【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明に係るポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物は、(A)(メタ)アクリレート系単量体と、前記(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対してカルボキシル基及び/又はビニルエステル基を有する単量体、またはこれらの混合物1〜20重量部、内部架橋剤0.01〜1重量部を含む混合単量体、及びダイアセトンアクリルアミド0.1〜3重量部の反応で得られたアクリル系エマルジョン樹脂;(B)アルカリ中和剤;及び(C)0.1〜1重量部の外部架橋剤を含むことを特徴とする。
【0009】
本明細書において使用された用語、“混合単量体”は、前記単量体をベースとしてアクリル系エマルジョン樹脂(A)が重合されるものであれば特に制限がなく、例えば、前記単量体が共に混合された状態で投入されて重合されてもよく、前記単量体が順次投入されて重合されてもよいなど、多様である。
【0010】
下記に示したように、本発明に係る粘着剤組成物は、所定の単量体を重合して製造されたプレエマルジョンをダイアセトンアクリルアミドと重合反応させてアクリル系エマルジョン樹脂を製造し、その後、所定の外部架橋剤を使用して追加的に重合反応させるステップを含んで製造されるので、特にポリプロピレンフィルムに使用する場合、初期粘着力及び剥離力の低下なしに維持力を大きく向上させることができる。
【0011】
一具体例において、前記(メタ)アクリレート系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、n−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つまたは2つ以上であってもよく、詳細には、前記(メタ)アクリレート系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つまたは2つ以上であってもよい。
【0012】
詳細には、前記(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリレート系単量体の全重量を基準として、ブチルアクリレート40〜80重量%、2−エチルヘキシルアクリレート15〜50重量%、及びメチルメタクリレート2〜20重量%の混合物であってもよい。
【0013】
詳細には、前記カルボキシル基及び/又はビニルエステル基を有する単量体、またはこれらの混合物は、(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して9〜18重量部を含むことができる。前記カルボキシル基及び/又はビニルエステル基を有する単量体、またはこれらの混合物の含量が少なすぎる場合、粘着剤が柔軟になりすぎて十分な粘着物性を確保することができず、多すぎる場合、粘着剤が硬くなりすぎて著しい粘着力の低下が発生するため好ましくない。
【0014】
前記カルボキシル基を含む単量体は、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、無水クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ミリストレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸からなる群から選択される1種以上であってもよく、より詳細には、(メタ)アクリル酸であってもよい。
【0015】
前記ビニルエステル基を含む単量体は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びビニルピロリドンからなる群から選択される1種以上であってもよく、より詳細には酢酸ビニルであってもよい。
【0016】
詳細には、前記アクリル系エマルジョン樹脂(A)は、(メタ)アクリレート系単量体と、前記(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して、カルボキシル基を有する単量体0.5〜4重量部、ビニルエステル基を有する単量体8〜14重量部、内部架橋剤0.05〜0.5重量部を含む混合単量体、及びダイアセトンアクリルアミド0.5〜2重量部の反応で得ることができる。
【0017】
前記アクリル酸の含量が少なすぎる場合、初期粘着力、剥離力、維持力などの粘着剤の諸特性が減少することがあり、アクリル酸の含量が多すぎる場合、維持力は増加するが、初期粘着力及び剥離力が減少することがある。したがって、前記カルボキシル基を有する単量体の含量は、(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して0.8〜2.5の範囲であってもよく、より詳細には、1.3〜1.8の範囲であってもよい。
【0018】
また、前記ダイアセトンアクリルアミドの含量が少なすぎる場合、その効果を十分に発揮できないため粘着物性が低下し、多すぎる場合、初期粘着力及び剥離力が低下し得るため好ましくない。したがって、前記ダイアセトンアクリルアミドの含量は、(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して1.2〜1.8の範囲であってもよい。
【0019】
前記内部架橋剤は、維持力を補強するために添加されるものであって、アリルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、トリメチルプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチルプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ビニルトリメトキシシラン、及びジビニルベンゼンからなる群から選択される1種以上であってもよく、詳細には、ポリエチレングリコールジアクリレートであってもよい。
【0020】
前記アルカリ中和剤(B)は、1価金属または2価金属の水酸化物、塩化物、炭酸塩、及び有機アミンからなる群から選択される1種以上であってもよく、より詳細には、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アニリン及びジエチルアミンからなる群から選択される1種以上であってもよく、より詳細には水酸化ナトリウムであってもよい。
【0021】
前記外部架橋剤は、有機系架橋剤または無機系架橋剤であってもよい。
【0022】
詳細には、前記有機系架橋剤はアジピン酸ジヒドラジド(adipic acid dihydrazide;ADH)であってもよく、前記無機系架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネート、酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸クロム、亜鉛アンモニウムカーボネート、及びジルコニウムアンモニウムカーボネートからなる群から選択される1種以上であってもよく、特にアジピン酸ジヒドラジド(adipic acid dihydrazide;ADH)を好ましく使用することができる。
【0023】
前記外部架橋剤は、前記アクリル系エマルジョン樹脂100重量部に対して0.1〜0.5重量部を含むことができる。前記外部架橋剤の含量が少なすぎる場合、その効果を十分に発揮できないため粘着物性が低下し、多すぎる場合、初期粘着力及び剥離力が低下し得るため好ましくない。
【0024】
本発明はまた、前記ポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物の製造方法を提供する。
【0025】
前記ポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物の製造方法は、
【0026】
(A)(メタ)アクリレート系単量体と、前記(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して1〜20重量部のカルボキシル基又はビニルエステル基を有する単量体、またはこれらの混合物、0.01〜1重量部の内部架橋剤を混合し、0.1〜5重量部の第1重合開始剤を添加して、プレエマルジョンを製造するステップと、
【0027】
(B)前記ステップ(A)のプレエマルジョンにダイアセトンアクリルアミド0.1〜3重量部を混合し、0.1〜5重量部の第2重合開始剤を添加して、アクリル系エマルジョン樹脂を製造するステップと、
【0028】
(C)前記ステップ(B)のアクリル系エマルジョン樹脂100重量部に対してアルカリ中和剤を使用して前記アクリル系エマルジョン樹脂を中和するステップと、
【0029】
(D)前記ステップ(C)のアクリル系エマルジョン樹脂100重量部に対して外部架橋剤0.1〜1重量部を使用して前記アクリル系エマルジョン樹脂を架橋させるステップと、を含む。
【0030】
本発明に係る製造方法は、所定の単量体を重合して製造されたプレエマルジョンをダイアセトンアクリルアミドと重合反応させてアクリル系エマルジョン樹脂を製造する2つのステップの重合過程を含む。この場合、アクリル系エマルジョン樹脂の外郭には、外部架橋剤との反応性の高いダイアセトンアクリルアミドが位置するので、それによって外部架橋剤の効果をより一層高めることができ、維持力を向上させることができるので、結果的に、これによるポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物は、初期粘着力及び剥離力の低下なしに維持力を大きく向上させることができる。
【0031】
アクリル系エマルジョン樹脂の重合は、溶液、UV、バルク、乳化、懸濁重合をはじめとする一般的な重合法により製造することができ、より好ましくは、乳化重合が適し得る。本発明の乳化重合に使用される第1重合開始剤及び第2重合開始剤は、例えば、それぞれアンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、及び水溶性重合開始剤からなる群から選択される1つであってもよく、詳細には過硫酸アンモニウムであってもよい。
【0032】
重合開始剤の含量が過度に少ないまたは多い場合、適切な水準の重合反応が起こることができないため、前記第1重合開始剤の含量は、詳細には、(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して0.3〜1.2重量部であってもよく、前記第2重合開始剤の含量は、詳細には、(メタ)アクリレート系単量体100重量部に対して0.1〜0.5重量部であってもよい。
【0033】
本発明のアクリル系エマルジョン樹脂の重合に使用される乳化剤は、当業界で一般的に乳化重合に使用される乳化剤から選択することができ、具体的な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールナフタレン硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシド硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの非イオン系乳化剤などであってもよく、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0034】
前記乳化剤は、重合に使用される単量体及び架橋剤の合計100重量部を基準として、0.5〜3重量部使用することが好ましい。
【0035】
前記アクリル系エマルジョン樹脂は、アルカリ性物質で酸度(pH)を調整することができ、アクリル系エマルジョン樹脂のpHは、詳細には6〜9であってもよく、より詳細には7〜8であってもよい。
【0036】
前記重合反応の温度は、詳細には0〜100℃であってもよく、より詳細には、粘着剤の物性を考慮するとき、40〜90℃であってもよく、前記開始剤を単独、または前記開始剤と前記還元剤のうちの1種以上を混合して使用する方法などで調節することができる。
【0037】
本発明のポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物を製造するにおいて、必要に応じて、粘着付与剤、消泡剤、浸潤剤、増粘剤、分散剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、腐敗防止剤、充填剤などの添加剤をさらに使用することができる。
【0038】
前記で製造されたポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物は、粘着ラベル用表面紙としてのポリプロピレンフィルムに好ましく使用することができる。
【0039】
本発明は、前記ポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物がフィルムの片面又は両面に塗布されて形成されたことを特徴とするポリプロピレンフィルムを提供し、前記ポリプロピレンフィルムに塗布された粘着剤層は、10〜30μmの厚さであってもよい。