【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年9月26日付でWorld Maker Faire NY 2015において、日本電信電話株式会社が空間像投影装置について公開。 平成27年11月3日付でSiggraph Asia 2015において、日本電信電話株式会社が空間像投影装置について公開。 平成28年2月24日付で第20回一般社団法人情報処理学会シンポジウム インタラクション2016論文集において、巻口 誉宗らが空間像投影装置について公開。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の表示像ならびに前記1以上の第3の表示像の大きさは、対応する光学素子の配置順に前記第1の表示像から順に大きいことを特徴とする、請求項1に記載の空中像表示装置。
前記第1の光学素子、前記1以上の第4の光学素子、前記第3の光学素子の上端の位置は、前記第1の光学素子から配置順に高いことを特徴とする、請求項1に記載の空中像表示装置。
前記第3の光学素子は、前記第1の光学素子および前記1以上の第4の光学素子よりも高い反射率を有し、前記第2の光学素子は、観察者が前記第1の光学素子側から前記第1および第2の虚像を見たとき、前記第1の虚像が前記第2の虚像よりも奥側に形成されるように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の空中像表示装置。
前記第1の表示装置から出射された光が入射される第3の光学素子であって、前記第1の表示装置から出射された光を前記第1の光学素子の透過面に向けて反射する前記第3の光学素子をさらに備え、
前記第1の表示装置から出射され、前記第3の光学素子で反射された光が、前記第1の表示装置に表示された第4の表示像に対応する第4の虚像を形成することを特徴とする、請求項9に記載の空中像表示装置。
前記第1および第2の表示装置から出射された光が入射される、前記第1の光学素子と前記第3の光学素子との間に配置された1以上の第4の光学素子であって、前記第1の表示装置から入射された光の一部が透過し、一部が反射する前記1以上の第4の光学素子と、
前記第1および第2の表示装置から出射された光が入射される1以上の第5の光学素子であって、前記第1の表示装置から出射されて前記1以上の第4の光学素子を透過した光を前記1以上の第4の光学素子の反射面に向けて反射する反射面と、前記第2の表示装置から出射された光を透過する、前記1以上の第5の光学素子の反射面と対向する透過面とを有する、前記1以上の第5の光学素子と、
をさらに備え、
前記第1の表示装置から出射され、前記1以上の第5の光学素子で反射されて前記1以上の第4の光学素子の反射面で反射された光が、前記第1の表示装置に表示された1以上の第5の表示像に対応する1以上の第5の虚像を形成し、前記第2の表示装置から出射され、前記1以上の第5の光学素子を透過して前記1以上の第4の光学素子の反射面で反射された光が、前記第2の表示装置に表示された1以上の第6の表示像に対応する1以上の第6の虚像を形成することを特徴とする、請求項11に記載の空中像表示装置。
前記第2〜4の虚像、前記1以上の第5の虚像および前記1以上の6の虚像が形成される領域が前記第1の表示装置により照明されることを特徴とする、請求項9に記載の空中像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る空中像表示装置100の構成例を示す側面図である。
図1に示す空中像表示装置100は、表示装置110の表示面の異なる表示領域に個別に表示された複数の表示像それぞれの虚像を、表示面に対して略水平方向から観察する観察者1に対して前後に重畳して表示することで、空中像を表示するものである。
【0034】
図1に示す空中像表示装置100においては、表示装置110が、空中像表示装置100の筐体100aの一面(
図1においては筐体100aの上面)に、表示面が筐体100a側を向くようにして(
図1においては表示面を下向きにして)、設置される。筐体100aの表示装置110の設置面のうち、表示装置110の表示面に対応する領域には、表示面から出射された光が筐体100a内に入射するように、開口が設けられている。当該開口は、透明な部材で塞いだり、覆ったりしてもよい。なお、表示装置110は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などであるが、これらに限られるものではなく、より大きなサイズの表示面を有する表示装置であってもよい。また、表示装置110は、空中像表示装置100と一体的に設けられていてもよい。また、
図1においては便宜上、表示装置110と筐体100aの上面とが所定の間隔を隔てて設けられているように示されているが、実際には、表示装置110と筐体100aの上面とは略密接している。なお、以下では、筐体100aの観察者1側の面からその面に対向する面に向かう方向(観察者1の観察方向)をX方向とする。また、以下では、表示装置110の表示面の向く方向をY方向とする。
【0035】
図1に示す空中像表示装置100は、光学素子120,130と、反射部材140とを備える。ここでは、光学素子120,130と、反射部材140とを、説明の便宜上、用語を区別して用いているが、反射部材140も一般には光学素子120,130と同じ光学素子である。光学素子120,130と、反射部材140との区別は、本発明における使用目的の違いによってなされているだけであることに留意されたい。
【0036】
光学素子120,130は、表示装置110の表示面のそれぞれ異なる表示領域に対応して設けられ、表示面に沿って、観察者1の観察方向に沿って順次配列されている。
図1においては、観察者1から見て、手前側に光学素子130が設けられ、奥側に光学素子120が設けられている。
【0037】
光学素子120は、表示装置110の表示面から見て−X方向に略45°傾斜して設けられており、光学素子120に対応する表示面の表示領域からの出射光を観察者1に向かう方向に反射する。
【0038】
光学素子130は、表示装置110の表示面から見てX方向に略45°傾斜して設けられている。したがって、光学素子120と光学素子130とは反対方向に傾いている。光学素子130は、光学素子130に対応する表示面の表示領域からの出射光(
図2に示す光201)を透過し、その透過光が後述する反射部材140により反射された光(
図2に示す光202)を反射して、観察者1に向かう方向に光(
図2に示す光203)を出射する。また、光学素子130は、光学素子120から出射された、観察者1に向かう光(
図2に示す光204)を透過する。光学素子120,130の具体例としては、ハーフミラー、透明板などがある。
【0039】
反射部材140は、光学素子130に対応し、表示装置110の表示面に対して略平行に設けられ、光学素子130を光学素子130に対応する表示領域と挟むように設けられている。つまり、光学素子130に対応する表示領域と、光学素子130と、反射部材140とが略直線上に設けられている。したがって、光学素子130に対応する表示領域から出射され、光学素子130を透過した光は、反射部材140に入射する。反射部材140は、入射光を光学素子130に向けて反射する。反射部材140の具体例としては、入射光を全反射するフルミラーなどがある。
【0040】
図3は、空中像表示装置100による空中像の表示について説明するための図である。なお、以下では、光学素子120,130のY方向の厚さはDであるとする。
【0041】
光学素子120に対応する表示領域からの出射光が光学素子120により観察者1に向かって反射されることで、光学素子120に対応する表示領域に表示された表示像A1の虚像B1が、観察者1から見ると、光学素子120の奥側の端部の位置に形成される。このように、光学素子120は、対応する表示領域からの入射光を直接的に反射することで、虚像B1を形成する。
【0042】
また、光学素子130に対応する表示領域からの出射光が光学素子130を透過して反射部材140に入射することで、光学素子130に対応する表示領域に表示された表示像A2の虚像B2’が、反射部材140からY方向にDだけ離れた位置に形成される。さらに、光学素子130を透過し、反射部材140により光学素子130に向けて反射された光が光学素子130により観察者1に向かって反射されることで、虚像B2’の虚像B2が、観察者1から見ると、光学素子130の奥側の端部からDだけX方向に奥側の位置に形成される。このように、光学素子130は、対応する表示領域からの出射光を間接的に(対応する表示領域からの出射光が反射部材140により反射された後に)反射することで、虚像B2を形成する。
【0043】
上述したように、光学素子120,130は、観察者1の観察方向に順次配列されている。また、光学素子130は、光学素子120により反射された光を透過する。そのため、虚像B1と虚像B2とが観察者1から見て前後に重畳して表示され、観察者1は、立体的のある空中像を視認することができる。
【0044】
ここで、
図1に示す空中像表示装置100においては、観察者1から見ると、虚像B2を光学素子130の奥側の端部よりもDだけX方向に奥側の位置に形成することができる。そのため、光学素子120と光学素子130との間の距離を調整することで、虚像B1と虚像B2との距離が虚像の高さよりも小さい、より立体感のある空中像を表示することができる。さらに、
図3から明らかなように、光学素子120と光学素子130との間の整距離を縮めても(観察者1から見て、光学素子120の手前側の端部と光学素子130の奥側の端部とを接触させても)、一方の光学素子と他方の光学素子に対応する表示領域とが重なることがないので、虚像B1と虚像B2とが干渉を起こすことがない。
【0045】
なお、虚像B1は表示領域からの出射光が光学素子120により1回反射されて形成されるため、表示像A1は、実際の表示対象像を左右に反転させたものとなる。また、虚像B2は表示領域からの出射光が反射部材140と光学素子130とで2回反射されて形成されるため、表示像A2は、実際の表示対象像を上下に反転させたものとなる。
【0046】
これまでは、光学素子130の数が1つである例を用いて説明したが、光学素子130の数は、2以上であってもよい。
図4は、複数の光学素子130を複数備える空中像表示装置100の構成例を示す側面図である。
【0047】
図4に示す空中像表示装置100は、複数の光学素子130(光学素子130−1,130−2)と、各光学素子130に対応する反射部材140(140−1,140−2)とが設けられている。
【0048】
光学素子130−1,130−2は、観察者1の観察方向に沿って、順次配列されている。
図4においては、観察者1から見て、手前側に光学素子130−2が設けられ、奥側に光学素子130−1が設けられている。
【0049】
反射部材140−1は、光学素子130−1に対応し、筐体101aの上面(表示装置110の表示面)からY方向にDだけ離れた位置に設けられている。また、反射部材140−2は、光学素子130−2に対応し、光学素子130−2のX方向奥側の端部からY方向にEだけ離れた位置に設けられている。
【0050】
光学素子130−1は、対応する表示領域からの出射光を透過し、その透過光が反射部材140−1により反射された反射光を観察者1に向かって反射する。また、光学素子130−1は、光学素子120により観察者1に向かって反射された光を透過する。
【0051】
光学素子130−2は、対応する表示領域からの出射光を透過し、その透過光が反射部材140−2により反射された反射光を観察者1に向かって反射する。また、光学素子130−2は、光学素子120および光学素子130−1により観察者1に向かって反射された光を透過する。
【0052】
光学素子130−1と光学素子130−2とを比較すると、対応する表示領域から出射され、各光学素子に入射する入射光を観察者1に向かって反射するまでの光路長は、光学素子130−2の方が長い。また、光学素子130−1と光学素子120とを比較すると、対応する表示領域からの入射光を観察者1に向かって反射するまでの光路長は、光学素子130−1の方が長い(光学素子120の場合は、略ゼロ)。このように、
図4に示す空中像表示装置100においては、観察者1から見て手前側の光学素子ほど、対応する表示領域からの入射光を観察者1に向かって反射するまでの光路長が長くなるように、各光学素子130に対応する反射部材140が設けられている。なお、
図1に示す空中像表示装置100においても、観察者1から見て手前側の光学素子、すなわち、光学素子130の方が奥側の光学素子120よりも、対応する表示領域からの入射光を観察者1に向かって反射するまでの光路長が長くなるように、各光学素子130に対応する反射部材140が設けられている。
【0053】
光学素子120に対応する表示領域からの出射光が光学素子120により観察者1に向かって反射されることで、光学素子120に対応する表示領域に表示された表示像A1の虚像B1が、観察者1から見ると、光学素子120の奥側の端部の位置に形成される。
【0054】
また、光学素子130−1に対応する表示領域からの出射光が光学素子130−1を透過して反射部材140−1に入射することで、光学素子130−1に対応する表示領域に表示された表示像A2の虚像B2’が、反射部材140−1からY方向にDだけ離れた位置に形成される。さらに、反射部材140−1により光学素子130−1に向けて反射された光が光学素子130−1により観察者1に向かって反射されることで、虚像B2’の虚像B2が、観察者1から見ると、光学素子130−1の奥側の端部からDだけ奥側に形成される。同様にして、光学素子130−2に対応する表示領域に表示された表示像A3の虚像B3’が、反射部材140−2からY方向にD+Eだけ離れた位置に形成される。さらに、虚像B3’の虚像B3が、観察者1から見ると、光学素子130−2の奥側の端部からD+Eだけ奥側の位置に形成される。
【0055】
光学素子130−1は、光学素子120により観察者1に向かって反射された光を透過する。また、光学素子130−2は、光学素子120および光学素子130−1により観察者1に向かって反射された光を透過する。そのため、虚像B1、虚像B2および虚像B3が観察者1から見ると前後に重畳して表示される。このように、
図4に示す空中像表示装置100においては、任意の枚数の虚像を重畳して空中像を表示することができる。さらに、
図4に示す空中像表示装置100においては、観察者1から見て手前側の光学素子130ほど、対応する表示領域からの入射光を所定方向に反射するまでの光路長が長くなるように、対応する反射部材140が設けられている。そのため、観察者1から見て手前側の光学素子130による虚像ほど、X方向に奥側の位置に大きくシフトして形成されるので、各虚像間の距離を縮め、より立体感のある空中像を表示することができる。
【0056】
なお、
図4に示す空中像表示装置100においては、光学素子130−2と反射部材140−2との間の距離Eなどを調整することで、虚像B2と虚像B3との間の距離が小さい、より立体感のある空中像を表示することができる。したがって、
図4に示す空中像表示装置100においては、光学素子120は必須の構成ではなく、光学素子120を複数設置することで空中像を増やすこともできる。
【0057】
要は、本発明においては、反射部材140は、対応する光学素子130が対応する表示領域からの入射光を反射するまでの光路長が、対応する光学素子130よりも観察者1から見て奥側に設けられた光学素子(光学素子120であるか、光学素子130であるかは問わない)が対応する表示領域からの入射光を反射するまでの光路長(光学素子120の場合は、略ゼロ)よりも長くなるように設けられていればよい。このような構成により、光学素子130により形成される虚像が、その光学素子130よりも観察者1から見て奥側に設けられた他の光学素子により形成される虚像に近づくので、2つの虚像間の距離を縮め、より立体感のある空中像を表示することができる。
【0058】
このように本実施形態によれば、空中像表示装置100は、表示装置110の表示面のそれぞれ異なる表示領域に対応し、対応する表示領域からの入射光を反射することで対応する表示領域の表示像の虚像を形成する複数の光学素子を備え、観察者1の観察方向に沿って複数の光学素子を順次配列し、複数の光学素子それぞれにより形成される虚像を重畳して観察者1に視認させる。また、空中像表示装置100は、複数の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子130に対応し、対応する光学素子130を光学素子130に対応する表示領域と挟むように設けられた反射部材140を備える。反射部材140が対応して設けられた光学素子130は、対応する表示領域からの入射光を反射部材140に透過し、透過した光が反射部材140により反射された光を反射することで虚像を形成する。また、反射部材140は、対応する光学素子130が対応する表示領域からの入射光を反射するまでの光路長が、対応する光学素子130よりも観察者1から見て奥側に設けられた他の光学素子が対応する表示領域からの入射光を反射するまでの光路長よりも長くなるように設けられている。
【0059】
そのため、光学素子130により形成される虚像を、その光学素子130よりも観察者1から見て奥側に設けられた他の光学素子により形成される虚像に近づけることができるので、より立体感のある空中像を表示することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、2以上の光学素子130に対応して反射部材140が設けられ、観察者1から見て手前側に設けられた光学素子130ほど、対応する表示領域からの入射光を反射するまでの光路長が長くなるように対応する反射部材140が設けられている。そのため、任意の枚数の虚像を重畳しつつ、各虚像間の距離を縮め、より立体感のある空中像を表示することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、光学素子130による虚像B2は、表示領域から出射された光が光学素子130を透過し、その透過光が反射部材140により反射され、その反射光が光学素子130により反射されることで形成される。そのため、虚像B2は、表示領域に表示された表示像と比べて明るさが減衰する。さらに、第1の実施形態においては、光学素子130による虚像B2が光学素子120による虚像B1よりも観察者1から見て手前側に形成されるため、表示される空中像は全体として暗いものとなってしまう。
【0062】
虚像の明るさを上げるために、例えば、
図22に示す空中像表示装置10において、光学素子12として反射率の高い(例えば、入射した光を全反射する)ミラーを用いることが考えられる。光学素子12の反射率を高めることで、虚像B1の明るさを上げることができる。
【0063】
しかしながら、空中像表示装置10においては、光学素子13は、光学素子12から出射された光を透過する必要がある。そのため、光学素子13の反射率を上げることはできない。また、虚像B2が虚像B1よりも観察者1から見て手前側に形成される。そのため、空中像表示装置10においては、明るい空中像を表示することが困難である。そこで、本実施形態においては、表示される空中像の明るさを上げるための構成について説明する。
【0064】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る空中像表示装置100Aの構成例を示す側面図である。
【0065】
図5に示す空中像表示装置100Aは、
図1に示す空中像表示装置100と比較して、光学素子120を光学素子120aに変更した点と、反射部材140の位置を変更した点とが異なる。
【0066】
光学素子120aは、他の光学素子(光学素子130)よりも高い反射率を有し、対応する表示領域からの出射光を観察者1に向かう方向に反射(例えば、全反射)する。光学素子120aの具体例としては、例えば、フルミラーがある。光学素子120aに対応する表示領域からの入射光が光学素子120aにより観察者1に向かって反射されることで、光学素子120aに対応する表示領域に表示される表示像A1の虚像B1が、観察者1から見ると、光学素子120aの奥側の端部の位置に形成される。ここで、光学素子120aとして反射率の高い光学素子を用いているため、光学素子120aにより形成される虚像B1は、第1の実施形態において形成される虚像B1よりも明るくなる。
【0067】
反射部材140は、観察者1から見て光学素子130の奥側の端部からY方向にEだけ離れた位置に設けられている。すなわち、反射部材140は、筐体100aの上面(表示装置110の表示面)からD+Eだけ離れて設けられている。したがって、光学素子130に対応する表示領域に表示された表示像A2の虚像B2’が、反射部材140からY方向にD+Eだけ離れた位置に形成される。さらに、虚像B2’の虚像B2が、観察者1から見ると、光学素子130の奥側の端部からD+
2Eだけ奥側の位置に形成される。
【0068】
空中像表示装置100Aにおいては、観察者1から見て、虚像B2が虚像B1よりも奥側に形成されるように、反射部材140が設けられている(Eの値が調整されている)。このような構成により、より明るい虚像B1が、観察者1から見て、虚像B2よりも手前側に形成されるので、より明るい空中像を表示することができる。
【0069】
なお、
図5に示す空中像表示装置100Aにおいては、反射部材140と光学素子130との間のY方向の距離を大きくすることで、観察者1から見て、虚像B2が虚像B1よりも奥側に形成されるようにしている。この場合、空中像表示装置100AのY方向の装置サイズが増大してしまう。そこで、装置サイズの増大を抑制した空中像表示装置100Aの構成例を
図6に示す。
【0070】
図6に示す空中像表示装置100Aは、
図5に示す空中像表示装置100Aと比較して、反射部材140を反射部材140aに変更した点が異なる。反射部材140aは、ミラー141,142を備える。
【0071】
ミラー141は、光学素子130と略平行になるように設けられている。観察者1から見て、光学素子130の奥側の端部とミラー141の手前側の端部(上端)とのY方向の位置は略同じである。
【0072】
ミラー142は、ミラー141よりも観察者1から見て奥側に、表示装置110の表示面に対して略垂直に設けられている。
【0073】
反射部材140aにおいては、ミラー141は、光学素子130を透過した光をミラー142に向けて反射する。ミラー142は、ミラー141の反射光をミラー141に向けて反射する。ミラー141は、ミラー142の反射光を光学素子130に反射する。
【0074】
したがって、ミラー141のY方向の厚みをE1とし、観察者1から見て、ミラー141の奥側の端部とミラー142との間の距離をE2とすると、光学素子130に対応する表示領域に表示された表示像A2の虚像B2が、光学素子130の奥側の端部からD+E1+E2だけ奥側の位置に形成される。つまり、E1,E2の値を調整することで、
図5に示す空中像表示装置100Aと同様に、虚像B2が虚像B1よりも後方に形成されるようにすることができる。
【0075】
ここで、
図6に示す空中像表示装置100Aにおいては、光学素子130を透過した光を反射部材140aにおいて複数回反射して光学素子130に出射することで、光学素子130への対応する表示領域からの入射光が観察者1に向かって反射されるまでの光路長として一定の長さを確保している。そのため、光学素子130と反射部材140との間にY方向に大きな間隔を設けなくても、光学素子130が対応する表示領域からの入射光を観察者1に向かって反射するまでの光路長として一定の長さを確保できるので、Y方向の装置サイズの増大を抑制することができる。
【0076】
なお、反射部材140aの構成は
図6に示す構成に限られるものではない。表示領域から出射され、光学素子130を透過した光を複数回反射させた後、光学素子130に出射することができれば、反射部材140aは、任意の構成とすることができる。
【0077】
このように本実施形態によれば、観察者1から見て最も奥側の光学素子120aは、他の光学素子よりも高い反射率を有する。また、反射部材140は、対応する光学素子130により形成される虚像が、光学素子120aにより形成される虚像よりも、観察者1から見て奥側に形成されるように設けられている。そのため、反射率の高い光学素子120aによる虚像B1が、光学素子130による虚像B2よりも観察者1から見て手前側に形成されるので、表示される空中像をより明るくすることができる。
【0078】
また、本実施形態においては、反射部材140aは、対応する光学素子130を透過した光を複数回反射して、対応する光学素子130に出射する。そのため、装置サイズの増大を抑制することができる。
【0079】
なお、第1および第2の実施形態においては、光学素子130は、表示面に対して略45°傾いており、反射部材140は、表示面に対して略平行に設けられている例を用いて説明したが、これに限られるものではない。
【0080】
例えば、
図7に示す空中像表示装置100Bのように、光学素子130と反射部材140とが成す角度が略45°であり、かつ、光学素子130と表示面とが成す角度が0より大きく90°未満であれば、光学素子130が観察者1から見て前後に傾いていても、観察者1から見てX方向に傾きの無い虚像B2を形成することができる。以下では、その理由について
図8を参照して説明する。
【0081】
図8は、
図7に示す空中像表示装置100Bにおける光学素子130および光学素子130に対応する構成を拡大した図である。
図8において、光学素子130と反射部材140との接点を点Bとする。また、表示装置110の表示面から下ろした垂線L1と筐体100aの下面との交点を点Eとする。また、垂線L1と反射部材140との交点を点Dとする。表示装置110の表示面から下ろした垂線は、表示装置110の表示面から出射された光に相当する。表示装置110の表示面から出射された光が点Dにおいて反射された光に相当する直線L2と筐体100aの下面との交点を点Aとする。また、直線L2と光学素子130との交点を点Cとする。また、点Dを通り、反射部材140と直交する垂線L3と筐体100aの下面との交点を点Fとする。また、∠ACB=∠aとし、∠CBE=∠bとし、∠DAF=∠cとし、∠BDE=∠dとし、∠DBE=xとする。
【0082】
この場合、∠EDF=∠90°−∠EFDである。ここで、三角形DFBにおいて、∠EFD=90°−xであるので、∠EDF=xとなる。入射角と反射角とは等しいので、∠EDF=∠FDA=xである。
【0083】
また、∠DBC=45°であるので、
∠b=45°−x ・・・式(1)
となる。また、三角形DEBにおいて、∠DEB=90°より、
∠d=90°−x ・・・式(2)
である。
【0084】
また、三角形ABCにおいて、外角∠cは内角の和に等しいので、
∠c=∠a+∠b・・・式(3)
である。また、三角形DABにおいて内角の和が180°であるので、
∠c=180°−(2x+d)−x=180−3x−d
=180°−3x−(90°−x)=90°−2x ・・・式(4)
である。
【0085】
式(3)=式(4)より、∠a=90°−2x−∠b=45°−x=∠bとなり、∠a=∠b=45°−xとなる。
【0086】
したがって、点Dにおいて反射された光は、光学素子130と成す角度が45°−xで点Cに入射する。反射角と出射角度とは等しいので、光学素子130により反射された光と、光学素子130とが成す角度は45°−x=∠a=∠bとなる。したがって、点Cで反射された光は、一点鎖線で示す筐体100aの下面と平行な方向に出射されるので、傾きの無い虚像を形成することができる。
【0087】
なお、光学素子130および反射部材140の両方を傾ける代わりに、
図9に示すような、傾斜をつけた微小ミラー143を配列させたミラー板を反射部材140として用い、反射部材140と表示装置110の表示面とは平行なまま、光学素子130だけを45°から前後に傾けるようにしてもよい。
図9に示す反射部材140においては、垂直方向からの入射光が、微小ミラー143により所定角度だけ傾いて反射される。したがって、微小ミラー143の斜面の傾きを調整することで、傾きの無い虚像を形成することができる。
図9に示す反射部材140を用いる場合、反射部材140(微小ミラー143)による反射光と光学素子130とが成す角度は45°以上である必要がある。
【0088】
また、
図10に示すように、反射部材140は表示装置110の表示面と平行なまま、光学素子130だけを45°から前後に傾けるようにしてもよい。光学素子130だけを45°から傾けると、光学素子130と表示面とが成す角度が45°からずれた分だけ、光学素子130により形成される虚像B1も、観察者1から見て前後に傾く。この場合、表示面と成す角度が45°である場合からずれた角度に応じて、表示装置110で表示する表示像に対して、虚像B1の傾きを補償するような補正(例えば、台形補正)を行うことで、傾きの無い虚像B1を形成することができる。この場合も、光学素子130と表示面とが成す角度が0より大きく90°未満である必要がある。
【0089】
光学素子130や反射部材140を傾けることにより、装置サイズの増大の抑制を図ることができる。
【0090】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態のように、複数の光学素子120,130を観察者1の観察方向(X方向)に沿って配置し、各光学素子120,130により形成される虚像を重畳して観察者1に視認させる場合、表示装置110のX方向の長さが一定であるとすると、光学素子120,130の数(層数)が増加するほど、各光学素子120,130に割り当てられる表示装置110の表示面の表示領域のX方向の長さが小さくなる。各光学素子120,130に割り当てられる表示領域(各光学素子120,130に対応する表示領域)のX方向の長さが小さくなると、各光学素子120,130により形成される虚像の高さが小さくなり、臨場感のある空中像の表示が困難になる。本実施形態においては、光学素子120,130の総数が増加した場合にも、臨場感のある空中像の表示が可能な構成について説明する。
【0091】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る空中像表示装置100Cの構成例を示す図である。
【0092】
図11に示す空中像表示装置100Cは、
図4に示す空中像表示装置100と同様に、1つの光学素子120bと、2つの光学素子130(光学素子130f、130m)と、各光学素子130に対応する反射部材140(140f,140m)とを備える。
【0093】
光学素子120bは光学素子120に対応するものであり、光学素子130fは光学素子130−2に対応するものであり、光学素子130mは光学素子130−1に対応するものである。また、反射部材140fは反射部材140−2に対応するものであり、反射部材140mは反射部材140−1に対応するものである。
【0094】
すなわち、本実施形態に係る空中像表示装置100Cにおいては、観察者1の観察方向(観察者1の手前側から奥側に向かう方向)に沿って、光学素子130f、光学素子130m、光学素子120bがこの順に、順次配列されている。
【0095】
また、反射部材140fは、反射部材140−2に対応し、反射部材130fのX方向奥側の端部から所定距離だけ離れた位置に設けられている。反射部材140mは、反射部材140−1に対応し、反射部材130mのX方向奥側の端部から所定距離だけ離れた位置に設けられている。ここで、反射部材140fと光学素子130fとの間の距離は、反射部材140mと光学素子130mとの間の距離よりも大きい。
【0096】
したがって、空中像表示装置100Cにおいては、
図4に示す空中像表示装置100と同様に、光学素子130fに対応する表示領域に表示された表示像Afの虚像Bfが光学素子130fにより形成され、光学素子130mに対応する表示領域に表示された表示像Amの虚像Bmが光学素子130mにより形成され、光学素子120bに対応する表示領域に表示された表示像Abの虚像Bbが光学素子120bにより形成され、各虚像Bb,Bm,Bfが重畳して、観察者1に視認される。
【0097】
ここで、
図4に示す空中像表示装置100においては、光学素子120,130−1,130−2の大きさは同じであり、光学素子120,130−1,130−2の下端が同じ高さであるとすると、各光学素子120の上端の高さも同じであった。したがって、光学素子120,130−1,130−2それぞれが表示装置110の表示面と対向する面のサイズも等しくなり、その結果、光学素子120,130−1,130−2それぞれに対応する表示領域のサイズを等しくなる。すなわち、
図4に示す空中像表示装置100においては、光学素子120,130−1,130−2それぞれに均等に、表示装置110の表示領域が割り当てられていた。
【0098】
そのため、
図4に示す空中像表示装置100においては、形成される虚像を重畳する光学素子120,130の数が増加すると、各光学素子120,130に割り当てられる表示領域のX方向の長さ小さくなり、臨場感のある空中像の表示が困難になる。
【0099】
一方、本実施形態に係る空中像表示装置100Cにおいては、光学素子120b,130f,130mのサイズが異なっており、光学素子130mは光学素子130fよりも大きく、光学素子120bは光学素子130mよりも大きい。そして、光学素子120b,130f,130mの下端が同じ高さであるとすると、観察者1から見て奥側の光学素子ほど、上端の位置が高くなるように、光学素子120b,130f,130bが配置されている。
【0100】
このような構成により、光学素子120b,130f,130bそれぞれが表示装置110の表示面と対向する面のサイズ(X方向の長さ)も異なる。具体的には、
図12に示すように、光学素子130mに対応する表示領域110mのX方向の長さは、光学素子130fに対応する表示領域110fのX方向の長さよりも大きくなり、光学素子120bに対応する表示領域110bのX方向の長さは、光学素子130mに対応する表示領域110mのX方向の長さよりも大きくなる。すなわち、観察者1から見て、奥側の光学素子に対応する表示領域ほど、観察方向(X方向)に沿った長さが大きい。
【0101】
そして、
図11に示すように、観察者1から見て奥側の光学素子により形成される虚像ほど手前側に形成されるように、反射部材140f、140mの位置などを調整する。こうすることで、観察者1から見て奥側ほど、高さ(Y方向の大きさ)の小さい虚像が形成される。ここで、観察者1から見て奥側の虚像ほど高さが小さくなっても、観察者1の遠近感を損なうことなく、より臨場感のある空中像を観察者1に視認させることができる。
【0102】
各光学素子120,130のサイズや配置は、例えば、以下のようにして決定することができる。
【0103】
図13に示すように、光学素子130fのY方向の長さをbfとし、光学素子130mのY方向の長さをbmとし、光学素子120bのY方向の長さをbgとし、光学素子130fの上端と表示装置110の表面との間の距離をafとし、光学素子130mと表示装置110の表示面との間の距離をamとし、光学素子120bと表示装置110の表示面との間の距離をabとし、光学素子130fの下端と反射部材140fとの間の距離をdfとし、光学素子130mの下端と反射部材140mとの間の距離をdmとし、X方向に沿った光学素子130fと光学素子130mとの間の距離をcfmとし、X方向に沿った光学素子130mと光学素子120bとの間の距離をcmgとすると、筐体100aの観察者1側の端部から虚像Bfまでの距離xf、筐体100aの観察者1側の端部から虚像Bmまでの距離xm、筐体100aの観察者1側の端部から虚像Bbまでの距離xbはそれぞれ、以下の式(5)〜(7)により求めることができる。
xf=bf+df+(af+bf+df) ・・・式(5)
xm=(bf+cfm+bm)+dm+(am+bm+dm) ・・・式(6)
xb=(bf+cfm+bm+cmg)+bg+ab ・・・式(7)
【0104】
例えば、bf=20mmとし、bm=30mmとし、bg=40mmとし、af=28mmとし、am=18mmとし、ab=8mmとし、df=30mmとし、dm=7.5mmとし、cfm=5mmとし、cmg=5mmとすると、式(5)〜(7)より、xf=128mm、xm=118mm、xb=108mmとなり、観察者1から見て手前側の光学素子による虚像ほど、観察者1から見て奥側に形成することができる。
【0105】
このように本実施形態に係る空中像表示装置100Cにおいては、観察者1から見て奥側の光学素子に対応する表示領域ほど、観察方向(X方向)に沿った長さが大きく、また、観察者1から見て奥側の光学素子ほど、光学素子の上端の位置が高くなる。
【0106】
そのため、観察者1から見て手前側の光学素子による虚像ほど、観察者1から見て奥側に形成し、遠近感を損なわず、より臨場感のある空中像を観察者1に視認させることができる。
【0107】
尚、
図11,13では、観察者1から見て手前側ほど光学素子は小さいが、これら大きさの異なる光学素子は、観察者1から見て手前側ほど大きくても良いし、真ん中が最も大きくても良い。それらいずれの場合も、観察者1から見て最も奥に配置される光学素子以外はハーフミラー、または透明板である。
【0108】
本発明を図面および実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形または修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0109】
表示面に表示された表示像の虚像を空間に投影する他の従来の空中像表示装置には、例えば、非特許文献2で提案されているような空中像表示装置もある。これは、奥行き位置の異なる2つの二次元像(表示像)の各々の輝度比を変化させることで、観察者に奥行き方向が異なる三次元像として知覚させる空中像表示装置である。この三次元像は、表示面とは異なる場所に表示される一種の虚像である。非特許文献2の空中像表示装置は、奥行きが異なる複数の三次元像を知覚させることが可能であり、映像を多層に提示できる。
【0110】
図24は、非特許文献2の空中像表示装置10の構成例を示す側面図である。観察者1側から空中像表示装置10に向かう方向(観察者1の観察方向)がX方向である。空中像表示装置10は、表示像A2を表示させるための前面(観察者1から見て手前側)のディスプレイ172、および表示像A1を表示させるための後面(観察者1から見て奥側)のディスプレイ171を備える。三次元像として知覚するために、観察者は、表示像A2と表示像A1とを重ねて見る必要がある。よって、少なくともディスプレイ172は透明ディスプレイでなければならない。したがって、空中像表示装置10の設計の自由度を高めることは困難である。
【0111】
また、空中像表示装置10では、表示像A2と表示像A1との輝度比によって三次元像の奥行きが定まる。設定した輝度比に変化が生じるため、空中像表示装置10では、実物体(例えばフィギュアやレリーフなど)と三次元像との重ねあわせは困難である。また、空中像表示装置10では、前面のディスプレイ172の表示像A2によって、後面のディスプレイ171の他の表示像(表示像A1以外の表示像)が隠されること(以下、隠ぺいという)が発生し得る。
【0112】
これに対し、以下に示す実施形態では、設計の自由度が高く、実物体と虚像との重ね合わせが可能で、隠ぺいを生じない空中像表示装置を実現することができる。
【0113】
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態に係る空中像表示装置100の構成例を示す側面図である。
図14に示す空中像表示装置100は、表示装置110および表示装置111の表示面に表示された複数の表示像それぞれの虚像を、表示面に対して略水平方向から観察する観察者1に対して前後に重畳して表示することで、空中像を表示するものである。ここで、表示装置110は本発明の第1の表示装置に対応する。また、表示装置111は本発明の第2の表示装置に対応する。表示装置111は表示装置110に対向して設けられる。本実施形態において表示装置110と表示装置111とは略平行に設けられている。
【0114】
図14に示す空中像表示装置100においては、表示装置110が、空中像表示装置100の筐体100aの一面(
図14においては筐体100aの上面)に、表示面が筐体100a側を向くようにして(
図14においては表示面を下向きにして)、設置される。また、表示装置111が、空中像表示装置100の筐体100aの別の面(
図14においては筐体100aの下面)に、表示面が筐体100a側を向くようにして(
図14においては表示面を上向きにして)、設置される。筐体100aは、表示装置110および表示装置111と対向する面(
図14においては筐体100aの上面および下面)に開口が設けられている。開口は、表示装置110および表示装置111の表示面の領域(表示領域)に対応するように設けられており、表示装置110および表示装置111の表示領域から出射された光が筐体100a内に入射する。当該開口は、透明な部材で塞いだり、覆ったりしてもよい。なお、表示装置110および表示装置111は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などであるが、これらに限られるものではなく、より大きなサイズの表示面を有する表示装置であってもよい。また、表示装置110と表示装置111とは同一種類の表示装置であってもよいし、互いに種類の異なる表示装置であってもよい。また、表示装置110および表示装置111の少なくとも一方が、空中像表示装置100と一体的に設けられていてもよい。
図14においては便宜上、表示装置110と筐体100aの上面とが所定の間隔を隔てて設けられているように示されているが、実際には、表示装置110と筐体100aの上面とは略密接している。一方、表示装置111と筐体100aの下面とは、所定の間隔(後述する
図15のd1)を隔てて設けられるが略密接していてもよい。以下では、筐体100aの観察者1側の面からその面に対向する面に向かう方向(観察者1の観察方向)をX方向とする。また、以下では、表示装置110の表示面の向く方向をY方向とする。また、本実施形態において、表示装置110の表示領域は本発明の第1の表示領域に対応する。また、本実施形態において、表示装置111の表示領域は本発明の第2の表示領域に対応する。
【0115】
図14に示す空中像表示装置100は、光学素子130,140を備える。光学素子130,140は、表示装置110,111の表示領域のそれぞれに対応して設けられている。光学素子130は本発明の第1の光学素子に対応する。また、光学素子140は、本発明の第2の光学素子に対応する。
【0116】
光学素子130は、表示装置110と表示装置111との間の空間に、表示装置110の表示面から見てX方向に略45°傾斜して設けられている。したがって、光学素子130は、光学素子140と略45°の角度を成している。光学素子130は、光学素子130に対応する表示面(表示装置110の表示面)の表示領域から出射された光(
図2に示す光201)を透過する。光学素子130は、その透過光が光学素子140で反射した光(
図2に示す光202)を反射して、観察者1に向かう方向に光(
図2に示す光203)を出射する。また、光学素子130は、光学素子130の背後(奥側)から観察者1に向かう光(
図2に示す光204)を透過する。
【0117】
光学素子140は、表示装置110と表示装置111との間の空間に設けられている。また、光学素子140は、表示装置110および表示装置111の表示面に対して略平行に設けられている。光学素子140は、光学素子140に対応する表示面(表示装置111の表示面)の表示領域からの出射光を透過する。また、光学素子140は、光学素子130を透過した表示装置110からの出射光を反射する。光学素子130,140の具体例としては、ハーフミラー、透明板などがある。
【0118】
図15は、空中像表示装置100による空中像の表示について説明するための図である。なお、以下では、筐体100aの高さ(Y方向の長さ)はDであるとする。
【0119】
表示装置110には表示像A2が表示されている。表示装置110からの出射光は光学素子130を透過して光学素子140に入射する。このことは、仮想的に、表示像A2の虚像B2’が光学素子140からY方向にDだけ離れた位置に形成されることに対応する。光学素子140は、光学素子130を透過した表示装置110からの光を反射する。このことは、虚像B2’からの光が光学素子140を透過して光学素子130に入射することに対応する。光学素子140から光学素子130へと向かう光は、光学素子130で観察者1に向かって反射される。そのため、観察者1から見ると、虚像B2(虚像B2’の光学素子130による反射像)が光学素子130の奥側の端部からX方向にDだけ離れた位置に形成される。つまり、虚像B2は、光学素子130を基準として、観察者1の観察方向に沿って表示装置110と光学素子140との距離(
図15の例ではD)に応じた位置に形成される。このように、光学素子130は、対応する表示面(表示装置110の表示面)の表示領域からの出射光を間接的に(光学素子140により反射された後で)反射することによって虚像B2を形成する。
【0120】
また、表示装置111には表示像A0が表示されている。表示装置111からの出射光は光学素子140を透過して光学素子130へと向かい、光学素子130で観察者1に向かって反射される。表示装置111は光学素子140とd1を隔てて設けられている。そのため、観察者1から見ると、表示像A0の虚像B0が光学素子130の奥側の端部からX方向にd1だけ離れた位置に形成される。つまり、虚像B0は、光学素子130を基準として、観察者1の観察方向に沿って表示装置111と光学素子140との距離(
図15の例ではd1)に応じた位置に形成される。
【0121】
虚像B2が光学素子130の奥側の端部からX方向にDだけ離れた位置に形成される。また、虚像B0が光学素子130の奥側の端部からX方向にd1だけ離れた位置に形成される。表示装置111と光学素子140との距離(d1)を調整することで、干渉を生じることなく虚像B0と虚像B2とを重畳して表示することが可能である。虚像B0と虚像B2とが重畳して表示されることで、観察者1は立体感のある空中像を視認することができる。
【0122】
図15の例では、d1はDよりも短いため、観察者1から見て虚像B2よりも手前に虚像B0があるように重畳している。ここで、d1がDよりも長いように設定すれば、観察者1から見て虚像B2よりもさらに奥側に虚像B0があるように重畳して表示することが可能である。
【0123】
ここで、虚像B0は表示装置111からの出射光が表示装置110の表示面から見てX方向に略45°傾斜した光学素子130で反射されて形成される。そのため、表示像A0は、実際の表示対象像を左右(紙面手前および奥側)および上下(
図15のX方向)に反転させたものとなる。また、虚像B2は表示装置110からの出射光が光学素子130および光学素子140で反射されて形成される。そのため、表示像A2は、実際の表示対象像を上下に反転させたものとなる。
【0124】
また、表示装置110,111は、表示像A0,A2の背景を黒色で表示する。この黒色の背景部分は光を反射することが可能である。例えば、表示装置110から出射された光は光学素子130を透過して光学素子140で反射される。しかし、一部の光が光学素子140を透過して表示装置111に入射する可能性がある。このとき、一部の光が表示装置111に入射しても黒色の背景部分で反射されるので、表示装置110から出射された光をほぼ損なうことなく観察者1に向けることができる。
【0125】
以上のように、本実施形態に係る空中像表示装置100は、光学素子130,140を用いることによって、観察者1の観察方向に表示装置110および表示装置111を配置しなくてもよい。そのため、空中像表示装置100は透明ディスプレイを用いる必要がない。表示装置110および表示装置111としては、例えば表示部がLCD、有機ELディスプレイ等であるスマートフォン、タブレット端末等を用いることが可能であり、本実施形態に係る空中像表示装置100は設計の自由度が高い。
【0126】
また、本実施形態に係る空中像表示装置100では、表示装置110の表示像と表示装置111の表示像とはそれぞれが虚像を形成する異なる表示像であり、1つの虚像を生成するのに輝度比を調整した2つの表示像を用いる必要がない。本実施形態に係る空中像表示装置100では、虚像が生成される空間に実物体を配置しても表示装置110および表示装置111に影響することはない。そのため、本実施形態に係る空中像表示装置100は実物体と虚像との重ね合わせが可能である。
【0127】
また、本実施形態に係る空中像表示装置100は、観察者1が観察する空間(虚像が生成される空間)に表示装置110および表示装置111を配置しない。そのため、本実施形態に係る空中像表示装置100では隠ぺいが生じることもない。よって、本実施形態に係る空中像表示装置100は、設計の自由度が高く、実物体と虚像との重ね合わせが可能であり、隠ぺいも生じないという効果を奏する。
【0128】
(第5の実施形態)
図16は、本発明の第5の実施形態に係る空中像表示装置100の構成例を示す側面図である。本実施形態に係る空中像表示装置100は、第4の実施形態に係る空中像表示装置100の構成(
図15参照)に加えて光学素子120を備える。本実施形態において、表示装置110の表示面はX方向に光学素子130の手前側の端部から光学素子120の奥側の端部にわたる。表示装置110は、光学素子120,130に対応する表示面の異なる表示領域に表示像を個別に表示する。
図16では、
図15と同じ要素には同じ符号を付している。これらの要素については重複説明回避のため詳細な説明を省略する。
【0129】
図16に示されるように、光学素子120,130は、表示装置110の表示面のそれぞれ異なる表示領域に対応して設けられ、表示面に沿って、観察者1の観察方向に沿って順次配列されている。
図16においては、観察者1から見て、手前側に光学素子130が設けられ、奥側に光学素子120が設けられている。
【0130】
光学素子120は、光学素子130とは異なり、表示装置110の表示面から見て−X方向に略45°傾斜して設けられており、光学素子120に対応する表示面の表示領域からの出射光を観察者1に向かう方向に反射する。光学素子120の具体例としては、ハーフミラー、透明板などがある。光学素子120は本発明の第3の光学素子に対応する。
【0131】
図16に示されるように、光学素子120に対応する表示面(表示装置110の表示面)の表示領域からの出射光が、光学素子120により観察者1に向かって反射される。この表示領域に表示された表示像A1の虚像B1が、観察者1から見ると、光学素子120の奥側の端部の位置に形成される。このように、光学素子120は、対応する表示領域からの入射光を直接的に反射することで、虚像B1を形成する。光学素子120が対応する表示領域は本発明の第3の表示領域に対応する。
【0132】
ここで、光学素子130は光学素子120により反射された光を透過する(
図15の光204参照)。第4の実施形態で説明したように、観察者1に対して虚像B0と虚像B2とが重畳して表示されるが、本実施形態では更に虚像B1が虚像B2の奥側に重畳して表示される。
【0133】
ここで、虚像B1と虚像B2の位置関係について詳細に説明する。
図16に示されるように、観察者1から見ると、虚像B2は光学素子130の奥側の端部からX方向にDだけ離れた位置に形成される。一方、虚像B1は光学素子120の奥側の端部の位置に形成される。そのため、光学素子120と光学素子130との間の距離を調整することで、虚像B1と虚像B2との距離が虚像の高さよりも小さくなるように設定できる。そのため、より立体感のある空中像を表示することができる。また、光学素子120と光学素子130との間の距離を調整することで、干渉を生じることなく虚像B1と虚像B2とを重畳して表示することが可能である。
【0134】
ここで、虚像B1は表示装置110からの出射光が表示装置110の表示面から見てX方向に略−45°傾斜した光学素子120で反射されて形成される。そのため、表示像A1は、実際の表示対象像を左右(紙面手前および奥側)に反転させたものとなる。
【0135】
以上のように、本実施形態に係る空中像表示装置100は、光学素子120を備えることによって更に虚像B1を虚像B2の奥側に重畳して表示できる。そのため、本実施形態に係る空中像表示装置100は、第4の実施例の効果に加えて、より立体感のある空中像を表示することができるという効果を奏する。このとき、光学素子120と光学素子130との間の距離を調整して、虚像B1と虚像B2との距離が虚像の高さよりも小さくなるように設定することで、本実施形態に係る空中像表示装置100は更に立体感のある空中像を表示することができる。
【0136】
(第6の実施形態)
第4の実施形態および第5の実施形態に係る空中像表示装置100は、光学素子130の数が1つであった。しかし、光学素子130の数は2以上であってもよい。空中像表示装置100では光学素子140が光学素子130と組み合わせて用いられるため、光学素子140の数も2以上になる。
図17は、光学素子130および光学素子140を複数備える、第6の実施形態に係る空中像表示装置100の構成例を示す側面図である。
図17では、
図15および
図16と同じ要素には同じ符号を付している。これらの要素については重複説明回避のため詳細な説明を省略する。
【0137】
図17に示されるように、本実施形態に係る空中像表示装置100は、複数の光学素子130(光学素子130−1,130−2)と、各光学素子130に対応する光学素子140(光学素子140−1,140−2)とが設けられている。本実施形態において、各光学素子140は、筐体100aの上面(表示装置110の表示面)からY方向にDだけ離れた位置に設けられている。
【0138】
光学素子130−1,130−2は、観察者1の観察方向に沿って、順次配列されている。
図17においては、観察者1から見て、手前側に光学素子130−2が設けられ、奥側に光学素子130−1が設けられている。本実施形態において、表示装置110の表示面は光学素子130−2の手前側の端部から光学素子120の奥側の端部にわたる。表示装置110は、光学素子120,130−1,130−2に対応する表示面の異なる表示領域に表示像を個別に表示する。光学素子130−2は、光学素子130−1に略平行に設けられている。光学素子130−1,130−2は、本発明の複数の第1の光学素子に対応する。
【0139】
光学素子140−1,140−2は、観察者1の観察方向に沿って、順次配列されている。
図17においては、観察者1から見て、手前側に光学素子140−2が設けられ、奥側に光学素子140−1が設けられている。本実施形態において、表示装置111の表示面は光学素子140−2の手前側の端部から光学素子140−1の奥側の端部にわたる。表示装置111は、光学素子140−1,140−2に対応する表示面の異なる表示領域に表示像を個別に表示する。光学素子140−1,140−2は、本発明の複数の第2の光学素子に対応する。光学素子140−1,140−2は、表示装置110および表示装置111に略平行に設けられている。
【0140】
光学素子130−1は、光学素子130−1に対応する表示装置110の表示領域(本発明の複数の第1の表示領域の1つに対応)からの出射光を透過して、その透過光が光学素子140−1により反射された反射光を観察者1に向かって反射する。また、光学素子130−1は、光学素子140−1を透過した光学素子140−1に対応する表示装置111の表示領域(本発明の複数の第2の表示領域の1つに対応)からの出射光を観察者1に向かって反射する。また、光学素子130−1は、光学素子120により観察者1に向かって反射された光を透過する。
【0141】
光学素子130−2は、光学素子130−2に対応する表示装置110の表示領域(本発明の複数の第1の表示領域の1つに対応)からの出射光を透過して、その透過光が光学素子140−2により反射された反射光を観察者1に向かって反射する。また、光学素子130−2は、光学素子140−2を透過した光学素子140−2に対応する表示装置111の表示領域(本発明の複数の第2の表示領域の1つに対応)からの出射光を観察者1に向かって反射する。また、光学素子130−2は、光学素子120および光学素子130−1により観察者1に向かって反射された光を透過する。
【0142】
図17に示されるように、表示装置110は、光学素子120,130−1,130−2に対応する表示面の異なる表示領域に、それぞれ表示像A1,A2,A3を表示する。また、表示装置111は、光学素子140−1,140−2に対応する表示面の異なる表示領域に、それぞれ表示像A0,A4を表示する。例えば表示像A3の虚像B3は光学素子130−2の奥側の端部からX方向にDだけ離れた位置に形成される。つまり、虚像B3は、光学素子130−2を基準として、観察者1の観察方向に沿って表示装置110と光学素子140−2との距離に応じた位置に形成される。また、例えば表示像A4の虚像B4は光学素子130−2の奥側の端部からX方向にd1だけ離れた位置に形成される。つまり、虚像B4は、光学素子130−2を基準として、観察者1の観察方向に沿って表示装置111と光学素子140−2との距離に応じた位置に形成される。本実施形態に係る空中像表示装置100は、観察者1から見て奥側から、表示像A1の虚像B1,表示像A2の虚像B2,表示像A0の虚像B0,表示像A3の虚像B3,表示像A4の虚像B4を互いに干渉させずに重畳して表示することが可能である。ここで、
図17の例では、表示装置111と光学素子140との距離(d1)は筐体100aの高さDよりも短い。
【0143】
以上のように、本実施形態に係る空中像表示装置100は、光学素子130の数を複数とすることによって、更に重畳して表示できる虚像の数を増やすことができる。そのため、本実施形態に係る空中像表示装置100は、第4の実施例の効果に加えて、基本的な構成を変えずに容易に虚像の数を調整できるという効果を奏する。
【0144】
(第7の実施形態)
第4〜第6の実施形態において、表示装置110の表示面は、複数の表示領域に分かれている場合であっても表示像を表示するために用いられていた。第7の実施形態の実施形態においては、表示装置110の表示面の表示領域の一部を表示像の表示以外の用途で用いる。
【0145】
図18は本実施形態に係る空中像表示装置100の構成例を示す側面図である。
図18では、
図15〜
図17と同じ要素には同じ符号を付している。これらの要素については重複説明回避のため詳細な説明を省略する。
【0146】
図18の空中像表示装置100は、
図16に示される第5の実施形態に係る空中像表示装置100と比較すると、光学素子120を削除した点が異なる。
【0147】
本実施形態においても、光学素子130に対応する表示装置110の表示領域に表示像A2が表示される。そして、表示像A2の虚像B2が、光学素子130の奥側の端部からX方向にDだけ離れた位置に形成される。また、光学素子140に対応する表示装置111の表示領域に表示像A0が表示される。そして、表示像A0の虚像B0が、光学素子130の奥側の端部からX方向にd1だけ離れた位置に形成される。
【0148】
ここで、本実施形態においては、表示装置110の表示面は、
図19に示すように、空中像生成用領域110aと、照明制御用領域110bという2つの領域に分けられている。
【0149】
空中像生成用領域110aは、表示装置110が虚像B2に対応する表示像A2を表示する領域である。
【0150】
照明制御用領域110bは、表示装置110の表示面における空中像生成用領域110aとは異なる領域であり、虚像B0および虚像B2が形成される実空間100bに対応する領域である。実空間100bは、筐体100a内において、観察者1から見て光学素子130の奥側の端部よりも奥側の空間である。すなわち、照明制御用領域110bは、
図19に示すように、観察者1から見て(X方向に向かって)、空中像生成用領域110aよりも奥側に設けられている。照明制御用領域110bにおいては、実空間100bを照明する(実空間100b内を照らす)ための表示が行われる。実空間100bは本発明の虚像が形成される領域に対応する。
【0151】
例えば、魚の像を示す虚像B0および虚像B2を形成し、照明制御用領域110bには、実空間100bにおいて、波の揺らぎを表現する照明効果が得られるような表示を行うことで、より現実感のある空中像を表示することができる。また、例えば、炎の像を示す虚像B0および虚像B2を形成し、照明制御用領域110bには、実空間100bにおいて、炎により照らされる光を表現する照明効果が得られるような表示を行うことで、より現実感のある空中像を表示することができる。
【0152】
このように本実施形態においては、虚像B0および虚像B2は、観察者1から見て光学素子130の奥側の端部よりも離れた位置に形成される。虚像B0および虚像B2が光学素子130から離れて形成されることで、虚像B0および虚像B2が形成される実空間を照明することが可能となり、より現実感のある空中像を表示することができる。
【0153】
また、
図20に示されるように、実空間100bには、フィギュアやレリーフなどの実物体151を配置し、虚像B2と合わせて観察者1に視認させてもよい。
【0154】
また、
図20に示されるように、照明制御用領域110bからの光が届く範囲の実空間100bに、照明制御用領域110bからの光を拡散あるいは収束するレンズ、導光板、プリズム、ミラーなどの光学素子152を配置してもよい。このような光学素子152を配置することで、より照明効果を高めることができる。
【0155】
以上のように、本実施形態に係る空中像表示装置100は、虚像が形成される実空間100bを照明することが可能である。そのため、本実施形態に係る空中像表示装置100は、第4の実施例の効果に加えて、より現実感のある空中像を観察者1に視認させることができるという効果を奏する。
【0156】
本発明を図面および実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形または修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0157】
例えば、第6の実施形態において、各光学素子140は筐体100aの上面からY方向にDだけ離れた位置に設けられている。各光学素子140は筐体100aの上面との距離を個別に設定可能としてもよい。このとき、虚像B2,B3が形成される位置を個別に調整可能である。このことによって、重畳する虚像の並び順をさらに変更可能である。また、各虚像間の距離を縮めることによって、より立体感のある空中像を表示することができる。
【0158】
また、例えば、第7の実施形態においては、表示装置110の表示面の一部に照明制御用領域110bを設け、照明制御用領域110bの表示により、実空間100bを照明していた。しかし、これに限られるものではなく、表示装置110とは別に、実空間100bを照明するための構成を設けてもよい。また、表示装置111の表示面の一部に照明制御用領域を設けてもよい。
【0159】
また、例えば、第7の実施形態においては、表示装置110の表示面を2つの領域に分けた。しかし、これに限られるものではなく、表示装置110に代えて2つの表示装置を用意し、一方の表示装置の表示面を空中像生成用領域110aとし、他方の表示装置の表示面を照明制御用領域110bとしてもよい。
【0160】
さらに、第7の実施形態においては、光学素子を2つ用いたが、さらに光学素子を増やして虚像の数を増やしてもよい。
【0161】
(第8の実施形態)
第1〜第7の実施形態に係る空中像表示装置100は、観察者が両目で同じ虚像を観察する構成であった。しかし、適切な視差を持つ右目用の虚像と左目用の虚像を表示することで、より立体的な虚像をつくることが可能になる。
【0162】
図21Aは、本発明の第8の実施形態に係る空中像表示装置100の構成例を示す側面図であり、
図21Bはその上面図であって、表示装置110を説明のため省いて示した図である。
図21A、
図21Bに示す空中像表示装置100は、第1の実施形態に対して、レンズ160−1、160−2を設置し、表示装置110に右目用の表示像A1−1、A2−1と左目用の表示像A2−1、A2−2を表示している点が相違する。一方、表示装置110、光学素子120、130、反射部材140は、第1の実施形態と同じ構成であり、これらは右目、左目で共用される。
【0163】
レンズ160−1、160−2を備えることで、一方の目2−1はレンズ160−1を通して虚像B1−1、B2−1のみを観察可能となり、他方の目2−2はレンズ160−2を通して虚像B1−2、B2−2のみを観察可能となる。
【0164】
このように本実施形態においては、観察者は、右目と左目とで適切な視差を持った虚像を観察することが可能となり、両眼視差立体視によってより立体的な空中像を視認することができる。
【0165】
尚、本実施形態では、表示装置110、光学素子120、130、反射部材140を右目、左目で共用したが、表示装置、光学素子、反射部材を右目用、左目用で別個に用意してもよい。
【0166】
また、レンズ160−1、160−2に代えて、表示像A1−1、A2−1の表示領域と表示像A2−1、A2−2の表示領域の間に仕切り板を設ける構成としてもよい。
【0167】
実施形態1〜8ではそれぞれ具体的な構成を示して説明したが、本発明はこれら実施形態1〜8で示した構成に限定されず、これらを組み合わせた構成や、奥行きの異なる虚像の数をさらに増やすように光学素子の数を増やした構成も含むことに留意されたい。