特許第6228945号(P6228945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228945音場再生装置、音場再生方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228945
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】音場再生装置、音場再生方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20171030BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20171030BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H04S7/00 320
   H04R3/00 310
   H04R1/40 310
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-20201(P2015-20201)
(22)【出願日】2015年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-144129(P2016-144129A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】若山 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】高田 英明
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義昭
【審査官】 菊池 充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−538512(JP,A)
【文献】 特開2006−114945(JP,A)
【文献】 特開2014−007543(JP,A)
【文献】 特開2007−110455(JP,A)
【文献】 特開2012−147413(JP,A)
【文献】 特開2007−312034(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0223658(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0078132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 1/00− 7/00
H04R 3/00− 3/14
H04R 1/36− 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想の平面である制御面で区分された一方の領域に位置し、所定の空間を囲む形状であってその内面が反射面とされ、前記制御面と対向する側が開口した反射部材と、
前記所定の空間内に複数配列され、複数の無指向性音源を含んで構成された指向性可変スピーカを含み、
前記制御面で区分された他方の領域を受聴領域とし、前記受聴領域内で所望の音場を再現する仮想音源が前記所定の空間内に配列されたと仮定した場合に前記制御面上で観測される音圧が再現されるように前記無指向性音源それぞれの重みが設定され、前記重みに基づいて前記無指向性音源が駆動される
音場再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音場再生装置であって、
前記無指向性音源それぞれの重みを要素に持つベクトルが、
前記無指向性音源と前記音圧が観測される点との間の音響伝達関数を要素に持つ行列と、前記音響伝達関数を要素に持つ行列のエルミート転置と、ティホノフの正則化法における正則化項と、前記音圧が観測される点における所望の音圧を要素に持つベクトルを用いて予め計算される
音場再生装置。
【請求項3】
音場再生装置が実行する音場再生方法であって、
仮想の平面である制御面で区分された一方の領域に位置し、所定の空間を囲む形状であってその内面が反射面とされ、前記制御面と対向する側が開口した反射部材と、前記所定の空間内に複数配列され、複数の無指向性音源を含んで構成された指向性可変スピーカを用い、前記制御面で区分された他方の領域を受聴領域とし、前記受聴領域内で所望の音場を再現する仮想音源が前記所定の空間内に配列されたと仮定した場合に前記制御面上で観測される音圧が再現されるように前記無指向性音源それぞれの重みが設定され、前記重みに基づいて前記無指向性音源を駆動するステップを含む
音場再生方法。
【請求項4】
請求項3に記載の音場再生方法であって、
前記重みを要素に持つベクトルを、
前記無指向性音源と前記音圧が観測される点との間の音響伝達関数を要素に持つ行列と、前記音響伝達関数を要素に持つ行列のエルミート転置と、ティホノフの正則化法における正則化項と、前記音圧が観測される点における所望の音圧を要素に持つベクトルを用いて予め計算するステップを含む
音場再生方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の音場再生装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカアレイを駆動して空間に音場を再生する音場再生装置、音場再生方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
音場再生とは、スピーカアレイを駆動することで、空間に音場を再生する技術である。広帯域・広範囲で音場を再現するには膨大な数のスピーカが必要になる。従来の音場再生システムの例として、例えば非特許文献1がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Koyama, et al. "Analytical Approach to Wave Field Reconstruction Filtering in Spatio-Temporal Frequency Domain" Audio, Speech, And Language Processing, IEEE Transactions on 21.1 (2013): 1-11.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、広範囲の音場を再現するため、再現領域の境界に等間隔に配置された直線状のスピーカアレイを用いている。しかし、直線状スピーカアレイによって、周波数fまで正確に音場を再現するには、c/(2f)[m]間隔(fは周波数、cは音速)でスピーカを配置する必要があり、広帯域・広範囲で音場を再現するには、膨大な数のスピーカが必要になるため、コストの観点から課題があった。また、液晶やELディスプレイ、LEDディスプレイ、特殊光学スクリーンなどの前面に音場を再現することにより、映像と音場を高精度で再現するシステムを構築しようとする場合に、スピーカアレイによって映像面が遮られる場合があり、ユーザの視野という観点で課題があった。そこで本発明では、音場再生に用いるスピーカ数を削減することができる音場再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の音場再生装置は、仮想の平面である制御面で区分された一方の領域に位置し、所定の空間を囲む形状であってその内面が反射面とされ、制御面と対向する側が開口した反射部材と、所定の空間内に複数配列され、複数の無指向性音源を含んで構成された指向性可変スピーカを含み、制御面で区分された他方の領域を受聴領域とし、受聴領域内で所望の音場を再現する仮想音源が所定の空間内に配列されたと仮定した場合に制御面上で観測される音圧が再現されるように無指向性音源それぞれの重みが設定され、重みに基づいて無指向性音源が駆動される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の音場再生装置によれば、音場再生に用いるスピーカ数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の音場再生装置の幾何学的配置を示す断面図。
図2】実施例1の音場再生装置の指向性可変スピーカおよび無指向性音源の位置を表すパラメータ(ローカル座標系)について説明する図。
図3】実施例1の音場再生装置が実行する音場再生方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0009】
以下、実施例1の音場再生装置について説明する。本実施例の音場再生装置は、指向性を制御できる指向性可変スピーカ(2次元モノポール素子で構成されるアレイで実現)と反射部材による音響反射を利用して仮想音源を生成することで、音場再現に用いるスピーカの総数を削減するものである。特定の領域に正確な音場を再現する際、指向性可変スピーカ(次数N)の必要数が、直線状スピーカアレイを構成する際の必要数に対して、一定の割合で削減可能である。また、副次的な効果として、指向性可変スピーカが空間的に疎になり、ユーザの視野が遮られにくくなる。
【0010】
以下、本実施例の音場再生装置の具体的な構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施例の音場再生装置1の幾何学的配置を示す断面図である。本実施例では、連続する2次元空間領域、それに対応する所望の音場を想定する。図1に示すように、音場再生装置1は、L個(Lは1以上の整数)の指向性可変スピーカ11−1、…、11−l、…、11−L(lは1以上L以下の整数)と、反射部材12を含んで構成される。なお、L個の指向性可変スピーカを総称する場合には、指向性可変スピーカ11と呼称する。
【0011】
指向性可変スピーカ11は、M個(Mは2以上の整数)の無指向性音源(モノポール)を含んで構成される。M個(Mは2以上の整数)の無指向性音源(モノポール)の符号は以下のように付される。指向性可変スピーカ11―lを構成する無指向性音源は無指向性音源11−l−1、…、11−l−Mと呼称される。従って、指向性可変スピーカ11―1を構成する無指向性音源は、11−1−1、…、11−1−m、…、11−1−M(mは1以上M以下の整数)、指向性可変スピーカ11―2を構成する無指向性音源は、11−2−1、…、11−2−m、…、11−2−Mと呼称される。
【0012】
以下に指向性可変スピーカ11と、反射部材12の配置について説明する。まず図1に示すように仮想の平面である制御面14を考える。この制御面14で区分された一方の領域に、指向性可変スピーカ11と、反射部材12が位置するものとする。反射部材12は、所定の空間を囲む形状であってその内面が反射面とされ、制御面14と対向する側が開口している。反射部材12を一面が開口した直方体形状として構成する場合、反射部材12は複数の反射板を組み合わせることで構成できる。反射部材12は半円筒形状であってもよい。また反射部材12は他の任意の形状とすることができる。反射部材12をディスプレイとすることもできる。指向性可変スピーカ11−1、…、11−Lは、反射部材12によって囲まれる所定の空間内に配列される。また、制御面14で区分された他方の領域を受聴領域16とし、以下の説明に用いる。受聴領域16は自由空間、あるいは反射係数が0に近い壁面で覆われているものとする。
【0013】
<プレッシャーマッチング>
本実施例の音場再生装置1はプレッシャーマッチングの手法を用いる。プレッシャーマッチングでは、興味のある領域(本実施例において受聴領域16に該当)の境界(本実施例において制御面14に該当)に位置する有限個の点において所望の音圧と現状の音圧とを一致させることで、興味のある領域(本実施例において受聴領域16)における所望の音場を再現する。境界に位置する有限個の点をマッチング点と呼ぶ。上述した通り、本実施例においてマッチング点は制御面14上に位置する。本実施例ではマッチング点はQ個(Qは1以上の整数)設定されるものとする。各マッチング点には仮想上の点センサ15−1、…、15−q、…、15−Q(qは1以上Q以下の整数)が配置されているものとする。仮想上の各点センサ15−1、…、15−q、…、15−Qが音圧を観測することから、マッチング点は観測点とも呼ぶ。点センサ15−1、…、15−q、…、15−Qの座標(マッチング点の座標、観測点の座標)は、二次元座標を表すベクトル(x1,...,xq,...,xQ)∈R2で表現されるものとする。同様に、l番目の指向性可変スピーカ11−l内のm番目の無指向性音源11−l−mの座標は、二次元座標を表すベクトルylm∈R2で表現されるものとする。
【0014】
上述のプレッシャーマッチングにおいて、M個の無指向性音源(2次元モノポール)を要素に持つL個の指向性可変スピーカ11−1、…、11−l、…、11−Lで、制御面14における圧力場を再現するため、下記の方程式を満たす必要がある。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、H(xq,ylm;f)は、ylmに位置する無指向性音源11−l−mとxqに位置する点センサ15−qの間の周波数fにおける音響伝達関数である。Glm(f)は無指向性音源11−l−mの周波数fにおける重みを表す。Pd(xq;f)は周波数fにおける、マッチング点(観測点)xqにおける所望の音圧を表す。音圧マッチングは、Q個のマッチング点(観測点)(x1,...,xq,...,xQ)で実行される。それを満たすのに必要な方程式の集合は、行列−ベクトル形式で扱われる。すなわち、
【0017】
【数2】
【0018】
ここで、H(xq,ylm;f)は音響伝達関数を要素に持つ行列、[g]M(l-1)+m=Glm(f)は無指向性音源11−l−mの重みを要素に持つベクトルである([g]の添え字のM(l-1)+mは、無指向性音源の通し番号を意味する)。[pd]q=Pd(xq;f)はマッチング点xqにおける所望の音圧を要素に持つベクトルである。正則化最小二乗法による解により、二乗誤差平均が小さくなるよう、スピーカの重みg^がロバストに求められる。すなわち、
【0019】
【数3】
【0020】
ここで、λはティホノフ(Tikhonov)の正則化法における正則化パラメータ、λIはティホノフ(Tikhonov)の正則化法における正則化項である。HHは音響伝達関数を要素に持つ行列Hのエルミート転置である。上記の信号処理を用いて、K個の仮想音源13−1、…、13−k、…、13−Kが反射部材12によって囲まれる所定の空間内に直線状に配列されてなる仮想スピーカアレイが生成する音場を再現することができる。上記の計算によって、無指向性音源11−1−1、…、11−L−Mそれぞれの重みが計算される。つまり、受聴領域16内で所望の音場を再現するK個の仮想音源13−1、…、13−k、…、13−Kが反射部材12によって囲まれる所定の空間内に直線状に配列されたと仮定した場合(図1参照)の、制御面14上の各観測点(x1,...,xq,...,xQ)で観測される音圧が、各無指向性音源によって再現されるように、各無指向性音源11−1−1、…、11−L−Mの重みが計算されることになる。
【0021】
<指向性可変スピーカ11の設計例>
以下に指向性可変スピーカ11の設計例について説明する。一般的な場合、指向性可変スピーカは、N次(Nは1以上の整数)の指向性パターンでモデル化される。指向性可変スピーカ11−lの、周波数fにおける、遠方音場の指向性パターンDll;f)は、位相モード展開によって、次のように記述される。φlはx軸を基準とした指向性可変スピーカ11―lの中心の角度である。
【0022】
【数4】
【0023】
なお、αnlは、n次(n=1,…,N)の位相モードにおける重み係数である。einφl=cos(nφl)+isin(nφl)である。図2を参照して指向性可変スピーカおよび無指向性音源の位置を表すパラメータについて説明する。図2は、本実施例の音場再生装置1の指向性可変スピーカ11−1、…、11−Lおよび無指向性音源11−1−1、…、11−L−Mの位置を表すパラメータ(ローカル座標系)について説明する図である。図2に示すように、指向性可変スピーカ11−lは、M個の無指向性音源11−l−1、…、11−l−m、…、11−l−Mを半径rの等間隔円状アレイに並べることで実現できる。また図2に示すように、dlは等間隔円状アレイ(指向性可変スピーカ11−l)の中心から任意の点までの距離、φlはx軸を基準とした際の任意の位置における角度、ψlは任意の点を表すベクトルと同じ方向の単位ベクトル、すなわちψl=[cosφl,sinφl]T、ψlmはl番目の指向性可変スピーカ11−l内のm番目の無指向性音源11−l−mの中心位置の座標を表すベクトルと同じ方向の単位ベクトル、すなわちψlm=[cosφlm,sinφlm]T、φlmは、l番目の指向性可変スピーカ11−l内のm番目の無指向性音源11−l−mの方位角を表す。
【0024】
N次までのスピーカ応答を得ることを保証するため、次のようにrとMを選んで、各指向性可変スピーカを設計する必要がある。
(1)次数Nまでの空間モードを再現するため、r=Nc/(2πf)とする
(2)十分な自由度を持つスピーカ応答を得るため、M≧2N+1とする
上記の設計指針(1)(2)は、周波数fにおける空間エイリアジングを避けるため、無指向性音源(モノポール)がλ/2以下のスペースで配置されることを保証する。このアレイ(指向性可変スピーカ)は、例えば円筒スピーカボックスの側面を周回するようにM個の無指向性音源(モノポール)を1列、あるいは複数列配列することで実現可能である。各無指向性音源(モノポール)の重みは、音場再現の問題に正則化最小二乗によって選択される。パラメータrとMを選べば、指向性可変スピーカは二次の指向特性を持つことが保証される。プレッシャーマッチングの設計による結果による指向性可変スピーカ11−lの近接場指向特性Dは、次のように記述される。
【0025】
【数5】
【0026】
なおH0(2)は次数0の2種のハンケル関数、kは波数である。
【0027】
以下、図3を参照して音場再生装置1が実行する音場再生方法について説明する。図3は本実施例の音場再生装置1が実行する音場再生方法を示すフローチャートである。図3に示すように、音場再生装置1は、上述の反射部材12と、指向性可変スピーカ11を用い、制御面14で区分された他方の領域である受聴領域16内で所望の音場を再現する仮想音源13−1、…、13−k、…、13−Kが反射部材12で囲まれる所定の空間内に配列されたと仮定した場合に制御面14上で観測される音圧が再現されるように無指向性音源11−1−1、…、11−L−Mそれぞれの重みが設定され、設定された重みに基づいて無指向性音源11−1−1、…、11−L−Mを駆動する(S1)。
【0028】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD−ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0029】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0030】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0031】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0032】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0033】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0034】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0035】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0036】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
図1
図2
図3