(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路等の微細構造コンポーネントの製造に用いられる。マイクロリソグラフィプロセスは、照明系及び投影系を有するリソグラフィ装置で実行される。したがって、照明系により照明されたマスク(レチクル)を、投影系により、感光層(フォトレジスト)で被覆されて投影系の像平面に配置された基板(例えばシリコンウェーハ)に投影することで、マスク構造を基板の感光コーティングに転写するようにする。
【0003】
集積回路の製造における構造の小型化に対する欲求に駆られて、0.1nm〜30nmの範囲の、特に13.5nmの波長を有する光を用いるEUVリソグラフィ装置が現在開発中である。このようなEUVリソグラフィ装置の場合、大半の材料がこの波長の光を高度に吸収するので、以前のような屈折光学系、すなわちレンズの代わりに、反射光学系、すなわちミラーを用いなければならない。
【0004】
ミラーは、各ミラーの最大6自由度の運動と、その結果としてミラーの相互に関する、特にpm範囲の非常に正確な位置決めとを可能にするために、例えば、支持フレーム(フォースフレーム)に締結され、少なくとも部分的に操作可能に設計され得る。これにより、例えば熱的影響の結果として例えばリソグラフィ装置の動作中に生じる光学特性の変化を補償することができる。
【0005】
例えば特許文献1に記載されているように、ミラーを支持フレームに取り付けるために、通常は永久磁石に基づく重量補償デバイス(磁気重力補償器)が用いられる。このような重量補償デバイスは、例えば、支持フレームに結合されたハウジングと、ハウジングに対して可動でありミラーに結合された保持要素とを備える。保持要素には、例えば2つのリング磁石(永久磁石)が締結され、これらがハウジングに配置されたリング磁石(永久磁石)と共に鉛直方向の補償力を発生させる。補償力は、ミラーの重量に逆らって働き、その絶対値に関して実質的にミラーの重量に相当する。
【0006】
これに対して、特に同じく鉛直方向の各ミラーの移動は、いわゆるローレンツアクチュエータによって能動的に制御される。このようなローレンツアクチュエータは、通電可能なコイルと、それから離れた永久磁石とをそれぞれが備える。これらは共に、各ミラーの移動を制御する調整可能な磁力を発生させる。例えば特許文献2に記載されているように、1つ又は複数のローレンツアクチュエータを重量補償デバイスに組み込むことができる。この場合、ローレンツアクチュエータのコイルは、ハウジング内に配置され、保持要素上に配置された2つのリング磁石に作用する。
【0007】
しかしながら、重量補償デバイスが発生させた補償力が経時的に変わり得ることが問題である。例えば、用いられる磁石の磁力が老化の結果として弱まる。すると、不十分な(又は過剰な)重量補償をローレンツアクチュエータによって相殺しなければならず、これがアクチュエータのコイルにおける一定の電流をもたらす。一定の電流はさらに熱源を形成し、対応するミラーの位置決めに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
この問題を解決する手法が、特許文献1に記載されている。これは、重量補償デバイスの周りに配置された磁気的に軟質な材料の鉛直方向に変位可能なリングを提供する。リングは、その位置に応じて、重量補償デバイスの磁場に対応して影響を及ぼすことにより、補償力を調整する。この解決手段の欠点は、対応して移動させなければならない付加的な機械部品があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
こうした背景の下、本発明の目的は、重量補償を用いる改良型の構成体及び同じく改良型のリソグラフィ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、コンポーネントと、コンポーネントの重量を補償する重量補償デバイスとを有する、リソグラフィ装置の構成体が提供される。重量補償デバイスは、コンポーネントの重量を超え且つコンポーネントの重量に逆らって働く第1磁力をコンポーネントに作用させるよう設計された第1磁気デバイスと、コンポーネントの重量の方向に働く第2磁力をコンポーネントに作用させるよう設計された第2磁気デバイスとを備える。第1磁力は、第2磁力及び重量の和に相当し、第2磁気デバイスは、第1磁力と同時に同じ絶対値だけ第2磁力を低減するよう設計される。
【0012】
第1磁力F
1が、第2磁力F
2及び重量F
Gの和に相当する、すなわちF
1=F
2+F
Gであることは、コンポーネントを重量補償デバイスによって保持できることを意味する。したがって、例えばアクチュエータからの付加的な力が、コンポーネントの取付けに必要ない。第2磁力が第1磁力と同時に同じ絶対値だけ低減されることは、第1磁力が常に第2磁力及び重量の和に相当することを意味する。結果として、重量補償が常に確保される。
【0013】
本構成体の一実施形態によれば、第1磁気デバイスは、磁気材料又は磁化可能材料の第1要素と、磁気材料又は磁化可能材料の第2要素とを有し、第1要素及び第2要素は、相互に対して磁力を作用させる。両要素が磁気材料を含み得る。代替的に、2つの要素の少なくとも一方が磁気材料を含む。
【0014】
本発明の場合、「磁気」材料は、永久磁気材料、特に磁気的に半硬質な材料(例えば、AlNiCo磁石)又は磁気的に硬質な材料(例えば、希土類磁石、特にNdFeB)を意味する。「磁化可能」材料は、特にコイルによって磁化可能な、例えば磁気的に軟質な材料(例えば鉄)をここでは意味する。
【0015】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1要素は第1永久磁石を有し、且つ/又は第2要素は第2永久磁石を有する。永久磁石が、別の永久磁石に吸引又は反発磁力を作用させることができるのが有利である。さらに、永久磁石が、吸引磁力を磁化可能材料に作用させることができる。
【0016】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、本構成体は、第1支持デバイス及び第2支持デバイスも有し、第1要素又は第2要素はコンポーネントに接続され、他方の要素は第1支持デバイス又は第2支持デバイスに接続される。重量補償デバイスは、支持デバイスに接続されることが有利である。支持デバイスによって、本構成体をリソグラフィ装置に接続することができる。
【0017】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1磁気デバイスの第1要素と第2要素との間の距離は調整可能である。調整は、機械的な調整デバイスによって、例えばねじ及び関連の対ねじの組み合わせによって行うことができる。2つの磁気材料間又は磁気材料と磁化可能材料との間の距離を近付けるほど、吸引又は反発磁力が大きくなる。2つの要素が相互に作用させる磁力は、2つの要素間の距離によって調整できることが有利である。
【0018】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第2磁気デバイスは、磁気材料又は磁化可能材料の第3要素と、磁気材料又は磁化可能材料の第4要素とを有し、第3要素及び第4要素は、相互に対して磁力を作用させる。両要素が磁気材料を含み得る。代替的に、2つの要素の少なくとも一方が磁気材料を含む。
【0019】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第3要素は第3永久磁石を有し、且つ/又は第4要素は第4永久磁石を有する。永久磁石が、別の永久磁石に吸引又は反発磁力を作用させることができるのが有利である。さらに、永久磁石が、吸引磁力を磁化可能材料に作用させることができる。
【0020】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、本構成体は、第1支持デバイス及び第2支持デバイスも有し、第3要素及び第4要素はコンポーネントに接続され、他方の要素は第1支持デバイス又は第2支持デバイスに接続される。
【0021】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第2磁気デバイスの第3要素と第4要素との間の距離は調整可能である。調整は、機械的な調整デバイスによって、例えばねじ及び関連の対ねじの組み合わせによって行うことができる。2つの磁気材料間又は磁気材料と磁化可能材料との間の距離を近付けるほど、吸引又は反発磁力が大きくなる。2つの要素が相互に作用させる磁力は、2つの要素間の距離によって調整できることが有利である。
【0022】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1磁気デバイスの少なくとも1つの永久磁石の単位時間当たりの磁力の第1低下率(percentage loss)は、第2磁気デバイスの少なくとも1つの永久磁石の単位時間当たりの磁力の第2低下率とは異なるので、第1磁気デバイスの第1磁力及び第2磁気デバイスの第2磁力は、同じ絶対値だけ同時に減少する。単位時間当たりの第1磁力及び第2磁力の低下率が異なる結果として、第1磁力及び第2磁力は、同じ絶対値だけ同時に減少することが有利である。結果として、重量補償デバイスは、コンポーネントの重量を常に補償することができる。
【0023】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1低下率は第2低下率よりも小さく、第1磁力は第2磁力よりも大きいので、第1磁力及び第2磁力は、同じ絶対値だけ同時に減少する。第1磁力の小さな低下率を、第2磁力の大きな低下率によって補償できることが有利である。この場合、第1磁力は第2磁力よりも大きいので、第2磁力と比べて小さな割合で第1磁力が減少することで、第1磁力及び第2磁力が同じ絶対値だけ減少する。第1磁力は、その絶対値に関してコンポーネントの重量よりも大きい。第2磁力は、それに対応して第1磁力よりもはるかに小さい。したがって、第2磁力及びコンポーネントの重量の和は、常に第1磁力に相当する。第1磁気デバイスの少なくとも1つの永久磁石の減磁曲線と、第2磁気デバイスの少なくとも1つの永久磁石の減磁曲線とは、第1磁力及び第2磁力が同じ絶対値だけ同時に減少するように相互に一致させられる。
【0024】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1磁気デバイスの少なくとも1つの永久磁石は、第2磁気デバイスの少なくとも1つの永久磁石とは異なる材料を含む。異なる磁気材料は、異なる減磁曲線を有し得ることが有利である。
【0025】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1磁気デバイスは、第1磁力でコンポーネントを押さえるためにコンポーネントの下に配置され、第2磁気デバイスは、第2磁力でコンポーネントを押さえるためにコンポーネントの上に配置される。有利には、第1磁力はコンポーネントの重量とは逆の方向に働き、第2磁力はコンポーネントの重量の方向に働く。結果として、第1磁力の方向は第2磁力の方向とは逆である。したがって、第2磁力の力ベクトルとコンポーネントの重量の力ベクトルとを加算すると、第1磁力の力ベクトルと釣り合うことが有利であり、すなわち合力はゼロである。
【0026】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1磁気デバイスは、第1磁力でコンポーネントを引き寄せるためにコンポーネントの上に配置され、第2磁気デバイスは、第2磁力でコンポーネントを引き寄せるためにコンポーネントの下に配置される。有利には、第1磁力はコンポーネントの重量とは逆の方向に働き、第2磁力はコンポーネントの重量の方向に働く。結果として、第1磁力の方向は第2磁力の方向とは逆である。したがって、第2磁力の力ベクトルとコンポーネントの重量の力ベクトルとを加算すると、第1磁力の力ベクトルと釣り合うことが有利であり、すなわち合力はゼロである。
【0027】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、複数の第1磁気デバイス及び第2磁気デバイスが設けられる。第1磁気デバイス及び第2磁気デバイスは、複数の個々の第1磁気デバイス及び第2磁気デバイスに分割することができる。個々の第1磁気デバイスの個々の磁力は、このときコンポーネントの重量よりもはるかに小さくなり得ることが有利である。
【0028】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第2磁気デバイスは、第2磁力の和を第1磁力の和と同時に同じ絶対値で低減するよう設計される。有利には、第2磁力及びコンポーネントの重量の和のみが、第1磁力の和によって相殺されればよい。
【0029】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、本構成体は、コンポーネントを位置決めするアクチュエータも有し、アクチュエータは、コンポーネントに接続された第1要素、第2要素、第3要素、又は第4要素にコイルによって磁力を作用させる。コンポーネントは、アクチュエータによって所望の場所に位置決めできることが有利である。アクチュエータは、ローレンツアクチュエータであることが好ましい。
【0030】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、コンポーネントは、光学素子用の保持フレームを有し、且つ/又は光学素子を有する。
【0031】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、光学素子はミラー又はレンズを含む。
【0032】
本構成体のさらに別の実施形態によれば、第1支持デバイス及び/又は第2支持デバイスは支持フレーム(フォースフレーム)である。第1支持デバイス及び/又は第2支持デバイスは、リソグラフィ装置に接続された支持フレームとして形成され得ることが有利である。他方では、リソグラフィ装置のセンサフレームが、光学素子を監視するセンサを担持することができる。
【0033】
さらに、上述の構成体を備えたリソグラフィ装置、特にEUV又はDUVリソグラフィ装置が提供される。EUVは、「極紫外線」を表し、0.1nm〜30nmの作用光の波長を指す。DUVは、「深紫外線」を表し、30nm〜250nmの作用光の波長を指す。
【0034】
本発明のさらに他の可能な実施態様は、例示的な実施形態に関して上述又は後述される特徴又は実施形態の明確に述べていない組み合わせも含む。この点で、当業者であれば、個々の態様を本発明の各基本形態に改良又は追加として加えることもするであろう。
【0035】
本発明のさらに他の有利な構成及び態様は、従属請求項の主題であり、後述する本発明の例示的な実施形態の主題でもある。以下の本文において、本発明を、添付図面を参照して好ましい実施形態に基づきより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
別段の指示のない限り、図中で同じ参照符号は同じか又は機能的に同じ要素を示す。図示は必ずしも一定の縮尺ではないことにも留意されたい。特に本文中及び図中で(ニュートンで)示す力は、単に例として挙げたものであり、決して限定的なものとして理解すべきではないことを明示しておく。指示される特定の数値は、特定の例示的な実施形態のより容易な理解に役立つことを単に意図したものである。
【0038】
図1は、一実施形態によるEUVリソグラフィ装置100の概略図を示し、これは、ビーム整形系102、照明系104、及び投影系106を備える。ビーム整形系102、照明系104、及び投影系106は、それぞれが真空ハウジング内に設けられ、真空ハウジングは、より詳細には図示しない真空排気デバイスを用いて排気される。真空ハウジングは、機械室(より詳細には図示せず)によって囲まれ、機械室には、光学素子を機械的に移動させるか又は調整する駆動デバイスが設けられる。電気コントローラ等をこの機械室内に設けることもできる。
【0039】
ビーム整形系102は、EUV光源108、コリメータ110、及びモノクロメータ112を有する。EUV領域(極紫外線領域)、すなわち例えば0.1nm〜30nmの波長域の放射線を発するプラズマ源又はシンクロトロンを、例えばEUV光源108として設けることができる。EUV光源108が発した放射線は、最初にコリメータ110によって集束され、その後に所望の作動波長がモノクロメータ112によって除去される。結果として、ビーム整形系102は、EUV光源108が発した光の波長及び空間分布を適合させる。EUV光源108が発生させたEUV放射線114は、空気透過率が比較的低く、こうした理由で、ビーム整形系102、照明系104、及び投影系106内のビーム誘導空間が排気される。
【0040】
図示の例では、照明系104は、第1ミラー116及び第2ミラー118を有する。これらのミラー116、118は、例えば瞳整形用のファセットミラーとして形成され、EUV放射線114をフォトマスク120に伝えることができる。
【0041】
フォトマスク120は、反射光学素子としても形成され、系102、104、106の外側に配置される。フォトマスク120は、投影系106によってウェーハ122等に縮小像として描かれる構造を有する。この目的で、投影系106は、ビーム誘導空間に例えば第3ミラー124及び第4ミラー126を有する。EUVリソグラフィ装置100のミラーの数は図示の数に限定されず、より多くの又は少ないミラーを設けることも可能であることに留意されたい。さらに、ミラーは、概してビーム整形のために前面が湾曲している。
【0042】
EUVリソグラフィ装置100の構成体200を、例として第4ミラー126(以下、単にミラー126)に関して説明する。しかしながら、構成体200は、EUVリソグラフィ装置100の他の全てのミラーの場合にも用いることができる。さらに、構成体200は、リソグラフィ装置の他のコンポーネントのために設けることもできる。これは、特にレンズ、フォトマスク120の取付け、又はウェーハ122の取付けに当てはまる。
【0043】
図2は、例示的な一実施形態による構成体200の概略図を示す。構成体200は、ミラー126及び重量補償デバイス202を有する。重量補償デバイス202に関しては、これは第1磁気デバイス204及び第2磁気デバイス206を備える。図示の第1磁気デバイス204は、第1永久磁石210を有する第1要素208と、第2永久磁石214を有する第2要素212とを示す。図示の第2磁気デバイス206は、第3永久磁石218を有する第3要素216と、第4永久磁石222を有する第4要素220とを示す。
【0044】
第1磁気デバイス204の第1永久磁石210及び第2永久磁石214は、相互から距離224だけ離れており、第2磁気デバイス206の第3永久磁石218及び第2永久磁石222は、相互から距離226だけ離れている。第1磁気デバイス204の第1永久磁石210は、支持デバイス228に接続され、第1磁気デバイス204の第2永久磁石214は、ミラー126の第1面230に接続され、第2磁気デバイス206の第3永久磁石218は、ミラー126の第2面232に接続され、第2磁気デバイス206の第4永久磁石222は、第2支持デバイス234に接続される。この場合、第1支持デバイス228及び/又は第2支持デバイス234は、リソグラフィ装置100の支持フレーム(フォースフレーム)であり得る。
図2に示すミラー126は、その第2面232に光学有効面236を有する。
【0045】
永久磁石210、214、218、222は、S磁極及びN磁極を有する。第1永久磁石210及び第2永久磁石214のN磁極は、相互に対向している。同様に、第3永久磁石218及び第4永久磁石222のN磁極は、相互に対向している。結果として、第1永久磁石210及び第2永久磁石214は、第3永久磁石218及び第4永久磁石222と同様に、相互に反発磁力を作用させる。結果として、第1磁気デバイス204の第2永久磁石214は、第1磁力F
1でミラー126の第1面230に押し当たり、第2磁気デバイス206の第3永久磁石218は、第2磁力F
2でミラー126の第2面232に押し当たる。
【0046】
第1磁気デバイス204の第1磁力F
1は、ミラー126の重量F
Gを超えており、ミラー126の重量F
Gに逆らって働く。第2磁気デバイス206の第2磁力F
2は、ミラー126の重量F
Gの方向に働く。この場合、第1磁力F
1は、第2磁力F
2及び重量F
Gの和に相当する。この場合、第2磁気デバイス206は、第1磁力F
1と同時に同じ絶対値だけ第2磁力F
2を低減する。
【0047】
第1磁力F
1が第2磁力F
2及び重量F
Gの和に相当することは、重量補償デバイス202によってミラー126の均衡を保つことができることを意味する。ミラー126の取付けに付加的な力は必要ない。第2磁力F
2を第1磁力F
1と同時に同じ絶対値だけ低減することは、第1磁力F
1が第2磁力F
2及び重量F
Gの和に常に相当することを意味する。その結果、重量F
Gの補償が常に確保される。
【0048】
図2は、第1時点t
1における構成体200を示す。第1時点t
1における第1磁力F
1aは1000Nであり、第1時点t
1における第2磁力F
2aは100Nであり、重量F
Gは900Nである。1000−100N=900Nなので、第1時点t
1におけるミラー126に対する合力はゼロである。
【0049】
図3は、第2時点t
2における老化した永久磁石210、214、218、222を有する
図2からの構成体200を示す。永久磁石210、214、218、222は、経時的に磁力を失う場合がある。第2時点t
2は、例えば、第2時点t
1の7年後である。第2時点t
2における第1磁力F
1bは995Nであり、第2時点t
2における第2磁力F
2bは95Nであり、重量F
Gは900Nである。995N−95N=900Nなので、時点t
2におけるミラー126に対する合力もゼロである。したがって、第2磁気デバイス206の永久磁石218、222は、磁力F
2の5%を失っており、一方で第1磁気デバイス204の永久磁石210、214は、磁力F
1の0.5%しか失っていない。
【0050】
図4は、
図2及び
図3に示す第1磁気デバイス204及び第2磁気デバイス206の第1磁力F
1及び第2磁力F
2の差ΔF
1及びΔF
2の絶対値を経時的に示す。第1時点t
1から第2時点t
2までの変化が示されている。第1磁力F
1及び第2磁力F
2は、経時的に減少する。したがって、経時的な差ΔF
1及びF
2の絶対値は増加する。第1磁力F
1の差ΔF
1の絶対値が、第2磁力F
2の差ΔF
2の絶対値と同時に増加することが分かり得る。結果として、第2磁力F
2は、第1磁力F
1と同時に同じ絶対値だけ減少する。
図4に示す変化ΔF
1、ΔF
2は線形である。代替的に、変化ΔF
1、ΔF
2は非線形の推移を辿ることもできる。
【0051】
第1磁気デバイス204の少なくとも1つの永久磁石210、214の単位時間当たりの磁力F
1の第1低下率は、第2磁気デバイス206の少なくとも1つの永久磁石218、222の単位時間当たりの磁力F
2の第2低下率とは異なる。この場合、第1低下率は第2低下率よりも小さい。さらに、第1磁力F
1は第2磁力F
2のよりも大きい。このようにして、第1磁力F
1及び第2磁力F
2は、同じ絶対値で同時に減少することができる。
【0052】
第1磁力F
1は第2磁力F
2よりも大きいので、第1磁力F
1の減少率(percentage decrease)が第2磁力F
2と比べて小さいことで、第1磁力F
1及び第2磁力F
2で同じ絶対値の減少が得られる。したがって、第2磁力F
2及びミラー126の重量F
Gの和は、第1磁力F
1に常に相当する。いずれにせよ、第1磁気デバイス204の少なくとも1つの永久磁石210、214の減磁曲線と第2磁気デバイス206の少なくとも1つの永久磁石218、222の減磁曲線とは、第1磁力F
1及び第2磁力F
2が同じ絶対値だけ同時に減少するように相互に一致させられる。これを達成するために、第1磁気デバイス204の少なくとも1つの永久磁石210、214は、第2磁気デバイス206の少なくとも1つの永久磁石218、222とは異なる材料を含む。
【0053】
例示的な一実施形態において、第1磁気デバイス204の永久磁石210、214は、サマリウムコバルト(Sm
2Co
17)を含み得る。この場合、第2磁気デバイス206の永久磁石218、222は、ネオジム−鉄−ホウ素(Nd
2Fe
14B)を含み得る。代替的に、又はさらに、第2磁気デバイス206の永久磁石218、222はフェライトを含み得る。フェライトは、特定の組成物中で磁気的に硬質な特性を有するフェリ磁性セラミック材料である。
【0054】
第1磁気デバイス204の少なくとも1つの永久磁石210、214の減磁曲線と第2磁気デバイス206の少なくとも1つの永久磁石218、222の減磁曲線とは、相互に一致させられる。同時に、減磁曲線は、一連の因子による影響を受ける。かかる因子は、例えば、材料の老化、材料の温度依存性、及び材料の磁化プロセスである。さらに、磁石の形態は減磁曲線に影響を及ぼし得る。特に、外部電磁場も材料の減磁曲線に影響を及ぼす。材料は、第1磁力F
1が第2磁力F
2及び重量F
Gの和に常に等しく相当するよう選択される。
【0055】
図5は、構成体200のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図2及び
図3からの例示的な実施形態とは対照的に、
図5からの構成体200では、第1磁気デバイス204がミラー126の上に配置される。第2磁気デバイス206は、ミラー126の下に配置される。さらに、第1永久磁石210のN磁極は、第2永久磁石214のS磁極の方向に揃えられるので、第1永久磁石210及び第2永久磁石214は吸引し合う。さらに、第4永久磁石222のN磁極は、第3永久磁石218のS磁極の方向に揃えられるので、第4永久磁石222及び第3永久磁石218は吸引し合う。したがって、第1磁気デバイス204は、第1磁力F
1で重量F
Gの方向に逆らってミラー126を引き寄せる。さらに、第2磁気デバイス206は、第2磁力F
2で重量F
Gの方向にミラー126を引き寄せる。
【0056】
図5は、第1時点t
1における構成体200を示す。ミラー126を引き寄せている第1時点t
1における第1磁力F
1aは1000Nであり、ミラー126を引き寄せている第1時点t
1における第2磁力F
2aは100Nであり、重量F
Gは900Nである。1000N−100N=900Nなので、第1時点t
1におけるミラー126に対する合力はゼロである。
【0057】
図6は、第2時点t
2における老化した永久磁石210、214、218、222を有する
図5からの構成体200を示す。第2時点t
1は、例えば、第1時点t
1の7年後である。第2磁気デバイス206の永久磁石218、222は、この時点で磁力F
2の5%を失っており、一方で第1磁気デバイス204の永久磁石210、214は、この時点で磁力F
1の0.5%しか失っていない。したがって、ミラー126を引き寄せている第2時点t
2における第1磁力F
1bは995Nであり、ミラー126を引き寄せている第2時点t
2における第2磁力F
2bは95Nであり、重量F
Gは900Nである。995N−95N=900Nなので、時点t
2におけるミラー126に対する合力もゼロである。結果として、第2磁力F
2は、第1磁力F
1と同時に同じ絶対値だけ減少する。
【0058】
図7は、構成体200のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。原理上、第1磁気デバイス204及び第2磁気デバイス206は、任意の数の第1磁気デバイス204及び第2磁気デバイス206に分割することができる。
図2及び
図3からの例示的な実施形態とは対照的に、
図7からの構成体200では、2つの第1磁気デバイス204及び2つの第2磁気デバイス206が設けられる。
図7に示す構成体200では、ミラー126の光学有効面236が2つの第2磁気デバイス206間に設けられる。
【0059】
図7は、第1時点t
1における構成体200を示す。第1時点t
1における第1磁力F
1aはそれぞれ500Nであり、第1時点t
1における第2磁力F
2aはそれぞれ50Nであり、重量F
Gは900Nである。2×500N−2×50N=900Nなので、第1時点t
1におけるミラー126に対する合力はゼロである。
【0060】
図8は、第2時点t
2における老化した永久磁石210、214、218、222を有する
図7からの構成体200を示す。第2時点t
1は、例えば、第1時点t
1の7年後である。第2磁気デバイス206の永久磁石218、222は、この時点で磁力F
2の5%を失っており、一方で第1磁気デバイス204の永久磁石210、214は、この時点で磁力F
1の0.5%しか失っていない。したがって、第2時点t
2における第1磁力F
1bはそれぞれ497.5Nであり、第2時点t
2における第2磁力F
2bはそれぞれ47.5Nであり、重量F
Gは900Nである。2×497.5N−2×47.5N=900Nなので、時点t
2におけるミラー126に対する合力もゼロである。結果として、第2磁力F
2は、第1磁力F
1と同時に同じ絶対値だけ減少する。
【0061】
図7及び
図8に示す例示的な実施形態において、各第1磁気デバイス204は同じ第1磁力F
1を有し、各第2磁気デバイス206は同様に同じ磁力F
2を有する。代替的に、第2磁気デバイス206が、第1磁力F
1の和と同時に同じ絶対値だけ第2磁力F
2の和を低減すれば十分である。
【0062】
図9は、構成体200のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図5及び
図6からの例示的な実施形態とは対照的に、
図9からの構成体200では、磁化可能材料900、例えば鉄が、第4永久磁石222の代わりに配置される。第3永久磁石218及び磁化可能材料900は、相互に対して吸引磁力を作用させることができ、材料900は、永久磁石218によって磁化される。その結果、第2磁気デバイス206は、第2磁力F
2でミラー126を引き寄せることができる。
【0063】
図5及び
図6による実施形態から類推して、
図9に示す第1磁気デバイス204では、第1永久磁石210及び/又は第2永久磁石214が磁力を失う。第2磁気デバイス206の場合、第3永久磁石218のみが磁力を失う。第4要素220は永久磁石を有しないので、経時的に力を失うこともない。ここでも、第1磁力F
1は、第2磁力F
2及び重量F
Gの和に等しく、第1磁力F
1及び第2磁力F
2は、同時に同じ絶対値だけ減少する。
【0064】
構成体200はアクチュエータ902を有し得る。ミラー126の受動的な重量補償及び位置決めを行う重量補償デバイス202とは対照的に、アクチュエータ902は、ミラー126の鉛直方向Zの位置を能動的に制御するのに役立つ。
【0065】
アクチュエータ902はさらに、第1永久磁石210の周りに配置されたコイル904を含む。コイル904は、第2永久磁石214に磁力を作用させることができる。これにより、ミラー126をアクチュエータ902によって位置決めすることができる。
【0066】
原理上、永久磁石210、214、218、222、及び/又は磁化可能材料900間の距離224、226は、構成体200の幾何学的形状、関与する要素の質量、及び永久磁石210、214、218、222の磁力によって決まる。代替的に、第1次支持デバイス228及び/又は第2支持デバイス234を、鉛直方向Zに移動させることができる。このようにして、第1磁気デバイス204の第1要素208と第2要素212との間の距離224と、第2磁気デバイス206の第3要素216と第4要素220との間の距離とに影響を及ぼすことができる。
【0067】
図10は、構成体200のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。構成体200は、コンポーネント126及び重量補償デバイス202を有する。重量補償デバイス202は、軸1000に関して回転対称に構成される。さらに、重量補償デバイス202は、管1002、接続要素1004、及びハウジング1006を有する。重量補償デバイス202の管1002は、軸1000に沿って延びる。この場合、管1002は、接続要素1004によってハウジング1006に接続されるので、軸1000に沿って拘束的に誘導される。軸1000の方向は、重量補償デバイス202がミラー126を保持するためにミラー126に補償力を及ぼす方向でもある。図示の重量補償デバイス202は、第1磁気デバイス204及び第2磁気デバイス206を有する。
【0068】
第1磁気デバイス204は、3つの永久磁石リング1008、1010、1012を備える。第1永久磁石リング1012は、ハウジング1006に接続される。第1内側永久磁石リング1008及び第2内側永久磁石リング1010は、管1002に接続される。第1内側永久磁石リング1008及び第2内側永久磁石リング1010は、軸1000の方向に磁化される。これとは対照的に、第1外側永久磁石リング1012は、軸1000に関して径方向に磁化される。
【0069】
第2磁気デバイス206は、2つの永久磁石リング1014、1016を備える。第2外側永久磁石リング1016は、ハウジング1006に接続される。第3内側永久磁石リング1014は、管1002に接続される。
【0070】
さらに、第1磁気デバイス204は、ミラー126の重量F
Gを超え且つミラー126の重量F
Gに逆らって働く第1磁力F
1をミラー126に作用させるよう設計される。第2磁気デバイス206は、ミラー126の重量F
Gの方向に働く(すなわちミラー126を引き寄せる)第2磁力F
2をミラー126に作用させるよう設計される。この場合、第1磁力F
1は、第2磁力F
2及び重量F
Gの和に等しい。さらに、第2磁気デバイス206は、第1磁力F
1と同時に同じ絶対値だけ第2磁力F
2を低減するよう設計される。
【0071】
管1002は、ミラー126に補償力を及ぼすためにミラー126に接続される。重量補償デバイス202に割り当てられた結合デバイス1018によるこの接続は、
図10に概略的にしか示さない。結合デバイス1018は、ミラー126を軸1000に対して垂直な平面内で自由に可動に取り付ける。他方では、重量F
Gの方向に、すなわち軸1000の方向に、ミラー126は重量補償デバイス202によって保持される。
【0072】
さらに、
図10は、第1アクチュエータ1020及び第2アクチュエータ1022を示す。アクチュエータ1020、1022、いわゆるローレンツアクチュエータは、管1002によってミラー126を位置決めするのに役立つ。
【0073】
第1アクチュエータ1020は、第1コイル1024及び第2内側永久磁石リング1010によって形成される。第1アクチュエータ1020の第1コイル1024は、軸1000に関して周方向に配置される。第1アクチュエータ1020の第1コイル1024の地場は、管1002に接続された第2内側永久磁石リング1010に力を及ぼす。結果として、力は管1002に伝達される。第1アクチュエータ1020の第1コイル1024は、ハウジング1006に接続される。
【0074】
第2アクチュエータ1022は、第2コイル1026及び第1内側永久磁石リング1008によって形成される。第2アクチュエータ1022の第2コイル1026も、軸1000に関して周方向に配置される。第2アクチュエータ1022の第2コイル1026の地場は、管1002に接続された第1内側永久磁石リング1008に力を及ぼす。結果として、力が管1002に伝達される。第2アクチュエータ1022の第2コイル1026は、ハウジング1006に接続される。第1アクチュエータ1020の第1コイル1024は、外側永久磁石リング1012の上に配置される。これに対して、第2アクチュエータ1022の第2コイル1026は、外側永久磁石リング1012の下に配置される。
【0075】
図10に、コイル1024、1026の電流の方向を示す。符号
(平面から観察者に向かう)及び
(観察者から平面へ向かう)を用いる。
【0076】
種々の構成体200を、EUVリソグラフィ装置100のミラー126に基づき説明してきた。しかしながら、図示の構成は、当然ながらEUVリソグラフィ装置100の任意の他のミラーにも適用することができる。
【0077】
さらに、EUVリソグラフィ装置100における構成体200の例示的な実施形態を説明してきた。リソグラフィ装置は、EUVリソグラフィ装置100である必要はない。別の波長の光(例えば、ArFエキシマレーザによる193nm)を用いることもできる。さらに、言及したミラーの代わりにレンズを用いることもできる。
【0078】
本発明は、種々の例示的な実施形態に基づき説明したが、決してそれらに限定されるものではなく、多種多様な方法で変更することができる。