【文献】
“第38節 モスアイ構造フィルムの反射防止効果とタッチパネルへの応用”,スマートフォン・タッチパネル部材の最新技術便覧,株式会社技術情報協会,2013年 6月28日,第1版,p.234-238
【文献】
“第41節 ナノインプリントによる反射防止構造の作製とタッチパネル・スマートフォンへの応用”,スマートフォン・タッチパネル部材の最新技術便覧,株式会社技術情報協会,2013年 6月28日,第1版,p.247-252
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記錐状突起群の反転形状を有する電鋳型を製造し、この電鋳型を用い透明基板用樹脂フィルム素材をナノインプリント法若しくはキャスティング法により成型加工して、上記錐状突起群により構成される反射防止構造体部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電極基板フィルム。
上記金属製細線が、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電極基板フィルム。
上記金属製細線で構成される回路パターンの表面に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜が設けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の電極基板フィルム。
法線と入射光線とのなす角度と定義される入射角が0°〜40°の範囲において、反射防止膜構造体部が形成されない場合と比較して、可視波長領域の分光反射率が1/2以下に低減していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極基板フィルム。
樹脂フィルムから成る透明基板と、該透明基板の少なくとも片面に設けられかつ金属製細線から成るメッシュ構造の回路パターンを具備する電極基板フィルムの製造方法において、
上記樹脂フィルムの少なくとも片面に、複数の錐状突起がサブミクロンピッチでマトリックス状に配置された錐状突起群により構成される反射防止構造体部を形成し、かつ、上記反射防止構造体部上に線幅20μm以下の金属製細線で構成される回路パターンを形成すると共に、上記反射防止構造体部と回路パターンを構成する金属製細線との間に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜を設けることを特徴とする電極基板フィルムの製造方法。
上記錐状突起群の反転形状を有する電鋳型を製造し、この電鋳型を用い透明基板用樹脂フィルム素材をナノインプリント法若しくはキャスティング法により成型加工して、上記錐状突起群により構成される反射防止構造体部を形成することを特徴とする請求項6に記載の電極基板フィルムの製造方法。
上記金属製細線が、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金で構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の電極基板フィルムの製造方法。
上記金属製細線で構成される回路パターンの表面に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜を設けることを特徴とする請求項6または8に記載の電極基板フィルムの製造方法。
法線と入射光線とのなす角度と定義される入射角が0°〜40°の範囲において、反射防止膜構造体部が形成されない場合と比較して、可視波長領域の分光反射率を1/2以下に低減させることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の電極基板フィルムの製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、入力装置として「キーボード」が利用され、「キーボード」のキーを人間が操作することで数値や文字を機器に入力していた。
【0003】
しかし、近年、スマートフォン等の携帯電話や携帯電子文書機器、自動販売機、カーナビゲーション、コンビニエンスストアのレジスター等において、人間−マシンインターフェースとしての「タッチパネル」が普及し始めている。
【0004】
上記「タッチパネル」には、大きく分けて抵抗型と静電容量型が存在する。「抵抗型のタッチパネル」は、樹脂フィルムから成る透明基板と、基板上に設けられたX座標(またはY座標)検知電極シート並びにY座標(またはX座標)検知電極シートと、これ等シートの間に設けられた絶縁体スペーサーとで主要部が構成されている。そして、上記X座標検知電極シートとY座標検知電極シートは空間的に隔たっているが、ペン等で押さえられたときに両座標検知電極シートは電気的に接触してペンの触った位置(X座標、Y座標)が判るようになっており、ペンを移動させればその都度座標を認識して、最終的に文字の入力が行なえる仕組みとなっている。他方、「静電容量型のタッチパネル」は、絶縁シートを介してX座標(またはY座標)検知電極シートとY座標(またはX座標)検知電極シートが積層され、これ等の上にガラス等の絶縁体が配置された構造を有している。そして、ガラス等の上記絶縁体に指を近づけたとき、その近傍のX座標検知電極、Y座標検知電極の電気容量が変化するため、位置検知を行なえる仕組みとなっている。
【0005】
そして、電極等の回路パターンを構成する導電性材料として、従来、ITO(酸化インジウム−酸化錫)等の透明導電膜が広く用いられていた(特許文献1参照)。また、近年のタッチパネルの大型化に伴い、特許文献2や特許文献3等に開示されたメッシュ構造の金属製細線も使用され始めている。
【0006】
ところで、上記透明導電膜と金属製細線を較べた場合、透明導電膜は、可視波長領域における透過性に優れるため電極等の回路パターンが殆ど視認されない利点を有するが、金属製細線より電気抵抗値が高いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化には不向きな欠点を有する。他方、金属製細線は、電気抵抗値が低いためタッチパネルの大型化や応答速度の高速化に向いているが、可視波長領域における反射率が高いため、例え微細なメッシュ構造に加工されたとしても高輝度照明下において回路パターンが視認されることがあり、製品価値を低下させてしまう欠点を有する。
【0007】
尚、上記金属製細線の可視波長領域における反射率を低減させるため、透明基板と金属製細線との間に反射防止機能を有する吸収型多層膜(例えば、酸化物誘電体膜層と金属吸収膜層から成る吸収型多層膜)を設ける方法が検討されている。しかし、吸収型多層膜においては、吸収型多層膜に入射される光の入射角度が大きくなると反射防止機能が小さくなるため、視認性の問題を回避する方法として未だ十分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、高輝度照明下においても電極等の回路パターンが視認され難く、更に、入射光の入射角度が大きくなっても電極等の回路パターンが視認され難い電極基板フィルムとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明者は、反射防止に関する従来技術について鋭意調査した結果、特許文献4に記載された方法を発見するに至った。
【0011】
すなわち、この方法は、マトリックス状に配置して成る錐状突起群(
図1A参照)で構成された反射防止構造体部を光学部品の表面に設けるという方法であった。
【0012】
そして、可視波長域用の反射防止構造体部であれば、錐状突起群がサブミクロンのピッチでマトリックス状に配置されており、入射光の波長よりピッチの小さい反射防止構造体部においては、
図1(B)に示すように屈折率が媒質(空気)から基板まで連続的に変化している物質として考えることができ、反射防止の機能を有している。
【0013】
そこで、本発明者は、レンズ素子、プリズム素子、ミラー素子、レンズ鏡筒等に用いられている特許文献4の反射防止構造体部について、特許文献4に記載されていない電極基板フィルムへの適用を試みたところ、電極等回路パターンからの反射に関する問題が回避できることを見出すに至り、更に、反射に関する問題が回避できることから電極等の回路パターンを構成する金属製細線の線幅を従来幅より大きく設定できることを発見するに至った。本発明はこのような技術的検討と発見に基づき完成されている。
【0014】
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と、該透明基板の少なくとも片面に設けられかつ金属製細線から成るメッシュ構造の回路パターンを具備する電極基板フィルムにおいて、
複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置した錐状突起群により構成される反射防止構造体部が上記透明基板の少なくとも片面に設けられ、かつ、上記反射防止構造体部上に線幅20μm以下の金属製細線で構成される回路パターンが設けられている
と共に、上記反射防止構造体部と回路パターンを構成する金属製細線との間に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜が設けられていることを特徴とし、
第2の発明は、
第1の発明に記載された電極基板フィルムにおいて、
上記錐状突起群の反転形状を有する電鋳型を製造し、この電鋳型を用い透明基板用樹脂フィルム素材をナノインプリント法若しくはキャスティング法により成型加工して、上記錐状突起群により構成される反射防止構造体部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載された電極基板フィルムにおいて、
上記金属製細線が、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金で構成されていることを特徴とし、
第
4の発明は、
第
1の発明または第
3の発明に記載された電極基板フィルムにおいて、
上記金属製細線で構成される回路パターンの表面に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜が設けられていることを特徴とし、
第
5の発明は、
第1の発明〜第
4の発明のいずれかに記載された電極基板フィルムにおいて、
法線と入射光線とのなす角度と定義される入射角が0°〜40°の範囲において、反射防止膜構造体部が形成されない場合と比較して、可視波長領域の分光反射率が1/2以下に低減していることを特徴とするものである。
【0016】
次に、第
6の発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と、該透明基板の少なくとも片面に設けられかつ金属製細線から成るメッシュ構造の回路パターンを具備する電極基板フィルムの製造方法において、
上記樹脂フィルムの少なくとも片面に、複数の錐状突起がサブミクロンピッチでマトリックス状に配置された錐状突起群により構成される反射防止構造体部を形成し、かつ、上記反射防止構造体部上に線幅20μm以下の金属製細線で構成される回路パターンを形成する
と共に、上記反射防止構造体部と回路パターンを構成する金属製細線との間に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜を設けることを特徴とし、
第
7の発明は、
第
6の発明に記載された電極基板フィルムの製造方法において、
上記錐状突起群の反転形状を有する電鋳型を製造し、この電鋳型を用い透明基板用樹脂フィルム素材をナノインプリント法若しくはキャスティング法により成型加工して、上記錐状突起群により構成される反射防止構造体部を形成することを特徴とする。
【0017】
また、第
8の発明は、
第
6の発明または第
7の発明に記載された電極基板フィルムの製造方法において、
上記金属製細線が、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金で構成されていることを特徴とし、
第
9の発明は、
第
6の発明または第
8の発明に記載された電極基板フィルムの製造方法において、
上記金属製細線で構成される回路パターンの表面に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜を設けることを特徴とし、
第
10の発明は、
第
6の発明〜第
9の発明のいずれかに記載された電極基板フィルムの製造方法において、
法線と入射光線とのなす角度と定義される入射角が0°〜40°の範囲において、反射防止膜構造体部が形成されない場合と比較して、可視波長領域の分光反射率を1/2以下に低減させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電極基板フィルムは、複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置した錐状突起群により構成される反射防止構造体部が上記透明基板の少なくとも片面に設けられ、かつ、上記反射防止構造体部上に線幅20μm以下の金属製細線で構成される回路パターンが設けられていることを特徴としている。
【0019】
そして、複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置した錐状突起群により構成される反射防止構造体部が樹脂フィルムから成る透明基板の少なくとも片面に設けられているため、反射防止構造体部上に設けられた電極等の回路パターンが高輝度照明下においても視認され難い電極基板フィルムを提供でき、また、反射防止構造体部は入射光の入射角度が大きくなってもその反射防止効果が小さくならないため、分光反射特性の入射角依存性が小さい電極基板フィルムを提供でき、更に、電極等の回路パターンが反射防止構造体部上に設けられることから、従来と比較して線幅が大きい金属製細線を適用できるため電気抵抗値の低い電極基板フィルムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
従来、携帯電話、携帯電子文書機器、カーナビゲーション等のフラットパネルディスプレイ(FPD)表面に設置される「タッチパネル」において、金属製細線により構成された電極等の回路パターンは肉眼で視認され難い細さに設定されているが、金属製細線は反射率が高いため、上述したように高輝度照明下において僅かに視認されてしまうことがある。これは、媒質(空気)と金属製細線との界面、樹脂フィルムから成る透明基板と金属製細線との界面における屈折率差による「フレネル反射」に起因している。
【0023】
上記金属製細線からの反射を低減するには、上述したように、酸化物誘電体膜層と組み合わせて反射防止膜を構成すれば可能であるが、金属製細線から成る電極等の回路パターンはエッチングよって加工するため、酸化物誘電体膜層との組み合わせは好ましくなく、更に、上記酸化物誘電体膜層との組み合わせから成る反射防止膜においては、上述したように、反射防止膜に入射される光の入射角度が大きくなると反射防止機能が低下する欠点も有している。
【0024】
そこで、本発明者は、上述したように反射防止に関する従来技術について鋭意調査した結果、マトリックス状に配置して成る錐状突起群で構成された反射防止構造体部を光学部品の表面に設ける特許文献4に記載の方法に着目し、かつ、特許文献4に記載されていない電極基板フィルムへの適用を試みて本発明を完成するに至っている。
【0025】
錐状突起群で構成された上記反射防止構造体部は、酸化物誘電体膜層との組み合わせによる干渉効果を応用した上記反射防止膜(光学薄膜)とは異なり、構成材料だけで(すなわち、樹脂フィルムから成る透明基板だけで)反射防止構造体部を形成することができ、物質界面の屈折率差を徐々に変化させることで反射を低減するという特徴を有している。
【0026】
すなわち、本発明は、
樹脂フィルムから成る透明基板と、該透明基板の少なくとも片面に設けられかつ金属製細線から成るメッシュ構造の回路パターンを具備する電極基板フィルムにおいて、
複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置した錐状突起群により構成される反射防止構造体部が上記透明基板の少なくとも片面に設けられ、かつ、上記反射防止構造体部上に線幅20μm以下の金属製細線で構成される回路パターンが設けられている
と共に、上記反射防止構造体部と回路パターンを構成する金属製細線との間に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
(1)錐状突起群により構成される反射防止構造体部
錐状突起群により構成される本発明に係る反射防止構造体部は、上述したように特許文献4に記載された方法により形成することができる。
【0028】
すなわち、原盤材料表面に触媒機能を持った核形成を行う工程と、形成された核の上に結晶を成長させて針状結晶を形成する工程と、針状結晶が形成された原盤材料を用いて電鋳型を形成する工程と、得られた電鋳型を用いて成形用素材に錐状突起群を形成する工程の各工程を有する方法により本発明に係る反射防止構造体部を形成することができる。
【0029】
触媒機能を持った核形成を行う上記工程としては、原盤材料である単結晶シリコンウェハ基板の表面に触媒機能を持った核としてCrの島状結晶を形成する工程、あるいは、原盤材料である石英ガラス基板の表面に触媒機能を持った核としてPdの島状結晶を形成する工程等が例示される。
【0030】
また、形成された核の上に結晶を成長させて針状結晶を形成する上記工程としては、化学蒸着法、気相エピタキシー法、分子線エピタキシー法、無電解メッキ法の内から選択されるいずれかの方法により、上記核の上に、炭素、珪素、窒化珪素、二酸化珪素、窒化硼素、金属の中から選択される少なくとも一種類を含む結晶を成長させて針状結晶を形成する工程が例示される。
【0031】
次に、針状結晶が形成された原盤材料を用いて電鋳型を形成する上記工程としては、珪素の針状結晶が形成された単結晶シリコンウェハ基板の表面をPdにより活性化処理し、無電解Ni−Pメッキ溶液に浸漬して針状結晶表面にNi−Pメッキ層を形成した後、スルファミン酸Niメッキ液中で電気メッキを行うことにより電鋳型を得、得られた電鋳型と単結晶シリコンウェハ基板とを離型することにより上記針状結晶の反転形状を有する電鋳型を得る工程が例示される。
【0032】
そして、得られた電鋳型を用いて成形用素材(透明基板用樹脂フィルム素材)に錐状突起群を形成する上記工程としては、射出成形法、プレス成形法、および、熱ナノインプリント法により透明基板用樹脂フィルム素材の少なくとも一方の面に錐状突起群を形成する工程が例示される。
【0033】
尚、熱ナノインプリント法以外にも、UVナノインプリント法あるいはキャスティング法により形成することも可能であり、また、熱ナノインプリント法の一部として考えられるロールトゥロールプロセスで処理するロールエンボス加工も可能である。
【0034】
(2)樹脂フィルム
本発明に係る電極基板フィルムに用いられる透明基板用樹脂フィルム素材の材質としては、特に限定されることはなく、その具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン(PO)、トリアセチルセルロース(TAC)およびノルボルネンの樹脂材料から選択された樹脂フィルムの単体、あるいは、上記樹脂材料から選択された樹脂フィルム単体とこの単体の片面または両面を覆うアクリル系有機膜との複合体が挙げられる。特に、ノルボルネン樹脂材料については、代表的なものとして、日本ゼオン社のゼオノア(商品名)やJSR社のアートン(商品名)等が挙げられる。
【0035】
但し、上述した熱ナノインプリントを行う場合、樹脂フィルムの粘度、ガラス転移温度等の諸特性から、最適なモールド圧力、モールド温度等を決定する必要がある。
【0036】
本発明に係る電極基板フィルムは「タッチパネル」として使用するため、上記透明基板用樹脂フィルム素材の中でも可視波長領域での透明性に優れるものが望ましい。
【0037】
(3)金属製細線
電極等の回路パターンを構成する金属製細線としては、Cu単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Agより選ばれる1種以上の元素が添加されたCu系合金、または、Ag単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたAg系合金から成る細線が好ましい。特に、Cu単体が、回路パターンの加工性や抵抗値の観点から望ましい。また、上記反射防止構造体部上に設けられる金属製細線の線幅は20μm以下であり、望ましくは10μm以下、更に望ましくは5μm以下である。金属製細線の線幅が細くなると目視での視認が困難になり、特に、線幅10μm以下ならば視認し難くなる。また、金属製細線の線幅はエッチング等により現実に加工可能な線幅であればよく、1μm以上ならばエッチング等による加工が可能である。また、金属製細線の厚さについては、金属製細線の加工性と導電性(抵抗値)を考慮して適宜設定すればよく、加工性からすれば厚さ2000nm以下である。
【0038】
尚、反射防止構造体部上に設けられる金属製細線の内、「タッチパネル」操作者側の面には後述する可視光吸収膜(黒色層)を備えることが望ましい。
【0039】
次に、樹脂フィルムから成る透明基板の少なくとも片面に形成された反射防止構造体部上に電極等の回路パターンを構成する金属製細線を設けるには、真空蒸着法、イオンビームスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜法により反射防止構造体部の表面に金属膜を成膜し、成膜された金属膜を化学エッチングにより細線状に加工すればよい。後述する可視光吸収膜(黒色層)も化学エッチングにより細線状に加工される。金属膜の化学エッチングには、金属膜がCuの場合、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液を用い、過マンガン酸塩水溶液を併用してもよい。
【0040】
(4)可視光吸収膜(黒色層)
電極基板フィルムに入射された可視波長域の光を吸収する膜が本発明に係る可視光吸収膜(黒色層)である。
【0041】
そして、この可視光吸収膜(黒色層)は、樹脂フィルムから成る透明基板の少なくとも片面に形成された反射防止構造体部と該反射防止構造体部上に設けられた回路パターンを構成する金属製細線との間
に設けられることを要し、反射防止構造体部上に設けられる金属製細線で構成される回路パターンの表面に設けられることが
更に好ましい。
【0042】
また、上記透明基板の両面に反射防止構造体部が形成されかつ各反射防止構造体部上にそれぞれ回路パターンを構成する金属製細線が設けられている場合、各反射防止構造体部と金属製細線との間
に上記可視光吸収膜(黒色層)が設けられることを要し、各反射防止構造体部上に設けられる金属製細線で構成される回路パターンの表面に可視光吸収膜(黒色層)を設けることが
更に好ましい。
【0043】
尚、上記透明基板の片面に反射防止構造体部が形成されかつ反射防止構造体部上に回路パターンを構成する金属製細線が設けられている場合、反射防止構造体部が形成されていない透明基板のもう一方の片面側にも可視光吸収膜(黒色層)を設けることが好ましい。
【0044】
次に、可視光吸収膜(黒色層)を構成する材料としては、可視波長域の光を吸収する材料であれば任意であり、Cr単体、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、Ni単体、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金等が例示される。
【0045】
また、可視光吸収膜(黒色層)を形成するには、真空蒸着法、イオンビームスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜法を用いて可視光吸収膜(黒色層)用皮膜を形成し、回路パターンを構成する金属製細線上に設ける場合には上述したように化学エッチングにより細線状に加工すればよい。尚、上記錐状突起群により構成される反射防止構造体部上に可視光吸収膜(黒色層)を設ける場合、化学蒸着法の一つで単原子層ずつ積層する原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)が特に優れている。
【0046】
また、細線状に加工される可視光吸収膜(黒色層)は、膜材料の添加物や不純物、成膜時の残留ガス、透明基板を構成する樹脂フィルムからの放出ガス、成膜速度等によって、屈折率や吸収係数等の特性が大きく異なることがある。このため、これ等条件を適宜選択して、電極基板フィルムが所望の特性となるように設定することを要する。
【0047】
次に、透明基板の片面に反射防止構造体部が形成されかつ反射防止構造体部上に回路パターンを構成する金属製細線が設けられている場合で、反射防止構造体部が形成されていない透明基板のもう一方の片面側に可視光吸収膜(黒色層)を設ける場合には、可視光吸収膜(黒色層)が設けられる前の樹脂フィルム(透明基板)に対し、プラズマ処理あるいはイオンビーム処理を施して、樹脂フィルムの波長400nmにおける透過率が処理前と較べ1.0%以上減衰するように事前調整することが好ましい。このような事前調整が施されることにより分光透過特性の平坦性を改善できることがあり、更に、プラズマ処理あるいはイオンビーム処理によって可視光吸収膜(黒色層)と樹脂フィルム(透明基板)との密着性が向上するため、電極基板フィルムが高温高湿環境下に晒された場合に可視光吸収膜(黒色層)のヒビ割れ等も防止できる利点を有する。
【0048】
(5)電極基板フィルム
本発明に係る電極基板フィルムは、複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置した錐状突起群により構成される反射防止構造体部が樹脂フィルムから成る透明基板の少なくとも片面に設けられ、かつ、上記反射防止構造体部上に線幅20μm以下の金属製細線で構成される回路パターンが設けられている
と共に、上記反射防止構造体部と回路パターンを構成する金属製細線との間に、Cr単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Ni、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたCr系合金、または、Ni単体、若しくは、Ti、Al、V、W、Ta、Si、Cr、Cuより選ばれる1種以上の元素が添加されたNi系合金から成る可視光吸収膜が設けられていることを特徴とするものである。
【0049】
そして、複数の錐状突起をサブミクロンピッチでマトリックス状に配置した
図1(A)に示す錐状突起群により反射防止構造体部が構成される場合、
図1(B)に示すように屈折率が媒質(空気)から透明基板まで連続的に変化している物質として考えることができるため反射防止の機能を有する。
【0050】
このため、
図2に示すように錐状突起群により構成された反射防止構造体部上に電極等の回路パターンを構成する金属製細線(可視波長領域の光を反射する金属製細線)が設けられた場合、反射防止の機能を有する。
【0051】
尚、上記金属製細線を樹脂フィルムから成る透明基板の片面側に設ける場合、反射防止構造体部は金属製細線が設けられる透明基板の片面側のみでなく、金属製細線が形成されない透明基板のもう一方の片面側にも反射防止構造体部を有していた方が、樹脂フィルム(透明基板)のフレネル反射を低減できるので望ましい。もし、金属製細線が形成されない透明基板のもう一方の片面側に反射防止構造体部を有しない場合には、上述した誘電体多層膜による反射防止膜を形成すればよい。更に、本発明に係る電極基板フィルムが空気中以外の媒質中(たとえば接着剤)で使用される場合、上記誘電体多層膜は媒質の屈折率を考慮した膜構造設計を行うことを要する。また、上述したように、樹脂フィルムから成る透明基板に設けられた反射防止構造体部と該反射防止構造体部上に設けられる回路パターンを構成する金属製細線との間に可視光吸収膜(黒色層)が設けられている場合、電極基板フィルムに入射された可視波長域の光が吸収される利点に加えて、透明基板を構成する樹脂フィルムへの金属製細線の密着性が高められる利点も有する。
【0052】
そして、樹脂フィルムから成る透明基板の片面側にのみ金属製細線で構成される回路パターンが設けられた電極基板フィルム(但し、錐状突起群で構成される反射防止構造体部が透明基板の片面側若しくは両面に設けられている)は、二組の電極基板フィルムを適用して上記「抵抗型のタッチパネル」に利用することができる。
【0053】
また、樹脂フィルムから成る透明基板の両面側に金属製細線で構成される回路パターンが設けられた電極基板フィルム(但し、錐状突起群で構成される反射防止構造体部が
図3に示すように透明基板の両面に設けられている)は、一組の電極基板フィルムを適用して上記「静電容量型のタッチパネル」に利用することができる。
【0054】
尚、
図3に示した電極基板フィルムは、透明基板の両面に設けられた金属製細線(回路パターン)が可視光吸収膜(黒色層)で挟まれた構造となっているが、
金属製細線(回路パターン)上の可視光吸収膜(黒色層)についてはその形成を省略してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
【0056】
尚、分光反射率の測定は、日本分光社製の自記分光光度計を用いて行っている。
【0057】
[
参考例1]
参考例1に係る電極基板フィルムは、錐状突起群で構成される反射防止構造体部が両面に形成された透明基板と、該透明基板の各反射防止構造体部上にそれぞれ設けられた金属製細線から成るストライプ状パターンとで構成されている。
【0058】
まず、可視波長域で透明な厚さ100μmのPETフィルム(透明基板)の両面に、熱ナノインプリント法(ダイレクトナノインプロント法とも称する)により、高さ600nm、ピッチ200nmの錐状突起群により構成された反射防止構造体部を形成した。また、モールドの圧力は10MPa、モールドの温度は130℃で行った。
【0059】
尚、反射防止構造体部が両面に形成された
参考例1に係る透明基板(PETフィルム)面の入射角10°、20°、30°および40°における分光反射率(正反射)を
図4にそれぞれ示す。
【0060】
次に、透明基板(PETフィルム)の各反射防止構造体部上にスパッタリング法により厚さ約500nmのCu膜を一様に成膜し、かつ、Cu膜上にフォトレジストをパター状に形成した後、フォトレジストから露出したCu膜を塩化第二鉄水溶液により化学エッチング処理して、線幅5μmでかつスペース300μmの金属(Cu)製細線で構成されるストライプ状パターン(回路パターン)を形成し、
参考例1に係る電極基板フィルムを製造した。
【0061】
尚、得られた
参考例1に係る電極基板フィルムの入射角10°、20°、30°および40°における分光反射率(正反射)を
図5にそれぞれ示す。
【0062】
そして、ストライプ状パターン(回路パターン)が形成される前における
参考例1に係る透明基板(PETフィルム)の分光反射率(
図4のグラフ図参照)から理解されるように、入射角10°、入射角20°、入射角30°および入射角40°のいずれの入射角条件においても各反射率は0.5%以下と低く、更に、ストライプ状パターン(回路パターン)が形成され
た後における
参考例1に係る電極基板フィルムの分光反射率(
図5のグラフ図参照)から理解されるように、入射角10°、入射角20°、入射角30°および入射角40°のいずれの入射角条件において各反射率は1%〜4%と低い数値になっており、入射角度の依存性が極めて小さいことが確認された。
【0063】
このため、
参考例1に係る電極基板フィルムは、高輝度照明下において、および、入射光の入射角度が大きくなっても上記ストライプ状パターン(回路パターン)が視認され難い利点を有している。
【0064】
[実施例2]
実施例2に係る電極基板フィルムは、錐状突起群で構成される反射防止構造体部が両面に形成された透明基板と、該透明基板の各反射防止構造体部上にそれぞれ設けられた金属製細線から成るストライプ状パターンとで構成され、かつ、透明基板の各反射防止構造体部と金属製細線との間に可視光吸収膜(黒色層)が設けられている。
【0065】
まず、可視波長域で透明な厚さ100μmのPETフィルム(透明基板)の両面に、熱ナノインプリント法により、高さ600nm、ピッチ200nmの錐状突起群により構成された反射防止構造体部を形成した。また、
参考例1と同様、モールドの圧力は10MPa、モールドの温度は130℃で行った。
【0066】
次に、透明基板(PETフィルム)の各反射防止構造体部上にスパッタリング法により厚さ約30nmでかつ7.5重量%のTiを含むNi系合金膜を一様に成膜し、更に、スパッタリング法により上記Ni系合金膜上に厚さ約470nmのCu膜を一様に成膜し、かつ、Cu膜上に
参考例1と同様のフォトレジストをパター状に形成した後、Ni系合金膜とCu膜を同時に化学エッチング処理して、線幅5μmでかつスペース300μmの金属(Cu)製細線で構成されるストライプ状パターン(回路パターンと可視光吸収膜パターン)を形成し、実施例2に係る電極基板フィルムを製造した。
【0067】
そして、得られた実施例2に係る電極基板フィルムの入射角10°、20°、30°および40°における分光反射(正反射)特性を、上記自記分光光度計を用いて測定したところ、
参考例1との差異は無かった。
【0068】
このため、実施例2に係る電極基板フィルムも、高輝度照明下において、および、入射光の入射角度が大きくなっても上記ストライプ状パターン(回路パターン)が視認され難い利点を有している。
【0069】
[比較例1]
比較例1に係る電極基板フィルムは、錐状突起群で構成される反射防止構造体部が両面に形成されていない透明基板(PETフィルム)と、該透明基板の両面に設けられた金属製細線から成るストライプ状パターンとで構成されている。
【0070】
尚、反射防止構造体部が両面に形成されていない比較例1に係る透明基板(PETフィルム)面の入射角10°、20°、30°および40°における分光反射率(正反射)を
図6にそれぞれ示す。
【0071】
まず、反射防止構造体部が両面に形成されていない透明基板(PETフィルム)の両面にスパッタリング法により厚さ約500nmのCu膜を一様に成膜し、かつ、Cu膜上に
参考例1と同様のフォトレジストをパター状に形成した後、化学エッチング処理して線幅5μmでかつスペース300μmの金属(Cu)製細線で構成されるストライプ状パターン(回路パターン)を形成し、比較例1に係る電極基板フィルムを製造した。
【0072】
尚、得られた比較例1に係る電極基板フィルムの入射角10°、20°、30°および40°における分光反射率(正反射)を
図7にそれぞれ示す。
【0073】
そして、ストライプ状パターン(回路パターン)が形成される前における比較例1に係る透明基板(PETフィルム)の分光反射率(
図6のグラフ図参照)から理解されるように、入射角10°、入射角20°、入射角30°および入射角40°の入射角条件において反射率は6%〜7%と
参考例1より高くなっており、更に、ストライプ状パターン(回路パターン)が形成され
た後における比較例1に係る電極基板フィルムの分光反射率(
図7のグラフ図参照)から理解されるように、入射角10°、入射角20°、入射角30°および入射角40°のいずれの入射角条件においても各反射率は40%〜50%と高い数値になっており、入射角度の依存性が極めて大きいことが確認された。
【0074】
このため、比較例1に係る電極基板フィルムは、高輝度照明下において、および、入射光の入射角度が小さくても上記ストライプ状パターン(回路パターン)が視認され易い欠点を有している。
【0075】
[比較例2]
比較例2に係る電極基板フィルムは、錐状突起群で構成される反射防止構造体部が両面に形成されていない透明基板(PETフィルム)と、該透明基板の両面に設けられた金属製細線から成るストライプ状パターンとで構成され、かつ、透明基板と金属製細線との間に可視光吸収膜(黒色層)が設けられている。
【0076】
まず、反射防止構造体部が両面に形成されていない透明基板(PETフィルム)の両面にスパッタリング法により厚さ約30nmでかつ7.5重量%のTiを含むNi系合金膜を一様に成膜し、更に、スパッタリング法により上記Ni系合金膜上に厚さ約470nmのCu膜を一様に成膜し、かつ、Cu膜上に
参考例1と同様のフォトレジストをパター状に形成した後、Ni系合金膜とCu膜を同時に化学エッチング処理して、線幅5μmでかつスペース300μmの金属(Cu)製細線で構成されるストライプ状パターン(回路パターンと可視光吸収膜パターン)を形成し、比較例2に係る電極基板フィルムを製造した。
【0077】
そして、得られた比較例2に係る電極基板フィルムの入射角10°、20°、30°および40°における分光反射(正反射)特性を、上記自記分光光度計を用いて測定したところ比較例1との差異はなく、可視光吸収膜(黒色層)と金属(Cu)製細線の表面反射に起因した40〜50%もの高い反射率が確認された。
【0078】
このため、比較例2に係る電極基板フィルムも、高輝度照明下において、および、入射光の入射角度が小さくても上記ストライプ状パターン(回路パターン)が視認され易い欠点を有している。
【0079】
「評 価」
比較例1〜2と較べて、
参考例1〜実施例2に係る電極基板フィルムは反射率が低いだけでなく、入射角度依存性が極めて小さいことが確認される。
【0080】
このため、
参考例1〜実施例2に係る電極基板フィルムにおいては、高輝度照明下において、および、入射光の入射角度が大きくなってもストライプ状パターン(回路パターン)が視認され難い利点を有している。