(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の発光層および前記第2の発光層の前記第1の堆積された層が、前記第2の堆積された層を堆積するために使用される前記少なくとも1つの溶媒中に溶解せず、および
前記第1の堆積された層が、前記第2の堆積された層の形成前に架橋される、
請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の実施形態に従うOLEDを例示する。
【0043】
OLEDは、アノード103、りん光性発光層105、蛍光性発光層107およびカソード109を含む。蛍光性発光層107は、蛍光性発光材料およびTTAプロモータを含有する。OLEDは、基板101、例えばガラスまたはプラスチック基板上に支持される。光は、透明な基板101および透明なアノード103を通して発光されてもよく、または光は、透明なカソード109を通して発光されてもよく、この場合アノード103および基板101はそれぞれ、透明または半透明であってもよく、反射性であってもよい。
【0044】
図1の実施形態において、蛍光性発光層107は、りん光性発光層105とカソードとの間にある。他の実施形態において、りん光性発光層105は、蛍光性発光層107とカソードとの間にあってもよい。
【0045】
1つ以上のさらなる層が、アノード103とカソード109との間に位置してもよい。さらなる層は、さらなる発光層、電荷輸送層、電荷注入層および電荷ブロッキング層から選択されてもよい。
【0046】
例示的な発光構造は、以下を含む:
アノード/発光層/カソード
アノード/正孔注入層/発光層/カソード
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/カソード
発光層は、りん光性層および隣接蛍光性発光層からなってもよく、または1つ以上のさらなる発光層を含有してもよい。さらなる発光層は、蛍光性またはりん光性発光層であってもよい。好ましくはデバイスは、2つまたは3つの発光層を含有する。1つの発光層は、異なるピーク波長の光を発光する2つの異なる発光材料を含有してもよい。
【0047】
好ましい実施形態において、発光層からの発光は、組み合わせて白色光を生じる。白色光は、青色および黄色光の組み合わせによって、または赤色、緑色および青色光の組み合わせによって得てもよい。例示的な発光層の組み合わせは以下が挙げられる:
緑色りん光性/赤色りん光性/青色蛍光性
赤色りん光性および緑色りん光性/青色蛍光性
黄色りん光性/青色蛍光性
黄色りん光性/赤色りん光性/青色蛍光性
青色発光材料は、400〜490nmの範囲にピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有していてもよい。
【0048】
緑色発光りん光性材料は、490〜560nmを超える範囲にピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有していてもよい。
【0049】
黄色発光りん光性材料は、560〜590nmを超える範囲にピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有していてもよい。
【0050】
赤色発光りん光性材料は、約590〜700nm超過にてフォトルミネッセンス発光スペクトルのピークを有していてもよい。
【0051】
白色発光OLEDは、単一の白色発光層を含有してもよく、または組み合わせて白色光を生じる異なる色を発光する2つ以上の層を含有してもよい。白色発光OLEDから発光される光は、2500〜9000Kの範囲の温度において黒体によって発光されるものと等価なCIEx座標、および黒体によって発光されるこの光のCIEy座標の0.05または0.025内のCIEy座標を有していてもよく、2600〜4500Kの範囲の温度において黒体によって発光されるものと等価なCIEx座標を有していてもよい。
【0052】
各発光層は、約10〜100nmの範囲の厚さを有していてもよい。
【0053】
図2は、本発明の実施形態に従うOLEDのための第1のエネルギー移動機構を例示し、ここでOLEDは、OLEDの蛍光性発光層107において蛍光性発光材料、および三重項−三重項消滅(TTA)プロモータを含む。蛍光性発光材料およびTTAプロモータは、発光層において共にブレンドされる別個の材料であってもよい。あるいは、TTAプロモータは、発光材料に結合してもよい;例えば発光材料およびTTAプロモータは、発光繰り返しユニットおよびTTAプロモーティング繰り返しユニットを含む共役または非共役ポリマーの形態であってもよい。
【0054】
操作中、それぞれエネルギー準位S
1FおよびT
1Fを有する一重項および三重項励起子は、蛍光性発光材料上で形成される。エネルギーS
1Fを有する一重項励起子は、
図2のS
1FとS
0Eとの間の実線矢印によって例示される蛍光性光hνの発光により減衰し得る。
図1において点線矢印によって例示されるT
1FからS
0Fへの三重項励起子の減衰は、スピン禁制プロセスである。
【0055】
T
1Fにて形成された三重項励起子は、TTAプロモータの三重項励起された準位T
1Tに移動し得る。T
1Fより低いエネルギー準位T
1Tを有するTTAプロモータを提供することによって、T
1FからT
1Tへの励起子の迅速な移動が生じ得る。この移動は、T
1FからS
0Fへの三重項励起子の減衰のスピン禁制プロセスに比べて相対的に迅速であり得る。
【0056】
T
1FとT
1Tとの間のエネルギーギャップは、好ましくはT
1TからT
1Fへの励起子の逆移動を回避するためにkTより大きい。蛍光性材料の一重項励起された状態S
1Fは、好ましくはTTAプロモータの一重項励起された状態のエネルギー準位S
1Tよりも低い。S
1TとS
1Fとの間のエネルギーギャップは、好ましくはS
1FからS
1Tへの励起子の移動を回避するためにkTより大きい。
【0057】
遅延蛍光を生じる三重項−三重項消滅(TTA)は、2つのTTAプロモータ間の相互作用によって生じ得るもので、結果として2×T
1Tまでのエネルギーを有する三重項−三重項消滅された一重項励起子を形成する。2つの三重項プロモータユニットの第1のものに形成されたこの一重項励起子は、S
1TおよびS
1Fよりもエネルギーが高いエネルギー準位S
nTを有し、そのためそれはS
1Tへ、次いでS
1Fへ移動でき、ここから光hν(F)は、遅延蛍光として発光され得る。
【0058】
三重項−三重項消滅と競合するT
1Tの三重項励起子の減衰経路は、T
1TおよびS
0Tとの間の点線によって例示されるS
0Tへの非放射性(消光)経路である。S
0Tへの減衰よりもむしろTTAの確率を最大限にする多数の基準が採用され得る、特に:
i)TTAプロモータは、T
1Tの三重項励起子が、相対的に長い寿命τを有するように、選択されてもよい。相対的に長い寿命は、S
0Tへの減衰速度が相対的に遅いだけでなく、TTAの尤度が相対的に高いことを意味する。
【0059】
ii)2つ以上のTTAプロモータユニットは、極めて近位で提供され得る。
【0060】
これらの基準のそれぞれは、単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。
【0061】
図3は、TTAプロモータに位置するエネルギーT
1Tの三重項励起子と、蛍光性発光材料上に位置するエネルギーT
1Fの三重項励起子との間で三重項−三重項消滅が生じる第2のエネルギー移動を例示する。これにより、T
1F+T
1Tまでのエネルギーを有する三重項−三重項消滅された一重項励起子がもたらされることが理解される。この一重項励起子は、S
1Fよりもエネルギーが高く、S
1Fへそのエネルギーを移動させる場合があり、ここから光hνは、遅延蛍光として発光され得る。
【0062】
図2および3において、エネルギー準位S
1TはS
1Eより大きいことが好ましい場合があるが、これは三重項吸収が生じるためには必須ではないことが理解される。
【0063】
TTAを生じ、安定に遅延蛍光を生じるためにTTAプロモータを利用することによって、TTAプロモータが存在しないデバイスに比べて、効率を改善できる。
【0064】
図2および3において、TTAは、それぞれTTAプロモータ−TTAプロモータ三重項消滅およびTTAプロモータ−蛍光性エミッタ材料三重項消滅機構に関して記載されているが、両方の機構は、同じデバイスで操作でき、これら2つの機構それぞれからの遅延蛍光の量は、蛍光性発光材料の濃度、TTAプロモータの濃度、発光ユニットおよびTTAプロモータユニットの三重項励起子の励起状態寿命のような因子に依存することが理解される。
図2を参照して上記で記載された基準は、TTAの確率を増大させるために使用されてもよい。
【0065】
蛍光性発光材料およびTTAプロモータは、蛍光性発光材料からTTAプロモータへの三重項励起子の移動の速度定数が、TTAプロモータによって三重項励起子の消光の速度定数よりも大きくなるように選択され得るように選択され得る。
【0066】
本発明のデバイスの蛍光性発光層から発光された光は、上記で記載されるように、遅延蛍光を含んでいてもよく、ならびに発光材料における正孔および電子の再結合から直接生じる蛍光(「即時蛍光」)を含んでいてもよい。
【0067】
当業者は、例えば即時蛍光が続く発光組成物からの光発光を測定することによって、発光組成物から発光された光の遅延蛍光の存在を決定するための方法を承知している。
【0068】
時間分解エレクトロルミネッセンススペクトルは、例示デバイスのターンオフの間に得てもよい;ここで電流のターンオフ後にTTAが生じ、デバイスのRC時間定数と同様の時間スケールでの輝度の初期の迅速減衰は、通常数マイクロ秒の期間での発光減衰において残留シグナルを生じる。一般に、OLED中の遅い遷移発光は、深いトラップまたは界面電荷層またはTTAからの電荷の再結合に起因する(Kondakov,D.Y.Characterization of triplet−triplet annihilation in organic light−emitting diodes based on anthracene derivatives.J.Appl.Phys.102,114504−5(2007)、Sinha,S.,Rothe,C.,Guentner,R.,Scherf,U.&Monkman,A.P.Electrophosphorescence and Delayed Electroluminescence from Pristine polyfluorene Thin Film Devices at Low Temperature.Physical Review Letters 90,127402(2003)およびSinha,S.,Monkman,A.P.,Guntner,R.&Scherf,U.Space−charge−mediated delayed Electroluminescence from polyfluorene thin films.Appl.Phys.Lett.82,4693−4695(2003)を参照のこと)。
【0069】
2つの機構を区別するために、同じ遷移エレクトロルミネッセンストレースを、デバイス電流のターンオフ後に10vリバースバイアスをパルス100nsで印加して測定されることができ、このパルスは、輝度の減衰に対する捕捉された電荷の寄与を除去、または少なくとも十分乱す。標準減衰形状に比べてリバースバイアスパルス後の輝度の減衰が変化していない場合、捕捉された電荷の再結合が、残留輝度シグナルに十分寄与せず、むしろTTAから生じる遅延蛍光によると結論付けられ得る(Popovic,Z.D.&Aziz,H.Delayed electroluminescence in small−molecule−based organic light−emitting diodes:Evidence for triplet−triplet annihilation and recombination−center−mediated light−generation mechanism.J.Appl.Phys.98,013510−5(2005))。
【0070】
蛍光性発光層107に隣接するりん光性発光層105は、
図2および3に示されるように、三重項励起された状態のエネルギー準位T
1Pを有するりん光性発光材料を含有する。りん光性発光材料は、T
1Pから基底状態S
0Pへの三重項励起子の減衰によって、りん光性発光hν(P)を生じることができる。T
1Pエネルギー準位は、隣接蛍光性発光層105におけるT
1Tよりも大きくてもよい。
【0071】
蛍光性発光材料のT
1Fエネルギー準位は、層105のりん光性材料のT
1Pエネルギー準位より0.1eV以下で低く、層105のりん光性材料のT
1Pエネルギー準位と同じまたはそれより高くてもよい。
【0072】
三重項エネルギー準位は、低温りん光分光法によって測定され得る(Y.V.Romaovskii et al,Physical Review Letters,2000,85(5),p1027,A.van Dijken et al,Journal of the American Chemical Society,2004,126,p7718)。
【0073】
一重項エネルギー準位は、蛍光分光法によって測定され得る。
【0074】
蛍光性発光材料
好適な蛍光性発光材料としては、小分子、ポリマー性およびデンドリマー性材料、ならびにこれらの組成物が挙げられる。好適な発光ポリマーとしては、ポリ(アリーレンビニレン)、例えばポリ(p−フェニレンビニレン)およびポリアリーレン、例えば:ポリフルオレン、特に2,7−連結された9,9ジアルキルポリフルオレンまたは2,7−連結された9,9ジアリールポリフルオレン;ポリスピロフルオレン、特に2,7−連結されたポリ−9,9−スピロフルオレン;ポリインデノフルオレン、特に2,7−連結されたポリインデノフルオレン;ポリフェニレン、特にアルキルまたはアルコキシ置換されたポリ−1,4−フェニレンが挙げられる。こうしたポリマーは、例えばAdv.Mater.2000 12(23)1737−1750およびその中の参照文献に開示される。
【0075】
蛍光性発光材料は、好ましくは、480nm以下、例えば400〜480nmの範囲のピークフォトルミネッセンス波長を有する青色蛍光性材料である。
【0076】
蛍光性発光ポリマーは、発光繰り返しユニットを含む発光ホモポリマーであってもよく、またはそれは、例えば国際公開第00/55927号に開示されるような発光繰り返しユニットおよびさらなる繰り返しユニット、例えば正孔輸送および/または電子輸送繰り返しユニットを含むコポリマーであってもよい。各繰り返しユニットは、ポリマーの主鎖または側鎖に提供されてもよい。
【0077】
蛍光性発光ポリマーは、非共役骨格からのペンダント共役基を有する非共役骨格を有していてもよく、または互いに共役した繰り返しユニットを含有する骨格を有するポリマーであってもよい。
【0078】
共役蛍光性発光ホモポリマーまたはコポリマーの例示的な繰り返しユニットは、1つ以上のアリーレン、ヘテロアリーレン、ビニレンおよびアリーレンビニレン(例えばフェニレンビニレン)およびアリールアミン繰り返しユニットを含んでいてもよい。各繰り返しユニットは、非置換または1つ以上の置換基で置換されてもよい。存在する場合、置換基は、C
1−40ヒドロカルビル基から選択されてもよい。
【0079】
共役ポリマーは、好ましくは、隣接繰り返しユニットのアリーレンまたはヘテロアリーレン基と共役するアリーレンまたはヘテロアリーレン基を有する繰り返しユニットを含む。繰り返しユニットにわたる共役程度、すなわち繰り返しユニットと繰り返しユニットの両側の隣接繰り返しユニットとの間の共役度は、例えば一重項および/または三重項エネルギー準位を制御するために、制御されてもよい。
【0080】
例示的なフルオレン繰り返しユニットは以下の式(I)を有する:
【化3】
【0081】
式中、R
5は、各出現時において、同一または異なり、Hまたは置換基であり、2つの基R
5は、連結して環を形成してもよい。
【0082】
各R
5は、好ましくは置換基であり、各R
5は、独立に、以下からなる群から選択されてもよい:
置換または非置換アルキル(C
1−20アルキルであってもよい)であって、ここで1つ以上の非隣接C原子は、置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=Oまたは−COO−で置き換えられてもよく、1つ以上のH原子はFで置き換えられてもよいアルキル;
置換または非置換アリールまたはヘテロアリール基、または線状または分岐鎖状のアリールまたはヘテロアリール基であって、そのそれぞれは、独立に、例えば式−(Ar
4)
rの基で置換されてもよく、ここでAr
4は、各出現時において、独立に、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール基であり、rは少なくとも1であり、1、2または3であってもよいアリールまたはヘテロアリール基;
フルオレンユニットに直接結合した、またはスペーサ基、例えば二重結合を含む基、例えばビニルまたはアクリレート基、またはベンゾシクロブタン基によってそこから間隔をあけられた架橋性基。
【0083】
R
5が1つ以上のアリールまたはヘテロアリール基Ar
4を含む場合、各Ar
4は、独立に、以下からなる群から選択される1つ以上の置換基R
6で置換されてもよい:
アルキル、例えばC
1−20アルキルであって、ここで1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子はFまたは1つ以上の基R
7で置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールで置き換えられてもよいアルキル、
1つ以上の基R
7で置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール、
NR
82、OR
8、SR
8、および
フッ素、ニトロおよびシアノ、
ここで各R
7は、独立に、アルキル、例えばC
1−20アルキルであって、ここで1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oまたは−COO−で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子はFまたはDで置換されてもよく;各R
8は、独立に、アルキル、例えばC
1−20アルキル、1つ以上のアルキル基で置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール、例えば非置換または1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されたフェニルからなる群から選択される。
【0084】
フルオレン繰り返しユニットの芳香族炭素原子はすべて非置換であってもよく、またはこれらの芳香族炭素原子の1つ以上は、置換基R
4で置換されてもよい。存在する場合、各R
4は、独立に、アルキル、例えばC
1−20アルキル(ここで1つ以上の非隣接C原子は、O、S、NH、または置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよい)、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、フッ素、シアノおよびアリールアルキルからなる群から選択される。特に好ましい置換基R
4としては、C
1−20アルキルおよび置換または非置換アリール、例えばフェニルが挙げられる。アリールのための任意の置換基としては、1つ以上のC
1−20アルキル基が挙げられる。
【0085】
存在する場合、置換されたNは、独立に、各出現時において、NR
9であってもよく、ここでR
9は、アルキル(C
1−20アルキルであってもよい)、または置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールである。アリールまたはヘテロアリールのための任意の置換基R
9は、R
7またはR
8から選択されてもよい。
【0086】
好ましくは、各R
5は、C
1−20アルキルおよび−(Ar
4)
rからなる群から選択され、ここでAr
4は、各出現時において、置換または非置換の置換されたフェニルである。フェニルのための任意の置換基としては、1つ以上のC
1−20アルキル基が挙げられる。
【0087】
式(I)の繰り返しユニットは、式(Ia)の2,7−連結された繰り返しユニットであってもよい:
【化4】
【0088】
式(Ia)の繰り返しユニットは、2−または7−位に隣接する位置において置換基R
4によって置換されなくてもよい。
【0089】
隣接繰り返しユニットに対する式(I)の繰り返しユニットの共役度は、隣接繰り返しユニット、例えばC
1−20アルキル置換基を3−および6−位の1つまたは両方に保持する2,7−連結されたフルオレンとツイストを創出するために、(a)繰り返しユニットを、3−および/または6−位置を通して連結して、繰り返しユニットにわたる共役度を制限すること、および/または(b)繰り返しユニットを、1つ以上のさらなる置換基R
4で、連結位置に隣接する以上の位置で置換することによって、制限されてもよい。
【0090】
例示的なフェニレン含有繰り返しユニットは、以下の式(II)を有する:
【化5】
【0091】
式中、pは、0、1、2、3または4であり(1または2であってもよい);qは、1、2または3であり;R
10は、独立に、各出現時において、置換基(式(I)を参照して上記で記載されたような置換基R
5であってもよい)、例えばC
1−20アルキル、および非置換または1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されたフェニルである。
【0092】
q=1の場合、式(II)の繰り返しユニットは、1,4−連結、1,2−連結または1,3−連結であってもよい。
【0093】
式(II)の繰り返しユニットが1,4−連結されている場合、およびpが0である場合、式(II)の繰り返しユニットの共役度は、相対的に高くなり得る。
【0094】
pが少なくとも1であり、および/または繰り返しユニットが1,2−または1,3−連結される場合、式(II)の繰り返しユニットの共役度は、相対的に低くなり得る。1つの任意の配置において、q=1、式(II)の繰り返しユニットは、1,3−連結され、pは0、1、2または3である。別の任意の配置において、式(II)の繰り返しユニットは、以下の式(IIa)を有する:
【化6】
【0095】
別の例示的なアリーレン繰り返しユニットは以下の式(III)を有する:
【化7】
【0096】
式中、R
5は、上記式(I)を参照して記載される通りである。R
5基のそれぞれは、いずれかの他のR
5基と連結して、環を形成してもよい。
【0097】
さらなるアリーレン共繰り返しユニットとしては:フェナントレン繰り返しユニット;ナフタレン繰り返しユニット;アントラセン繰り返しユニット;およびペリーレン繰り返しユニットが挙げられる。これらのアリーレン繰り返しユニットのそれぞれは、これらのユニットの芳香族炭素原子のいずれか2つを通して隣接繰り返しユニットに連結してもよい。具体的な例示連結としては、9,10−アントラセン;2,6−アントラセン;1,4−ナフタレン;2,6−ナフタレン;2,7−フェナントレン;および2,5−ペリーレンが挙げられる。これらの繰り返しユニットのそれぞれは、非置換または1つ以上の置換基で置換されてもよい。好ましい置換基は、C
1−40ヒドロカルビル、例えばC
1−20アルキル、および非置換または1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されたフェニルから選択される。
【0098】
ポリマーは、アミン繰り返しユニット、特に以下の式(IV)のアミンを含有してもよい:
【化8】
【0099】
式中、Ar
8およびAr
9は、各出現時において、独立に、置換または非置換アリールまたはヘテロアリールから選択され、gは、1以上、好ましくは1または2であり、R
13は、Hまたは置換基、好ましくは置換基であり、cおよびdは、それぞれ独立に1、2または3である。
【0100】
各出現時において、同一または異なっていてもよいR
13は、g>1である場合、好ましくはアルキル、例えばC
1−20アルキル、Ar
10、分岐鎖または線状鎖のAr
10基、または式(IV)のN原子に直接結合するまたはスペーサ基によってそこから間隔をあけた架橋性ユニットからなる群から選択され、ここでAr
10は、各出現時において、独立に、置換されてもよいアリールまたはヘテロアリールである。例示的なスペーサ基は、C
1−20アルキル、フェニルおよびフェニル−C
1−20アルキルである。
【0101】
式(IV)の繰り返しユニットにおいてAr
8、Ar
9および存在する場合Ar
10のいずれかは、Ar
8、Ar
9およびAr
10の別の基に、直接結合によってまたは二価の連結原子または基によって連結されてもよい。好ましい二価連結原子および基としては、O、S;置換されたN;および置換されたCが挙げられる。
【0102】
Ar
8、Ar
9および存在する場合はAr
10のいずれかは、1つ以上の置換基で置換されてもよい。例示的な置換基は、置換基R
14であり、ここで各R
14は、独立に、以下からなる群から選択されてもよい:
置換または非置換アルキル(C
1−20アルキルであってもよい)、ここで1つ以上の非隣接C原子は、置換されてもよいアリールまたはヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=Oまたは−COO−で置き換えられてもよく、1つ以上のH原子はFで置き換えられてもよいアルキル;および
Ar
8、Ar
9またはAr
10に直接結合した、またはスペーサ基、例えば二重結合を含む基、例えばビニルまたはアクリレート基、またはベンゾシクロブタン基によってそこから間隔をあけられた架橋性基。
【0103】
存在する場合、置換されたNは、ヒドロカルビル基、例えばC
1−10アルキル、非置換フェニルまたは1つ以上のC
1−10アルキル基で置換されたフェニルで置換されたNであってもよい。
【0104】
式(IV)の好ましい繰り返しユニットは、以下の式1〜3を有する:
【化9】
【0105】
1つの好ましい配置において、R
13はAr
10であり、Ar
8、Ar
9およびAr
10のそれぞれは、独立に、1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよい。
【0106】
Ar
8、Ar
9およびAr
10は、好ましくはフェニルであり、そのそれぞれは独立に、上記で記載されるような1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0107】
別の好ましい配置において、Ar
8およびAr
9はフェニルであり、そのそれぞれは1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよく、R
13は、3,5−ジフェニルベンゼンであり、ここで各フェニルは、1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよい。
【0108】
別の好ましい配置において、c、dおよびgはそれぞれ1であり、Ar
8およびAr
9は、フェノキサジン環を形成するために酸素原子によって連結されるフェニルである。
【0109】
アミン繰り返しユニットは、約0.5mol%から約50mol%までの範囲(約1〜25mol%、約1〜10mol%であってもよい)のモル量で提供されてもよい。
【0110】
式(IV)の繰り返しユニットは、正孔輸送および/または発光特性を提供してもよい。共役ポリマーは、1つ、2つ以上の式(IV)の異なる繰り返しユニット、例えば正孔輸送を提供するために式(IV)の第1の繰り返しユニット、および発光を提供するために式(IV)の第2の繰り返しユニットを含有してもよい。
【0111】
蛍光性発光コポリマーは、発光繰り返しユニットと、正孔輸送を提供するための繰り返しユニット、および電子輸送を提供するための繰り返しユニットのうちの少なくとも1つとを含んでいてもよい。式(IV)のアミン繰り返しユニットは、発光および正孔輸送を提供してもよい。電子輸送は、アリーレン繰り返しユニットの共役鎖、例えば式(I)のフルオレン繰り返しユニットの共役鎖によって提供されてもよい。
【0112】
蛍光性発光層は、発光ポリマーおよびTTAプロモータだけからなってもよく、または1つ以上のさらなる材料と組み合わせてこれらの材料を含んでいてもよい。例えば発光ポリマーは、正孔および/または電子輸送材料とブレンドされてもよく、または別の方法として例えば国際公開第99/48160号に開示されるように、正孔および/または電子輸送材料に共有結合させてもよい。
【0113】
TTAプロモータ
TTAプロモータは、蛍光性発光材料と化学的に結合しないが、物理的には混合される化合物であってもよい。さらなる材料、例えば1つ以上の電荷輸送材料(例えば正孔輸送および電子輸送材料の1つまたは両方)がまた蛍光性発光層に存在してもよい。あるいはTTAプロモータユニットは、発光材料または組成物の別の構成成分に、直接またはスペーサ基を通して結合、特に共有結合してもよい。
【0114】
発光材料が、発光繰り返しユニットおよびさらなる繰り返しユニット、例えば式(IV)の発光アミン繰り返しユニットおよびアリーレン繰り返しユニット、例えば式(I)または(II)の繰り返しユニットを含む共役ポリマーである場合、TTAプロモータのポリマー主鎖への共役(例えばフルオレン繰り返しユニットとの共役)は、TTAプロモータのT
1エネルギー準位を低下させる場合があるので、エミッタユニットからTTAプロモータユニットへの三重項励起子移動のエネルギーの優先性を増大させる。TTAプロモータのT
1エネルギー準位のこうした低下はまた、このようにして共役していないTTAプロモータと共に使用するには低過ぎるT
1準位を有する発光材料と共にTTAプロモータを使用できる。
【0115】
TTAプロモータが発光材料とブレンドされる場合、TTAプロモータは、小分子化合物またはポリマーであってもよい。
【0116】
有機化合物のS
1およびT
1エネルギー準位は、例えばDekker,Handbook of Photophysics 2nd Edition(1993)に開示される。所与の蛍光性発光材料と共に使用するのに好適なTTAプロモータは、これらの有機化合物の列挙されたS
1およびT
1エネルギー準位に基づいて選択されてもよい。
【0117】
例示的なTTAプロモータ化合物としては、1つ以上の単環式または多環式環を含む芳香族またはヘテロ芳香族化合物(1つ以上のアルケニルまたはアルキニル基を含んでいてもよい)、例えば
多環芳香族炭化水素、例えばアントラセン、ペリーレンおよびアンタントレンおよびそれらの誘導体;ジスチリルアリールおよびそれらの誘導体、例えばジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、スチルベン、フルベン、ジベンゾフルベン、線状ポリエン(2から6アルケン)(シクロオクタテトラエンのような環状ポリエンを含む)が挙げられる。
【0118】
これらの化合物のいずれかは、置換されてもよく、例えば1つ以上の可溶化基、例えばC
1−20アルキルで置換されてもよく、例えばポリマーの繰り返しユニットとしてより大きい構造の構成成分として提供されてもよい。
【0119】
適切な一重項および三重項光物理特性を有するさらなる材料は、その内容が参考として本明細書に組み込まれるHandbook of Photochemistry,2
nd Edition,Steven L Murov,Ian Carmichael and Gordon L Hugに記載されており、それら化合物のそれぞれは、置換されていてもよく、例えばアルキル基で置換されていてもよい。
【0120】
発光材料とブレンドされるTTAプロモータポリマー、または蛍光性発光材料の繰り返しユニットおよびTTAプロモータを含有するポリマーは、好ましくは以下の式(V)の繰り返しユニットを含有する:
式中、PAHは、非置換または1つ以上の置換基で置換されてもよい
多環芳香族炭化水素を表す。特に好ましい置換基は、C
1−40ヒドロカルビル、好ましくはC
1−20アルキルから選択される。ヒドロカルビル置換基、例えばアルキル置換基は、非極性有機溶媒、例えばモノ−およびポリ−アルキル化ベンゼン中への溶解度を提供し得る。
【0121】
例示的な
多環芳香族炭化水素PAHとしては、アントラセン、ペリーレンおよびアンタントレンが挙げられる。
【0122】
発光材料とブレンドされるTTAプロモータポリマーは、式(V)の繰り返しユニットおよび1つ以上の共繰り返しユニットを含有してもよい。例示的な共繰り返しユニットとしては、式(I)のフルオレン繰り返しユニットおよび式(II)のフェニレン繰り返しユニットが挙げられる。
【0123】
特に好ましい
多環芳香族繰り返しユニットは、式(Va)のアントラセンである:
【化10】
【0124】
アントラセン繰り返しユニットは、非置換または例えば1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよい。
【0125】
TTAプロモータは、ポリマーの末端基または側鎖基として提供されてもよい。
【0126】
側鎖基は、以下に例示されるようなモノマーの置換基としてそれを提供することによって発光ポリマーに組み込まれてもよい:
【化11】
【0127】
式中、PGは、重合性基、例えば上記で記載されるような脱離基または重合性二重結合を表す。重合性ユニットは、芳香族またはヘテロ芳香族ユニット、例えば式(I)または(II)のフルオレンまたはフェニレンユニットであってもよく、TTAプロモータユニットは、重合性ユニットに直接結合されてもよく、またはスペーサ鎖、例えば1つ以上の非隣接C原子がOで置き換えられてもよいC
1−20アルキル鎖によって間隔をあけられてもよい。
【0128】
上記で記載されるようにTTAの確率および遅延蛍光を増大させるために、TTAプロモータは、極めて近位で提供される複数のTTAプロモータユニットを含有してもよい。例えば2つのこうしたユニットは、以下の一般式(VI)を有する置換されてもよい材料において提供されてもよい:
【0129】
式中、「TTPU」は、TTAプロモータユニットを表し、スペーサは、共役または非共役スペーサ基である。例示的な共役スペーサは、1つ以上のアリールユニット、例えば置換されてもよいフェニルまたはフルオレンを含む。例示的な非共役スペーサはC
1−10アルキルである。式(VI)の材料は、蛍光性発光材料で物理的に混合された別個の化合物であってもよく、またはそれは発光材料に結合してもよい。発光材料がポリマーである場合、式(VI)のユニットは、上記で記載されるように、主鎖繰り返しユニット、側鎖基または末端基として結合してもよい。
【0130】
TTAプロモータの蛍光性発光材料との結合が上記で記載されたが、TTAプロモータは、存在する場合、組成物のいずれかの他の構成成分に、同じ方法で結合してもよいことが理解される。例えば、組成物は、正孔輸送および電子輸送材料の1つ以上を含んでいてもよく、この場合TTAプロモータは、TTAプロモータの蛍光性発光材料との結合に加えて、またはそれの代替として、これらのユニットのいずれかまたは両方に結合してもよい。
【0131】
蛍光性発光材料とブレンドされるかまたは蛍光性発光材料に結合するTTAプロモータの濃度は、発光材料に対して0.1〜20mol%の範囲であってもよく、0.1〜10mol%であってもよく、0.1〜5mol%であってもよい。より高濃度のTTAプロモータは、TTAの確率を増大させ得る。
【0132】
TTAの確率を増大するために、TTAプロモータにある励起状態の三重項の半減期は、少なくとも1マイクロ秒であってもよく、少なくとも10マイクロ秒であってもよく、または少なくとも100マイクロ秒であってもよい。三重項励起子の半減期は、その内容が参考として本明細書に組み込まれるHandbook of Photochemistry,2
nd Edition,Steven L Murov,Ian Carmichael and Gordon L Hugおよびその中の参照文献に記載されるように、単一分子の三重項寿命を測定するためのせん光光分解によって測定され得る。
【0133】
りん光性ドーパント、例えば重金属錯体とは異なり、TTAプロモータは、吸収された三重項が、放射性減衰を行うエネルギー的に有意な経路を提供せず、結果としてTTAプロモータによって吸収された三重項励起子のエネルギーは、TTAプロモータからのりん光性光発光の形態でTTAプロモータから実質的に全く損失されないことが理解される。
【0134】
りん光性発光材料
本発明の実施形態に従うOLEDは、蛍光性発光層に隣接するりん光性発光層を含有し、1つ以上のさらなるりん光性発光層を含有してもよい。
【0135】
りん光性発光層に使用するための例示的なりん光性発光材料としては、以下の式(VII)の置換または非置換錯体を含む金属錯体が挙げられる:
【0136】
式中、Mは金属であり;L
1、L
2およびL
3のそれぞれは配位基であり;qは整数であり;rおよびsはそれぞれ独立に0または整数であり;(a.q)+(b.r)+(c.s)の合計は、M上で利用可能な配位部位の数に等しく、ここでaはL
1の配位部位の数であり、bはL
2の配位部位の数であり、cはL
3の配位部位の数である。
【0137】
重元素Mは強力なスピン軌道カップリングを誘導し、迅速な項間交差および三重項またはより高い状態からの発光を可能にする。好適な重金属Mとしては、dブロック金属、特に2および3列の金属、すなわち元素39〜48および72〜80であり、特にルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金および金が挙げられる。イリジウムが特に好ましい。
【0138】
例示的なリガンドL
1、L
2およびL
3としては、式(VIII)の炭素または窒素ドナー、例えばポルフィリンまたは二座リガンドが挙げられる:
【化12】
【0139】
式中、Ar
5およびAr
6は同一または異なってもよく、独立に、置換または非置換アリールまたはヘテロアリールから選択され;X
1およびY
1は同一または異なってもよく、独立に炭素または窒素から選択され;Ar
5およびAr
6は共に縮合されてもよい。X
1が炭素であり、Y
1が窒素であるリガンドが好ましく、特にAr
5が単環またはNおよびC原子のみを有する縮合ヘテロ芳香族、例えばピリジルまたはイソキノリンであり、Ar
6が単環または縮合芳香族、例えばフェニルまたはナフチルであるリガンドが好ましい。
【0140】
二座リガンドの例を以下に例示する:
【化13】
【0141】
Ar
5およびAr
6のそれぞれは1つ以上の置換基を保持してもよい。2つ以上のこれらの置換基は、連結して、環、例えば芳香族環を形成してもよい。
【0142】
dブロック元素と共に使用するのに好適な他のリガンドとしては、ジケトネート、特にアセチルアセトネート(acac);トリアリールホスフィンおよびピリジンが挙げられ、これらのそれぞれは置換されてもよい。
【0143】
dブロック元素と共に使用するのに好適な他のリガンドとしては、ジケトネート、特にアセチルアセトネート(acac);トリアリールホスフィンおよびピリジンが挙げられ、これらのそれぞれは、例えば1つ以上のC
1−20アルキルで置換されてもよい。
【0144】
式(VII)の化合物のリガンドに関して例示的な置換基としては、式(I)を参照して上記で記載されるような基R
5が挙げられる。特に好ましい置換基としては、フッ素またはトリフルオロメチル(これは例えば国際公開第02/45466号、同第02/44189号、米国特許出願公開第2002−117662号および同第2002−182441号に開示されるような錯体の発光を青色シフトするために使用されてもよい);アルキルまたはアルコキシ基、例えばC
1−20アルキルまたはアルコキシ(これは、特開2002−324679号公報に開示されるものであってもよい);カルバゾール(これは、例えば国際公開第02/81448号に開示されるように、発光材料として使用される場合に錯体に正孔輸送を補助するために使用されてもよい);およびデンドロン(これは、例えば国際公開第02/66552号に開示されるように、金属錯体の溶液加工処理性を得るまたは向上させるために使用されてもよい)が挙げられる。好ましくは、式(VII)のりん光性化合物は、少なくとも1つのデンドロンで置換される。
【0145】
発光デンドリマーは、1つ以上のデンドロンに結合した発光コアを通常含み、各デンドロンは、分岐点および2つ以上の樹木状分岐を含む。好ましくはデンドロンは、少なくとも部分的に共役され、分岐ポイントおよび樹木状分岐の少なくとも1つは、アリールまたはヘテロアリール基、例えばフェニル基を含む。1つの配置において、分岐ポイント基および分岐基はすべてフェニルであり、各フェニルは、独立に1つ以上の置換基、例えばアルキルまたはアルコキシで置換されてもよい。
【0146】
デンドロンは、置換されてもよい式(IX)を有していてもよい
【化14】
【0147】
式中、BPは、コアに結合するための分岐点を表し、G
1は、第1世代分岐基を表す。
【0148】
デンドロンは、第1、第2、第3またはそれ以上の世代のデンドロンであってもよい。G
1は、置換されてもよい式(IXa)におけるように、2つ以上の第2世代分岐基G
2などで置換されてもよい:
【化15】
【0149】
式中、uは0または1であり、vは、uが0である場合に0であり、またはuが1である場合に0または1であってもよく;BPは、コアに結合するための分岐点を表し、G
1、G
2およびG
3は、第1、第2、および第3世代デンドロン分岐基を表す。1つの好ましい実施形態において、BPおよびG
1、G
2…G
nのそれぞれがフェニルであり、各フェニルBP、G
1、G
2…G
n−1は、3,5−連結されたフェニルである。別の好ましい実施形態において、BPは、トリアジンであり、G
1、G
2…G
n−1は3,5−連結されたフェニルである。
【0150】
好ましいデンドロンは、式(IXb)および(IXc)の置換または非置換デンドロンが挙げられる:
【化16】
【0151】
式中、
*はコアへのデンドロンの結合点を表す。
【0152】
BPおよび/またはいずれかの基Gは、1つ以上の置換基、例えば1つ以上のC
1−20アルキルまたはアルコキシ基で置換されてもよい。
【0153】
例示的なりん光性赤色エミッタとしては、fac−トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)が挙げられ、これは、例えば式(VII)を参照して上記で記載されるように、1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0154】
例示的なりん光性緑色エミッタとしては、fac−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)が挙げられ、これは、式(VII)を参照して上記で記載されるように、1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0155】
りん光性発光層は、1つ以上のりん光性発光材料およびホスト材料を含有してもよい。存在する場合、ホスト材料は、りん光性材料と物理的に混合されてもよく、またはりん光性材料に化学的に結合してもよい。ポリマー性ホストである場合、りん光性材料は、ポリマーの側鎖、主鎖または末端基において提供されてもよい。りん光性材料がポリマー側鎖に提供される場合、りん光性材料は、ポリマーの骨格に直接結合されてもよく、またはスペーサ鎖、例えば1つ以上の非隣接C原子がOまたはSで置き換えられてもよいC
1−20アルキルスペーサ基によって間隔をあけられてもよい。
【0156】
りん光性材料は、ポリマーを形成するために使用される他のモノマーの反応性基と反応できる1つまたは2つの反応性重合性基をりん光性材料に提供することによって、ホストポリマーの側鎖、主鎖または末端基に提供されてもよい。式(VIII)の1つ以上のリガンドを含む式(VII)の金属錯体りん光性材料の場合、反応性基は、1つ以上のAr
4および/またはAr
5の置換基として提供されてもよい。別の配置において、Ar
4および/またはAr
5は、例えばフェニルで置換されてもよく、従って置換基は、ホストポリマーに結合するためまたはホストポリマーの主鎖に重合するために1つ以上の反応性基で置換されてもよい。
【0157】
この結合は、対応する混合系に対して利用不可能な分子間励起子移動経路を提供し得るので、ホストポリマーからりん光性材料への励起子のより効率の良い移動がもたらされ得る。
【0158】
さらに、結合は、加工処理のために有益であってもよい。例えば、発光ドーパントが、低溶解度を有する場合、それを可溶性ポリマーに結合することにより、発光ドーパントが電荷輸送材料によって溶液中で保持できるようになり、溶液加工処理技術を用いるデバイスの製作が可能になる。さらに、発光ドーパントをポリマーに結合させることにより、デバイス性能に有害であり得る溶液加工処理されたデバイスの相分離効果を防止し得る。
【0159】
ホスト材料は、好ましくは、ドープされているりん光性材料の場合と少なくとも同じまたはより高い三重項励起された状態のエネルギー準位を有する。好ましくは、ホストとりん光性材料の励起された状態のエネルギー準位との間のギャップは、りん光性材料からホスト材料への励起子の逆移動を回避するために少なくともkTである。ホスト材料は、溶液加工処理可能であってもよい。
【0160】
りん光性発光材料は、ホスト材料に対して、約0.05mol%〜約20mol%までの量で(約0.1〜10mol%であってもよい)発光層に存在してもよい。
【0161】
緑色または赤色りん光性材料に好適なホストとしては、置換されてもよいジアリールトリアジンまたはトリアリールトリアジンが挙げられる。トリアジン含有ホスト材料は、国際公開第2008/025997号により詳細に記載され、それらとしては、例えば置換されてもよいトリフェニルトリアジンが挙げられる。トリフェニルトリアジンのフェニル基の任意の置換基としては、1つ以上のアルキル基、例えばC
1−20アルキル基が挙げられる。ホストは、トリアジン繰り返しユニット、特にアリール基の1つを通して側鎖基として結合した置換されてもよいジ−またはトリ−アリールトリアジン繰り返しユニット、または2つのアリール基を通してポリマー主鎖に結合した繰り返しユニットを含むポリマーであってもよい。トリアジン繰り返しユニットを含むホストポリマーは、(ヘテロ)アリーレン共繰り返しユニット、例えば上記で記載されるようなフェニル、フルオレンまたはインデノフルオレン繰り返しユニットから選択される繰り返しユニットをさらに含んでいてもよく、ここでこの(ヘテロ)アリーレン繰り返しユニットのそれぞれは、1つ以上の置換基、例えばアルキルまたはアルコキシ基で置換されてもよい。共繰り返しユニットの1つのクラスは、上述されるように式(I)のフルオレン繰り返しユニットである。
【0162】
ホストポリマーは、式(X)の繰り返しユニットを含有してもよい:
【化17】
【0163】
式中、Ar
8、Ar
9およびAr
10は、上記式(IV)を参照して記載される通りであり、それぞれは独立に、Ar
8、Ar
9およびAr
10を参照して記載される1つ以上の置換基で置換されてもよく、zは、各出現時において、独立に、少なくとも1であり(1、2または3であってもよい)、好ましくは1であり、YはNまたはCR
14であり、R
14はHまたは置換基であり、好ましくはHまたはC
1−10アルキルである。好ましくは、式(X)のAr
8、Ar
9およびAr
10はそれぞれフェニルであり、それぞれのフェニルは、1つ以上のC
1−20アルキル基で独立に置換されてもよい。
【0164】
1つの好ましい実施形態において、すべての3つの基YはNである。
【0165】
すべて3つの基YはCR
14である場合、Ar
8、Ar
9およびAr
10の少なくとも1つは、好ましくはNを含むヘテロ芳香族基である。
【0166】
Ar
8、Ar
9およびAr
10のそれぞれは、独立に、1つ以上の置換基で置換されてもよい。1つの配置において、Ar
8、Ar
9およびAr
10は、各出現時においてフェニルである。例示的な置換基としては、式(I)を参照して上記で記載されるようなR
5、例えばC
1−20アルキルまたはアルコキシが挙げられる。
【0167】
好ましくは、各zは1であり、Ar
8、Ar
9およびAr
10のそれぞれは、非置換フェニルまたは1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されたフェニルである。
【0168】
式(X)の特に好ましい繰り返しユニットは、式(Xa)を有し、これは、非置換、または1つ以上の置換基R
5、好ましくは1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよい:
【化18】
【0169】
芳香族繰り返しユニットを含むホストポリマーは、芳香族ユニットの共役鎖を形成してもよい。この鎖の共役度は、ポリマー骨格中に好適な繰り返しユニット、例えばポリマー骨格においてツイストを形成する繰り返しユニットおよび共役を制限または破断する繰り返しユニットを含むことによって妨害または低減され得る。
【0170】
共役ホストポリマーの構成を制限し得る例示的な繰り返しユニットとしては、以下が挙げられる:
−式(II)の1,4−フェニレン繰り返しユニット(式中、pは少なくとも1である);
式(II)の1,2−または1,3−フェニレン繰り返しユニット(式中、pは0、1、2、3または4である);
式(I)の3,6−フルオレン繰り返しユニット;
ホストポリマーは、共役破断繰り返しユニットに隣接する繰り返しユニット間の共役経路を破断する共役破断繰り返しユニットを含有してもよい。例示的な共役破断繰り返しユニットは、式(XI)を有する:
式中、Ar
1は、各出現時において、独立に、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール基を表し;Sp
1は、2つの基Ar
1の間に共役経路を提供しないスペーサ基を表す。Ar
1はフェニルであってもよい。Sp
1は、C
1−10アルキル鎖であってもよい。Ar
1は、非置換または式(I)を参照して記載されるような1つ以上の置換基R
5で置換されてもよい。
【0171】
ポリマー合成
上記で記載されるような共役ポリマー(ホストポリマー、蛍光性発光ポリマー、りん光性発光ポリマーおよびTTAプロモータポリマーを含む)の調製のために好ましい方法は、「金属挿入」を含み、ここで金属錯体触媒の金属原子は、モノマーのアリールまたはヘテロアリール基と脱離基との間に挿入される。例示的な金属挿入方法は、例えば国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合、および例えばT.Yamamoto,「Electrically Conducting And Thermally Stable π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」,Progress in Polymer Science 1993,17,1153−1205に記載されるようなYamamoto重合である。Yamamoto重合の場合はニッケル錯体触媒が使用され;Suzuki重合の場合にパラジウム錯体触媒が使用される。
【0172】
例えば、Yamamoto重合による線状ポリマーの合成において、2つの反応性ハロゲン基を有するモノマーが使用される。同様にSuzuki重合の方法に従って、少なくとも1つの反応性基は、ボロン誘導体基、例えばホウ酸またはホウ酸エステルであり、他の反応性基はハロゲンである。好ましいハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素であり、最も好ましくは臭素である。
【0173】
そのため、本出願全体を通して例示される繰り返しユニットは、好適な脱離基を保持するモノマーから誘導されてもよいことが理解される。同様に、末端基または側鎖基は、好適な脱離基の反応によってポリマーに結合されてもよい。
【0174】
Suzuki重合は、レジオレギュラー、ブロックおよびランダムコポリマーを調製するために使用されてもよい。特に、ホモポリマーまたはランダムコポリマーは、1つの反応性基がハロゲンであり、他方の反応性基がボロン誘導体基である場合に調製され得る。あるいは、ブロックまたはレジオレギュラー、特にABコポリマーは、第1のモノマーの反応性基の両方がボロンであり、第2のモノマーの反応性基の両方がハロゲンである場合に調製され得る。
【0175】
ハライドの代わりに、金属挿入に関与できる他の脱離基としては、トシレート、メシレートおよびトリフレートを含む基が挙げられる。
【0176】
デバイスパターニング
本発明のOLEDの発光層は、パターニングされてもよく、またはパターニングされなくてもよい。パターニングされていない発光層を有するデバイスは、例えば照明源として使用されてもよい。白色発光デバイスは、この目的のために特に好適である。パターニングされた層を含むデバイスは、例えばアクティブ・マトリックス・ディスプレイまたはパッシブ・マトリックス・ディスプレイであってもよい。アクティブ・マトリックス・ディスプレイの場合、発光層は、パターニングされたアノード層およびパターニングされていないカソードと組み合わせて使用されてもよい。パッシブ・マトリックス・ディスプレイの場合には、アノード層は、アノード材料の平行ストリップを形成し、発光材料およびカソード材料の平行ストリップは、アノード材料に対して垂直に配列され、ここで発光材料およびカソード材料のストリップは、フォトリソグラフィによって形成された絶縁材料(「カソードセパレータ」)のストリップによって分離されてもよい。
【0177】
電荷輸送および電荷ブロッキング層
正孔輸送層は、アノードと発光層との間に提供されてもよい。同様に、電子輸送層は、カソードと発光層との間に提供されてもよい。
【0178】
同様に、電子ブロッキング層は、アノードと発光層との間に提供されてもよく、正孔ブロッキング層は、カソードと発光層との間に提供されてもよい。輸送およびブロッキング層は、組み合わせて使用されてもよい。そのHOMOおよびLUMO準位に依存して、単一層は、正孔および電子の一方を輸送するとともに、正孔および電子の他方をブロックしてもよい。
【0179】
存在する場合、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送層は、サイクリックボルタンメトリーによって測定される場合に、好ましくは5.5eV以下、より好ましくは約4.8〜5.5eVまたは5.1〜5.3eVのHOMO準位を有する。正孔輸送層のHOMO準位は、これらの層間の正孔輸送のバリアを小さくするために、隣接層(例えば発光層)の0.2eV内(0.1eV内であってもよい)となるように選択されてもよい。
【0180】
存在する場合、発光層とカソードとの間に位置する電子輸送層は、好ましくはサイクリックボルタンメトリーによって測定される場合に、約2.5〜3.5eVのLUMO準位を有する。例えば、0.2〜2nmの範囲の厚さを有する一酸化ケイ素または二酸化ケイ素の層または他の薄い誘電体層が、カソードに最も近い発光層とカソードとの間に提供されてもよい。
【0181】
正孔輸送層は、上記で記載されるように、式(IV)のアミン繰り返しユニットを含むホモポリマーまたはコポリマー、好ましくは式(IV)の繰り返しユニットおよびアリーレン繰り返しユニット、例えば式(I)、(II)および(III)の1つ以上の繰り返しユニットから選択されるアリーレン繰り返しユニットを含むコポリマーを含有してもよい。
【0182】
電子輸送層は、置換されてもよいアリーレン繰り返しユニットの鎖、例えばフルオレン繰り返しユニットの鎖を含むポリマーを含有してもよい。
【0183】
HOMOおよびLUMO準位は、作用電極電位が時間に対して線形傾斜する場合、サイクリックボルタンメトリー(CV)によって測定されてもよい。
【0184】
サイクリックボルタンメトリーが設定電位に到達したとき、作用電極の電位傾斜を反転させる。この反転は、単一実験中、複数回生じ得る。作用電極の電流は、サイクリックボルタモグラムトレースを与えるために適用された電圧に対してプロットされる。
【0185】
CVによるHOMOまたはLUMOエネルギー準位を測定するための装置は、アセトニトリル中のtert−ブチルアンモニウムペルクロレート/またはtertブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート溶液、ガラス状炭素作用電極(ここでサンプルは、フィルムとしてコーティングされる)、白金対電極(電子のドナーまたはアクセプタ)および参照ガラス電極ノーリークAg/AgClを含有するセルを含んでいてもよい。フェロセンは、計算目的のために実験の終盤でセル中に添加される。(Ag/AgCl/フェロセンおよびサンプル/フェロセン間の電位差の測定)。
【0186】
方法および設定:
3mm直径のガラス状炭素作用電極
Ag/AgCl/ノーリーク参照電極
Ptワイア補助電極
アセトニトリル中、0.1Mのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート
LUMO=4.8−フェロセン(ピーク−ツー−ピーク最大平均)+オンセット
サンプル:3000rpmのLUMO(還元)測定でスピンされたトルエン中5mg/mLの1滴:
良好な可逆性還元事象は、通常、200mV/sおよび−2.5Vのスイッチング電位にて測定される厚いフィルムに関して観察される。還元事象は、10サイクルにわたって測定および比較されるべきであり、通常測定は3度目のサイクルにて行われる。オンセットは、還元事象およびベースラインの急こう配部分に最も合うラインの交点にて現れる。
【0187】
正孔注入層
伝導性有機または無機材料から形成されてもよい伝導性正孔注入層は、アノードから半導体ポリマー層に正孔注入するのを改善するために、OLEDのアノードと発光層との間に提供されてもよい。ドープされた有機正孔注入材料の例としては、置換されてもよいドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特に電荷バランス化ポリ酸でドープされたPEDT、例えば欧州特許出願公開第0901176号および欧州特許出願公開第0947123号に開示されるようなポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリアクリル酸またはフッ素化スルホン酸、例えばNafion(登録商標);米国特許第5723873号および米国特許第5798170号に開示されるようなポリアニリン;および置換されてもよいポリチオフェンまたはポリ(チエノチオフェン)が挙げられる。伝導性無機材料の例としては、遷移金属酸化物、例えばJournal of Physics D:Applied Physics(1996),29(11),2750−2753に開示されるようなVOx、MoOxおよびRuOxが挙げられる。
【0188】
カソード
カソードは、電子の発光層への注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。他の因子、例えばカソードと発光材料との間の負の相互作用の可能性が、カソードの選択に影響する。カソードは、アルミニウム層のような伝導性材料の単一層からなってもよい。あるいはそれは、複数の材料、例えば国際公開第98/10621号に開示されるようなカルシウムおよびアルミニウムのような低仕事関数材料および高仕事関数材料の二層;国際公開第98/57381号、Appl.Phys.Lett.2002,81(4),634および国際公開第02/84759号に開示されるような元素状バリウム;または電子注入を補助するためのOLEDの有機層と1つ以上の伝導性層との間に提供される金属化合物、特にアルカリまたはアルカリ土類金属の酸化物またはフッ化物、例えば国際公開第00/48258号に開示されるようなフッ化リチウムの薄層;Appl.Phys.Lett.2001,79(5),2001に開示されるようなフッ化バリウム;および酸化バリウムを含んでいてもよい。電子のデバイスへの効率の良い注入を提供するために、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する層を有する。金属の仕事関数は、例えばMichaelson,J.Appl.Phys.48(11),4729,1977に見出され得る。
【0189】
カソードは、不透明または透明であってもよい。透明カソードは、アクティブマトリックスデバイスに特に有利であるが、それはこうしたデバイスにおける透明アノードを通る発光が、発光ピクセル下に位置する駆動回路によって少なくとも部分的にブロックされるためである。透明カソードは、透明であるのに十分薄い電子注入材料の層を含む。通常、この層の側部伝導度は、その薄さの結果として低くなる。この場合、電子注入材料の層は、インジウムスズオキシドのような透明伝導性材料のより厚い層と組み合わせて使用される。
【0190】
透明カソードデバイスは、透明アノードを必要とせず(もちろん完全に透明なデバイスが所望されない限り)、ボトム発光デバイスのために使用される透明アノードは、アルミニウムの層のような反射材料の層と置き換えられるまたは上に重ねられてもよいことが理解される。透明カソードデバイスの例は、例えばGB2348316に開示される。
【0191】
カプセル化
有機光電子デバイスは、湿分および酸素に対して感受性である傾向にある。従って、基板は、好ましくはデバイスへの湿分および酸素の侵入を防止するために良好なバリア特性を有する。基板は、一般にガラスであるが、特にデバイスの可撓性が所望される場合に代替基板が使用されてもよい。例えば、基板は、1つ以上のプラスチック層、例えば代替プラスチックおよび誘電体バリア層の基板または薄いガラスおよびプラスチックの積層体を含んでいてもよい。
【0192】
デバイスは、湿分および酸素の侵入を防止するためにカプセル化剤(図示せず)でカプセル化されてもよい。好適なカプセル化剤としては、ガラスシート、好適なバリア特性を有するフィルム、例えば二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、窒化ケイ素を有するフィルム、またはポリマーおよび誘電体の代替スタックまたは気密性容器が挙げられる。透明カソードデバイスにおいて、透明カプセル化層、例えば一酸化ケイ素または二酸化ケイ素は、ミクロンレベルの厚さに堆積されてもよいが、1つの好ましい実施形態において、こうした層の厚さは20〜300nmの範囲である。基板またはカプセル化剤を通って浸透し得る大気中湿分および/または酸素の吸収のためのゲッター材料は、基板とカプセル化剤との間に配置されてもよい。
【0193】
溶液加工処理
一般的な有機溶媒、例えばモノ−またはポリ−アルキルベンゼン、例えばトルエンおよびキシレンが挙げられ、これらはOLEDの電荷輸送または発光層を形成するために使用される材料を堆積させるために使用されてもよい。材料は、1つ以上の溶媒を用いる堆積のための配合物を形成してもよく、この配合物は、堆積されるべき材料を含有する溶液または分散液であってもよい。単一溶媒または2つ以上の溶媒の混合物が使用されてもよい。
【0194】
特に好ましい溶液堆積技術は、印刷およびコーティング技術、例えばスピンコーティングおよびインクジェット印刷を含む。他の溶液堆積技術としては、浸漬コーティング、ロール印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0195】
OLED形成の間、下層有機層上における有機層の形成が、上層を堆積させるために使用される溶媒によって下層が溶解しないように配置されてもよい。
【0196】
下層有機層の溶解を防止するための方法としては、後続有機層の堆積の前に下層の架橋および上層の有機層の材料を溶解させるが、下層有機層の材料は溶解しない溶媒または溶媒混合物の使用を含む。
【0197】
架橋の場合、架橋されてもよい層としては、上層発光層の溶液加工処理による形成の前の正孔輸送層、または別の上層発光層の溶液加工処理による形成前の1つの発光層の架橋が挙げられる。
【0198】
好適な架橋性基としては、反応性二重結合、例えばビニルまたはアクリレート基、またはベンゾシクロブタン基を含む基が挙げられる。架橋されるべき層がポリマーを含有する場合、架橋性基は、ポリマーの繰り返しユニットの置換基として提供されてもよい。
【0199】
コーティング方法、例えばスピンコーティングは、発光層のパターニングが、例えば照明用途または単純なモノクロセグメント化ディスプレイのように不要であるデバイスには特に好適である。
【0200】
印刷方法、例えばインクジェット印刷は、高情報量ディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に好適である。デバイスは、1つの色の印刷(モノクロデバイスの場合)または複数の色の印刷(マルチカラー、特にフルカラーデバイスの場合)のために第1の電極にわたってパターニングされた層を提供し、ウエルを規定することによってインクジェット印刷されてもよい。パターニングされた層は、通常、例えば欧州特許出願公開第0880303号に記載されるようなウエルを規定するためにパターニングされたフォトレジスト層である。発光層、電荷注入層および電荷輸送層を含むすべての有機層は、各層の材料をウエルに連続印刷することによって形成されてもよい。
【0201】
ウエルの代替として、インクは、パターニングされた層内に定義されるチャンネルに印刷され得る。特に、フォトレジストは、パターニングされてチャンネルを形成してもよく、これらはウエルとは異なり、複数のピクセル上に延び、チャンネル末端部では閉じていてもよく、または開いていてもよい。
【実施例】
【0202】
一般的なデバイスプロセス
以下の構造を有するデバイスを調製した:
ITO/HIL/HTL/緑色/赤色/青色/カソード
式中、ITOは、インジウムスズオキシドのアノードであり;HILは正孔注入材料を含む正孔注入層であり;HTLは正孔輸送層であり;緑色、赤色および青色はそれぞれ、緑色、赤色および青色発光層である。
【0203】
ITO保持基板は、UV/オゾンを用いて洗浄された。15nm厚さの正孔注入層は、Plextronics,Inc.から入手可能な正孔注入材料の水性配合物をスピンコーティングすることによって形成した。正孔輸送層は、正孔輸送ポリマー1をスピンコーティングし、ポリマーを加熱により架橋することによって20nmの厚さに形成した。緑色発光層は、Green発光ポリマー1をスピンコーティングおよび架橋することによって30nmの厚さに形成した。赤色発光層は、赤色発光ポリマー1をスピンコーティングおよび架橋することによって22nmの厚さに形成した。青色発光層は、青色発光ポリマーおよびTTAプロモータポリマー1の組成物をスピンコーティングすることによって50nmの厚さに形成した。カソードは、フッ化金属の第1層を約2nmの厚さでエバポレーションにより形成、アルミニウムの第2層を約100nmの厚さで、銀の第3層を約100nmの厚さで形成した。
【0204】
正孔輸送層および発光層に使用するためのポリマーはそれぞれ、以下に記載されるモノマーの国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合によって形成された。
【0205】
正孔輸送ポリマー1
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0206】
デバイス実施例1
デバイスは、一般的なデバイスプロセスに従って記載されるように調製されたが、ここでは青色発光ポリマーは、青色発光ポリマー1であり、青色発光ポリマー1:TTAプロモータポリマー1のモル比は99:1であった。
【0207】
比較デバイス1
デバイスは、TTAプロモータポリマー1を用いずに、青色発光層が、青色発光ポリマー1のみをスピンコーティングすることによって形成された以外、デバイス実施例1に従って調製された。
【0208】
図4に参照して、赤色発光に対する青色発光の強度は、比較デバイス1におけるよりデバイス実施例1におけるものが相当高い。緑色発光の相対強度もより高い。
【0209】
表1を参照して、デバイス実施例1のCIExおよびy座標の値は、比較デバイス1の場合よりも低く、(0.33,0.33)の座標を有する「純粋な」白色発光に近く;演色評価数がより高く;相関色温度はより高く;黒体軌跡からのDuv距離はより小さい。
【表1】
【0210】
図5および
図6を参照して、デバイス実施例1および比較デバイス1のそれぞれの伝導度および外部量子効率は、同様である。
【0211】
図7を参照して、デバイス実施例1および比較デバイス1についての2000cd/m2の出発輝度からのT70値は、同様である。T70は、一定電流にて輝度が出発輝度の70%に降下するのにかかる時間である。
【0212】
いかなる理論によっても束縛されないが、青色発光層中のTTAプロモータの存在により、青色発光層中の三重項−三重項消滅を可能にすると考えられ、青色発光ポリマーからの発光効率を改善する。三重項−三重項消滅において消費される三重項は、隣接りん光性赤色発光層に拡散せず、再び青色:赤色発光の比を低下させ得る赤色発光に寄与しない。
【0213】
TTAプロモータポリマー1は、赤色りん光性層に隣接した層にある。驚くべきことに、TTAプロモータによって赤色発光の実質的な消光は観察されない。いかなる理論によっても束縛されないが、相対的に低い量のTTAプロモータが、こうした消光の確率を最小限にすると考えられる。
【0214】
デバイス実施例2
デバイスは、一般的なデバイスプロセスに従って記載されるように調製されたが、ここで青色発光ポリマーは、青色発光ポリマー2であり、青色発光ポリマー2:TTAプロモータポリマー1のモル比は99:1であった。
【0215】
比較デバイス2
デバイスは、TTAプロモータポリマー1を用いずに、青色発光層が、青色発光ポリマー2のみをスピンコーティングすることによって形成された以外、デバイス実施例2に従って調製された。
【0216】
図8を参照して、赤色発光に対する青色発光の強度は、比較デバイス2の場合よりもデバイス実施例2において相当高い。緑色発光の相対強度もより高い。
【0217】
表2を参照して、デバイス実施例1のCIExおよびy座標の値の両方は、比較デバイス1の場合よりも低く、(0.33,0.33)の座標を有する「純粋な」白色発光に近い;演色評価数がより高い;相関色温度がより高い。
【表2】
【0218】
図9および
図10を参照して、デバイス実施例2および比較デバイス2の伝導度および外部量子効率はそれぞれ同様である。
【0219】
図11を参照して、デバイス実施例2および比較デバイス2についての2000cd/m2の出発輝度からのT70値は同様である。
【0220】
デバイス実施例3
デバイスは、青色発光ポリマー2:TTAプロモータポリマー1のモル比が98:2であった以外、デバイス実施例2に記載されるように調製した。
【0221】
デバイス実施例4
デバイスは、青色発光ポリマー2:TTAプロモータポリマー1のモル比が94:6であった以外、デバイス実施例2に記載される通りに調製された。
【0222】
デバイス実施例5
デバイスは、青色発光ポリマー2:TTAプロモータポリマー1のモル比が90:10であった以外、デバイス実施例2に記載される通りに調製した。
【0223】
図12のエレクトロルミネッセンススペクトルを参照して、青色蛍光性ポリマー:TTAプロモータポリマーのモル比が99:1〜90:10で変動するデバイス実施例2から5における色の差はほとんどまたは全くないことがわかる。
【0224】
表3を参照して、TTAプロモータポリマー1(TTAP)のモル比が増大するにつれて効率がわずかに低下することがわかる。いかなる理論によっても束縛されないが、青色蛍光性発光層におけるTTAプロモータの量が増大すると、隣接赤色りん光性層におけるりん光の消光確率が増大すると考えられる。
【表3】
【0225】
表4を参照して、CIExおよびCIEy座標は、比較デバイス2よりもデバイス実施例2から5に関して低いことがわかり;デバイス実施例2から5に関してCRI値はより高く;色温度はより高い。
【表4】
【0226】
表5を参照して、寿命および経時的な電圧変化は、比較デバイス2およびデバイス実施例2から5に関して同様である。
【表5】
【0227】
本発明は、特定の例示的な実施形態に関連して記載されたが、本明細書に開示される特徴の種々の変更、代替および/または組み合わせが、以下の特許請求の範囲において記載されるように本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかであることが理解される。