(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記炭化珪素粉末が、α型炭化珪素からなる粉末、β型炭化珪素からなる粉末、又はα型炭化珪素とβ型炭化珪素の混合物からなる粉末である、請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
上記炭化珪素粉末を、坩堝内に熱伝導率が0.05〜0.15W/m・Kとなるように収容して加熱することで、坩堝の上蓋の底面部分に設置された炭化珪素種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の炭化珪素粉末のブレーン比表面積は、250〜1,000cm
2/g、好ましくは270〜900cm
2/g、より好ましくは300cm
2/gを超え、800cm
2/g以下、さらに好ましくは400〜700cm
2/g、特に好ましくは500〜600cm
2/gである。
該値が250cm
2/g未満であると、炭化珪素粉末の比表面積が小さすぎるため、炭化珪素粉末の反応性が小さくなり、昇華ガスの発生量および昇華速度が小さくなる。該値が1,000cm
2/gを超えると、炭化珪素粉末を昇華させた際に、昇華初期の段階では昇華速度が大きいものの、徐々に昇華速度が小さくなり、安定した昇華速度を維持することができない。
【0010】
本発明の炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末の全量中の、粒度(粒径)が0.70mmを超え、3.00mm以下の炭化珪素粉末の割合が、50体積%以上であるような粒度分布を有する。上記の粒度の数値範囲を満たす炭化珪素粉末の割合は、50体積%以上、好ましくは70体積%以上、より好ましくは90体積%以上である。該割合が50体積%未満であると、炭化珪素粉末の昇華速度が小さくなる。
上記粒度が0.70mm以下であると、炭化珪素粉末を坩堝等の容器に充填した際にかさ密度が大きくなり、該炭化珪素粉末を昇華させた際に、昇華ガスの抜け道が狭いため、ガスの発生量が小さくなり、結果として昇華速度が遅くなる。また、炭化珪素粉末中にガスが滞留しやすくなるため、昇華反応が進行するにつれて炭化珪素粉末同士が焼結してしまい、結果として徐々に昇華速度が小さくなり、安定した昇華速度を維持することができない。また、昇華されずに残存する炭化珪素の量が多くなる。
上記粒度が3.00mmを超えると、炭化珪素粉末を坩堝等の容器に充填した際にかさ密度が小さくなり、該炭化珪素粉末中の空隙が大きすぎて粒子の熱伝導性が悪くなり、昇華反応が進みにくく、昇華速度が小さくなる。また、昇華されずに残存する炭化珪素の量が多くなる。
なお、本明細書中において、「粒度が0.70mmを超え、3.00mm以下」とは、目開き3.00mmの篩を通過し、かつ、目開き0.70mmの篩を通過しないことをいう。
【0011】
本発明の炭化珪素粉末の粒度分布は、好ましくは、粒度が0.75〜2.50mmの炭化珪素粉末の割合が、50体積%以上(好ましくは70体積%以上、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上、特に好ましくは99体積%以上)のものであり、より好ましくは、粒度が0.80〜2.00mmの炭化珪素粉末の割合が、50体積%以上(好ましくは70体積%以上、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上、特に好ましくは99体積%以上)のものであり、特に好ましくは、粒度が0.85〜1.70mmの炭化珪素粉末の割合が、50体積%以上(好ましくは70体積%以上、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上、特に好ましくは99体積%以上)のものである。
本発明の炭化珪素粉末の真密度は、特に限定されるものではないが、通常、2.90〜3.10g/cm
3である。
【0012】
また、本発明の炭化珪素粉末は、粒度が1μm以上、1mm以下、好ましくは100μm〜800μmである一次粒子が凝集(焼結)した粒子からなることが好ましい。粒子がこのような形態であれば、炭化珪素粉末の比表面積が大きくなり、その結果、炭化珪素粉末を昇華させた際に、その昇華速度が大きく、かつ、該速度を長時間維持することができる。また、昇華されずに残存する炭化珪素の量が少なくなる。
本発明の炭化珪素粉末を構成する一次粒子の全量中、粒度が1μm以上、1mm以下である粒子の割合は、好ましくは90体積%以上、より好ましくは95体積%以上、特に好ましくは100体積%である。
本発明の炭化珪素粉末を構成する一次粒子の全量中、粒度が100〜800μmである粒子の割合は、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、特に好ましくは90体積%以上である。
また、炭化珪素粉末が上記形態を有することで、特定の粒度(0.70mmを超え、3.00mm以下)を満たす炭化珪素粉末の割合が50体積%以上であっても、炭化珪素粉末のブレーン比表面積を大きく(例えば、400cm
2/g以上)することができる。
本発明の炭化珪素粉末は、α型炭化珪素からなる粉末、β型炭化珪素からなる粉末、及び、α型炭化珪素とβ型炭化珪素の混合物からなる粉末、のいずれでもよい。
【0013】
本発明の炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末中の炭化珪素の含有率が高く、また、不純物の含有率が低いものであることが好ましい。
ここでいう不純物とは、炭化珪素粉末の製造過程で除去される酸素(O)を除く全元素中、珪素(Si)及び炭素(C)以外の成分であって、SiC半導体の忌避成分に該当するものである。具体的には、ホウ素(B)、リン(P)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
具体的には、上記炭化珪素粉末中、B、P、Al、Fe、Ti、Cu、及びNiの含有率は、それぞれ、好ましくは3ppm以下、より好ましくは1.5ppm以下、さらに好ましくは1.0ppm以下である。中でも、B及びPの含有率は、それぞれ、さらに好ましくは0.3ppm以下である。
また、上記炭化珪素粉末中の酸素(O)の含有率は、好ましくは0.5質量%未満である。なお、上記「酸素(O)の含有率」とは、炭化珪素粉末中に含まれる金属酸化物を構成する酸素原子の総量を示す。
炭化珪素粉末中の上記B、P、Al、Fe、Ti、Cu、及びNiの含有率を上記範囲内にすることで、上記炭化珪素粉末を原料として、昇華再結晶法を用いて炭化珪素単結晶を製造した場合に、より高純度の炭化珪素単結晶を得ることができる。
【0014】
炭化珪素粉末中の不純物の合計の含有率は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。該含有率が500ppm以下であると、上記炭化珪素粉末を原料として、昇華再結晶法を用いて炭化珪素単結晶を製造した場合に、より高純度の炭化珪素単結晶を得ることができる。
なお、本明細書中、「ppm」は質量基準である。
上記炭化珪素粉末中の炭化珪素の含有率(純度)は、炭化珪素粉末100質量%中の割合として、好ましくは99.0質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%以上、特に好ましくは99.99質量%以上である。
【0015】
本発明の炭化珪素粉末を製造する方法としては、アチソン炉を用いて、珪酸質原料と炭素質原料を混合してなる炭化珪素製造用原料を加熱する方法が挙げられる。
上記炭化珪素製造用原料中の、炭素質原料と珪酸質原料の混合モル比(C/SiO
2)は、好ましくは2.5〜4.0であり、より好ましくは2.8〜3.6、特に好ましくは3.0〜3.3である。
上記混合モル比は、炭化珪素粉末の組成に影響を与える。例えば、上記混合モル比が2.5未満、または4.0を超えると、炭化珪素粉末中に未反応の珪酸質原料や炭素質原料が多く残存してしまうため、好ましくない。
なお、本明細書中、「炭素質原料と珪酸質原料の混合モル比」とは、炭素質原料と珪酸質原料を混合して、炭化珪素製造用原料を調製する場合における、炭素質原料中の炭素(C)のモルと、珪酸質原料中の珪酸(SiO
2)のモルの比(C/SiO
2)をいう。
【0016】
上記炭化珪素製造用原料として、粉体状の珪酸質原料と粉体状の炭素質原料を混合して得られる混合原料をあらかじめペレット化したものを使用することができる。ペレット化された炭化珪素製造用原料としては、例えば、シリカと有機樹脂の混合物をペレット化した原料が挙げられる。
【0017】
上記炭化珪素粉末を製造する方法に用いられる珪酸質原料としては、例えば、天然の珪砂、天然の珪石粉、人造珪石粉等の結晶質シリカや、シリカフューム、シリカゲル等の非晶質シリカ等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、反応性の観点から非晶質シリカが好ましい。
珪酸質原料の平均粒径は、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下、特に好ましくは800μm以下である。該平均粒径が3mmを超えると、反応性が著しく悪くなり、生産性が劣る結果となる。
なお、本明細書中、「平均粒径」とは、粒径(粒度)の算術平均値を意味する。平均粒径は、例えば、適当な個数(例えば、100個)の粒子の各粒径を測定した後、これらの粒径の合計を、測定した粒子の個数で除することによって算出することができる。
【0018】
上記炭化珪素粉末の製造に用いられる炭素質原料としては、例えば、石油コークス、石炭ピッチ、カーボンブラック、各種有機樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、純度及び粒度の観点から、カーボンブラックが好ましい。
炭素質原料の平均粒径は、珪酸質原料との反応性の観点から、好ましくは1nm〜500μm、より好ましくは5nm〜100μm、さらに好ましくは10nm〜10μm、さらに好ましくは20nm〜1μm、さらに好ましくは30〜500nm、特に好ましくは50〜300nmである。なお、炭素質原料が、一次粒子と二次粒子が存在するもの(例えば、カーボンブラック)である場合、ここでの炭素質原料の平均粒径とは、一次粒子の平均粒径をいう。
【0019】
上記炭化珪素粉末の製造に用いられる炭化珪素製造用原料の他の例としては、炭素と珪酸の各々が粒子内に全体的に分布しているように調製した粒子であって、粒子内の炭素と珪酸の混合モル比(C/SiO
2)が、好ましくは2.5〜4.0、より好ましくは2.8〜3.6、特に好ましくは2.9〜3.3である粒子の集合体である粉末を挙げることができる。
【0020】
上記炭化珪素粉末の製造に用いられるアチソン炉の発熱体の種類は、電気を通すことができるものである限りにおいて、特に限定されることはなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。発熱体中の、炭素以外の不純物の含有率(B、P等の含有率の合計)は、上述した炭化珪素製造用原料中に含まれる不純物の含有率よりも小さいことが好ましい。
発熱体の形態は、発熱体に電気を通すことができればよく、粉状でも棒状でもよい。また、棒状の場合、該棒状体の形態も特に限定されず、円柱状でも角柱状でもよい。
【0021】
上述した炭化珪素製造用原料を、アチソン炉を用いて加熱した後、粉砕することで、本発明の炭化珪素粉末を得ることができる。
アチソン炉を用いることで、他の電気炉等と比べて、安価にかつ大量に、しかも安全に炭化珪素粉末を製造することができる。
アチソン炉としては、一般的なもの(例えば、大気開放型であり、炉本体の断面が略U字状である炉)を用いればよい。
アチソン炉の発熱体を通電加熱することで、発熱体の周囲において下記式(1)で示される直接還元反応が起こり、炭化珪素(SiC)の塊状物が生成される。
SiO
2+3C → SiC+2CO (1)
上記反応が行われる温度は、好ましくは1,600〜3,000℃、より好ましくは1,600〜2,500℃である。
【0022】
得られた炭化珪素の塊状物を、ボールミル等を用いて、所定の粒度になるまで粉砕した後、篩を用いて分級することによって、本発明の炭化珪素粉末を得ることができる。
アチソン炉は、炉が大きく、非酸化性雰囲気下で反応が行われることから、他の電気炉等と比べて、不純物(B、P等)の含有率の低い炭化珪素粉末を得ることができる。不純物の含有率が低い炭化珪素粉末は、パワー半導体等に用いられる単結晶の原料として好適である。
上記製造方法によって製造された炭化珪素粉末は、通常、粒度が1μm以上、1mm以下の粒子の割合が90体積%以上である一次粒子が複数凝集した粒子からなる。このため、炭化珪素粉末の粒度(一次粒子が複数凝集した粒子の粒度)が特定の大きさであるにもかかわらず、ブレーン比表面積を大きくすることができる。
また、上記炭化珪素粉末の真密度は、通常、2.90〜3.10g/cm
3である。
【0023】
本発明の炭化珪素粉末を、昇華再結晶法(改良レーリー法)の原料として用いることで、容易に炭化珪素単結晶を得ることができる。以下、
図1を参照しながら説明する。
本体2及び上蓋3からなる坩堝1の上蓋3の内側の面(底面部分)に、炭化珪素種結晶4として、研磨によりSi面が表れている単結晶板を設置する。一方、坩堝1内に本発明の炭化珪素粉末(単結晶の原料)5を、かさ密度が好ましくは0.7〜1.4g/cm
3、より好ましくは0.8〜1.3g/cm
3、さらに好ましくは0.9〜1.2g/cm
3、特に好ましくは1.0〜1.1g/cm
3となるように収容する。その後、加熱によって炭化珪素粉末5を昇華させることで、種結晶4上に炭化珪素単結晶6を成長させることができる。
上記かさ密度が0.7g/cm
3以上であると、炭化珪素粉末5中の空隙が小さいため、熱が十分に伝わり、炭化珪素粉末5の昇華速度をより大きくすることができる。上記かさ密度が1.4g/cm
3以下であると、炭化珪素粉末5が過度に緻密になることがないため、発生した昇華ガスが炭化珪素粉末5の内部から抜け易くなり、炭化珪素単結晶6の成長速度をより大きくすることができる。
【0024】
炭化珪素粉末5の加熱温度は、好ましくは2,000〜5,000℃、より好ましくは2,200〜4,000℃、特に好ましくは2,300〜3,000℃である。加熱温度が2,000℃以上であると、炭化珪素粉末5が、より昇華し易くなる。加熱温度が5,000℃以下であると、エネルギーコストの点で有利である。
なお、坩堝1としては、例えば、黒鉛製のものが挙げられる。
【0025】
坩堝1に収容された炭化珪素粉末5の熱伝導率は、好ましくは0.05〜0.15W/m・K、より好ましくは0.06〜0.12W/m・K、特に好ましくは0.07〜0.10W/m・Kである。上記熱伝導率が0.05W/m・K以上であると、炭化珪素粉末に熱が伝わり易くなり、生産性がさらに向上する。上記熱伝導率が0.15W/m・K以下であると、放熱が抑制され、必要な熱エネルギーを節減することができる。
なお、上記熱伝導率は、熱伝導率測定装置(Rigaku社製、、商品名「熱伝導率測定装置TCi」)を用いて熱浸透法によって測定することができる。
【0026】
本発明の炭化珪素粉末は、加熱時の昇華速度が大きいので、該粉末を昇華再結晶法の原料として用いれば、種結晶上の炭化珪素単結晶の成長速度を大きくすることができる。このことから、炭化珪素単結晶を製造するためのエネルギーコストを下げることができる。また、炭化珪素単結晶の成長速度が大きいため、目的とする炭化珪素単結晶を得るために要する時間を短くすることができ、生産性を上げることができる。また、高圧下でも炭化珪素単結晶の成長を行うことができ、不純物の制御(反応の際に、高圧にすることで不純物が混入することを防ぐ)が行いやすくなる。
また、昇華再結晶法において、温度勾配が小さくても、大きい昇華速度を維持することができ、得られる炭化珪素単結晶の周囲に雑晶が生じにくく、ウェハの大型化を図ることができる。
さらに、本発明の炭化珪素粉末は、かさ密度が小さく、粉末中に存在する空隙が大きいため、発生した昇華ガスが炭化珪素粉末の内部に蓄積されず、昇華ガスが炭化珪素粉末の内部で再結晶することによる緻密化を防ぐことができ、昇華されずに残存する炭化珪素の量が少なくなる。このため、歩留まりを向上させることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[使用原料]
(1)珪酸質原料(炭化珪素粉末Bの原料)
高純度シリカ(非晶質シリカであるシリカゲル);シリカの含有率(絶乾状態):99.99質量%以上;酸素原子を除く不純物の含有率:10ppm以下;平均粒径:600μm;太平洋セメント社製)
(2)炭素質原料(炭化珪素粉末Bの原料)
カーボンブラック(東海カーボン社製;商品名「シーストTA」;平均粒径:122nm)
(3)発熱体(炭化珪素粉末Bの製造用)
発熱体用黒鉛粉(太平洋セメント社製の試製品:カーボンブラックを3,000℃で熱処理したもの)
(4)炭化珪素粉末(炭化珪素粉末A、Cの材料)
研磨用炭化珪素粉末(屋久島電工社製;商品名「GC」;酸素原子を除く不純物の含有率:495ppm;炭化珪素の含有率:99.5質量%;炭化珪素の種類:α型)
【0028】
[分析方法]
(1)ブレーン比表面積
「JIS R 5201」に準じて、ブレーン比表面積を測定した。
(2)真密度
ピクノメータ法(気体置換)により、島津製作所社製の「アキュピック1330」(商品名)を用いて、真密度を測定した。
(3)B(ホウ素)及びP(リン)の含有率
土壌中のB(ホウ素)の分析方法(BUNSEKI KAGAKU VOL47,No7,pp451−454参照)であるアルカリ溶融法によるICP−AES分析に基づいて、B(ホウ素)及びP(リン)の含有率を測定した。
具体的には、試料1gおよびNa
2CO
34gを白金ルツボに入れた後、この白金ルツボを電気炉内に載置して700℃で1時間加熱した。次いで1時間ごとに、白金ルツボ内の混合物を撹拌しながら、800℃で4時間加熱し、さらに1000℃で15分間加熱した。加熱後の混合物(融成物)に50質量%のHCl20mlを添加し、ホットプレートを用いて、140℃で10分間、融成物をくずしながら溶解した。水を加えて100mlにメスアップした後、ろ過を行い、得られた固形分に対して、ICP−AES分析を行った。
(4)B及びP以外の元素(Al、Fe、Ti、Cu、及びNi)の含有率
「JIS R 1616」に記載された加圧酸分解法によるICP−AES分析に基づいて、B及びP以外の元素を測定した。
(5)酸素(O)の含有率
LECO社製の「TCH−600」を用いて、酸素(O)の含有率を測定した。
(6)熱伝導率
熱伝導率測定装置(Rigaku社製、商品名「熱伝導率測定装置TCi」)を用いて熱浸透法によって、熱伝導率を測定した。
【0029】
[炭化珪素粉末Aの製造]
上記「使用原料」の(4)に記載した研磨用炭化珪素粉末をボールミルで粉砕して、表1に示される粒度、ブレーン比表面積、及び真密度を有する炭化珪素粉末Aを得た。なお、粒度が0.85〜1.70mmの炭化珪素粉末の割合は、99体積%以上であった。
炭化珪素粉末Aは、後述の炭化珪素粉末Bと異なり、一次粒子が凝集した粒子形態を有するものではない。
【0030】
[炭化珪素粉末Bの製造]
上記「使用原料」の(1)及び(2)に記載した高純度シリカ及びカーボンブラックを、2軸ミキサーを用いて炭素と珪酸のモル比(C/SiO
2)が3.0となるように混合して、炭化珪素製造用原料160kgを得た。得られた炭化珪素製造用原料、及び、上記「使用原料」の(3)に記載した発熱体用黒鉛粉を、アチソン炉(アチソン炉の内寸;長さ1000mm、幅500mm、高さ500mm)の中へ収容した後、約2500℃で約10時間通電加熱を行い、炭化珪素の塊状物20.0kgを生成させた。
得られた炭化珪素の塊状物を、ボールミルを用いて粉砕した。粉砕後、篩を用いて炭化珪素の粉砕物を分級し、粒度が0.85〜1.70mmの炭化珪素粉末の割合が、99体積%以上である、表1に示される炭化珪素粉末B(炭化珪素の種類:α型とβ型の混合)を得た。
炭化珪素粉末Bを、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、1μm以上、1mm以下の粒子径を有する様々な一次粒子が凝集した粒子形態であることがわかった。
図2に、炭化珪素粉末の写真を簡易に表した図を示す。
【0031】
炭化珪素粉末を構成する一次粒子の全量中、粒度が1μm以上、1mm以下である粒子の割合は、100体積%であった。また、炭化珪素粉末を構成する一次粒子の全量中、粒度が100〜800μmである粒子の割合は、90体積%以上であった。
また、得られたそれぞれの炭化珪素粉末中の不純物(B、P、Al、Fe、Ti、Cu、Ni、及びO)の含有率を、上述した分析方法を用いて測定した。結果を表2に示す。
炭化珪素粉末中の不純物(酸素原子を除く。)の含有率は、100ppm以下であった。また、炭化珪素粉末中の炭化珪素の含有率(純度)は、99.99質量%以上であった。
【0032】
[炭化珪素粉末Cの製造]
上記「使用原料」の(4)に記載した研磨用炭化珪素粉末をボールミルで粉砕して、表1に示される粒度、ブレーン比表面積、及び真密度を有する炭化珪素粉末Cを得た。なお、粒度が0.05〜0.70mmの炭化珪素粉末の割合は、99体積%以上であった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
[実施例1]
「炭化珪素粉末A」1140gを、黒鉛製坩堝に入れた。また、黒鉛製坩堝の上蓋の部分には、種結晶として、研磨によりSi面が表れている単結晶板を設置した。なお、坩堝中の炭化珪素粉末Aのかさ密度は、1.26g/cm
3であった。また、坩堝中の炭化珪素粉末Aの熱伝導率を、上述した分析方法を用いて測定した。
上記黒鉛製坩堝を、1Torrの圧力下において、2,300℃で加熱することによって、坩堝中の炭化珪素粉末Aを昇華させて、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させた。加熱は、種結晶上に成長した炭化珪素単結晶が13mmの厚みとなるまで行った。炭化珪素単結晶が13mmの厚みとなるまでに要した時間は、63時間であった。反応終了後、残存する炭化珪素粉末の質量(残存量)を測定したところ、772gであり、この測定結果から、仕込み量の67.7%が残存したことがわかった。
上記時間(63時間)と、残存する炭化珪素粉末の量(772g)から、炭化珪素粉末の昇華速度、および炭化珪素単結晶の成長速度を算出した。結果を表3に示す。
【0036】
[実施例2]
炭化珪素粉末Aの代わりに、「炭化珪素粉末B」935gを用いる以外は、実施例1と同様にして、炭化珪素単結晶を得た。結果を表3に示す。
【0037】
[比較例1]
炭化珪素粉末Aの代わりに、「炭化珪素粉末C」1400gを用いる以外は、実施例1と同様にして、炭化珪素単結晶を得た。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
表3中、本発明の炭化珪素粉末を用いた場合(実施例1〜2)には、本発明に該当しない炭化珪素粉末を用いた場合(比較例1)に比べて、炭化珪素単結晶の成長速度が大きく、また、反応終了後に、昇華されずに残存する炭化珪素粉末の量が少ないことがわかる。