(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、前記表面は経時的に消耗せず、前記裏面の一部又は全部が経時的に消耗する環境に配置された部材の前記裏面の消耗量を測定する消耗量測定装置であって、
前記低コヒーレンス光を出力する光源と、
前記低コヒーレンス光を前記部材に照射したときの反射光の強度分布を検出する分光器と、
前記部材の第1の測定点に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に、照射した低コヒーレンス光の前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第1の照射部と、
前記部材の第2の測定点に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に、照射した低コヒーレンス光の前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第2の照射部と、
前記光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれへ伝送すると共に、前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれが受光した反射光を前記分光器へ伝送する光伝送部と、
前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することにより前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さとの差分を算出する解析部とを備えることを特徴とする消耗量測定装置。
低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、その一部に前記表面と前記裏面の間の厚さが異なるように段差部が設けられた部材の温度を測定する温度測定装置であって、
前記低コヒーレンス光を出力する光源と、
前記低コヒーレンス光を前記部材に照射したときの反射光の強度分布を検出する分光器と、
前記部材の前記段差部における厚さの厚い部分に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第1の照射部と、
前記部材の前記段差部における厚さの薄い部分に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第2の照射部と、
前記光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれへ伝送すると共に前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれが受光した反射光を前記分光器へ伝送する光伝送部と、
前記段差部の段差と前記部材の温度との関係を示すデータを記憶した記憶部と、
前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することによって前記段差に対応する光路長を求め、求めた光路長と前記記憶部に記憶された前記段差と前記部材の温度との関係とに基づき前記部材の温度を算出する解析部とを備えることを特徴とする温度測定装置。
低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、前記表面は経時的に消耗せず、前記裏面の一部又は全部が経時的に消耗する環境に配置された部材の前記裏面の消耗量を測定する消耗量測定方法であって、
光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させ、前記2つの経路の一方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記部材の第1の測定点に照射したときの前記部材の前記第1の測定点における表面及び裏面からの反射光を受光すると共に、前記2つの経路の他方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記部材の第2の測定点に照射したときの前記部材の前記第2の測定点における表面及び裏面からの反射光を受光するステップと、
前記第1の測定点での反射光と前記第2の測定点での反射光とを合わせた反射光について波数に依存する強度分布を検出するステップと、
前記強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することによって、前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さとの差分を算出するステップとを有することを特徴とする消耗量測定方法。
低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、その一部に前記表面と前記裏面の間の厚さが異なるように段差部が設けられた部材の温度を測定する温度測定方法であって、
前記段差部の段差に対応する低コヒーレンス光の光路差と前記部材の温度との関係を示すデータを取得するステップと、
光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させ、前記2つの経路の一方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記段差部における厚さの薄い部分に照射したときの前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光すると共に、前記2つの経路の他方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記段差部における厚さの厚い部分に照射したときの前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光するステップと、
前記段差部における厚さの薄い部分での反射光と厚さの厚い部分からの反射光とを合わせた反射光について波数に依存する強度分布を検出するステップと、
前記強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換して前記光路差を求めるステップと、
前記光路差と前記部材の温度との関係を示す前記データから前記部材の温度を算出するステップとを有することを特徴とする温度測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載された技術は、部材の消耗量を測定するものではなく、事前に求めておいた部材の厚さと温度との関係を示すデータを用いて部材の温度を測定するものであるが、上記特許文献2に記載された技術により部材の厚さを測定する場合、測定可能な厚さは、反射光を検出する分光器の分解能で決定される。例えば、中心波長をλ
0、波長帯域をΔw、分光器の検出素子数(CCD素子数)をNとしたとき、これらのパラメータと最大測定厚さxとの関係は下記式1で表される。
【0009】
【数1】
【0010】
例えば、λ
0=1550nm、Δw=40nm、N=512の場合、x=15.38mmとなる。部材がシリコン(Si)からなる場合には、測定可能な能な最大厚さx
0は、xを2n(nは屈折率で約3.65)で除算すればよいので、x
0=x/2n=2.1(mm)となる。つまり、Siからなる2.1mmよりも厚い部材に対しては、上記特許文献2に記載された技術では厚さを測定することはできず、そのため消耗量を測定することもできない。
【0011】
本発明の目的は、分光方式周波数領域光干渉計を用いて、部材の厚さを直接測定することができない場合でも、部材における消耗量を簡易な構成で測定することが可能な消耗量測定装置及び消耗量測定方法を提供することにある。また、本発明の目的は、消耗量測定装置及び消耗量測定方法を既知の段差部を有する部材の温度の測定に応用した温度測定装置及び温度測定方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、消耗量測定装置又は温度測定装置を基板処理装置に適用した基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の消耗量測定装置は、低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、前記表面は経時的に消耗せず、前記裏面の一部又は全部が経時的に消耗する環境に配置された部材の前記裏面の消耗量を測定する消耗量測定装置であって、前記低コヒーレンス光を出力する光源と、前記低コヒーレンス光を前記部材に照射したときの反射光の強度分布を検出する分光器と、前記部材の第1の測定点に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に、照射した低コヒーレンス光の前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第1の照射部と、前記部材の第2の測定点に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に、照射した低コヒーレンス光の前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第2の照射部と、前記光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれへ伝送すると共に、前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれが受光した反射光を前記分光器へ伝送する光伝送部と、前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することにより前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さとの差分を算出する解析部とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の消耗量測定装置は、請求項1記載の消耗量測定装置において、前記解析部は、前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することにより前記部材内での前記第1の測定点での光路長と前記第2の測定点での光路長との差である光路差を算出する光路差算出部と、前記光路差算出部が算出した光路差と前記部材の屈折率とから前記差分を算出する差分算出部とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の消耗量測定装置は、請求項1又は2記載の消耗量測定装置において、前記分光器は、前記反射光を波長毎に所定の分散角で分散させる光分散素子と、前記光分散素子により分散された反射光を受光することにより前記反射光の波数に依存する強度分布を検出する受光素子とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の消耗量測定装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消耗量測定装置において、前記第1の測定点と前記第2の測定点はそれぞれ前記部材において消耗レートの異なる部位に設定され、前記解析部は、前記部材における前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さの差分として前記第1の測定点と前記第2の測定点での相対的な消耗量差を算出することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の消耗量測定装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消耗量測定装置において、前記第1の測定点は前記部材において経時的に消耗しない部位に設定され、且つ、前記第2の測定点は前記部材において経時的に消耗する部位に設定され、前記解析部は、前記部材における前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さの差分として、前記第2の測定点での消耗量の絶対値を算出することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項6記載の温度測定装置は、低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、その一部に前記表面と前記裏面の間の厚さが異なるように段差部が設けられた部材の温度を測定する温度測定装置であって、前記低コヒーレンス光を出力する光源と、前記低コヒーレンス光を前記部材に照射したときの反射光の強度分布を検出する分光器と、前記部材の前記段差部における厚さの厚い部分に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第1の照射部と、前記部材の前記段差部における厚さの薄い部分に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第2の照射部と、前記光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれへ伝送すると共に前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれが受光した反射光を前記分光器へ伝送する光伝送部と、前記段差部の段差と前記部材の温度との関係を示すデータを記憶した記憶部と、前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することによって前記段差に対応する光路長を求め、求めた光路長と前記記憶部に記憶された前記段差と前記部材の温度との関係とに基づき前記部材の温度を算出する解析部とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の温度測定装置は、請求項6記載の温度測定装置において、前記分光器は、前記反射光を波長毎に所定の分散角で分散させる光分散素子と、前記光分散素子により分散された反射光を受光することにより前記反射光の波数に依存する強度分布を検出する受光素子とを有することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項8記載の消耗量測定方法は、低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、前記表面は経時的に消耗せず、前記裏面の一部又は全部が経時的に消耗する環境に配置された部材の前記裏面の消耗量を測定する消耗量測定方法であって、光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させ、前記2つの経路の一方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記部材の第1の測定点に照射したときの前記部材の前記第1の測定点における表面及び裏面からの反射光を受光すると共に、前記2つの経路の他方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記部材の第2の測定点に照射したときの前記部材の前記第2の測定点における表面及び裏面からの反射光を受光するステップと、前記第1の測定点での反射光と前記第2の測定点での反射光とを合わせた反射光について波数に依存する強度分布を検出するステップと、前記強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することによって、前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さとの差分を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項9記載の温度測定方法は、低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、その一部に前記表面と前記裏面の間の厚さが異なるように段差部が設けられた部材の温度を測定する温度測定方法であって、前記段差部の段差
に対応する低コヒーレンス光の光路差と前記部材の温度との関係を示すデータを取得するステップと、光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させ、前記2つの経路の一方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記段差部における厚さの薄い部分に照射したときの前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光すると共に、前記2つの経路の他方の経路を伝送される低コヒーレンス光を前記段差部における厚さの厚い部分に照射したときの前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光するステップと、前記段差部における厚さの薄い部分での反射光と厚さの厚い部分からの反射光とを合わせた反射光について波数に依存する強度分布を検出するステップと、前記強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換して
前記光路
差を求めるステップと、前記光路
差と前記部材の温度との関係を示す前記デー
タから前記部材の温度を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成するために、請求項10記載の基板処理システムは、内部に基板を載置する載置台が配置され、前記載置台に載置された基板に対して所定の処理を施すチャンバと、低コヒーレンス光を透過する材料で構成され、互いに平行な表面及び裏面を有し、前記表面は経時的に消耗せず、前記裏面の一部又は全部が経時的に消耗する前記チャンバ内環境に配置された部材とを備える基板処理装置と、前記部材の消耗量を測定する消耗量測定装置とを備える基板処理システムであって、前記消耗量測定装置は、前記低コヒーレンス光を出力する光源と、前記低コヒーレンス光を前記部材に照射したときの反射光の強度分布を検出する分光器と、前記部材の第1の測定点に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に、照射した低コヒーレンス光の前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第1の照射部と、前記部材の第2の測定点に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に、照射した低コヒーレンス光の前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第2の照射部と、前記光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれへ伝送すると共に、前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれが受光した反射光を前記分光器へ伝送する光伝送部と、前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することにより前記第1の測定点の厚さと前記第2の測定点の厚さとの差分を算出する解析部とを備えることを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の基板処理システムは、請求項10記載の基板処理システムにおいて、前記基板処理装置は、前記載置台に載置された基板に対してプラズマエッチング処理を施す装置であり、前記部材は、前記載置台に載置された基板と所定の空間を隔てて対向するように配置される電極板であることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項12記載の基板処理システムは、内部に基板を載置する載置台が配置され、前記載置台に載置された基板に対して所定の処理を施すチャンバと、低コヒーレンス光を透過する材料で形成されて前記チャンバ内に配置され、互いに平行な表面及び裏面を有し、その一部に前記表面と前記裏面の間の厚さが異なるように段差部が形成された部材とを備える基板処理装置と、前記部材の温度を測定する温度測定装置とを備える基板処理システムであって、前記温度測定装置は、前記低コヒーレンス光を出力する光源と、前記低コヒーレンス光を前記部材に照射したときの反射光の波数に依存する強度分布を検出する分光器と、前記部材の前記段差部における厚さの厚い部分に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第1の照射部と、前記部材の前記段差部における厚さの薄い部分に対して前記低コヒーレンス光を照射すると共に前記部材の表面及び裏面からの反射光を受光する第2の照射部と、前記光源から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれへ伝送すると共に前記第1の照射部と前記第2の照射部のそれぞれが受光した反射光を前記分光器へ伝送する光伝送部と、前記段差部の段差と前記部材の温度との関係を示すデータを記憶した記憶部と、前記分光器が検出した反射光の強度分布を示すスペクトルをフーリエ変換することによって前記段差に対応する光路長を求め、求めた光路長と前記記憶部に記憶された前記段差と前記部材の温度との関係とに基づき前記部材の温度を算出する解析部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る消耗量測定装置では、部材に設定した2点の測定点に低コヒーレンス光を照射し、照射位置での部材からの反射光を用いて2点の測定点での部材内での光路差を求めることにより、2点の測定点での厚さの差分(消耗量差)を求める。このとき、2点の測定点のうちの一方を厚さが変化しない位置に設定し、他方の測定点を厚さが経時的に薄くなる位置に設定することにより、他方の測定点の消耗量の絶対値を知ることができる。
【0025】
このような消耗量の測定方法によれば、2点の測定点の少なくとも一方で実際の厚さを測定することができない部材に対して、消耗管理をモニタすることができるようになる。これにより、消耗量の絶対値又は絶対値に応じてプロセス条件を微調整し、プロセスを安定化させることができ、ひいては、基板に対する処理精度を高く維持して、製品品質を高く維持することができるようになる。
【0026】
また、本発明に係る消耗量測定装置は、部材に事前に光路差として測定可能な範囲の段差を有する段差部を設けて事前に部材の温度と段差との関係を示す校正データを求めておき、段差部に2点の測定点を設けて低コヒーレンス光を照射し、段差を光路差として測定して校正データに照らし合わせることにより、部材の温度を測定する温度測定装置として用いることができる。こうして、部材の温度をモニタすることによりプロセス管理を行うことができるため、例えば、部材温度に応じてプロセス条件を微調整する等してプロセスを安定化させることができ、ひいては、基板に対する処理精度を高く維持して、製品品質を高く維持することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る消耗量測定装置を、基板である半導体ウエハ(以下「ウエハ」と記す)に対してプラズマエッチング処理を施す基板処理装置に適用した基板処理システムを取り上げることとする。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る消耗量測定装置が適用可能な基板処理装置10の概略構成を示す断面図である。
図1に示す基板処理装置10は、例えば、直径がφ300mmの半導体デバイス用のウエハWを収容するチャンバ11を有し、チャンバ11内にはウエハWを載置する円柱状のサセプタ12(載置台)が配置されている。基板処理装置10では、チャンバ11の内側壁とサセプタ12の側面とによって側方排気路13が形成され、側方排気路13の途中には排気プレート14が配置されている。
【0030】
排気プレート14は多数の貫通孔を有する板状部材であり、チャンバ11内を上部と下部に仕切る仕切り板として機能する。排気プレート14によって仕切られることによってチャンバ11内の上部に形成される処理室15において、後述するようにプラズマを発生させる。排気プレート14によってチャンバ11内の下部に形成される排気室(マニホールド)16には、チャンバ11内のガスを排出する排気管17が接続されている。排気プレート14は処理室15に発生するプラズマを捕捉し又は反射してマニホールド16への漏洩を防止する。
【0031】
排気管17には、不図示のTMP(Turbo Molecular Pump)及びDP(Dry Pump)が接続され、これらのポンプはチャンバ11内を真空引きして減圧する。具体的には、DPは、チャンバ11内を大気圧から中真空状態(例えば、1.3×10Pa(0.1Torr)以下)まで減圧する。そして、TMPは、DPと協働してチャンバ11内を中真空状態より低い圧力である高真空状態(例えば、1.3×10
−3Pa(1.0×10
−5Torr)以下)まで減圧する。なお、チャンバ11内の圧力は、不図示のAPCバルブによって制御される。
【0032】
チャンバ11内のサセプタ12には、第1の整合器19を介して第1の高周波電源18が接続されると共に、第2の整合器21を介して第2の高周波電源20が接続されている。第1の高周波電源18は、比較的低い周波数、例えば、2MHzのイオン引き込み用の高周波電力をサセプタ12に印加する。一方、第2の高周波電源20は、比較的高い周波数、例えば、60MHzのプラズマ生成用の高周波電力をサセプタ12に印加する。これにより、サセプタ12は電極として機能する。また、第1の整合器19及び第2の整合器21は、サセプタ12からの高周波電力の反射を低減して高周波電力のサセプタ12への印加効率を最大にする。
【0033】
サセプタ12の上部には、大径の円柱の先端から小径の円柱が同心軸に沿って突出した形状となるように、小径の円柱を囲うように段差が形成されている。小径の円柱の先端には、静電電極板22を内部に有するセラミックスからなる静電チャック23が配置されている。静電電極板22には直流電源24が接続されており、静電電極板22に正の直流電圧が印加されると、ウエハWにおける静電チャック23側の面(裏面)に負電位が発生し、静電電極板22とウエハWの裏面との間に電位差が生じる。こうして生じた電位差に起因するクーロン力又はジョンソン・ラーベック力により、ウエハWは静電チャック23に吸着保持される。
【0034】
また、サセプタ12の上部には、静電チャック23に吸着保持されたウエハWを囲うように、円環状の部材であるフォーカスリング25が、サセプタ12の上部における段差部へ載置されている。フォーカスリング25は、例えば、シリコン(Si)からなる。よって、フォーカスリング25は半導電体からなるため、プラズマの分布域をウエハW上だけでなくフォーカスリング25上まで拡大してウエハWの周縁部上におけるプラズマの密度をウエハWの中央部上におけるプラズマの密度と同程度に維持する。これにより、ウエハWの全面に施されるプラズマエッチング処理の均一性を確保する。
【0035】
チャンバ11の天井部には、サセプタ12と対向するようにシャワーヘッド26が配置される。シャワーヘッド26は、上部電極板27と、上部電極板27を着脱可能に釣支するクーリングプレート28と、クーリングプレート28を覆う蓋体29とを有する。上部電極板27は厚み方向に貫通する多数のガス孔30を有する円板状部材からなり、半導電体であるシリコンで構成される。
【0036】
クーリングプレート28の内部にはバッファ室31が設けられ、バッファ室31には処理ガス導入管32が接続されている。基板処理装置10では、処理ガス導入管32からバッファ室31へ供給された処理ガスがガス孔30を介して処理室15内部へ導入される。処理室15内部へ導入された処理ガスは、第2の高周波電源20からサセプタ12を介して処理室15内部へ印加されたプラズマ生成用の高周波電力によって励起され、プラズマとなる。プラズマ中のイオンは、第1の高周波電源18がサセプタ12に印加するイオン引き込み用の高周波電力によってウエハWに向けて引きこまれ、ウエハWにプラズマエッチング処理を施す。
【0037】
このとき、プラズマ中のイオンはフォーカスリング25の上面や上部電極板27の下面に到達し、これらの面をスパッタし、その結果、フォーカスリング25や上部電極板27が消耗する。このとき、例えば、上部電極板27の場合には、下面が均一に消耗すればプラズマを均一に発生させることができるが、下面の中心部と外周部とで消耗レートが異なるために消耗量に偏りが生じてしまった場合には、プラズマが均一に生成されずに、ウエハWに対して不均一な処理が施されてしまうおそれがある。
【0038】
そこで、基板処理装置10には、上部電極板27の消耗量を測定するために消耗量測定装置が配置されており、これにより基板処理システムが構成されている。
図2は、基板処理装置10に設けられる消耗量測定装置の概略構成を示すブロック図である。
図2では、上部電極板27の消耗量を測定するための構成を例示している。なお、
図2では、上部電極板27に形成されているガス孔30の図示を省略している。
【0039】
消耗量測定装置40は、低コヒーレンス光源41、分光器42、2×2カプラ43、解析装置44、第1のコリメータ45及び第2のコリメータ46(
図1参照)を備える。低コヒーレンス光源41と2×2カプラ43との間は第1の光ファイバ51によって接続されており、2×2カプラ43と第1のコリメータ45との間は第2の光ファイバ52によって接続されている。2×2カプラ43と第2のコリメータ46との間は第3の光ファイバ53によって接続されており、分光器42と2×2カプラ43との間は第4の光ファイバ54によって接続されている。
【0040】
低コヒーレンス光源41としては、例えば、中心波長λ
0が1.55μm又は1.31μm、コヒーレンス長が約50μmの低コヒーレンス光を最大出力1.5mWで出力するSLD(Super Luminescent Diode)等を用いることができる。
【0041】
2×2カプラ43と第1〜第4の光ファイバ51〜54は、消耗量測定装置40における光伝送部を構成する。即ち、2×2カプラ43は、例えば、低コヒーレンス光源41から出力される低コヒーレンス光を2つの経路に分岐させて、一方を第2の光ファイバ52を介して第1のコリメータ45へ伝送すると共に、他方を第3の光ファイバ53を介して第2のコリメータ46へ伝送する。
【0042】
また、2×2カプラ43は、第1のコリメータ45から上部電極板27へ照射された低コヒーレンス光の上部電極板27からの反射光を第2の光ファイバ52を介して受光すると共に、第2のコリメータ46から上部電極板27へ照射された低コヒーレンス光の上部電極板27からの反射光を第3の光ファイバ53を介して受光し、受光したこれらの反射光を第4の光ファイバ54を通して分光器42へ伝送する。
【0043】
上部電極板27の上面(表面)に対して低コヒーレンス光を照射する照射部としての第1のコリメータ45と第2のコリメータ46は同じ構成を有する。ここでは、第1のコリメータ45と第2のコリメータ46をそれぞれ、上部電極板27の下面(裏面)において消耗レートの異なる部位に対応する位置に配置している。なお、第1のコリメータ45と第2のコリメータ46の配設位置は
図1の位置に限定されるものではなく、例えば、蓋体29の上部(外側)から蓋体29に設けた窓を通して、第1のコリメータ45と第2のコリメータ46とから上部電極板27へ低コヒーレンス光を照射することができる構成としてもよい。
【0044】
第1のコリメータ45は、上部電極板27のほぼ中央部の測定点B1において上部電極板27の上面に対向するように配置されており、上部電極板27の上面に向けて平行光線として調整された低コヒーレンス光を照射すると共に、上部電極板27からの反射光を受光し、受光した反射光を第2の光ファイバ52を介して2×2カプラ43へ伝送する。
【0045】
第2のコリメータ46は、上部電極板27の外周近傍の測定点B2において上面に対向するように配置されており、上部電極板27の上面に向けて平行光線として調整された低コヒーレンス光を照射すると共に、上部電極板27からの反射光を受光し、受光した反射光を第3の光ファイバ53を介して2×2カプラ43へ伝送する。
【0046】
分光器42は、大略的に、光分散素子と受光素子とで構成される。光分散素子は、第4の光ファイバ54を通して伝送された反射光を波長(波数)毎に所定の分散角で分散させる。光分散素子には、例えば、回折格子を用いることができる。また、受光素子は、光分散素子により分散された反射光を受光することにより、受光した反射光のスペクトル分布(強度vs波数)を検出する。受光素子としては、具体的には、複数のCCD素子が格子状に配置されたものが用いられ、CCD素子数がサンプリング数となる。
【0047】
受光素子は、前述の通り、CCD素子等の光電変換素子からなるため、分光器42から解析装置44へ出力される信号はアナログ電気信号である。そのため、解析装置44は、分光器42から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、A/D変換器から受信したスペクトル分布を示すデジタル信号に対してフーリエ変換を行い、後述する光路差を算出し、更に消耗量差Δtを算出するパーソナルコンピュータ等の演算装置を有する。なお、演算装置は、CPUが、ROMやRAM或いはハードディスクドライブ等に格納された所定のソフトウエア(プログラム)を実行することにより、フーリエ変換等の各種の演算処理を行う。ここでのフーリエ変換とは、波数(又は周波数又は波長)が変数の関数を距離が変数の関数に変換する処理である。
【0048】
図2に示すように、上部電極板27においてウエハWと対向する下面は、プラズマによる消耗レートの違いにより、中心部が外周部よりも多く消耗している。このとき、上部電極板27の下面において第1のコリメータ45から低コヒーレンス光が照射される測定点B1では、上部電極板27の上面と実質的に平行になっているものとみなし、同様に、上部電極板27の下面において第2のコリメータ46から低コヒーレンス光が照射される測定点B2でも、上部電極板27の上面と実質的に平行になっているものとみなす。
【0049】
上部電極板27の測定点B1での厚さt
1と測定点B2の厚さt
2との差が消耗量差Δtであり、この消耗量差Δtを求めるパラメータとしては、
L
1:2×2カプラ43から第1のコリメータ45の先端までの距離、
L
2:2×2カプラ43から第2のコリメータ46の先端までの距離、
d
1:第1のコリメータ45の先端から上部電極板27の測定点B1での上面(第1の測定対象表面)までの距離、
d
2:第2のコリメータ46の先端から上部電極板27の測定点B2での上面(第2の測定対象表面)までの距離、
t
1:上部電極板27の測定点B1での厚さ、
t
2:上部電極板27の測定点B2での厚さ、が挙げられる。
【0050】
図3は、消耗量測定装置40で上部電極板27の消耗量差Δtを求める計算に用いられる各種の光学パラメータを説明する図である。
図3に示す光学パラメータは、
n
s:波長λにおける上部電極板27の屈折率(Siの屈折率)、
n
f:波長λにおける第2,第3の光ファイバ52,53のコアの屈折率、
t
f:雰囲気から第2,第3の光ファイバ52,53への振幅透過率、
t
f’:第2,第3の光ファイバ52,53から雰囲気への振幅透過率、
t
s:雰囲気から上部電極板27への振幅透過率、
t
s’:上部電極板27から雰囲気への振幅透過率、
r
s:雰囲気から上部電極板27へ光が入射したときの振幅反射率、
r
s’:上部電極板27から雰囲気へ光が入射したときの振幅反射率、であり、ここでの雰囲気とは、第1,第2のコリメータ45,46が配置されているガス雰囲気や真空雰囲気を指す。
【0051】
2×2カプラ43において低コヒーレンス光を2分岐/合成するため、上部電極板27で反射されて戻ってきた反射光の2×2カプラ43での干渉を考える。2×2カプラ43から第1のコリメータ45へ至る光路での低コヒーレンス光の電界E
1、2×2カプラ43から第2のコリメータ46へ至る光路での低コヒーレンス光の電界E
2はそれぞれ、下記式2,3で表される。なお、下記式2,3の“A
1”,“A
2”はそれぞれ、2×2カプラ43で分岐された時点での各低コヒーレンス光の電界の振幅であり、“k
0”は、低コヒーレンス光の波数(=2π/λ
0)である。
【0053】
光の干渉は、下記式4で表される。そして、下記式4に示される各項は下記式5乃至7で表される。
【0055】
上記式4で示される信号に対してフーリエ変換を施すと、下記式8乃至14が得られる。なお、下記式8乃至14の後ろに示すP1〜P7は、
図4に示す各ピークに対応している。
図4は、下記式8乃至14のピーク位置を模式的に示す図であり、分光器42での測定可能な厚さの範囲が「検出可能範囲」として示されている。即ち、従来技術として既に説明した通り、中心波長をλ
0、波長帯域をΔw、検出素子数(CCD素子数)をNとしたとき、これらのパラメータと最大測定厚さxとの関係は上記式1で表され、低コヒーレンス光源41及び分光器42の上記仕様では、シリコンからなる部材では厚さが約2mmを超えるものの厚さを直接測定することはできない。したがって、上部電極板27の初期厚さが、例えば10mmである場合には、上部電極板27の厚さを直接求めることはできない。
【0057】
しかしながら、上部電極板27の消耗分布がプラズマエッチングプロセスに影響を与えるために、上部電極板27の交換時期を知りたいような場合には、上部電極板27の厚さを直接測定しなくとも、2点の測定点B1,B2の消耗量差を示す上記式11,14(ピークP4,P7)の動きにのみ着目すればよい。
【0058】
上記式11,14に示されるように、上記式14は、上記式11に2点の測定点B1,B2の厚さの差分、つまり、消耗量差Δtを示す“t
1−t
2(=Δt)”の項を加えた式となっている。2点の測定点B1,B2の厚さに差がない(t
1−t
2=Δt=0)場合には、上記式14は上記式11と同じとなって、ピークP4,P7が重なって現れることとなる。“t
1−t
2>0”の場合には、ピークP7はピークP4の右側(xが大きい側)に現れ、“t
1−t
2<0”の場合には、ピークP7はピークP4の左側(xが小さい側)に現れることとなる。
【0059】
よって、ピークP4,P7が分光器42の検出可能範囲内に収まるように消耗量測定装置40の光学系を設定することにより、測定点B1,B2間の消耗量差Δtを測定することができる。なお、上記式14に示される通り、測定点B1,B2間の消耗量差Δtは、ピークP4,P7間の距離“2n
s(t
1−t
2)”を2n
sで除算した値となる。
【0060】
特に、2×2カプラ43から第1,第2のコリメータ45,46までのそれぞれの長さの差(L
1−L
2)と、第1,第2のコリメータ45,46から上部電極板27の上面までの距離の差(d1−d2)とがゼロ(0)となるように調整しておけば、上記式14はx=0からのシフト量を示すこととなる。よって、このシフト量が予め定められた値に達したときに、上部電極板27を交換するようにすればよい。
【0061】
図5(a)は、消耗量測定装置40による消耗量(絶対値)の測定対象となる部材の形状を模式的に示す図である。低コヒーレンス光を照射する一方の測定点B11を部材61において経時的に消耗する部位に設定し、他方の測定点B12を部材61において経時的に消耗しない部位に設定する。
【0062】
部材61は、元々は、厚さがt
2で一定(表裏の各面が平行)である板状の部材である。部材61の測定点B11で消耗が進み、厚さがt
1となっても、測定点B12での厚さはt
2のままである。このとき、上記式11,14(ピークP4,P7の相対位置)により求められる“2n
s(t
1−t
2)”は、測定点B11と測定点B12における部材61内の低コヒーレンス光の光路差を示す。このとき、測定点B12では消耗は生じていないため、消耗量差Δt(=t
1−t
2)の絶対値は、測定点B11での消耗量の絶対値を示すものとなる。
【0063】
よって、例えば、プラズマプロセスにおいて、2点の消耗量差よりも特定の部位の消耗量(絶対値)がプロセス上の問題となる場合等には、このような測定方法を用い、消耗量(絶対値)が予め定められた値に達したときに、部材61を交換するようにすればよい。
【0064】
図5(b)は、消耗量測定装置40を温度測定装置として用いる場合に測定対象となる部材の形状を模式的に示す図である。部材71は、例えば、元々は厚さがt
1で一定(表裏の各面が平行)である板状の部材であるが、部材71の温度を測定するために、一部に厚さがt
2となる段差部が形成されている。
【0065】
部材71に形成された段差部は、経時的に消耗しないことを前提とする。そして、低コヒーレンス光を照射する測定点B21,B22を、部材71の段差部の厚さの異なる位置に設定する。この場合に、上記式14のパラメータと対応させるために、部材71における測定点B21での厚さをt
1、測定点B22での厚さをt
2とする。
【0066】
一方、部材71の段差部における段差Δt(=t
1−t
2)は、部材71を形成する材料の熱膨張率に依存して温度によって変化する。そこで、黒体炉等を用いて事前に部材71の温度と段差Δtに対応する光路差2n
sΔtとの関係(校正データ)を求めておいて、解析装置44が備えるROM、不揮発性RAM或いはハードディスクドライブ等の記憶媒体に記憶させておく。
図5(c)は、部材71の温度と段差Δtに対応する光路差2n
sΔtとの関係を模式的に示す図である。
【0067】
すると、消耗量測定装置40を用いて測定点B21,B22において、上記式11,14(ピークP4,P7の相対位置)により求められる光路差“2n
s(t
1−t
2)”は、段差Δt(=t
1−t
2)に対応する光路長の差を求めていることになる。よって、求めた光路差2n
s(t
1−t
2)=2n
sΔtを記憶媒体に記憶されている
図5(c)の校正データと照合することにより、部材71の温度を求めることができる。なお、黒体炉等を用いて事前に作成した部材71の温度と段差Δtとの関係を示す校正データと、消耗量測定装置40を用いて測定した光路差2n
s(t
1−t
2)と部材71の屈折率n
sの値とから算出した段差Δtとから、部材71の温度を求めるようにしてもよい。
【0068】
上記説明の通り、消耗量測定装置40によれば、チャンバ11内の部材に対して設定された2点の測定点に低コヒーレンス光を照射し、照射位置での部材からの反射光を用いて2点の測定点での部材内での光路差を求める。これにより、2点の測定点での厚さの差分(消耗量差)を求めることができる。また、このとき、部材に対して設定する2点の測定点のうちの一方を厚さが変化しない位置に設定し、他方の測定点を厚さが消耗等により薄くなる位置に設定することにより、他方の測定点の消耗量の絶対値を知ることができる。
【0069】
このような消耗量測定方法を用いれば、2点の測定点での実際の厚さを測定することができない厚さを有する部材に対する消耗管理をモニタすることができるため、消耗量の絶対値又は絶対値に応じてプロセス条件を微調整し、プロセスを安定化させることができ、ひいては、ウエハWに対する処理精度を高く維持して、製品品質を高く維持することができるようになる。また、適切なタイミングで部材の交換を行うことができるため、従来のように定期的にチャンバ11から部材を取り出して消耗量を測定する作業が不要になるため、作業負荷を軽減することができ、基板処理装置10の稼働率を高めることもできる。
【0070】
更に、消耗量測定装置40は、測定対象となる部材に事前に光路差として測定可能な範囲の段差を有する段差部を設けておくと共に、別途、部材の温度と段差との関係を求めておき、この段差部に2点の測定点を設けて段差を光路差として測定することにより、部材の温度を測定する温度測定装置として用いることができる。これにより、部材の温度をモニタすることによりプロセス管理を行い、部材温度に応じてプロセス条件を微調整し、プロセスを安定化させることができ、ひいては、ウエハWに対する処理精度を高く維持して、製品品質を高く維持することができるようになる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、消耗量測定装置40を用いて上部電極板27における消耗量差を測定したが、測定対象物は、上部電極板27に限定されるものではなく、低コヒーレンス光を透過する材料で構成された部材であれば,本発明を適用することができ、例えば、フォーカスリング25における内周側と外周側との消耗量差を検出することもできる。
【0072】
また、上述した本発明の実施の形態に係る消耗量測定装置や温度測定装置は、プラズマエッチングを行う基板処理装置に限定されず、その他の真空プロセスを行う基板処理装置に適用することができる。また、基板処理装置で処理される基板もウエハWに限定されるものではなく、例えば、FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板やフォトマスク、CD基板、プリント基板等のウエハW以外の基板であってもよい。