特許第6228751号(P6228751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228751
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   G01N21/956 A
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-94044(P2013-94044)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-215218(P2014-215218A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100120569
【弁理士】
【氏名又は名称】大阿久 敦子
(72)【発明者】
【氏名】田谷 真
(72)【発明者】
【氏名】菊入 信孝
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−237048(JP,A)
【文献】 特開平11−312633(JP,A)
【文献】 特開2006−156632(JP,A)
【文献】 特開2003−161891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
B01L 1/00 − B01L 99/00
B01J 10/00 − B01J 12/02
B01J 14/00 − B01J 19/32
G05D 23/00 − G05D 23/32
H01L 21/30
H01L 21/46
H01L 21/64 − H01L 21/66
G01B 11/00 − G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる試料が載置されるテーブルと、
前記試料の光学画像を撮像する受光部と、
前記テーブル上に載置された前記試料へ向けて検査用の光を照明する照明光学系と、
レンズと、前記レンズを支持する支持部と、前記レンズと前記支持部とを被覆する被覆部とを備え、前記照明光学系によって照明されて前記試料を透過または反射した光を前記受光部に結像する対物レンズユニットと、
温度調節手段を備えており、少なくとも前記テーブルと、前記受光部と、前記照明光学系と、前記対物レンズユニットとを収納するチャンバと、
前記対物レンズユニットに接続されて、前記チャンバの外部から前記チャンバ内を経由して前記対物レンズユニット前記被覆部の内部空間に不活性ガスを供給するように配管されたガス供給部と
を有し、
前記温度調節手段は、前記チャンバ内を所定の温度に調節するものであり、
前記ガス供給部の前記チャンバ内に配置される部分は、前記対物レンズユニットの前記被覆部の内部空間に供給される前記不活性ガスが前記所定の温度となる長さと配置構造を備え、前記対物レンズユニットの前記被覆部の内部空間に前記所定の温度とされた前記不活性ガスを供給し、前記対物レンズユニットの温度制御を行うことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記対物レンズユニットは、
複数のレンズと、
前記複数のレンズの各々を支持する複数の支持部と、
前記複数のレンズと前記複数の支持部を被覆する被覆部と、
前記被覆部の前記受光部側の端部に設けられたフランジ部と
を有し、
前記複数の支持部の各々と前記フランジ部には、それぞれ通気孔が設けられており、
前記フランジ部の通気孔に、前記対物レンズの前記被覆部の内部空間に不活性ガスを供給するように配管された部分で前記ガス供給部接続することによって、前記フランジ部の通気孔から前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの通気孔へ前記所定の温度とされた前記不活性ガスが供給され、さらに該通気孔から他の支持部の通気孔へ前記所定の温度とされた前記不活性ガスが供給されるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記対物レンズユニットは、前記被覆部の側壁に沿ってまたは前記被覆部の側壁の内部にガス流路を有し、
前記ガス流路は、前記フランジ部側の端部で、前記対物レンズユニットの前記被覆部の内部空間に前記所定の温度とされた前記不活性ガスを供給する前記ガス供給部の部分を分岐して接続し、
前記ガス供給部から供給された、前記所定の温度とされた前記不活性ガスは、前記ガス流路を通り、前記テーブルへ向けて噴出するよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
検査対象となる試料が載置されるテーブルと、
前記試料の光学画像を撮像する受光部と、
前記テーブル上に載置された前記試料へ向けて検査用の光を照明する照明光学系と、
レンズと、前記レンズを支持する支持部と、前記レンズと前記支持部とを被覆する被覆部とを備え、前記照明光学系によって照明されて前記試料を透過または反射した光を前記受光部に結像する対物レンズユニットと、
温度調節手段を備えており、少なくとも前記テーブルと、前記受光部と、前記照明光学系と、前記対物レンズユニットとを収納するチャンバと、
前記対物レンズユニットに接続されて、前記チャンバの外部から前記チャンバ内を経由して前記対物レンズユニット前記被覆部の内部空間に不活性ガスを供給するように配管されたガス供給部と
を有し、
前記温度調節手段は、前記チャンバ内を所定の温度に調節するものであり、
前記ガス供給部の前記チャンバ内に配置される部分は、前記対物レンズユニットの前記被覆部の内部空間に供給される不活性ガスを一時的に溜めて前記所定の温度となるようにするガス溜まりを有し、前記対物レンズユニットの前記被覆部の内部空間に前記所定の温度とされた前記不活性ガスを供給し、前記対物レンズユニットの温度制御を行うことを特徴とする検査装置。
【請求項5】
前記対物レンズユニットは、
複数のレンズと、
前記複数のレンズの各々を支持する複数の支持部と、
前記複数のレンズと前記複数の支持部を被覆する被覆部と、
前記被覆部の前記受光部側の端部に設けられたフランジ部と
を有し、
前記複数の支持部の各々と前記フランジ部には、それぞれ通気孔が設けられており、
前記フランジ部の通気孔に、前記対物レンズの前記被覆部の内部空間に不活性ガスを供給するように配管された部分で前記ガス供給部接続することによって、前記フランジ部の通気孔から前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの通気孔へ前記所定の温度とされた前記不活性ガスが供給され、さらに該通気孔から他の支持部の通気孔へ前記所定の温度とされた前記不活性ガスが供給されるよう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記対物レンズユニットは、前記被覆部の側壁に沿ってまたは前記被覆部の側壁の内部にガス流路を有し、
前記ガス流路は、前記フランジ部側の端部で、前記対物レンズユニットの前記被覆部の内部空間に前記所定の温度とされた前記不活性ガスを供給する前記ガス供給部の部分を分岐して接続し、
前記ガス供給部から供給された、前記所定の温度とされた前記不活性ガスは、前記ガス流路を通り、前記テーブルへ向けて噴出するよう構成されたことを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路(Large Scale Integration;LSI)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路寸法は狭小化の一途を辿っている。例えば、最近の代表的なロジックデバイスでは、数十nmの線幅のパターン形成が要求される状況となってきており、製造コストも多大なものとなっている。
【0003】
多大な製造コストのかかるLSIにとって、製造工程における歩留まりの向上は欠かせない。ここで、半導体素子は、その製造工程において、ステッパまたはスキャナと呼ばれる縮小投影露光装置により、回路パターンが形成された原画パターン(マスクまたはレチクルを指す。以下では、マスクと総称する。)がウェハ上に露光転写される。そして、半導体素子の歩留まりを低下させる大きな要因として、マスクのパターン欠陥や、露光転写時におけるプロセス諸条件の変動が挙げられる。
【0004】
ウェハ上に形成されるLSIパターンの寸法が微細化していることに伴って、マスクのパターン欠陥も微細化している。また、マスクの寸法精度を高めることで、プロセス諸条件の変動を吸収しようとしてきたこともあり、マスク検査においては、極めて小さなパターンの欠陥を検出することが必要になっている。こうしたことから、LSI製造に使用される転写用マスクの寸法を検査する検査装置に対しては、高い検査精度が要求されている。
【0005】
検査装置において、光源から出射された光は、照明光学系を介して検査対象であるマスクに照射される。マスクはテーブル上に載置されており、テーブルが移動することによって照射された光がマスク上を走査する。マスクを透過または反射した光は、対物レンズを介して受光部となる画像センサ上に光学像として結像される。そして、その画像センサで撮像された光学画像は、測定データとして比較部へ送られる。比較部では、測定データと参照データとが、適当なアルゴリズムにしたがって比較される。そして、これらのデータが一致しない場合には、欠陥ありと判定される(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−112178号公報
【特許文献2】特開2007−248086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、検査装置では、マスク上に形成されるパターンの微細化に対応して、極めて小さなパターンの欠陥を検出することが必要になっている。そのため、光源、照明光学系、対物レンズおよび画像センサなどからなる、パターンの光学画像を撮像するための検査光学系の高倍率化と高NA(Numerical Aperture;開口数)化が進められており、結果として、対物レンズの倍率拡大が必要となり、焦点深度が浅くなっている。
【0008】
ところで、検査装置では、装置周辺の温度や気圧の変化によって、対物レンズを構成している各レンズの相対屈折率が変化することがある。さらに、各レンズを保持する保持具やレンズカバーが熱膨張して、レンズの位置がずれたりすることもある。そうした場合、高倍率化された検査装置では、欠陥の結像位置が変化し、欠陥の検出感度が不安定になる。そこで、対物レンズの特性を安定に保って高い精度で欠陥検出を行うことができるように、検査装置の周囲の温度環境を一定に保つ温度管理が重要となる。
【0009】
通常、検査装置は、温度制御されたクリーンルーム内に設置されており、温度の制御された環境下に置かれる。しかし、検査装置内には様々な熱発生源があり、それらの影響によって検査装置内の温度は変動し得る。例えば、マスクが載置されるテーブルをモータ駆動により移動させると、モータから熱が発生する。また、画像センサからも撮像時に熱が発生する。こうした発熱は、検査装置内の温度を局所的に上昇させ、それによって対物レンズの温度を上昇させる。したがって、検査装置をクリーンルーム内に設置し、クリーンルームの温度管理を利用して装置周辺から温度を一定に保とうとするのには限界があり、対物レンズに対して十分な温度保証をすることはできない。
【0010】
こうした問題に対しては、検査装置の光源、照明光学系、対物レンズおよび画像センサなどからなる検査光学系を専用のチャンバ内に収納し、チャンバに空調機などを付設することによって、チャンバ内の温度を制御する方法が考えられる。しかしながら、この方法によっても、上述したような対物レンズ近傍の局所的な温度変動への対応は十分なものとはならない。すなわち、高倍率化が求められる検査装置において、対物レンズの温度保証を十分に行うことはできない。
【0011】
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、対物レンズの特性を安定に保ち、高い精度で欠陥検出を行うことができる検査装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、検査対象となる試料が載置されるテーブルと、
試料の光学画像を撮像する受光部と、
テーブル上に載置された試料へ向けて検査用の光を照明する照明光学系と、
照明光学系によって照明されて試料を透過または反射した光を受光部に結像する対物レンズユニットと、
温度調節手段を備えており、少なくともテーブルと、照明光学系と、受光部と、対物レンズユニットとを収納するチャンバと、
対物レンズユニットに接続されて、チャンバの外部から対物レンズの内部に不活性ガスを供給するように配管されたガス供給部とを有し、
温度調節手段は、チャンバ内を所定の温度に調節するものであり、
ガス供給部のチャンバ内に配置される部分は、対物レンズユニットの内部に供給される不活性ガスが所定の温度となる長さと配置構造を備えていることを特徴とする検査装置に関する。
【0014】
本発明の第1の態様において、対物レンズユニットは、複数のレンズと、
複数のレンズの各々を支持する複数の支持部と、
複数のレンズと複数の支持部を被覆する被覆部と、
被覆部の受光部側の端部に設けられたフランジ部とを有し、
複数の支持部の各々とフランジ部には、それぞれ通気孔が設けられており、
フランジ部の通気孔にガス供給部が接続することによって、フランジ部の通気孔から複数の支持部のうちの少なくとも1つの通気孔へ不活性ガスが供給され、さらにその通気孔から他の支持部の通気孔へその不活性ガスが供給されるよう構成されることが好ましい。
【0015】
本発明の第1の態様において、対物レンズユニットは、被覆部の側壁に沿ってまたは被覆部の側壁の内部にガス流路を有し、
ガス流路は、フランジ部側の端部でガス供給部に接続し、
ガス供給部から供給された不活性ガスは、ガス流路を通り、テーブルへ向けて噴出するよう構成されることが好ましい。
【0016】
本発明の第1の態様において、不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の態様において、検査対象となる試料が載置されるテーブルと、
試料の光学画像を撮像する受光部と、
テーブル上に載置された試料へ向けて検査用の光を照明する照明光学系と、
照明光学系によって照明されて試料を透過または反射した光を受光部に結像する対物レンズユニットと、
温度調節手段を備えており、少なくともテーブルと、照明光学系と、受光部と、対物レンズユニットとを収納するチャンバと、
対物レンズユニットに接続されて、チャンバの外部から対物レンズの内部に不活性ガスを供給するように配管されたガス供給部とを有し、
温度調節手段は、チャンバ内を所定の温度に調節するものであり、
ガス供給部のチャンバ内に配置される部分には、対物レンズユニットの内部に供給される不活性ガスを一時的に溜めて所定の温度となるようにするガス溜まりを有することを特徴とする検査装置に関する。
【0018】
本発明の第2の態様において、対物レンズユニットは、複数のレンズと、
複数のレンズの各々を支持する複数の支持部と、
複数のレンズと複数の支持部を被覆する被覆部と、
被覆部の受光部側の端部に設けられたフランジ部とを有し、
複数の支持部の各々とフランジ部には、それぞれ通気孔が設けられており、
フランジ部の通気孔にガス供給部が接続することによって、フランジ部の通気孔から複数の支持部のうちの少なくとも1つの通気孔へ不活性ガスが供給され、さらにその通気孔から他の支持部の通気孔へその不活性ガスが供給されるよう構成されることが好ましい。
【0019】
本発明の第2の態様において、対物レンズユニットは、被覆部の側壁に沿ってまたは被覆部の側壁の内部にガス流路を有し、
ガス流路は、フランジ部側の端部でガス供給部に接続し、
ガス供給部から供給された不活性ガスは、ガス流路を通り、テーブルへ向けて噴出するよう構成されることが好ましい。
【0020】
本発明の第2の態様において、不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の態様によれば、対物レンズの特性を安定に保ち、高い精度で欠陥検出を行うことができる検査装置が提供される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、対物レンズの特性を安定に保ち、高い精度で欠陥検出を行うことができる検査装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態である検査装置の概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態の検査装置の対物レンズユニットの構造を模式的に示す断面図である。
図3】クリーンルーム内に設置された本発明の第1実施形態の検査装置を模式的に示す図である。
図4】本発明の第1実施形態の検査装置の別の例である対物レンズユニットの構造を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるデータの流れを示す概念図である。
図6】検査方法を示すフローチャートである。
図7】フィルタ処理を説明する図である。
図8】クリーンルーム内に設置された本発明の第2本実施形態の検査装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1.
以下、本発明の第1実施形態の検査装置について、図面などを用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態である検査装置の概略構成図である。
【0026】
尚、図1では、本実施形態を構成可能な要素を記載しているが、検査に必要な他の公知要素が含まれていてもよい。また、本明細書において、「〜部」または「〜回路」と記載したものは、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができるが、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せやファームウェアとの組合せによって実施されるものであってもよい。プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置などの記録装置に記録される。
【0027】
また、本実施形態においては、検査対象となる試料を、フォトリソグラフィ法などで使用されるマスクとしているが、これに限られるものではなく、例えば、ウェハを検査対象の試料としてもよい。
【0028】
図1に示すように、検査装置100は、検査対象となる試料の例であるマスク101の光学画像を取得するための構成部Aと、構成部Aで取得された光学画像を用いて検査に必要な処理などを行う構成部Bとを有する。検査装置100はさらに、構成部Aの後述する対物レンズの例である対物レンズユニット104に不活性ガスを供給するためのガス供給部の一例として、ガス配管181を有する。ガス配管181には、図1のように、不活性ガスの供給量を制御するための流量調整バルブ184を設けることができる。
【0029】
尚、本発明において、不活性ガスとは、構成部Aの後述する光源103から放出される光に対してエネルギー吸収の少ないガスのことを言い、その光に対して不活性なガスを意味する。具体的には、本発明において不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスよりなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
【0030】
構成部Aは、検査用の光を放出する光源103と、検査対象となるマスク101が載置されるテーブルの一例である、水平方向(X方向、Y方向)および回転方向(θ方向)に移動可能なXYθテーブル102と、XYθテーブル102上に載置されたマスク101に法線方向(上下方向)から光源103からの検査用の光を照射して透過照明系を構成する照明光学系170と、対物レンズの一例となる、レンズを内部の空間内に配置して有する対物レンズユニット104と、受光部の一例となるフォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106と、レーザ測長システム122と、それらを収納するチャンバ180とを有する。チャンバ180には、チャンバ180内を所定の温度に調節するための温度調節手段の一例として空調機(図1中、図示されない)が備えられている。
【0031】
検査装置100の構成部Aの光源103としては、所望とする波長の光を放射する多様な光源を用いることができる。例えば、試料のより微細な欠陥を検出できるように、遠紫外光を放射する光源なども用いることができる。その場合、対物レンズユニット104の近傍に空気、特に酸素があると、光源から放射された光が吸収され、検査の妨げとなることがある。また、酸素が化学的な反応を引き起こして、レンズを劣化させることがある。したがって、対物レンズユニット104に供給されるガスは、上述したように、不活性ガスから選択されて用いられることが好ましい。
【0032】
また、構成部Aは、図1に示すように、オートローダ130を有することができる。尚、構成部Bは、構成部Aがオートローダ130を有する場合に対応して、オートローダ制御回路113を有することができる。また、図1に示した検査装置100では、光源103がチャンバ180内に配置されているが、光源103をチャンバの外に配置する構成とすることも可能である。
【0033】
構成部Aでは、検査対象となるマスク101の光学画像が取得される。マスク101の光学画像は、マスク101の設計パターンデータに含まれる図形データに基づく図形が描画されたマスクの画像である。例えば、マスクの光学画像は、8ビットの符号なしデータであって、各画素の明るさの階調を表現する。
【0034】
検査装置100において、検査対象の試料となるマスク101は、構成部AのXYθテーブル102上に載置される。XYθテーブル102は、互いに直交する水平2方向たるX方向およびY方向にそれぞれXモータおよびYモータにより移動されると共に、鉛直のθ軸線回りにθモータにより回転される。レーザ測長システム122は、XYθテーブル102のX方向およびY方向の位置を計測する。
【0035】
そして、マスク101に形成されたパターンは、XYθテーブル102の上方に配置された光源103から検査用の光によって照明される。より詳しくは、光源103から照射される光束が、照明光学系170を介してマスク101に照射される。マスク101の下方には、対物レンズユニット104、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106が配置されている。マスク101を透過した光は、対物レンズユニット104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像する。
【0036】
フォトダイオードアレイ105上に結像したマスク101のパターン像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、さらにセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、センサ(図示されない)が配置されている。このセンサの例としては、TDI(Time Delay Integration)センサなどが挙げられる。この場合、XYθテーブル102が連続的に移動しながら、TDIセンサによってマスク101のパターンが撮像される。尚、フォトダイオードアレイ105は、使用時の発熱が懸念されるため、冷却のための水冷手段を有することが望ましい。
【0037】
ここで、構成部Aにおいて、光源103、照明光学系170、対物レンズユニット104、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106により高倍率の検査光学系が構成される。
以下、本発明の実施形態の検査装置100の対物レンズユニット104について、より詳しく説明する。
【0038】
図2は、本発明の第1実施形態の検査装置の対物レンズユニットの構造を模式的に示す断面図である。
【0039】
対物レンズユニット104は、レンズ190と、そのレンズ190を納めたレンズセル部191と、レンズセル部191を被覆する被覆部の一例となる筒状のレンズカバー192と、レンズカバー192の、フォトダイオードアレイ105(図2中、図示されない)側の端部に設けられたフランジ部193とを有して構成される。レンズ190は支持部によって支持されるが、例えば、支持部の一例である、真鍮などの金属材料からなる保持具194によって、レンズセル部191によって区画された空間内に保持されている。
【0040】
すなわち、対物レンズユニット104は、筒状のレンズカバー192によって形成される内部空間内にレンズセル部191を配置して有する構造であり、レンズ190は、さらにそのレンズセル部191の内部空間内に納められて保持される。フランジ部193は、レンズカバー192で覆われたレンズセル部191およびその中のレンズ190をレンズカバー192とともに、図1に示した検査装置100内の所定の個所に取り付けるために用いられる。
【0041】
そして、図2に示す対物レンズユニット104は、レンズカバー192内で、上方のマスク101側から、下方のフォトダイオードアレイ105(図2には、図示されない)に向けて、複数のレンズ190を配列して有することができる。その場合、対物レンズユニット104のレンズカバー192内では、それぞれレンズ190を納めた複数のレンズセル部191が、上方のマスク101側から下方のフォトダイオードアレイ105に向けて、順次配列するように構成される。
すなわち、対物レンズユニット104は、複数のレンズ190と、複数のレンズ190の各々を支持する複数の保持具194と、複数のレンズ190と複数の保持具194を被覆するレンズカバー192と、レンズカバー192のフォトダイオードアレイ105側の端部に設けられたフランジ部193とを有する。
【0042】
図1に示す本発明の第1実施形態の検査装置100は、上述したように、構成部Aの対物レンズユニット104に不活性ガスを供給するためのガス供給部として、ガス配管181を有する。そして、図2に示すように、ガス配管181は、対物レンズユニット104の内部、すなわち、筒状のレンズカバー192で覆われる内部空間に不活性ガスを供給するように設けられることが好ましい。そうすることによって、検査装置100は、レンズカバー192の内部側を不活性ガスの雰囲気にすることができ、その結果、レンズセル部191内を不活性ガスの雰囲気にすることができる。そして、検査装置100は、各レンズセル部191内のレンズ190や保持部194が不活性ガスの雰囲気の中に置かれるようにすることができる。
【0043】
ガス配管181と対物レンズユニット104との接続は、例えば、図2に示すように、ガス導入口196を用いて行われることが好ましい。フランジ部193には、それを貫通し、対物レンズユニット104の内部空間と対物レンズユニット104の外部空間とが連通するように通気孔199が設けられている。ガス導入口196はその通気孔199において外部側の口となる。そして、その通気孔199は、内部側の口を介して、対物レンズユニット104の内部、すなわち、レンズセル部191と連通する。より具体的には、通気孔199は、レンズ190が納められるレンズセル部191の内部空間と連通する。
【0044】
したがって、検査装置100では、フランジ部193のガス導入口196にガス配管181を接続することで、ガス配管181から供給された不活性ガスを対物レンズユニット104の内部に供給することができる。
【0045】
このとき、不活性ガスは、ガス導入口196を介し、フランジ部193内を通過して、対物レンズユニット104の最下部にあるレンズセル部191の内部に供給される。本実施形態の検査装置100の対物レンズユニット104において、レンズセル部191は、内部にレンズ190を保持するための区画された空間である。そのため、対物レンズユニット104が複数のレンズセル部191を配列して有する場合、隣接するレンズセル部191の内部空間同士が連通するように、それぞれの保持具194に通気孔198が形成されている。したがって、対物レンズユニット104の最下部にあるレンズセル部191内に不活性ガスを供給することで、その上方に配置された各レンズセル部191内にも、通気孔198を通して、順次、不活性ガスを供給することができる。すなわち、フランジ部193の通気孔にガス配管181が接続することによって、フランジ部193の通気孔199から複数の保持具194のうちの最下部にある1つの通気孔198へ不活性ガスが供給され、さらに不活性ガスが供給された通気孔198から他の保持具194の通気孔198へと不活性ガスが供給される。
【0046】
そして、最終的には、対物レンズユニット104において、その最上部にあるレンズセル部191から、その上方にあるマスク101に向かって、不活性ガスが排出される。その結果、対物レンズユニット104の有する全てのレンズセル部191内を不活性ガスの雰囲気とすることができ、それらに納められる全てのレンズ190および保持具194を不活性ガスの流れの中に置くことができる。
【0047】
以上の構造の対物レンズユニット104およびガス配管181を有する検査装置100は、ガス配管181から供給される不活性ガスを用いて、対物レンズユニット104内のレンズ190や保持具194を不活性ガスの雰囲気下に置くことができる。そして、対物レンズユニット104内のレンズ190や保持具194を不活性ガスの流れの中に置くことができる。
【0048】
したがって、ガス配管181から供給される不活性ガスに温度制御されたものを用いることができれば、その不活性ガスを用い、直接に、対物レンズユニット104の温度制御を行うことができる。すなわち、所望の温度に制御された不活性ガスをガス配管181から対物レンズユニット104の内部に供給することにより、より効果的に、その所望の温度に対物レンズユニット104の温度を設定することができる。
【0049】
その結果、検査装置100において、対物レンズユニット104を構成するレンズ190および保持具194を所望とする温度に制御することができる。したがって、検査装置100では、ガス配管181からの不活性ガス供給により、対物レンズユニット104を所望の温度に恒温化するよう温度管理し、温度保証をすることができる。
【0050】
本実施形態の検査装置100は、ガス配管181から供給される不活性ガスを所望の温度に制御する機構を有する。
【0051】
上述したように、例えば、本実施形態のような検査装置は、クリーンルーム内に設置されて使用されるのが通常である。その場合、クリーンルーム内はその検査装置の使用に好適な温度の管理がなされている。しかしながら、クリーンルーム内の検査装置に不活性ガスを供給しようとする場合、その不活性ガスはクリーンルームの外からガスの配管を通して供給される。その場合、通常は不活性ガスの温度の管理はなされていない。
【0052】
したがって、その温度管理されていない不活性ガスをそのまま使用し、例えば、本実施形態の検査装置100の対物レンズユニット104の内部に供給しても、所望とする温度管理を実現することはできない。それに対し、本実施形態の検査装置100では、ガス配管181を利用した不活性ガスの温度の制御を実現する。
【0053】
図1に示す検査装置100は、上述したように、チャンバ180内に光源103、XYθテーブル102、照明光学系170、対物レンズユニット104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106およびレーザ測長システム122などを収納して有する。そして、検査装置100は、チャンバ180の内部を温度調節手段、例えば、専用の空調機で温度管理することができる。すなわち、検査装置100では、チャンバ180内が所望の温度となるように管理されている。その結果、検査装置100は、対物レンズユニット104などの構成要素を、その周囲から温度管理できるように構成されている。
【0054】
したがって、本実施形態の検査装置100は、そうしたチャンバ180における温度の管理を利用し、ガス配管181を利用して、対物レンズユニット104内に供給される不活性ガスの温度制御を行うようにする。その結果、対物レンズユニット104近傍で局所的な温度変動があっても、それに対応し、対物レンズユニット104を所望とする一定の温度に温度制御することができる。
【0055】
またさらに、検査装置100がクリーンルームなどの温度管理された環境下に設置される場合、その温度管理も利用し、ガス配管181を用いて行われる不活性ガスの温度制御に利用することができる。
【0056】
図3は、クリーンルーム内に設置された本発明の第1実施形態の検査装置を模式的に示す図である。
【0057】
図3では、本実施形態の検査装置100の要部構成であるチャンバ180と、チャンバ180に付設されてチャンバ180内を所定の温度に調節する温度調節手段の一例である空調機200と、ガス配管181と、内部にレンズ190を納めた対物レンズユニット104と、マスク101を載置したXYθテーブル102などが模式的に示されている。
【0058】
本実施形態の検査装置100は、例えば、温度管理されたクリーンルーム内に設置して使用することが好ましい。通常のクリーンルームでは、クリーンルーム内に設置された装置に対して、例えば、窒素ガスなどの不活性ガスを供給できるように、ガスの配管設備が備えられている。本実施形態の検査装置100は、対物レンズユニット104に不活性ガスを供給して使用するが、その不活性ガスとして、通常のクリーンルームが設備として準備している窒素ガスなどの不活性ガスを使用することができる。すなわち、クリーンルームの有するガスの配管(図示されない)と検査装置100の対物レンズユニット104との間を検査装置100のガス配管181が接続し、対物レンズユニット104に窒素ガスなどの不活性ガスを供給可能とする。
【0059】
このとき、クリーンルームが備えたガスの配管設備から供給される窒素ガスなどの不活性ガスは、温度の管理がなされていないのが通常である。そのため、上述したように、準備された不活性ガスをそのまま使用することはできず、その温度制御が必要となる。
本実施形態の検査装置100では、ガス配管181の長さと配置構造を最適化し、チャンバ180における温度の管理を利用して、ガス配管181を利用した不活性ガスの温度の制御を実現する。
【0060】
本実施形態の検査装置100のガス配管181は、クリーンルームの有する不活性ガスの配管(図示されない)に接続し、チャンバ180の外部となるクリーンルームの壁部から、チャンバ180の壁を通って、チャンバ180内に設置された対物レンズユニット104のガス導入口196(図3中、図示されない)に接続する。すなわち、検査装置100は、チャンバ180の外部から対物レンズユニット104の内部に温度制御用の不活性ガスを供給するように、対物レンズユニット104に接続されたガス配管181を有する。ガス配管181には、不活性ガスの供給量を制御するための流量調整バルブ184を設けることができる。
【0061】
そして、チャンバ180内は、空調機200によって所望の設定温度となるように温度の調節された空間となる。したがって、検査装置100は、温度設定されたチャンバ180を利用する。そして、ガス配管181のチャンバ180内に配置される部分は、それを通って対物レンズユニット104の内部に供給される不活性ガスがチャンバ180の設定温度となるような、十分な長さを有するようにする。すなわち、チャンバ180の外部から対物レンズユニット104に向けて供給される不活性ガスは、流量調製バルブ184により流量調整がなされ、ガス配管181を通る間に、チャンバ180の設定温度、すなわち、所望とする対物レンズユニット104の設定温度となる。
【0062】
したがって、こうした不活性ガスの温度制御を可能とするガス配管181は、図3に示すように、チャンバ180内に配置される部分において、屈曲する部分または湾曲する部分が設けられている。そして、ガス配管181は、チャンバ180の壁と対物レンズユニット104との間の距離に比べて長くなるようにされている。このとき、ガス配管181のチャンバ180内に配置される部分の長さは、ガス配管181から対物レンズユニット104に不活性ガスが所望の設定流量で供給された場合、チャンバ180の設定温度となるのに十分な長さであることが好ましい。
【0063】
また、ガス配管181のチャンバ180内に配置される部分は、それを通って対物レンズユニット104の内部に供給される不活性ガスが、チャンバ180の設定温度となるのに好適な配置構造を有することが好ましい。
【0064】
図3に示すように、検査装置100のチャンバ180の側壁部分には、チャンバ180内を温度制御するための空調機200が設けられている。検査装置100では、ガス配管181のチャンバ180内に配置される部分の一部をチャンバ180の空調機200が設けられた側壁上に配置する。例えば、ガス配管181の屈曲する部分または湾曲する部分を空調機200のある側壁部分に設ける。そして、空調機200によって、ガス配管181内を通る不活性ガスが、効率良く温度制御されるように構成される。併せて、ガス配管181は、発熱が懸念されるフォトダイオードアレイ105を避け、フォトダイオードアレイ105からなるべく遠い位置に配置されることが望ましい。
【0065】
また、本実施形態の検査装置100では、クリーンルームで行われる温度管理も利用し、ガス配管181を用いて行われる不活性ガスの温度制御に利用することができる。
図3に示すように、クリーンルーム内に配置されるガス配管181のチャンバ180の外に配置される部分は、それを通って対物レンズユニット104の内部に供給される不活性ガスがチャンバ180のクリーンルーム内の設定温度となるように、十分な長さを有するようにする。
【0066】
したがって、図3に示すように、ガス配管181のチャンバ180の外に配置される部分は、屈曲する部分または湾曲する部分が設けられ、クリーンルームの壁とチャンバ180の壁との間の距離に比べて長くなるようにされている。このとき、ガス配管181のチャンバ180内に配置される部分の長さは、ガス配管181から対物レンズユニット104に不活性ガスが所望の設定流量で供給された場合、クリーンルームの設定温度となるのに十分な長さであることが好ましい。また、併せて、ガス配管181は、クリーンルーム内に配置される部分の断面構造を円形状とする以外に、例えば、扁平な楕円形状とするなど、不活性ガスに触れる内面の面積がより大きくなる構造を選択することが可能である。
【0067】
以上のガス配管181の構造を有することにより、本実施形態の検査装置100は、チャンバ180における温度の管理を利用し、ガス配管181を利用して、対物レンズユニット104内に供給される不活性ガスの温度制御を行うことができる。その結果、対物レンズユニット104近傍で、画像センサ(図3中、図示されない)などによる局所的な温度変動があっても、その影響が排除され、対物レンズユニット104を所望とする一定の温度に温度制御することができる。
【0068】
そして、対物レンズユニット104は特性が安定に保たれ、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106における高精度の光学画像の安定した取得を可能とし、高い精度での欠陥検出を可能とする。
【0069】
また、本実施形態の検査装置100は、図2に示すように、ガス配管181を用い、対物レンズユニット104に温度制御された不活性ガスを供給して、その温度管理を可能とするが、温度管理された不活性ガスを他の目的に使用することも可能である。すなわち、ガス配管181からの温度制御された不活性ガスを用い、対物レンズユニット104の、試料であるマスク101側のレンズ面を不活性ガスでパージするように構成することも可能である。
【0070】
図4は、本発明の第1実施形態の検査装置の別の例である対物レンズユニットの構造を模式的に示す断面図である。
【0071】
本発明の第1実施形態の検査装置の別の例である対物レンズユニット304は、筒状のレンズカバー392の側壁の内部に、不活性ガスを流すための流路302が設けられている。流路302は、レンズカバー392の、フランジ部393のあるフォトダイオードアレイ105(図4中、図示されない)側の端部から、マスク101の載置されるXYθテーブル102(図4中、図示されない)側の端部に向けて伸びるように形成されている。そして、フランジ部393にはそれを貫通し、流路302と連通する通気孔399が設けられている。
【0072】
対物レンズユニット304は、レンズカバー392の側壁の内部に流路302が設けられ、フランジ部393に通気孔399が設けられた以外、上述した図2の対物レンズユニット104と同様の構造を有する。したがって、それらの間で共通する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0073】
対物レンズユニット304において、フランジ部393の通気孔399は、外部側の口として不活性ガスの導入口となるガス導入口396を有している。そして、通気孔399は、他方の末端で、上述したように、レンズカバー392に設けられた流路302の端部と接続している。そして、レンズカバー392の流路302は、レンズカバー392の側壁の内部を通り、もう一方の末端部分が、レンズカバー392のマスク101側のレンズ面まで延びて開口し、不活性ガスの噴出口を形成するように構成されている。
【0074】
したがって、対物レンズユニット304では、ガス配管181を途中で分岐し、分岐された一方を用いてガス導入口196に接続するとともに、他方を用いてガス導入口396に接続することで、通気孔399に温度制御された不活性ガスを供給することができる。そして、通気孔399に供給された不活性ガスは、通気孔399と接続するレンズカバー392の流路302を通り、対物レンズユニット304の、マスク101が載置されるXYθテーブル102側の端部から、そのXYθテーブル102側に向けて噴出される。
【0075】
その結果、対物レンズユニット304は、対物レンズユニット304のマスク101側のレンズ面を不活性ガスパージすることができる。そして、XYθテーブル102上に載置されてマスク101が移動しても、マスク101と対物レンズユニット104との間の空間を不活性ガスの雰囲気にすることができる。
【0076】
また、ガス導入口396から供給された不活性ガスは、フランジ部393の通気孔399およびレンズカバー392の流路302を通過する。したがって、対物レンズユニット304は、温度管理された不活性ガスを用い、レンズカバー392およびフランジ部393の温度制御も併せて行うことができる。
【0077】
尚、図4の対物レンズユニット304では、レンズカバー392の側壁の内部に1つの流路302が設けられるように示されているが、流路302の数は、1つに限られない。例えば、流路302とレンズ190を挟んで対向する位置の側壁部分(図4の左側の側壁部分)の内部に別の流路を設けることが可能である。またさらに、レンズカバー392の側壁のそれらと離間する位置の内部に、さらに別の流路を設けることも可能である。設けられる複数の流路にはそれぞれ、ガス配管181から分岐された不活性ガスの配管が、図4の流路302と同様の方法で接続され、温度制御された不活性ガスの供給が行われる。
【0078】
以上の構造の本発明の第1実施形態の検査装置の別の例である対物レンズユニット304は、温度管理とレンズ面の不活性ガスパージによって、構成部Aにおける安定した高精度の光学画像の取得を可能とし、検査装置100における高い精度の欠陥検出検査を可能とする。
【0079】
また、図4に示す対物レンズユニット304では、レンズカバー392の流路302を側壁の内部に形成しているが、適当なパイプなどを用い、レンズカバー392の側壁に沿うように、レンズカバー392の側壁上に配置して設けることも可能である。その場合、フランジ部393においても通気孔399は設けず、フランジ部393の外部側に不活性ガスの流路となるパイプの端部を配置することが好ましい。そして、ガス配管181を途中で分岐し、分岐された一方を用いてパイプのフランジ部393側の端部に接続することで、パイプ内に温度制御された不活性ガスを供給することができる。パイプ内に供給された不活性ガスは、パイプ内を通り、レンズカバー392の側壁に沿って流れる。その後、対物レンズユニット304の、マスク101が載置されるXYθテーブル102側の端部から、そのXYθテーブル102側に向けて噴出される。
【0080】
その結果、不活性ガスの流路としてパイプを用いた対物レンズユニット304は、対物レンズユニット304のマスク101側のレンズ面を不活性ガスパージすることができる。そして、XYθテーブル102上に載置されてマスク101が移動しても、マスク101と対物レンズユニット304との間の空間を不活性ガスの雰囲気にすることができる。
【0081】
次に、検査装置100の、上述の構成部Aで取得された光学画像を用いて検査に必要な処理などを行う構成部Bについて説明する。
【0082】
図1に示すように、構成部Bでは、検査装置100全体の制御を司る制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、構成部Aのチャンバ180の温度制御を行う温度制御回路124、位置回路107、比較回路108、参照回路112、展開回路111、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置116、CRT(Cathode Ray Tube)117、パターンモニタ118およびプリンタ119に接続されている。
【0083】
図1で「〜部」または「〜回路」と記載したものは、既に述べたように、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができるが、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せやファームウェアとの組合せによって実施されるものであってもよい。プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置109に記録されることができる。例えば、温度制御回路124、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、比較回路108および位置回路107内の各回路は、電気的回路で構成されてもよく、制御計算機110によって処理することのできるソフトウェアとして実現されてもよい。また、電気的回路とソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0084】
制御計算機110は、温度制御回路124を制御して、構成部Aのチャンバ180の温度制御を行う。
【0085】
また、制御計算機110は、テーブル制御回路114を制御して、XYθテーブル102を駆動する。XYθテーブル102の移動位置は、レーザ測長システム122により測定されて位置回路107に送られる。
【0086】
データベース方式の基準データとなる設計パターンデータは、磁気ディスク装置109に格納されており、検査の進行に合わせて読み出されて展開回路111に送られる。展開回路111では、設計パターンデータがイメージデータ(設計画素データ)に変換される。その後、このイメージデータは、参照回路112に送られて参照画像の生成に用いられる。
【0087】
比較回路108では、センサ回路106から送られた光学画像と、参照回路112で生成した参照画像とが、適切な比較判定アルゴリズムを用いて比較され、誤差が所定の値を超えた場合にその箇所は欠陥と判定される。
【0088】
尚、本実施形態の検査装置100は、図1に示す構成要素以外に、マスク101を検査するのに必要な他の公知要素が含まれていてもよい。例えば、後述するレビュー装置を検査装置自身が有していてもよい。
【0089】
図5は、本発明の第1実施形態におけるデータの流れを示す概念図である。
【0090】
図5に示すように、設計者(ユーザ)が作成したCADデータ201は、階層化されたフォーマットの設計中間データ202に変換される。設計中間データ202には、レイヤ(層)毎に作成されてマスク101に形成されるパターンデータが格納される。ここで、一般に、検査装置は、設計中間データ202を直接読み込めるようには構成されていない。すなわち、検査装置の製造メーカー毎に、異なるフォーマットデータが用いられている。このため、設計中間データ202は、レイヤ毎に各検査装置に固有のフォーマットデータ203に変換された後に検査装置100に入力される。この場合、フォーマットデータ203は、検査装置100に固有のデータとすることができる。
【0091】
次に、図1に示す検査装置100を用いてマスク101を検査する方法の一例について説明する。検査装置100を用いた本実施形態の検査方法を説明することによって、構成部Aおよび構成部Bの各要素の機能をより詳細に説明する。
【0092】
図6は、検査方法を示すフローチャートである。
【0093】
尚、以下では、ダイ−トゥ−データベース方式による検査方法を述べる。したがって、検査対象の光学画像と比較される基準画像は、描画データ(設計パターンデータ)をベースに作成された参照画像である。但し、本発明において、検査装置は、ダイ−トゥ−ダイ方式による検査方法にも適用可能であり、その場合の基準画像は、検査対象とは異なる光学画像になる。
【0094】
図6に示すように、検査方法は、光学画像取得工程(S1)と、設計パターンデータの記憶工程(S2)と、展開工程(S3)およびフィルタ処理工程(S4)と、光学画像と参照画像の比較工程(S5)とを有する。
【0095】
<光学画像取得工程>
図6において、S1の光学画像取得工程では、図1の構成部Aが、マスク101の光学画像(測定データ)を取得する。ここで、光学画像は、設計パターンに含まれる図形データに基づく図形が描画されたマスク101の画像である。光学画像の具体的な取得方法の一例を、図1および図6を用いて説明する。
【0096】
マスク101は、XYθテーブル102上に載置される。XYθテーブル102は、互いに直交する水平2方向たるX方向およびY方向にそれぞれ移動されると共に、鉛直のθ軸線回りに回転される。具体的には、XYθテーブル102は、図1の制御計算機110の制御の下、テーブル制御回路114によって駆動され、X方向に駆動するXモータとY方向に駆動するYモータと、鉛直のθ軸線回りに回転するθモータによって移動可能となっている。Xモータ、Yモータおよびθモータには、例えば、ステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置は、レーザ測長システム122により測定されて位置回路107に送られる。また、検査装置100が、オートローダ130を有する場合、XYθテーブル102上のマスク101は、オートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後には自動的に排出される。
【0097】
光源103は、試料であるマスク101に対して、検査用の光を照射する。光源103から出射された光は、照明光学系170を透過してマスク101の上に集光される。照明光学系170は、例えば、コンデンサレンズなどのレンズやミラーなどを用いて構成される。
【0098】
図1に示すように、光源103から照射されてマスク101を透過した光は、対物レンズユニット104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像する。
【0099】
このとき、図2および図3を用いて説明したように、対物レンズユニット104には、ガス配管181が接続され、対物レンズユニット104の内部のレンズ190および保持具194の周囲には、温度制御された不活性ガスが供給されている。不活性ガスの温度制御は、制御計算機110によって温度制御回路124が制御され、構成部Aのチャンバ180の温度制御がなされることで実現される。
【0100】
すなわち、チャンバ180の温度管理が不活性ガスの温度制御に利用され、さらに、ガス配管181を利用することによって、対物レンズユニット104内に供給される不活性ガスの温度の制御がなされている。すなわち、ガス配管181は、温度管理されたチャンバ180内に配置された部分が十分な長さを有し、チャンバ180の管理温度と同様の温度に恒温化された不活性ガスが、流量調整バルブ184に制御されて対物レンズユニット104内に供給されるように構成されている。
【0101】
その結果、対物レンズユニット104の近傍で、画像センサ(図3中、図示されない)などによる局所的な温度変動があっても、その影響を排除し、対物レンズユニット104を所望とする一定の温度に温度制御(恒温化)することができる。そして、高精度に温度保証された対物レンズユニット104を用いることで、フォトダイオードアレイ105における光学像の結像を安定化させ、欠陥の検出感度を安定させることができる。
【0102】
そして、図1のフォトダイオードアレイ105上に結像したパターンの像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、さらにセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、画像センサが配置されている。本実施形態の画像センサとしては、例えば、撮像素子としてのCCDカメラを一列に並べたラインセンサが用いられる。ラインセンサの例としては、TDI(Time Delay Integration)センサが挙げられる。XYθテーブル102がX軸方向に連続的に移動しながら、TDIセンサによってマスク101のパターンが撮像される。
【0103】
以上のようにして光学画像取得工程(S1)で得られた光学画像は、図1および図6の比較回路108へ送られる。
【0104】
<記憶工程>
図6において、S2は記憶工程である。図1において、マスク101のパターン形成時に用いた設計パターンデータは、記憶装置の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。
【0105】
設計パターンに含まれる図形は、長方形や三角形を基本図形としたものである。磁気ディスク装置109には、例えば、図形の基準位置における座標、辺の長さ、長方形や三角形などの図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報であって、各パターン図形の形、大きさ、位置などを定義した図形データが格納される。
【0106】
さらに、数十μm程度の範囲に存在する図形の集合を一般にクラスタまたはセルと称するが、これを用いてデータを階層化することが行われている。クラスタまたはセルには、各種図形を単独で配置したり、ある間隔で繰り返し配置したりする場合の配置座標や繰り返し記述も定義される。クラスタまたはセルデータは、さらにフレームに配置される。フレームは、例えば、幅が数百μmであって、長さがマスク101のX方向またはY方向の全長に対応する100mm程度の短冊状領域である。
【0107】
<展開工程>
図6のS3は展開工程である。この工程においては、図1の展開回路111が、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、読み出されたマスク101の設計パターンデータを2値ないしは多値のイメージデータ(設計画像データ)に変換する。そして、このイメージデータは参照回路112に送られる。
【0108】
図形データとなる設計パターンデータが展開回路111に入力されると、展開回路111は、設計パターンデータを図形毎のデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計画像データを展開する。展開された設計画像データは、センサ画素に相当する領域(マス目)毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算する。そして、各画素内の図形占有率が画素値となる。
【0109】
<フィルタ処理工程>
図6のS4はフィルタ処理工程である。この工程では、図1の参照回路112によって、送られてきた図形のイメージデータである設計画像データに適切なフィルタ処理が施される。
【0110】
図7は、フィルタ処理を説明する図である。
【0111】
図1のセンサ回路106から得られた光学画像としての測定データは、対物レンズユニット104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果などによってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続的に変化するアナログ状態にある。したがって、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計パターンデータにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。このようにして光学画像と比較する参照画像を作成する。
【0112】
<比較工程>
図6のS5は比較工程である。図1において、センサ回路106からの光学画像データは、比較回路108へ送られる。また、設計パターンデータも、展開回路111および参照回路112により参照画像データに変換されて比較回路108に送られる。また、レーザ測長システム122に接続されて光学画像のマスク101上の位置を検出する位置回路107からの位置データが比較回路108に入力される。
【0113】
そして、比較回路108では、センサ回路106から送られた光学画像と、参照回路112で生成した参照画像とが、適切な比較判定アルゴリズムを用いて比較され、誤差が所定の値を超えた場合にその箇所は欠陥と判定される。次いで、欠陥の座標と、欠陥判定の根拠となった光学画像および参照画像とが、図5に示す検査結果205として、磁気ディスク装置109に保存される。
【0114】
尚、欠陥判定は、次の2種類の方法により行うことができる。1つは、参照画像における輪郭線の位置と、光学画像における輪郭線の位置との間に、所定の閾値寸法を超える差が認められる場合に欠陥と判定する方法である。他の1つは、参照画像におけるパターンの線幅と、光学画像におけるパターンの線幅との比率が所定の閾値を超える場合に欠陥と判定する方法である。この方法では、参照画像におけるパターン間の距離と、光学画像におけるパターン間の距離との比率を対象としてもよい。
【0115】
以上のようにして得られた検査結果205は、図5に示すように、レビュー装置500に送られる。レビューは、オペレータによって、検出された欠陥が実用上問題となるものであるかどうかを判断する動作である。具体的には、検査結果205がレビュー装置500に送られ、オペレータによるレビューによって修正の要否が判断される。このとき、オペレータは、欠陥判定の根拠となった参照画像と、欠陥が含まれる光学画像とを見比べてレビューする。
【0116】
レビュー装置500では、欠陥1つ1つの座標が観察できるように、マスク101が載置されたテーブルを移動させながら、マスク101の欠陥箇所の画像を表示する。また同時に欠陥判定の判断条件や、判定の根拠となった光学画像と参照画像を確認できるよう、レビュー装置500に備えられた計算機の画面上にこれらを並べて表示する。
【0117】
尚、検査装置100にレビュー装置500が備えられている場合には、検査装置100の光学系を使って、マスク101の欠陥箇所の画像を表示する。また同時に、欠陥判定の判断条件や、判定根拠になった光学画像と参照画像などは、図1に示す制御計算機110の画面を利用して表示される。
【0118】
レビュー工程を経て判別された欠陥情報は、図1の磁気ディスク装置109に保存される。そして、図5において、レビュー装置500で1つでも修正すべき欠陥が確認されると、マスク101は、欠陥情報リスト207とともに、検査装置100の外部装置である修正装置600に送られる。修正方法は、欠陥のタイプが凸系の欠陥か凹系の欠陥かによって異なるので、欠陥情報リスト207には、凹凸の区別を含む欠陥の種別と欠陥の座標が添付される。
【0119】
実施の形態2.
以下、本発明の第2実施形態の検査装置について、図面などを用いて説明する。
【0120】
本発明の第2実施形態の検査装置は、上述した第1実施形態の検査装置100の構成部Aと同様の、光学画像を取得するための構成部Aを有し、構成部Aで取得された光学画像を用いて検査に必要な処理などを行う、上述した第1実施形態の検査装置100の構成部Bと同様の構成部Bとを有する。そしてさらに、構成部Aの対物レンズユニットに不活性ガスを供給するためのガス供給部の一例として、ガス配管を有する。ここで、第2実施形態の検査装置は、ガス配管の構造が異なる以外、上述した第1実施形態の検査装置100と同様の構造を有する。そのため、第2実施形態の検査装置を用いた検査方法も、上述した第1実施形態の検査装置100を用いて行う検査方法と同様となる。
【0121】
したがって、以下の本発明の第2実施形態の検査装置の説明では、第1実施形態の検査装置100と共通する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。そして、第1実施形態と異なる構造のガス配管およびそれを用いて不活性ガスが供給される対物レンズユニットについて、主に説明を行う。
【0122】
図8は、クリーンルーム内に設置された本発明の第2本実施形態の検査装置を模式的に示す図である。
【0123】
本実施形態の検査装置1000の構成部Aは、検査用の光を放出する光源103(図示されない)と、水平方向(X方向、Y方向)および回転方向(θ方向)に移動可能なXYθテーブル102(図示されない)と、XYθテーブル上に載置されたマスク101に法線方向(上下方向)から光源103からの検査用の光を照射して透過照明系を構成する照明光学系170(図示されない)と、レンズを内部の空間内に配置して有する対物レンズユニット104(図示されない)と、受光部の一例となるフォトダイオードアレイ105(図示されない)およびセンサ回路106(図示されない)と、レーザ測長システム122(図示されない)と、それらを収納するチャンバ180とを有する。
【0124】
図8では、図3と同様、便宜的に、本実施形態の検査装置1000のチャンバ180と、チャンバ180に付設されチャンバ180内を所定の温度に調節する空調機200と、ガス供給部の一例であるガス配管1181と、対物レンズユニット104と、マスク101を載置したXYθテーブル102などが模式的に示されている。ガス配管1181には、上述した第1実施形態の検査装置100のガス配管181の流量調整バルブ184と同様の、流量調整バルブ1184が設けられている。また、ガス配管1181の途中には、後述するように、ガス溜まりの一例であるガスタンク1182が設けられている。
【0125】
本実施形態の検査装置1000は、例えば、温度管理されたクリーンルーム内に設置して使用することが好ましい。通常のクリーンルームでは、クリーンルーム内に設置された装置に対して、例えば、窒素ガスなどの不活性ガスを供給できるように、ガスの配管設備が備えられている。本実施形態の検査装置1000は、対物レンズユニット104に不活性ガスを供給して使用するが、その不活性ガスとして、通常のクリーンルームが設備として準備している窒素ガスなどの不活性ガスを使用することができる。すなわち、クリーンルームの有するガスの配管(図示されない)に検査装置1000のガス配管1181を接続し、対物レンズユニット104に窒素ガスなどの不活性ガスを供給できるようにする。
【0126】
このとき、クリーンルームが備えたガスの配管設備から供給される窒素ガスなどの不活性ガスは、上述したように、温度の管理がなされていないのが通常である。そのため、検査装置1000においても、準備された不活性ガスをそのまま使用することはできず、その温度制御が必要となる。
【0127】
本実施形態の検査装置1000は、ガス配管1181のチャンバ180内に配置される部分に、不活性ガスを一時的に溜めるためのガス溜まりの一例として、ガスタンク1182を有する。そして、チャンバ180における温度の管理を利用して、ガスタンク1182内にチャンバ180の外部から供給された不活性ガスを一時的に溜め、その中で不活性ガスがチャンバ180の設定温度となるようにする。その結果、検査装置1000は、ガス配管1181を利用した不活性ガスの温度の制御を実現する。
【0128】
より詳しく説明すると、本実施形態の検査装置1000のガス配管1181は、一方でクリーンルームの有する不活性ガスの配管(図示されない)に接続する。そして、チャンバ180の外部となるクリーンルームの壁部から、チャンバ180の壁を通って、もう一方で、チャンバ180内に設置された対物レンズユニット104のガス導入口196(図8中、図示されない)に接続する。すなわち、検査装置1000は、チャンバ180の外部から対物レンズユニット104の内部に温度制御用の不活性ガスを供給するように、対物レンズユニット104に接続されたガス配管1181を有する。ガス配管1181は、チャンバ180内に配置される部分に、不活性ガスを一時的に溜めるためのガスタンク1182を有する。また、ガス配管1181には、不活性ガスの供給量を制御するための流量調整バルブ1184を設けることができる。
【0129】
チャンバ180内は、空調機200によって所望の設定温度となるように温度の調節された空間となる。検査装置1000は、温度設定されたチャンバ180と上述のガスタンク1182を用いて、対物レンズユニット104の内部に温度制御された不活性ガスを供給できるようにする。
【0130】
すなわち、クリーンルームの配管からガス配管1181に供給された不活性ガスは、ガス配管1181のチャンバ180内に配置される部分に設けられたガスタンクに一時的に溜められて、チャンバ180内の設定温度となるようにされる。そして、温度の調節がなされた後、不活性ガスは、流量調製バルブ1184により流量調整がなされ、対物レンズユニット104に供給され、対物レンズユニット104の温度制御に用いられる。
【0131】
したがって、ガス配管1181の有するガスタンク1182の容量は、ガス配管1181から対物レンズユニット104に不活性ガスが所望の設定流量で供給された場合、チャンバ180の設定温度となるのに十分な容量であることが好ましい。
【0132】
また、ガス配管1181のチャンバ180内に配置される部分は、それを通って対物レンズユニット104の内部に供給される不活性ガスが、チャンバ180の設定温度となるのに好適な配置構造を有することが好ましい。
【0133】
図8に示すように、検査装置1000のチャンバ180の側壁部分には、チャンバ180内を所定の温度に調節する空調機200が設けられている。検査装置1000では、ガス配管1181のチャンバ180内に配置される部分の一部をチャンバ180の空調機200が設けられた側壁上に配置する。そして、ガス配管1181の有するガスタンク1182を空調機200のある側壁上に配置する。その結果、空調機200によって、ガスタンク1182内に一時的に溜められる不活性ガスが、効率良く温度制御されるようになる。併せて、ガス配管1181は、発熱が懸念されるフォトダイオードアレイ105(図示されない)を避け、フォトダイオードアレイ105からなるべく遠い位置に配置されることが望ましい。
【0134】
また、本実施形態の検査装置1000では、上述した図3の第1実施形態の検査装置100と同様に、クリーンルームで行われる温度管理も利用し、ガス配管1181を用いて行われる不活性ガスの温度制御に利用することができる。
【0135】
図8に示すように、クリーンルーム内に配置されるガス配管1181のチャンバ180の外に配置される部分は、それを通って対物レンズユニット104の内部に供給される不活性ガスがチャンバ180のクリーンルーム内の設定温度となるように、十分な長さを有するようにする。
【0136】
したがって、図8に示すように、ガス配管1181のチャンバ180の外に配置される部分は、屈曲する部分または湾曲する部分が設けられ、クリーンルームの壁とチャンバ180の壁との間の距離に比べて長くなるようにされている。このとき、ガス配管1181のチャンバ180内に配置される部分の長さは、ガス配管1181から対物レンズユニット104に不活性ガスが所望の設定流量で供給された場合、クリーンルームの設定温度となるのに十分な長さであることが好ましい。
【0137】
以上のガス配管1181の構造を有することにより、本実施形態の検査装置1000は、チャンバ180における温度の調節を利用し、ガス配管1181およびガスタンク1182を利用して、対物レンズユニット104内に供給される不活性ガスの温度制御を行うことができる。その結果、対物レンズユニット104近傍で、画像センサ(図8中、図示されない)などによる局所的な温度変動があっても、その影響が排除され、対物レンズユニット104を所望とする一定の温度に温度制御することができる。
【0138】
そして、対物レンズユニット104は特性が安定に保たれ、フォトダイオードアレイ105およびセンサ回路106における高精度の光学画像の安定した取得を可能とし、高い精度の欠陥検出を可能とする。
【0139】
また、本実施形態の検査装置1000は、ガス配管1181を用い、対物レンズユニット104に温度制御された不活性ガスを供給して、対物レンズユニット104の温度管理を可能とする。このとき、上述した第1実施形態の検査装置100と同様に、温度の調節された不活性ガスを他の目的に使用することも可能である。すなわち、対物レンズユニットとして、図4で示された対物レンズユニット304を用いることができる。そして、ガス配管1181からの温度制御された不活性ガスを用い、対物レンズユニット304の、試料であるマスク101側のレンズ面を、不活性ガスでパージできるようにし、検査装置1000を構成することも可能である。
【0140】
尚、図8に示す検査装置1000を用いてマスク101を検査する方法としては、上述した、図1に示す検査装置100を用いてマスク101を検査する方法と同様に行うことができる。すなわち、上述したのと同様のダイ−トゥ−データベース方式による検査方法を行うことができる。
【0141】
その場合、光学画像取得工程では、ガス配管1181の流量調整バルブ1184によって制御され、ガスタンク1182内に溜められる不活性ガスが所定の温度に恒温化されるまで、対物レンズユニット104への不活性ガスの導入が行われないようにすることが好ましい。すなわち、不活性ガスが、ガスタンク1182内で、チャンバ180の所望の設定温度に調節された後、対物レンズユニット104に供給されるようにする。そして、対物レンズユニット104が、不活性ガスの供給によって所定の設定温度に恒温化された状態とする。検査装置1000は、高精度に温度保証された対物レンズユニット104を用いることで、フォトダイオードアレイ105における光学像の結像を安定化させ、欠陥の検出感度を安定させることができる。
【0142】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【0143】
また、上記の各実施形態では、装置構成や制御手法など、本発明の説明に直接必要としない部分についての記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができることは言うまでもない。その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更し得る全ての検査方法または検査装置は、本発明の範囲に包含される。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
検査対象となる試料が載置されるテーブルと、
前記試料の光学画像を撮像する受光部と、
前記テーブル上に載置された前記試料へ向けて検査用の光を照明する照明光学系と、
前記照明光学系によって照明されて前記試料を透過または反射した光を前記受光部に結像する対物レンズユニットと、
温度調節手段を備えており、少なくとも前記テーブルと、前記照明光学系と、前記受光部と、前記対物レンズユニットとを収納するチャンバと、
前記対物レンズユニットに接続されて、前記チャンバの外部から前記対物レンズの内部に不活性ガスを供給するように配管されたガス供給部とを有し、
前記温度調節手段は、前記チャンバ内を所定の温度に調節するものであり、
前記ガス供給部の前記チャンバ内に配置される部分は、前記対物レンズユニットの内部に供給される不活性ガスが前記所定の温度となる長さと配置構造を備えていることを特徴とする検査装置。
[C2]
前記対物レンズユニットは、複数のレンズと、
前記複数のレンズの各々を支持する複数の支持部と、
前記複数のレンズと前記複数の支持部を被覆する被覆部と、
前記被覆部の前記受光部側の端部に設けられたフランジ部とを有し、
前記複数の支持部の各々と前記フランジ部には、それぞれ通気孔が設けられており、
前記フランジ部の通気孔に前記ガス供給部が接続することによって、前記フランジ部の通気孔から前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの通気孔へ前記不活性ガスが供給され、さらに該通気孔から他の支持部の通気孔へ該不活性ガスが供給されるよう構成されたことを特徴とする[C1]に記載の検査装置。
[C3]
前記対物レンズユニットは、前記被覆部の側壁に沿ってまたは前記被覆部の側壁の内部にガス流路を有し、
前記ガス流路は、前記フランジ部側の端部で前記ガス供給部に接続し、
前記ガス供給部から供給された前記不活性ガスは、前記ガス流路を通り、前記テーブルへ向けて噴出するよう構成されたことを特徴とする[C2]に記載の検査装置。
[C4]
検査対象となる試料が載置されるテーブルと、
前記試料の光学画像を撮像する受光部と、
前記テーブル上に載置された前記試料へ向けて検査用の光を照明する照明光学系と、
前記照明光学系によって照明されて前記試料を透過または反射した光を前記受光部に結像する対物レンズユニットと、
温度調節手段を備えており、少なくとも前記テーブルと、前記照明光学系と、前記受光部と、前記対物レンズユニットとを収納するチャンバと、
前記対物レンズユニットに接続されて、前記チャンバの外部から前記対物レンズの内部に不活性ガスを供給するように配管されたガス供給部とを有し、
前記温度調節手段は、前記チャンバ内を所定の温度に調節するものであり、
前記ガス供給部の前記チャンバ内に配置される部分には、前記対物レンズユニットの内部に供給される不活性ガスを一時的に溜めて前記所定の温度となるようにするガス溜まりを有することを特徴とする検査装置。
[C5]
前記対物レンズユニットは、複数のレンズと、
前記複数のレンズの各々を支持する複数の支持部と、
前記複数のレンズと前記複数の支持部を被覆する被覆部と、
前記被覆部の前記受光部側の端部に設けられたフランジ部とを有し、
前記複数の支持部の各々と前記フランジ部には、それぞれ通気孔が設けられており、
前記フランジ部の通気孔に前記ガス供給部が接続することによって、前記フランジ部の通気孔から前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの通気孔へ前記不活性ガスが供給され、さらに該通気孔から他の支持部の通気孔へ該不活性ガスが供給されるよう構成されたことを特徴とする[C4]に記載の検査装置。
[C6]
前記対物レンズユニットは、前記被覆部の側壁に沿ってまたは前記被覆部の側壁の内部にガス流路を有し、
前記ガス流路は、前記フランジ部側の端部で前記ガス供給部に接続し、
前記ガス供給部から供給された前記不活性ガスは、前記ガス流路を通り、前記テーブルへ向けて噴出するよう構成されたことを特徴とする[C5]に記載の検査装置。
【符号の説明】
【0144】
100、1000 検査装置
101 マスク
102 XYθテーブル
103 光源
104、304 対物レンズユニット
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111 展開回路
112 参照回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 フレキシブルディスク装置
117 CRT
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
124 温度制御回路
130 オートローダ
170 照明光学系
180 チャンバ
181、1181 ガス配管
184、1184 流量調整バルブ
190 レンズ
191 レンズセル部
192、392 レンズカバー
193、393 フランジ部
194 保持具
196、396 ガス導入口
198、199、399 通気孔
200 空調機
201 CADデータ
202 設計中間データ
203 フォーマットデータ
205 検査結果
207 欠陥情報リスト
302 流路
500 レビュー装置
600 修正装置
1182 ガスタンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8