特許第6232219号(P6232219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232219
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】多層保護膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20171106BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20171106BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171106BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01L21/316 M
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 626C
   H01L29/78 617V
   H01L29/78 617U
   H01L21/318 B
   H01L21/316 X
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-136309(P2013-136309)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-12131(P2015-12131A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】高藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 幸夫
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−033913(JP,A)
【文献】 特開2000−114257(JP,A)
【文献】 特開2011−119355(JP,A)
【文献】 特開2012−151278(JP,A)
【文献】 特開2002−368084(JP,A)
【文献】 特開2001−244266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/318
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体に接触するとともに、少なくとも窒化珪素膜及び酸化珪素膜を含む多層保護膜の形成方法であって、
塩化珪素(SiCl)ガス又は弗化珪素(SiF)ガス及び水素原子を含まない酸素含有ガスを用いてプラズマを生成して前記酸化珪素膜を成膜する酸化珪素膜成膜ステップと、
前記塩化珪素ガス又は前記弗化珪素ガス及び水素原子を含まない窒素含有ガスを用いてプラズマを生成して前記窒化珪素膜を成膜する窒化珪素膜成膜ステップとを有し、
前記酸化珪素膜成膜ステップから前記窒化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、若しくは前記窒化珪素膜成膜ステップから前記酸化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、
前記塩化珪素ガス又は前記弗化珪素ガスの供給を継続してプラズマを維持しながら、
前記酸素含有ガスの供給を停止したのち前記窒素含有ガスの供給を開始するか、若しくは前記窒素含有ガスの供給を停止したのち前記酸素含有ガスの供給を開始することを特徴とする多層保護膜の形成方法。
【請求項2】
前記酸化珪素膜成膜ステップを前記窒化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、若しくは前記窒化珪素膜成膜ステップを前記酸化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、一旦、前記酸化物半導体が形成された基板の温度を低下させることを特徴とする請求項記載の多層保護膜の形成方法。
【請求項3】
前記水素原子を含まない窒素含有ガスは窒素ガスであることを特徴とする請求項1又は2記載の多層保護膜の形成方法。
【請求項4】
前記水素原子を含まない酸素含有ガスは酸素ガスであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層保護膜の形成方法。
【請求項5】
前記酸化物半導体は、インジウム、ガリウム及び亜鉛の酸化物を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層保護膜の形成方法。
【請求項6】
前記多層保護膜は、トランジスタ構造におけるアンダーコート層、ゲート保護膜、ストッパ層及びパッシベーション層の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層保護膜の形成方法。
【請求項7】
酸化物半導体に接触するとともに、少なくとも窒素及び珪素を含む膜と酸素及び珪素を含む膜とから成る多層保護膜の形成方法であって、
塩化珪素(SiCl)ガス又は弗化珪素(SiF)ガスと、水素原子を含まない酸素含有ガス及び水素原子を含まない窒素含有ガスの少なくとも一方とを用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸窒化珪素膜のうちの少なくとも2つの膜から成る多層保護膜を形成し、
前記多層保護膜を構成する前記少なくとも2つの膜は、当該2つの膜のうち一方の膜の製膜ステップから他方の膜の製膜ステップに切り替える際、前記塩化珪素ガス又は前記弗化珪素ガスの供給を継続してプラズマを維持しながら、前記酸素含有ガスの供給を停止したのち前記窒素含有ガスの供給を開始するか、若しくは前記窒素含有ガスの供給を停止したのち前記酸素含有ガスの供給を開始する連続した成膜処理を実行することによって成膜されることを特徴とする多層保護膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体を保護する多層保護膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPD(Flat Panel Display)には発光素子として液晶素子が用いられるが、薄型のFPDを実現するために液晶素子には薄型トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が適用される。
【0003】
また、近年、シートディスプレイや次世代薄型テレビションを実現するために有機EL(Electrouminescence)素子の利用が進んでいる。有機EL素子は自発光型の発光素子であって、液晶素子と異なり、バックライトを必要としないため、より薄型のディスプレイを実現することができる。
【0004】
有機EL素子は電流駆動型の素子であり、有機EL素子に適用されるTFTにおいて高速のスイッチング動作を実現する必要があるが、現在、チャネルの構成材料として主に用いられるアモルファスシリコンの電子移動度はさほど高くないため、アモルファスシリコンは有機ELのためのチャネルの構成材料には適していない。
【0005】
そこで、高い電子移動度が得られる酸化物半導体をチャネルに用いるTFTが提案されている。このようなTFTに用いられる酸化物半導体としては、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)の酸化物からなるIGZOが知られており(例えば、非特許文献1参照。)、IGZOはアモルファス状態であっても比較的高い電子移動度(例えば、10cm/(V・s)以上)を有するため、IGZO等の酸化物半導体をTFTのチャネルに用いると高速のスイッチング動作を実現することができる。
【0006】
また、TFTではチャネルを外界のイオンや水分から確実に保護するため、チャネルの保護膜を複数の膜、例えば、窒化珪素(SiN)膜及び酸化珪素(SiO)膜で構成する(例えば、特許文献1参照。)。ところで、例えば、窒化珪素膜をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜する場合、珪素源としてシラン(SiH)を用い、窒素源としてアンモニア(NH)を用いることが多いが、プラズマを用いてシラン及びアンモニアから窒化珪素膜を成膜する際、水素ラジカルや水素イオンが水素原子として窒化珪素膜の欠陥に入り込むことがある。すなわち、保護膜が水素原子を含むことがある。
【0007】
保護膜に含まれた水素原子は酸化物半導体、例えば、IGZOから時間の経過とともに酸素原子を脱離させてIGZOの特性を変化させるため、チャネルの保護膜を成膜した後、該保護膜へ熱処理を加えて水素原子を保護膜から積極的に脱離させる脱水素工程を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許3148183号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「軽くて薄いシートディスプレイを実現する酸化物半導体TFT」, 三浦 健太郎他, 東芝レビューVol. 67 No. 1 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、脱水素工程には時間を要するため、スループットが低下するという問題がある。また、上述したように、脱水素工程では保護膜へ熱処理を加えるが、有機EL素子をシートディスプレイへ適用する際、シートディスプレイの基板は樹脂で形成されるため、基板が熱で変形、変質するという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、脱水素工程を行う必要を無くすことができる多層保護膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の多層保護膜の形成方法によれば、酸化物半導体に接触するとともに、少なくとも窒化珪素膜及び酸化珪素膜を含む多層保護膜の形成方法であって、塩化珪素(SiCl)ガス又は弗化珪素(SiF)ガス及び水素原子を含まない酸素含有ガスを用いてプラズマを生成して前記酸化珪素膜を成膜する酸化珪素膜成膜ステップと、前記塩化珪素ガス又は前記弗化珪素ガス及び水素原子を含まない窒素含有ガスを用いてプラズマを生成して前記窒化珪素膜を成膜する窒化珪素膜成膜ステップとを有し、前記酸化珪素膜成膜ステップから前記窒化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、若しくは前記窒化珪素膜成膜ステップから前記酸化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、
前記塩化珪素ガス又は前記弗化珪素ガスの供給を継続してプラズマを維持しながら、前記酸素含有ガスの供給を停止したのち前記窒素含有ガスの供給を開始するか、若しくは前記窒素含有ガスの供給を停止したのち前記酸素含有ガスの供給を開始することを特徴とする。
【0015】
請求項記載の多層保護膜の形成方法は、請求項記載の多層保護膜の形成方法において、前記酸化珪素膜成膜ステップを前記窒化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、若しくは前記窒化珪素膜成膜ステップを前記酸化珪素膜成膜ステップへ切り替える際、一旦、前記酸化物半導体が形成された基板の温度を低下させることを特徴とする。
【0019】
請求項記載の多層保護膜の形成方法は、請求項1又は2記載の多層保護膜の形成方法において、前記水素原子を含まない窒素含有ガスは窒素ガスであることを特徴とする。
【0020】
請求項記載の多層保護膜の形成方法は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層保護膜の形成方法において、前記水素原子を含まない酸素含有ガスは酸素ガスであることを特徴とする。
【0021】
請求項記載の多層保護膜の形成方法は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層保護膜の形成方法において、前記酸化物半導体は、インジウム、ガリウム及び亜鉛の酸化物を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項記載の多層保護膜の形成方法は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の多層保護膜の形成方法において、前記多層保護膜は、トランジスタ構造におけるアンダーコート層、ゲート保護膜、ストッパ層及びパッシベーション層の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項記載の多層保護膜の形成方法は、酸化物半導体に接触するとともに、少なくとも窒素及び珪素を含む膜と酸素及び珪素を含む膜とから成る多層保護膜の形成方法であって、塩化珪素(SiCl)ガス又は弗化珪素(SiF)ガスと、水素原子を含まない酸素含有ガス及び水素原子を含まない窒素含有ガスの少なくとも一方とを用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜及び酸窒化珪素膜のうちの少なくとも2つの膜から成る多層保護膜を形成し、前記多層保護膜を構成する前記少なくとも2つの膜は、当該2つの膜のうち一方の膜の製膜ステップから他方の膜の製膜ステップに切り替える際、前記塩化珪素ガス又は前記弗化珪素ガスの供給を継続してプラズマを維持しながら、前記酸素含有ガスの供給を停止したのち前記窒素含有ガスの供給を開始するか、若しくは前記窒素含有ガスの供給を停止したのち前記酸素含有ガスの供給を開始する連続した成膜処理を実行することによって成膜されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、酸化珪素膜の成膜に塩化珪素ガス又は弗化珪素ガス及び水素原子を含まない酸素含有ガスを用い、窒化珪素膜の成膜に塩化珪素ガス又は弗化珪素ガス及び水素原子を含まない窒素含有ガスを用いるので、酸化珪素膜や窒化珪素膜の欠陥に水素原子が入り込むことがなく、多層保護膜は水素原子を含まない。その結果、脱水素工程を行う必要を無くすことができる。また、酸化珪素膜の成膜及び窒化珪素膜の成膜を連続して実行するので、多層保護膜に不必要な成分が混入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態に係る多層保護膜の形成装置としてのプラズマCVD成膜装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるボトムゲート型のTFTの構成を示す断面図である。
図3】本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法を示すフローチャートである。
図4図2におけるゲート保護膜の積層構造を示す拡大断面図である。
図5】本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるボトムゲート型のTFTの変形例の構成を示す断面図である。
図6】本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるトップゲート型のTFTの構成を示す断面図である。
図7】本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるトップゲート型のTFTの変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
まず、本発明の実施の形態に係る多層保護膜の形成装置について説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る多層保護膜の形成装置としてのプラズマCVD成膜装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0031】
図1において、プラズマCVD成膜装置10は、例えば、FPDやシートディスプレイ用の基板(以下、単に「基板」という。)Sを収容する略筐体形状のチャンバ11と、該チャンバ11の底部に配置されて基板Sを上面に載置する載置台12と、チャンバ11の外部においてチャンバ11の内部の載置台12と対向するように配置されるICPアンテナ13と、チャンバ11の天井部を構成し、載置台12及びICPアンテナ13の間に介在する窓部材14とを備える。
【0032】
チャンバ11は排気装置(図示しない)を有し、該排気装置はチャンバ11を真空引きしてチャンバ11の内部を減圧する。チャンバ11の窓部材14は誘電体からなり、チャンバ11の内部と外部とを仕切る。
【0033】
窓部材14は絶縁部材(図示しない)を介してチャンバ11の側壁に支持され、窓部材14とチャンバ11は直接的に接触せず、電気的に導通しない。また、窓部材14は少なくとも載置台12に載置された基板Sの全面を覆うことが可能な大きさを有する。なお、窓部材14は複数の分割片から構成されてもよい。
【0034】
チャンバ11の側壁には3つのガス導入口15,16,17が設けられ、ガス導入口15はガス導入管22を介してチャンバ11の外部に配置された珪素含有ガス供給部18に接続され、ガス導入口16はガス導入管23を介してチャンバ11の外部に配置された酸素含有ガス供給部19及び窒素含有ガス供給部20に接続され、ガス導入口17はガス導入管24を介してチャンバ11の外部に配置された希ガス供給部21に接続される。
【0035】
珪素含有ガス供給部18はガス導入口15を介してチャンバ11の内部へ、珪素含有ガス、例えば、塩化珪素(SiCl)ガスを供給し、酸素含有ガス供給部19はガス導入口16を介してチャンバ11の内部へ、水素原子を含まない酸素含有ガス、例えば、酸素ガスを供給し、窒素含有ガス供給部20もガス導入口16を介してチャンバ11の内部へ、水素原子を含まない窒素含有ガス、例えば、窒素ガスを供給し、希ガス供給部21はガス導入口17を介してチャンバ11の内部へ、希ガス、例えば、アルゴンガスを供給する。
【0036】
各ガス導入管22,23,24はマスフローコントローラやバルブ(いずれも図示しない)を有し、ガス導入口15,16,17から供給される各ガスの流量を調整する。特に、ガス導入管23は三方弁(図示しない)を有し、ガス導入口16から供給されるガスを酸素ガス及び窒素ガスのいずれかに切り替える。
【0037】
ICPアンテナ13は窓部材14の上面に沿って配置される環状の導線からなり、整合器25を介して高周波電源26に接続される。高周波電源26からの高周波電流はICPアンテナ13を流れ、該高周波電流はICPアンテナ13に窓部材14を介してチャンバ11の内部に磁界を発生させる。該磁界は高周波電流に起因して発生しているために時間的に変化するが、時間的に変化する磁界は誘導電界を生成し、該誘導電界によって加速された電子がチャンバ11内に導入されたガスの分子や原子と衝突して誘導結合プラズマが生じる。
【0038】
プラズマCVD成膜装置10では、誘導結合プラズマによってチャンバ11の内部へ供給された塩化珪素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスから陽イオンやラジカルを生成し、CVDによって基板S上に酸化珪素膜を成膜するとともに、チャンバ11の内部へ供給された塩化珪素ガス、窒素ガス及びアルゴンガスから陽イオンやラジカルを生成し、CVDによって基板S上に窒化珪素膜を成膜することにより、酸化珪素膜及び窒化珪素膜からなる多層保護膜を形成する。なお、アルゴンガスは、酸化珪素膜や窒化珪素膜を直接構成する材料ガスではないが、酸化珪素膜や窒化珪素膜を直接構成する材料ガスである塩化珪素ガス、酸素ガス及び窒素ガスを適度な濃度に調整し、さらに、誘導結合プラズマを生成するための放電を容易に行えるようにする等、成膜処理において補助的な役割を果たす。
【0039】
また、プラズマCVD成膜装置10は、さらにコントローラ27を備え、該コントローラ27はプラズマCVD成膜装置10の各構成要素の動作を制御する。
【0040】
図2は、本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるボトムゲート型のTFTの構成を示す断面図である。
【0041】
図2において、TFT28は、基板S上に成膜されたアンダーコート層29と、アンダーコート層29の上に部分的に形成されたゲート電極30と、アンダーコート層29及びゲート電極30を覆うように形成された多層保護膜からなるゲート保護膜31と、ゲート保護膜31の上においてゲート電極30の直上に配置されるように形成されたチャネル32と、ゲート保護膜31の上においてチャネル32の両脇にそれぞれ形成されたソース電極33及びドレイン電極34と、チャネル32、ソース電極33及びドレイン電極34を覆うように形成された多層保護膜からなるパッシベーション層35とを備える。
【0042】
TFT28では、チャネル32がIGZOからなり、ゲート保護膜31が図中下方から積層された窒化珪素膜31a及び酸化珪素膜31bを有し、パッシベーション層35が図中下方から積層された酸化珪素膜35a及び窒化珪素膜35bを有する。ゲート保護膜31では酸化珪素膜31bがチャネル32に接触し、パッシベーション層35では酸化珪素膜35aがチャネル32に接触する。
【0043】
ここで、酸化珪素膜31b、酸化珪素膜35a及びチャネル32のいずれも酸化物からなり、互いになじみやすいため、酸化珪素膜31bや酸化珪素膜35aをチャネル32に接触させることにより、ゲート保護膜31、チャネル32及びパッシベーション層35の相互剥離を抑制することができる。
【0044】
なお、ゲート保護膜31やパッシベーション層35における積層形態は図2に示すものに限られず、例えば、ゲート保護膜31において図中下方から酸化珪素膜31b、窒化珪素膜31aの順で積層して窒化珪素膜31aをチャネル32に接触させてもよく、パッシベーション層35において図中下方から窒化珪素膜35b、酸化珪素膜35aの順で積層して窒化珪素膜35bをチャネル32に接触させてもよい。
【0045】
図3は、本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法を示すフローチャートである。
【0046】
図3のフローチャートは、所定のプログラムに従ってコントローラ27がプラズマCVD成膜装置10の各構成要素の動作を制御することによって実行される。
【0047】
まず、アンダーコート層29が成膜され、且つゲート電極30が形成された基板SをプラズマCVD成膜装置10のチャンバ11の内部へ搬入して載置台12に載置する。
【0048】
次いで、チャンバ11の内部を減圧して該内部の真空度が所定値に達した後、各ガス導入口15,16,17からチャンバ11の内部へ塩化珪素ガス、窒素ガス及びアルゴンガスを供給し、ICPアンテナ13によって、チャンバ11の内部に誘導電界を構成して誘導結合プラズマを生成し、塩化珪素ガス、窒素ガス及びアルゴンガスから陽イオンやラジカルを生じさせることにより、CVDによって窒化珪素膜31aをアンダーコート層29やゲート電極30を覆うように成膜する(ステップS31)(窒化珪素膜成膜ステップ)。
【0049】
次いで、塩化珪素ガス及びアルゴンガスの供給、並びに、誘導電界の生成を継続しながら、窒素ガスの供給を停止し、その後、酸素ガスの供給を開始してCVDにより、酸化珪素膜31bを窒化珪素膜31aを覆うように成膜する(ステップS32)(酸化珪素膜成膜ステップ)。
【0050】
これにより、窒化珪素膜31a及び酸化珪素膜31bを有するゲート保護膜31を形成する。処理が窒化珪素膜31aの成膜から酸化珪素膜31bの成膜へ切り替わって酸素ガスが供給される際、誘導電界の生成が継続され、窒素ガスも多少存在するため、CVDにおいて酸素ガス及び窒素ガスから生じた陽イオンやラジカルが両方存在する期間が生じる。その結果、図4に示すように、ゲート保護膜31において窒化珪素膜31a及び酸化珪素膜31bの間に極薄の酸窒化珪素膜31cが形成されるが、該酸窒化珪素膜31cは酸化珪素膜31b及び窒化珪素膜31aを互いに馴染ませるため、ゲート保護膜31における窒化珪素膜31a及び酸化珪素膜31bの層分離を抑制することができる。
【0051】
次いで、基板SをプラズマCVD成膜装置10から搬出して他の成膜装置(図示しない)においてチャネル32、ソース電極33及びドレイン電極34を形成する(ステップS33)。
【0052】
次いで、基板SをプラズマCVD成膜装置10のチャンバ11の内部へ再び搬入して載置台12に載置し、チャンバ11の内部を減圧して該内部の真空度が所定値に達した後、各ガス導入口15,16,17からチャンバ11の内部へ塩化珪素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスを供給し、チャンバ11の内部に誘導結合プラズマを生成し、塩化珪素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスから陽イオンやラジカルを生じさせることにより、CVDによって酸化珪素膜35aをチャネル32、ソース電極33及びドレイン電極34を覆うように成膜する(ステップS34)(酸化珪素膜成膜ステップ)。
【0053】
次いで、塩化珪素ガス及びアルゴンガスの供給、並びに、誘導電界の生成を継続しながら、酸素ガスの供給を停止し、その後、窒素ガスの供給を開始してCVDにより、窒化珪素膜35bを酸化珪素膜35aを覆うように成膜する(ステップS35)(窒化珪素膜成膜ステップ)。
【0054】
これにより、酸化珪素膜35a及び窒化珪素膜35bを有するパッシベーション層35を形成する。処理が酸化珪素膜35aの成膜から窒化珪素膜35bの成膜へ切り替わって窒素ガスが供給される際、誘導電界の生成が継続され、酸素ガスも多少存在するため、このときも、CVDにおいて酸素ガス及び窒素ガスから生じた陽イオンやラジカルが両方存在する期間が生じる。その結果、パッシベーション層35において酸化珪素膜35a及び窒化珪素膜35bの間に極薄の酸窒化珪素膜(図示しない)が形成されるため、パッシベーション層35においても酸化珪素膜35a及び窒化珪素膜35bの層分離を抑制することができる。
【0055】
次いで、パッシベーション層35の形成後、本方法を終了する。
【0056】
本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法によれば、酸化珪素膜31b,35aの成膜に水素原子を含まない塩化珪素ガス及び酸素ガスを用い、窒化珪素膜31a,35bの成膜に水素原子を含まない塩化珪素ガス及び窒素ガスを用いるので、酸化珪素膜31b,35aや窒化珪素膜31a,35bの欠陥に水素原子が入り込むことがなく、IGZOからなるチャネル32に接触するゲート保護膜31やパッシベーション層35は水素原子を含まない。その結果、ゲート保護膜31やパッシベーション層35の成膜において脱水素工程を行う必要を無くすことができる。
【0057】
また、上述した多層保護膜の形成方法では、基板Sをチャンバ11から搬出すること無く、窒素ガスを酸素ガスへ切り替え、又は酸素ガスを窒素ガスへ切り替えることにより、窒化珪素膜31a及び酸化珪素膜31bの成膜、並びに、酸化珪素膜35a及び窒化珪素膜35bの成膜を連続して実行するので、ゲート保護膜31やパッシベーション層35において不必要な成分が混入するのを防止することができるともに、スループットを短縮することができる。
【0058】
さらに、上述した多層保護膜の形成方法では、処理が窒化珪素膜31aの成膜から酸化珪素膜31bの成膜へ切り替わる際、及び、処理が酸化珪素膜35aの成膜から窒化珪素膜35bの成膜へ切り替わる際、塩化珪素ガス及びアルゴンガスの供給が継続されて珪素含有ガスや希ガスの切り替えが行われないので、スループットをより短縮することができる。
【0059】
上述した多層保護膜の形成方法では、誘導電界の生成が継続されるので、誘導結合プラズマの消滅や再生が行われず、もって、プラズマの消滅や再生に伴うパーティクルの発生を抑制することができる。
【0060】
また、上述した多層保護膜の形成方法では、誘導結合プラズマによって塩化珪素ガス、酸素ガス及び窒素ガスから陽イオンやラジカルを生成し、CVDによって酸化珪素膜31b,35a及び窒化珪素膜31a,35bを成膜する。誘導結合プラズマの密度は高く、塩化珪素ガス、酸素ガス及び窒素ガスの陽イオン化やラジカル化が促進されるため、比較的低い温度、例えば、200℃以下、より好ましくは、150℃以下で酸化珪素膜31b,35a及び窒化珪素膜31a,35bの成膜を行うことができる。その結果、TFT28を有機ELに適用する際、シートディスプレイの基板Sが熱で変形、変質するのを抑制することができる。
【0061】
上述した多層保護膜の形成方法では、珪素含有ガスとして塩化珪素ガスを用いたが、珪素含有ガスはこれに限られず、例えば、弗化珪素(SiF)ガス、臭化珪素(SiBr)ガスやヨウ化珪素(SiI)ガスを用いてもよい。また、酸素含有ガスとして酸素ガスを用いたが、酸素含有ガスはこれに限られず、例えば、オゾンガスを用いてもよい。
【0062】
さらに、窒素含有ガスとして窒素ガスを用いたが、窒素含有ガスはこれに限られず、例えば、一酸化窒素ガス、亜酸化窒素(NO)ガス、三弗化窒素(NF)ガス、三臭化窒素(NBr)ガス、三塩化窒素(NCl)ガスを用いてもよい。また、希ガスとしてアルゴンガスを用いたが、希ガスはこれに限られず、例えば、ネオンガス、キセノンガス、クリプトンガスを用いてもよい。
【0063】
なお、誘導結合プラズマ以外のプラズマを用いるプラズマCVD装置によっても酸化珪素膜31b,35aや窒化珪素膜31a,35bの成膜を行うことは可能であるが、塩化珪素ガス、弗化珪素ガス、臭化珪素ガス又はヨウ化珪素ガスと、窒素ガスとによって成膜処理を行う場合、高密度なプラズマを生成可能な誘導結合プラズマを用いることによってより優れた成膜処理を行うことができる。また、本実施の形態では、窓部材14に誘電体を用いた誘導結合プラズマCVD成膜装置を用いたが、複数に分割した分割片から成る金属窓を窓部材として用いた誘導結合プラズマCVD成膜装置を用いてもよく、その場合、ICPアンテナ13の形態は環状に限られず、各分割片を横断する形態であれば、他の形態、例えば、直線であってもよい。
【0064】
上述した多層保護膜の形成方法では、チャネル32をIGZOで構成したが、チャネル32を他の酸化物半導体で構成してもよい。例えば、混入した水素原子によって酸素原子が脱離して特性が変化する酸化物半導体であれば、本発明を適用することにより、IGZOでチャネル32を構成する場合と同様の効果をもたらすことができる。また、上述した多層保護膜の形成方法では、ゲート保護膜31やパッシベーション層35が窒化珪素膜及び酸化珪素膜からなる2層構造を有するが、ゲート保護膜31やパッシベーション層35等の多層保護膜の構造は2層構造に限られず、全て水素原子を含まない層からなる3層以上の構造であってもよい。
【0065】
さらに、チャネル32に接触するゲート保護膜31やパッシベーション層35はいずれも水素原子を含まないが、ゲート保護膜31及びパッシベーション層35の成膜の過程において双方の膜に水素原子が含まれないようにするのが困難であれば、少なくともゲート保護膜31及びパッシベーション層35のいずれかが水素原子を含まなければよい。この場合であっても、IGZOからの酸素原子の脱離をある程度抑制することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、ゲート保護膜31やパッシベーション層35を形成する際、酸化珪素膜31b、35aの代わりに酸窒化珪素膜を成膜してもよく、さらに、窒化珪素膜31a、35bの代わりに酸窒化珪素膜を成膜してもよい。
【0067】
また、上述した多層保護膜の形成方法において、処理が窒化珪素膜31aの成膜から酸化珪素膜31bの成膜へ切り替わる際、又は、処理が酸化珪素膜35aの成膜から窒化珪素膜35bの成膜へ切り替わる際、一旦、基板Sの温度を低下させてもよく、若しくは、塩化珪素ガスの供給を停止してもよい。さらには、プラズマの生成及び消滅時におけるパーティクルの発生が極めて少ない環境下であれば、上述した処理の切り替わりの際、一旦、誘導結合プラズマを消滅させてもよい。これにより、窒化珪素膜31aの成膜後の成膜反応を酸化珪素膜31bの成膜まで抑制することができ、又は、酸化珪素膜35aの成膜後の成膜反応を窒化珪素膜35bの成膜まで抑制することができ、酸化珪素膜31b,35a及び窒化珪素膜31a,35bの間に酸化珪素膜や窒化珪素膜以外の膜が形成されるのを抑制することができる。
【0068】
以上、本発明について、実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【0069】
例えば、上述した多層保護膜の形成方法は、図2のTFT28だけでなく、他の構成を有するTFTにおける多層保護膜の形成にも適用することができる。
【0070】
図5は、本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるボトムゲート型のTFTの変形例の構成を示す断面図である。
【0071】
図5において、TFT36は、アンダーコート層29と、ゲート電極30と、ゲート保護膜31と、チャネル32と、ソース電極33及びドレイン電極34と、チャネル32を覆うように形成された多層保護膜からなるエッチングストッパ層37と、エッチングストッパ層37、ソース電極33及びドレイン電極34を覆うように形成されたパッシベーション層38とを備える。
【0072】
TFT36では、エッチングストッパ層37は図中下方から積層された酸化珪素膜37a及び窒化珪素膜37bを有し、エッチングストッパ層37では酸化珪素膜37aがチャネル32に接触する。これにより、チャネル32及びエッチングストッパ層37の相互剥離を抑制することができる。
【0073】
なお、エッチングストッパ層37において図中下方から窒化珪素膜37b、酸化珪素膜37aの順で積層して窒化珪素膜37bをチャネル32に接触させてもよい。
【0074】
TFT36では、ゲート保護膜31の形成に図3のステップS31,S32を適用し、エッチングストッパ層37の形成に図3のステップS34,S35と同様の処理を適用する。これにより、酸化珪素膜31b,37aの成膜に水素原子を含まない塩化珪素ガス及び酸素ガスを用い、窒化珪素膜31a,37bの成膜に水素原子を含まない塩化珪素ガス及び窒素ガスを用いることになるので、酸化珪素膜31b,37aや窒化珪素膜31a,37bの欠陥に水素原子が入り込むことがなく、チャネル32から酸素原子が脱離するのを防止することができる。
【0075】
図6は、本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるトップゲート型のTFTの構成を示す断面図である。
【0076】
図6において、TFT38は、基板S上に成膜された多層保護膜からなるアンダーコート層39と、アンダーコート層39の上に部分的に形成されたチャネル40と、アンダーコート層39の上においてチャネル40の両脇にそれぞれ形成されたソース電極41及びドレイン電極42と、チャネル40、ソース電極41及びドレイン電極42を覆うように形成された多層保護膜からなるゲート保護膜43と、ゲート保護膜43の上においてチャネル40の直上に配置されるように形成されたゲート電極44と、ゲート電極44及びゲート保護膜43を覆うように形成されたパッシベーション層45とを備える。
【0077】
TFT38では、チャネル40がIGZOからなり、アンダーコート層39が図中下方から積層された窒化珪素膜39a及び酸化珪素膜39bを有し、ゲート保護膜43が図中下方から積層された酸化珪素膜43a及び窒化珪素膜43bを有する。アンダーコート層39では酸化珪素膜39bがチャネル40に接触し、ゲート保護膜43では酸化珪素膜43aがチャネル40に接触する。これにより、チャネル40、アンダーコート層39及びゲート保護膜43の相互剥離を抑制することができる。
【0078】
なお、アンダーコート層39において図中下方から酸化珪素膜39b、窒化珪素膜39aの順で積層して窒化珪素膜39aをチャネル40に接触させてもよく、ゲート保護膜43において図中下方から窒化珪素膜43b、酸化珪素膜43aの順で積層して窒化珪素膜43bをチャネル40に接触させてもよい。
【0079】
TFT38では、アンダーコート層39の形成に図3のステップS31,S32と同様の処理を適用し、ゲート保護膜43の形成に図3のステップS34,S35と同様の処理を適用する。これにより、酸化珪素膜39b,43aの成膜に水素原子を含まない塩化珪素ガス及び酸素ガスを用い、窒化珪素膜39a,43bの成膜に水素原子を含まない塩化珪素ガス及び窒素ガスを用いることになるので、酸化珪素膜39b,43aや窒化珪素膜39a,43bの欠陥に水素原子が入り込むことがなく、チャネル40から酸素原子が脱離するのを防止することができる。
【0080】
図7は、本実施の形態に係る多層保護膜の形成方法が適用されて形成されるトップゲート型のTFTの変形例の構成を示す断面図である。
【0081】
図7において、TFT46は、基板S上に成膜された多層保護膜からなるアンダーコート層39と、アンダーコート層39の上に部分的に形成されたチャネル40と、チャネル40に接続されたソース電極47及びドレイン電極48と、アンダーコート層39及びチャネル40を覆うように形成されたゲート保護膜43と、ゲート保護膜43の上においてチャネル40の上に配置されるように形成されたゲート電極44と、ゲート電極44及びゲート保護膜43を覆うように形成された層間絶縁膜49と、層間絶縁膜49、ソース電極47及びドレイン電極48を覆うように形成されたパッシベーション層50とを備える。
【0082】
TFT46でも、TFT38と同様に、アンダーコート層39では酸化珪素膜39bがチャネル40に接触し、ゲート保護膜43では酸化珪素膜43aがチャネル40に接触する。これにより、チャネル40、アンダーコート層39及びゲート保護膜43の相互剥離を抑制することができる。
【0083】
なお、TFT38と同様に、アンダーコート層39において窒化珪素膜39aをチャネル40に接触させてもよく、ゲート保護膜43において窒化珪素膜43bをチャネル40に接触させてもよい。
【0084】
TFT46では、TFT38と同様に、アンダーコート層39の形成に図3のステップS31,S32と同様の処理を適用し、ゲート保護膜43の形成に図3のステップS34,S35と同様の処理を適用する。これにより、酸化珪素膜39b,43aや窒化珪素膜39a,43bの欠陥に水素原子が入り込むことがなく、チャネル40から酸素原子が脱離するのを防止することができる。
【0085】
また、本発明の目的は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、コンピュータ、例えば、コントローラ27に供給し、コントローラ27のCPUが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0086】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、プログラムコード及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0087】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムコードを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムコードは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることによりコントローラ27に供給されてもよい。
【0088】
また、コントローラ27が読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、CPU上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0089】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コントローラ27に挿入された機能拡張ボードやコントローラ27に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0090】
上記プログラムコードの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【符号の説明】
【0091】
S 基板
10 プラズマCVD成膜装置
13 ICPアンテナ
18 珪素含有ガス供給部
19 酸素含有ガス供給部
20 窒素含有ガス供給部
28,36,38,46 TFT
31,43 ゲート保護膜
31a,35b,37b,39a,43b 窒化珪素膜
31b,35a,37a,39b,43a 酸化珪素膜
31c 酸窒化珪素膜
32,40 チャネル
35 パッシベーション層
37 エッチングストッパ層
39 アンダーコート層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7