特許第6231423号(P6231423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231423フォトリソグラフィ用剥離液及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231423
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】フォトリソグラフィ用剥離液及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20171106BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G03F7/42
   H01L21/30 572B
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-80576(P2014-80576)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-200830(P2015-200830A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】上野 直久
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−097193(JP,A)
【文献】 特開2012−113101(JP,A)
【文献】 特開2004−205675(JP,A)
【文献】 特表2007−536565(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/109107(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
H01L 21/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フッ化水素酸、(B)下記一般式(b−1)で表される塩基性化合物、(C)水、及び(D)有機溶剤を含有し、
前記(D)有機溶剤が下記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを含む、フォトリソグラフィ用剥離液。
【化1】
(一般式(b−1)中、R1bからR5bは、それぞれ独立に水素原子、又は水酸基、カルボキシル基、アミノ基、若しくはホスホン酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R1bからR5bの少なくとも1つは水素原子である。R1bからR4bのうちいずれか1つとR5bとが相互に結合して環構造を形成してもよい。Y1b及びY2bは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示す。nが2以上のとき、複数のR5b同士及び複数のY1b同士は互いに同一であっても異なっていてもよく、R5b同士が相互に結合して環構造を形成してもよい。)
【化2】
(一般式(d−1)中、R1dはイソプロピル基、又は1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基を示し、R2d及びR3dは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項2】
前記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドが、N,N−ジメチルイソブチルアミド及び2−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチルプロパンアミドから選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のフォトリソグラフィ用剥離液。
【請求項3】
前記フッ化水素酸の規定度に対する前記塩基性化合物の規定度の比が0.1〜3.0である請求項1又は2に記載のフォトリソグラフィ用剥離液。
【請求項4】
Al又はAl合金からなる金属配線パターンの形成に用いられる請求項1から3のいずれか1項に記載のフォトリソグラフィ用剥離液。
【請求項5】
基板上に設けたフォトレジストパターンをマスクとして該基板をエッチングし、次いで前記フォトレジストパターンをアッシングした後、請求項1から4のいずれか1項に記載のフォトリソグラフィ用剥離液を用いて前記フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去するパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC、LSI等の半導体素子や液晶パネル素子の製造に好適に使用されるフォトリソグラフィ用剥離液、及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の半導体素子や液晶パネル素子を製造する際には、まず、シリコンウェハ、ガラス等の基板上にCVD蒸着された金属膜やSiO膜等の絶縁膜を形成する。次に、金属膜や絶縁膜上に、フォトレジスト組成物を均一に塗布してフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜を選択的に露光、現像してフォトレジストパターンを形成する。そして、このフォトレジストパターンをマスクとして基板をエッチング処理し、微細回路を形成する。その後、フォトレジストパターンをアッシングし、フォトリソグラフィ用剥離液を用いて、アッシング後のフォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去する。
【0003】
なお、上記の金属膜としては、アルミニウム(Al);アルミニウム−ケイ素(Al−Si)、アルミニウム−銅(Al−Cu)、アルミニウム−ケイ素−銅(Al−Si−Cu)等のアルミニウム合金(Al合金);チタン(Ti);窒化チタン(TiN)、チタンタングステン(TiW)等のチタン合金(Ti合金);タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、銅(Cu)等が用いられる。また、金属膜や絶縁膜以外にも、有機SOG(スピン・オン・グラス)膜等の層間絶縁膜も用いられ得る。これら金属膜、絶縁膜、層間絶縁膜等は、単層〜複数層にて基板上に形成される。
【0004】
ここで、上記のフォトリソグラフィ用剥離液としては、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を効果的に剥離除去することができ、且つ、金属に対する防食性に優れることが望まれている。両者の性能を達成するため、従来、フッ化水素酸及びそのカウンターアミンとしてアンモニアを用いた化合物(特許文献1〜3を参照)や、フッ化水素酸及びそのカウンターアミンとして1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7を用いた化合物(特許文献4を参照)等を用いることが提案されている。
【0005】
これらのフォトリソグラフィ用剥離液を用いてフォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去する際には、フォトリソグラフィ用剥離液を循環使用することがある。このような場合、フォトリソグラフィ用剥離液について、時間の経過によらず均一な性能特性を維持できることが望まれる。
【0006】
本発明者らが検討したところ、特許文献1〜4に記載されたフォトリソグラフィ用剥離液を長時間継続的に循環使用した場合、組成変化に伴いフォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物の剥離除去性能が低下し、また金属の腐食が進行するという問題があることを見出した。また、剥離除去性能を向上させるためにフォトリソグラフィ用剥離液を加温条件下で使用した場合、上記の問題がより顕著になることも見出した。
【0007】
これらの課題に鑑み、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を効果的に剥離除去することができ、金属に対する防食性に優れ、さらには長時間の継続使用も可能なフォトリソグラフィ用剥離液が提案されている(特許文献5)。具体的には、特許文献5では、フッ化水素酸と、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのような特定の構造の塩基性化合物と、水とを含有するフォトリソグラフィ用剥離液が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−83713号公報
【特許文献2】特開平9−197681号公報
【特許文献3】特開2000−47401号公報
【特許文献4】特開2000−181083号公報
【特許文献5】特開2013−097193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
確かに、特許文献5に記載されるフォトリソグラフィ用剥離液について、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物の良好な剥離性能と、優れた金属に対する防食性とを、フォトリソグラフィ用剥離液の循環使用時でも維持することができる。
【0010】
しかし、IC、LSI等の半導体素子や液晶パネル素子等の種々の素子を製造する際の加工の精密性について要求されるレベルは日々高まっている。ところが、特許文献5に記載されるフォトリソグラフィ用剥離液を循環使用する場合、フォトリソグラフィ用剥離液の金属の防食性能はある程度高いレベルで保たれるものの、エッチングレートが継時的に変化してしまう問題がある。
【0011】
このようなフォトリソグラフィ用剥離液の循環使用時のエッチングレートの変化が生じてしまうと、素子製品に含まれる金属や金属酸化物のわずかな膜厚の差異に起因して、製造ロット間で、素子製品の性能にバラツキが生じてしまう場合がある。
【0012】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を効果的に剥離除去することができ、金属に対する防食性に優れ、さらには長時間継続して使用される場合に、良好な剥離性能を維持でき、且つエッチングレートがほとんど変化しないフォトリソグラフィ用剥離液、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、フォトリソグラフィ用剥離液に含有されるフッ化水素酸のカウンターアミンとして所定の構造の塩基性化合物を用い、且つ、フォトリソグラフィ用剥離液に特定の構造のN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを有機溶剤として配合することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0014】
(1) 本発明の第一の態様は、(A)フッ化水素酸、(B)下記一般式(b−1)で表される塩基性化合物、(C)水、及び(D)有機溶剤を含有し、
(D)有機溶剤が下記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを含む、フォトリソグラフィ用剥離液。
【化1】
(一般式(b−1)中、R1bからR5bは、それぞれ独立に水素原子、又は水酸基、カルボキシル基、アミノ基、若しくはホスホン酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R1bからR5bの少なくとも1つは水素原子である。R1bからR4bのうちいずれか1つとR5bとが相互に結合して環構造を形成してもよい。Y1b及びY2bは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示す。nが2以上のとき、複数のR5b同士及び複数のY1b同士は互いに同一であっても異なっていてもよく、R5b同士が相互に結合して環構造を形成してもよい。)
【化2】
(一般式(d−1)中、R1dはイソプロピル基、又は1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基を示し、R2d及びR3dは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0015】
本発明の第二の態様は、基板上に設けたフォトレジストパターンをマスクとして該基板をエッチングし、次いで上記フォトレジストパターンをアッシングした後、本発明の第一の態様におけるフォトリソグラフィ用剥離液を用いて上記フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去するパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を効果的に剥離除去することができ、金属に対する防食性に優れ、さらには長時間継続して使用される場合に、良好な剥離性能を維持でき、且つエッチングレートがほとんど変化しないフォトリソグラフィ用剥離液、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
≪フォトリソグラフィ用剥離液≫
本発明に係るフォトリソグラフィ用剥離液(以下、単に「剥離液」という。)は、(A)フッ化水素酸と、特定の構造の(B)塩基性化合物と、(C)水と、特定の構造のN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを含む(D)有機溶剤とを含有する。以下、本発明に係る剥離液に含有される各成分について詳細に説明する。
【0018】
<(A)フッ化水素酸>
本発明に係る剥離液は、フッ化水素酸を必須に含有する。
フッ化水素酸の含有量は、剥離液中、0.05〜0.5質量%が好ましく、0.08〜0.32質量%がより好ましい。このような範囲とすることにより、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物の剥離除去性と金属に対する防食性とのバランスをより効果的にとることができる。
【0019】
<(B)塩基性化合物>
本発明に係る剥離液は、下記一般式(b−1)で表される塩基性化合物を必須に含有する。
【0020】
【化3】
(一般式(b−1)中、R1bからR5bは、それぞれ独立に水素原子、又は水酸基、カルボキシル基、アミノ基、若しくはホスホン酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R1bからR5bの少なくとも1つは水素原子である。R1bからR4bのうちいずれか1つとR5bとが相互に結合して環構造を形成してもよい。Y1b及びY2bは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、nは0〜5の整数を示す。nが2以上のとき、複数のR5b同士及び複数のY1b同士は互いに同一であっても異なっていてもよく、R5b同士が相互に結合して環構造を形成してもよい。)
【0021】
1bからR5bがとり得る炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、直鎖状が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基が最も好ましい。
このアルキル基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、又はホスホン酸基を有していてもよい。そのような具体例としては、2−ヒドロキシエチル基、2−カルボキシエチル基、2−アミノエチル基、2−ホスホン酸エチル基等が挙げられる。
【0022】
1bからR4bのうちいずれか1つとR5bとが相互に結合して形成し得る環構造、あるいはR5b同士が相互に結合して形成し得る環構造としては、ピペラジン環等が挙げられる。
【0023】
1b及びY2bがとり得る炭素数1〜3のアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、直鎖状が好ましい。具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。これらの中でも、エチレン基が最も好ましい。
【0024】
nは0〜5の整数を示し、0〜2の整数がより好ましい。
【0025】
上記一般式(b−1)で表される塩基性化合物の具体例としては、エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(=ジエチレントリアミン)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(=トリエチレンテトラミン)、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N−[(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N’−{2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}−1,2−エタンジアミン(=テトラエチレンペンタミン)、4−(2−アミノエチル)−N−(2−アミノエチル)−N’−{2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}−1,2−エタンジアミン、1−(2−アミノエチル)−4−{[(2−アミノエチル)アミノ]エチル}ピペラジン、1−{2−[[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル}ピペラジン、1−ピペラジンエタンアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、ジエチレントリアミン五酢酸等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(b−1)で表される塩基性化合物の中でも、下記一般式(b−2)で表される塩基性化合物が好ましい。
【0027】
【化4】
(一般式(b−2)中、Y1b、Y2b、及びnは、上記一般式(b−1)と同義である。)
【0028】
上記一般式(b−2)で表される塩基性化合物の具体例としては、エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(=ジエチレントリアミン)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(=トリエチレンテトラミン)、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチレントリアミン、トリメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0029】
これらの中でも、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(=ジエチレントリアミン)、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン(=トリエチレンテトラミン)が、金属に対する防食性が高く、より長時間の継続使用が可能となる点で特に好ましい。
これらの塩基性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記一般式(b−1)で表される塩基性化合物の含有量は、フッ化水素酸の含有量に応じて適宜調整できるが、剥離液中、0.01〜2.00質量%が好ましく、0.01〜1.24質量%がより好ましい。また、フッ化水素酸の規定度(N)に対する塩基性化合物の規定度(N)の比が0.1〜3.0であることが好ましく、0.1〜1.5であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物の剥離除去性と金属に対する防食性とのバランスをより効果的にとることができ、さらにはより長時間の継続使用も可能となる。
【0031】
<(C)水>
本発明に係る剥離液は、水を必須に含有する。
水の含有量は、剥離液中、1.0〜80質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
【0032】
<(D)有機溶剤>
本発明に係る剥離液は、下記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを含む(D)有機溶剤を必須に含有する。剥離液に、かかる(D)有機溶剤を配合することにより、継続使用によってもエッチングレートが変化しにくい剥離液を得やすい。
【0033】
【化5】
(一般式(d−1)中、R1dはイソプロピル基、又は1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基を示し、R2d及びR3dは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0034】
一般式R2d及びR3dは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0035】
一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドの具体例としては、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−エチル,N−メチルイソブチルアミド、N,N−ジエチルイソブチルアミド、2−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチルプロパンアミド、N−エチル−2−ヒドロキシ−N,2−ジメチルプロパンアミド、及びN,N−ジエチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−エチル,N−メチルイソブチルアミド、2−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチルプロパンアミド、及びN−エチル−2−ヒドロキシ−N,2−ジメチルプロパンアミドが好ましく、特にN,N−ジメチルイソブチルアミド、及び2−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチルプロパンアミドがより好ましい。(D)有機溶剤としては、2種以上のN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(D)有機溶剤は、上記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドとともに、当該N,N−ジアルキル脂肪酸アミド以外の他の水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。
【0037】
かかる水溶性有機溶剤の例としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;等が挙げられる。(D)有機溶剤は上記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドとともに、これらの水溶性有機溶剤を2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0038】
(D)有機溶剤が、上記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミド以外の水溶性有機溶剤を含む場合、(D)有機溶剤中の当該水溶性有機溶剤の含有量は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
【0039】
剥離液中の(D)有機溶剤の含有量は、1.0〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。また、(D)有機溶剤に含まれる上記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドの量は、剥離液の質量に対する、当該N,N−ジアルキル脂肪酸アミドの含有量が、1.0〜90質量%である量が好ましく、30〜80質量%である量が好ましい。このような量の上記一般式(d−1)で表されるN,N−ジアルキル脂肪酸アミドを含む(D)有機溶剤を、剥離液に含有させることで、継続使用によってもエッチングレートが変化しにくい剥離液を得やすい。
【0040】
<その他の成分>
本発明に係る剥離液は、さらに、防食剤を含有していてもよい。
この防食剤としては、特に限定されず、従来公知の防食剤を用いることができるが、ベンゾトリアゾール系化合物やメルカプト基含有化合物が好ましい。
【0041】
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(e−1)で表される化合物を挙げることができる。
【0042】
【化6】
【0043】
上記一般式(e−1)中、R1e、R2eは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ホルミル基、スルホニルアルキル基、又はスルホ基を示し、Qは水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜14の炭化水素基(ただし、当該炭化水素基はアミド結合又はエステル結合で中断されていてもよい)、又は下記一般式(e−2)で表される基を示す。
【0044】
【化7】
【0045】
上記一般式(e−2)中、R3eは炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R4e及びR5eは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基若しくはアルコキシアルキル基を示す。
【0046】
なお、上記一般式(e−1)において、R1e、R2e、Qの各定義中、炭化水素基は、芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、不飽和結合を有していてもよく、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、p−トリル基等が挙げられる。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、n−プロピル基、ビニル基等が挙げられる。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、例えばイソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。環状の脂肪族炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。置換基を有する炭化水素基としては、例えばヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基等が挙げられる。
【0047】
また、上記一般式(e−1)において、Qとしては、上記一般式(e−2)で表される基であることが好ましい。特に上記一般式(e−2)で表される基の中でも、R4e及びR5eがそれぞれ独立に炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基である基を選択することが好ましい。
【0048】
さらに、Qは、上記一般式(e−1)で表される化合物が水溶性を示すように選択されることが好ましい。具体的には、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、水酸基等が好ましい。
【0049】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、具体的には、ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、1−フェニルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−ベンゾトリアゾールカルボン酸メチル、5−ベンゾトリアゾールカルボン酸、1−メトキシ−ベンゾトリアゾール、1−(2,2−ジヒドロキシエチル)−ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール;「IRGAMET」シリーズとしてBASF社より市販されている、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタン、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスプロパン等が挙げられる。
これらの中でも、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−ベンゾトリアゾール、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール等が好ましい。
これらのベンゾトリアゾール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
上記メルカプト基含有化合物としては、メルカプト基に結合する炭素原子のα位、β位の少なくとも一方に、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。このような化合物として、具体的には、1−チオグリセロール、3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、3−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。これらの中でも、1−チオグリセロールを用いることが特に好ましい。
これらのメルカプト基含有化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
防食剤を含有する場合、その含有量は、剥離液中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0052】
また、本発明に係る剥離液は、さらに、界面活性剤を含有していてもよい。
この界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知の界面活性剤を用いることができるが、アセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。
【0053】
界面活性剤を含有する場合、その含有量は、剥離液中、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。
【0054】
本発明に係る剥離液は、上記(A)〜(C)成分を必須に含有することにより、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物の剥離除去性と金属(特にAl及びAl合金)に対する防食性とのバランスを効果的にとることができる。したがって、本発明に係る剥離液は、例えばAl又はAl合金からなる金属配線パターンの形成に好適に用いることができる。
また、本発明に係る剥離液は、長時間継続使用した場合であっても組成変化及び性能変化が生じにくいため、剥離液を循環使用する場合に好適である。
【0055】
≪パターン形成方法≫
本発明に係るパターン形成方法は、基板上に設けたフォトレジストパターンをマスクとして該基板をエッチングし、次いで上記フォトレジストパターンをアッシングした後、本発明に係る剥離液を用いて上記フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去するものである。以下、本発明に係るパターン形成方法の一例について詳細に説明する。
【0056】
金属膜を形成した基板としては、アルミニウム(Al);アルミニウム−ケイ素(Al−Si)、アルミニウム−銅(Al−Cu)、アルミニウム−ケイ素−銅(Al−Si−Cu)等のアルミニウム合金(Al合金);チタン(Ti);窒化チタン(TiN)、チタンタングステン(TiW)等のチタン合金(Ti合金);タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、銅(Cu)等の金属膜が形成された基板が挙げられる。本発明に係るパターン形成方法は、特に、Al又はAl合金からなる金属膜が基板上に形成されている場合に好適である。
【0057】
また、フォトレジスト組成物としては、(i)ナフトキノンジアジド化合物及びノボラック樹脂を含有するポジ型フォトレジスト組成物、(ii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物、及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型フォトレジスト組成物、(iii)露光により酸を発生する化合物、及び酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型フォトレジスト組成物、(iv)露光により酸を発生する化合物、架橋剤、及びアルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型フォトレジスト組成物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
次いで、フォトレジスト膜を選択的に露光する。露光は、紫外線、遠紫外線、エキシマレーザ、X線、電子線等の活性光線を発光する光源、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等により、所望のマスクパターンを介してフォトレジスト膜を露光してもよく、あるいは電子線をフォトレジスト膜に直接照射してもよい。
その後、必要に応じて加熱処理(PEB)を施す。
【0059】
次いで、現像液を用いて露光後のフォトレジスト膜を現像し、所定のフォトレジストパターンを得る。現像方法としては、浸漬法、パドル法、スプレー法等が挙げられる。
その後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク)を施す。
【0060】
次いで、形成されたフォトレジストパターンをマスクとして、上記金属膜を選択的にエッチングする。エッチングはウェットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよく、両者を組み合わせて用いてもよいが、ドライエッチングが好ましい。
【0061】
次いで、上記フォトレジストパターンをアッシングする。
なお、アッシング後の基板には、エッチング残渣物や、変質したフォトレジストパターンの残渣物が残ることが多々ある。
【0062】
次いで、本発明に係る剥離液を用いて上記フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去する。Al又はAl合金からなる金属膜が基板上に形成されている場合、残渣物としてはAl、AlCl、AlF、SiO等が挙げられる。剥離除去方法としては、浸漬法、スプレー法等が挙げられ、バッチ式又は枚葉式で処理を行うことができる。剥離除去時間は、特に限定されるものではないが、通常、バッチ処理では10〜30分間程度、枚葉処理では0.5〜3分間程度である。本発明に係る剥離液は枚葉処理で用いることが好ましい。剥離液の温度は、特に限定されるものではないが、通常、25〜70℃程度である。
その後、純水や低級アルコール等を用いたリンス処理、及び乾燥処理を施してもよい。
以上の工程により、基板に金属配線パターンを形成することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例を示し、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0064】
(剥離液の調製)
下記表1〜6に示す組成及び配合量に基づき剥離液を調製した。なお、各試薬については、特に記載の無いものに関しては、一般に市販されている試薬を用いた。また、表中の括弧内の数値は、特に断りの無い限り、質量%の単位で示されるものである。なお、実施例29〜32では、DMIBと、NMPとを質量比1:1で混合した混合溶剤を、水溶性有機溶剤として用いた。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
上記表1〜6中の略称は下記の通りである。
DETA:ジエチレントリアミン
TETA:トリエチレンテトラミン
MEA:モノエタノールアミン
TEtA:トリエタノールアミン
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7
PMDETA:ペンタメチルジエチレントリアミン
DMIB:N,N−ジメチルイソブチルアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PG:プロピレングリコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
【0072】
(Al−Si−Cu膜の膜厚変化)
約0.3μmのAl−Si−Cu膜を蒸着したシリコンウェハを、25℃又は35℃に加温した剥離液中に10分間浸漬し、浸漬前後の膜厚変化量を求めた。結果を表7〜9に示す。
【0073】
(剥離性・防食性)
約0.3μmのAl−Si−Cu膜を蒸着したシリコンウェハ上にTFT用フォトレジスト組成物であるTFR−H(東京応化工業社製)をスピンナー塗布し、90℃にて90秒間のプレベークを施し、膜厚2.0μmのフォトレジスト膜を形成した。このフォトレジスト膜に縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製)を用いてマスクパターンを介して紫外線を照射し、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像し、150℃にて90秒間のポストベークを施すことにより、ライン・アンド・スペース0.6μmのフォトレジストパターンを得た。
【0074】
次いで、フォトレジストパターンが形成された基板に対してエッチング装置TSS−6000(東京応化工業社製)を用いて、塩素と三塩化ホウ素との混合ガスをエッチャントとして、圧力5mmTorr、ステージ温度20℃で168秒間、Al−Si−Cu膜をエッチングしてAl−Si−Cu配線パターンを形成し、次いで酸素とトリフルオロメタンとの混合ガスを用い、圧力20mmTorr、ステージ温度20℃で30秒間、アフターコロージョン処理を行った。
【0075】
次いで、アッシング装置TCA−3822(東京応化工業社製)を用いて、圧力1.2mmTorr、ステージ温度220℃で40秒間、フォトレジストパターンをアッシングした。
【0076】
次いで、アッシング後のシリコンウェハを、枚葉処理で35℃に加温した剥離液中に45秒間浸漬し、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を剥離除去した。そして、Al−Si−Cu配線パターンが腐食していなかったものを○、腐食していたものを×として防食性を評価した。また、剥離除去処理後のシリコンウェハを光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物が残っていなかったものを○、残っていたものを×として剥離性を評価した。結果を表7〜9に示す。なお、防食性の評価が×であるものは腐食が進みすぎてフォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を確認することができなかったため、表中に「NA」と示した。
【0077】
(エッチングレート変化)
約0.2μmのAl膜を蒸着したシリコンウェハを、35℃に加温した剥離液中に10分間浸漬し、浸漬前後の膜厚変化からエッチングレート(Å/min)を算出した。また、35℃で48時間加温し続けた剥離液を用いて、上記と同様にエッチングレート(Å/min)を算出した。そして、エッチングレートの変化量が5Å/min未満であるものを○、5Å/min以上10Å/min未満であるものを△、10Å/min以上であるものを×として評価した。結果を表7〜9に示す。
【0078】
(組成変化)
剥離液を35℃で48時間加温し、加温前後における塩基性化合物の濃度変化を求めた。そして、濃度変化が0.15%未満であるものを○、0.15%以上であるものを×として評価した。結果を表6〜8に示す。
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
表7〜9から分かるように、フッ化水素酸のカウンターアミンとして上記一般式(b−1)で表される塩基性化合物を含有し、且つ、所定の構造のN,N−ジアルキルアミドとしてDMIBを含む有機溶剤を含有する、実施例1〜32の剥離液は、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を効果的に剥離除去することができ、しかも、Al−Si−Cuに対する防食性に優れていた。また、35℃で長時間加温してもエッチングレート変化や組成変化がほとんど生じず、循環使用に適していることが確認された。
【0083】
一方、フッ化アンモニウムを含有する比較例2の剥離液やフッ化水素酸のカウンターアミンとしてアンモニアを含有する比較例3の剥離液は、フォトレジストパターンの残渣物及びエッチング残渣物を効果的に剥離除去することができ、しかも、Al−Si−Cuに対する防食性に優れていたが、35℃で長時間加温するとエッチングレート変化や組成変化が生じ、循環使用に適さないものであった。
また、塩基性化合物を含有しない比較例1,18〜20の剥離液や、フッ化水素酸のカウンターアミンとしてアンモニア以外の塩基性化合物を含有する比較例4〜17の剥離液は、Al−Si−Cuに対する防食性が劣っていた。
さらに、所定の構造のN,N−ジアルキルアミドを有機溶剤として含有しない比較例21〜24の剥離液は、Al−Si−Cuに対する防食性に優れ、35℃で長時間加温する場合に組成変化が生じにくいものであったが、35℃で長時間加温する場合にエッチングレート変化を起こしやすいものであった。