特許第6231592号(P6231592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231592タングステンケミカルメカニカル研磨におけるディッシング低減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231592
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】タングステンケミカルメカニカル研磨におけるディッシング低減
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171106BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20171106BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20171106BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 621D
   H01L21/304 622X
   B24B37/00 H
   C09G1/02
   C09K3/14 550C
   C09K3/14 550Z
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-21676(P2016-21676)
(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公開番号】特開2016-167580(P2016-167580A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年4月12日
(31)【優先権主張番号】62/115,264
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/014,210
(32)【優先日】2016年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュテンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク ジェイ.リウ
(72)【発明者】
【氏名】シャオボー シー
【審査官】 川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−288537(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/093195(WO,A1)
【文献】 特開2004−172606(JP,A)
【文献】 特開2010−129941(JP,A)
【文献】 特表2006−502579(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0178742(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0149591(US,A1)
【文献】 特開平10−265766(JP,A)
【文献】 米国特許第05916855(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00−3/60
B24B 21/00−39/06
C06B 21/00−49/00
C06C 5/00−15/00
C06D 3/00−7/00
C06F 1/00−5/04
C09F 1/00−11/00
C09G 1/00−3/00
C09K 3/14
C10F 5/00−7/08
C10H 1/00−21/16
H01L 21/304
H01L 21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01wt%〜30wt%の研磨剤、
0.01wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸化剤、
0.0005wt%〜約10wt%の活性化剤、
0.1ppm〜10,000ppmの添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水である研磨組成物であって、
前記研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記活性化剤は、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属はFe, Cu, Mn, Co, Ce及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)Co, Cu, Mo, Nb, Ni, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記添加剤はサルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記pH調節剤は水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは2〜10である、研磨組成物。
【請求項2】
前記サルコシネートはココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル、ステアロイルサルコシネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記関連カルボン酸化合物はミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる不飽和脂肪酸の塩、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩からなる群より選ばれる飽和脂肪酸の塩、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記炭化水素置換サルコシネートはアルキル、アルケニル又はアルキニルからなる群より選ばれる置換基を有し、アルキル置換基では1個の炭素原子、アルケニルでは2個の炭素原子、又は、アルキニル置換基では3〜24個の炭素原子の範囲であり、ここで、アルケニル置換基の二重結合の数、又は、アルキニル置換基の三重結合の数は4個までである、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマーはポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記ポリエチレンオキシド(PEO)は一般分子構造
【化1】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指す)を有する、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記エトキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記添加剤はポリエチレンオキシド(PEO)、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項6】
コロイドシリカ、鉄がコーティングされたシリカ粒子、過酸化水素、下記からなる群より選ばれるもの:プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及びそれらの組み合わせを含み、そしてpHは5〜8である、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項7】
0.0001wt%〜0.03wt%の範囲の殺生物剤をさらに含む、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項8】
界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤、研磨増強剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含む、請求項1記載の研磨組成物。
【請求項9】
タングステンを含む少なくとも1つの表面を含む半導体基板、
研磨パッド、及び、
研磨組成物、
を含む、ケミカルメカニカル平坦化のための装置であって、
前記研磨組成物は、
0.01wt%〜30wt%の研磨剤、
0.01wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸化剤、
0.0005wt%〜約10wt%の活性化剤、
0.1ppm〜10,000ppmの添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水である研磨組成物であって、
前記研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記活性化剤は、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属はFe, Cu, Mn, Co, Ce及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)Co, Cu, Mo, Nb, Ni, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記添加剤はサルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記pH調節剤は水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは2〜10であり、
前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を前記研磨パッド及び前記研磨組成物と接触させる、装置。
【請求項10】
前記サルコシネートはココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル、ステアロイルサルコシネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記関連カルボン酸化合物はミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる不飽和脂肪酸の塩、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩からなる群より選ばれる飽和脂肪酸の塩、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記炭化水素置換サルコシネートはアルキル、アルケニル又はアルキニルからなる群より選ばれる置換基を有し、アルキル置換基では1個の炭素原子、アルケニルでは2個の炭素原子、又は、アルキニル置換基では3〜24個の炭素原子の範囲であり、ここで、アルケニル置換基の二重結合の数、又は、アルキニル置換基の三重結合の数は4個までである、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマーはポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記ポリエチレンオキシド(PEO)は一般分子構造
【化2】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指す)を有する、請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記エトキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項9記載の装置。
【請求項13】
前記研磨組成物はコロイドシリカ、鉄がコーティングされたシリカ粒子、過酸化水素、下記からなる群より選ばれるもの:プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及びそれらの組み合わせを含み、そしてpHは5〜8である、請求項9記載の装置。
【請求項14】
前記研磨組成物は0.0001wt%〜0.03wt%の範囲の殺生物剤、界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤、研磨増強剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含む、請求項9記載の装置。
【請求項15】
タングステンを含む少なくとも1つの表面を含む半導体基板のケミカルメカニカル平坦化のための研磨方法であって、
前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を研磨パッドと接触させること、
前記表面に研磨組成物をデリバリーすること、
ここで、前記研磨組成物は、
0.01wt%〜30wt%の研磨剤、
0.01wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸化剤、
0.0005wt%〜約10wt%の活性化剤、
0.1ppm〜10,000ppmの添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水である研磨組成物であって、
前記研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記活性化剤は、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属はFe, Cu, Mn, Co, Ce及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)Co, Cu, Mo, Nb, Ni, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記添加剤はサルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記pH調節剤は水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは2〜10である、及び、
C)前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨すること、
の工程を含む、研磨方法。
【請求項16】
前記サルコシネートはココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル、ステアロイルサルコシネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記関連カルボン酸化合物はミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる不飽和脂肪酸の塩、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩からなる群より選ばれる飽和脂肪酸の塩、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記炭化水素置換サルコシネートはアルキル、アルケニル又はアルキニルからなる群より選ばれる置換基を有し、アルキル置換基では1個の炭素原子、アルケニルでは2個の炭素原子、又は、アルキニル置換基では3〜24個の炭素原子の範囲であり、ここで、アルケニル置換基の二重結合の数、又は、アルキニル置換基の三重結合の数は4個までである、請求項15記載の研磨方法。
【請求項17】
前記エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマーはポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記ポリエチレンオキシド(PEO)は一般分子構造
【化3】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指す)を有する、請求項15記載の研磨方法。
【請求項18】
前記エトキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項15記載の研磨方法。
【請求項19】
前記研磨組成物はコロイドシリカ、鉄がコーティングされたシリカ粒子、過酸化水素、下記からなる群より選ばれるもの:プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及びそれらの組み合わせを含み、そしてpHは5〜8である、請求項15記載の研磨方法。
【請求項20】
前記半導体基板はTEOSを含む少なくとも1つの表面をさらに含み、タングステン(WRR)/TEOS(TEOSRR)の除去速度の比は60を超える、請求項19記載の研磨方法。
【請求項21】
前記研磨組成物は0.0001wt%〜0.03wt%の範囲の殺生物剤、界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤、研磨増強剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含む、請求項15記載の研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2015年2月12日に出願された米国仮出願第62/115,264号の優先権を主張し、その全内容をすべての許容可能な目的のために参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
本発明は、半導体デバイス、特に、タングステン含有材料のケミカルメカニカル研磨又は平坦化(CMP)のために使用されるスラリー、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、よく知られた多層相互接続の使用により相互接続される。相互接続構造は、通常、メタライゼーションの第一の層、相互接続層、メタライゼーションの第二のレベル、そして、典型的には、メタライゼーションの第三のレベル及び次のレベルを有する。二酸化ケイ素、時に、低k材料などの階層間誘電性材料を使用して、シリコン基板又はウエルにおけるメタライゼーションの異なるレベルを電気的に分離する。異なる相互接続レベルの間の電気的接続は、金属化ビア、特にタングステンビアの使用により製造される。米国特許第4,789,648号明細書は、絶縁体フィルムにおいて複数の金属化層及び金属化ビアを製造するための方法を記載している。同様に、金属接触を使用して、ウエル内で形成された相互接続レベルとデバイスとの間の電気的接続を形成する。金属ビア及び接触は、一般に、タングステンで充填され、一般に、誘電体材料にタングステン金属層などの金属層を接着するための窒化チタン(TiN)及び/又はチタンなどの接着層を使用する。
【0004】
一つの半導体製造プロセスにおいて、金属化ビア又は接触は、ブランケットタングステン堆積、次いで、CMP工程によって形成される。典型的なプロセスにおいて、ビアホールは層間誘電体(ILD)を通して相互接続線又は半導体基板へエッチングされる。次に、窒化チタン及び/又はチタンなどの薄い接着層は、一般に、ILDの上に形成され、エッチングされたビアホールに向けられる。その後、タングステン膜は、接着層の上及びビア内にブランケット堆積される。ビアホールがタングステンで充填されるまで堆積を続ける。最後に、過剰のタングステンをCMPにより除去し、金属ビアを形成する。
【0005】
別の半導体製造プロセスにおいて、タングステンをトランジスタにおけるゲート電極として使用する。というのは、A. Yagishitaら, IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 47, NO. 5, MAY 2000により教示されるように、タングステンはゲート電極材料として従来から使用されているポリシリコンよりも優れた電気特性を有するからである。
【0006】
典型的なCMPプロセスにおいて、基板は回転研磨パッドと直接接触して配置される。キャリアは基板の裏側に圧力を加える。研磨プロセスの間に、パッド及びテーブルを回転させ、その間に、下向きの力は基板背面に対して維持される。研磨「スラリー」、研磨「組成物」又は研磨「配合物」と一般に呼ばれる研磨剤及び化学反応性溶液を、研磨の間にパッドの上に堆積させ、そこで、ウエハに対するパッドの回転及び/又は移動は、前記スラリーを研磨パッドと基板表面との間の空間にもたらす。スラリーは、研磨される膜と化学反応させることによって研磨プロセスを開始する。スラリーがウエハ/パッド界面に供給されたときに、基板に対するパッドの回転運動により研磨プロセスは促進される。絶縁体上の所望の膜が除去されるまで研磨をこのように継続させる。CMPにおけるタングステンの除去は、機械的な摩耗及び溶解に続くタングステン酸化の間の相乗効果によるものと考えられる。
【0007】
特にタングステンなどの金属用途でのCMPにおいて一般に遭遇する問題の1つは、ディッシングである。タングステンCMPスラリーは、ディッシングが最少化され、それにより、機能デバイスに重要な特定の設計標的を満たすように配合されなければならない。タングステン用途において、特定の抵抗率は設計されたとおりにデバイスが機能するために必要とされ、該抵抗率はCMP工程後に特定の残留タングステン厚さを要求する。もしディッシングが大きすぎるならば、残留W厚さは薄すぎ、それゆえ、抵抗率は高すぎるであろう。
【0008】
米国特許第6,776,810号明細書は、金属基板上での使用のために、シリカもしくはアルミナ粒子とともにCMPスラリー中で使用される、分子量が15,000以上である正に荷電した多価電解質の使用を記載している。様々な異なるカチオン性ホモ−及びコポリマーはこの特許で言及されている。
【0009】
米国特許第7,247,567号明細書は、タングステンエッチング剤、タングステンエッチングの抑制剤及び水を含む組成物の使用により、タングステンを含む基板をケミカルメカニカル研磨する方法であって、タングステン研磨の抑制剤は少なくとも1つの窒素含有複素環式環又は第三級もしくは第四級窒素原子を含む少なくとも1つの繰り返し基を含むポリマー、コポリマー又はポリマーブレンドである方法を記載している。その発明はタングステン含有基板を研磨するのに特に有用であるケミカルメカニカル研磨組成物をさらに提供する。
【0010】
例えば、米国特許第8,858,819 号明細書は、タングステンスラリー中の抑制剤としての(ポリアルキレンイミン)、高い正電荷密度を有するポリマーの使用を記載している。
【0011】
米国特許第8,492,276号明細書は酸性(pH 1〜3)タングステンスラリー中の使用のためのカチオン性水溶性ポリマーの使用を記載している。様々な異なるタイプのカチオン性ポリマーは示されており、そして配合物はパターン化ウエハ上で評価された。トログラフィーの良好な性能は報告されたが、ディッシング値は特に提供されていない。
【0012】
米国特許第6,083,838号明細書は金属、特にタングステン表面を平坦化するためのCMPスラリーに界面活性剤を添加することを記載している。1つの実施形態において、その方法は研磨剤及び酸化剤の従来成分を含むスラリーを選択することを含む。酸化剤は既知の酸化速度を有し、そして金属を酸化することができることが知られている。この実施形態はスラリーの特性を変更させることにより、金属の酸化剤への暴露速度を低減すること、金属を低減された速度で酸化し、金属の酸化物を形成すること、及び、前記酸化物を研磨剤で除去し、半導体ウエハの平坦化表面を生じさせることをさらに含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
研磨における所望の除去速度を維持しながら、ディッシングを低減することができる新規のCMPスラリー、特に、中性pHタングステンスラリーの必要性がなおも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は半導体デバイス又は基板を研磨する際の所望の除去速度を維持しながらディッシングを低減するCMPスラリー、装置及びCMPスラリーの使用方法に関する。より詳細には、本発明はタングステンを含有する半導体デバイス又は基板を研磨するのに所望の除去速度を維持しながらディッシングを低減するCMPスラリー、装置及びCMPスラリーの使用方法に関する。
【0015】
1つの態様において、研磨組成物は本明細書中に記載され、該研磨組成物は、
研磨剤、
少なくとも1種の酸化剤、
活性化剤、
添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水であり、
スラリーのpHは1〜14であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは3〜9であり、そして最も好ましくは〜8である。
【0016】
別の態様において、ケミカルメカニカル平坦化のための装置は本明細書中に記載され、該装置は、
タングステンを含む少なくとも1つの表面を含む半導体基板、
研磨パッド、及び、
研磨組成物、
を含み、該研磨組成物は、研磨剤、少なくとも1種の酸化剤、活性化剤、添加剤、pH調節剤を含み、残部は水であり、スラリーのpHは1〜14であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは3〜9であり、そして最も好ましくは〜8であり、
前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を前記研磨パッド及び前記研磨組成物と接触させる。
【0017】
なおも別の態様において、タングステンを含む少なくとも1つの表面を含む半導体基板のケミカルメカニカル平坦化のための研磨方法は本明細書中に記載され、該方法は、
a)前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を研磨パッドと接触させること、
b)前記表面に研磨組成物をデリバリーすること、
ここで、研磨組成物は、
c)研磨剤、少なくとも1種の酸化剤、活性化剤、添加剤、pH調節剤を含み、残部は水であり、スラリーのpHは1〜14であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは3〜9であり、そして最も好ましくは〜8である、及び、
C)前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨すること、
の工程を含む。
【0018】
研磨剤としては、限定するわけではないが、コロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性剤含有粒子、複合材粒子、格子ドープされた無機酸化物粒子及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
研磨剤の濃度は、0.01wt%〜30wt%の範囲であることができ、好ましいのは約0.05wt%〜約10wt%であり、より好ましいのは約0.1〜2wt%である。質量%は組成物の質量に対するものである。
【0020】
酸化剤としては、限定するわけではないが、過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物が挙げられる。
【0021】
酸化剤濃度は0.01wt%〜30wt%であることができるが、より好ましい酸化剤の量は約0.5wt%〜約10wt%である。質量%は組成物の質量に対するものである。
【0022】
活性化剤としては、限定するわけではないが、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属は鉄、銅、マンガン、コバルト、セリウム及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)限定するわけではないが、シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物を含む可溶性触媒、Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Ni, Os, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
スラリー中の活性化剤の量は約0.0005wt%〜約10wt%であることができ、好ましくは0.001wt%〜2wt%であり、より好ましくは0.01wt%〜1wt%であり、最も好ましくは0.05wt%〜0.5wt%である。
【0024】
添加剤としては、限定するわけではないが、サルコシネート、関連カルボン酸化合物及び炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、及び、エトキシル化界面活性剤が挙げられる。
【0025】
添加剤の一般的な量は0.1〜10,000ppmであり、好ましくは1ppm〜1000ppmであり、より好ましくは10〜500ppmである。
【0026】
サルコシネート、関連カルボン酸化合物及び炭化水素置換サルコシネートは0.1〜1000ppm、好ましくは1〜500ppm、そしてより好ましくは10〜250ppmの濃度で存在することができる。
【0027】
サルコシネートの例としては、限定するわけではないが、オレオイルサルコシネート、N−ラウロイルサルコシネートが挙げられる。
【0028】
ポリエチレンオキシド(PEO)及びエトキシル化界面活性剤の量は1ppm〜10,000ppm、好ましくは10ppm〜1000ppm、より好ましくは50〜500ppmの範囲である。
【0029】
pH調節剤としては、限定するわけではないが、水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0030】
組成物のpHは望ましくは、約pH4〜約pH10、好ましくは約pH5〜約pH9、そしてより好ましくは約pH6〜約pH 8の程度である。
【0031】
研磨組成物は0.0001質量%〜0.03質量%の範囲の殺生物剤をさらに含むことができる。
【0032】
研磨組成物は、場合により、界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤及び研磨増強剤を含む。
【0033】
本発明の他の態様、特徴及び実施形態は続く開示及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【0034】
本発明は添付の図面との組み合わせで以下に説明され、ここで、同様の数字は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】大きい特徴部サイズ及び小さい特徴部サイズ(大きいボンドパッド及び小さい0.5μライン)での、添加剤なし(対照)及び添加剤(サルコシネート及びポリエチレンオキシド(PEO、MW=100,000g/mol))ありのスラリーから得られるディッシング低減結果を示す。
図2】大きい特徴部サイズでの、異なる濃度の添加剤(サルコシネート及びポリエチレンオキシド(PEO、MW=100,000g/mol))を有するスラリーから得られるディッシング低減結果を示す。
図3】大きい特徴部サイズでの、添加剤なし(対照)及び添加剤(エトキシル化界面活性剤)ありのスラリーから得られるディッシング低減結果を示す。
図4】添加剤なし(対照)及び添加剤(サルコシネート及びポリエチレンオキシド(PEO、MW=100,000g/mol))ありのスラリーから得られる研磨結果(W及びTEOの除去速度)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
パターン化ウエハ上でのディッシング低減する又は性能を一般に改良するためになされてきた以前の研究は酸性スラリー中で非常に有用であることが実証されているカチオン性ポリマー添加剤に焦点が当てられていたことが理解されうる。しかしながら、これらは中性pHでは負に荷電されたシリカ粒子により不安定な配合物をもたらすので、中性pHタングステンスラリーにおいては使用できない。それゆえ、タングステン除去速度を遅らせることなく、大きいボンドパッド特徴部ならびに微細ライン構造のディッシングを低減することができるスラリーが要求されている。
【0037】
本発明はタングステン含有半導体デバイス、基板又は膜のケミカルメカニカル平坦化の(CMP)において使用されうるスラリーに関する。本発明のCMPスラリーはタングステン除去速度を低下させることなく、所望の用途に応じて、大きな特徴部及び/又は小さいラインにおいてディッシングを低減するというユニークな結果を提供する。
【0038】
CMPスラリーは研磨剤、少なくとも1種の酸化剤(すなわち、フリーラジカル製造体でない酸化剤)、活性化剤又は触媒、ディッシングを低減するための添加剤、pH調節剤を含み、残部は水である。スラリーのpHは1〜14であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは3〜9であり、そして最も好ましくは〜8である。
【0039】
CMPスラリーは、また、界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤及び研磨向上剤を含むことができる。
【0040】
[研磨剤]
CMPスラリー中の研磨剤は活性化剤含有粒子(すなわち、活性化剤コーティングを有する研磨剤)又は非活性化剤含有粒子であることができる。
【0041】
研磨剤は、一般に、研磨粒子の形態であり、そして典型的には、1種の材料又は異なる材料の組み合わせの多くの研磨粒子である。一般に、適切な研磨粒子は大体球形であり、個々の粒子のサイズは異なることができるけれども、有効直径は約30〜約300ナノメートル(nm)である。凝集又は団結粒子の形態の研磨剤は、好ましくは、さらに処理されて、個々の研磨粒子を形成する。
【0042】
スラリーは1つを超えるタイプの研磨剤を有することができ、そして異なるタイプの研磨剤では異なるサイズを有することが有利であることがある。
【0043】
研磨剤は、金属酸化物、メタロイド酸化物又は金属酸化物とメタロイド酸化物との化学混合物であることができる。
【0044】
適切な金属酸化物研磨剤としては、限定するわけではないが、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、スピネル、チタニア、タングステンの酸化物もしくは窒化物、ジルコニア、又は、1種以上の他の鉱物又は元素でドープされた上記のいずれかのもの、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。金属酸化物研磨剤は任意の種々の技術により製造でき、該技術としては、ゾル-ゲル、水熱、加水分解、プラズマ、熱分解、エアロゲル、発煙及び沈殿技術ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0045】
沈降金属酸化物及びメタロイド酸化物は、金属塩及び酸又は他の沈殿剤の反応による既知の方法で得ることができる。熱分解法金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物粒子は酸素/水素炎中での適切な蒸発性出発材料の加水分解により得られる。ある例は、四塩化ケイ素からの熱分解法二酸化ケイ素である。酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ゲルマニウム及び酸化バナジウムの熱分解法酸化物及びその化学及び物理混合物は適する。
【0046】
研磨剤は2種の分子種SiO2 及びAl2O3からなるなどの混合酸化物であることができる。アルミナをコーティングしたシリカを含む研磨剤も有用であることができる。
【0047】
1つの好ましい実施形態において、金属酸化物研磨剤は沈降又は発煙研磨剤であり、好ましくは発煙研磨剤である。例として、発煙金属酸化物研磨剤はヒュームドシリカ又はヒュームドアルミナ、又は、ヒュームドシリカ/アルミナであることができる。
【0048】
シリカは好ましい研磨剤である。シリカは沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカヒュームド、熱分解法シリカ、1種以上のアジュバントでドープされたシリカ、又は、任意の他のシリカ系化合物のいずれかであることができる。
【0049】
別の実施形態において、シリカは、例えば、ゾル−ゲル法、水熱法、プラズマ法、発煙法、沈降法及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる方法により製造されうる。
【0050】
シリカは、1つの実施形態において、有利には、粒子サイズが約2〜約300ナノメートルであり、例えば、約30〜約250ナノメートルである。平均粒子サイズが100nmを超え、又は、好ましくは150nmを超える粒子は、それがwt%での同一の研磨粒子濃度でCMPで非常に高い除去速度を提供するので好ましい。
【0051】
研磨粒子は適切な方法を用いて精製することができ、該方法は、例えば、金属不純物を除去するためのイオン交換であり、コロイド安定性を改良するのを支援することができる。或いは、高純度研磨粒子を使用する。
【0052】
一般に、上記の研磨剤は単独で使用されても又は互いに組み合わせて使用してもよい。異なるサイズを有する2種以上の研磨粒子は優れた性能を得るために組み合わされてよい。
【0053】
本発明のほとんどの実施形態において、研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0054】
研磨剤の濃度は0.01wt%〜30wt%の範囲であることができ、好ましいのは約0.05wt%〜約10wt%であり、より好ましいのは約0.1〜2wt%である。質量%は組成物の質量に対するものである。
【0055】
[添加剤]
本発明のCMPスラリーはタングステン研磨についてのディッシングを低減することができる添加剤を含む。
【0056】
スラリー中に使用される添加剤としては、限定するわけではないが、(1)サルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、(2)エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、及び(3)エトキシル化界面活性剤が挙げられる。
【0057】
適切なサルコシネートとしては、限定するわけではないが、ココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル及びステアロイルサルコシネートが挙げられる。
【0058】
適切なサルコシネート関連カルボン酸化合物としては、限定するわけではないが、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸及びドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸の塩、及び、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩などの飽和脂肪酸の塩が挙げられる。
【0059】
適切な炭化水素置換サルコシネートは置換基を有し、該置換基としては、限定するわけではないが、アルキル、アルケニル又はアルキニルが挙げられ、アルキル置換基では1個の炭素原子を有し、アルケニル置換基では2個の炭素原子を有し、又は、アルキニル置換基では3〜24個までの炭素原子を有する。アルケニルの二重結合の数又はアルキニルの三重結合の数は4個までであることができる。
【0060】
サルコシネート、関連カルボン酸化合物及び炭化水素置換サルコシネートは0.1〜5000ppm、より好ましくは1〜500ppm、そして最も好ましくは10〜250ppmの濃度で存在することができる。
【0061】
適切な有機ポリマー及びコポリマーはエチレンオキシド繰り返し単位を含む分子を有し、ポリオキシエチレン(POE)が挙げられる。ポリオキシエチレン(POE)はポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール (PEG)とも呼ばれる。3つの名称は化学的に同義であるが、歴史的にPEGは20,000 g/mol未満の分子量を有するオリゴマー及びポリマー、PEOは20,000 g/molを超える分子量を有するポリマー、そしてPOEは任意の分子量のポリマーを指す傾向がある。
【0062】
ある例はポリエチレンオキシド(PEO)であり、一般分子構造
【化1】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指し、そして分子量 (グラム/モル)は200〜5,000,000である)を有する。好ましい範囲は1000〜1000000であり、そして最も好ましい濃度範囲は10000〜400000である。
【0063】
エトキシル化界面活性剤は炭化水素又はポリプロピレンオキシド鎖などの疎水性部分と、ポリエチレンオキシド鎖である親水性部分を含む化合物である。
【0064】
適切なエトキシル化界面活性剤としては、限定するわけではないが、エトキシル化ノニオン性界面活性剤、例えば、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)-エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー及びポリエーテルシリコーン界面活性剤が挙げられる。好ましいタイプのエトキシル化界面活性剤としては、PEG基及びPPG基を含むブロックコポリマー、エトキシル化脂肪族アルコール及びポリエーテルシリコーン界面活性剤が挙げられる。
【0065】
プロピレングリコール(PPG)-エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマーは異なるモノマー重合物のブロックを含む。好ましいブロックポリマーはPEGモノマー及びPPGモノマーで製造されたポリマーを含む。適切なブロックポリマーはPEGブロック及びPPGブロックを含むポリマーを含むことができ、該PEGブロック及びPPGブロックは異なる順序、例えば、PEG-PPG-PEG, PPG-PEG-PPGで配置されうる。ブロックコポリマーにおけるPEG/PEPモル比は1:99〜99:1の範囲であることができる。ブロックコポリマーの分子量は500〜50000、好ましくは1000〜10000の範囲であることができる。PEG-PPGブロックコポリマーの例としては、限定するわけではないが、BASF chemicalsからのブロックコポリマーのPluronic(商標)ファミリー、例えば、Pluronic(商標) 10R5, L81, L61, L31, L92, L72, L62, L42, P94, P84, P64, L64, L44, P85, P75, P65, L35, F87, F77, F98, F88, F68及びF38ならびにSynperonic PEシリーズ界面活性剤が挙げられる。
【0066】
脂肪族アルコールエトキシレートはノニオン性界面活性剤であり、それは疎水性テール部分(脂肪族アルコール部分)及び親水性極性ヘッド部分(エトキシ鎖部分)を含み、そのため、油性相及び水性相の両方に溶解する傾向があり、そして液体の表面張力を低下させる傾向がある。界面活性剤分子の疎水性部分は6個以上の炭素原子、より好ましくは8個以上の炭素原子を含む有機基を含むことができる。エトキシレート基/疎水性基のモル比は7〜25であることができ、より好ましくは9〜22であることができる。
【0067】
シリコーン界面活性剤は2つの非類似成分である非極性疎水性シリコーン部分及び極性親水性ポリエーテル部分を含む。ポリエーテル部分はポリエチレンオキシドポリマー又はポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのコポリマーを含むことができる。シリコーンポリエーテル界面活性剤の例としては、Air Products & ChemicalsからのDABCO(商標)シリーズ界面活性剤及びEvonik IndustriesからのTegopren(商標)シリーズ界面活性剤が挙げられる。
【0068】
2つの基本的なタイプのシリコーンポリエーテル界面活性剤は、シロキサンとポリエーテルとの間の結合のタイプにより調製されうる。結合が主鎖上のケイ素原子とポリエーテルの炭素原子との間(Si-C)であるときには、コポリマーは非加水分解性であると考えられる。結合がケイ素原子とポリエーテル上の酸素原子との間(Si-O-C)であるときには、分子は加水分解性であり、そして酸性又は塩基性媒体中で開裂を受けやすいと考えられる。商業生産される界面活性剤の多くは非加水分解性形態である。非加水分解性シリコーン界面活性剤の一般的な分子構造は図4中の構造により表すことができる。
【0069】
ポリエチレンオキシド(PEO)及びエトキシル化界面活性剤の量は1ppm〜10,000ppmの範囲であり、より好ましいのは10ppm〜1000 ppmであり、そして最も好ましいのは50〜500ppmである。
【0070】
[酸化剤]
本発明のCMPスラリーは材料の化学エッチングのための酸化剤を含む。CMPスラリーの酸化剤は基板と接触する流体組成物中に存在し、そして基板表面上で標的材料の化学除去を支援する。酸化剤成分は、このため、組成物の材料除去速度を向上させ又は増加させるものと考えられる。好ましくは、組成物中の酸化剤の量は化学除去プロセスを支援するのに十分な量であり、一方、取扱、環境又は同様もしくは関連の課題、例えば、コストを最小限に低くする量である。
【0071】
有利には、本発明の1つの実施形態において、酸化剤は少なくとも1種の活性化剤に暴露されたときに、フリーラジカルを生成し、少なくとも選択された構造上でエッチング速度を増加させる成分である。後述するフリーラジカルはほとんどの金属を酸化し、そして表面を他の酸化剤からの酸化をより受けやすくするであろう。しかしながら、酸化剤は以下で議論される「フリーラジカル生成性化合物」とは別個にリストされる。というのは、幾つかの酸化剤は活性化剤に暴露されたときにフリーラジカルを容易に形成せず、そして幾つかの実施形態において、基板上に見られる様々な組み合わせの金属に対して適合エッチング又は優先エッチング速度を提供する1種以上の酸化剤を有することが有利であるからである。
【0072】
当該技術分野において知られているとおり、幾つかの酸化剤は特定の成分にとって、他の成分にとってよりも好適である。本発明の幾つかの実施形態において、当該技術分野で知られているとおり、CMP系の1つの金属の選択性は別の金属に対して最大化される。しかしながら、本発明の特定の実施形態において、酸化剤の組み合わせは選択されて、導体とバリアとの組み合わせに対して(単純なエッチング速度とは対照的に)実質的に同様のCMP速度を提供する。
【0073】
1つの実施形態において、酸化剤は無機もしくは有機ぺル化合物である。
【0074】
ぺル化合物は過塩素酸などの最も高い酸化状態の元素を含む化合物、又は、過酢酸もしくは過塩素酸などの少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物と一般に定義される。
【0075】
少なくとも1つのペルオキシ基を含む適切なぺル化合物としては、限定するわけではないが、過酢酸又はその塩、過炭酸塩、有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化尿素、及び/又はジ-t-ブチルペルオキシドが挙げられる。
【0076】
少なくとも1つのペルオキシ基を含む適切なぺル化合物としては過酸化物が挙げられる。本明細書中に使用されるときに、用語「過酸化物」はR−O−O−R′(式中、R及びR′は各々独立してH, a C1〜C6 直鎖もしくは枝分かれアルキル、アルカノール、カルボン酸、ケトン(例えば)又はアミンであり、上記の各々は独立して1つ以上のベンジル基により置換されてよく(例えば、ベンゾイルペルオキシド)であり、それ自体がOH又はC1〜C5 アルキルにより置換されていてよい)及びその塩及びアダクトを包含する。この用語は、それゆえ、過酸化水素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒドを含む。この用語には、過酸化尿素などの一般的な過酸化物の複合体も包含される。
【0077】
少なくとも1つのペルオキシ基を含む適切なペルオキシ化合物としてはペルスルフェートが挙げられる。本明細書中に使用されるときに、用語「ペルスルフェート」はモノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩、及びそれらの酸及び塩ならびにアダクトが挙げられる。例えば、ペルオキシジ硫酸塩、ペルオキシモノ硫酸及び/又はペルオキシモノ硫酸塩、カロ酸、例えば、ペルオキシモノ硫酸カリウムなどの塩が挙げられるが、好ましくは、ペルオキシモノ硫酸アンモニウムなどの非金属塩である。
【0078】
少なくとも1つのペルオキシ基を含む適切なぺル化合物としては、ペルホスフェートが挙げられ、それは上記のとおりに定義され、そしてペルオキシジリン酸塩を含む。
【0079】
また、オゾンも、単独又は1種以上の他の適切な酸化剤との組み合わせのいずれかで適切な酸化剤である。
【0080】
ぺルオキシ基を含まない適切なぺル化合物としては、限定するわけではないが、過ヨウ素酸及び/又は任意の過ヨウ素酸塩(以下、「ペルヨーデート」)、過塩素酸及び/又は任意の過塩素酸塩(以下、「ペルクロレート」)、過臭素酸及び/又は任意の過臭素塩(以下、「ペルブロメート」)、及び、過ホウ酸及び/又は任意の過ホウ酸塩(以下、「ペルブロメート」)が挙げられる。
【0081】
他の酸化剤も本発明の組成物の適切な成分である。ヨーデートも有用な酸化剤である。
【0082】
2種以上の酸化剤は相乗性能利益を得るために組み合わせることもできる。
【0083】
酸化剤濃度は0.01wt%〜30wt%の範囲であることができ、酸化剤のより好ましい量は約0.5wt%〜約10wt%である。質量%は組成物の質量に対するものである。
【0084】
本発明のほとんどの実施形態において、酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物からなる群より選ばれる。
【0085】
[活性化剤]
活性化剤又は触媒は、流体中に存在する少なくとも1種のフリーラジカル生成性化合物によりフリーラジカルを生成するのを促進する材料である。もし活性化剤が金属イオン又は金属含有化合物であるならば、活性化剤は流体と接触する固体の表面に結合した薄い層で存在する。活性化剤が非金属含有物質であるならば、活性化剤は流体中に溶解されうる。活性剤は所望の反応を促進するのに十分な量で存在することが好ましい。
【0086】
一般に、酸化チタンなどの光活性型活性化剤(及び活性化剤として使用される光)は好ましくない。パッドと基板との間に所望の濃度で光を得る方法が存在しない。活性化剤は、それゆえ、流体がパッドと基板との間を通過する前に、予備活性化されなければならず、及び/又は、フリーラジカルは生成されなければならない。
【0087】
幾つかの構成において、光活性型活性化剤の使用は許容されうる。例えば、長寿命フリーラジカルでは、すなわち、1/10秒以上の溶液中での平均寿命では、光活性化剤はパッドと基板との間に通過する直前に流体が接触しなければならない活性化剤を含有するマトリックスであることができる。活性化剤の床は、例えば、流体アウトレットのすぐ上流に配置されることができ、それにより、生成されたフリーラジカルはパッドと基板との間を通過する前に完全に分解することはない。米国特許第6,362,104号明細書(その開示を参照により取り込む)の光活性型材料はこの能力で使用されうる。これらとしては、TiO2及びTi2O3が挙げられ、また、より好ましくはないが、Ta, W, V及びNbの酸化物が挙げられる。
【0088】
活性化剤は非金属含有化合物であることができる。ヨウ素は有用であり、例えば、フリーラジカルを形成するために過酸化水素は有用である。ヨウ素は所望のフリーラジカル活性を生じるのに十分な量で存在することができる。幾つかの実施形態において、ヨウ素は約1ppm〜約5000ppm、好ましくは約10ppm〜約1000 ppmの範囲の量で存在することができる。非金属活性化剤は、しばしば、金属含有活性化剤と相乗的に組み合わされる。
【0089】
活性化剤は、また、金属含有化合物であることができ、特に、該金属は過酸化水素中でフェントン反応プロセスを活性化させることが知られている金属からなる群より選ばれる。
【0090】
有利には、ほとんどの金属含有活性化剤は下記のとおりの固体と結合されている。もちろん、本発明の系は場合により、金属含有活性化剤及び非金属含有活性化剤の両方を含むことができ、ここで、非金属含有活性化剤は、流体中の溶液中にあり、ここで、金属含有活性化剤の少なくとも一部分は固体と結合している。
【0091】
別の実施形態において、活性化剤は活性化剤としてフェントン反応で有用であることが知られている金属含有化合物のいずれかであり、ここで、酸化剤は過酸化物であり、特に、過酸化水素である。銅、マンガン、コバルト及びセシウムなどの遷移金属、ならびに、より伝統的な鉄及び銅はこの反応を触媒することができる。しかしながら、複数の酸化状態を有するこれらの金属、特に、鉄及び銅は、例えば、過酸化水素又はペルスルフェートとともに溶液中に存在するならば、特に問題である。さらに、溶液中のコバルト、マンガン及びセリウムは環境上の懸念がある。すべては基板に対する汚染物である。最後に、もし溶液中にあるならば、すべては活性化剤でなく、促進剤として作用するものと考えられる。しかしながら、我々は、もしこれらの元素又は分子が流体に接触する固体に結合されているならば、それらは活性化剤として機能することができることを発見した。
【0092】
1つの重要な実施形態において、活性化剤は元素の周期律表の第4(b)族、第5(b)又は第6(b)族の金属以外の金属を有する金属含有化合物を含む。1つの実施形態において、第1(b)族又は第8族の金属の化合物は好ましい金属含有活性化剤である。
【0093】
別の重要な実施形態において、活性化剤はフリーラジカルを生成する化合物と反応することができる任意の遷移金属含有化合物を含み、固体と結合している。すなわち、本発明の活性化剤は流体中に可溶性でない。活性化剤は粒子と結合されうる。粒子は研磨剤であり、又は、活性化剤のためのキャリアであることができる。
【0094】
活性化剤はパッドと結合されうる。活性化剤はマトリックス中に保持されることができ、それにより、フリーラジカルを生成する化合物を含有する流体は基板と接触する直前に活性化剤と接触する。
【0095】
好ましくは、活性化剤は化学線なしに有効に機能することができ、そして酸化剤はそれ自体が活性化剤を回復させることができる。この工程は、幾つかの非常に好ましい実施形態において、第二のフリーラジカルの生成をもたらすが、しばしば、第一の工程で生成されたものよりも弱いフリーラジカルである。例えば、理論に拘束されることはないが、過酸化水素によるFe(II)の酸化である伝統的なフェントン反応とは対照的に、この系での表面結合Fe活性化剤の反応は超酸化物アニオン及びヒドロキシルラジカルの両方を形成する。それゆえ、過酸化水素はこれらの系において酸化剤及び還元剤の両方である。
【0096】
もし活性化剤が光により有効にされるならば、活性化剤の「有効性」は光に暴露されないときに衰退するであろう。パッドと基板との間に光を得ることは非常に困難であり、それゆえ、濃度勾配は起こるであろう。
【0097】
一般に、好ましい活性化剤は鉄、銅、セリウム、ニッケル、マンガン及び/又はコバルトである。活性化剤は任意の組み合わせで使用されうる。より好ましい活性化剤は鉄又はセリウム塩である。
【0098】
活性化剤は、例えば、固体結晶であるのとは対照的に、表面に結合されていることが有利である。活性化剤は活性な活性化剤の均一な組成物であることができる。均一な活性化剤は好ましくは高い表面積を有する小さい粒子である。この形態の活性化剤は平均粒子直径が約1ミクロン未満であり、好ましくは0.4ミクロン未満であり、より好ましくは0.1ミクロン未満であり、そして表面積が約10 m2/gを超えるべきである。同一の好ましい粒子特性はまた、研磨組成物中の活性化剤のコロイド安定性を最適化するであろう。
【0099】
活性化剤タイプの材料の固体結晶は、しばしば、フリーラジカルを生成する化合物と反応するように活性剤化合物の酸化状態を変化させるために十分な結合力/柔軟性を原子の結合に有しない。結晶の相互作用により、結晶溶解をもたらすことができ、そのとき、金属が結晶から離れそして溶液中に入る。このため、固体活性化剤材料は、一般に、金属損失が大きくないとしても奨励されず、固体活性化剤粒子を考えることができる。粒子又はパッドに結合された金属含有活性化剤化合物は様々な形態であってよく、例えば、金属の酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物、過塩素酸塩又は酢酸塩である。対イオンは、一般に、フリーラジカルを生成する化合物へのアクセスを妨害することにより活性化剤を安定化させるかぎり、重要性がより低い。
【0100】
1つの実施形態において、粒子及び/又は研磨パッドと結合されている活性化剤は金属含有酢酸塩であり、例えば、酢酸銅(「CuAc」)又は酢酸鉄(「FeAc」)又は酢酸セリウム(「CeAc」)である。
【0101】
金属含有活性化剤化合物は固体に結合され、そして酸化剤を含む流体中に溶解していないイオンの源であることができる。
【0102】
活性化剤酸化物はしばしば使用されるが、好ましくない。
【0103】
例として、適切な金属酸化物としては、特定の酸化鉄、酸化銅及び酸化コバルトが挙げられる。特定の、例えば、酸化セリウム及び酸化アルミニウムは、研磨剤上にコーティングされていたとしても、活性化剤として機能することができない。さらに、本発明の活性化剤は、例えば、有効であるために化学線エネルギーを必要とするチタン酸化物でない。
【0104】
本発明の活性化剤は鉄酸化物及び銅酸化物を非常に低い量で含むことができる。鉄酸化物の多くの形態は活性化剤でないが、有利なフリーラジカルを生成することなく、過酸化水素などの好ましい酸化剤の分解を触媒する。鉄は非常に好ましい活性化剤であるが、フリーラジカルを生成して酸素レベルが増加するとともに危険な条件とすることなく、過酸化水素及び過硫酸アンモニウムの分解を触媒的に引き起こすことができる酸化物/水酸化物を形成するであろう条件が存在する。特定の結晶、例えば、特定の形態の鉄酸化物及び水酸化物は過酸化水素などの、フリーラジカルを生成する化合物を活性化しない。
【0105】
しかしながら、幾つかの鉄及び銅酸化物は超酸化物アニオン及びヒドロキシルラジカルを生成するが、過酸化水素による表面結合鉄の酸化により速度制限されうる。3種の鉄酸化物: フェリハイドライト、ゲーサイト及び半結晶性酸化鉄は過酸化水素を活性化するのに幾分活性であるが、金属酸化物粒子の表面上に層として配置された活性化剤はずっと優れた動態を有する。
【0106】
活性化剤は、好ましくは、分子種、小粒子として又はモノレイヤとして粒子の表面と化学的又は物理的に結合されている。例えば、ドープされたセリア-γアルミナ担持ニッケルはフリーラジカルを生成する特定の化合物に有用な活性化剤である。ゲーサイトのものと比較して、アルミナ担持銅酸化物の活性化剤活性は、担持された銅酸化物はゲーサイトよりも約10倍活性であったことを示した。伝統的なフェントン反応では、不均一活性化剤が見られるFe含有ゼオライトは、同一実験条件での均一Fe活性化剤の挙動と比較したときに、反応性が高く、そして溶液pHの依存性が低くなっている。しかしながら、活性化剤は、特定の条件下に、水及び酸素への過酸化水素分解副反応の高い速度を有することができる。
【0107】
研磨剤は共成形研磨剤であることができ、ここで、活性化剤は別の酸化剤と均一混合され、金属酸化物上に担持された活性化剤の均一混合物を含む固体粒子を形成する。さらに、活性化剤は分子種、小粒子又はモノレイヤとして研磨剤の表面上に化学的に又は物理的に吸着されうる。
【0108】
本発明のほとんどの実施形態においては、しかしながら、遷移金属含有活性化剤は研磨粒子と結合される。
【0109】
スラリー中の活性化剤の量は低いことができる。もちろん、スラリー中の粒子と結合された活性化剤は任意の活性化量で存在することができ、例えば、約0.0005wt%〜約10wt%である。
【0110】
高い濃度は、しかしながら、通常、浪費である。遷移金属含有活性剤を含む系、すなわち、スラリー内に含まれる固体粒子上にコーティングされた遷移金属活性化剤を有するスラリーにおいて、もしスラリー中の活性化剤の量が約5〜10000ppmの総活性化剤であるならば、優れたフリーラジカル活性は観測される。
【0111】
流体へのアクセスが阻害されないように活性化剤が粒子上に配置されるならば、スラリーは5〜約4000ppmを有することができ、例えば、約10〜1000ppmである。
【0112】
試験された好ましい低活性化剤含有分のスラリーでは、スラリーの質量%として表現して約5〜約200ppm、例えば、約20〜約100ppm、例えば、約30ppmの活性化剤という活性化剤濃度は、活性剤を含まない配合物と比較して、加速されるエッチ速度を提供した。
【0113】
活性化剤として機能しないならば、それ以外は活性化剤と考えられる化合物又は塩でも、活性化剤に含まれない。本明細書中に使用されるときに、それゆえ、遷移金属は固体と結合されている場合にのみ活性化剤である。例えば、粒子構造から逃げ出すことができるフリーラジカルを生成することができない粒子マトリックス内にある活性化剤は用語「活性化剤」に含まれない。
【0114】
例えば、マトリックス内に取り込まれており、酸化状態の変化が促進されないので、フリーラジカルの生成を活性化させることができない活性化剤元素又は化合物は活性化剤として含まれない。沈着し又は基板を汚染することができる化合物は汚染物と見られる。
【0115】
最後に、キレート化され又は別の方法でフリーラジカルを生成する化合物との反応に利用可能でない活性化剤は活性化剤に含まれない。
【0116】
本発明の1つの重要な実施形態において、活性化剤の少なくとも一部分は研磨粒子の少なくとも一部分と結合されている。ほとんどの一般的な意味で、用語「結合されている」は活性化剤化合物が研磨粒子の表面に固定されており、それにより、活性化剤はフリーラジカル生成性化合物を含む流体と接触し、該接触がフリーラジカルの生成を有意に増加させること(上記のCMP除去速度の有意な増加により決定)を意味する。一般に、活性化剤を研磨剤と結合させることは、活性化剤が研磨剤上にコーティングされ、研磨剤上に吸収され又は研磨剤上に吸着され、又は、研磨剤に別の方法で結合され又は付着されることを意味する。活性化剤コーティングは純粋形態であることができ、又は、活性化剤は他の化合物、鉱物、金属などと混合され、研磨剤の少なくとも一部分上にコーティングされる活性化剤組成物を形成することができる。
【0117】
好ましい実施形態において、非常に少量の活性化剤しか研磨剤との結合を破壊せず、好ましくは、活性化剤は研磨剤との結合を破壊せず、そしてイオン又は可溶性化合物として溶液に入らず、又は、基板上に沈着しない。それゆえ、活性化剤と結合された研磨剤は安定化されうる。例えば、研磨剤は結合された活性化剤とともに焼成されうる。結合された活性化剤を有する研磨剤は、次いで、他の化合物により被覆され又は処理されることができ、他の化合物としては、安定剤、界面活性剤、シラン又は他の成分が挙げられる。或いは、結合された活性化剤を有する研磨剤は他の化合物で被覆され又は処理されて、そして焼成されることができる。
【0118】
鉄活性化剤を含む系、すなわち、スラリー内部に含まれる固体粒子上に鉄がコーティングされたスラリーは、もし活性化剤鉄の量が約2〜500ppmの総活性化剤鉄、好ましくは3〜100ppmの総活性化剤鉄、低い量の鉄の実施形態では、4〜20ppmの総活性化剤鉄であるならば、優れたフリーラジカル活性を示す。粒子構造から逃げ出すことができるフリーラジカルを生成することができない、粒子マトリックス内に鉄を含むなどの、流体と接触しない鉄は用語「活性化剤鉄に含まれない。酸化状態の変化が阻害されるマトリックス内に鉄が取り込まれているなどの理由で、フリーラジカルの生成を活性化することができない鉄は活性化剤鉄に含まれない。最後に、キレート化され又はさもなければフリーラジカルを生成する化合物との反応に利用できない鉄は活性化剤鉄に含まれない。例示のスラリーは約50ppm〜約300 ppmの総活性化剤鉄を有し、そのほとんどは研磨剤上に吸収され、吸着され又はコーティングされている。
【0119】
低金属含有活性化剤の実施形態において、スラリー中に80ppm未満の総金属含有活性化剤を使用することができる。この活性化剤は単独で作用することができ、又は、例えば、パッド上の活性化剤及び/又は流体中の非金属含有活性化剤が補充されることもできる。好ましい低金属含有活性化剤の実施形態において、スラリー中に40ppm未満の総金属含有活性化剤を使用することができ、例えば、約5ppm〜約30ppm、又は、約5ppm〜20ppmである。もちろん、基板と接触し、また、フリーラジカルを生成する化合物及び場合により他の酸化剤を有する流体の金属含有分の制限値はなおも重要である。スラリーが、粒子と結合している活性化剤を500ppmまでの量で含む場合にも、基板と接触する流体中の溶液に、これらの金属を、例えば、20ppm未満、好ましくは8ppm未満、例えば、4ppm未満で有することが非常に有利である。
【0120】
研磨剤と結合している活性化剤は活性化剤がスラリー中で溶液でないことを意味する。溶液中の金属は促進剤として作用し、そしてそれゆえ、基板を汚染するであろう。さらに、もし化学反応が活性化剤を析出させる (すなわち、金属状態へと還元させる)としても、活性化剤はなおも研磨剤の表面から移動せず、それゆえ、基板上に析出しない。さらに、研磨剤と結合している活性化剤が、溶液中の金属イオンによる水素分解が知られている高いpH値であっても、過酸化水素などの特定の酸化剤を自発的に分解させる傾向がずっと低いことを驚くべきことに発見した。理論に拘束されることはないが、一般に、研磨剤と結合している活性化剤は基板と偶発的にのみ接触するものと考えられる。
【0121】
銅は既知のフェントン剤であり、それゆえ、固体と結合した銅は優れた活性化剤となる。銅は第一銅及び第二銅の酸化状態からシフトすることができるので、常に2つの結合部位が存在することになり、銅は研磨材料上の活性部位と結合することができる。銅は、第二銅塩、第一銅塩などの塩の形態、幾つかの形態で酸化銅、そして幾つかの形態で金属で研磨剤と結合されうる。一般に、金属は酸化剤の存在下で第二銅又は第一銅の形態に変換されるであろう。
【0122】
銀は多くの系で有用な活性化剤であり、例えば、シリカ、セリア、アルミナ及び他の既知の研磨剤上にコーティングされうるが、銀は酸化状態が変化するならば、特定の条件下では、銀は固体材料から非結合状態となることがある。さらに、回収/リサイクルシステムが整備されていないならば、銀のコストは法外である。最後に、銀イオンは使用済みスラリーの廃棄を複雑にすることがある。
【0123】
1つ以上の研磨剤上にコーティングされている金は多くの系で有用な活性化剤であるが、活性化剤がコーティングされている粒子の厳格な回収及びリサイクルがない限り、材料コストがほとんどの商業操作のためにはあまりにも高すぎるであろう。一方、金は、それ自体が酸化状態を変えることなくフリーラジカルの生成を促進することができる。同じことが固体上にコーティングされた白金及びパラジウムにも言える。コーティングされた又はドープされた貴金属(Au, Ag, Re, Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Pt)は概して元素の形態で存在し、又は、酸化物の表面領域を有する。
【0124】
研磨剤に結合している鉄は特に有用であり、最も好ましい活性化剤である。シリカに結合している鉄は最も好ましい系である。シリカは、その多数のOH基により、鉄との結合を増加させることができ、多くの共有結合及び/又はイオンタイプの結合によってシリカにしっかりと結合された鉄を保持する。なおも、吸収され、吸着され又はコーティングされた鉄のシリカへの複数の結合により、鉄がシリカ表面から脱結合する傾向なく、酸化状態間で容易な変換が可能となる。驚くべきことに、高いpH値、例えば、pH5〜pH7、ある場合には、pH8まで、シリカと結合されている鉄を使用することができる。これらのpH値での可溶性鉄は所望されない沈殿物を生成することが知られており、それが基板を汚染し、酸素及び水への過酸化水素の分解を触媒し、危険な爆発性のガスの蓄積をもたらす。
【0125】
鉄は塩の形態で研磨剤と結合されることができ、例えば、第二鉄塩、第一鉄塩、幾つかの形態では酸化第二鉄で、そして幾つかの形態では金属で結合されうる。一般に、金属は酸化剤の存在下に第二鉄又は第二鉄形態に変化されるであろう。鉄のさらなる利点はそれが環境上有利であり、そして有意な廃棄問題を呈しないことである。
【0126】
アルミナと結合している鉄は、また、セリアと結合している鉄と同様に有用な研磨剤/活性化剤である。ポリマー粒子又はポリマー成分を有する粒子と結合している鉄も有用である。
【0127】
固体上に吸収され、吸着され又はコーティングされることができるセリウム塩も非常に有用な研磨剤/活性化剤である。鉄と同様に、これらのイオンは研磨剤及び/又は粒子上に活性部位により強固に保持されることができ、そして一旦、吸収され、吸着され又はコーティングされると、粒子と脱結合する傾向がない。セリウム塩は、例えば、ヨウ素とともに有利に使用されうる。
【0128】
別の実施形態において、コバルト、銅、鉄、セリウム又はそれらの混合物を含む金属含有活性化剤化合物は適切な活性化剤である。ニッケル、銀又はそれらの任意の組み合わせはフリーラジカルを生成する特定の化合物では適切な活性化剤である。
【0129】
別の実施形態において、約−0.52〜約0.25eVの標準酸化電位を有する金属含有化合物は適切な活性化剤である。
【0130】
この範囲の酸化電位を有する金属活性化剤の例としては銅(−0.52 eV)、鉄(−0.44 eV)、コバルト(−0.28 eV)及びニッケル(−0.25 eV)が挙げられる。
【0131】
別の実施形態において、フリーラジカルの生成は活性化剤がこの範囲内に酸化電位を有するように活性化剤/流体系を横切る外部から課された電圧により促進される。
【0132】
酸化剤の存在下にフリーラジカルを生成する活性化剤が関与するレドックス系の説明はWalling, C., Free Radicals in Solution (1957), pp. 564-579及びBacon, R, The Initiation of Polymerisation Processes by Redox Catalysts, Quart. Revs., Vol. IX (1955), pp.287-310に提供されており、その全内容をこの参照により本明細書中に取り込む。このような触媒は候補となる活性化剤であり、例えば、組成物中に使用される研磨剤と結合されていることができる。
【0133】
活性化剤として有効であるためにUV線などの化学線を必要としない化合物は好ましい活性化剤である。チタン酸化物は化学線により活性化されたときに特定の条件下にフリーラジカルを生成することが知られている。これはCMP研磨条件下で有用でない。
【0134】
しかしながら、フリーラジカルの生成が化学線なしに許容される場合に生成が促進されることも含まれることができる。例えば、フリーラジカルの生成は特定の鉄系又は銅系活性化剤では化学線により促進されうる。
【0135】
好ましい第8族金属は鉄である。好ましい第1(b)族金属は銅である。別の金属活性化剤はセリウムであり、第3(b)族活性化剤である。しかしながら、鉄、銅及びセリウムイオンは基板表面に金属汚染を引き起こすことがあることが知られている。さらに、硝酸第二鉄として過酸化水素混合物に添加される鉄イオンは所望されない過酸化水素及び第二鉄イオンの分解を生じさせることが発見された。他の金属イオンは同様の問題を有する。
【0136】
驚くべきことに、研磨剤と結合している金属化合物、特に鉄化合物は、鉄イオンが主として基板に接触せず、基板から電子を取ることによる直接酸化を引き起こさず、酸化剤から基板へ電子を往復させることによる基板の酸化を引き起こさなかったという事実にもかかわらず、CMPスラリーのエッチング速度に大きな効果を有することが見出された。むしろ、鉄化合物は、フリーラジカルの生成、最も好ましくは反応性酸素ラジカルの生成を引き起こす。
【0137】
本発明の1つの重要な実施形態の組成物は、固体の表面と結合している少なくとも1種の活性化剤と、流体中にある少なくとも1種のフリーラジカル生成性化合物、すなわち、酸化剤との間の相互作用のおかげで特に有利であると考えられる。すなわち、反応は、例えば研磨剤上にコーティングされた活性化剤と、過酸化物又はヒドロペルオキシドなどの流体中にある酸化剤との間で、固体活性化剤/液体界面で起こると考えられる。この反応はフリーラジカル又は活性反応中間体、例えば、ヒドロキシルフリーラジカルを活性化剤表面で生成し、フリーラジカルが標的基板と接触したときに基板上で標的材料と好ましくは相互作用し、そのことは研磨剤上の活性化剤コーティングが基板表面と接触した際に促進されうると考えられる。
【0138】
活性化剤は金属グリシン錯体を含むことができ、ここで、金属はセリウム、鉄、マンガン、コバルト又はそれらの混合物から本質的になる。
【0139】
活性化剤の混合物は活性の増加を提供することができる。セリウム塩は鉄又は銅と混合されたときに特に有用である。マンガン塩は鉄又は銅と混合されたときに特に有用である。
【0140】
希土類金属は鉄又は銅と混合されたときに有用であることができる。米国特許第5,097,071号明細書(その開示を参照により本明細書中に取り込む)は、フェントン反応を開始するのに有用なアルミナ担持銅の調製方法を教示しており、ここで、銅はマンガンの化合物及び1種以上の希土類金属の化合物に含まれており、金属として計算して、0.1〜5質量%のCu含有分、0.05〜8質量%のマンガンの化合物及び希土類金属の化合物の合計含有分を有する。
【0141】
以下のものは希土類金属(元素の周期律表のサブグループ第III族)として挙げることができる: スカンジウム、イットリウム、ランタン及びランタニド。イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム及びジスプロシウムは好ましく、セリウム及びランタンは特に好ましく、セリウムは非常に特に好ましい。幾つかの実施形態において、活性化剤を含む粒子の表面と結合されているAg, Cr, Mo, Mn, Nb, Nd, Os, Pd, Pt, Rh, Ru, Sc, Sm, Ta, Ti, V又はWの化合物は有用である。それらの化合物は活性化剤の作用を促進することができ、又は、フリーラジカルを生成する特定の化合物とともに、それ自体が活性化剤となることができる。
【0142】
幾つかの実施形態において、例えば、表面と結合している活性化剤を有する研磨剤又は他の粒子が貯蔵され又は取り扱われるときに、又は、活性化剤がスラリーの一部分を不安定化させるときに、活性化剤の表面は不動態化されうる。不動態化剤は有利には、結合した活性化剤に対して比較的に不溶性であり(活性化剤を粒子から遊離させない)、そして活性化剤コート化粒子に対して親和性を有する。選択されるpH値で、選択されるカルボン酸塩、例えば、シュウ酸塩、没食子酸塩、クエン酸塩などは活性化剤含有粒子をコーティングすることができる。これらの不動態化剤はしばしば、フリーラジカルをなくし、さらに安定性を向上させる。他の不動態化剤としてはコハク酸塩、安息香酸塩、ギ酸塩、クペロン及び8-ヒドロキシキノリンが挙げられる。しかしながら、活性化剤が露出されそして機能することができるように研磨の前にpH及び/又はイオン状態を変化させることが一般に推奨される。
【0143】
活性化剤を有する粒子はコロイド安定性を向上させるために種々の薬剤により処理されてよく、該薬剤としてはカルボン酸及びポリカルボン酸が挙げられる。
【0144】
可溶性鉄触媒はまた、本発明の成分として本明細書中に記載された添加剤とともに使用されうる。本発明のpH範囲で適切な可溶性鉄触媒は、限定するわけではないが、シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物である。可溶性触媒はまた、複数の酸化状態を有する、Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Ni, Os, Pd, Ru, Sn, Ti, Vの金属化合物及びそれらの混合物であることができる。
【0145】
本発明のほとんどの実施形態において、活性化剤としては、限定するわけではないが、表面上に遷移金属がコーティングされた無機酸化物粒子及び可溶性触媒が挙げられる。
【0146】
遷移金属としては、限定するわけではないが、銅、マンガン、コバルト、セシウム、ならびに伝統的な鉄及び銅ならびに他の遷移金属であって、これらの遷移金属が無機酸化物粒子の表面上にコーティングされ、W CMPプロセスに関与する化学反応を触媒することができる固定化不均一触媒となった後の遷移金属が挙げられる。
【0147】
可溶性触媒としては、限定するわけではないが、シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物、Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Ni, Os, Pd, Ru, Sn, Ti, V及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、複数の酸化状態を有する金属化合物が挙げられる。
【0148】
スラリー中の活性化剤の量は約0.0005wt%〜約10wt%の範囲であり、好ましくは0.001wt%〜2wt%、より好ましくは0.01wt%〜1wt%、最も好ましくは0.05wt%〜0.5wt%である。
【0149】
[pH調節剤]
組成物のpHは望ましくは、約1〜約12程度であり、好ましくは約2〜約10であり、より好ましくは約3〜9であり、最も好ましくは約6〜約8である。
【0150】
組成物のpHは適切なpH調節剤を用いて調節でき、pH調節剤は、例えば、適切な酸、塩基、アミン又はそれらの任意の組み合わせである。好ましくは、組成物中に使用されるpH調節剤は所望されない金属成分が組成物中に導入されないように金属イオンを含まない。適切なpH調節剤としては、水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はそれらの塩、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0151】
特定の実施形態において、CMP組成物は殺生物剤をさらに含む。包囲されたCMP研磨組成物中での殺生物剤の使用は、特に、CMP研磨組成物のpH値が中性pH条件に近く又はほぼ中性pH条件であるときに、バクテリア及び他の微生物を低減し又は無くす。
【0152】
殺生物剤は約0.0001質量%〜約0.03質量%の範囲である。
【0153】
[促進剤]
上記のとおり、基板と接触する流体中に溶解している複数の酸化状態を有する金属は酸化剤として作用することができるが、本発明の最も好ましい実施形態は複数の酸化状態を有する金属を実質的に有しない。
【0154】
幾つかの実施形態において、溶液中に溶解した少量のAl, Ag, Ce, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Nd, Ni, Os, Pd, Pt, Rh, Ru, Sc, Sm, Ta, Ti, V又はWの化合物は有用である。これらは米国特許第5,958,288号明細書(その開示を参照により本明細書中に取り込む)において議論されているとおり、酸化剤の作用を促進するものと考えられる。溶液中の金属イオンは基板、とくに、金属基板に親和性を有する酸化剤として作用するものと考えられる。もし流体中の他の酸化剤により酸化されることができるならば、その2つの間に特定の相乗作用があるであろう。しかし、ほとんどの場合に、促進剤はフリーラジカルの作用を促進しないものと考えられる。触媒又は基板に暴露されたときに促進剤を生成する化合物、例えば、米国特許第5,863,838号明細書(その開示を参照により本明細書中に取り込む)に記載の化合物も有用である。
【0155】
本発明の幾つかの実施形態において、基板と接触する流体組成物は少量の金属イオン酸化剤を有し、ここで、促進剤と呼ばれる。銅、アルミニウム、セリウム及び鉄の可溶性化合物又は塩はCMP溶液中の酸化剤又は促進剤として使用される。もし使用されるならば、好ましい金属含有酸化剤促進剤は可溶性セリウム塩又はアルミニウム塩である。
【0156】
スラリー中の促進剤の量は約0.0001wt%〜約1.0wt%の範囲であり、好ましくは0.0005wt%〜0.5wt%であり、より好ましくは0.0025wt%〜0.1wt%である。
【0157】
[キレート剤]
非(溶解)金属含有実施形態が望ましいならば、流体はキレート剤を含むことができる。キレート剤は、流体中に溶解した形態で存在する、複数の酸化状態を有する金属を本質的に捕獲しそして分離することができる。溶解した金属がキレート化形態であるならば、これは基板から金属を本質的に分離し、促進剤としてのその効率を阻害するが、金属イオン汚染を防止する。このことは酸化剤のスラリーのポット寿命を延長することができるが、低濃度では、キレート剤はフリーラジカルの有効性を効果的に阻害しないであろう。
【0158】
それゆえ、わずか少量のキレート剤を使用すべきである。キレート剤は、一般に、有機酸部分を含むことができ、それはフリーラジカルクエンチャーとして作用することができる。これは系の性能に悪影響を及ぼすことがある。
【0159】
本発明のほとんどの実施形態において、キレート剤としては、限定するわけではないが、有機カルボン酸、有機スルホン酸及び有機リン酸が挙げられる。
【0160】
一般に、3質量%未満、好ましくは1質量%未満、例えば、0.5質量%未満のキレート剤は好ましい。
【0161】
[安定剤]
組成物は、1種以上の種々の任意成分の添加剤を含むこともできる。適切な任意成分の添加剤としては、安定剤が挙げられる。これらの任意成分の添加剤は、一般に、組成物の沈降、凝集(粒子の沈殿、凝集、団結などを含む)及び分解に対する安定化を促進し又は容易にするために使用される。安定剤は活性化材料を分離すること、フリーラジカルをクエンチングすること、又は、フリーラジカルを生成する化合物を別の方法で安定化させることにより、フリーラジカルを生成する化合物を含む酸化剤のポット寿命を延長するために使用することができる。
【0162】
幾つかの材料は過酸化水素を安定化するために有用である。金属汚染に対する1つの例外はスズなどの選択された安定化性金属の存在である。本発明の幾つかの実施形態において、スズは少量で存在することができ、典型的には、約25ppm未満、例えば、約3〜約20ppmである。同様に、亜鉛はしばしば安定剤として使用される。本発明の幾つかの実施形態において、亜鉛は少量で存在することができ、典型的には、約20ppm未満、例えば、約1〜約20ppmである。別の好ましい実施形態において、基板と接触する流体組成物は500ppm未満、例えば、100 ppm未満の、スズ及び亜鉛以外の、複数の酸化状態を有する溶解した金属を含む。本発明の最も好ましい商業実施形態において、基板と接触する流体組成物は9ppm未満の、複数の酸化状態を有する溶解した金属を有し、例えば、2ppm未満の、スズ及び亜鉛以外の、複数の酸化状態を有する溶解した金属を有する。本発明の幾つかの好ましい実施形態において、基板と接触する流体組成物はスズ及び亜鉛以外の溶解した総金属を50ppm未満、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満で有する。
【0163】
溶液中の金属が一般に推奨されないときには、塩の形態、例えば、過硫酸塩の形態で典型的に存在している非金属含有酸化剤は、酸形態及び/又はアンモニウム塩形態、例えば、過硫酸アンモニウムの形態であることが好ましい。
【0164】
他の安定剤としては、フリーラジカルクエンチャーが挙げられる。議論されるとおり、これらは生成されたフリーラジカルの有用性を損なうであろう。それゆえ、もし存在するとしても、少量で存在することが好ましい。ほとんどの酸化防止剤、すなわち、ビタミンB、ビタミンC、クエン酸などはフリーラジカルクエンチャーである。ほとんどの有機酸はフリーラジカルクエンチャーであるが、有効で他の有利な安定化特性を有する3つのものはホスホン酸、結合剤のシュウ酸及び非ラジカル掃去性金属イオン封鎖剤の没食子酸である。
【0165】
さらに、カーボネート及びホスフェートは活性化剤上に結合し、そして流体のアクセスを妨害するものと考えられる。カーボネートはスラリーを安定化するために使用されるときに特に有用であるが、少量の酸は安定化性イオンを素早く除去する可能性がある。吸収された活性化剤に有用な安定剤はシリカ粒子上に被膜形成する被膜形成剤であることができる。
【0166】
適切な安定剤としては、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、オルトフタル酸などの有機酸、リン酸、置換又は非置換ホスホン酸、すなわち、ホスホネート化合物、ニトリル、及び、活性化剤材料を結合し、従って、酸化剤を分解する反応を低減させるなどの他の配位子、ならびに、上述の薬剤のいずれかの組み合わせが挙げられる。本明細書中で使用されるときに、酸安定剤は、酸安定剤及びその共役塩基の両方を指す。すなわち、種々の酸の安定剤はまた、それらの共役形で使用することができる。一例として、本明細書中で、上記の酸安定剤に関して、アジピン酸安定剤はアジピン酸及び/又はその共役塩基を包含し、カルボン酸安定剤はカルボン酸及び/又はその共役塩基、カルボキシレートなどを包含する。単独で、又は、1つ以上の他の安定剤と組み合わせて使用される適切な安定剤は、CMPスラリー中に混合したときに、過酸化水素などの酸化剤が分解する速度を低下させる。
【0167】
他方、組成物中の安定剤の存在は活性化剤の効率を妥協することがある。その量はCMP系の有効性に最も低い悪影響でもって要求される安定性を満たすように調節されるべきである。一般に、これらの任意成分の添加剤のいずれかは組成物を実質的に安定化させるために十分な量で存在すべきである。必要量は選択された特定の添加剤及び研磨剤成分の表面の性質などのCMP組成物の特定の構成により変化する。少量過ぎる添加剤を使用するならば、添加剤は組成物の安定性に対して効果がほとんどなく又は全くないであろう。一方、多量すぎる添加剤を使用するならば、添加剤は組成物中で所望されない発泡物及び/又は凝集物の形成に寄与することができる。一般に、適切な量のこれらの任意成分の添加剤は組成物に対して約0.001〜約2質量%の範囲であり、そして好ましくは約0.001〜約1質量%である。これらの任意成分の添加剤は組成物に直接的に添加されるか、又は、組成物の研磨剤成分の表面に適用されることができる。
【0168】
[界面活性剤]
もし界面活性剤がCMPスラリーに添加されるならば、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、双性イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤或いは2種以上の界面活性剤の組み合わせは使用されうる。
【0169】
分子量が1000未満〜30,000を超える範囲である種々のアニオン性及びカチオン性界面活性剤は分散剤として考えられる。ラウリル硫酸塩、アルキルポリホスフェート、ドデシルベンゼンスルホネート、ジイソプロピルナフタレンスルホネート、ジオクチルスルホスクシネート、エトキシル化及び硫酸化ラウリルアルコール、ならびに、エトキシル化及び硫酸化アルキルフェノールが挙げられる。
【0170】
種々のカチオン性界面活性剤としてはポリエチレンイミン、エトキシル化脂肪族アミン及びステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩化物又は硝酸塩が挙げられる。本発明において考えられる別の分散剤としては、ポリエチレングリコール、レシチン、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルキルアリールスルホン酸及びポリアクリル酸のアミン塩ならびに関連塩、ポリメタクリレートが挙げられる。
【0171】
一般に、CMPスラリーにおいて使用される界面活性剤は、スラリーの有効な安定化を達成するために十分であるべきであり、そして典型的には、選択される特定の界面活性剤及び金属酸化物研磨剤の表面の性質により変化するであろう。例えば、選択される界面活性剤の十分な量が使用されないならば、CMPスラリー安定化に効果がほとんど又は全くないであろう。一方、多量すぎる界面活性剤はスラリー中で所望されない発泡及び/又は凝集をもたらすことがある。
【0172】
界面活性剤の添加はウエハのウエハ内不均一性(WIWNU)を低減し、それにより、ウエハの表面を改良しそしてウエハ欠陥を低減するのに有用であることも発見された。
【0173】
組成物に多くの適切な界面活性剤が存在するが、好ましい界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム塩及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。適切な市販の界面活性剤としてはUnion Carbide製の TRITON DF 16(商標)及びAir Products and Chemicals製のSUIRFYNOL(商標)が挙げられる。
【0174】
界面活性剤は、一般に約0.001質量%〜約0.2質量%、好ましくは約0.001〜約0.1質量%の量で、本発明のスラリー中に存在する。
【0175】
さらに、添加剤はスラリーに直接的に添加されても、又は、既知の技術を用いて金属酸化物研磨剤の表面上で処理されてもよい。いずれの場合にも、添加剤の量は研磨スラリー中の所望の濃度を達成するように調節される。
【0176】
[腐食防止剤]
腐食防止剤としては、W膜表面上の静的エッチング速度を低減しそしてW膜表面腐食防止性を提供する任意の腐食防止剤が挙げられる。
【0177】
本発明のほとんどの実施形態において、腐食防止剤としては、限定するわけではないが、種々の分子量のPEG及びPEO、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、1,2,4-トリアゾール及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、ピラゾール及びその誘導体、ベンゾイミダゾール及びその誘導体、ならびに、それらの組み合わせが挙げられる。
【0178】
一般に、腐食防止剤は1.0wt%未満の範囲であり、好ましくは0.5wt%未満である。
【0179】
これらの配合物は腐食防止剤の使用の必要性を大きく低減するが、特定の非常に困難な用途は腐食防止剤の使用を要求することがある。腐食防止剤は被膜形成剤であることができ、又は、カソード抑制、ヒドロキシルラジカルに関連する反応の制御などの他の機構により作用することができる。
【実施例】
【0180】
[一般実験手順]
[パラメータ]
Å: オングストローム−長さの単位
BP:背圧、psi単位
CMP:ケミカルメカニカル平坦化=ケミカルメカニカル研磨
DF:下向き力: CMPの間に課される圧力、単位psi
min:分
ml:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi: ポンド平方インチ
PS: 研磨ツールの平板回転速度、rpm(回転/分)
SF:研磨剤組成物流速、ml/min
TEOS: 前駆体としてテトラエチルオルトシリケートを使用した化学蒸着堆積(CVD)による酸化ケイ素膜
除去速度 (RR)=(研磨前の膜厚-研磨後の膜厚)/研磨時間
【0181】
すべての成分の濃度は特段の断りのない限り、wt%である。
【0182】
下記に示した例において、CMP実験は下記の手順及び実験条件を用いて行った。
【0183】
実施例において使用されたCMPツールはApplied Materials, 3050 Boweres Avenue, Santa Clara, California, 95054により製造されたMirra(登録商標)である。Dow Corporationにより供給された研磨パッドIC1010パッドはCMPプロセスのために使用された。
【0184】
タングステン膜又はタングステン含有パターン化構造でコーティングされた200mm直径シリコンウエハを使用した。シート抵抗測定技術を用いてタングステン除去速度を測定し、そしてKLA Tencor P15プロファイラー(大きい特徴部サイズ)又はAFMツール(小さい特徴部サイズ)により、パターン化ウエハを分析した。
【0185】
[例1]
すべてのスラリー例はベーススラリー又は配合物に基づいた。ベーススラリーの成分を表1に示した。
【0186】
平均粒子サイズが160nmであるJGC 160コロイドシリカはJGC Catalysts and Chemicals Ltd.から購入された。
【0187】
Feコート化触媒は、例えば、公開特許明細書である米国特許7,029,508号、同第7,014,669号、同第7,427,305号、同第7,077,880号及び同第7,429,338号明細書に記載の方法により製造でき、それらの内容を、その全体が示されているかのように、参照により本明細書中に取り込む。殺生物剤 (Neolone M-10)はDow Chemical Companyより供給された。
【0188】
9質量部の水を1質量部の表1に示されるベーススラリー濃厚物に添加することによりベーススラリーを希釈して試験スラリーを得た。希釈されたスラリーに過酸化水素を添加して、3wt%濃度を生じ、対照スラリーを得た。
【0189】
【表1】
【0190】
特定の添加剤を対照スラリーに添加し(合計質量は100%)、スラリー濃厚物を得た。
【0191】
【表2】
99
【0192】
スラリーのpHを水酸化カリウムにより調節した。pHは7付近であった。
【0193】
上記の先行刊行物中で使用されたカチオン性ポリマー(表2に示される)のリストを使用し、そしてCMPスラリー中で使用した。しかしながら、これらの添加剤はコロイド不安定性を引き起こし、添加剤はpH7などの中性pHでCMPスラリー中でシリカ粒子を凝集させた。
【0194】
N-オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及び、分子量が100,000であるポリエチレンオキシド(PEO)を使用し、そして大きなボンドパッド特徴部(100x300 μm)に対して試験した。
【0195】
研磨は3.5psiの下向き力、127 RMPのテーブル速度及び90 ml/分のスラリー流速で行った。
【0196】
【表3】
【0197】
表3に示すように、オレオイルサルコシネートは添加物なしの対照に対して>26%だけディッシングを低減し、N-ラウロイルサルコシネートは> 43%、そしてPEOは>62%だけ低減した。ディッシングは有意に低減された。
【0198】
【表4】
【0199】
これらの添加剤の幾つかを、また、0.5μmサイズの小ライン特徴部に対して試験した。小ライン特徴部に関する結果(データ)を表4に要約した。サルコシネートは対照と比較して> 29%のディッシング低減を提供した。N-ラウロイルサルコシネートは>49%ディッシング低減を提供し、そしてPEOは>80%のディッシング低減を示した。
【0200】
大きなボンドパッド特徴部及び小ライン特徴部の両方に関する結果を図1に示す。
【0201】
ディッシングに対する添加剤の濃度依存性をさらに調査するために、オレオイルサルコシネート及びPEO (MW = 100,000)で濃度傾斜を行った。データを表5及び図2に示す。
【0202】
結果はオレオイルサルコシネート濃度を10から50ppmと増加させても、ディッシング低減のさらなる利得は達成されなかったことを示す。
【0203】
PEO (MW = 100,000)濃度を100ppmから500ppmに増加させたときに、ディッシングは実質的に低減されそしてほぼ半分になった。
【0204】
【表5】
【0205】
オレオイルサルコシネートと比較して、同一濃度のN-ラウロイルサルコシネートは表4及び5に示すとおり、大きい特徴部及び小さい特徴部の両方で若干低いディッシングを示す。
【0206】
興味深いことに、表6に示されるとおり、大きいボンドパッドに対するディッシングは濃度の増加とともに若干増加する点で、逆の傾向がより低い分子量のPEO (MW=200〜20000)で観測された。
【0207】
異なる分子量のPEOのこの反対の挙動の機構はなおも明らかでない。
【0208】
【表6】
【0209】
サルコシネートの代わりに、他の脂肪酸の塩も添加剤として試験した。ステアリン酸ナトリウムの結果を表7に示した。ステアリン酸ナトリウムは大きいボンドパッドに対して約10%ディッシング低減を示した。
【0210】
【表7】
【0211】
疎水性部分、例えば、炭化水素又はポリプロピレンオキシド鎖と、ポリエチレンオキシド鎖である親水性部分を含むコポリマー及びエトキシル化界面活性剤をも試験した。
【0212】
【表8】
【0213】
エトキシル化脂肪族アルコールBrij(商標) S10、Brij(商標)S100及びコポリマーPEG-PPG-PEG (数平均分子量=1100)を試験した。Brij(商標)はCroda International PLC.の商品名である。Brij(商標) S10はステアレス-10であり、そしてBrij(商標)S100はステアレス-100である。すべてのサンプルはSigma-Aldrich Inc.から購入した。結果を表8及び図3に示した。低濃度 (50ppm)のBrij(商標) S10は大きいボンドパッド特徴部(100x300μm) に対して24%のディッシングの良好な低減を提供した。
【0214】
スラリーのタングステン除去速度(WRR)は対照スラリーの除去速度(>4500 Å /min.)と同等であった。このように、対照スラリーに添加剤を添加することによる除去速度低下はなかった。TEOS除去速度 (TEOSRR)も非常に低いままであった(< 80 Å /min.)。試験スラリーは研磨の優れた選択性を提供し、2つの比WRR/TEOSRR は> 60であった。
【0215】
【表9】
【0216】
添加剤は表9及び図4に下記に示すように、高いタングステンブランケットの除去速度、また、酸化ケイ素(TEOS)除去と比較した高い選択率を維持しながら、ディッシングを低減するのに優れた性能を示した。
【0217】
[例2]
対照スラリー又は配合物は0.17%鉄コート化シリカ粒子触媒、0.6wt%、タングステンディッシングを抑制するために異なる添加剤を含むシリカ粒子を含んで製造された。研磨前に過酸化水素を配合物に添加し、3wt%の濃度を生じた。過酸化水素の添加後に、配合物のpHは6〜7であった。
【0218】
PEO (MW 100000, 150 ppm)及び数平均分子量が約2000であるPPG-PEG-PPGブロックコポリマーである Pluronic(商標)10R5を本例において対照に添加した。
【0219】
ブランケットタングステン、TEOS及びパターン化タングステンウエハ(MIT 854マスク, 5000 Å の堆積タングステン厚さ、3000 Å トレンチ深さ、TEOS誘電体及びTi/TiN バリア層)を配合物を用いて研磨した。
【0220】
研磨条件は2psi膜圧、113 RPMのテーブル速度、111 RPMのヘッド速度、90 RPMのテーブル速度、Dow ChemicalsからのIC1010研磨パッドであった。パターン化ウエハは光学エンドポイント技術により測定して、エンドポイントを25%超えて研磨された。
【0221】
表10はこれらの配合物に関する除去速度及びトポグラフィーデータを要約する。
【0222】
【表10】
【0223】
結果はポリマーを用いて、小ライン幅構造及び大ライン幅構造の両方のディッシングならびにラインアレイのエロージョンで優れた低減が達成されたことを示した。
【0224】
[例3]
対照スラリー又は配合物は0.005%のシュウ酸アンモニウム鉄(III)水溶性触媒、0.5 wt%の、タングステンディッシングを抑制するための異なる添加剤を含むシリカ粒子を含んで製造された。配合物のpHを5に調節した。研磨前に配合物に過酸化水素を添加し、3wt%の濃度を生じた。
【0225】
PEO (MW 100000, 150 ppm)及び数平均分子量が約2000であるPPG-PEG-PPGブロックコポリマーである Pluronic(商標)10R5を本例において対照に添加した。
【0226】
ブランケットタングステン、TEOS及びパターン化タングステンウエハ(MIT 854マスク, 5000 Å の堆積タングステン厚さ、3000 Å トレンチ深さ、TEOS誘電体及びTi/TiN バリア層)を配合物を用いて研磨した。
【0227】
研磨条件は2psi膜圧、113 RPMのテーブル速度、111 RPMのヘッド速度、90 RPMのテーブル速度、Dow ChemicalsからのIC1010研磨パッドであった。パターン化ウエハは光学エンドポイント技術により測定して、エンドポイントを25%超えて研磨された。
【0228】
表11はこれらの配合物に関する除去速度及びトポグラフィーデータを要約する。
【0229】
【表11】
【0230】
[例4]
対照スラリー又は配合物は0.005%のシュウ酸アンモニウム鉄(III)水溶性触媒、0.5 wt%のシリカ粒子を含んで製造された。
【0231】
種々のレベルのDabco 5604界面活性剤をタングステンディッシングを抑制するために対照に添加した。配合物のpHを5に調節した。研磨前に配合物に過酸化水素を添加し、3wt%の濃度を生じた。例6に記載の方法をブランケット及びパターン化タングステンウエハを研磨するために使用した。パターン化WRRをパターン化ウエハ上での初期タングステン厚さを各エンドポイントまでに要求される時間で割ることにより計算した。
【0232】
研磨条件は2psi膜圧、113 RPMのテーブル速度、111 RPMのヘッド速度、90 RPMのテーブル速度、Dow ChemicalsからのIC1010研磨パッドであった。パターン化ウエハは光学エンドポイント技術により測定して、エンドポイントを25%超えて研磨された。
【0233】
表12はデータを要約する。
【0234】
【表12】
【0235】
Dabco 5604はブランケットタングステン速度を低下させ、パターン化ウエハの除去速度は影響を受けないことが表12から明らかである。結果的に、研磨操作の生産速度に望ましくない影響を及ぼすことなく、ディッシングを低減することが可能である。
【0236】
本発明で開示された添加剤は、高いタングステンブランケットの除去速度、また、酸化ケイ素(TEOS)除去と比較した高い選択率を維持しながら、ディッシングを低減するのに優れた性能を示した。
【0237】
本発明の原理を好ましい実施形態と組み合わせて上記に説明してきたが、本記載は例示のみで、本発明の範囲を限定しないことは明らかに理解されるべきである。むしろ、好ましい例示の実施形態の詳細な説明の結果として、本発明の好ましい例示の実施形態を実施することを可能にする記載を当業者に与えるであろう。種々の変更は、添付の特許請求の範囲に示されるとおりに、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置においてなされてよい。
本開示は以下も包含する。
[1]
0.01wt%〜30wt%の研磨剤、
0.01wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸化剤、
0.0005wt%〜約10wt%の活性化剤、
0.1ppm〜10,000ppmの添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水である研磨組成物であって、
前記研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記活性化剤は、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属はFe, Cu, Mn, Co, Ce及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群より選ばれる可溶性触媒、(3)Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Ni, Os, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記添加剤はサルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記pH調節剤は水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは2〜10である、研磨組成物。
[2]
前記サルコシネートはココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル、ステアロイルサルコシネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記関連カルボン酸化合物はミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる不飽和脂肪酸の塩、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩からなる群より選ばれる飽和脂肪酸の塩、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記炭化水素置換サルコシネートはアルキル、アルケニル又はアルキニルからなる群より選ばれる置換基を有し、アルキル置換基では1個の炭素原子、アルケニルでは2個の炭素原子、又は、アルキニル置換基では3〜24個の炭素原子の範囲であり、ここで、アルケニル置換基の二重結合の数、又は、アルキニル置換基の三重結合の数は4個までである、上記態様1記載の研磨組成物。
[3]
前記エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマーはポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記ポリエチレンオキシド(PEO)は一般分子構造
【化2】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指す)を有する、上記態様1記載の研磨組成物。
[4]
前記エトキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、上記態様1記載の研磨組成物。
[5]
前記添加剤はポリエチレンオキシド(PEO)、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、上記態様1記載の研磨組成物。
[6]
コロイドシリカ、鉄がコーティングされたシリカ粒子又はシュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、過酸化水素、下記からなる群より選ばれるもの:プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及びそれらの組み合わせを含み、そしてpHは5〜8である、上記態様1記載の研磨組成物。
[7]
0.0001wt%〜0.03wt%の範囲の殺生物剤をさらに含む、上記態様1記載の研磨組成物。
[8]
界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤、研磨増強剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含む、上記態様1記載の研磨組成物。
[9]
タングステンを含む少なくとも1つの表面を含む半導体基板、
研磨パッド、及び、
研磨組成物、
を含む、ケミカルメカニカル平坦化のための装置であって、
前記研磨組成物は、
0.01wt%〜30wt%の研磨剤、
0.01wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸化剤、
0.0005wt%〜約10wt%の活性化剤、
0.1ppm〜10,000ppmの添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水である研磨組成物であって、
前記研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記活性化剤は、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属はFe, Cu, Mn, Co, Ce及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群より選ばれる可溶性触媒、(3)Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Ni, Os, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記添加剤はサルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記pH調節剤は水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは2〜10であり、
前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を前記研磨パッド及び前記研磨組成物と接触させる、装置。
[10]
前記サルコシネートはココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル、ステアロイルサルコシネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記関連カルボン酸化合物はミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる不飽和脂肪酸の塩、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩からなる群より選ばれる飽和脂肪酸の塩、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記炭化水素置換サルコシネートはアルキル、アルケニル又はアルキニルからなる群より選ばれる置換基を有し、アルキル置換基では1個の炭素原子、アルケニルでは2個の炭素原子、又は、アルキニル置換基では3〜24個の炭素原子の範囲であり、ここで、アルケニル置換基の二重結合の数、又は、アルキニル置換基の三重結合の数は4個までである、上記態様9記載の装置。
[11]
前記エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマーはポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記ポリエチレンオキシド(PEO)は一般分子構造
【化3】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指す)を有する、上記態様9記載の装置。
[12]
前記エトキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、上記態様9記載の装置。
[13]
前記研磨組成物はコロイドシリカ、鉄がコーティングされたシリカ粒子又はシュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、過酸化水素、下記からなる群より選ばれるもの:プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及びそれらの組み合わせを含み、そしてpHは5〜8である、上記態様9記載の装置。
[14]
前記研磨組成物は0.0001wt%〜0.03wt%の範囲の殺生物剤、界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤、研磨増強剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含む、上記態様9記載の装置。
[15]
タングステンを含む少なくとも1つの表面を含む半導体基板のケミカルメカニカル平坦化のための研磨方法であって、
前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を研磨パッドと接触させること、
前記表面に研磨組成物をデリバリーすること、
ここで、前記研磨組成物は、
0.01wt%〜30wt%の研磨剤、
0.01wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸化剤、
0.0005wt%〜約10wt%の活性化剤、
0.1ppm〜10,000ppmの添加剤、
pH調節剤、
を含み、残部は水である研磨組成物であって、
前記研磨剤はコロイドシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、活性化剤含有粒子、複合材粒子及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群より選ばれる表面変性粒子ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記酸化剤は過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキシ酸、置換又は非置換ブタンペルオキシ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノスルフェートからなる群より選ばれるペルオキシ化合物、及び、亜硝酸第二鉄、KClO4, KBrO4, KMnO4からなる群より選ばれる非ペルオキシ化合物、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記活性化剤は、(1)遷移金属が表面上にコーティングされた無機酸化物粒子であって、該遷移金属はFe, Cu, Mn, Co, Ce及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる粒子、(2)シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群より選ばれる可溶性触媒、(3)Ag, Co, Cr, Cu, Fe, Mo, Mn, Nb, Ni, Os, Pd, Ru, Sn, Ti, Vからなる群より選ばれる複数の酸化状態を有する金属化合物、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記添加剤はサルコシネート、関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記pH調節剤は水酸化カリウム、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸及び/又はその塩ならびにそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは2〜10である、及び、
C)前記タングステンを含む少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨すること、
の工程を含む、研磨方法。
[16]
前記サルコシネートはココイル、ラウロイル、ミリストイル、オレオイル、ステアロイルサルコシネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記関連カルボン酸化合物はミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノール酸(linoelaidic)、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる不飽和脂肪酸の塩、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びセロチン酸のナトリウム、カリウム又はアンモニア塩からなる群より選ばれる飽和脂肪酸の塩、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記炭化水素置換サルコシネートはアルキル、アルケニル又はアルキニルからなる群より選ばれる置換基を有し、アルキル置換基では1個の炭素原子、アルケニルでは2個の炭素原子、又は、アルキニル置換基では3〜24個の炭素原子の範囲であり、ここで、アルケニル置換基の二重結合の数、又は、アルキニル置換基の三重結合の数は4個までである、上記態様15記載の研磨方法。
[17]
前記エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマーはポリオキシエチレン(POE)、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記ポリエチレンオキシド(PEO)は一般分子構造
【化4】
(上式中、nは4〜113636の範囲の繰り返し単位の合計数を指す)を有する、上記態様15記載の研磨方法。
[18]
前記エトキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アミンエトキシレート、プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、上記態様15記載の研磨方法。
[19]
前記研磨組成物はコロイドシリカ、鉄がコーティングされたシリカ粒子又はシュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、過酸化水素、下記からなる群より選ばれるもの:プロピレングリコール(PPG)−エチレングリコール(PEG)ブロックコポリマー、ポリエーテルシリコーン界面活性剤、オレオイルサルコシネート、N-ラウロイルサルコシネート、及びそれらの組み合わせを含み、そしてpHは5〜8である、上記態様15記載の研磨方法。
[20]
前記半導体基板はTEOSを含む少なくとも1つの表面をさらに含み、タングステン(WRR)/TEOS(TEOSRR)の除去速度の比は60を超える、上記態様19記載の研磨方法。
[21]
前記研磨組成物は0.0001wt%〜0.03wt%の範囲の殺生物剤、界面活性剤、安定化及び不動態化剤、分散剤、キレート剤、被膜形成性抗腐食剤、研磨増強剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含む、上記態様15記載の研磨方法。
図1
図2
図3
図4