【実施例】
【0016】
[実施例1]
図2に実施例1の構造を示す。
脚部1により支持された固定床反応器2の本体の底面には開口3が設けられており、その開口3に材料載置装置4の上側プレート4aが、固定床反応器2の内周を全周にわたり摺接するように挿通されている。
【0017】
上側プレート4aは、固体材料を載置する載置板として機能し、シャフト部4bを介して下側プレート4cと連結されており、下側プレート4cの表面には、固定床反応器2の下面から突出するキー部2aが収納されるよう凹部が設けられている。
固定床反応器2を作動させる際は、(a)のように、材料載置装置4は最上端に位置し、固定床反応器2の下面を封止している。この状態で固体材料を投入し、上側プレート4aの上面に載置させた後、所定の条件(ガス流入、温度上昇、反応時間)で反応を行う。
【0018】
反応途中あるいは反応終了後、固定床反応器2の内部の状態を確認する際は、(b)に示すように、図示しない制御装置が、モーター、ギア機構からなる移動装置を作動させ、材料載置装置4を一定距離だけ下降させる。この距離は、原料が下降前の状態をそのまま維持するように、上側プレート4aが固定床反応器2の内部に留まっており、しかも、後述する円筒部材5を簡単に装着できるよう、固定床反応器2底部と下側プレート4cとの間隔が、この円筒部材5の高さより若干長くなる程度とする。
【0019】
固体材料の温度が十分に低下した後、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリイミドなどの透明樹脂材料からなる円筒部材5を装着する。円筒部材5は、固定床反応器2の内径と同じ内径を有する円筒状の透明樹脂を、その中心軸を通る平面で2分割して半円筒体とし、一方の端部を、軸方向のヒンジ6で回転可能に連結し、他方の端部に、バックル等による結合装置7を設けたものである。
【0020】
図2下方の拡大図で示すように、円筒部材5の上端には、固定床反応器2の底部に形成された周方向のキー部2aと嵌合する凹部が設けられており、このキー部2aを凹部に係合させた後、結合装置7により円筒部材5を結合することで、円筒部材5が、固定床反応器2の底部に装着され、また、開口3が封止される。このとき、ヒンジ6側の端部も、結合装置7側の端部も、半円筒体の対向面を封止し、固定床反応器2の内容物が崩れたり、漏れ出ないようにしている。また、下側プレート4cの上面に、円筒部材5を位置決めするための突起部などを設けておくと装着がより簡単となる。
【0021】
なお、この実施例では、固定床反応器2の底面に設けたキー部2aと、円筒部材5の上端に設けた凹部を嵌合することにより、固定床反応器2の下面に円筒部材5を係止しているが、固定床反応器2の下面から突出する円周上のリブの外径と、円筒部材の内径と合わせることにより、隙間に侵入した粉状の残渣などにより、円筒部材5を係止することが可能である。その他、挿入ピン、吊り下げ、下側プレート4cの下降と干渉しない脚を床面に設置するなど、様々な係止装置を採用することできる。
【0022】
この状態で、(c)に示すように、移動装置を再度作動させ、材料載置装置4を下降させると、上側プレート4aが原料の状態を維持したまま、円筒部材5の内周を摺接し、下側プレート4cを床面に接地する。これにより、加熱時の固定床反応器2内の状態を維持したまま、透明材料からなる円筒部材5を通して、固体内容物の状態をその全周にわたって詳細に観察することが可能となる。
材料載置装置4を固定床反応器2に戻す際は、移動装置を作動し、逆の順序で材料載置装置4を上昇させ、(b)の状態となったとき、突起部5aを外し、円筒部材5を取り外し、移動装置を再度作動させ、(a)の状態に戻し、加熱条件等を調整後、固定床反応器2を再度作動させる。
【0023】
固体材料を廃棄する場合には、(c)の状態で、下側プレート4cに設けた排出口(図示せず)を開放し、別の容器に廃棄した後、同様の手順で(a)の状態に戻し、再度固体材料の投入を行って、加熱条件等を調整後、固定床反応器2を再作動させる。
なお、この例では、円筒部材5として円筒状の透明樹脂を2分割したものを用いているが、3分割以上として、それぞれをヒンジ6で連結し、両端にバックル等による結合装置7を設けたものでもよい。
【0024】
図3に示すように、透明材料からなる円筒部材5の上面に4つのピン5aを設け、固定床反応器2に設けた孔に嵌合させることにより、円筒部材5を固定床反応器2に固定するようにしてもよい。
また、円筒部材5を高さ方向に複数段設け、固体内容物の厚さに応じて、順次円筒部材5をピンと嵌合孔等を用いて継ぎ足すように連結できるようにしてもよい。
【0025】
さらに、固体内容物を回収した後、円筒部材5の内側に内径と同一の幅を有する仕切り板を用いてもよい。仕切り板を円筒部材5の上から分割部に沿って挿入することにより、固体内容物を分割でき、断面観察法をより簡便に実現できる。円筒部材5を高さ方向に複数段継ぎ足す場合には、円筒部材間に挿入してもよい。
【0026】
[実施例2]
実施例2では、
図4に示すように、固体材料が移動した円筒部材5を、そのままの状態で固定床反応器2から単独で取り出し、固体材料の観察や分析をさらに簡単に行えるようにするとともに、廃棄も簡単に行えるようにする。
【0027】
(a)のように、固定床反応器2の内部には、実施例1と同様、上側に位置する径の小さい上側プレート4aと、下側に位置し、固定床反応器の内周を摺動する下側プレート4cと、これらを連結するシャフト部4bとからなる材料載置装置4が設けられている。
上側プレート4aの上面に、耐熱性金属などの底板部8を載置しておき、固体材料をこの上に投入する。
【0028】
次に、内部の状態を観察する際は、(b)のように、材料載置装置4を降下させ、後述する連結装置9により円筒部材5をセットする。なお、円筒部材5は、実施例1と同様の構造であり、
図4は、透明材料からなる半円筒体を2個組み合わせた例を示している。
【0029】
材料載置装置4の降下を制御する制御装置は、このとき、材料載置装置4を(円筒部材5の高さ+α)だけ降下させた後、停止する。
円筒部材5の結合装置7を解除した状態で、ヒンジ6を中心に半円筒体の双方を開き、材料載置装置4のシャフト4bを通した後、実施例1と同様の結合装置7により半円筒体を円筒状に結合し、下側プレート4cの上面に載置する。このとき、ヒンジ6a側の端部も、連結装置7側の端部も、半円筒体の対向面を封止し、固定床反応器2内の内容物が崩れたり、漏れ出ないようにしている。このとき、下側プレート4cの上面に、円筒部材5を位置決めするための突起部などを設けておく。
【0030】
また、結合装置7により円筒状に結合した円筒部材5を、固定床反応器2の底面あるいは支持脚1に支持されるよう結合する必要がある。このため、固定床反応器2の底面あるいは支持脚1に、スプリング9aにより内周側に弾圧されたピン状のストッパ9bからなる連結装置9を設け、円筒部材5の上端に設けた楔部5bを押し込むようにする。
【0031】
その状態で(c)のように、材料載置装置4をさらに下降させると、円筒部材5は、固定床反応器2の底面あるいは支持脚1に固定されたまま、径の小さい上側プレート4aが円筒部材5を通過し、底板部8が円筒部材5のフランジ部5cに当接する。
この段階では、円筒部材5の上端は、固定床反応器2の下端の直下方に位置しているので、ピン状のストッパ9bを引き込んで、円筒部材5の上端と、固定床反応器2の底面あるいは支持脚1との係合を解除して、(d)のように底板ごと抜き出す。
ここで円筒部材5のフランジ部5cと、底板部8との間に、ロック装置などを設けておけば、円筒部材5を単独で取り扱うことができる。
【0032】
以上の実施例では、固定床反応器2の本体を固定し、材料載置装置4をスライドさせているが、逆に材料載置装置4を固定台等に載置し、固定床反応器2の本体をクレーン等で吊り上げてスライドさせるようにしてよい。要は、固定床反応器2の本体および円筒部材5と、材料載置装置4を相対的にスライドさせることができればよい。