(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(1)による前記混合物が、さらにCHA型骨格構造における前記Y原子、及び/又は前記X原子の少なくとも一部の同形置換に適している1種以上の元素の1種以上の供給源を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的の範囲において、本発明の方法の特定の、且つ好ましい実施形態による工程(1)において供給され、工程(2)において結晶化される前記混合物中に含まれているZ
2O
5源の量に関して、用語「実質的な」は、好ましくは、前記1種以上のYO
2源に含まれるYO
2の100質量%に基づいて、Z
2O
5源に含まれるZ
2O
5の5質量%以下の量を示し、さらに好ましくは、前記1種以上のYO
2源に含まれるYO
2の100質量%に基づいて、Z
2O
5源に含まれるZ
2O
5の1質量%以下の量、さらに好ましくは0.5質量%以下の量、さらに好ましくは0.1質量%以下の量、さらに好ましくは0.05質量%以下の量、さらに好ましくは0.01質量%以下の量、さらに好ましくは0.005質量%以下の量、さらに好ましくは0.001質量%以下の量、さらに好ましくは0.0005質量%以下の量、さらにいっそう好ましくは0.0001質量%以下の量を示す。
【0019】
本発明の方法によれば、1種以上のYO
2源は、工程(1)において供給され、前記1種以上の供給源は、YO
2及びX
2O
3を含み、且つCHA型骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化されるならば、考えられる任意の形態で供給され得る。好ましくは、YO
2は、それ自体として、及び/又は化学的な部分としてYO
2を含む化合物として、及び/又は本発明の方法の間にYO
2へ化学的に(部分的に又は完全に)変換される化合物として供給される。
【0020】
本発明において使用されるYO
2、及び/又はその前駆体に関しては、Yが表す1種以上の元素について、その元素が四価の元素であり、工程(2)において結晶化されるゼオライト材料に含まれるのであれば、特に制限は無い。特に、本発明の目的の範囲において、YO
2は少なくとも部分的に、好ましくは完全に、ゼオライト材料の骨格構造に、構造構築元素として含まれ、その骨格構造によって形成される細孔又は空洞に存在し得、一般にゼオライト材料に典型的であり得る非骨格元素とは対照的である。したがって、前述のことを考慮し、Yは考えられる任意の四価の元素を表しても良く、Yは単独、或いは数個の四価の元素を表しても良い。本発明によれば、好ましい四価の元素は、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の組合せを含む。本発明の好ましい実施形態によれば、YはSi及び/又はSnを表し、本発明の特に好ましい実施形態によれば、YはSiを含み、さらにいっそう好ましくは、YはSiである。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、YがSi、又は1種以上の他の四価の元素とSiの組合せを表す場合、工程(1)において好ましく供給されるSiO
2源もまた、任意の考えられる供給源であり得る。したがって、例として、任意の種類のシリカ及び/又はケイ酸塩、及び/又はシリカ誘導体が使用されても良く、好ましくは1種以上のYO
2源は、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、セスキシリケート、ジシリケート、コロイド状シリカ、焼成シリカ、ケイ酸エステルからなる群から選択される1種以上の化合物を含むか、又は前述の化合物の任意の2種以上の混合物が同様に使用されても良い。特に好ましい実施形態によれば、本発明の方法の工程(1)において使用される1種以上のYO
2源は、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、コロイド状シリカ、ケイ酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。前記特に好ましい実施形態によれば、1種以上のYO
2源は、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが、さらに好ましく、本発明の方法によれば、さらにいっそう好ましくは、1種以上のYO
2源はヒュームドシリカ、及び/又はコロイド状シリカを含む。
【0022】
本発明の方法の工程(1)による混合物にさらに供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオン、R
1R
2R
3R
4N
+に関して、それらの種類及び/又は量について、R
1、R
2、R
3がアルキルを表し、R
4がシクロアルキル部分を表し、工程(1)において供給されるそれらの種類及び/又は量が、工程(2)において、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化を可能にするのであれば、特に制限は無い。したがって、本発明の方法の工程(1)において供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+のアルキル部分R
1、R
2、及びR
3に関しては、例として、これらは互いに独立して、任意に置換された、及び/又は任意に分岐した(C
1−C
6)アルキルを表しても良い。本発明によれば、R
1、R
2、及びR
3は、同一でも良く、又はR
1、R
2、及びR
3の2種が同一であり、1種が他と異なっていても良く、又はR
1、R
2、及びR
3が、それぞれ互いに異なっていても良いが、R
1、R
2、及びR
3の少なくとも2種が同一のアルキル部分であることが好ましく、本発明の特定の実施形態によれば、さらにいっそう好ましくはR
1、R
2、及びR
3が、同一のアルキル部分である。本発明の好ましい実施形態に関しては、R
1、R
2、及びR
3は、互いに独立して、任意に置換された、及び/又は任意に分岐した(C
1−C
5)アルキルを表し、さらに好ましくは、R
1、R
2、及びR
3は、互いに独立して、(C
1−C
4)アルキル、さらに好ましくは(C
1−C
3)アルキルからなる群から選択され、さらにいっそう好ましくは、R
1、R
2、及びR
3は、互いに独立して、任意に置換された、メチル又はエチルを表す。本発明の特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1種、好ましくは2種、さらにいっそう好ましくは全てのR
1、R
2、及びR
3が、任意に置換されたメチル、好ましくは非置換のメチルを表す。
【0023】
したがって、本発明の方法の工程(1)による混合物にさらに供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+に関しては、本発明によれば、R
1、R
2、及びR
3は、互いに独立して、任意に置換された、及び/又は任意に分岐した(C
1−C
6)アルキル、好ましくは(C
1−C
5)アルキル、さらに好ましくは(C
1−C
4)アルキル、さらに好ましくは(C
1−C
3)アルキル、さらにいっそう好ましくは任意に置換されたメチル又はエチルを表すことが好ましく、さらにいっそう好ましくは、R
1、R
2、及びR
3は、任意に置換されたメチル、好ましくは非置換のメチルを表す。
【0024】
本発明の方法の工程(1)において供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+のシクロアルキル部分R
4に関しては、R
4は、任意の適切なシクロアルキル基を表しても良く、好ましくは、任意に複素環式である、及び/又は任意に置換された、シクロアルキルからなる群から選択されるシクロアルキルである。任意に複素環式であるシクロアルキル部分を形成する鎖員数に関しては、本発明によれば、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、本発明の方法の工程(2)において結晶化され得るのであれば、この点において特に制限は適用されない。したがって、例として、任意に複素環式であるシクロアルキル部分は、任意の適切な鎖員数から形成されても良く、前記環部分は、任意に複素環式である、5〜8員環のシクロアルキル、さらに好ましくは5〜7員環のシクロアルキル、さらに好ましくは5〜6員環のシクロアルキルから形成されることが好ましく、さらにいっそう好ましくは、任意に複素環式であるシクロアルキルは、6員環のシクロアルキルである。本発明による任意に複素環式であるシクロアルキル部分が置換され得る、置換基部分に関して、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、工程(2)において結晶化され得るのであれば、この点においても特に制限は無い。したがって、例として、任意に複素環式である部分の1個以上の任意の置換基は、(C
1−C
3)アルキル、(C
1−C
3)アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン化物、(C
1−C
3)カルボキシル、(C
1−C
3)カルボニル、(C
1−C
3)アミン、及びそれらの2個以上の組合せからなる群から、好ましくは(C
1−C
2)アルキル、(C
1−C
2)アルコキシ、水酸基、クロロ、ブロモ、フルオロ、及びそれらの2個以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはメチル、水酸基、クロロ、及びそれらの2個以上の組合せからなる群から選択されても良く、さらにいっそう好ましくは、1種以上の任意の置換基は、メチル及び/又は水酸基であり、好ましくはメチルである。本発明の特定の実施形態によれば、任意に複素環式であるシクロアルキル部分上に存在する置換基の数に関して、それらの数は、1〜4個の範囲であっても良く、好ましくは1〜3個の置換基が任意に複素環式であるシクロアルキル上に存在し、さらに好ましくは1又は2個であり、さらにいっそう好ましくは1個の置換基が、本発明の特定の実施形態によるR
4の任意に複素環式であるシクロアルキル部分上に存在する。しかしながら、本発明によれば、R
4は、非置換の任意に複素環式であるシクロアルキルを表すこと、さらにいっそう好ましくはシクロへキシルを表すことが、特に好ましい。
【0025】
R
4が任意に置換された複素環式シクロアルキルである本発明の実施形態において存在し得るヘテロ原子に関して、本発明によれば、複素環式シクロアルキルに存在し得るヘテロ原子の種類についても、その数についても、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、工程(2)において結晶化され得るのであれば、同様に特に制限は適用されない。したがって、例として、複素環式シクロアルキルに含まれる1個以上のヘテロ原子は、N、O、S、Se、P、Cl、Br、I、及びそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される1個以上の元素を含んでも良く、好ましくは、1個以上のヘテロ原子は、N、O、S、Se、P、及びそれらの2個以上の組合せからなる群から、さらに好ましくは、N、O、S、及びそれらの2個又は3個の組合せからなる群から、選択される1個以上の元素を含み、さらにいっそう好ましくは、1個以上のヘテロ原子は、N及び/又はO、好ましくはOを含む。本発明の特定の実施形態による複素環式シクロアルキルの鎖員として含まれるヘテロ原子の数に関しては、それらの数は、1〜4個の範囲であっても良く、好ましくは、複素環式シクロアルキル中に1〜3このヘテロ原子が存在し、さらに好ましくは1又は2個であり、さらにいっそう好ましくは、1個のヘテロ原子が、本発明の特定の実施形態によるR
4の複素環式シクロアルキル部分に含まれる。しかしながら、本発明によれば、本発明の方法の工程(1)において供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物のシクロアルキル部分R
4が、へテロ原子を含まないシクロアルキルであること、好ましくはシクロへキシルであることが、特に好ましい。
【0026】
したがって、本発明の方法の工程(1)による混合物にさらに供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+に関しては、本発明によれば、R
4が、任意に複素環式である、及び/任意に置換された5〜8員環のシクロアルキル、好ましくは5〜7員環のシクロアルキル、さらに好ましくは5〜6員環のシクロアルキルを表すことが好ましく、さらにいっそう好ましくは、R
4は、任意に複素環式である、及び/又は任意に置換された6員環のシクロアルキル、好ましくは任意に置換されたシクロへキシル、さらに好ましくは非置換のシクロへキシルを表す。
【0027】
また、本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
4)アルキル−(C
5−C
7)シクロアルキルアンモニウム化合物、好ましくは1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
3)アルキル−(C
5−C
6)シクロアルキルアンモニウム化合物、さらに好ましくは1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−(C
5−C
6)シクロアルキルアンモニウム化合物、さらに好ましくは1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−シクロペンチルアンモニウム、及び/又は1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−シクロヘキシルアンモニウム化合物、さらに好ましくはN,N,N−トリエチル−シクロヘキシルアンモニウム、N,N−ジエチル−N−メチル−シクロヘキシルアンモニウム、N,N−ジメチル−N−エチル−シクロヘキシルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物及びそれらの2種以上の混合物から選択される1種以上の化合物を含み、本発明の方法によれば、さらにいっそう好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、1種以上のN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物を含み、さらにいっそう好ましくは、本発明の方法の工程(1)において供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、1種以上のN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物からなり、さらによりいっそう好ましくは、単独のN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物からなる。
【0028】
本発明によれば、本発明の方法の工程(1)において供給され得る1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物の種類に関しては、その中に含まれる1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+が、本発明の方法の工程(2)における反応混合物の結晶化において、構造指向剤として機能を果たし得れば、特に制限は無い。好ましい実施形態によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、1種以上の塩である。原則として、前記好ましい実施形態によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+の対イオンに関しても、これらが、1種以上の前述のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+の構造指向剤作用による本発明の工程におけるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化を可能にさせれば、同様に特に制限は無い。したがって、例として、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物から選択される1種以上の塩を含んでいても良い。ハロゲン化物塩に関しては、好ましくは、これらは、塩化物塩及び/又は臭化物塩であり、さらにいっそう好ましくは塩化物塩が使用される。本発明の好ましい実施形態によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウム化合物は、塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩を含み、さらに好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、テトラアルキルアンモニウム水酸化物及び/又は塩化物である。特に好ましい実施形態によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、本発明の方法の工程(1)において、それらの水酸化物塩として供給される。
【0029】
したがって、さらに好ましい本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、N,N,N−トリ(C
1−C
4)アルキル−(C
5−C
7)シクロアルキルアンモニウム水酸化物からなる群から、好ましくはN,N,N−トリ(C
1−C
3)アルキル−(C
5−C
6)シクロアルキルアンモニウム水酸化物からなる群から、さらに好ましくはN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−(C
5−C
6)シクロアルキルアンモニウム水酸化物からなる群から、さらに好ましくはN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−シクロペンチルアンモニウム、及び/又はN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、さらに、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、N,N,N−トリエチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物、N,N−ジエチル−N−メチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物、N,N−ジメチル−N−エチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物、N,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物、及びそれらの2種以上の混合物から選択されることが、いっそう好ましい。さらによりいっそう好ましい本発明の実施形態によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、N,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物を含み、さらにいっそう好ましくは、工程(1)において供給されるテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物は、N,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物である。
【0030】
本発明の方法の工程(1)における混合物中に供給され得る1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+における量に関しては、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、本発明の方法の工程(2)において結晶化され得れば、この点について、同様に特に制限は無い。したがって、例として、混合物中に供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+:YO
2のモル比は、0.01〜5の範囲であっても良く、好ましくは、前記モル比が、0.05〜3の範囲、さらに好ましくは0.1〜1.5の範囲、さらに好ましくは0.3〜1の範囲、さらに好ましくは0.4〜0.8の範囲、さらにいっそう好ましくは0.45〜0.75の範囲に含まれる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)により混合物中に供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+:YO
2のモル比は、0.5〜0.7の範囲に含まれる。
【0031】
本発明によれば、工程(1)において供給される混合物は、さらに1種以上のX
2O
3源を含み、Xは三価の元素である。工程(1)において供給される1種以上のX
2O
3源に含まれる三価の元素Xとして使用され得る元素に関しては、本発明によれば、使用され得る元素又は元素混合物について、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、骨格元素としてYO
2及びX
2O
3を含む工程(2)において結晶化されれば、特に制限は無い。本発明の好ましい実施形態によれば、XはAl、B、In、Ga、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、XはAl、及び/又はBである。本発明の特に好ましい実施形態によれば、XはAlを含み、さらにいっそう好ましくは、XはAlである。
【0032】
工程(1)における混合物が1種以上のX
2O
3源を含む本発明の実施形態によれば、1種以上のAl
2O
3源が混合物に含まれる例として、前記1種以上の供給源が、アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミナ、アルミン酸塩、アルミニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましく、アルミン酸塩は、好ましくは、アルカリ金属アルミン酸塩、水酸化アルミニウム、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のアルミン酸塩であり、さらに好ましくは、水酸化アルミニウム、アルカリ金属アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の混合物から選択されるアルミン酸塩であり、アルカリ金属は、好ましくはナトリウム及び/又はカリウムであり、さらに好ましくはナトリウムである。あるいは、1種以上のX
2O
3源がアルミニウムを含む実施形態によれば、1種以上の供給源が、アルミニウム粉末を含むことが好ましい。また、1種以上のX
2O
3源がアルミニウムアルコキシドを含む実施形態によれば、それらに含まれるアルコキシド置換基について、ゼオライト材料が、本発明の工程(2)において結晶化され得れば、特に制限は無い。したがって、例として、1種以上のアルミニウムアルコキシドは、(C
1−C
5)アルコキシドからなる群から、好ましくは(C
1−C
4)アルコキシドからなる群から、さらに好ましくは(C
2−C
3)アルコキシドからなる群から、さらにいっそう好ましくは分岐したC
3−アルコキシドから選択されて使用されても良く、さらにいっそう好ましくは、1種以上のX
2O
3源は、アルミニウムトリイソプロピレートを含む。
【0033】
本発明によれば、1種以上のX
2O
3源は、アルミナ、アルミニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはアルミナ、AlO(OH)、Al(OH)
3、ハロゲン化アルミニウム(好ましくはフッ化、及び/又は塩化、及び/又は臭化アルミニウム、さらに好ましくはフッ化、及び/又塩化アルミニウム、さらにいっそう好ましくは塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、フルオロケイ酸アルミニウム、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはAlO(OH)、Al(OH)
3、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはAlO(OH)、Al(OH)
3、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の化合物を含むことが、特に好ましい。本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、1種以上のX
2O
3源は、AlO(OH)及び/又は硫酸アルミニウムを含み、さらにいっそう好ましくは硫酸アルミニウムを含む。
【0034】
0.5〜500、好ましくは、さらに好ましくは、さらに好ましくは20〜100、さらに好ましくは30〜80、さらに好ましくは40〜60、さらにいっそう好ましくは45〜55。
【0035】
1種以上のX
2O
3源が工程(1)において供給される本発明の実施形態に関しては、本発明によれば、1種以上のX
2O
3源の種類についても、それらが使用される量についても特に制限は適用されない。したがって、例として、工程(1)の混合物に供給される1種以上のYO
2源の量に関連して、混合物のYO
2:X
2O
3モル比は、0.5〜500の範囲であっても良く、好ましくは、モル比は1〜200の範囲、5〜150の範囲、さらに好ましくは20〜100の範囲、さらに好ましくは30〜80の範囲、さらにいっそう好ましくは40〜60の範囲を含んで供給される。特に好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給される混合物のYO
2:X
2O
3モル比は、45〜55の範囲に含まれる。
【0036】
本発明の方法によれば、種結晶が工程(1)において任意に供給されても良く、前記種結晶は、好ましくは工程(2)における結晶化から得られるような骨格構造と同じ種類のゼオライト材料を含み、さらに好ましくは種結晶は、本発明の方法により得られるようなゼオライト材料を含む。特に好ましい実施形態によれば、種結晶は、1種以上のCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を含む。前記好ましい実施形態によれば、種結晶は、好ましくはCHA型骨格構造を有するゼオライト材料である、ゼオライト材料が工程(2)において結晶化されるのであれば、CHA型骨格構造を有する任意のゼオライト材料を含んでいても良く、さらに好ましくは、種結晶に含まれるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料は、本発明の方法により得られたゼオライト材料であり、さらにいっそう好ましくは、種結晶に含まれるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料は、工程(2)において、その後結晶化されるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料と同じである。本発明によれば、(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含む種結晶が、特に好ましく、さらに好ましくは、種結晶は(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト(イラン)、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、さらにいっそう好ましくは、種結晶はチャバザイトを含む。さらにいっそう好ましい実施形態によれば、チャバザイトは、本発明の方法において種結晶として使用され、好ましくは、前記チャバザイト種結晶は、本発明の方法により得られるか、又は本発明の方法により得られたかのどちらかである。
【0037】
本発明の方法によれば、ゼオライト材料が工程(2)において結晶化されれば、種結晶の任意の適切な量が、工程(1)による混合物中に供給され得る。一般に、工程(1)による混合物中に含まれる種結晶の量は、少なくとも1種のYO
2源におけるYO
2の100質量%に基づいて、0.1〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.3〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.5〜5質量%の範囲、さらにいっそう好ましくは1〜3質量%の範囲である。本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、本発明の特定の、且つ好ましい実施形態の何れかにより、本発明の方法の工程(1)において供給される少なくとも1種のYO
2源におけるYO
2の100質量%に基づいて、1.5〜2.5質量%の種結晶が使用される。
【0038】
種結晶が使用される本発明の好ましい実施形態に関しては、本発明の方法の工程(1)における混合物中に供給され得る1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+の量について、CHA骨格構造を有するゼオライト材料が、工程(2)において結晶化され得るのであれば、特に制限は無い。したがって、工程(1)における混合物に供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+:YO
2のモル比は、本発明において規定されたように任意の特定の範囲、及び好ましい範囲に含まれても良い。しかしながら、工程(1)において種結晶が、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物に加えて供給される実施形態の本発明によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+:YO
2のモル比は、0.01〜2の範囲に含まれることが特に好ましく、さらに好ましくは、前記モル比は、0.03〜1の範囲、さらに好ましくは0・05〜0.5の範囲、さらに好ましくは0.1〜0.3の範囲、さらにいっそう好ましくは0.15〜0.25の範囲に含まれる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)による混合物中に供給される1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+:YO
2のモル比は、0.18〜0.22の範囲に含まれる。
【0039】
本発明による工程(1)において、混合物は、任意の考えられる手段により調製され得、撹拌(agitation)による混合、好ましくは撹拌(stirring)の手段による混合が好ましい。
【0040】
本発明の方法の好ましい実施形態において、工程(1)において供給される混合物は、さらに1種以上の溶媒を含む。本発明の方法によれば、1種以上の溶媒の種類、及び/又は数も、本発明の方法において使用され得る量に関しても、何であれ、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得るのであれば、特に制限は無い。しかしながら、本発明の方法によれば、1種以上の溶媒は、水、さらに好ましくは蒸留水を含むことが好ましく、特に好ましい実施形態によれば、蒸留水が、工程(1)において供給される混合物中の唯一の溶媒として使用される。
【0041】
上述のように、1種以上の溶媒が試用される本発明の好ましい実施形態において、それらが使用され得る量については、特に制限はなく、水、さらに好ましくは蒸留水を使用する特に好ましい実施形態においては、混合物のH
2O:YO
2モル比は、例として、3〜50の範囲であっても良く、好ましくは、前記使用されるモル比は、4〜30の範囲、さらに好ましくは4.5〜20の範囲、さらに好ましくは5〜15の範囲、さらにいっそう好ましくは5.5〜12の範囲に含まれる。水、好ましくは蒸留水が、工程(1)において供給される1種以上の溶媒の中に含まれ、且つさらにいっそう好ましくは工程(2)において結晶化される反応混合物中に使用される単独の溶媒である、本発明の特に好ましい実施形態によれば、H
2O:YO
2モル比は、6〜10の範囲に含まれる。
【0042】
別法として好ましい、本発明の実施形態によれば、工程(1)において供給される混合物のH
2O:YO
2モル比は、3〜100の範囲に含まれ、好ましくは、使用されるモル比は5〜50の範囲、さらに好ましくは6〜30の範囲、さらに好ましくは7〜20の範囲、さらにいっそう好ましくは8〜15の範囲に含まれる。水、好ましくは蒸留水が、工程(1)において供給される1種以上の溶媒の中に含まれ、且つさらにいっそう好ましくは工程(2)において結晶化される反応混合物中に使用される単独の溶媒である、本発明の特に好ましい実施形態によれば、H
2O:YO
2モル比は、9〜12の範囲に含まれる。
【0043】
工程(1)に供給される混合物に含まれ得るさらなる元素又は化合物に関して、本発明によれば、この点について、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、本発明の方法の工程(2)において得られ得るのであれば、特に制限は無い。したがって、本発明の特定の実施形態によれば、工程(1)において供給される混合物は、1種以上のアルカリ金属Mを含んでも良く、本発明の目的の範囲において、好ましくは、1種以上のアルカリ金属MはLi、Na、K、Rb、Cs、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはLi、Na、K、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素を表し、さらにいっそう好ましくは、1種以上のアルカリ金属Mは、Na及び/又はKを表し、さらにいっそう好ましくはNaを表す。
【0044】
工程(1)において供給される混合物が1種以上のアルカリ金属Mを含む本発明の具体的な実施形態に関して、特定の且つ好ましい本発明の目的によれば、それらが前記混合物中に含まれる量について、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、本発明の方法の工程(2)において得られ得るのであれば、特に制限は無い。しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給され、工程(2)において結晶化される混合物は、YO
2の100質量%に基づいて、3質量%以下の1種以上のアルカリ金属Mを含む。さらに好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給される混合物は、、YO
2の100質量%に基づいて、1質量%以下の1種以上のアルカリ金属、さらに好ましくは0.5質量%以下の、さらに好ましくは0.1質量%以下の、さらに好ましくは0.05質量%以下の、さらに好ましくは0.01質量%以下の、さらに好ましくは0.005質量%以下の、さらに好ましくは0.001質量%以下の、さらに好ましくは0.0005質量%以下の、さらに好ましくは0.0001質量%以下の1種以上の金属Mを含む。本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給され、且つ工程(2)において結晶化される混合物はアルカリ金属Mを含まない。
【0045】
本発明は、さらに、CHA型骨格構造を有するゼオライト骨格構造におけるY原子、及び/又はX原子の少なくとも一部の同形置換に適している1種以上の元素の1種以上の供給源が、工程(1)による混合物へ添加される本発明の方法の好ましい実施形態を含む。この点において、本発明によれば、前記同形置換に適している1種以上の元素の1種以上の供給源が使用され得る、種類及び/又は数についても、その量についても特に制限は無い。したがって、原則として、同形置換に適している任意の1種以上の元素は、それらが本発明の方法の工程(2)において結晶化されるゼオライト材料の骨格構造に少なくとも部分的に組み込まれるのであれば、使用され得る。好ましい実施形態によれば、1種以上の元素はB、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、Cu、Zn、Li、Be、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、前記1種以上の元素はB、Fe、Ti、Sn、Zr、Cu、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給される同形置換に適している1種以上の元素は、Fe及び/又はCu、好ましくはFeを含み、さらにいっそう好ましくは、前記1種以上の元素は、Fe及び/又はCuである。特に好ましい本発明の実施形態によれば、Cuが、工程(1)による混合物におけるY原子及び/X原子の少なくとも一部の同形置換に適している元素として添加される。
【0046】
上述の通り、本発明の方法の工程(1)における混合物に好ましく供給される同形置換の1種以上の供給源の量について、特に制限は適用されない。したがって、例として、本発明の工程(1)の混合物におけるYO
2の、前記同形置換に適している1種以上の元素に対するモル比は、5〜200の範囲に含まれていても良く、前記比は、10〜100の範囲、さらに好ましくは20〜70の範囲、さらにいっそう好ましくは25〜50の範囲に含まれることが好ましい。同形置換に適している1種以上の元素が、工程(1)の混合物に含まれる本発明の特に好ましい実施形態によれば、YO
2の、前記種以上の元素に対するモル比は、30〜40の範囲に含まれる。
【0047】
本発明の方法の工程(2)において実施される結晶化に関しては、本発明によれば、工程(1)の混合物からゼオライト材料の結晶化を可能にするために使用される実際の手段について、特に制限は適用されない。したがって、任意の適した手段が使用されても良く、結晶化は、工程(1)の混合物の加熱によって達成されることが好ましい。前記好ましい実施形態によれば、前記結晶化が達成され得る温度についても同様に制限は適用されず、結晶化は、90〜210℃の範囲、さらに好ましくは110〜200℃の範囲、さらに好ましくは120〜190℃の範囲、さらにいっそう好ましくは135〜180℃の範囲に含まれる温度での加熱下で実施されることが好ましい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、工程(1)において供給された混合物の、ゼオライト材料の結晶化のための工程(2)における好ましい加熱は、150〜170℃の範囲に含まれる温度で実施される。
【0048】
本発明の方法の工程(2)において、ゼオライト材料の結晶化の手段として、好ましく使用される加熱に関して、原則として、前記加熱は結晶化が達成されるのであれば、任意の適切な圧力下で実施され得る。本発明の好ましい実施形態において、工程(1)による混合物は工程(2)において、標準圧力に関して高められた圧力を受ける。本発明との関連で使用される用語「標準圧力」は、理想的な場合に101,325Paの圧力に関係している。しかしながら、この圧力は、当業者に知られた境界の範囲内で変化しても良い。例として、この圧力は、95,000〜106,000Paの範囲、又は96,000〜105,000Paの範囲、又は97,000〜104,000Paの範囲、又は98,000〜103,000、又は99,000〜102,000Paの範囲であり得る。
【0049】
また、溶媒が工程(1)による混合物に存在する、本発明の方法の好ましい実施形態において、工程(2)における加熱が、ソルボサーマル条件下で実施されること、つまり、混合物が、例えばオートクレーブ、又はその他のソルボサーマル条件を発生させるために適した結晶化容器中で加熱を行うことによって、使用される溶媒の自己生成圧力(autogenous pressure)下で結晶化されることが好ましい。したがって、溶媒が水、好ましくは蒸留水を含む特に好ましい実施形態において、工程(2)における加熱は、好ましくは水熱条件(hydrothermal condition)下で実施される。
【0050】
本発明において結晶化に使用され得る装置は、特に、特定の結晶化条件を必要とする好ましい実施形態について、結晶化プロセスに求められるパラメータが実現され得るのであれば特に制限はない。ソルボサーマル条件下で実施される好ましい実施形態において、任意の種類のオートクレーブ、又は蒸解容器(digestionn vessel)が使用され得る。
【0051】
また、本発明の方法の工程(2)における好ましい加熱が、ゼオライト材料を結晶化するために実施される期間に関しても、加熱期間が結晶化を達成するために適切であるならば、この点において同様に、特に制限は無い。したがって、例として、加熱期間は、0.5〜50日間の範囲であって良く、好ましくは、加熱は1〜30日間、さらに好ましくは1.5〜13日間、さらに好ましくは2〜10日間、さらに好ましくは2〜7日間、さらに好ましくは2.5〜5日間、さらにいっそう好ましくは2.5〜4.5日間で実施される。特に好ましい実施形態によれば、本発明の方法の工程(2)における加熱は、2.5〜3.5日間の期間で実施される。
【0052】
混合物が工程(2)において加熱される、本発明の好ましい実施形態によれば、前記加熱は、ゼオライト材料が結晶化されるのであれば、結晶化プロセスの全期間を通して、又はその期間の一部分のみ若しくはそれ以上の期間に、実施され得る。好ましくは、加熱は、結晶化の全期間を通して実施される。
【0053】
さらに、本発明の方法の工程(2)における結晶化の手段に関して、本発明によれば、静止条件下であっても、又は混合物を撹拌する(agitating)手段によっても、基本的には結晶化を行うことが可能である。混合物を撹拌することを含む実施形態によれば、前記撹拌が行われる手段に関して、特に制限はなく、振動手段、反応容器の回転、及び/又は反応混合物の機械的な撹拌(stirring)が、この趣旨で使用され得、前記実施形態によれば、撹拌(agitation)は、反応混合物の撹拌(stirring)によって達成されることが好ましい。しかしながら、その代わりに、好ましい実施形態によれば、結晶化は、静止条件下、即ち、結晶化プロセスの間中、いかなる特定の撹拌手段も存在しない条件下で行われる。
【0054】
一般に、本発明の方法は、任意にさらなる後処理工程、及び/又は工程(1)において供給された混合物から工程(2)において結晶化されたゼオライト材料の、さらなる物理的及び/又は化学的変換を含み得る。例えば、結晶化された材料は、任意の一連の分離及び/又は洗浄処理を受け得、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト材料は、好ましくは、少なくとも1工程の分離処理、及び少なくとも1工程の洗浄処理を受ける。
結晶化された生成物の分離は、任意の考えられる手段によって達成され得る。好ましくは、結晶化された生成物の分離は、ろ過法、限外ろ過法、透析ろ過法、遠心分離法、及び/又はデカンテーション法によって達成され得、ろ過法は、吸引及び/又は加圧ろ過工程を含み得る。
【0055】
1工程以上の任意の洗浄処理に関して、任意の考えられる溶媒が、使用され得る。使用され得る洗浄剤は、例えば、水、メタノール、エタノール又はプロパノールのようなアルコール、又はそれらの2種以上の混合物である。混合物の例としては、メタノール及びエタノール、若しくはメタノール及びプロパノール、若しくはエタノール及びプロパノール、若しくはメタノール及びエタノール及びプロパノール等の2種以上のアルコールの混合物、又は水及びメタノール、若しくは水及びエタノール、若しくは水及びプロパノール、若しくは水及びメタノール及びエタノール、若しくは、水及びメタノール及びプロパノール、若しくは水及びエタノール及びプロパノール、若しくは水及びメタノール及びエタノール及びプロパノール等の水及び少なくとも1種のアルコールの混合物である。水、又は水及び1種以上のアルコールの混合物、好ましくは水及びエタノールの混合物が好ましく、唯一の洗浄剤として、蒸留水が特に好ましい。
【0056】
好ましくは、分離されたゼオライト材料は、洗浄剤、好ましくは洗浄水のpHが、6〜8の範囲、好ましくは6.5〜7.5の範囲になるまで洗浄される。
【0057】
また、本発明の方法は、任意に1工程以上の乾燥工程を含むことができる。一般に、任意の考えられる乾燥手段が使用され得る。好ましくは、乾燥処理は、ゼオライト材料を加熱すること及び/又はゼオライト材料に真空を適用することを含む。本発明の想定される実施形態において、1工程以上の乾燥工程は、ゼオライト材料の噴霧乾燥、好ましくは噴霧造粒(spray granulation)を含んでも良い。
【0058】
少なくとも1工程の乾燥を含む実施形態において、乾燥温度は、好ましくは25〜150℃の範囲、さらに好ましくは60〜140℃の範囲、さらに好ましくは70〜130℃の範囲、さらにいっそう好ましくは75〜125℃の範囲である。乾燥の継続時間は、好ましくは2〜48時間の範囲、さらに好ましくは4〜36時間の範囲、さらに好ましくは6〜24時間の範囲、さらにいっそう好ましくは8〜12時間の範囲である。
【0059】
一般に、本発明の方法に含まれる任意の洗浄、及び/又は分離、及び/又はイオン交換処理は、任意の考えられる順番で実施され得、且つ所望のたびに繰り返され得る。
【0060】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料の製造方法は、さらに以下の工程:
(3)前記ゼオライト材料を分離する工程、好ましくはろ過工程及び/又は
(4)前記ゼオライト材料を洗浄する工程、及び/又は
(5)前記ゼオライト材料を乾燥する工程、及び/又は
(6)前記ゼオライト材料にイオン交換処理を行う工程、
の1工程以上を含み、
前記工程(3)及び/又は工程(4)及び/又は工程(5)及び/又は工程(6)は、任意の順序で実施することができ、好ましくは1工程以上の前記工程は、1回以上繰り返される。
【0061】
したがって、本発明の方法によれば、工程(2)において結晶化されたゼオライト材料は、任意に少なくとも1工程のイオン交換処理が行われ得、本発明によれば、一般に、用語「イオン交換」は、その結果、一般に外部源から供給される、他のイオンによって交換されるゼオライト材料に含まれる非骨格イオン性元素、及び/又は分子に言及する。好ましくは、非骨格イオン性元素は、好ましくは工程(2)において結晶化されたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料に含まれる1種以上のアルカリ金属M、さらに好ましくはNa及び/又はK、さらにいっそう好ましくはNaを含む。
【0062】
一般に、全ての可能なイオン性元素及び/又は分子とともに、任意の考えられるイオン効果処理がゼオライト材料上で実施され得る。好ましくは、イオン性元素として、好ましくはH
+、NH
4+、Sr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはH
+、NH
4+、Sr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはH
+、NH
4+、Cr、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のカチオン及び/又はカチオン性元素が使用される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素は、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。好ましくは、ゼオライト材料は、さらなるイオン交換処理が行われる前に、さらに好ましくはSr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはSr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはCr、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のカチオン及び/又はカチオン性元素でイオン交換処理が行われる前に、最初にH
+及び/又はNH
4+で、さらに好ましくはNH
4+でイオン交換され、さらにいっそう好ましくは、少なくとも1種のカチオン及び/又はカチオン性元素は、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。さらなるイオン交換処理が行われる前に、ゼオライト材料が、最初にNH
4+でイオン交換される本発明の好ましい実施形態に関しては、これはアンモニア又はその任意の前駆体化合物による適切な処理によってゼオライト材料に既に含まれているH
+イオンのNH
4+への変換によって達成され得る。イオン交換される1種以上のイオン性非骨格元素に関しては、本発明によれば、ゼオライト材料に存在するイオン性非骨格元素が、前述の好ましい実施形態にしたがってイオン交換され得ることに関して、特に制限は無く、好ましくは、交換される1種以上のイオン性非骨格元素は、H
+及び/又はアルカリ金属を含み、アルカリ金属は、好ましくはLi、Na、K、Cs、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはLi、Na、K、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、さらに好ましくは、アルカリ金属はNa及び/又はKであり、さらにいっそう好ましくはNaである。
【0063】
本発明の方法のさらなる実施形態によれば、工程(2)において結晶化されるゼオライト材料は、事前にゼオライト材料の分離、洗浄、又は乾燥工程なしに、直接的に、少なくとも1工程の乾燥工程、好ましくは噴霧乾燥工程及び/又は噴霧造粒工程が行われ、本発明の工程(2)から得られた混合物を噴霧乾燥又は噴霧造粒段階を直接的に行うことは、分離及び乾燥工程が一段階で行われる利点を有する。その結果、本発明のこの実施形態によれば、ゼオライト材料が、高度に単純化された方法から得られ得ることにより、合成後の後処理工程が最小化される、さらにいっそう好ましい方法が提供される。
【0064】
本発明のさらなる実施形態によれば、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト材料は、少なくとも1工程のイオン交換処理が行われる前に、少なくとも1工程の分離工程が行われ、好ましくは、少なくとも1工程の分離工程、その後に続いて、少なくとも1工程の洗浄工程が行われ、さらに好ましくは少なくとの1工程の分離工程、その後に続いて、少なくとも1工程の洗浄工程、その後に続いて少なくとも1工程の乾燥工程が行われる。
【0065】
一般に、本発明の方法により得られるゼオライト材料は、任意の考えられるゼオライト材料であって良く、好ましくは、工程(2)において形成される前記ゼオライト材料は、CHA型骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む。CHA型骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む、好ましいゼオライト材料の間で、ゼオライト材料中のそれらの種類及び/又は数に関しても、それらの量に関しても特に制限は無い。本発明の好ましい実施形態によれば、CHA型骨格構造を有する1種以上のゼオライトは、(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくは(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト(イラン)、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、さらにいっそう好ましくは工程(2)で形成されたゼオライト材料は、チャバザイトを含む。
【0066】
本発明の方法によれば、工程(1)において供給され、且つ工程(2)において結晶化される混合物は、本発明の特定の且つ好ましい実施形態のいずれによっても、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の任意の実質的な量の有機構造指向剤を含むことが無いことが、特に好ましく、そのような本発明の方法に使用されるテトラアルキルアンモニウムア化合物以外の有機構造指向剤は、好ましくは、それら自体か、又は本発明による1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物との組合せかのどちらかにより、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の合成に適切に使用され得る任意の他の考えられる有機鋳型を指定する。本発明の好ましい目的によれば、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の有機構造指向剤は、それらの任意の2種以上の組合せを含むジアルキルアミン、及び/又は複素環アミンから選択される任意の1種以上の化合物を指定し、好ましくは前記1種以上の有機構造指向剤は、ジ(C
1−C
5)アルキルアミン、5〜8員環の酸素含有複素環アミン、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはジ(C
2−C
4)アルキルアミン、5〜7員環の酸素含有複素環アミン、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはジ(C
2−C
3)アルキルアミン、5〜6員環の酸素含有複素環アミン、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、及び/又は、それらの2種以上の組合せを含む任意の適切なN−アルキル−3−キヌクリジノール化合物、N,N,N−トリアルキル−エキソアミノノルボルナン化合物、N,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウム化合物、N,N,N−トリメチル−2−アダマンチルアンモニウム化合物、N,N,N−トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物、N,N−ジメチル−3,3−ジメチルピペリジニウム化合物、N,N−メチルエチル−3,3−ジメチルピペリジニウム化合物、N,N−ジメチル−2−メチルピペリジニウム化合物、1,3,3,6,6−ペンタメチル−6−アゾニオビシクロ(3.2.1)オクタン化合物、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン化合物、又は任意の適切なN,N,N−トリメチルベンジルアンモニウム化合物等の有機鋳型と関係がある。本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明の工程(1)において供給される混合物は、実質的な量のトリメチルベンジルアンモニウム含有化合物を含まず、好ましくは実質的な量のトリアルキルベンジルアンモニウム化合物を含まず、さらにいっそう好ましくは、工程(1)にいて供給される混合物は、工程(2)においてCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化のための構造指向剤として、1種以上のN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物のみ、好ましくはN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物のみを含む。
【0067】
したがって、本発明によれば、工程(1)において供給される混合物が、実質的な量のトリメチルベンジルアンモニウム含有化合物、好ましくはトリアルキルベンジルアンモニウム化合物を含まないことが好ましく、好ましくは、工程(1)において供給される混合物は、構造指向剤として、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の、実質的な量の有機鋳型を含まず、さらに好ましくは、工程(1)において供給される混合物は、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の、実質的な量の構造指向剤を含まず、さらにいっそう好ましくは、工程(1)において供給される混合物は、工程(2)においてCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化のための構造指向剤として、1種以上のN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物のみ、好ましくはN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物のみを含む。
【0068】
しかしながら、本発明の特定の実施形態によれば、不純物以下の前記1種以上の他の有機構造指向剤は、例えば、本発明の方法において好ましく使用される種結晶中に未だ存在する1種以上の前記構造指向剤の結果として、反応混合物中に存在しても良い。しかしながら、種結晶材料中に含まれるそのような他の有機鋳型は、種結晶骨格に捕捉され、そのため本発明の目的の範囲における構造指向剤として作用しないかもしれないため、結晶化プロセスに加わらないかもしれない。
【0069】
本発明の目的の範囲において、工程(1)において供給される混合物に含まれる構造指向剤として、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の、任意の1種以上の有機鋳型の量に関して、本出願において使用された用語「実質的に」は、任意の他の1種以上の有機鋳型の総量の0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下、さらに好ましくは0.0005質量%以下、さらにいっそう好ましくは0.0001質量%以下を示す。前記1種以上の他の有機鋳型の量はまた、たとえ合成プロセスに使用される材料のいずれか1種で存在したとしても、本発明の目的の範囲において「不純物」又は「微量」として示され得る。また、用語「有機鋳型」及び「有機構造指向剤」は本出願において、同意語として使用される。
【0070】
本発明はさらに、本発明による方法、又は本発明の方法により得られるようなCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を導く任意の考えられる方法のいずれかによって得られるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料に関し、特に本発明の方法は、本出願において明示された、その特定の且つ好ましい実施形態のいずれかを指定する。
【0071】
また、本発明はまた、YO
2及びX
2O
3を含むCHA型骨格構造を有する合成ゼオライト材料であって、Yは四価の元素であり、Xは三価の元素であり、
前記材料が、少なくとも以下の反射:
【0073】
[表中、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関連する。]
を含むX線回折パターンを有し、前記ゼオライト材料は、好ましくは本発明の特定の且つ好ましい実施形態によって得られる、及び/又は得られた、好ましくは得られた合成ゼオライト材料に関する。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記CHA型骨格構造を有する合成ゼオライト材料は、少なくとも以下の反射:
【0076】
[表中、100%は、同様にX線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関連する。]
を含むX線回折パターンを有する。
【0077】
本発明のX
2O
3を含み、XがAlを含むか、又はAlであるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の
27Al MAS NMRに関しては、NMRスペクトルに含まれ得るシグナルの数、及び/又は各々のppm値、及び/又は各々の強度について特に制限は無い。しかしながら、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の材料の
27Al MAS NMRスペクトルは、52.3〜58.6ppmの範囲に含まれる第1ピーク(P1)、及び−2.3〜−4.1ppmの範囲に含まれる第2ピーク(P2)を含み、前記ゼオライト材料の
27Al MAS NMRスペクトルにおける第1ピーク及び第2ピークの積分が、好ましくは1:(0〜0.22)の積分値比P1:P2を示す。さらに好ましくは、第1ピーク(P1)は、52.9〜57.8ppmの範囲に含まれ、第2ピークは、−2.5〜−3.8ppmの範囲に含まれ、第1ピーク及び第2ピークの積分が、1:(0.001〜0.2)の、さらに好ましくは1:(0.005〜0.18)の積分値比P1:P2を示す。さらに好ましくは、第1ピーク(P1)は、53.5〜57.0ppmの範囲に含まれ、第2ピークは、−2.7〜−3.6ppmの範囲に含まれ、第1ピーク及び第2ピークの積分が、1:(0.01〜0.15)の、さらに好ましくは1:(0.02〜0.13)の積分値比P1:P2を示す。本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記ゼオライト材料の
27Al MAS NMRは、54.1〜56.2ppmの範囲に含まれる第1ピーク(P1)、及び−2.8〜−3.4ppmの範囲に含まれる第2ピーク(P2)を含み、前記ゼオライト材料の
27Al MAS NMRスペクトルにおける第1ピーク及び第2ピークの積分が、好ましくは1:(0.03〜0.12)の積分値比P1:P2を示す。
【0078】
本発明によれば、ゼオライト材料が、
27Al MAS NMR実験を受ける状態に関しては、特に制限は無い。しかしながら、特に
27Al MAS NMRスペクトルにおいて認められる第1ピーク及び第2ピークの強度に関して、本発明のCHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、脱アルミニウム処理を、又はさらにいっそう好ましくは合成されたままのゼオライト材料に存在する骨格アルミニウム含有量に実質的に影響し得るいかなる処理も受けていないことが好ましい。したがって、本発明の特に好ましい実施形態によれば、XがAlを含む、いずれの特定の且つ好ましい実施形態によるゼオライト材料の
27Al MAS NMRも、ゼオライト材料がいかなる後の合成処理を受けておらず、したがって合成されたままの未処理のゼオライト材料において得られた
27Al MAS NMRスペクトル、及びそれによる数値に言及する。
【0079】
したがって、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の実施形態は、本発明によれば、ゼオライト材料の、好ましくは合成されたままの未処理のゼオライト材料の
27Al MAS NMRが、
52.3〜58.6ppmの範囲、好ましくは52.9〜57.8ppmの範囲、さらに好ましくは53.5〜57.0ppmの範囲、さらにいっそう好ましくは54.1〜56.2ppmの範囲の第1ピーク(P1)、及び
−2.3〜−4.1ppmの範囲、−2.5〜−3.8ppmの範囲、さらに好ましくは−2.7〜−3.6ppmの範囲、さらにいっそう好ましくは−2.8〜−3.4ppmの範囲の第2ピーク(P2)を含み、
前記ゼオライト材料の
27Al MAS NMRにおける第1ピーク及び第2ピークの積分が、好ましくは1:(0〜0.22)の範囲、さらに好ましくは1:(0.001〜0.2)の範囲、さらに好ましくは1:(0.005〜0.18)の範囲、さらに好ましくは1:(0.01〜0.15)の範囲、さらに好ましくは1:(0.02〜0.13)の範囲、さらにいっそう好ましくは1:(0.03〜0.12)の範囲に含まれる積分値比P1:P2を示すことが好ましい。
【0080】
本発明によれば、本発明の特定の且つ好ましい実施形態による
27Al MAS NMRスペクトルにおけるppmの各々の化学シフト値を得るための
27Al MAS NMR実験において使用される標準については特に制限は無く、好ましくいは外部標準が使用される。特に好ましい実施形態によれば、AlCl
3の水性1M溶液が、
27Al MAS NMR実験における外部ゼロ基準として使用される。
【0081】
本発明によるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料のIR−スペクトルに関しては、IR−スペクトルにおいて含まれ得る吸収帯の数、及び/又は各々の最大値、及び/又は各々の強度について、同様に特に制限は無い。しかしながら、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の材料のIR−スペクトルは、3,550〜3,660cm
−1の範囲に含まれる第1吸収帯(B1)、及び1,800〜1,930cm
−1の範囲に含まれる第2吸収帯(B2)を含み、第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、3.0〜5.2の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第1吸収帯(B1)は3,580〜3,635cm
−1の範囲に含まれ、第2吸収帯(B2)は1,830〜1,910cm
−1の範囲に含まれ、第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、3.5〜4.7の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第1吸収帯(B1)は3,595〜3,620cm
−1の範囲に含まれ、第2吸収帯(B2)は1,850〜1,890cm
−1の範囲に含まれ、第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、3.8〜4.4の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第1吸収帯(B1)は3,600〜3,615cm
−1の範囲に含まれ、第2吸収帯(B2)は1,860〜1,880cm
−1の範囲に含まれ、第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、4.0〜4.2の範囲に含まれる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料のIR−スペクトルは、3,606〜3,611cm
−1の範囲に含まれる第1吸収帯(B1)、及び1,865〜1,875cm
−1の範囲に含まれる第2吸収帯(B2)を含み、第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、4.03〜4.15の範囲に含まれる。
【0082】
したがって、CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料の実施形態は、ゼオライト材料のIR−スペクトルが、
3,550〜3,660cm
−1の範囲、好ましくは3,580〜3,635cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,595〜3,620cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,600〜3,615cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,606〜3,611cm
−1の範囲の第1吸収帯(B1)、及び
1,800〜1,930cm
−1の範囲、好ましくは1,830〜1,910cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,850〜1,890cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,860〜1,880cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは1,865〜1,875cm
−1の範囲の第2吸収帯(B2)、を含み、
第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、3.0〜5.2の範囲、好ましくは3.5〜4.7の範囲、さらに好ましくは3.8〜4.4の範囲、さらに好ましくは4.0〜4.2の範囲、さらにいっそう好ましくは4.03〜4.15の範囲に含まれることが好ましい。
【0083】
本発明のさらにいっそう好ましい実施形態によれば、本発明の材料のIR−スペクトルは、さらに3,450〜3,545cm
−1の範囲に含まれる第4吸収帯(B4)に加えて、3,665〜3,730cm
−1の範囲に含まれる第3吸収帯(B3)を含み、第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、1.5〜3.5の範囲に含まれ、且つ第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、1.6〜3.6の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第3吸収帯(B3)は3,670〜3,720cm
−1の範囲に含まれ、第4吸収帯(B4)は3,470〜3,530cm
−1の範囲に含まれ、第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、2.0〜3.0の範囲に含まれ、且つ第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、2.0〜3.2の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第3吸収帯(B3)は3,680〜3,715cm
−1の範囲に含まれ、第4吸収帯(B4)は3,480〜3,520cm
−1の範囲に含まれ、第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、2.3〜2.8の範囲に含まれ、且つ第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、2.3〜3.0の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第3吸収帯(B3)は3,690〜3,710cm
−1の範囲に含まれ、第4吸収帯(B4)は3,490〜3,510cm
−1の範囲に含まれ、第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、2.4〜2.7の範囲に含まれ、且つ第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、2.5〜2.8の範囲に含まれる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明の特定の且つ好ましい実施形態のいずれかによる第1及び第2吸収帯(B1)及び(B2)に加えて、本発明の材料のIR−スペクトルは、さらに3,499〜3,502cm
−1の範囲に含まれる第4吸収帯(B4)に加えて、3,698〜3,702cm
−1の範囲に含まれる第3吸収帯(B3)を含み、第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、2.5〜2.6の範囲に含まれ、且つ第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、2.6〜2.7の範囲に含まれる。
【0084】
したがって、CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料に関する本発明の実施形態は、ゼオライト材料のIR−スペクトルが、さらに、
3,665〜3,730cm
−1の範囲、好ましくは3,670〜3,720cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,680〜3,715cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,690〜3,710cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,698〜3,702cm
−1の範囲の第3吸収帯(B3)、及び
3,450〜3,545cm
−1の範囲、好ましくは3,470〜3,530cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,480〜3,520cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,490〜3,510cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,499〜3,502cm
−1の範囲の第4吸収帯(B4)、を含み、
第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、1.5〜3.5の範囲、好ましくは2.0〜3.0の範囲、さらに好ましくは2.3〜2.8の範囲、さらに好ましくは2.4〜2.7の範囲、さらにいっそう好ましくは2.5〜2.6の範囲に含まれ、且つ
第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、1.6〜3.6の範囲、好ましくは2.0〜3.2の範囲、さらに好ましくは2.3〜3.0の範囲、さらに好ましくは2.5〜2.8の範囲、さらにいっそう好ましくは2.6〜2.7の範囲に含まれることがさらにいっそう好ましい。
【0085】
さらに好ましい本発明の別の実施形態によれば、CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料のIR−スペクトルは、3,550〜3,660cm
−1の範囲に含まれる第1吸収帯(B’1)、3,450〜3,545cm
−1の範囲に含まれる第2吸収帯(B’2)、及び1,800〜1,930cm
−1の範囲に含まれる第3吸収帯(B’3)、を含み、第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.30〜2.5の範囲に含まれ、且つ第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.1〜3.0の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第1吸収帯(B’1)は3,580〜3,635cm
−1の範囲に含まれ、第2吸収帯(B’2)は3,470〜3,530cm
−1の範囲に含まれ、及び第3吸収帯(B’3)は1,830〜1,910cm
−1の範囲に含まれ、第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.50〜2.0の範囲に含まれ、且つ第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.3〜2.0の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第1吸収帯(B’1)は3,595〜3,620cm
−1の範囲に含まれ、第2吸収帯(B’2)は3,480〜3,520cm
−1の範囲に含まれ、及び第3吸収帯(B’3)は1,850〜1,890cm
−1の範囲に含まれ、第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.50〜2.0の範囲に含まれ、且つ第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.5〜1.5の範囲に含まれる。さらに好ましくは、第1吸収帯(B’1)は3,600〜3,615cm
−1の範囲に含まれ、第2吸収帯(B’2)は3,490〜3,510cm
−1の範囲に含まれ、及び第3吸収帯(B’3)は1,860〜1,880cm
−1の範囲に含まれ、第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.80〜1.2の範囲、好ましくは0.85〜1.0の範囲に含まれ、且つ第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.6〜1.0の範囲、好ましくは0.7〜0.8の範囲に含まれる。CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料の特に好ましい実施形態によれば、IR−スペクトルは、3,606〜3,611cm
−1の範囲に含まれる第1吸収帯(B’1)、3,499〜3,502cm
−1の範囲に含まれる第2吸収帯(B’2)、及び1,865〜1,875cm
−1の範囲に含まれる第3吸収帯(B’3)、を含み、第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.87〜0.91の範囲に含まれ、且つ第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.72〜0.76の範囲に含まれる。
【0086】
したがって、本発明の別法として好ましい実施形態によれば、CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料は、
3,550〜3,660cm
−1の範囲、好ましくは3,580〜3,635cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,595〜3,620cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,600〜3,615cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,606〜3,611cm
−1の範囲の第1吸収帯(B’1)、
3,450〜3,545cm
−1の範囲、好ましくは3,470〜3,530cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,480〜3,520cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,490〜3,510cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,499〜3,502cm
−1の範囲の第2吸収帯(B’2)、
1,800〜1,930cm
−1の範囲、好ましくは1,830〜1,910cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,850〜1,890cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,860〜1,880cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは1,865〜1,875cm
−1の範囲の第3吸収帯(B’3)、を含むIR−スペクトルを有し、
第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.30〜2.5の範囲、好ましくは0.50〜2.0の範囲、さらに好ましくは0.70〜1.5の範囲、さらに好ましくは0.80〜1.2の範囲、さらに好ましくは0.85〜1.0の範囲、さらにいっそう好ましくは0.87〜0.91の範囲に含まれ、且つ
第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.1〜3.0の範囲、好ましくは0.3〜2.0の範囲、さらに好ましくは0.5〜1.5の範囲、さらに好ましくは0.6〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.7〜0.8の範囲、さらにいっそう好ましくは0.72〜0.76の範囲に含まれる。
【0087】
本発明によれば、ゼオライト材料のCHA型骨格構造のY原子及び/又はX原子の少なくとも一部分が1種以上の元素によって同形置換されていることが好ましい。この点において、CHA型骨格構造のY原子及び/又はX原子を置換し得る1種以上の元素に関して特に制限はなく、好ましくは、前記元素は、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、Cu、Zn、Li、Be、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、さらにいっそう好ましくは、前記1種以上の元素は、B、Fe、Ti、Sn、Zr、Cu、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、特に、本発明の別のゼオライト材料の特に好ましい実施形態によれば、CHA型骨格構造におけるY原子及び/又はX原子の少なくとも一部分が、Fe及び/又はCuによって、好ましくはCuによって同形置換されている。
【0088】
CHA型骨格構造においてY原子及び/又はX原子の少なくとも一部分を置換するゼオライト材料における1種以上の元素の量に関しては、本発明によれば特に制限は適用されない。したがって、例として、CHO型骨格構造において、YO
2の、同形置換された1種以上の元素に対するモル比は、5〜100の範囲であっても良く、前記モル比は、好ましくは10〜80の範囲、さらにいっそう好ましくは20〜60の範囲に含まれる。特に好ましい実施形態によれば、CHA型骨格構造において、YO
2の、Y原子及び/又はX原子を同形置換する1種以上の元素に対するモル比は、25〜50の範囲に含まれる。
【0089】
本発明のゼオライト材料のCHA型骨格構造に関しては、骨格元素としてそれに含まれるYO
2及びX
2O
3以外に、さらなる骨格元素としてそれに含まれ得る任意の他の元素について特に制限は適用されない。
【0090】
したがって、ゼオライト材料のCHA型骨格構造に含まれ得る、本発明の特定の且つ好ましい実施形態による同形置換に適切な好ましい元素以外に、又はそれに加えて、前述以外の任意のさらなる1種以上の元素もまた、1種以上の四価の元素Y、及び1種以上の三価の元素Xに加えて、骨格元素としてそれに含まれていても良い。しかしながら、本発明の特定の実施形態によれば、CHA型骨格を有するゼオライト材料が、骨格元素としてそれに実質的な量のP及び/又はAsを含まないことが好ましい。本発明の目的の範囲で、本発明のゼオライト材料の骨格構造に含まれる元素の量に関する用語「実質的な」は、好ましくは骨格構造に含まれるYO
2の100質量%に基づいて、5質量%以下の量、好ましくはYO
2の100質量%に基づく骨格元素の1質量%以下の量、さらに好ましくは0.5質量%以下の量、さらに好ましくは0.1質量%以下の量、さらに好ましくは0.05質量%以下の量、さらに好ましくは0.01質量%以下の量、さらに好ましくは0.005質量%以下の量、さらに好ましくは0.001質量%以下の量、さらに好ましくは0.0005質量%以下の量、さらにいっそう好ましくは0.0001質量%以下の量を示す。
【0091】
CHA型骨格を有するゼオライト材料が実質的な量のP及び/又はAsを含まない前記特に好ましい実施形態によれば、CHA型骨格が、実質的な量の、P、As、V、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素を含まないこと、さらに好ましくは、実質的な量の、P、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素を含まないことが、本発明によれば、さらにいっそう好ましい。本発明のさらにいっそう特に好ましい実施形態によれば、CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料は、骨格元素として、実質的な量の任意の五価の元素Zを含まない。
【0092】
また、本発明によれば、ゼオライト材料が、実質的な量のSSZ−13及び/又はSSZ−15を含まないことが好ましく、本発明の目的の範囲で、SSZ−13及び/又はSSZ−15の量に関する「実質的な」は、本発明の特定の且つ好ましい実施形態のいずれかによるCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の100質量%に基づいて、その5質量%以下の量に、好ましくは1質量%以下の量、さらに好ましくは0.5質量%以下の量、さらに好ましくは0.1質量%以下の量、さらに好ましくは0.05質量%以下の量、さらに好ましくは0.01質量%以下の量、さらに好ましくは0.005質量%以下の量、さらに好ましくは0.001質量%以下の量、さらに好ましくは0.0005質量%以下の量、さらにいっそう好ましくは0.0001質量%以下の量のSSZ−13及び/又はSSZ−15に言及する。
【0093】
本発明のゼオライト材料により示されるYO
2:X
2O
3モル比に関して、任意の考えられるモル比が採用される。したがって、例として、本発明の材料のYO
2:X
2O
3モル比は、2〜200の範囲に含まれても良く、好ましくは、YO
2:X
2O
3モル比は、5〜100の範囲、さらに好ましくは10〜60の範囲、さらに好ましくは15〜50の範囲、さらにいっそう好ましくは20〜40の範囲に含まれる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料のYO
2:X
2O
3モル比は、22〜31の範囲に含まれる。
【0094】
本発明によれば、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料は、YO
2を含む。原則として、Yは任意の考えられる四価の元素を表し、Yは、数種の四価の元素をも表す。本発明によれば、好ましい四価の元素はSi、Sn、Ti、Zr、及びGe、並びにそれらの組合せを含む。さらに好ましくは、YはSi、Ti、若しくはZr、並びに前記四価の元素の任意の組合せを表し、さらにいっそう好ましくは、Si、及び/又はSnを表す。本発明によれば、YはSiを表すことが特に好ましい。
【0095】
ゼオライト材料のCHA型骨格構造に任意に含まれるX
2O
3に関しては、原則として、Xは任意の考えられる三価の元素を表し、Xは、1種又は数種の三価の元素を表す。本発明によれば、好ましい三価の元素は、Al、B、In、及びGa、並びにそれらの組合せを含む。さらに好ましくは、XはAl、B、若しくはIn、又は前記三価の元素の組合せを表し、さらにいっそう好ましくは、Al、及び/又はBを表す。本発明によれば、XはAlを表すことが特に好ましい。
【0096】
CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料の骨格元素に加えて、好ましくは、前記ゼオライト材料は、骨格構造を構成せず、したがって骨格構造によって形成された細孔及び/又は空洞に存在し、一般にゼオライト材料に典型的である1種以上の非骨格元素を、さらに含む。この点において、ゼオライト材料に含まれ得る非骨格元素の種類に関しても、それらが、ゼオライト材料中に存在し得る量に関しても、特に制限は無い。しかしながら、ゼオライト材料はイオン性非骨格元素として、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含むことが好ましく、ゼオライト材料に存在し得るイオン性非骨格元素の種類、又は異なる種類の数に関しても、それらの各々の量に関しても同様に制限は適用されない。本発明の好ましい実施形態によれば、イオン性非骨格元素は、好ましくは、H
+、NH
4+、Mg、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のカチオン、及び/又はカチオン性元素を含み、さらに好ましくは、これらはH
+、NH
4+、Mg、Sr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはH
+、NH
4+、Mg、Cr、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、イオン性非骨格元素はMg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のカチオン、及び/又はカチオン性元素を含む。
【0097】
本発明によれば、本発明のゼオライト材料の適切な物理的及び/又は化学的特性について特に制限は無い。したがって、例えば本発明の材料の多孔率(porosity)及び/又は表面積について、任意の適切な値を採用しても良い。したがって、DIN66135に従い測定されたゼオライト材料のBET表面積に関して、結果として、100〜850m
2/gの範囲であっても良く、好ましくは、本発明のゼオライト材料の表面積は、200〜800m
2/gの範囲、さらに好ましくは300〜750m
2/gの範囲、さらに好ましくは400〜720m
2/gの範囲、さらに好ましくは500〜700m
2/gの範囲、さらにいっそう好ましくは550〜680m
2/gの範囲である。本発明の特に好ましい実施形態によれば、DIN66135に従い測定されたゼオライト材料のBET表面積は、600〜660m
2/gの範囲である。
【0098】
一般に、本発明によれば、本発明のゼオライト材料に含まれ得るCHA型骨格を有するゼオライト材料の特定の種類又は複数の種類について特に制限は無い。しかしながら、本発明のゼオライト材料は、(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上のゼオライトを含むことが好ましい。さらに好ましくは、CHA型骨格構造を有する本発明のゼオライト材料は、(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト(イラン)、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上のゼオライトを含む。本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、チャバザイトを含み、さらにいっそう好ましくは、本発明の特定の且つ好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、チャバザイトである。
その用途の特定の必要性に応じて、本発明のゼオライト材料は、上記の分離技術、例えばデカンテーション、ろ過、遠心分離、又は噴霧技術等から得られる粉末、噴霧粉末、又は噴霧粒子の形状のようなものとして採用され得る。
【0099】
多数の工業的用途において、利用者側では、粉末、又は噴霧された材料としてゼオライト材料、即ち、任意に洗浄及び乾燥、並びにそれに続く焼成を含む、その母液からの材料の分離によって得られたゼオライト材料を使用するのではなく、さらに成形品とする加工が施されたゼオライト材料を使用することが、しばしば望まれる。そのような成形品は、多数の工業プロセスにおいて、例えば、本発明のゼオライト材料が触媒又は吸着剤として使用される多数のプロセスにおいて、特に要求される。
【0100】
したがって、本発明は、また、本発明のゼオライト材料を含む成形品に関する。
【0101】
一般に、粉末又は噴霧された材料は、いかなる他の化合物なしで、例えば適切な締め固めによって成形され得、例えばタブレット状、シリンダー状、球状等の所望の形状の成形品を得ることができる。
【0102】
好ましくは、粉末又は噴霧された材料は、適切な耐火性のバインダーと混ぜられるか、又はそのバインダーによって被覆される。一般に、適切なバインダーは、ゼオライト材料粒子間に接着性又は凝集性を与え、バインダーなしで存在し得る物理吸着性を越えて結合させられる全ての化合物である。そのようなバインダーの例としては、例えば、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、ZrO
2、若しくはMgO、若しくは粘土(clays)、又はそれらの化合物の2種以上の混合物等の金属酸化物が挙げられる。使用され得る天然に存在する粘土は、モンモリロナイト族、及びカオリン族が含まれ、その族にはサブベントナイト、及び一般にDixie、Mcnamee、Georgia及びFlorida粘土として知られるカオリン類、又は主鉱物がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト若しくはアナウキサイトであるその他のものが含まれる。そのような粘土は、最初に採掘された未加工の状態で、又は初めに焼成、酸処理又は化学修飾が行われて使用され得る。さらに、本発明によるゼオライト材料は、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、及びシリカ−チタニア等、並びにシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、及びシリカ−マグネシア−ジルコニア等の三元化合物等の多孔質マトリクス材料と共に複合体化され得る。
【0103】
したがって、本発明のゼオライト材料は、また、粒子状触媒の充填床として、又はプレート状、サドル状、チューブ状又は同様な形状等に成形された部品としての使用のため、任意の他の適切な形状の押出成形品、ペレット、タブレット、又は粒子の形でも提供され得る。
【0104】
また、好ましくは、粉末又は噴霧された材料は、任意に上記のような適切な耐火性バインダーと混合されるか、又はそのバインダーによって被覆された後、例えば水と共にスラリーを形成され、それは適切な耐火性担体に沈着される。スラリーは、また、例えば安定剤、消泡剤、促進剤、又は同様な添加剤等のその他の化合物を含んでも良い。典型的には、担体は、しばしば「ハニカム」担体と称される、それを通して伸長する複数の細く、平行な気体流路を有する1個以上の耐火体を含む部材を含む。そのような担体は当技術分野で周知であり、コージライト又は同様なもの等の任意の適切な材料製であり得る。
【0105】
一般に、上記のゼオライト材料は、モレキュラーシーブ、吸着剤、触媒、触媒担体又はそれらのバインダーとして使用され得る。例えば、ゼオライト材料は、例えば炭化水素若しくはアミンの分離等の選択的分子分離のため、気体又は液体を乾燥するモレキュラーシーブとして、イオン交換体として、化学的担体として、吸着剤として、特に、炭化水素若しくはアミンの分離のための吸着剤として、又は触媒として使用され得る。最も好ましくは、本発明によるゼオライト材料は、触媒として及び/又は触媒担体として使用される。
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、触媒プロセスにおいて、好ましくは触媒及び/又は触媒担体として、さらに好ましくは触媒として使用される。一般に、本発明のゼオライト材料は、任意の考えられる触媒プロセスにおいて触媒及び/又は触媒担体として使用され得、その場合、少なくとも1種の有機化合物の変換を伴うプロセスが好ましく、さらに好ましくは、少なくとも1種の炭素−炭素結合、及び/又は炭素−酸素結合、及び/又は炭素−窒素結合を含む有機化合物の、さらに好ましくは、少なくとも1種の炭素−炭素結合、及び/又は炭素−酸素結合を含む有機化合物の、さらにいっそう好ましくは、少なくとも1種の炭素−炭素結合を含む有機化合物の変換を伴うプロセスである。本発明の特に好ましい実施形態において、ゼオライト材料は、流動接触分解(FCC)プロセスにおける触媒及び/又は触媒担体として使用される。
【0106】
また、本発明によれば、ゼオライト材料は、低級アルコール(メタノール、エタノール)、エーテル(ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル)、エステル(炭酸ジメチル、ギ酸メチル)及び同様なもの等の含酸素化合物のオレフィンへの変換によって、非石油原料から軽オレフィンを製造するための、特に低級アルコールの軽オレフィンへの変換における触媒として使用される。特に好ましい実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、メタノールのオレフィンへの(MTO)変換において使用される。
【0107】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、好ましくは、少なくとも1種の窒素−酸素結合を含む少なくとも1種の化合物の変換を伴う触媒プロセスにおいて使用される。本発明によれば、窒素酸化物NO
xの選択的還元のための、NH
3の酸化のための、特にディーゼルシステムにおけるNH
3スリップの酸化のための、N
2Oの分解のための選択的触媒還元(SCR)プロセスにおける触媒及び/又は触媒担体としてのゼオライト材料の使用が、特に好ましい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の窒素−酸素結合を含む少なくとも1種の化合物の変換を伴う触媒プロセスに使用されるゼオライト材料は、Cu及び/又はFe、さらに好ましくはCuを含む。
したがって、本発明は、また、適切な還元条件下で、NO
xを含む流れを本発明によるゼオライト材料を含む触媒と接触させることによって、窒素酸化物NO
xを選択的に還元するための方法に関し、適切な酸化条件下で、NH
3を含む流れを本発明によるゼオライト材料を含む触媒と接触させることによって、NH
3を酸化する、特にディーゼルシステムにおけるNH
3スリップを酸化する方法に関し、適切な分解条件下で、N
2Oを含む流れを本発明によるゼオライト材料を含む触媒と接触させることによって、N
2Oを分解する方法に関し、適切な条件下で、排気流を本発明によるゼオライト材料を含む触媒と接触させることによって、予混合圧縮着火(Homogeneous Charge Compression Ignition)(HCCI)エンジンのような、高度な排ガスシステムにおける排気を制御する方法に関し、本発明によるゼオライト材料が添加剤として使用される流動接触分解FCCプロセスに関し、適切な条件下で、有機化合物を本発明によるゼオライト材料を含む触媒と接触させることによって、有機化合物を変換する方法に関し、触媒が本発明によるゼオライト材料を含んで使用される「固定源(stationary source)」プロセスに関する。
【0108】
したがって、本発明は、また、窒素酸化物NO
xを選択的に還元するための方法であって、窒素酸化物NO
xを含む、好ましくはアンモニア及び/尿素も含むガス流が、本発明によるゼオライト材料、又は本発明により得られる、又は得られたゼオライト材料、好ましくは成形触媒の形状で、さらにいっそう好ましくはゼオライト材料が適切な耐火性担体、さらにいっそう好ましくは「ハニカム」担体上に沈着されている成形触媒として、接触される方法にも関する。
【0109】
本発明によるゼオライト材料、又は本発明により得られる、又は得られたゼオライト材料を含む触媒を使用して還元される窒素酸化物は、いかなるプロセスによって得られても良く、例えば排ガス流として得られても良い。とりわけ、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチル−グリオキサール、グリオキシル酸を製造するプロセスにおいて、又は窒素含有物を燃焼するためのプロセスにおいて得られるような排ガス流を挙げられる。
【0110】
最も好ましくは、本発明によるゼオライト材料、又は本発明により得られる、又は得られたゼオライト材料は、成形触媒として、さらにいっそう好ましくはゼオライト材料が適切な耐火性担体、さらにいっそう好ましくは「ハニカム」担体上に沈着されている成形触媒として、窒素酸化物NO
xの選択的還元に、即ち、窒素酸化物の選択的触媒還元に使用される。特に、本発明によるゼオライト材料が触媒活性材料として使用される窒素酸化物の選択的還元はアンモニア又は尿素の存在下で行われる。アンモニアが固定源プラントの最適な還元剤である一方で、尿素は、移動式SCRシステムの最適な還元剤である。典型的には、SCRシステムは、エンジン及び車両の設計中に統合され、また、一般的に以下の主構成要素:本発明によるゼオライト材料を含むSCR触媒、尿素貯蔵タンク、尿素ポンプ、尿素適用システム、尿素注入器/ノズル、及び各々の制御装置を含む。
【0111】
また、本発明によれば、ゼオライト材料が、有機化合物のためのモレキュラートラップとして使用されることが好ましい。一般に、任意の種類の有機化合物がゼオライト材料中にトラップされ得、その化合物は、それがゼオライト材料からその後に解放され得るように、好ましくは有機化合物が、好ましくはその変換なしに、温度の上昇及び/又は圧力の低下によって解放されるように、可逆的にトラップされることが好ましい。また、ゼオライト材料は、有機化合物をトラップするために使用され、その化合物の寸法は、それらが分子構造の微小孔系に侵入することが可能であるものが好ましい。その上、本発明のさらなる実施形態によれば、トラップされた化合物は、それらの化学的誘導体及び/又は分解生成物、好ましくはそれらの熱分解生成物への、少なくとも一部のそれらの変換の下で解放されることが好ましい。
【0112】
特定の触媒組成物又は種々の目的のための組成物を調製する際、本発明によるゼオライト材料を、少なくとも1種の他の触媒活性材料又は意図した目的について活性である材料と混合することもまた考えられる。また、それらのYO
2:X
2O
3モル比、特にそれらのSiO
2:Al
3O
2モル比の点、及び/又は1種以上の遷移金属のような1種以上のさらなる金属の存在又は不在の点、遷移金属のようなさらなる金属の特定の量の点で異なっても良い少なくとも2種の異なる本発明の材料を混合することも可能であり、特に好ましい実施形態によれば、1種以上の遷移金属は、Cu及び/又はFe、さらに好ましくはCuを含む。また、少なくとも2種の異なる本発明の材料を、少なくとも1種の他の触媒活性材料又は意図した目的について活性である材料と混合することも可能である。
【0113】
また、触媒は、基材上に配置されても良い。基材は、触媒を調製するために一般的に使用される任意の材料であり得、通常、セラミックまたは金属ハニカム構造を含む。任意の適切な基材、例えば、その基材の入口または出口面からそれを通して伸長する細く、平行な気体流路で、流路が、流体がそれを通して流れるように開いている流路を有する種類の一体構造(monolithic structure)の基材(ハニカム流通基材と称される)等が使用され得る。基本的にそれらの流体入口からそれらの流体出口まで直線経路である流路は、その流路を通って流れるガスが触媒物質と接触するように、触媒物質がウォッシュコートとして配置されている壁によって定義される。一体構造の基材の流路は、任意の適切な断面形状および大きさの、例えば、台形、長方形、正方形、正弦曲線状、六角形、楕円形、円形等のものであり得る薄壁のチャンネルである。上記構造は、断面の平方インチ(2.54cm×2.54cm)当たり約60〜約400個以上のガス入口開口部(即ち、セル)を含んでいても良い。
【0114】
基材は、また、チャンネルが交互にブロックされ、1方向(入口方向)からチャンネルに入るガス流がチャンネル壁を通って流れ、他の方向(出口方向)からチャンネルを出ることを可能にする壁流フィルター基材でもあり得る。触媒組成物は、フロースルー、又は壁流フィルター上に被覆され得る。壁流基材が利用される場合、結果として生じるシステムは、ガス状汚染物質とともに粒子状物質を除去することができる。壁流フィルター基材は、コージライト、チタン酸アルミニウム、又は炭化珪素等の、当技術分野で一般に知られた材料から作製され得る。当然のことながら、壁流基材上の触媒組成物の負荷は、多孔率及び壁厚等の基剤の特性に依存し、一般に、フロースルー基材上の負荷より低い。
【0115】
セラミック基材は、例えば、コージライト、コージライトアルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、α−アルミナ、アルミノケイ酸塩、及び同様な化合物等の任意の適切な耐火性材料製であり得る。
【0116】
また、本発明の実施形態の触媒に有用な基材は、実際は金属であり得、1種以上の金属又は金属合金からなるものでも良い。金属基材は、波形シート又はモノリシック形等の種々の形状で使用され得る。適切な金属担体は、チタン及びステンレススチール、並びに鉄が実質的又は主な成分である他の合金等の耐熱性金属及び金属合金を含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、及び又はアルミニウムの1種以上を含んでも良く、これらの金属の総量は、有利には、少なくとも15質量%の合金、例えば10〜25質量%のクロム、3〜8質量%のアルミニウム、及び20質量%以下のニッケルを含んでも良い。また、合金は、少量又は微量の、マンガン、銅、バナジウム、チタン、及び同様なもの等の1種以上の他の金属を含んでも良い。金属基材の表面は、基材の表面上に酸化層を形成することによる合金の腐食に対して耐性を向上するため、例えば、1000℃以上の高温で酸化されても良い。そのような高温誘導酸化は耐火性金属酸化物担体及び触媒促進金属成分の基材への付着製を強化し得る。
【0117】
別の実施形態において、本発明によるゼオライト材料は、オープンセル発泡体基材上に沈着されても良い。そのような基材は当技術分野において周知であり、一般に耐火性セラミック又は金属材料から形成される。
【0118】
本発明によるゼオライト材料、又は本発明により得られる、又は得られたゼオライト材料を含む触媒の、化学量論的燃焼に要求されるより過剰な空気の条件、即ち希薄(lean)な燃焼条件下で作動する内燃エンジン、特にディーゼルエンジンの排ガスからの窒素酸化物NO
xの除去のための使用が、特に好ましい。
【0119】
したがって、本発明は、また、化学量論的燃焼に要求されるより過剰な空気の条件、即ち希薄条件の燃焼条件で作動する、内燃エンジン、特にディーゼルエンジンの排ガスからの窒素酸化物NO
xを除去する方法であって、本発明のゼオライト材料、又は本発明により得られる、又は得られたゼオライト材料を含む触媒が触媒的活性材料として使用される方法にも関する。
【0120】
したがって、本発明は、特に触媒及び/又は排ガス処理の技術分野における、本発明のゼオライト材料の使用であって、前記排ガス処理が、工業及び自動車の排ガス処理を含む使用に関する。これらの及びその他の用途において、本発明のゼオライト材料は、例として、モレキュラーシーブ、触媒、及び/又は触媒担体として使用され得る。
【0121】
排ガス処理における本発明のゼオライト材料の使用を伴う本発明の実施形態において、好ましくは、ゼオライト材料は工業又は自動車の排ガスの処理に、さらに好ましくは前記用途においてモレキュラーシーブとして使用される。特に好ましい実施形態において、排ガス処理に使用されるゼオライト材料は、炭化水素トラップに含まれる。
【0122】
したがって、本発明はさらに、本発明によるゼオライト材料の、特に本出願で規定された好ましい、及び特に好ましいその実施形態による、モレキュラーシーブとしての、吸収剤としての、イオン交換のための、触媒としての、及び/又は触媒担体としての、好ましくは窒素酸化物NO
xの選択的触媒還元(SCR)用の、NH
3の酸化、特にディーゼルシステムにおけるNH
3スリップの酸化用の、NO
2の分解用の触媒としての、流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤としての、及び/又は有機変換反応、好ましくはアルコールのオレフィンへの変換、さらに好ましくはメタノールからオレフィンへの(MTO)触媒作用における触媒としての使用に関する。しかしながら、本発明によれば、有機鋳型のないCHA型骨格構造を有するゼオライト材料は、窒素酸化物NO
xの選択的触媒還元(SCR)用の触媒として使用されることが特に好ましい。
【0123】
本発明は、以下の実施形態を含み、これらは、それらに規定された各々の相互依存性によって示される実施形態の特定の組合せを含む。
【0124】
1.YO
2及びX
2O
3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の製造方法であって、前記方法が、以下の工程:
(1)1種以上のYO
2源、1種以上のX
2O
3源、及び構造指向剤として、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物を含む混合物を供給する工程、
(2)CHA型骨格構造を有するゼオライト材料を得るために、工程(1)において得られた混合物を結晶化する工程、を含み、
Yは四価の元素であり、Xは三価の元素であり、
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立してアルキルを表し、
R
4は、シクロアルキルを表し、且つ
工程(1)において供給される前記混合物は、実質的な量のZ
2O
5源を含まず、ZはPであり、好ましくは、ZはP及びAsであり、さらに好ましくは、Zは工程(2)において結晶化されるCHA型骨格構造におけるZ
2O
5源である任意の五価の元素である方法。
【0125】
2.R
1、R
2、及びR
3が、互いに独立して、任意に置換された、及び/又は任意に分岐した(C
1−C
6)アルキル、好ましくは(C
1−C
5)アルキル、さらに好ましくは(C
1−C
4)アルキル、さらに好ましくは(C
1−C
3)アルキル、さらにいっそう好ましくは任意に置換されたメチル又はエチルを表し、さらにいっそう好ましくは、R
1、R
2、及びR
3は、任意に置換されたメチル、好ましくは非置換のメチルを表す実施形態1の方法。
【0126】
3.R
4が、任意に複素環式である、及び/又は任意に置換された、5〜8員環のシクロアルキル、好ましくは5〜7員環のシクロアルキル、さらに好ましくは5〜6員環のシクロアルキルを表し、さらに好ましくはR
4が、任意に複素環式である、及び/又は任意に置換された6員環のシクロアルキル、好ましくは任意に置換されたシクロヘキシル、さらに好ましくは非置換のシクロアルキルを表す実施形態1又は2の方法。
【0127】
4.1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物が、1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
4)アルキル−(C
5−C
7)シクロアルキルアンモニウム化合物、好ましくは1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
3)アルキル−(C
5−C
6)シクロアルキルアンモニウム化合物、さらに好ましくは1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−(C
5−C
6)シクロアルキルアンモニウム化合物、さらに好ましくは1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−シクロペンチルアンモニウム、及び/又は1種以上のN,N,N−トリ(C
1−C
2)アルキル−シクロヘキシルアンモニウム化合物、さらに好ましくはN,N,N−トリエチル−シクロヘキシルアンモニウム、N,N−ジエチル−N−メチル−シクロヘキシルアンモニウム、N,N−ジメチル−N−エチル−シクロヘキシルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物及びそれらの2種以上の混合物から選択される1種以上の化合物を含み、さらにいっそう好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物が、N,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物を含む実施形態1〜3のいずれかの方法。
【0128】
5.1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物が、塩であり、好ましくは、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、さらに好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩であり、さらに好ましくは1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物が、テトラアルキルアンモニウム水酸化物及び/又は塩化物であり、さらにいっそう好ましくはテトラアルキルアンモニウム水酸化物である実施形態1〜4のいずれかの方法。
【0129】
6.Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、好ましくはYが、Siである実施形態1〜5のいずれかの方法。
【0130】
7.1種以上のYO
2源が、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、セスキシリケート、ジシリケート、コロイド状シリカ、ケイ酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、コロイド状シリカ、ケイ酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、さらにいっそう好ましくは1種以上YO
2源が、ヒュームドシリカ、及び/又はコロイド状シリカを含む実施形態1〜6のいずれかの方法。
【0131】
8.Xが、Al、B、In、Ga、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、好ましくXが、Al及び/又はB、さらに好ましくはAlである実施形態1〜7のいずれかの方法。
【0132】
9.1種以上のX
2O
3源が、アルミナ、アルミン酸塩、アルミニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物から、好ましくはアルミナ、アルミニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはアルミナ、AlO(OH)、Al(OH)
3、ハロゲン化アルミニウム(好ましくはフッ化、及び/又は塩化、及び/又は臭化アルミニウム、さらに好ましくはフッ化、及び/又塩化アルミニウム、さらにいっそう好ましくは塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、フルオロケイ酸アルミニウム、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはAlO(OH)、Al(OH)
3、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはAlO(OH)、Al(OH)
3、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の化合物を含み、さらにいっそう好ましくは、1種以上のX
2O
3源が、AlO(OH)及び/又は硫酸アルミニウム、好ましくは硫酸アルミニウムを含む実施形態1〜8のいずれかの方法。
【0133】
10.工程(1)による混合物のYO
2:X
2O
3モル比が、0.5〜500の範囲、好ましくは、1〜200の範囲、さらに好ましくは5〜150の範囲、さらに好ましくは20〜100の範囲、さらに好ましくは30〜80の範囲、さらに好ましくは40〜60の範囲、さらにいっそう好ましくは45〜55の範囲である実施形態1〜9のいずれかの方法。
【0134】
11.工程(1)による混合物が、さらに1種以上の溶媒を含み、好ましくは、前記1種以上の溶媒が、水、さらに好ましくは蒸留水を含む実施形態1〜10のいずれかの方法。
【0135】
12.工程(1)による混合物のH
2O:YO
2モル比が、3〜50の範囲、さらに好ましくは4〜30の範囲、さらに好ましくは4.5〜20の範囲、さらに好ましくは5〜15の範囲、さらに好ましくは5.5〜12の範囲、さらにいっそう好ましくは6〜10の範囲である実施形態1〜11のいずれかの方法。
【0136】
13.工程(1)により供給される前記混合物における1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+:YO
2のモル比が、0.05〜3の範囲、好ましくは0.1〜1.5の範囲、さらに好ましくは0.3〜1の範囲、さらに好ましくは0.4〜0.8の範囲、さらに好ましくは0.45〜0.75の範囲、さらにいっそう好ましくは0.5〜0.7の範囲である実施形態1〜12のいずれかの方法。
【0137】
14.工程(1)に供給される混合物が、YO
2の100質量%に基づいて、3質量%以下の1種以上の金属M、好ましくは、YO
2の100質量%に基づいて、1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下の、さらに好ましくは0.1質量%以下の、さらに好ましくは0.05質量%以下の、さらに好ましくは0.01質量%以下の、さらに好ましくは0.005質量%以下の、さらに好ましくは0.001質量%以下の、さらに好ましくは0.0005質量%以下の、さらに好ましくは0.0001質量%以下の1種以上の金属Mを含み、さらにいっそう好ましくは工程(1)に供給される混合物は、金属Mを、含まず、
Mが、ナトリウム又はカリウム、好ましくはナトリウム及びカリウム、さらに好ましくはアルカリ金属の群を表し、さらにいっそう好ましくはMが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の群を表す実施形態1〜13のいずれかの方法。
【0138】
15.工程(1)による混合物が、さらに、CHA型骨格構造におけるY原子及び/又はX原子の少なくとも一部分の同形置換に適切な1種以上の元素の1種以上の供給源を含み、1種以上の元素が、好ましくはB、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、Cu、Zn、Li、Be、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、1種以上の元素が、B、Fe、Ti、Sn、Zr、Cu、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、さらにいっそう好ましくは、1種以上の元素が、Fe及び/又はCu、好ましくはCuである実施形態1〜14のいずれかの方法。
【0139】
16.YO
2の、同形置換に適している1種以上の元素に対するモル比が、5〜200の範囲、好ましくは10〜100の範囲、さらに好ましくは20〜70の範囲、さらにいっそう好ましくは25〜50の範囲である実施形態1〜15のいずれかの方法。
【0140】
17.工程(2)における結晶化が、好ましくは90〜210℃の範囲、好ましくは110〜200℃の範囲、さらに好ましくは120〜190℃の範囲、さらに好ましくは135〜180℃の範囲、さらにいっそう好ましくは150〜170℃の範囲の温度での、混合物の加熱を伴う実施形態1〜16のいずれかの方法。
【0141】
18.工程(2)における結晶化が、ソルボサーマル条件下、好ましくは水熱条件(hydrothermal condition)下で実施される実施形態1〜17のいずれかの方法。
【0142】
19.工程(2)における結晶化が、0.5〜50日間の範囲、好ましくは1〜30日間の範囲、さらに好ましくは1.5〜13日間の範囲、さらに好ましくは2〜10日間の範囲、さらに好ましくは2〜7日間の範囲、さらに好ましくは2.5〜5日間の範囲、さらに好ましくは2.5〜4.5日間の範囲、さらにいっそう好ましくは2.5〜3.5日間の範囲の期間の混合物の加熱を伴う実施形態1〜18のいずれかの方法。
【0143】
20.工程(2)における結晶化が、好ましくは撹拌(stirring)によって、混合物を撹拌すること(agitating)を伴う実施形態1〜19のいずれかの方法。
【0144】
21.さらに以下の工程:
(3)前記ゼオライト材料を分離する工程、好ましくはろ過工程及び/又は
(4)前記ゼオライト材料を洗浄する工程、及び/又は
(5)前記ゼオライト材料を乾燥する工程、及び/又は
(6)前記ゼオライト材料にイオン交換処理を行う工程、
の1工程以上を含み、
前記工程(3)及び/又は工程(4)及び/又は工程(5)及び/又は工程(6)は、任意の順序で実施することができ、好ましくは1工程以上の前記工程は、1回以上繰り返される実施形態1〜20のいずれかの方法。
【0145】
22.少なくとも1工程の工程(6)において、ゼオライト骨格に含まれる少なくとも1種のイオン性非骨格元素が、好ましくは1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素に対して、イオン交換され、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素は、好ましくはH
+、NH
4+、Sr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはH
+、NH
4+、Sr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはH
+、NH
4+、Cr、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらにいっそう好ましくはMg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、1種以上のイオン性非骨格元素は、好ましくはH
+及び/又はアルカリ金属を含み、アルカリ金属は、好ましくはLi、Na、K、Cs、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、さらに好ましくはLi、Na、K、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、さらに好ましくは、アルカリ金属はNa及び/又はKであり、さらにいっそう好ましくはNaである実施形態21の方法。
【0146】
23.工程(1)において供給される混合物が、さらに種結晶を含み、好ましくは種結晶が、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料を含み、種結晶のゼオライト材料が、好ましくは実施形態1〜22のいずれかにより得られる、及び/又は得られたものである実施形態1〜22のいずれかの方法。
【0147】
24.工程(1)による混合物における種結晶の量が、少なくとも1種のYO
2源におけるYO
2の100質量%に基づいて、0.1〜20質量%の範囲であり、好ましくはYO
2の100質量%に基づいて、0.3〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.5〜5質量%の範囲、さらに好ましくは1〜3質量%の範囲、さらにいっそう好ましくは1.5〜2.5質量%の範囲である実施形態23の方法。
【0148】
25.工程(1)において供給される混合物が、実質的な量のトリメチルベンジルアンモニウム含有化合物、好ましくはトリアルキルベンジルアンモニウム化合物を含まないことが好ましく、好ましくは、工程(1)において供給される混合物が、構造指向剤として、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の、実質的な量の有機鋳型を含まず、さらに好ましくは、工程(1)において供給される混合物が、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+−含有化合物以外の、実質的な量の構造指向剤を含まず、さらにいっそう好ましくは、工程(1)において供給される混合物が、工程(2)においてCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化のための構造指向剤として、1種以上のN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム化合物のみ、好ましくはN,N,N−トリメチル−シクロヘキシルアンモニウム水酸化物のみを含む実施形態1〜24のいずれかの方法。
【0149】
26.実施形態1〜25のいずれかにより得られる、及び/又は得られたCHA型骨格構造を有する合成ゼオライト材料であって、CHA型骨格構造が、YO
2及びX
2O
3を含み、CHA型骨格が、実質的な量のP及び/又はAs、好ましくはP、As、V、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素、さらに好ましくはP、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素を含まず、さらにいっそう好ましくは、前記骨格構造が、骨格元素として、実質的な量の任意の五価の元素Zを含まない合成ゼオライト材料。
【0150】
27.YO
2及びX
2O
3を含むCHA型骨格構造を有する合成ゼオライト材料であって、Yは四価の元素であり、Xは三価の元素であり、
前記材料が、少なくとも以下の反射:
【0152】
[表中、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関連する。]
を含むX線回折パターンを有する合成ゼオライト材料。
【0153】
28.ゼオライト材料の、好ましくは、合成されたままの未処理のゼオライト材料の
27Al MAS NMRが、
52.3〜58.6ppmの範囲、好ましくは52.9〜57.8ppmの範囲、さらに好ましくは53.5〜57.0ppmの範囲、さらにいっそう好ましくは54.1〜56.2ppmの範囲の第1ピーク(P1)、及び
−2.3〜−4.1ppmの範囲、−2.5〜−3.8ppmの範囲、さらに好ましくは−2.7〜−3.6ppmの範囲、さらにいっそう好ましくは−2.8〜−3.4ppmの範囲の第2ピーク(P2)を含み、
ゼオライト材料の
27Al MAS NMRにおける第1ピーク及び第2ピークの積分が、好ましくは、1:(0〜0.22)の範囲、さらに好ましくは1:(0.001〜0.2)の範囲、さらに好ましくは1:(0.005〜0.18)の範囲、さらに好ましくは1:(0.01〜0.15)の範囲、さらに好ましくは1:(0.02〜0.13)の範囲、さらにいっそう好ましくは1:(0.03〜0.12)の範囲に含まれる積分値比P1:P2を示す実施形態26又は27のゼオライト材料。
【0154】
29.ゼオライト材料のIR−スペクトルが、
3,550〜3,660cm
−1の範囲、好ましくは3,580〜3,635cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,595〜3,620cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,600〜3,615cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,606〜3,611cm
−1の範囲の第1吸収帯(B1)、及び
1,800〜1,930cm
−1の範囲、好ましくは1,830〜1,910cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,850〜1,890cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,860〜1,880cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは1,865〜1,875cm
−1の範囲の第2吸収帯(B2)、を含み、
第1吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B1:B2が、3.0〜5.2の範囲、好ましくは3.5〜4.7の範囲、さらに好ましくは3.8〜4.4の範囲、さらに好ましくは4.0〜4.2の範囲、さらにいっそう好ましくは4.03〜4.15の範囲に含まれる実施形態26〜28のいずれかのゼオライト材料。
30.ゼオライト材料のIR−スペクトルが、さらに、
3,665〜3,730cm
−1の範囲、好ましくは3,670〜3,720cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,680〜3,715cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,690〜3,710cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,698〜3,702cm
−1の範囲の第3吸収帯(B3)、及び
3,450〜3,545cm
−1の範囲、好ましくは3,470〜3,530cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,480〜3,520cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,490〜3,510cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,499〜3,502cm
−1の範囲の第4吸収帯(B4)、を含み、
第3吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B3:B2が、1.5〜3.5の範囲、好ましくは2.0〜3.0の範囲、さらに好ましくは2.3〜2.8の範囲、さらに好ましくは2.4〜2.7の範囲、さらにいっそう好ましくは2.5〜2.6の範囲に含まれ、且つ
第4吸収帯の最大吸光度の、第2吸収帯の最大吸光度に対する比B4:B2が、1.6〜3.6の範囲、好ましくは2.0〜3.2の範囲、さらに好ましくは2.3〜3.0の範囲、さらに好ましくは2.5〜2.8の範囲、さらにいっそう好ましくは2.6〜2.7の範囲に含まれる実施形態29のゼオライト材料。
【0155】
31.さらにゼオライト材料のIR−スペクトルが、
3,550〜3,660cm
−1の範囲、好ましくは3,580〜3,635cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,595〜3,620cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,600〜3,615cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,606〜3,611cm
−1の範囲の第1吸収帯(B’1)、
3,450〜3,545cm
−1の範囲、好ましくは3,470〜3,530cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,480〜3,520cm
−1の範囲、さらに好ましくは3,490〜3,510cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは3,499〜3,502cm
−1の範囲の第2吸収帯(B’2)、
1,800〜1,930cm
−1の範囲、好ましくは1,830〜1,910cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,850〜1,890cm
−1の範囲、さらに好ましくは1,860〜1,880cm
−1の範囲、さらにいっそう好ましくは1,865〜1,875cm
−1の範囲の第3吸収帯(B’3)、を含み、
第1吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’1:B’3が、0.30〜2.5の範囲、好ましくは0.50〜2.0の範囲、さらに好ましくは0.70〜1.5の範囲、さらに好ましくは0.80〜1.2の範囲、さらに好ましくは0.85〜1.0の範囲、さらにいっそう好ましくは0.87〜0.91の範囲に含まれ、且つ
第2吸収帯の最大吸光度の、第3吸収帯の最大吸光度に対する比B’2:B’3が、0.1〜3.0の範囲、好ましくは0.3〜2.0の範囲、さらに好ましくは0.5〜1.5の範囲、さらに好ましくは0.6〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.7〜0.8の範囲、さらにいっそう好ましくは0.72〜0.76の範囲に含まれる実施形態26〜28のいずれかのゼオライト材料。
【0156】
32.CHA型骨格が、実質的な量のP及び/又はAs、好ましくはP、As、V、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素、さらに好ましくはP、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の元素を含まず、さらにいっそう好ましくは、前記骨格構造が、骨格元素として、実質的な量の任意の五価の元素Zを含まず、且つ好ましくは、ゼオライト材料がSSZ−13及び/又はSSZ−15を含まない実施形態26〜31のいずれかのゼオライト材料。
【0157】
33.YO
2:X
2O
3モル比が、2〜200の範囲、好ましくは5〜100の範囲、さらに好ましくは10〜60の範囲、さらに好ましくは15〜50の範囲、さらに好ましくは20〜40の範囲、さらにいっそう好ましくは22〜31の範囲である実施形態26〜32のいずれかのゼオライト材料。
【0158】
34.Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yが、好ましくはSiである実施形態26〜33のいずれかのゼオライト材料。
【0159】
35.Xが、Al、B、In、Ga、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、XがAl及び/又はBであり、さらに好ましくは、XがAlである実施形態26〜34のいずれかのゼオライト材料。
【0160】
36.ゼオライト材料が、好ましくは、(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から、好ましくは(Ni(deta)
2)−UT−6、チャバザイト、|Li−Na|[Al−Si−O]−CHA、DAF−5、Dehyd.Na−チャバザイト、K−チャバザイト(イラン)、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ−62、UiO−21、ウィルヘンダーソナイト、ZK−14、ZYT−6、及びそれらの2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、さらにいっそう好ましくは、ゼオライト材料が、チャバザイトを含む実施形態26〜35のいずれかのゼオライト材料。
【0161】
37.DIN66135に従い測定されたゼオライト材料のBET表面積が、100〜850m
2/gの範囲、好ましくは200〜800m
2/gの範囲、さらに好ましくは300〜750m
2/gの範囲、さらに好ましくは400〜720m
2/gの範囲、さらに好ましくは500〜700m
2/gの範囲、さらに好ましくは550〜680m
2/gの範囲、さらに好ましくは600〜660m
2/gの範囲である実施形態26〜36のいずれかのゼオライト材料。
【0162】
38.実施形態26〜37によるCHA型骨格構造を有する合成ゼオライト材料の、モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒としての、及び/又は触媒担体としての、好ましくは窒素酸化物NO
xの選択的触媒還元(SCR)用の、NH
3の酸化、特にディーゼルシステムにおけるNH
3スリップの酸化用の、NO
2の分解用の触媒としての、流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤としての、及び/又は有機変換反応、好ましくはアルコールのオレフィンへの変換、さらに好ましくはメタノールからオレフィンへの(MTO)触媒作用における触媒としての使用。
【0163】
[図の説明]
図1、2a、3a、4a、及び5aは、それぞれ実施例1、2、3、5、及び6により得られた結晶材料のX線回折パターン(Cu K α−1放射を用いて測定された)を示し、それぞれCHA型骨格のラインパターンが、比較のために、
図1、2a、3a、及び4aに含まれている。図において、回折角2θ/°が横軸に沿って示され、強度が縦軸に沿ってプロットされる。
【0164】
図2b、3b、4b、及び5bは、それぞれ実施例2、3、5、及び6により得られた結晶材料に得られたIR−スペクトルを示す。図において、波数cm
−1が横軸に沿って示され、吸光度が縦軸に沿ってプロットされる。
【0165】
図2c及び3cは、それぞれ実施例2及び3により得られた結晶材料に得られた昇温脱離(temperature-programed desorption)(NH
3−TPD)を示す。図において、温度/℃が横軸に沿って示され、熱伝導度検出器(TCD)によって測定された脱着したアンモニア濃度が縦軸に沿ってプロットされる。
【0166】
図6、7、及び8は、実施例7に記載された比較例と比較して、それぞれ成形体に形成した後、実施例5及び6による銅−交換されたゼオライト材料上で行われたNOx変換における触媒テストから得られた結果を示す。
図7及び8において、実施例7において記載された時効処理(aging treatment)を受けた試料を使用した結果が示される。図において、温度/℃が横軸に沿って示され、NOx変換率/%が縦軸に沿ってプロットされる。
【実施例】
【0167】
粉末材料のX線回折実験は、Cu K α−1放射を用い、Sol−X検出器を備えたAdvance D8 Series 2 Diffractometer (Bruker/AXS社製)を用いて行った。
【0168】
27Al MAS固体NMR実験は、250msリサイクル遅延(recycle delay)及び20ms取得時間を用い、10kHzマジック角回転(Magic Angle Spining)下、15°パルスで直接励起によって測定した。データは50Hz指数的線幅広がり(exponential line broadening)で処理した。
【0169】
IR−スペクトルは、担体材料の無い試料(前記試料は、測定前に3時間、高真空下、300℃で加熱した)から得た。測定は、CaF
2ウィンドウを有する高真空測定セルにおいて、Nicolet 6700スペクトロメータを用いて行った。得られたデータは、吸光度値へ変換し、分析はベースライン補正後のスペクトルで行った。
【0170】
[実施例1]
47.8gの50%トリメチルシクロヘキシルアンモニウム水酸化物(TMCAOH)水溶液を4.02gのAl
2(SO
4)
3*18H
2O、及び15.08mlの1MNaOH(H
2O中)と混合した。18.1gのフュームドシリカ(Aerosil 200)を撹拌した混合物へ段階的に添加した。結果として生じるゲルを総容積0.25Lで密封されたオートクレーブ中に置き、その後96時間で150℃へ加熱した。室温へ冷却した後、得られた生成物を遠心分離で分離し、各100mlのH
2Oで4回洗浄した。その後、その材料を120℃で空気下、10時間乾燥し、結果として12.6gの白色粉末を得た。その後、その粉末を1℃/分の昇温速度で550℃へ加熱することによって空気下で焼成し、その温度で5時間維持した。
【0171】
生成物のXRD−パターンが
図1に示され、単結晶相としてCHA型構造を有するゼオライト材料であることを明らかにする。N
2−及びAr−吸着測定から、表面積(BET)は、642m
2/gと測定され、最大細孔容積(Horvath−Kawazoe)は0.27cm
3/gと計算され、平均細孔幅は0.62nmと計算された。元素分析は2.4質量%Al、28質量%Si、及び0.64質量%Naの組成を明らかにする。
【0172】
[実施例2]
755.2gのトリメチルシクロヘキシルアンモニウム水酸化物(55.8質量%(H
2O中))を70.53gのAl
2(SO
4)
3*18H
2O、及び264.56mlの1MNaOH(H
2O中)と混合した。その後、317.55gのフュームドシリカ(Aerosil 200)を撹拌した混合物へ段階的に添加した。結果として生じるゲルを総容積2.5Lで密封されたオートクレーブ中に置き、96時間で120℃へ加熱した。室温へ冷却した後、得られた生成物を遠心分離で分離し、各800mlのH
2Oで4回洗浄した。その後、その材料を120℃で空気下、10時間乾燥し、結果として122gの白色粉末を得た。その後、その粉末を1K/分の昇温速度で550℃へ加熱し、その温度で5時間維持することによって空気下で焼成した。
【0173】
生成物のXRD−パターンが
図2aに示され、単結晶相としてCHA型構造を有するゼオライト材料であることを明らかにする。
【0174】
その後、試料はイオン交換処理を介してH型へ変換され、したがって、最終生成物が、2.5質量%Al、38.0質量%Si、及び<0.01質量%Naの組成を有することを可能にした。したがって、H型の最終生成物のSi:Al比は、15.2であった。試料は、80%の結晶化度を示し、170nmの平均結晶サイズを示した。
【0175】
試料の
27Al MAS NMRスペクトルは、56.2ppmで第1ピーク、及び−2.8ppmで第2ピークを示し、第1及び第2のシグナル強度の積分は、積分値比、第1シグナル:第2シグナルが、1:0.12であることを明らかにした。
【0176】
実施例2から得られた生成物のIR―スペクトルが、
図2bに示され、特に3,609cm
−1及び1,865cm
−1で最大値を有する吸収帯が、それぞれ1.33、及び0.33の最大吸光度値を有していることが見られる。3,609cm
−1での最大吸光度は、暫定的にブレンステッド酸Si−OH部位に起因すると考えられる。
【0177】
NH
3−TPDが、実施例2の試料で行われ、その結果が
図2cに示される。データの分析は、弱酸部位の0.35mmol/gの濃度、及び強酸部位の0.68mmol/gの濃度を提供し、したがって、1.03mmol/gの総H
+濃度を提供する。これは、US2003/0069449A1により得られた先行技術のチャバザイトを使用して行われ、弱酸部位の0.19mmol/gの濃度、及び強酸部位の0.43mmol/gの濃度で、0.62mmol/gの総H
+濃度を提供したNH
3−TPDの結果と対照をなす。
【0178】
[実施例3]
47.8gのトリメチルシクロヘキシルアンモニウム水酸化物(66.8質量%(H
2O中))を4.02gのAl
2(SO
4)
3*18H
2O、及び0.6gのNaOHと混合した。その後、45.25gのコロイド状シリカ(LUDOX AS40:40質量%コロイド状SiO
2(H
2O中))を撹拌した混合物へ段階的に添加した。結果として生じるゲルを総容積0.25Lで密封されたオートクレーブ中に置き、その後96時間で170℃へ加熱した。室温へ冷却した後、得られた生成物をろ過で分離し、400mlの蒸留水で3回洗浄した。その後、その材料を120℃で空気下、10時間乾燥し、17.6gの白色粉末を得た。その後、その粉末を1℃/分の昇温速度で550℃へ加熱し、その温度で5時間維持することによって空気下で焼成した。
【0179】
生成物のXRD−パターンが
図3aに示され、単結晶相としてCHA型構造を有するゼオライト材料であることを明らかにする。生成物の元素分析は、1.8質量%Al、35.5質量%Si、及び0.36質量%Naの組成を明らかにした。
【0180】
その後、試料はイオン交換処理を介してH型へ変換され、したがって、最終生成物が、1.9質量%Al、43.0質量%Si、及び<0.01質量%Naの組成を有することを可能にした。したがって、H型の最終生成物のSi:Al比は、22.6であった。試料は、90%の結晶化度を示し、>100nmの平均結晶サイズを示した。
【0181】
実施例3から得られた生成物の
27Al MAS NMRスペクトルは、54.1ppmで第1ピーク、及び−3.4ppmで第2ピークを示し、第1及び第2のシグナル強度の積分は、積分値比、第1シグナル:第2シグナルが、1:0.11であることを明らかにした。
【0182】
試料のIR―スペクトルが、
図3bに示され、特に3,700cm
−1、3,609cm
−1、3,502cm
−1、及び1,875cm
−1で最大値を有する吸収帯が、それぞれ0.51,0.83、0.53、及び0.20の最大吸光度値を有していることが見られる。実施例2のIR−スペクトルのように、3,609cm
−1での最大吸光度は、同様に暫定的にブレンステッド酸Si−OH部位に起因すると考えられる。また、3,700cm
−1及び3,502cm
−1での吸収帯は、それぞれ末端Si−OH、及びシラノールネスト(silanol nest)に起因すると考えられる。
【0183】
NH
3−TPDが、実施例3の試料で行われ、その結果が
図3cに示される。データの分析は、弱酸部位の0.45mmol/gの濃度、及び強酸部位の0.54mmol/gの濃度を提供し、したがって、0.99mmol/gの総H
+濃度を提供する。これは、同様にUS2003/0069449A1により得られた先行技術のチャバザイトを使用して行われ、実施例2で示された数値を提供したNH
3−TPDの結果と対照をなす。したがって、実施例2に対する上記の説明のように、先行技術からのサンプルと比較して、全く驚くべきことに、弱酸部位及び強酸部位の両方のより高い濃度が、本実施例の本発明の材料に認められることが見出された。この場合、このことは、本発明の試料が、単に17.1のSi:Al比を示す先行技術の試料に比べて、22.6の有意により高いSi:Al比を示す事実を考慮すると、いっそう驚くべきことである。
【0184】
[実施例4]
0.444gのAl
2(SO
4)
3*18H
2O及び5.28gのトリメチルシクロヘキシルアンモニウム水酸化物(50質量%(H
2O中))を、約30分撹拌した。その後、4gのコロイド状シリカ(Ludox TM−50;50質量%SiO
2)を添加し、混合物を2時間撹拌し、結果として白色で、注げる前駆溶液を得た。その後、前駆溶液を20mlのテフロン(登録商標)裏打ち(teflon-lined)オートクレーブに満たし、予熱したオーブン中で、150℃で3日間反応した。室温へ冷却した後、得られた生成物を遠心分離で分離し、各100mlのH
2Oで4回洗浄した。その後、その材料を120℃で空気下、10時間乾燥し、結果として2.0gの白色粉末を得た。
【0185】
生成物のXRD−パターンは、単結晶相としてCHA型構造を有するゼオライト材料であることを明らかにした。
【0186】
[実施例5:実施例2からの種材料と共に調製]
47.8gのトリメチルシクロヘキシルアンモニウム水酸化物(19.9質量%(H
2O中))を4.02gのAl
2(SO
4)
3*18H
2O、及び15.08mlの1MNaOHと混合した。その後、45.25gのコロイド状シリカ(LUDOX AS40:40質量%コロイド状SiO
2(H
2O中))を撹拌した混合物へ添加した。最終的に0.36gの実施例2の生成物を反応混合物に分散させた。結果として生じるゲルを総容積0.25Lで密封されたオートクレーブ中に置き、その後144時間で170℃へ加熱した。室温へ冷却した後、得られた生成物をろ過で分離し、400mlの蒸留H
2Oで3回洗浄した。その後、その材料を120℃で空気下、10時間乾燥し、22.3gの白色結晶粉末を得た。その後、その粉末を1℃/分の昇温速度で550℃へ加熱し、その温度で5時間維持することによって空気下で焼成した。
【0187】
生成物のXRD−パターンが
図4aに示され、単結晶相としてCHA型構造を有するゼオライト材料であることを明らかにする。
【0188】
その後、試料はイオン交換処理を介してH型へ変換され、したがって、最終生成物が、元素分析により測定された通り、1.7質量%Al、41.5質量%Si、及び<0.01質量%Naの組成を有することを可能にした。したがって、H型の最終生成物のSi:Al比は、24.4であった。試料は、87%の結晶化度を示し、>100nmの平均結晶サイズを示した。
【0189】
実施例5から得られた生成物の
27Al MAS NMRスペクトルは、56.0ppmで第1ピーク、及び−3.4ppmで第2ピークを示し、第1及び第2のシグナル強度の積分は、積分値比、第1シグナル:第2シグナルが、1:0.027であることを明らかにした。
【0190】
試料のIR―スペクトルが、
図4bに示され、特に3,700cm
−1、3,606cm
−1、3,499cm
−1、及び1,867cm
−1で最大値を有する吸収帯が、それぞれ0.41,0.17、0.14、及び0.19の最大吸光度値を有していることが見られる。実施例2及び3のIR−スペクトルのように、3,606cm
−1での最大吸光度は、同様に暫定的にブレンステッド酸Si−OH部位に起因すると考えられる。また、実施例3のように、3,700cm
−1及び3,499cm
−1での吸収帯は、それぞれ末端Si−OH、及びシラノールネスト(silanol nest)に起因すると考えられる。
【0191】
NH
3−TPDが、実施例5の試料で行われ、その結果が
図4cに示される。データの分析は、弱酸部位の0.22mmol/gの濃度、及び強酸部位の0.55mmol/gの濃度を提供し、したがって、0.77mmol/gの総H
+濃度を提供する。これは、同様にUS2003/0069449A1により得られた先行技術のチャバザイトを使用して行われ、実施例2で示された数値を提供したNH
3−TPDの結果と対照をなす。また、実施例3に対する上記の説明のように、これらの結果は、本発明の試料が、先行技術の試料と比べて、24.4の有意により高いSi:Al比を示す事実を考慮すると、高度に予想外である。
【0192】
実施例5から得られた36.16gのゼオライト材料を、361.0gの硝酸アンモニウム溶液(10質量%)(H
2O中)に分散させ、撹拌下、2時間で60℃へ加熱した。その後、固体をろ過し、残存硝酸イオンを除去するためにH
2Oで洗浄した。その後、イオン交換工程をもう1回繰り返した。最終的に、結果として得られるゼオライト材料を120℃で空気下、10時間乾燥した。元素分析は、試料において、減少したナトリウム含有量(0.3質量%)を明らかにした。
【0193】
31.2gのイオン交換から得られた粉末を、393.7gのH
2O、50gのエタノール及び4.01gの酢酸銅(II)の混合物に分散させ、撹拌下、1時間で60℃に加熱した。結果として得られたライトブルーのCu−CHAを、ろ過によって溶液から分離し、各300mlのH
2Oで4回洗浄した。生成物は、調製した材料における、Cuイオン(3.0質量%)の成功した取り込み、及び残存ナトリウムイオンの0.01質量%への更なる除去を示す元素分析によって特徴づけられた。
【0194】
その後、銅交換ゼオライト材料から、その30gを1.5gのポリエチレンオキサイド及び11mlのH
2Oと、ニーダー中で混合することによって成形体を形成した。結果として得られたペーストを最大圧力1MPa(10bar)で、1.5mmの押出孔を通してプレスした。得られた押出成形品を120℃で5時間乾燥し、540℃で5時間焼成した。その後、押出成形品をペレットに成形し、0.5〜1mmのペレットサイズを分離するために篩にかけた。その後、この画分を反応器の試験に用いた。結果として得られたライトブルーの押出成形品を、77Kで、N
2吸着測定によって分析した。得られた等温線に基づいて、表面積は、BETにより632m
2/gと計算された。
【0195】
[実施例6:種材料としてNa−チャバザイトと共に調製]
291.3gのトリメチルシクロヘキシルアンモニウム水酸化物(35.0質量%(H
2O中))を42.88gのAl
2(SO
4)
3*18H
2O、及び160.84mlの1MNaOHと混合した。その後、482.62gのコロイド状シリカ(LUDOX AS40:40質量%コロイド状SiO
2(H
2O中))を撹拌した混合物へ添加した。最終的に3.83gのチャバザイト(Na型;Si:Alモル比=15)を反応混合物に分散させた。結果として生じるゲルを総容積2.5Lで密封されたオートクレーブ中に置き、その後48時間で170℃へ加熱した。室温へ冷却した後、得られた生成物をろ過で分離し、2000mlの蒸留H
2Oで3回洗浄した。その後、その材料を120℃で空気下、10時間乾燥し、245.5gの白色結晶粉末を得た。その後、その粉末を1℃/分の昇温速度で550℃へ加熱し、その温度で5時間維持することによって空気下で焼成した。
【0196】
生成物のXRD−パターンが
図5aに示され、単結晶相としてCHA型構造を有するゼオライト材料であることを明らかにする。
【0197】
生成物の元素分析は、1.6質量%Al、37.5質量%Si、及び0.10質量%Naの組成であることを明らかにした。したがって、最終生成物のSi:Alモル比は、22.6であった。
【0198】
実施例6から得られた生成物の
27Al MAS NMRスペクトルは、57.6ppmで単一ピークを示した。したがって、生成物のNMRスペクトルから、余分な骨格アルミニウムはそれに含まれておらず、認められた単一ピークはゼオライトの骨格構造に含まれる四価に調整された(tetravalently coordinated)アルミニウムを表すことが分かる。
【0199】
試料のIR―スペクトルが、
図5bに示され、特に3,701cm
−1、3,609cm
−1、3,496cm
−1、及び1,872cm
−1で最大値を有する吸収帯が見られる。実施例2、3、及び5のIR−スペクトルのように、3,609cm
−1での最大吸光度は、同様に暫定的にブレンステッド酸Si−OH部位に起因すると考えられる。また、実施例3のように、3,701cm
−1及び3,496cm
−1での吸収帯は、それぞれ末端Si−OH、及びシラノールネスト(silanol nest)に起因すると考えられる。
【0200】
その後、ゼオライト生成物を、H型へ変換し、続いて実施例5に記載したようにイオン交換した。生成物の元素分析は、1.6質量%Al、2.5質量%Al、37.5質量%Si、及び0.01質量%Naの組成であることを明らかにした。したがって、イオン交換生成物のSi:Alモル比は、水熱系から直接得られたナトリウム型と比較して変化していないままである。その材料もまた、77Kで、N
2吸着測定によって分析した。得られた等温線に基づいて、表面積は、BETにより490m
2/g、ラングミュア(Langmuir)表面積により653m
2/gと計算された。
【0201】
以下の実施例7における触媒試験のため、成形体を、実施例5に記載した手順に従う銅交換材料を用いて形成した。
【0202】
[実施例7:触媒試験]
実施例5に記載された押出成形品を含む銅交換ゼオライトを得るための工程を、比較例(2.9質量%のCuイオン交換)を得るためにUS2003/0069449A1に従って得られた先行技術のチャバザイトを用いて、それぞれ繰り返した。
【0203】
その後、実施例5及び比較例に従うそれぞれの押出成形品を、500mm高、及び18mm内径の径を有する1mm厚鋼製管(グレード1.4841(Buhlmann Group製))からなる反応器中で時効した。ニッケルマントルベースの炉を、反応器を目的の反応温度(試料にある内部熱電対によってモニターされる)へ加熱するために使用した。蒸気を、静的ミキサー中の残存ガスと混合する前に、制御された量の水を加熱することにより、鋼製プレスチーマーを介して150℃で、調製した。その後、蒸気と共にガスを、目的の温度にするためプレヒーターを通過させた。水熱時効(hydrothermal aging)を、時効反応器において、厳しい水熱時効を構成する、10%H
2O、10%O
2、残余のN
2を含むガス流により、12,500h
−1の空間速度、850℃で、6時間で達成した。
【0204】
その後、SCR試験を、それぞれの試料を500ppmNO、500ppmNH
3、5%H
2O、10%O
2、及び残余のN
2を含むガス流と、それぞれ200℃、300℃、及び450℃で接触させることによって行った。触媒試験に使用したガス時空間速度は、GHSV=80,000h
−1であった。
【0205】
実施例5からの、及び比較例からの押出成形品試料の触媒試験の結果が、それぞれ
図6及び7に示され、それぞれ時効前、及び時効後の押出成形品のNO
x変換を示している。したがって、未処理の触媒を使用する結果を示す
図6から得られるように、全く驚くべきことに、本発明による実施例5の銅交換ゼオライト材料が、同条件下で90%より劣る変換率にとどまる先行技術の銅交換ゼオライト材料と比較して、95%に達する大幅により高いNO
x処理の変換率を提供することが見出された。これは、実施例5において、説明したように、本発明の試料のゼオライト材料が、17.7のAi:Al比を有する先行技術の試料と比較して、24.4の有意により高いSi:Al比を示す事実を考慮すると、いっそう驚くべきことである。
【0206】
それぞれの試料の厳しい時効後に得られた結果から得られるように、本発明のゼオライト材料の活性は、時間を経て比較例の押出成形品における先行技術によるゼオライト材料の場合に相当する変換率に達するように徐々に変化する。
【0207】
さらなる試験実験において、実施例6から、及び比較例による、それぞれの押出成形品を、同様に厳しい水熱時効を構成する、10%H
2Oを含む空気中で、850℃で6時間、時効した。その後、時効した試料を、前に概説した条件下でSCR試験を行った。
【0208】
実施例6からの、及びこの方法で時効された比較例からの押出成形品試料で行われた触媒試験の結果が、
図8に示される。したがって、
図7に示された、実施例5及び比較例からの触媒試料で行われた試験結果と比較して、
図8に示された結果から、空気下の、即ち、実施例5の試験と比較して、約2倍の量の酸素を含む雰囲気下でのそれぞれの試料の時効においては、本発明による触媒によって達成される改善が、さらにいっそう顕著であることが得られる。特に、触媒試料の時効後でさえ、本発明により得られた銅交換触媒が、NO
x処理において、300℃で行った場合に約96%の変換率にさえ達する、明らかに優れた性能を示すことが認められる。同様に、実施例5からの押出成形品試料を用いて行われた比較試験と関連して、上述した通り、実施例6に示されるように、ゼオライト材料が22.6のSi:Alモル比を示し、したがって、先行技術により得られる比較例の試料と比較して、反応性のアルミニウム部位が極めて少ないので、この結果は極めて予想外である。
【0209】
したがって、前述で実証したように、時効前、及び時効後の両方で、本発明の材料の優れた性能から考えると、先行技術から公知のゼオライト材料と比較して、高度に改善された触媒が本発明によって提供され得るように、本発明の触媒を使用する場合、全ての変換が大幅に改善される。