(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
少なくとも1本の光ファイバと、当該光ファイバを挟むように配置された少なくとも2本の抗張力体と、を有する内層ケーブルと、前記内層ケーブルの周囲に設けられた介在層であって、繊維材料を含む介在層と、前記介在層の周囲を被覆する被覆層と、
を備える光ケーブルが明らかとなる。
このような光ケーブルによれば、内層ケーブルの周囲に介在層を備えるため、仮にステップルのようなもので光ケーブルが固定されたとしても、介在層の繊維材料がステップルの押しつけ力を緩衝する。そのため、内層ケーブルに著しい変形を生じさせることなく光ケーブルを固定することができる。また、このような光ケーブルによれば、内層ケーブル内に抗張力体を備えるため、その曲げ方向がほぼ決められてしまっている。しかしながら、内層ケーブルを繊維材料を含む介在層で被覆するので、決められた曲げ方向以外の方向に光ケーブルが曲げられたとしても、介在層を介して内層ケーブルが捻転する。そのため、光ケーブルがどの方向に曲げられたとしても、被覆層下で内層ケーブルが捻転し、内層ケーブルはその短径方向にのみ曲げられる。そのため、光ケーブルが固定されたときにおいて光ファイバに与える影響を少なくすることができる。
【0012】
前記被覆層の内径が、前記内層ケーブルの対角長より0.4mm以上大きいことが望ましい。このようにすることで、内層ケーブルと被覆層との間で介在層の繊維材料が容易に変形することができるので、より内層ケーブルを捻転しやすくすることができる。
【0013】
前記内層ケーブルの周囲に前記繊維材料をらせん状に巻き付けることが望ましい。このようにすることで、繊維材料の位置を安定させることができる。また、さらに、内層ケーブルの露出を抑制することができる。
【0014】
さらに、前記介在層内にメタル線を備えることが望ましい。このようにすることで、光ケーブルを敷設するとともにメタル線もともに敷設することができる。
【0015】
前記メタル線は、前記内層ケーブルの長辺側に配置されることが望ましい。このようにすることで、被覆層内のすきまにメタル線を配置することができるので、光ケーブルを細線化することができる。
【0016】
前記メタル線を前記内層ケーブルの長辺側に配置した状態で前記メタル線および前記内層ケーブルの周囲に前記繊維材料をらせん状に巻き付けることが望ましい。このようにすることで、メタル線の位置を内層ケーブルの長辺に沿う位置で安定させることができる。
【0017】
前記被覆層の内径が、前記内層ケーブルの短径と前記メタル線の径との和より0.4mm以上大きいことが望ましい。このようにすることで、メタル線を有した場合であっても、メタル線と内層ケーブルとの間で介在層の繊維材料が容易に変形することができるので、内層ケーブルを捻転しやすくすることができる。
【0018】
前記被覆層は、忌避成分を含有する忌避層を含むことが望ましい。このようにすることで、咬害対策を施した光ケーブルを提供することができる。
【0019】
前記忌避層の内面に押え巻きテープを接着させることが望ましい。このようにすることで、作業者が光ケーブルの被覆層を除去する際に、押え巻きテープが被覆層と一緒に除去されるため、作業者が忌避層の内面に触れにくくすることができる。
【0020】
===第1実施形態===
図1は、光ケーブル1の断面図である。光ケーブル1は、インドアケーブル2(内層ケーブルに相当)と、介在層4と、押え巻きテープ6と、シース8(被覆層に相当)とを有する。
【0021】
インドアケーブル2は、1本の光ファイバ心線2Aと、光ファイバ心線2Aを挟むように配置された抗張力体2Bと、光ファイバ心線2Aと抗張力体2Bとを一括被覆する被覆材2Cを備える。抗張力体2Bは、テンションメンバとも呼ばれる。抗張力体2Bは、光ケーブル1を敷設するときの張力によって、光ファイバ心線2に過大な伸びが生じないように、光ケーブル1の伸びを制限する。抗張力体2Bには、例えば、鋼線が用いられる。被覆材2Cには、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、難燃ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0022】
インドアケーブル2に含まれる光ファイバ心線2Aは複数本であってもよいし、複数本の光ファイバ心線2Aを含む光ファイバテープ心線であってもよい。複数本の光ファイバ心線2Aを含む光ファイバテープ心線が採用される場合には、インドアケーブル2の長径に沿う方向に複数の光ファイバテープ心線が並ぶように配置される。
【0023】
介在層4は、インドアケーブル2の外側と押え巻きテープ6の内側との間に配置された繊維材料から構成される層である。このように介在層4を設けることによって、インドアケーブル2をシース8内で捻転させやすくすることができる。ここで、「捻転」とは、シース8内で、インドアケーブル2が自由自在に回転変位することをいう。介在層4を構成する繊維材料は、プラスチック繊維又はガラス繊維から構成されている。ここでは、介在層4を構成する繊維材料として、プラスチック繊維であるPPヤーン(PP:ポリプロピレン)が採用されている。但し、介在層4を構成する繊維材料として、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、アラミド等の他のプラスチック繊維も使用可能である。また、介在層4を構成する繊維材料として、ガラス繊維であるガラスヤーンも使用可能である。
【0024】
介在層4を構成する繊維材料の耐熱性は、シース8の耐熱性よりも高いことが好ましい。これにより、シース8の押出成形時の熱による繊維材料の溶融や変形を抑制することができる。
【0025】
図中の介在層4は、4本の介在物4A(ここでは4本のPPヤーン)から構成されている。4本のPPヤーンは、インドアケーブル2の外周を一方向に螺旋状に巻き付けられている。インドアケーブル2の外周に繊維材料を螺旋状に巻き付けることによって、介在物4Aの位置を安定させることができる。また、さらにインドアケーブル2の露出を抑制することができる。
【0026】
介在層4を構成する複数の介在物4Aは、光ケーブル1の周方向に等間隔で配置されていることが好ましいが、異なる間隔で配置されてもよい。周方向に隣接する介在物4Aが互いに一部重なるように配置されることが好ましい。ただし、隣接する介在物4Aが周方向に離間していてもよい。また、介在層4を構成する介在物4Aの本数は、4本に限らず、他の本数でもよい。
【0027】
介在層4を構成する介在物4A(例えばPPヤーン)が、螺旋状に巻き付けられるのではなく、縦添えされていてもよい。ただし、介在物4Aをインドアケーブル2に縦添えさせた場合には、介在物4Aを螺旋状に巻き付けた場合と比べると介在物4Aの位置が安定しない。そこで、インドアケーブル2に縦添えした介在物4Aの周囲に紐を螺旋状に巻き付けてもよいしテープ類を施してもよい。これにより、介在物4Aの位置が安定する。巻き付ける紐としては、ナイロン紐、毛糸、木綿紐、ポリエステル紐及びアラミド繊維等を使用することができる。また、テープ類としては、ポリエステルテープ、ポリプロピレンテープ、ポリエチレンテープ等を使用することができる。
【0028】
介在層4を構成する介在物4Aは、光ケーブル1の径方向の寸法よりも、光ケーブル1の周方向の寸法が長いことが望ましい。介在物4Aがこのような形状であれば、インドアケーブル2の外周を覆いやすくなる。介在物4Aの断面形状は、楕円形状でもよいし、矩形(若しくはテープ状)でもよい。
【0029】
押え巻きテープ6は、インドアケーブル2の周囲に配置され、シース8の内面を内側から覆う部材である。ここでは、押え巻きテープ6は、介在層4を介しながらインドアケーブル2の周囲に配置されている。
【0030】
押え巻きテープ6には、ポリイミドテープ、ポリエステルテープ、ポリプロピレンテープ、ポリエチレンテープ等が使用される。この他、押え巻きテープ6として不織布を利用することができる。この場合、不織布は、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等をテープ状に形成したものが使用される。押え巻きテープ6は、不織布にポリエステルフィルム等のフィルムを貼り合わせたものでもよい。ここでは、押え巻きテープ6として、ポリエステルテープが採用されている。これにより、シース8を押し出し被覆する際に生じるPPヤーンとシース8の熱融着を防ぎ、シース8の除去性を良好に保つことができる。
【0031】
シース8は、押え巻きテープ6の周囲を被覆するシース材から構成される部位である。ここでは、シース8を構成するシース材として難燃ポリエチレンが採用されており、シース8の厚さは約2.0mmである。なお、シース材としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(商標登録)、フッ化エチレン又はポリプロピレン(PP)等の樹脂が使用可能である。
【0032】
このとき、後述する理由により、シース8の内径Dがインドアケーブル2の対角長より0.4mm以上大きいことが望ましい。このようにすることで、インドアケーブル2とシース8との間で介在層4の繊維材料が容易に変形することができるので、よりインドアケーブル2を捻転させやすくすることができる。
【0033】
図2Aは、光ケーブル1の向きを90°変えて光ケーブル1をステップル止めする様子の説明図である。
図2Bは、ステップル止めされた光ケーブル1の断面図であり、
図2Aにおける光ケーブル1のA−A断面図である。
図2Cは、インドアケーブル2が捻転した光ケーブルの断面図であり、
図2Aにおける光ケーブル1のB−B断面図である。インドアケーブル2とシース8の間には、PPヤーンなどの介在物4Aからなる介在層4が設けられている。そのため、ステップル30で光ケーブル1を固定した場合、シース8と介在層4が変形することで、ステップル30がシース8に食い込み、強固に、光ケーブル1を固定することができる(
図2B)。また、シース8と介在層4がステップル30の押圧力を吸収するので、内部のインドアケーブル2への著しい変形、曲がり、および、インドアケーブル2の外傷発生を抑制することができる。このように、インドアケーブル2には、著しい変形、曲がりが発生しにくいため、光ファイバ心線2Aの伝送特性(損失増加など)に影響を与えることなく、光ケーブル1を固定することができる。
【0034】
インドアケーブル2は抗張力体2Bを内部に有するため、光ケーブル1の曲げに方向性を生じさせる。具体的には、インドアケーブル2の短径方向について光ケーブル1は容易に曲がり、インドアケーブル2の長径方向について光ケーブル1は曲がりづらい。このような状況下においてインドアケーブル2の長径方向について曲率の大きな曲げが生ずると、抗張力体2Bを座屈させるなどして光ケーブル1を破損させる恐れがある。しかしながら、第1実施形態における光ケーブル1は、シース8とインドアケーブル2との間にPPヤーン等の介在物4Aからなる介在層4が設けられている。介在物4Aは、容易に変形することができるので、インドアケーブル2はシース8内で容易に捻転することができる。そのため、光ケーブル1がどの方向に曲げられても、シース8内でインドアケーブル2は捻転し、インドアケーブル2はその短径方向にのみに曲げられることになる(
図2A)。なお、シース8の内径はおおよそ円形であり、後述するように、インドアケーブル2の対角長より大きい。
【0035】
次に、第1実施形態における光ケーブル1をステップル止めしたときにおいて、光ファイバ心線2に与える影響について説明する。次のような手法で光ファイバ心線2に与える影響の評価を行った。
【0036】
第1実施形態の光ケーブル1を複数種類試作し、ステップル止めの際の伝送損失を測定した。以下の表に示すように、試作1から試作7の7種類の光ケーブルを試作し、それぞれについて評価を行った。試作1から試作7の条件は、以下の通りである。
・シース8として、難燃ポリエチレンを厚さ約1.5mmで被覆した。
・インドアケーブル2は、光ファイバに紫外線硬化樹脂を被覆した外径0.25mmの光ファイバ心線2Aと、抗張力体としてΦ0.5mmの鋼線2Bと、難燃ポリエチレンの被覆材2Cと、を有し、対角長を2.6mm(短径は約1.6mmとし、長径は約2.0mm)とした。
・ステップル30は、電気配線用絶縁ステップル(株式会社カワグチ製 3/4号)を用いた。
・ステップル打ちは、光ケーブルの向きを90°ずつ変えて、約20cm間隔で合計20回実施した(光ケーブルの向きを90°ずつ変えたのは、2つの抗張力体に挟まれると光ファイバが損傷しやすいためである)。このとき、光ケーブルの向きを90°変えるときの曲げやすさに応じて、光ケーブルの取り回し性の良否を評価した。
・損失変動は、測定波長1.55μmで光パワーメータを用いて測定した。そして、20回測定中の最大値を示した。
・光ケーブルのシースを輪切りにして(切断工具で周方向に沿って切断して)、シースを引き抜いてインドアケーブルを口出した後、切断工具によるインドアケーブルの外傷の有無を目視にて観察した。
・インドアケーブルの外傷は、ステップル打ち後、ステップル30を除去して光ケーブル1を解体し、ステップ打ちによるインドアケーブル2の外傷の有無を目視にて観察した。
・表中の「d」は、単位デニール(9000mあたり1gである糸の太さ)を表す。
【0038】
上記の取り回し性の評価結果に示される通り、シースの内径がコア径(インドアケーブルの対角長)よりも大きくなければ、光ケーブルの取り回し性が悪くなることが確認された。これは、「試作1」のようにシースの内径とコア径が同じ場合には、インドアケーブルが捻転しないため、インドアケーブルを短径方向に曲げられなくなるためである。また、シースの内径がインドアケーブル2の対角長より0.4mm以上大きくなければ、光ケーブルを輪切りにしたときにインドアケーブルに外傷が生じることが確認された。但し、「試作4」では、シースの内径がインドアケーブル2の対角長より0.4mm以上大きいものの、ステップル留め後の損失増加が大きく、かつ、ステップル打ち後のインドアケーブルに外傷があることが確認された。これは、「試作4」では、PPヤーンが介在されていないためだと考えられる。このため、インドアケーブルとシースとの間にはPPヤーン(介在物)からなる介在層が設けられることが望ましいことが確認された。
【0039】
上述の評価結果によれば、「試作3」でシース8の内径がインドアケーブル2の対角長より0.4mm以上大きい場合に、損失増加が極めて少なく、かつ、インドアケーブル2に外傷が無いことが確認できた。また、同様に、シース8の内径がインドアケーブル2の対角長より0.6mm以上大きい「試作5」〜「試作7」においても、損失増加がなく、かつ、インドアケーブル2に外傷が無いことが確認できた。よって、シース8の内径Dがインドアケーブル2の対角長より0.4mm以上大きいことが望ましいことになる。また、より望ましくは、シースの内径がインドアケーブルの対角長より0.6mm以上大きいことである。このように、シース8の内径Dがインドアケーブル2の対角長より0.4mm以上大きいこととすることで、インドアケーブル2とシース8との間で介在層4の介在物4Aが容易に変形することができる。そして、インドアケーブル2を捻転しやすくすることができる。
【0040】
前述のように、インドアケーブル2は一対の抗張力体2Bを備えるため、その曲げ方向がほぼ決められてしまっている。しかしながら、インドアケーブル2は介在層4で覆われているため、曲げづらい方向に光ケーブル1が曲げられたとしても、介在層4を介してインドアケーブル2は捻転することができる。よって、光ケーブル1がどの方向に曲げられたとしても、シース8内でインドアケーブル2を捻転させることができる。そのため、光ケーブル1が固定されたときにおいて光ファイバ心線2に与える影響を少なくすることができる。
【0041】
また、インドアケーブル2の周囲に介在層4を備えるため、ステップル30のようなもので光ケーブル1が固定されたとしても、介在層4の繊維材料がステップル30の押しつけ力を緩衝する。そして、インドアケーブル2に著しい変形を生じさせることなく光ケーブル1を固定することができる。
【0042】
===第2実施形態===
図3は、第2実施形態における光ケーブル1の断面図である。第2実施形態における光ケーブル1が第1実施形態のものと異なっているのは、2本のメタル線3を有する点である。ここでは、撚られた2本のメタル線3がインドアケーブル2に縦添えされている。つまり、撚られた2本のメタル線3が、インドアケーブル2の長辺側に沿うように配置される。2本のメタル線3が撚られている場合には、後述するように、シースの内径がインドアケーブル2の短径Hとメタル線の径(層心径)との和より0.4mm以上大きいことが望ましい。ただし、2本のメタル線3が撚られていなくてもよい。
【0043】
このとき介在層4は、インドアケーブル2とメタル線3を覆うように配置される。このように、インドアケーブル2とメタル線3を覆うように介在層4を設けることで、インドアケーブル2およびメタル線3をシース8内で捻転させやすくすることができる。
【0044】
このような光ケーブル1によれば、配管も無くメタル線も未敷設の状況下で、インドアケーブル2とメタル線3を同時に敷設することができる。また、このような光ケーブル1によれば、メタル線3がインドアケーブル2の長辺側に沿うように配置されるので、シース8内のすきまにメタル線3を配置することができる。そして、シース8内の径を小さくして、シース8内でインドアケーブル2およびメタル線3を捻転させやすくすることができる。また、光ケーブル1の細線化を図ることができる。
【0045】
また、インドアケーブル2の長辺に沿うようにメタル線3が縦添えされた状態で、インドアケーブル2およびメタル線3が介在物4Aでらせん状に巻き付けられる。このようにすることによって、メタル線3の位置をインドアケーブル2の長辺に沿う位置で安定させることができる。
【0046】
次に、第2実施形態における光ケーブルをステップル止めしたときにおいて、光ファイバ心線2に与える影響について説明する。次のような手法で光ファイバ心線2に与える影響の評価を行った。
【0047】
第2実施形態の光ケーブル1を複数種類試作し、ステップル止めの際の伝送損失を測定した。以下の表に示すように、試作1から試作7の7種類の光ケーブルを試作し、それぞれについて評価を行った。試作1から試作7の条件は、以下の通りである。
・シース8は、難燃ポリエチレンを厚さ約1.5mmで被覆した。
・インドアケーブル2は、光ファイバに紫外線硬化樹脂を被覆した外径0.25mmの光ファイバ心線2Aと、抗張力体としてΦ0.5mmの鋼線2Bと、難燃ポリエチレンの被覆材2Cと、を有し、短径を1.6mmとし、長径を2.0mmとした。
・メタル線3は、導体径0.65mmのものを採用し、ポリエチレン絶縁被覆径1.05mmの心線を2本、ピッチ約60mmでより合わせた対撚り線を用いた。
・ステップル30は、電気配線用絶縁ステップル(株式会社カワグチ製 1号)を用いた。
・ステップル打ちは、ケーブルの向きを90°変えて、約20cm間隔で合計20回実施した(光ケーブルの向きを90°ずつ変えたのは、2本の抗張力体に挟み込まれると光ファイバが損傷しやすいためである)。このとき、光ケーブルの向きを90°変えるときの曲げやすさに応じて、光ケーブルの取り回し性の良否を評価した。
・損失変動は、測定波長1.55μmで光パワーメータを用いて測定した。そして、20回測定中の最大値を示した。
・光ケーブルのシースを輪切りにして(切断工具で周方向に沿って切断して)、シースを引き抜いてインドアケーブルを口出した後、切断工具によるインドアケーブルの外傷の有無を目視にて観察した。
・インドアケーブル2の外傷は、ステップル打ち後、ステップル30を除去して光ケーブル1を解体し、中のインドアケーブル2の被覆材2Cおよびメタル線3を目視にて観察した。
・表中の「d」は、単位デニール(9000mあたり1gである糸の太さ)を表す。
【0049】
上記の評価結果においても、前述の表1の評価結果と同様に、シースの内径がコア径(インドアケーブル2の短径Hと対撚り径tw(メタル線の層心径)との和)よりも大きくなければ、光ケーブルの取り回し性が悪くなることが確認された。これは、「試作1」のようにシースの内径とコア径が同じ場合には、インドアケーブルが捻転しないため、インドアケーブルを短径方向に曲げられなくなるためである。また、シースの内径がコア径(インドアケーブル2の短径Hと対撚り径twとの和)より0.4mm以上大きくなければ、光ケーブルを輪切りにしたときにインドアケーブルに外傷が生じることが確認された。但し、「試作4」では、シースの内径がコア径より0.4mm以上大きいものの、ステップル留め後の損失増加が大きく、かつ、ステップル打ち後のインドアケーブルに外傷があることが確認された。これは、「試作4」では、PPヤーンが介在されていないためだと考えられる。このため、インドアケーブルとシースとの間にはPPヤーン(介在物)からなる介在層が設けられることが望ましいことが確認された。
【0050】
上述の評価結果によれば、「試作3」でシース8の内径Dが、コア径(インドアケーブル2の短径Hと対撚り径twとの和)より0.4mm以上大きい場合に、損失増加が極めて少なく、かつ、インドアケーブル2およびメタル線3の絶縁被覆に外傷が無いことが確認できた。また、同様に、シース8の内径が、インドアケーブル2の短径Hと対撚り径twとの和より0.6mm以上大きい「試作5」〜「試作7」においても、損失増加がなく、かつ、インドアケーブル2およびメタル線3の絶縁被覆に外傷が無いことが確認できた。よって、シース8内径Dがコア径(インドアケーブルの短径Hと対撚り径twの和)より0.4mm以上大きいことが望ましいことになる。また、より望ましくは、シース8の内径Dがインドアケーブル2の短径Hと対撚り径twの和より0.6mm以上大きいことである。
【0051】
このようにすることで、メタル線3を有した場合であっても、メタル線3とインドアケーブル2との間で介在層2の繊維材料が容易に変形することができるので、インドアケーブル2を捻転しやすくすることができる。
【0052】
===第3実施形態===
図4は、第3実施形態における光ケーブル1の断面図である。第3実施形態の光ケーブル1は、第1実施形態の光ケーブル1に対してさらに咬害対策がなされている。以下、第3実施形態における光ケーブル1について説明するが、前述の実施形態と共通の構成要素については、説明を省略する。
【0053】
第3実施形態におけるシース8は、忌避層8Aと、保護層8Bとを有する。忌避層8Aは、忌避成分を含有する層である。シース8に忌避成分が含有されるため、例えば鳥虫獣が光ケーブル1を試し噛みすると、忌避層8Aから鳥虫獣の嫌がる匂いや成分が出て鳥虫獣が光ケーブル1から退き、光ファイバ心線2Aの断線などを防ぐ。
【0054】
忌避層8Aとして、例えば、防鼠効果を有する辛味成分であるカプサイシンを有効成分濃度0.1%以上で含有した難燃性ポリオレフィン系樹脂を採用することができる。また、例えば、忌避層8Aの厚さは約1.5mmである。忌避成分を構成する辛味成分としては、ピペリン、シャビシン、ピペリジン、サンショオール、サンショアミド、ゼラニオール、ジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオール等が使用可能である。なお、こしょう、山椒、生姜、辛子、わさびなどの辛味材料をシース材に練り込むことによって、忌避層8Aが構成されてもよい。
【0055】
また、忌避層8Aには、忌避成分として防虫・殺虫成分が含有されていても良い。例えば、有機リン系殺虫剤として、クロールピリホス、ダイアジノン、フォスメット、マラチオンが使用可能である。また、有機塩素系殺虫剤として、DDT、TDE、メトキシクロール、リンデン、クロルデンが使用可能である。また、カルバメート系殺虫剤やピレトリン殺虫剤などが使用可能である。
【0056】
このように、第3実施形態における光ケーブル1のシース8は、忌避成分を含有する忌避層8Aを含むため、咬害対策を施した光ケーブル1を提供することができる。
【0057】
保護層8Bは、忌避層8Aの外表面に形成された層である。保護層8Bには忌避成分が含まれていない。保護層8Bが忌避層8Aの外表面に形成されることによって、作業者がシース8を除去する際に、作業者が忌避成分に触れにくくなる。
【0058】
保護層8Bとして、例えば、難燃ポリエチレンを採用することができる。また、例えば、保護層8Bの厚さは約0.5mmである。
【0059】
保護層8Bは、忌避層8Aと同様に、押出成形によって形成される。但し、忌避層8Aを押出成形によって形成した後、忌避層8Aの外側をコーティングすることによって保護層8Bを形成しても良い。例えば、フッ素樹脂コーティング、ウレタン樹脂コーティング、ナイロンコーティング、塩化ビニルコーティング、ポリエチレンコーティング等のコーティングを施すことによって、保護層8Bを形成することが可能である。
【0060】
また、保護層8Bは、作業者がシース8に接触することを防ぐ機能だけでなく、光ケーブル1の耐候性や耐摩擦性を向上させる機能を有することが好ましい。
【0061】
ここでは、押え巻きテープ6がシース8の内面(忌避層8Aの内面)に接着されている。これにより、作業者が光ケーブル1のシース8を除去する際に、押え巻きテープ6がシース8と一緒に除去されるため、作業者は忌避層8Aの内面に触れにくくなる。ここでは、押え巻きテープ6と忌避層8Aを軟化点まで熱することによって押え巻きテープ6と忌避層8Aとを熱融着させることによって、押え巻きテープ6がシース8の内面(忌避層8Aの内面)に接着されている。この熱融着では、シース8(忌避層8A又は保護層8B)の押出成形時の熱を利用してもよい。
【0062】
熱融着の代わりに、押え巻きテープ6の一部を忌避層8Aに食い込ませることによって、押え巻きテープ6を忌避層8Aの内面に接着させてもよい。この場合には、忌避層8Aを形成するときの樹脂の押出圧を調整することによって、押え巻きテープ6の皺を樹脂に食い込ませて、若しくは押え巻きテープ6の繊維を樹脂に食い込ませて、押え巻きテープ6と忌避層8Aの内面との間を物理的に接着させることができる。
【0063】
また、接着剤によって、押え巻きテープ6と忌避層8Aの内面との間を化学的に接着させてもよい。この場合には、押え巻きテープ6の周囲に接着剤を塗布した状態で押え巻きテープ6の周囲に忌避層8Aとなる樹脂を形成するとよい。
【0064】
このようにすることで、押え巻きテープ6がシース8の内面に密着するため、介在物4Aは変位しやすくなり、このためインドアケーブル2が捻転しやすくなる。
【0065】
更に別の方法として、インドアケーブル2の周囲に渦巻き状に巻き回された押え巻きテープ6が広がろうとする力によって(押え巻きテープ6のバネ力によって)、押え巻きテープ6を忌避層8Aの内面に接着させる方法もある。
【0066】
図5A及び
図5Bは、光ケーブル1を製造する製造装置の説明図である。
図5Aに示すように、介在層4を構成する介在物4Aを螺旋状に巻いたインドアケーブル2と、押え巻きテープ6とが押出機に供給される。
図5Bに示すように、介在物4Aを螺旋状に巻いたインドアケーブル2の周囲に押え巻きテープ6が渦巻き状に巻き回される。渦巻き状の押え巻きテープ6は、不図示の工具(テープフォーマ)によって、下流側ほど外径が絞られて先細になっている。押え巻きテープ6には加熱による癖付けは施されていないため、テープフォーマ(押え巻きテープ6を先細の渦巻き状に絞る不図示の工具)を押え巻きテープ6が通過すると、押え巻きテープ6は元の状態に広がろうとするが、ここでは、押え巻きテープ6を渦巻き状に巻き回した直後に(押え巻きテープ6が広がってしまう前に)、押え巻きテープ6を巻いたインドアケーブル2を押出機に送り出して、押え巻きテープ6の周囲に樹脂(忌避層8A)を形成する。
【0067】
なお、押え巻きテープ6が先細に巻き回されているため、不図示のテープフォーマを通過した押え巻きテープ6はすぐに元の状態に広がりにくい状態になるので、押え巻きテープ6が広がってしまう前に樹脂(忌避層8A)を形成することが容易になる。これにより、押え巻きテープ6が広がろうとする力によって(押え巻きテープ6のバネ力によって)、押え巻きテープ6を忌避層8Aの内面に接着できる。このようにすることで、忌避層8Aの内面を押え巻きテープ6で覆うだけなので、光ケーブル1の製造工程が簡潔なものになる。また、このようにすることで、押え巻きテープ6がシース8の内面に密着するため、介在物4Aは変位しやすくなり、このためインドアケーブル2が捻転しやすくなる。
【0068】
図6A〜
図6Cは、光ケーブル1の口出し作業の説明図である。まず、作業者は、
図6Aに示すように、光ケーブル1のシース8及び押え巻きテープ6を切断工具10で周方向に沿って切断し、シース8及び押え巻きテープ6を輪切りにする。切断工具10としては、刃の挿入深さを調整可能であり、刃の対向する位置にガイドが設けられているものが好ましい。例えば、切断工具10として、ジェフコム株式会社製の同軸ケーブルストリッパCCS−600や、IDEAL製のCoaxial cable stripper等が使用可能である。
【0069】
ここでは、シース8の忌避層8Aの内面に押え巻きテープ6が接着されている。このため、シース8とともに押え巻きテープ6を切断することが容易になっている。
【0070】
また、ここでは、インドアケーブル2の周囲には介在層4を構成する繊維材料が配置されている。このため、切断工具10の刃が押え巻きテープ6よりも内側に達しても、インドアケーブル2の損傷が抑制される。さらに、介在層4を構成する繊維材料が、インドアケーブル2の周囲に螺旋状に配置されている。これにより、インドアケーブル2の露出面積が小さくなるため、切断工具10の刃がインドアケーブル2に接する可能性が低減され、インドアケーブル2の損傷をより抑制できる。このようにインドアケーブル2の周囲に介在層4が配置されているため、シース8とともに押え巻きテープ6を切断することが容易になり、安全な作業が可能になるという効果もある。
【0071】
なお、シース8の表面には保護層8Bが形成されるため、作業者が切断作業時に光ケーブル1を掴んでも、作業者が忌避層8Aに接触せずに済む。
【0072】
次に、作業者は、
図6Bに示すように、光ケーブル1の長手方向に沿ってシース8を引き抜き、シース8を除去する。シース8の外表面には保護層8Bがあるので、作業者がシース8を引き抜くときに光ケーブル1を掴んでも、作業者が忌避層8Aに接触せずに済む。また、シース8の内面に押え巻きテープ6が接着された状態で、シース8が引き抜かれるため、作業者が忌避層8Aに触れにくくなっている。
【0073】
また、ここでは、光ケーブル1の周方向に沿ってシース8を切断しているため(
図6A参照)、
図6Bに示すように、切断面が、光ケーブル1の周方向になる。このため、切断面が光ケーブル1(光ファイバ心線2A)の長手方向に沿っている場合と比べると、忌避層8Aの切り口の露出が少ない。したがって、光ケーブル1の周方向に沿ってシース8を切断することによって、作業者が忌避層8Aに触れにくくなる。なお、仮に光ケーブル1のシース8がケーブル長手方向に沿って切断されてしまうと(シース8が切り裂かれてしまうと)、シースの切り口が長いため、作業者が切り口に触れやすくなってしまう。
【0074】
最後に、作業者は、
図6Cに示すように、インドアケーブル2のノッチに沿って内層ケーブル2を切り裂いて、インドアケーブル2の光ファイバ心線2Aを口出しする。
【0075】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた形態もその範疇である。