(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機コーティングが、フルオロアルキル基およびアミノ官能基を含有する、少なくとも1つのオリゴシロキサンおよび/またはポリシロキサンからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の効果顔料。
有機コーティングを施すために、被覆フレーク状基板を水または水系液体に懸濁し、シロキサンおよび/またはシランで処理し、ここで、シロキサンおよびシランが、フルオロアルキル基およびアミノ基を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の効果顔料の調製方法。
【背景技術】
【0002】
たとえば、TiO
2、Fe
2O
3等の、遷移金属化合物の酸化物および/または水和酸化物、または当該酸化物の混合物を含む1または2以上の層を含む顔料が多くの産業分野、とくに修飾コーティングにおいて、プラスチック、塗料、コーティング、印刷インクにおいて、および化粧品処方において、光沢または効果顔料として用いられている。とくに、金属光沢を有する顔料が、たとえば、自動車塗料などの多くの分野で用いられている。しかしながら、屋外用途のためのプラスチック部品および塗料コートはしばしば、材料の劣化をもたらす極端な天候状態および長く続く長時間の強烈な光の照射にさらされる。
【0003】
とくに、屋外用途は、顔料の高い要求をもたらす。光にさらすこと、高湿度雰囲気、高いおよび低い温度などの顔料に課される、種々の要因が、ここで生ずる。変色、脆化、減少した機械的および化学的安定性においてこれは明らかである。このような効果を避けるために、顔料にはしばしば、無機のポストコーティングが備わっている。たとえば、カップリング剤(EP 0632109、EP 1203795、WO 2004/092284、WO 2009/077191、EP 1727864)、パーフルオロアルキルホスフェート(WO 02/064682)またはオリゴマーカップリング剤(EP 0 888 410, EP 0141174, WO 2010/003660)から製造される有機トップコートを適用してもまたよい。有機化学成分は好ましくは、湿度から保護するために、用いられる。
【0004】
塗料またはコーティングで物品をコーティングする方法は、主として重要である。適用する塗料またはコーティングの色効果および安定性もここではまた特別な役割を有する。重要なコーティング方法は、パウダーコーティングである。パウダーコーティングは本質的にプラスチックパウダーおよび顔料のみからなり、溶剤を含有するものではないために、パウダーコーティング操作の間の溶媒放出または塗料スラッジ(sludge)も発生せず、このコーティング方法はとくに環境に優しい。
【0005】
しかし、このコーティング方法における1つの問題点は、異なるチャージおよび粒子パラメーターの結果としての、顔料粒子およびプラスチックパウダー粒子の繰り返される分離である。
したがって、改善された効果顔料、とくに、パウダーコーティングにおける使用に適する、金属外観および良好な安定性を有する効果顔料への要求が続いている。
【0006】
本発明は、被覆フレーク状基材に基づく効果顔料であって、フルオロアルキル基および親水性基を含有し、少なくとも1つのシロキサンおよび/または少なくとも1つのシランから形成された有機コーティングが、基材に外層として施されている、効果顔料に関する。
【0007】
驚くことに、本発明の効果顔料が、減少した光沢と同時に増加した直接散乱を有するパウダーコーティングの製造に適することがここで見出された。新規な効果顔料は、ドライブレンドおよび結合方法の両方で、好ましく用いることができ、両方法において、減少した光沢と同時に増加した直接散乱を有するコーティングをもたらす。視覚的印象では、これは、新規な艶消し金属効果(matt-metallic effect)から明らかである。とくに、銀白色の効果顔料が、ドライブレンドおよび結合方法の両方で、この効果を示す。
【0008】
驚くことに、本発明の顔料は、パウダーコーティングにおいて、ドライブレンドにおいてだけでなく、結合方法を用いて製造されたパウダーコーティングでも、強い「リーフィング(leafing)」効果(すなわち、塗料コートの表面での濃縮)をもたらす。この方法は、効果顔料をパウダーコーティング粒子に結合させ、その結果、コーティング操作中の顔料/パウダーコーティングの分離がもはや起こらない。この方法は、スプレーの重ね塗りを容易に再利用することができる利点を有する。結合のために、顔料が、コーティングの焼成中の表面への浮き上る機会が減少し、リーフィング効果を示さないことが予想される。
【0009】
新規な効果顔料の特別な利点は、改善された耐摩耗性を有するコーティングを提供することに用いることができる点である。強いリーフィング効果を示す顔料は、コーティングへの低い結合を有するべきであるから、これは驚くことである。
【0010】
本発明の効果顔料の本質的な特徴は、有機コーティングにおけるフルオロアルキル基および親水性基の組合せである。ここでフルオロアルキル基の親水性基に対するモル比は、好ましくは、1:2〜5:1、好ましくは、2:1〜5:1、とくに、3:1〜5:1である。
【0011】
有機コーティングの親水性基は好ましくは、アミノ基、好ましくは、アミノアルキル基、1級および2級または3級アミンの両方である。好ましくは、C1〜C10、好ましくは、C1〜C6アルキル基を含有し、とくにC1〜C4アルキル基を含有する1級および/または2級アルキルアミノ基がとくに好ましい。とくにC1〜C4アルキル基を含有する、1級および2級アルキルアミノ基の両方が有機コーティング中に存するときは、とくに有利である。
【0012】
フルオロアルキル基は、直鎖および分枝フッ素化アルキル基の両方であってもよく、好ましくは、C1〜C20、とくにC1〜C10アルキル基またはフッ素化アリール基もまたよい。とくに好ましくは、パーフルオロアルキル基、とくにC1〜C10パーフルオロアルキル基、とくにC2〜C6である。
本発明の効果顔料のさらなる本質的な特徴は、有機コーティングが、少なくとも1つのシロキサンおよび/または少なくとも1つのシランから形成される。有機コーティングは、好ましくは、少なくとも1つのシロキサンおよび/または少なくとも2つのシランから形成される。有機コーティングは、とくに好ましくは、少なくとも1つのシロキサンおよび/または少なくとも1つのシランからなる。少なくとも1つのシロキサンを含む有機コーティングがとくに好ましい。有機コーティングは、とくに好ましくは、シロキサンから、とくに、好ましいとして記載されたシロキサンの1つからなる。
【0013】
シロキサンおよびシランは、有機官能シロキサンおよび/またはシランであることもまたできる。本発明の意味において、「有機官能シロキサンおよび/またはシラン」は、好ましくは焼成された金属酸化物表面への結合を可能にする、少なくとも1つの基を含有する、シロキサンおよび/またはシランを意味する。その例は、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシおよびアリールオキシ基である。好ましくは、ヒドロキシル基およびアルコキシ基であり、加水分解反応条件によって、対応するヒドロキシル基に変換することができる。後者は、好ましくは焼成された金属酸化物表面に結合することができ、酸素の橋架けによるアンカーリングをもたらすことができる。有機コーティングにおけるいくらかまたはすべての有機官能基は、金属酸化物表面に結合するために反応していてもよい。
【0014】
本発明において好ましいシランは、少なくとも1つの有機官能基およびフルオロアルキル基および/または親水性を含有する。本明細書において、好適なフルオロアルキル基を含有するシランは、式Rf(CH
2)
nSiX
3で表されるシランであり、式中、Rfは、直鎖または分枝C1〜C12フルオロアルキル基であり、好ましくは、パーフルオロアルキル基、nは、1〜5の整数であり、すべてのXは、同一または異なり、アルコキシ、ハロゲンまたはアルキル基であり、ここですべてのXは、同時にアルキル基ではない。
【0015】
適するシランは、たとえば、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランおよび以下のシラン:
CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
CF
3(CF
2)
11(CH
2)
2SiCl
3
CF
3(CF
2)
4(CH
2)
2SiCl
3
CF
3(CF
2)
2SiCl
3
CF
3(CF
2)
10(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
CF
3(CF
2)
9(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CF
2)
4(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CF
2)
2(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
およびその混合物である。好ましくは、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシランおよび1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランである。
【0016】
本明細書において、好ましい親水性基を含有するシランは、アミノ基を含有する、式R(CH
2)
nSiX
3で表されるシランであり、式中、Rは、少なくとも1つのアミノ基を含有する、直鎖または分枝C1〜C12アルキル基であり、nは、1〜5の整数であり、すべてのXは、同一または異なり、アルコキシ、ハロゲンまたはアルキル基であり、ここですべてのXは、同時にアルキル基ではない。本明細書において、好適なアミノ基を含有するシランは、たとえば:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランおよびそれらの混合物である。好適なアミノ基を含有するシランは、たとえば、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0017】
フルオロアルキル基を含有するシランおよび親水性基を含有するシランの使用濃度は、有機コーティングにおける、フルオロアルキル基の親水性基に対するモル比が、好ましくは、1:2〜5:1、好ましくは、2:1〜5:1、とくに、3:1〜5:1であるように決められる。代わりに、対応する比で、フルオロアルキル基および親水性基を含有するシランを用いることができる。
【0018】
有機官能シロキサン、とくに、記載された好ましいフルオロアルキル基およびアミノアルキル基を含有する、有機官能オリゴまたはポリシロキサンから形成された、またはそれからなる有機コーティングが特に有利である。有機コーティングにおけるいくらかまたはすべての有機官能基は、金属酸化物表面に結合するために反応していてもよい。1級および2級アミノ基の両方およびフルオロアルキル基、とくに好適なアミノおよびフルオロ基を含有するシロキサンがとくに好ましい。
【0019】
好ましくは、フルオロアルキル基のアミノアルキル基に対するモル比が、1:2〜5:1、好ましくは、2:1〜5:1である、オリゴ−またはポリシロキサンである。とくに好ましくは、フルオロアルキル基のアミノアルキル基に対するモル比が、3:1〜5:1である、オリゴ−またはポリシロキサンである。
【0020】
好ましい、オリゴ−またはポリシロキサンは、C1〜C20、好ましくは、C1〜C10フルオロアルキル基、とくにC2〜C6フルオロアルキル基を含有する。
同様に、C1〜C4−アミノアルキル基を含有する、とくにC1〜C2アミノアルキル基を含有する、オリゴ−またはポリシロキサンも好ましい。
とくに好ましくは、C2〜C6フルオロアルキル基、好ましくは、パーフルオロ基、C1〜C2アミノアルキル基およびアルコキシ基、好ましくは、メトキシまたはエトキシ基を含有するオリゴ−またはポリシロキサンである。
金属酸化物表面に結合するための、好ましいフルオロおよびアミノ基および少なくとも1つのヒドロキシル基を含有するオリゴ−またはポリシロキサンの使用が特に有利である。
【0021】
本発明に必須である有機コーティングの製造のために本発明に必須のシランおよびシロキサンは、たとえば、商品名、Dynasylan(登録商標)で商業的に入手可能である。必要に応じ、特定の用途への顔料特性のさらなる適応を、さらなるシラン、たとえば長鎖アルキルシランまたは官能化シランの添加によって促進することができる。
【0022】
本発明のとくに好ましい態様において、効果顔料は、≦50mN/m、好ましくは、≦20mN/mの表面エネルギーを有する。とくに、≦10mN/mの表面エネルギーを有する効果顔料が好ましい。表面エネルギーは、22〜24℃でKruess DAS 100測定装置を用いて、「液滴」法によって測定液体水、1,2−ジヨードメタン、ベンジルアルコールおよび1,2−ペンタジオールを用いて測定する。、Kruess "DAS 3"、Release 1.7.1、コントロールおよび評価ソフトウェアを用いて5μlの液滴を顔料層に半自動的に置き、液滴および顔料層表面間の接触角を測定する。上記ソフトウェアによるOwens, Wendt, RabelおよびKaelble法によって評価を行う。
【0023】
有機コーティング量は、効果顔料に基づき、0.2〜5重量%、好ましくは、0.5〜2重量%であることができる。
本発明の有機コーティングは、基材の1または2以上の側面に設けてもよい。本発明の有機コーティングは、好ましくは、基材を包む。
【0024】
本発明の効果顔料のために好適な基材は、たとえば、すべての既知のフレーク状基材、好ましくは、透明または半透明フレークである。好適には、たとえば、フィロケイ酸塩、とくに、合成または天然雲母、ガラスフレーク、金属フレーク、SiO
x(x≦2.0、好ましくは、x=2)フレーク、Al
2O
3フレーク、TiO
2フレーク、合成または天然酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、液晶ポリマー(LCPs)、ホログラフィック顔料、BiOClフレークまたは前記フレークの混合物である。金属フレークは、とりわけ、アルミニウム、チタン、ブロンズ、鉄または銀、好ましくは、アルミニウムおよび/またはチタンからなる。金属フレークは、対応する処理によって不動態化されていてもよい。好ましくは、合成または天然雲母フレーク、ガラスフレーク、SiO
2フレークおよびAl
2O
3フレーク、とくに合成または天然雲母フレークおよびガラスフレークが好ましい。本発明の態様では、合成または天然雲母フレークが好ましい。
【0025】
一般的に、フレーク状基材は、0.05〜5μm、とくに0.1〜4.5μmの厚みを有する。ガラスフレークは、好ましくは、≦1μm、とくに≦900nmおよび非常にとくに好ましくは、≦500nmの厚みを有する。基材の大きさは、それ自体は重大ではないが、個別の用途に合わせることができる。粒子サイズは、通常1〜350μm、好ましくは2〜200μm、およびとくに5〜150μmである。一般的に、10〜200μm、好ましくは40〜200μm、とくに10〜130μの粒子サイズを有する粗いフレーク、および1〜60μm、好ましくは5〜60μm、とくに10〜40μの粒子サイズを有する細かいフレークは、両方とも用いることができる。異なる粒子サイズを有するフレークからなる基材混合物もまた、好ましく用いることができる。とくに好ましい基材混合物は、粗いおよび細かいフレーク、とくにS雲母(>125μm)およびF雲母(<25μm)からなる。粒子サイズは、当業者に知られている、市販の装置(たとえば、Malvern, Horibaから)を用いて、紛体または顔料懸濁液のレーザー回折によって測定する。基材は、好ましくは、5〜750、とくに10〜300、およびとくに好ましくは20〜200の形状因子(アスペクト比:直径/厚み比)を有する。さらに、他の基材、たとえば、上記層で被覆してもよい、球状粒子または針状基材の使用もまた可能である。
【0026】
フレーク状基材は、金属酸化物、金属酸化物水和物(metal oxide hydrates)、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物を含む、1または2以上の透明、半透明および/または不透明層で1または2以上の側面が被覆されている。基材は、好ましくは、これらの層で包まれている。
本発明において必須である有機コーティングが施される層は、好ましくは、焼成された金属酸化物層である。
【0027】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物層またはこれらの混合物は、低い屈折率(屈折率<1.8)または高い屈折率(屈折率≧1.8、好ましくは≧2.0)であることができる。好適な金属酸化物および金属酸化物水和物は、当業者に知られているすべての金属酸化物および金属酸化物水和物、たとえば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、とくにルチルまたはアナターゼ変態の二酸化チタン、酸化チタン水和物、およびそれらのたとえば、イルメナイトまたは擬板チタン石(pseudobrookite)などの混合物である。用いることができる金属亜酸化物は、たとえば、亜酸化チタンである。適する金属は、たとえば、クロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金であり、適する金属フッ化物は、たとえば、フッ化マグネシウムである。用いることができる金属窒化物または金属オキシ窒化物は、たとえば、金属チタン、ジルコニウム、および/またはタンタルの窒化物またはオキシ窒化物である。金属酸化物、金属、金属フッ化物および/または金属酸化物水和物層、非常にとくに好ましくは、金属酸化物および/または金属酸化物水和物層が好ましくは、基材に適用される。とくに好ましくは、アルミニウム、ケイ素、鉄、スズおよびチタンの酸化物および/または酸化物水和物であり、とくにルチルまたはアナターゼ変態、好ましくはルチル変態の二酸化チタン、およびこれらの化合物の混合物である。二酸化チタンのルチル変態への転換のために、二酸化スズ層が通常、二酸化チタン層の下に施される。
【0028】
したがって、本発明の効果顔料は、本発明に必須の外側コーティングに存在する二酸化チタンのルチル変態への転換のために、基材および外側コーティング間に二酸化スズ層を含んでもまたよい。さらに、高いおよび低い屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ化物層を含む多層構造もまた存在してもよく、ここで、高いおよび低い屈折率層は、好ましくは、交互に存在する。とくに好ましくは、高い複屈折率層(屈折率≧2.0)および低い屈折率層(屈折率<1.8)を含む層パッケージであり、ここで、これらの層パッケージの1または2以上が、基材に施されてもよい。一連の高いおよび低い屈折率層は、多層構造に基材を含ませるために、ここで、基材に合わせることができる。さらなる態様において、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物層は、着色剤または他の成分と混合またはドープしてもよい。適する着色剤または他の成分は、たとえば、有機または無機の着色顔料、たとえば、着色金属酸化物、たとえば、マグネタイト、酸化クロム、または着色顔料、たとえば、ベルリンブルー、ウルトラマリン、バナジウム酸ビスマス、テナールブルー、あるいは有機着色顔料、たとえば、インディゴ、アゾ顔料、フタロシアニンまたはカーマインレッド、またはたとえば、イットリウムまたはアンチモンなどの成分である。これらの層を含む効果顔料は、それらのマストーン(mass tone)に関連して、高い色変化を表し、多くの場合において、干渉による色の角度依存変化(カラーフロップ)を示すことができる。
【0029】
好ましい態様における、支持体上の外側層は、高屈折率金属酸化物である。この外側層は、さらに上記層パッケージまたは高屈折率支持体の場合、一部であってもよく、たとえば、TiO
2、チタン亜酸化物、Fe
2O
3、SnO
2、ZnO、ZrO
2、Ce
2O
3、CoO、Co
3O
4、V
2O
5、Cr
2O
3および/またはそれらの混合物、たとえば、イルメナイトまたは擬板チタン石からなってもよい。TiO
2がとくに好ましく、とくにルチル変態である。
【0030】
好ましい効果顔料は下側被覆基板の以下の構造(A)、(B)または(C)の構造を有し、ここで、TiO
2/Fe
2O
3は、TiO
2およびFe
2O
3を混合物としてまたは混合酸化物、たとえば、擬板チタン石として、含む層である。丸括弧の酸化物は、任意である。二酸化チタンのルチル変態への転換のために、二酸化スズ層は好ましくは、二酸化チタン層の下側に適用される。
【0031】
(A):
基材フレーク+(SiO
2)+TiO
2(ルチル)
基材フレーク+(SiO
2)+SiO
2+TiO
2(ルチル)
基材フレーク+(SiO
2)+TiO
2(ルチル)+SiO
2+TiO
2(ルチル)
基材フレーク+(SiO
2)+ TiO
2(アナターゼ)+SiO
2+TiO
2(アナターゼ)
基材フレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
基材フレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
【0032】
特に好ましくは、以下の構造を有する効果顔料である。
(B):
雲母+(SnO
2)+TiO
2
雲母+TiO
2/Fe
2O
3
雲母+(SnO
2)+TiO
2+SiO
2+TiO
2
雲母+TiO
2/Fe
2O
3
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
雲母+(SnO
2)+TiO
2+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
雲母+TiFe
2O
5
Al
2O
3フレーク+TiO
2
SiO
2フレーク+TiO
2
ガラスフレーク+TiO
2
ガラスフレーク+SiO
2+TiO
2
ガラスフレーク+SiO
2+TiO
2+SiO
2
ガラスフレーク+TiO
2+SiO
2+TiO
2
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiO
2+SiO
2+TiO
2/Fe
2O
3
ガラスフレーク+(SiO
2)+TiFe
2O
5
【0033】
特に好ましくは、以下の構造を有する効果顔料である。
(C):
雲母+TiO
2
雲母+TiO
2+SiO
2+TiO
2
雲母+TiO
2/Fe
2O
3+SiO
2+TiO
2
雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル)
雲母+(SnO
2)+TiO
2(ルチル)+SiO
2+TiO
2(ルチル)
雲母+TiO
2(アナターゼ)+SiO
2+TiO
2(アナターゼ)
【0034】
金属酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物の層は、好ましくは、湿式化学法によって施され、ここでは、基板を包む、効果顔料の調製のために開発された湿式化学コーティング法を用いることができる。本発明の外側コーティングの湿式化学を施した後、物質は、酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物の形態であってもよい。その後、被覆生成物は、分離、洗浄、乾燥および好ましくは、焼成される。湿式化学を施す間に形成された酸化物、水酸化物および/または酸化物水和物はこれにより対応する酸化物および/または混合酸化物へ変換される。乾燥は、50〜150℃の温度で、通常≧10分、必要であれば、6〜18時間行うことができる。焼成は、250〜1000℃、好ましくは500〜900℃の温度で、通常0.5〜3時間行うことができる。
【0035】
基板上の個々の層の厚さは、当業者に知られているように顔料の光学的特性に必須である。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物層またはその混合物の厚みは、通常10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。とくに20〜200nmの層厚はとくに好適である。金属層の厚みは、好ましくは、4〜50nmである。
【0036】
効果顔料の調製のためのこの種類の方法は、当業者に知られている。上記材料および顔料構造の例および態様は、たとえば、研究発表RD 471001およびRD 472005においてもまた見出すこともできる。この種類の顔料はまた、たとえば、商品名、Iriodin(登録商標)、Pyrisma(登録商標)、Xirallic(登録商標)、Colorstream(登録商標)およびPhoenix(登録商標)で市販されている。
【0037】
本発明に必須の有機コーティングは好ましくは、金属酸化物を含有の、好ましくは、フレーク状基板の焼成コーティングに適用さらえる。
本発明の好ましい態様は、好ましい、とくには、とくに好ましい基板と、好ましい、とくには、とくに好ましい有機コーティングの組み合わせを含む。
【0038】
発明の変形Aが、とくに有利であり、ここでは、基板として、金属酸化物、好ましくはTiO
2で被覆された、天然または合成雲母またはガラスフレークを含む効果顔料に、少なくとも1つのシロキサンを含有する有機コーティングが施されているものである。ここで、有機コーティングは好ましくは、フルオロアルキル基およびアミノアルキル基、とくに対応する好適な基を含有する少なくとも1つの有機官能オリゴ‐またはポリシロキサンでの被覆基板の処理によって、施される。
【0039】
発明の変形Bがとりわけ有利であり、ここで本発明の効果顔料は、被覆基板として、(A)、(B)および(C)で上述された基板、およびフルオロアルキル基およびアミノアルキル基を含有する、少なくとも1つの有機官能オリゴ‐またはポリシロキサンで、被覆基板を処理することによって施された有機コーティングを含む。好適であると記載されたフルオロアルキル、アミノアルキルおよび有機官能基を含有する、有機官能オリゴ‐またはポリシロキサンが、とくに好ましい。
【0040】
≦50mN/m、好ましくは≦20mN/mの表面エネルギーを有する本発明の変形AおよびBの効果顔料が好ましい。とくに、≦10mN/mの表面エネルギーを有する効果顔料、とくに有機コーティングが、効果顔料に基づき、0.2〜5重量%、好ましくは、0.5〜2重量%であるものが好ましい。
【0041】
とくに好ましい本発明の効果顔料は、艶消し金属効果を有する銀−白効果顔料、とくに、好ましい発明の変形AおよびB、とりわけ、好ましいそれらの変形の効果顔料である。本発明の有機コーティング、とくに好ましいそれらの変形は、変形Cの効果顔料のためにとくに有利であることがわかった。
【0042】
本発明は、さらに被覆フレーク状基板を水または水系液体に懸濁し、そして有機コーティングを施すために、シロキサンおよび/またはシランで処理した、本発明の効果顔料の調製のための方法に関し、ここでシロキサンおよびシランは、有機官能基およびフルオロアルキル基および/またはアミノアルキル基を含有する。上記シロキサンおよび/またはシランの使用が好ましい。
【0043】
本発明の好ましいシランは、少なくとも1つの有機官能基およびフルオロアルキル基および/または親水性を含有する。ここでフルオロアルキル基を含有する好適シランは、式Rf(CH
2)
nSiX
3で表されるシランであり、式中、Rfは、直鎖または分枝C1〜C12フルオロアルキル基であり、好ましくは、パーフルオロアルキル基であり、nは、1〜5の整数であり、すべてのXは、同一または異なり、アルコキシ、ハロゲンまたはアルキル基であり、ここですべてのXは、同時にアルキル基ではない。
【0044】
好適なシランは、たとえば、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランおよび以下のシラン:
CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
CF
3(CF
2)
11(CH
2)
2SiCl
3
CF
3(CF
2)
4(CH
2)
2SiCl
3
CF
3(CF
2)
2SiCl
3
CF
3(CF
2)
10(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
CF
3(CF
2)
9(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CF
2)
4(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CF
2)
2(CH
2)
2Si(OC
2H
5)
3
CF
3(CH
2)
2Si(OCH
3)
3
およびその混合物である。好ましくは、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシランおよび1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランである。
【0045】
親水性基を含有する好ましいシランは、アミノ基を含有する、式R(CH
2)
nSiX
3で表されるシランであり、式中、Rは、少なくとも1つのアミノ基を含有する、直鎖または分枝C1〜C12アルキル基であり、nは、1〜5の整数であり、すべてのXは、同一または異なり、アルコキシ、ハロゲンまたはアルキル基であり、ここですべてのXは、同時にアルキル基ではない。好適な、アミノ基を含有するシランは、たとえば:
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランおよびそれらの混合物である。好ましいアミノ基を含有するシランは、たとえば、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0046】
フルオロアルキル基を含有するシランおよび親水性基を含有するシランの使用濃度は、フルオロアルキル基の親水性基に対するモル比が、好ましくは、1:2〜5:1、好ましくは2:1〜5:1、とくに3:1〜5:1であるように決められる。代わりに、対応する比で、フルオロアルキル基および親水性基を含有するシランを用いることもまたできる。
【0047】
好ましいシロキサンは、有機官能基およびフルオロアルキル基およびアミノ基を含有する。1級および2級アミノ基の両方およびフルオロアルキル基、とくに前記の好ましいアミノおよびフルオロ基を含有するシロキサンがとくに好ましい。好ましくは、オリゴシロキサンおよびポリシロキサンである。
【0048】
好ましくは、フルオロアルキル基のアミノアルキル基に対するモル比が、1:2〜5:1、好ましくは2:1〜5:1である、オリゴ−またはポリシロキサンである。とくに好ましくは、フルオロアルキル基のアミノアルキル基に対するモル比が、3:1〜5:1である、オリゴ−またはポリシロキサンである。
【0049】
好ましい、オリゴ−またはポリシロキサンは、C1〜C20、好ましくはC1〜C10フルオロアルキル基、とくにC2〜C6フルオロアルキル基を含有する。
同様に、C1〜C4−アミノアルキル基、とくにC1〜C2アミノアルキル基を含有する、オリゴ−またはポリシロキサンも同様に好ましい。
とくに好ましくは、C2〜C6フルオロアルキル基、好ましくはパーフルオロ基、C1〜C2アミノアルキル基およびアルコキシ基、好ましくは、メトキシまたはエトキシ基を含有するオリゴ−またはポリシロキサンである。
金属酸化物表面に結合するための、好適なフルオロおよびアミノ基および少なくとも1つのヒドロキシル基を含有するオリゴ−またはポリシロキサンの使用が特に有利である。
【0050】
本発明に必須である有機コーティングの製造のための本発明に必須のシランおよびシロキサンは、たとえば、商品名、Dynasylan(登録商標)で商業的に入手可能である。必要に応じ、特定の用途への顔料特性のさらなる適応を、さらなるシラン、たとえば長鎖アルキルシランまたは官能化シランの添加によって促進することができる。
【0051】
シロキサンおよび/またはシランは、60℃よりも上の温度、好ましくは、70℃よりも上の温度で溶液中に適用される。好適案溶媒は、有機溶媒、水またはその混合物であり、好ましくは、水が用いられる。有機コーティングを施すのに必要な反応時間は、少なくとも5分であり、好ましくは、10〜90分の間にわたって行われ、必要により延長することもまたできる。得られた顔料は、精製され、当業者に通例の方法、たとえば、ろ過、乾燥およびふるい分けによって分離する。
【0052】
当業者に知られている無機ポストコーティングの1つ、たとえばジルコニウム、セリウム、アルミニウム、ケイ素および/またはチタンの酸化物および/または酸化物水和物またはそれらの混合酸化物を含むポストコーティングを、本発明の有機コーティング、を施す前に被覆無機基板に必要に応じ、施してもよい。
【0053】
色および機能特性のために、本発明の効果顔料は、多数の用途に用いることができる。可能な用途およびこれらの効果顔料の色効果は、本発明の表面修飾によって大きく拡大される。新規な表面修飾を有する効果顔料は、塗料、コーティング、とくに自動車塗料、工業的コーティング、パウダーコーティング、印刷インク、セキュリティー用途、化粧品処方、プラスチック、セラミック材料、ガラス、紙、電子写真印刷プロセスのためのトナー、種子、温室シートおよび防水シート、紙およびプラスチックのレーザーマーキングにおける吸収体として、プラスチックのレーザー溶接におけるおよび化粧品処方における吸収体用いることができる。
【0054】
とくに、本発明の効果顔料のコーティング、とくに自動車塗料における使用、およびプラスチックにおける使用が好ましい。さらに、本発明の顔料はまた、水、有機および/または水性溶媒を有する顔料ペースト、顔料調製物の調製のためおよび乾燥調製物、たとえば、顆粒、チップ、ペレット、ブリケットなどの調製のために好適である。顔料は、当業者に知られているあらゆる方法によってそれぞれのアプリケーションメディアに組み込むことができる。
パウダーコーティング、自動車塗料および屋外用途のためのコーティングがとくに好ましく、これは風化安定性を増強することが、とくにこれらの用途において特に好ましいためである。
【0055】
本発明による粒子は、とくに好ましくは、パウダーコーティングに用いられる。ポリエステルパウダーコーティング、エポキシドパウダーコーティング、ポリエステル/エポキシドパウダーコーティング、アクリレートパウダーコーティングおよびこれらのパウダーコーティングの混合が好ましい。高い輝度(明るさ)、高い有向散乱および/またはマットを有するパウダーコーティングが、とくに好ましくは、本発明の効果顔料によって達成することができる。パウダーコーティングは、本質的にプラスチックパウダーおよび顔料のみからなり、溶媒を含まず、パウダーコーティング操作の間の溶媒放出または塗料スラッジも発生せず、このコーティング方法は、とくに環境に優しい。
【0056】
本発明の態様では、本発明の効果顔料は、たとえば、いわゆるドライブレンドにおける、パウダーコーティングを有する混合物に用いられる。この場合、本発明の粒子は、ドライブレンドの全重量に基づき、≦10重量%の濃度で用いることができる。本発明の粒子は、ドライブレンドの全重量に基づき、好ましくは、2〜8重量%の濃度で用いる。しかし、10重量%までの使用もまた可能である。
【0057】
本発明のパウダーコーティングの製造は、実施が簡便で容易である。本発明の粒子を、パウダーコーティングと混合し、たとえば、パドルまたはタンブルミキサーを用いて混合する。パウダーコーティングベース材料を保護ガスとしての窒素下で軟化点直下の温度まで温め、そして顔料を添加し、混合操作の後、この方法によって生成されたパウダーコーティングを冷却する、いわゆる結合方法もまた適している。この方法は、パウダーコーティング粒子に効果顔料が結合し、その結果、コーティング操作中の顔料/パウダーコーティング分離がもはや起こらない。この方法は、重ね塗りをたやすく再利用することができる利点を有する。得られたパウダーコーティングは、循環安定(circulation-stable)であり、すなわち、コーティング操作中の分離が起こらない。本発明のパウダーコーティングを被覆される材料に適用する際、材料表面を均一なパウダーコーティング層によって完全に被覆するように実施する。
【0058】
本発明のパウダーコーティングは、あらゆる所望の材料、たとえば、鉄、スチール、アルミニウム、銅、ブロンズ、真ちゅうおよび金属ホイル、ならびにガラス、セラミックおよびコンクリートなどの導電修飾表面、ならびに木、ガラス、セラミック、プラスチック、無機建築材料などの非導電性材料または修飾および/保護目的の他の材料にもまた適用することができる。
【0059】
本発明はさらに、本発明の効果顔料のパウダーコーティングにおける使用またはこれらの効果顔料を含むパウダーコーティングに関する。好ましい効果顔料、とくに好ましい発明の変形AおよびB、とりわけそれらの好ましい変形の効果顔料を、有利に使用することができる。本発明の効果顔料の特に有利なことは、高い輝度(明るさ)、高い有向散乱および/またはマットを有するパウダーコーティングを実現することに用いることができことである。かかるコーティングは、とくに発明の変形AおよびB、とくにそれらの好ましい変形によって達成することができる。
【0060】
本発明の粒子はまた、充填剤および/または有機色素および/または顔料、たとえば、透明および不透明な白、着色および黒顔料などとの、およびフレーク状酸化鉄、有機顔料、ホログラフィック顔料、LCP(液晶ポリマー)および従来の、雲母、ガラス、Fe
2O
3、SiO
2などをベースにする、金属酸化物被覆フレークに基づく透明、着色および黒光沢顔料との混合物において用いることができる。本発明の粒子は、市販の顔料および充填剤に任意の比率で混合することもできる。
【0061】
名前をあげることのできる充填剤は、たとえば、天然および合成雲母、ナイロンパウダー、純粋または充填メラミン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウム、カルシウム、亜鉛、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、およびこれらの物質の物理的または化学的組合せである。充填剤の粒子形状に関する制限はない。これらの要件に基づき、たとえば、フレーク状、球状または針状であることができる。
【0062】
すべての引用した出願および刊行物の完全な開示内容は、参照によってこの出願に組み込まれる。本発明のために、用語の複数形および単数形の両方もまた、他に明示的に指示がされていなければ、それぞれ他の形もまた意味する。本発明のすべての特徴は、ある特徴を互いに排他することなく、任意の方法によって互いに組み合わせることができる。これはとくに、好適およびとくに好適な特徴にあてはまる。発明のさらなる特徴、利点および変形もまたクレームおよび例から生じる。以下の例は、本発明の保護範囲を限定することなく、本発明を詳細に説明する。
【0063】
実施例
例1
1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)F 8261, Evonik)5gを200gのイソプロパノールと混合する。20gの水および10gの氷酢酸を添加した後、透明な液体が形成されるまで(>3時間)混合物を撹拌する。これを1000gのIriodin(登録商標)103(Merck)と加熱可能なミキサー中で混合する。40分後、100mlのイソプロパノールおよび5gの水中の2gのDynasylan(登録商標)AMEO(アミノプロピルトリエトキシシラン、Evonik)の混合物を10分にわたって添加し、バッチをさらに30分間混合し、バッチを120℃で加熱することによって乾燥し、63μmメッシュ幅でふるい分ける。
【0064】
例2
Pyrisma(登録商標)M30-58 Color Space Mass-Tone Orange (Merck)100gを1lの水中に懸濁し、撹拌しながら60℃まで加熱した。pH4に酢酸を用いて設定し、10分にわたってDynasylan(登録商標)F8815 (Evonik)3.5gを滴下添加する。アンモニア溶液を用いて20分にわたってpH8に設定し、混合物をさらに30分間、撹拌する。ろ過の後、生成物を120℃で水から遊離させ、40μmメッシュ幅でふるい分ける。
【0065】
例3
1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)F 8261)0.5gを50gのイソプロパノールと混合する。2gの水および1gの氷酢酸を添加した後、透明な液体が形成されるまで(>3時間)混合物を撹拌する。これを水1l中の100gのIriodin(登録商標) 307 Star Gold(Merck)へ40℃で計量添加し、酢酸を用いて、pH4に調整する。0.05gのDynasylan(登録商標)DAMO (N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン, Evonik)を続けてゆっくり滴下添加し、バッチをさらに30分間、60℃で撹拌する。ろ過、および120℃での乾燥後、生成物を40μmメッシュ幅でふるい分ける。
【0066】
例4
1000のIriodin(登録商標)4504 Lava Red(Merck)を、加熱可能なミキサーにおいて100gの水を用いて、予め濡らした。35gのDynasylan(登録商標)F8815 (Evonik)を、続けて100gの2.5%のアンモニア溶液を添加する。バッチを30分間、60℃で混合し、120℃で水から遊離する。生成物を続けて63μmメッシュ幅でふるい分ける。
【0067】
比較例5
1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(たとえばDynasylan(登録商標)F 8261)5gを200gのイソプロパノールと混合する。20gの水および10gの氷酢酸を添加した後、透明な液体が形成するまで(>3時間)混合物を撹拌する。これを1000gのIriodin(登録商標)103(Merck)と加熱可能なミキサー中で混合する。バッチをさらに30分、混合し、120℃で加熱することによって乾燥し、63μmメッシュ幅でふるい分ける。
【0068】
例6
例1〜5にしたがって調製した顔料および処理してしない顔料の表面エネルギーを測定液体水、1,2−ジヨードメタン、ベンジルアルコールおよび1,2−ペンタンジオールを用いて、およびKruess DAS 100測定装置を用いて22〜24℃で、「液滴」法によって測定する。Kruess "DAS 3"、Release 1.7.1、コントロールおよび評価ソフトウェアによって、顔料層上に5μl液滴を半自動的に置き、液滴および顔料層間の接触角を測定する。評価をOwens, Wendt, RabelおよびKaelble法によって上記ソフトウェアによって行う。測定データを表1にまとめる。
【0069】
【表1】
【0070】
例7〜15
例1〜5にしたがって調製した顔料、および比較として処理されていない顔料を市販の黒のパウダーコーティング(Tiger Drylac Series 59高い光沢)中に5%の濃度で、アルミニウムシートに静電的に被覆し、200℃で10分間焼成する。ドライブレンドおよび結合方法によって被覆を行う。コーティングの厚さは、70〜90μmである。コーティングの耐摩耗性を綿クロス(100ストローク)でラビングすることにより定性的に測定する。パウダーコーティングの発光および有向散乱を色度計(BykGardnerからのBykMac)によって測定し、光沢をマイクロ-TRI-グロス光沢計(BykGardner)によって測定する。
【0071】
有向散乱を測定角度θ15°、25°、45°、75°および110°の発光から測定した。
【数1】
式中、パラメーターα、βおよびγは、測定角θ=15°、25°、45°、75°および110°による最少二乗法によって決定する。ここで、商β/αは、垂直方向(θ=0°)での有向散乱を示す。測定結果を表2にまとめる。
【0072】
【表2】
【0073】
例1〜4にしたがって調製された顔料または基本的な顔料を含む、表2に示されたすべてのパネルは、良好〜非常に良好な耐摩耗性を有する。これに対して、比較例5からの顔料のかなりの割合は、ドライブレンドだけでなく結合方法で被覆されたパネルから数ストロークではがれ落ちる。
【0074】
ドライブレンド適用で本発明によって調製したすべての顔料が、非常に減少した光沢(gloss 20°)と同時に、非常に増加した発光(L*15°)および有向分散(β/α)を有することが表2から明らかである。視覚的には、これは、新規な艶消し金属効果から明らかである。例1の場合(銀白色効果顔料)、効果は、結合方法の使用時にもまた維持され、一方で明白なマストーンを有する効果顔料の場合(例2〜4)、艶消しのみが実質的に保持される。これらの効果はまた、より小さくおよびより大きなパウダーコーティング層厚の場合においても見ることができる。