【実施例1】
【0019】
以下において
図1a、1b、および2を使い、本発明による構造の第一実施形態を説明することにする;
図3a〜3dは、この実施形態を使った加工プロセスを説明するために使用する。これらの図においては、それぞれ本発明による構造にとって基本となる構成要素のみを図示しているのであって、そのような構造を使用できる該当装置の詳細を特に示すものではない。ここで対象になるのは例えば、半導体製造または半導体検査のために使用される装置である。
【0020】
本発明による構造は、可動の対象物1の位置を基準(参照)システムに対して検出するために使用される。その対象物1として挙げることができるのは、例えば装置にあるテーブルであり、それが二つの直角な主スライド軸x,yに沿って可動で配設されている;そのテーブル上には、加工および/または検査することになるウエハが配置されている。以下においては図中で参照符号yを付した主スライド軸を、第一主スライド軸として表すことにし、第一主スライド軸yに対して直角に向いている第二主スライド軸を、参照符号xを使って表す。二つの主スライド軸y,xを介することにより、装置内で広がるのはスライド面であり、その面内で決められたようにテーブルないし対象物1を、加工ないし検査中に位置決めせねばならない。一般的に対象物1は更に、その二つの主スライド軸x,yに対して直角に向いた第三軸に沿っても可動であるが、それは本発明の場合に更に意味があるものではない。
【0021】
可動の対象物1に対向して、例えば装置の基準フレームとして構成された固定の基準システムに、加工工具2.3が配設されている。その加工工具2.3とは、対象物1に対向して固定された基準システムにおいて、二つの同一で二次元の基準尺2.1,2.2が、機械的に結合されて配設されている。図示の実施例では二つの二次元基準尺2.1,2.2が、第一主スライド軸yに沿って隣接して配設されている。以下においては、第一主スライド軸yに沿った基準尺2.1,2.2のそれぞれの長さないし幅をDM
yで、そして第二主スライド軸xに沿った長さをDM
xで表すことにする。
【0022】
二つの二次元基準尺2.1,2.2は、十字格子プレートとして構成されており、照射回折格子の形態で互いが直角に向いた二つの格子目盛を有している。第一格子目盛には、y方向で周期的に配設された目盛線T
yを含んでおり、第一格子目盛に重ね合わされている第二格子目盛には、x方向で周期的に配設された目盛線T
xを含み、それを
図1bにおける二次元基準尺2.1の拡大概略図示で明示している。可能な実施例においては二つの格子目盛が、2.048μm区分の目盛周期を有している。
【0023】
更に、合計8つの走査検知ユニット1.2a〜1.2hが、可動の対象物1の側に配設されており、それが、二次元基準尺2.1,2.2を光学的に走査検知して位置信号を発生するために使用される。ここでは4つの外側走査検知ユニット1.2a,1.2bおよび1.2g,1.2hの他に、本発明により追加された少なくとも4つの内側拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fが設けられている。装置の使用中に基準尺2.1,2.2の光学的な走査検知を介することにより、加工工具2.3の付いた基準システムに対して、ウエハ1.1の付いた対象物1ないしテーブルの移動に関する位置信号が生成され、更に処理するために装置制御部に送られる。適切な光学式走査検知の詳細に関しては、本出願人による特許文献2を参照されたい。
【0024】
一般的に走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hにも、拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fにも、位置信号を生成するために色々な光学系構成要素が含まれており、
図1bで二つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2dとの関連で概略的に明示しているように、その中には一次元走査検知格子1.2dG,1.2cGもある。一次元走査検知格子1.2dG,1.2cGはそれぞれ、一つの方向に沿って周期的に配設された目盛線で構成されている。ここで示す実施例では走査検知格子1.2dG,1.2cGの目盛線が、第一主スライド軸yに対して角度α=+45°ないしβ=−45°だけ回転して配設されている。第一主スライド軸yに沿って対象物1が移動する時に、以上のように構成された走査検知ユニットないし拡張走査検知ユニットを介して、この方向において結果として生じる相対スライド移動に関する高分解能のインクリメント位置信号を生成することができる;走査検知格子1.2dG,1.2cGが回転して配設されていることにより同時に、別の目的で利用できる別のインクリメント信号が生成される。
【0025】
4つの外側走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hも、4つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fも、−
図1aで分かるように− 第一主スライド軸yに対して平行に向いている第一対称軸S
yに対して鏡面対称で配設されている。更に、4つの外側走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hも、4つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fも、第二主スライド軸xに対して平行に向いている第二対称軸S
xに対して鏡面対称で配設されている。
【0026】
二つの走査検知ユニット1.2a,1.2bおよび二つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2dが、ここでは第二主スライド軸xに対して平行に向いている第二対称軸S
xの片側(左側)に配設されている。これらの走査検知ユニット1.2a,1.2bおよび拡張走査検知ユニット1.2c,1.2dは、それぞれ付属する走査検知格子の格子線が、+45°だけ第一主スライド軸yに対して回転して向いているように配設されている。別の二つの走査検知ユニット1.2g,1.2hおよび拡張走査検知ユニット1.2e,1.2fは、この第二対称軸S
xの反対側(右側)に配設されている。これらの走査検知ユニット1.2g,1.2hおよび拡張走査検知ユニット1.2e,1.2fは、それぞれ付属する走査検知格子の格子線が、−45°だけ第一主スライド軸yに対して回転して向いているように配設されている。別の見方をすると、走査検知ユニット1.2bおよび拡張走査検知ユニット1.2cは、それぞれ付属する走査検知格子の格子線が、+45°だけ第一主スライド軸yに対して回転して向いているように配設されている。また、走査検知ユニット1.2aおよび拡張走査検知ユニット1.2dは、それぞれ付属する走査検知格子の格子線が、−45°だけ第一主スライド軸yに対して回転して向いているように配設されている。また、走査検知ユニット1.2gおよび拡張走査検知ユニット1.2fは、それぞれ付属する走査検知格子の格子線が、+135°だけ第一主スライド軸yに対して回転して向いているように配設されている。また、走査検知ユニット1.2hおよび拡張走査検知ユニット1.2eは、それぞれ付属する走査検知格子の格子線が、−135°だけ第一主スライド軸yに対して回転して向いているように配設されている。
【0027】
4つの外側走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hも、4つの内側拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fも、この本発明による構造の実施形態では、対象物1ないしテーブルの片側、即ち、
図1aで上方に示す側に配設されている。このような形式により構造全体のコンパクトな構成、特に第二主スライド軸xに沿ったテーブルのコンパクトな構成が可能になる。更に従来技術と対比して、第一主スライド軸yに沿って必要な移動経路に対して必要となるのは、二つの二次元基準尺2.1,2.2のみである。
【0028】
更に、第一主スライド方向yに沿って外側にある走査検知ユニット1.2a,1.2bと1.2g,1.2hが互いの間で、基準尺2.1,2.2の長さDM
yに相当する最大間隔を有しているようにしている。図示している実施例では、丁度この最大間隔が選ばれている、即ち、外側走査検知ユニット1.2a,1.2bと1.2g,1.2hの間隔DA
y1は、DA
y1=DM
yで選んだ;しかしながら基本的に、ここで外側走査検知ユニット1.2a,1.2bと1.2g,1.2hの間で、より小さいDA
y1を選ぶことも可能である。
【0029】
本発明による構造では、4つの外側走査検知ユニット1.2a,1.2bと1.2g,1.2hの間に追加して、更に少なくとも4つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fが設けられており、それらが第一主スライド軸yに沿って4つの外側走査検知ユニット1.2a,1.2bと1.2g,1.2hの間に配設されている。内側にある4つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fは、第一主スライド軸yに沿って間隔DA
y2を有しており、それは、上記で言及した外側走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hの間隔DA
y1より小さく選択されている。
【0030】
対称軸Sの両側に配設された走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hないし拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fが全体で、第二主スライド軸xに沿って同じ間隔DA
xを有している。この間隔DA
xは最大で、第二主スライド軸xに沿った基準尺2.1,2.2の長さDM
xに相当していることが許容される。しかしながら第一実施例では、−
図1aから分かるように−間隔DA
xが、この方向に沿った基準尺2.1,2.2の長さDM
xより明らかに小さく選んだ。
【0031】
本発明による構造のこのような構成により、高精度の位置検出が可能である対象物1の移動経路を、第一主スライド軸yに沿って拡大することが可能である。例えば、4つのみの外側走査検知ユニット1.2a,1.2b,1.2g,1.2hを使う従来技術による解決手段では、y軸に沿った位置検出は最大で、移動経路V=2×DM
y−DA
y1に亘って可能であろう。追加して設けられた4つの拡張走査検知ユニット1.2c,1.2d,1.2e,1.2fを介することにより、対象物1の可能な移動経路は、ここで基準尺2.1,2.2を追加ないし大きくすることなく、移動経路V=2×DM
y−DA
y2に拡大でき、その理由は
図1aから分かるように、DA
y1>DA
y2が当て嵌まるからである。この移動路の拡大は、以下において
図3a〜3dを使って明らかにする。
【0032】
図3a〜3dはそれぞれ、半導体を製造する装置における加工プロセスの色々な段階を示しており、そこでテーブルの位置を検出するために、本発明による第一実施形態が使用される。このプロセスの個々の段階においては、設けられている合計8つの走査検知ユニットないし拡張走査検知ユニットのうちで、それぞれ4つのみを位置検出のために使用する;従って本発明による構造の中で−図示していない−制御ユニットにより、個々の走査検知ユニットないし拡張走査検知ユニットを選択的に、位置検出のために機能させることが可能である。種々のプロセス段階でそれぞれ機能する走査検知ユニットないし拡張走査検知ユニットを、
図3a〜3dにおいて破線で示している。
【0033】
図3aは、この加工プロセスの加速ステップを示しており、そこで対象物1ないしテーブルが、第一主スライド軸yに沿って出来るだけ急速に左から右に、加工工具2.3を使ってウエハを加工する位置の近くに移動される。このステップでは位置検出が、内側に配設されている4つの拡張走査検知ユニットを介して行われ、それがこのステップにおいて通過しながら、
図3a左側に配設されている基準尺2.1を走査検知する。
【0034】
図3bにおいては、加工位置の近くで所望する対象物位置に到達した後で、測定ステップの開始を示している。測定ステップでは同時にウエハ1.1を加工しながら、外側にある4つの走査検知ユニットを介して、対象物1の位置が高精度で検出される。外側にある4つの走査検知ユニットは、このステップで機能するようにされており、そして位置信号を生成するために二つの基準尺2.1,2.2を走査検知する。ここで外側走査検知ユニットの間隔を選択することにより確実に、二つの基準尺2.1,2.2間の突き当て箇所を通過する場合も、上位配置された制御ユニットに位置信号が常に送られる。この測定ステップにおいては内側にある4つの拡張走査検知ユニットを別の目的のために、例えば較正測定または類似測定のために使用することができる。
【0035】
図3cにおいては、加工プロセスの測定ステップの終了を図示している。ここでは対象物1が、第一主スライド軸yに沿って更に幾分右方に移動している。このステップでも高精度の位置検出が、依然として二つの基準尺2.1,2.2の上方にある4つの外側走査検知ユニットを介して行われる。4つの拡張走査検知ユニットを介して同じく、別の目的のための位置測定を行うことができる。
【0036】
最後に
図3dは、加工プロセスの最終ブレーキステップを示しており、そこでは対象物1が更に尚、右方に移動する。このステップでは対象物1の位置が、ここで再び機能するようにされた4つの拡張走査検知ユニットを介して検出される。
【0037】
以上の加工プロセスの説明および付属の図から分かるように、本発明による構造を介することにより、この主スライド軸yに沿った両基準尺2.1,2.2の長さDM
yより大きい範囲に亘って、移動経路Vに沿った位置検出を行うことができる。先に説明したように、本発明により結果として、増大された移動経路V=2×DM
y−DA
y2が得られる。
【0038】
個々の走査検知ユニットないし拡張走査検知ユニットに対して
図3a〜3dを使って説明した機能化手順の他に、本発明による構造の第一実施形態と関連して、代替の切り替え方式を加工プロセス中に実施することもできる。例えば位置測定のための
図3aによる加速プロセスにおいて、ペアの走査検知ユニットと一緒でペアの拡張走査検知ユニットを使用することもできるであろう。その場合に加速中に更に、拡張走査検知ユニット全部を位置検出のために追加接続することもあるだろう。また測定使用中に外側走査検知ユニットを使って位置を検出し、続くブレーキ中に拡張走査検知ユニットを追加接続することもあるだろう。最終的にブレーキステップの最後に、再びペアの拡張走査検知ユニットを使って、そしてペアの走査検知ユニットを使って位置検出を行うことができるだろう。概略を述べた代替方法に従ってそれぞれ最大可能な全ての走査検知ユニットを使用することは、生成された位置信号における位置ノイズの減少を更に達成するために、概ね利点のあることが分かっている。従って本発明による構造を利用するために、そして特に色々な走査検知ユニットないし拡張走査検知ユニットを機能させて利用するために、色々な変形体を実現することができる。
【実施例2】
【0039】
本発明による構造の第二実施形態を、引き続き
図4を使って説明することにする。以下においては、本発明による構造の第一実施形態との基本的な違いのみを説明する。
第一実施形態に対する基本的な違いは、ここでは4つの二次元基準尺12.1〜12.4が、二次的な配設で設けられることにある;その4つの基準尺12.1〜12.4の中央に、加工工具12.3が配置されている。第一主スライド軸yに沿って配設されている二つの基準尺12.1,12.2に加えて、更に二つの基準尺12.3,12.4が設けられており、それが第二主スライド軸xに沿って、二つの前記基準尺12.1,12.2に隣接して配設される。使用される4つの基準尺12.1〜12.4すべてが、その寸法およびそれに配設される照射回折格子に関して同一で構成されている。
【0040】
第一実施例に対する別の違いとして、ここで4つの二次元基準尺を使用するという結果により、4つの外側走査検知ユニット11.2a,11.2b,11,2g,11.2hおよび4つの内側拡張走査検知ユニット11.2c,11.2d,11.2e,11.2fが、幾分修正して配設されている。第二対称軸S
xの位置が先に述べた例と同一で選択されているのに対して、第一対称軸S
yは正確に対象物11の中央に位置している。これが意味することは、二つの走査検知ユニット11.2b,11.2gおよび二つの拡張走査検知ユニット11.2c,11.2fが、対象物11の片側に配設されており、二つの走査検知ユニット11.2a,11.2hおよび二つの拡張走査検知ユニット11.2d,11.2eが、対象物11ないしテーブルの反対側に配設されていることである。従って上記で検討した間隔の条件は、第一主スライド軸yに沿った走査検知ユニット11.2a,11.2b,11,2g,11.2hと拡張走査検知ユニット11.2c,11.2d,11.2e,11.2fの間隔に対して、変更なしで当て嵌まる。しかしながら、ここでは第二主スライド軸xに沿った間隔に対して別の条件が生じる。第二主スライド軸xに沿った最小間隔は、走査検知ユニット11.2a,11.2b,11,2g,11.2hも拡張走査検知ユニット11.2c,11.2d,11.2e,11.2fも、第二主スライド軸xに沿った二次元基準尺12.1〜12.4の間隔d
xと第二主スライド軸xに沿った基準尺12.1〜12.4の長さDM
xの和に相当する。第二主スライド軸xに沿った走査検知ユニット11.2a,11.2b,11,2g,11.2hおよび拡張走査検知ユニット11.2c,11.2d,11.2e,11.2fの間隔は、いずれの対象物位置においても基準尺12.1〜12.4に対して相対的に位置信号を確実に生成できることが必要な時には、上記の最小間隔より小さく選ぶことはできない。
【0041】
全体として本発明による構造のこの種の変形例では、対象物11ないしテーブルの寸法が第二主スライド軸xに沿って大きくなるという結果になる。このことがそれぞれの用途で受け入れ可能であるならば、テーブルを対称的に設計し構成できることが、この実施形態の利点として得られる。このことは、全体システムの動特性に作用して利点のあることがある。
【0042】
本発明による位置測定装置ないし本発明による構造で説明した実施例の他に、本発明の範疇で勿論、更に別の構成の可能性がある。従って二番目に説明した実施形態は、第二主スライド軸xに沿って二次元基準尺間で間隔を設けないように変換することができる。そして二次元基準尺に、工具用に適した切り抜きを設けることになるであろう。更に、場合により使用可能な移動経路を再度拡大するために、説明した実施例で第一主スライド軸yに沿って一定の間隔を設けることが考えられるであろう。更に勿論、場合により4つ以上の拡張走査検知ユニットを使用すること等も可能である。