士が融着しにくくなるため、開封性に優れる効果を有する。
【0017】
[態様7]
上記融着層の軟化点が、上記気密層の軟化点よりも10〜50℃低く、上記一対のシール部が、上記融着層の軟化点超且つ上記気密層の軟化点未満の温度で、上記包装シートをシールすることにより形成された、態様1〜6のいずれか一項に記載の個包装体。
態様7に記載の吸収性物品の個包装体は、気密層及び融着層の軟化点の差が大きく、それらの間の温度でシールされたため、融着層同士が融着するが、気密層同士が融着しにくいため、開封性に優れる効果を有する。
【0018】
[態様8]
上記融着層が、ポリオレフィン系ポリマーであり、そして上記気密層が、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルアルコール、及びナイロンから成る群から選択される、態様1〜7のいずれか一項に記載の個包装体。
態様8の吸収体の個包装体は、気密性に優れ、保管時に膨張等の変形が生じにくく且つ開封性に優れる効果を有する。
【0019】
[態様9]
態様1〜8のいずれか一項に記載の、複数の個包装体を含む、吸収性物品のパッケージ。
態様9の吸収性物品のパッケージは、パッケージの形状が、経時で膨張等の変化を生じにくく、美観に優れる効果を有する。
【0020】
[態様10]
態様1〜8のいずれか一項に記載の個包装体の製造方法であって、
上記包装シートを、上記吸収性物品と一緒に、1以上の折軸を基点に折り畳み、上記収納空間を形成するステップ、及び
折り畳まれた上記包装シートを、上記長手方向の両側部において、上記融着層の軟化点超且つ上記気密層の軟化点未満の温度でシールすることにより、折り畳まれた上記包装シートに、一対のシール部を形成するステップ、
を含む、上記製造方法。
態様10の製造方法により製造された個包装体は、保管時に膨張等の変形が生じにくく且つ開封性に優れる効果を有する。
【0021】
本開示の吸収性物品の個包装体について、以下、詳細に説明する。
図1図4は、本開示の実施形態の1つ(第1実施形態)に従う、吸収性物品の個包装体1を説明するための図である。なお、本明細書では、「吸収性物品の個包装体」を、単に『個包装体』と称する場合がある。
【0022】
具体的には、図1は、第1実施形態に従う個包装体1の斜視図であり、図2は、第1実施形態に従う個包装体1の一部開封状態を示す図であり、図3は、第1実施形態に従う個包装体1の展開図であり、そして図4は、図1のIV−IV端面における端面図である。
【0023】
第1実施形態に従う個包装体1は、長手方向L及び幅方向Wを有し、長手方向Lに折り畳まれた吸収性物品2と、収納空間10を備え、収納空間10に吸収性物品2を気密状態で収納する包装体3とを含む。
包装体3は、吸収性物品2と一緒に、2つの折軸F1及び折軸F2を基点に折り畳むことにより収納空間10を形成するとともに、折り畳まれた包装シート4を、長手方向Lの両側部においてシールすることにより形成された、一対のシール部5(5'及び5'')を有する。
【0024】
包装体3は、三折り(具体的には、巻三折り)の折り畳み構造を有する。なお、2つの折軸F1及び折軸F2のそれぞれは、吸収性物品2の幅方向Wと平行である。吸収性物品2もまた、2つの折軸F1及び折軸F2を基点に折り畳まれ、三折り(具体的には、巻三折り)折り畳み構造を有する。
【0025】
包装シート4は、包装体3の内面17を形成する融着層6と、包装体3の外面18を形成する融着層8と、それらの間の気密層7との3層の積層構造を有し、融着層6及び融着層8のそれぞれの融点は、気密層7の融点よりも低い。
一対のシール部5(5'及び5'')のそれぞれは、25mm当たり10.0N以下の剥離強度を有する。
【0026】
包装シート4は、一方の方向に長い縦長の形状を有し、包装シート4の長手方向が、吸収性物品2の長手方向Lと一致している。包装シート4は、(i)個包装体1を開封するためのタブ9を有する、包装シート4の長手方向の一方の端縁11と、折軸F1とにより区画される第1シート片13、(ii)折軸F1と、折軸F2とにより区画される第2シート片14、及び(iii)折軸F2と、包装シート4の長手方向の他方の端縁12とにより区画される第3シート片15から成る。
【0027】
一対のシール部5'及び5''のそれぞれにおいて、第1シート片13の融着層6が、隣接するシート片の融着層、すなわち、第2シート片14の融着層6及び第3シート片15の融着層8と融着している。また、第2シート片14の融着層6が、第3シート片15の融着層6と融着している。それにより、個包装体1の気密性が保持される。
【0028】
一対のシール部5'及び5''のそれぞれにおいて、第1シート片13の気密層7が、隣接するシート片の気密層、すなわち、第2シート片14の気密層7及び第3シート片15の気密層7と融着していない。また、第2シート片14の気密層7が、第3シート片15の気密層7と融着していない。それにより、個包装体1が開封性に優れる。
【0029】
包装シート4は、融着層6及び気密層7の間の接着層(図示せず)と、気密層7及び融着層8の間の接着層(図示せず)とを有する。一対のシール部5'及び5''のそれぞれにおいて、第1シート片13の融着層6と、第2シート片14の融着層6との間の剥離力が、第1シート片13の融着層6及び気密層7の間の剥離力より小さく、そして第2シート片14の融着層6及び気密層7の間の剥離力より小さい。それにより、個包装体1を開封した際、2つのシート片の融着層同士の間で剥離が生じ、一対のシール部5'及び5''の剥離面が美観に優れる。
【0030】
また、第2シート片14の融着層6と、第3シート片15の融着層8との間の剥離力が、第2シート片14の融着層6及び気密層7の間の剥離力より小さく、そして第3シート片15の融着層6及び気密層7の間の剥離力より小さい。それにより、個包装体1を開封した際、2つのシート片の融着層同士の間で剥離が生じ、一対のシール部5'及び5''の剥離面が美観に優れる。
【0031】
包装シート4では、融着層6及び融着層8のそれぞれが、気密層7より厚い。それにより、異なる2つのシート片の気密層同士が融着しにくくなり、個包装体が開封性に優れる。
【0032】
第1実施形態に従う個包装体1は、個包装体1の気密性を保つために、第1シート片13の、第3シート片15と接する面の、一方の端縁11よりの部分に、吸収性物品2の幅方向Wに延びる粘着部21を有する。粘着部21は、一対のシール部5'及び5''をまたぐように連続して配置されており、第1のシート片13を、第3のシート片15に固定し、個包装体1の気密性を保持する。
第1実施形態に従う個包装体1において、吸収性物品2は、エンボス部22等を有するが、吸収性物品2の構造については、その詳細な説明を省略する。
【0033】
第1実施形態に従う個包装体1では、包装体3を構成する包装シート4が、包装体3の内側から順に、融着層6、気密層7及び融着層8の3層の積層構造を有するが、本開示の個包装体では、包装シートは、3層の積層構造に限定されず、融着層と、気密層とを有している限り任意の積層構造を含む。
【0034】
本開示の別の実施形態(第2実施形態)では、包装シートが、融着層と、気密層との2層の積層構造を有する。図5は、第2実施形態に従う個包装体1を説明するための図であり、図1のIV−IV端面に相当する端面図である。なお、第2実施形態に従う個包装体1の斜視図は、図1と同様であるので、その斜視図を省略し、必要に応じて図1を参照する。
【0035】
第2実施形態に従う個包装体1では、包装体3が、包装シート4を、吸収性物品(図示せず)と一緒に、2つの折軸F1及び折軸F2、並びに折軸F2よりも、包装シート4の他方の端縁12よりに配置された折軸F3を基点に折り畳むことにより形成された、四折り(具体的には巻四折り)の折り畳み構造を有する。また、図示されていないが、吸収性物品は、第1実施形態と同様に、折軸F1及び折軸F2を基点に折り畳むことにより形成された、三折り(具体的には巻三折り)の折り畳み構造を有する。なお、3つの折軸F1,折軸F2及び折軸F3は、吸収性物品の幅方向Wと平行である。
【0036】
包装シート4は、(i)包装シート4の長手方向の一方の端縁11と、折軸F1とにより区画される第1シート片13、(ii)折軸F1と、折軸F2とにより区画される第2シート片14、(iii)折軸F2と、折軸F3とにより区画される第3シート片15、及び(iv)折軸F3と、包装シート4の長手方向の他方の端縁12とにより区画される第4シート片16から成る。
【0037】
一対のシール部5'及び5''のそれぞれにおいて、第1シート片13の融着層6が、隣接するシート片の融着層、すなわち、第2シート片14の融着層6及び第4シート片16の融着層6と融着している。また、第2シート片14の融着層6が、第3シート片15の融着層6と融着している。それにより、個包装体1の気密性が保持される。
【0038】
一対のシール部5'及び5''のそれぞれにおいて、第1シート片13の気密層7が、隣接するシート片の気密層、すなわち、第2シート片14の気密層7及び第4シート片16の気密層7と融着していない。また、第2シート片14の気密層7が、第3シート片15の気密層7と融着していない。それにより、個包装体1が開封性に優れる。
【0039】
本開示の個包装体では、一対のシール部のそれぞれが、25mmあたり、好ましくは10.0N以下、より好ましくは9.0N以下、そしてさらに好ましくは8.0N以下の剥離強度を有する。それにより、本開示の個包装体が開封性に優れる。
【0040】
本開示の個包装体では、剥離強度は、以下の通り測定される。
(1)20℃の恒温室に、インストロン社製型式5564試験機と、測定すべき個包装体を準備し、24時間静置する。
(2)図6(a)に示されるように、試験すべき個包装体1の包装体3から、試験用試料31を切り出す。試験用試料31は、シール部の延びる方向の長さ(吸収性物品の長手方向Lの長さ)が25mmとなるように切り出される。なお、包装体の構造に起因する場合等、試験用試料を、シール部の延びる方向に25mmの長さで切り出すことが難しい場合には、任意の長さで試験用試料を切り出し、後に、25mm当たりの剥離強度に換算する。
【0041】
また、試験用試料31において、シール部の延びる方向と直交する方向の長さ(吸収性物品の幅方向Wの長さ)は、上記試験機の治具(チャック間距離:20mm)にセットできる長さであればよく、例えば、30mmが挙げられる。
(3)試験用試料31の2つの自由端32及び33を、上記試験機の治具に、チャック間距離:20mmでセットし、300mm/分の速度で、シール部が完全に剥離するまで剥離試験(いわゆる、T型剥離試験)を行う。
(4)上記剥離試験における最大強度(N)を、剥離強度(N)として採用する。
(5)上記剥離試験を、異なる試験用試料で計10回繰り返し、その平均値を採用する。
【0042】
本開示の個包装体において、一対のシール部のそれぞれの幅、すなわち、吸収性物品の幅方向の長さは、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、そしてさらに好ましくは3mm以上である。個包装体の気密性を保持する観点からである。
本開示の個包装体において、一対のシール部のそれぞれの幅は、好ましくは8mm以下、より好ましくは7mm以下、そしてさらに好ましくは6mm以下である。個包装体の開封性を保持する観点からである。
【0043】
本開示の個包装体において、包装体を構成する包装シートは、気密層と、当該気密層よりも融点の低い融着層とを含むものであれば、特に制限されず、任意の層構造、例えば、第1実施形態に示されるような3層構造、第2実施形態に示されるような2層構造等を有することができる。
【0044】
本開示の個包装体において、融着層は、気密層よりも低い融点を有し、融着層は、気密層よりも、好ましくは30〜90℃、より好ましくは40〜80℃、そしてさらに好ましくは45〜75℃低い融点を有する。そうすることにより、包装シートの、お互いに隣接する2つのシート片の気密層同士を融着させない一方で、お互いに隣接する2つのシート片の融着層同士を融着させることができ、本開示の個包装体が開封性に優れる。
【0045】
本開示の個包装体において、融着層は、気密層よりも低い軟化点を有することが好ましく、融着層は、気密層よりも、より好ましくは10〜50℃、そしてさらに好ましくは20〜40℃低い軟化点を有する。そうすることにより、包装シートの、2つのシート片の気密層同士を融着させない一方で、包装シートの、お互いに隣接する2つのシート片の融着層同士を融着させることができ、本開示の個包装体が開封性に優れる。
【0046】
本開示の個包装体において、包装シートは、個包装体の気密性を確保し、個包装体の膨張等の変形を抑制する観点から、包装シートの厚さ方向に関して気密性を有することが好ましい。上記気密性の観点からは、上記包装シートは、23℃において、好ましくは100cc/m2/day/atm以下、より好ましくは60cc/m2/day/atm以下、さらに好ましくは40cc/m2/day/atm以下、そしてさらにいっそう好ましくは30cc/m2/day/atm以下の、厚さ方向の酸素透過度を有する。
上記酸素透過度は、クーロメトリック法に従い、23℃,0%RHの条件下で測定される。
【0047】
上記包装シートにおいて、気密層の素材は、個包装体の気密性を保持できるものであれば、当技術分野で公知の素材を制限なく採用することができ、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、例えば、塩化ビニリデンメチルアクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ナイロン、例えば、ナイロン6、アルミ箔、基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート等)上にアルミナ、シリカ等が蒸着されたものが挙げられる。
【0048】
上記包装シートにおいて、融着層の素材は、シール部を形成できるものであれば、当技術分野で公知の素材を制限なく採用することができ、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0049】
本開示の個包装体では、一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つのシート片の融着層の一方又は両方が、コロナ処理又はプラズマ処理(以下、「コロナ処理等」と称する)されていてもよい。
コロナ処理等を行うことにより、融着層の表面に、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性基が形成され、融着層の極性が高くなる。その結果、お互いに隣接する2つのシート片の融着層(包装体の内面同士)の極性基同士が引き合い、それらの貼付性が向上し、個包装体の気密性が向上する。
【0050】
さらに、コロナ処理等を行うことにより、シール部の剥離強度を調整することができる。例えば、お互いに隣接する2つのシート片において、一方のシート片の融着層の融着すべき面にコロナ処理等を行った後、シール部を形成することにより、シール部の剥離強度を下げることができる。
【0051】
本開示の個包装体では、一対のシール部は、個包装体の気密性を確保できるものであれば特に制限されず、当技術分野で公知の形態が含まれる。一対のシール部は、例えば、第1実施形態及び第2実施形態のように、お互いに隣接する2つのシート片の融着層同士を融着させることにより形成されてもよく、そしてお互いに隣接する2つのシート片同士を、接着剤等により接着させることにより形成されてもよい。
【0052】
本開示の個包装体において、一対のシール部が、包装シートの、お互いに隣接する2つのシート片の融着層同士を融着させることにより形成されている場合には、お互いに隣接する2つのシート片の気密層同士が融着していないことが好ましい。気密層は融着層よりも高い融点を有する場合が多く、気密層同士が融着すると、一対のシール部が硬くなり、個包装体を開封しにくくなる傾向があるからである。
【0053】
本開示の個包装体の包装シートにおいて、融着層の厚さが、気密層の厚さよりも厚いことが好ましい。お互いに隣接する2つのシート片の気密層同士の融着が抑制され、個包装体が開封性に優れるからである。
上記厚さは、包装シートの断面を顕微鏡で観察することにより測定される。
【0054】
本開示の個包装体では、一対のシール部のそれぞれにおいて、お互いに隣接する2つのシート片の融着層同士の剥離力が、2つのシート片のそれぞれにおける、融着層及び気密層の間の剥離力よりも小さいことが好ましい。個包装体を開封する際に、2つのシート片がそれらの融着層の間で剥離するため、剥離面の美観に優れるからである。そうでない場合には、個包装体を開封する際に、シート片の融着層及び気密層の間で剥離が生じ、剥離面が毛羽立ち、美観に劣る傾向がある。
【0055】
なお、融着層及び気密層の間の剥離力は、例えば、それらの間に接着剤層を配置し、接着剤の種類を選択すること等により調整することができる。上記接着剤層を形成しうる接着剤としては、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤等が挙げられる。
【0056】
本開示の個包装体において、吸収性物品が、揮発性成分を含むことができる。上記揮発性成分としては、冷感成分、例えば、皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用するもの、例えば、メントール(例えば、l−メントール)及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル)、サリチル酸メチル、カンファー、植物(例えば、ミント、ユーカリ)由来の精油等が挙げられる。また、上記冷感成分としては、気化熱により周囲の温度を下げるもの、例えば、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。
【0057】
本開示はまた、上述の個包装体を複数含む、吸収性物品のパッケージに関する。上記吸収性物品のパッケージは、複数の個包装体を、フィルムで覆うこと等により形成される。
上記吸収性物品のパッケージは、その形状が、経時で変化しにくく、美観に優れる効果を有する。
【0058】
本開示はまた、吸収性物品の個包装体の製造方法に関する。
本開示の製造方法は、以下のステップを含む。
上記包装シートを、上記吸収性物品と一緒に、少なくとも1つの折軸を基点に折り畳み、上記収納空間を形成するステップ。
折り畳まれた上記包装シートを、上記長手方向の両側部において、上記融着層の軟化点超且つ上記気密層の軟化点未満の温度でシールすることにより、折り畳まれた上記包装シートに、一対のシール部を形成するステップ。
本開示の製造方法により製造される吸収性物品の個包装体は、上述の効果を有する。
【0059】
一対のシール部を形成するステップは、折り畳まれた上記包装シートを、上記融着層の軟化点超且つ上記気密層の軟化点未満の温度に加熱した、一対のシール用ロールの間を通すことにより形成されうる。
【実施例】
【0060】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
第1実施形態(図1図4)に示される構造を有する個包装体を作成した。具体的には、包装シートNo.1を、市販の吸収性物品と一緒に2回折り畳み、第1シート片を第2シート片に粘着部で固定した。次いで、折り畳まれた包装シートNo.1を、吸収性物品の長手方向の両側部において、105℃で0.5秒間シールし、折り畳まれた包装シートNo.1に一対のシール部を形成し、包装体No.1及び個包装体No.1を形成した。
【0061】
包装シートNo.1は、内側(吸収性物品と接触する側)から、ポリエチレン(PE)層、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)層、及びポリエチレン(PE)層の3層構造を有し、それらの膜厚は、それぞれ、12μm、3μm及び12μmであった。ポリエチレン層と、エチレンビニルアルコールコポリマー層とは、接着層により接着されていた。また、包装シートの膜厚は、27μmであった。シール部は、吸収性物品の長手方向に連続して形成され、そしてその幅は、5mmであった。包装シートNo.1の特性を表1に示す。
【0062】
[比較製造例1〜4]
包装シートNo.1を、表1に示される包装シートNo.2〜5に変更し、シール温度を、表1に示される温度に変更した以外は、製造例1に従って、包装体No.2〜5、並びに個包装体No.2〜5を製造した。
なお、表中のPETは、ポリエチレンテレフタレートを意味する。
【0063】
[実施例1、並びに比較例1〜4]
本明細書に従って、包装シートNo.1〜No.5の剥離強度を測定した。なお、剥離強度は、第1シート片と、第2シート片とを剥離させることにより測定した。結果を表1にまとめる。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例1の個包装体No.1を開封したところ、比較例2の個包装体No.3と同等の開封性を有していた。一方、比較例1,3及び4の個包装体No.2,4及び5は、開封しにくかった。
実施例1の個包装体No.1のシール部の断面を顕微鏡で確認したところ、お互いに隣接する2つのシート片の融着層同士が融着しており、そして気密層同士が融着層を間に挟んで離間していることが確認された。一方、比較例1の個包装体No.2のシール部の断面を顕微鏡で確認したところ、お互いに隣接する2つのシート片の気密層同士が接していることが確認された。個包装体No.2は、お互いに隣接する2つのシート片の気密層同士が融着していることにより、剥離強度が高くなったことが示唆される。
【0066】
[実施例2]
製造例1で製造した個包装体No.1のシール温度を表2に示すとおり変化させ、剥離強度を測定した。結果を表2に示す。なお、実施例2では、シール部を、吸収性物品の長手方向に形成した点は実施例1と同様であるが、間欠的(ドット状)なシール部に変更した点で実施例1と異なり、剥離強度の値を、実施例1のものと直接比較することは適切ではない。
【0067】
【表2】
【0068】
表2より、剥離強度は、ポリエチレン層の軟化点である80℃付近から高くなり、ポリエチレン層同士の融着が進行したことが示唆される。また、剥離強度は、エチレンビニルアルコールコポリマー層の軟化点である110℃付近からさらに高くなる傾向があり、エチレンビニルアルコールコポリマー層同士の融着が進行したことが示唆される。
【符号の説明】
【0069】
1 個包装体
2 吸収性物品
3 包装体
4 包装シート
5 シール部
6,8 融着層
7 気密層
9 タブ
10 収納空間
11 一方の端縁
12 他方の端縁
13 第1シート片
14 第2シート片
15 第3シート片
16 第4シート片
17 内面
18 外面
21 粘着部
22 エンボス部
L 長手方向
W 幅方向
1,F2,F3 折軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6