特許第6232232号(P6232232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232232
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】半導体装置及び電流量制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20171106BHJP
   G05F 1/10 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G05F1/56 310C
   G05F1/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-182503(P2013-182503)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-49812(P2015-49812A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】宇都野 紀久生
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−508318(JP,A)
【文献】 特開2004−240646(JP,A)
【文献】 特開2005−250664(JP,A)
【文献】 特開2008−310703(JP,A)
【文献】 特開2007−159226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
G05F 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースが電源電圧部に接続された第1PMOSトランジスタ、
ソースが電源電圧部に接続され、ゲートが前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続された第2PMOSトランジスタ、
ドレインが前記第1PMOSトランジスタのドレイン及びゲートに接続され、ゲートが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第1NMOSトランジスタ、
ドレインが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続され、ゲートが前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続された第2NMOSトランジスタ、
一端が前記第1NMOSトランジスタのソースに接続された第1抵抗素子、
一端が前記第1抵抗素子の他端に接続され、他端が所定の電位を有する部位に接続された第2抵抗素子、
及びドレインが前記第1抵抗素子の他端に接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続された第3NMOSトランジスタを備え、電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路で生成された電流を用いて基準電圧から所定の電圧を生成して出力し、かつ出力に自装置が搭載された集積回路の内部に設けられた内部容量素子が接続された電圧生成回路と、
前記電圧生成回路の出力と前記集積回路の外部に設けられた外部容量素子との接続状態を示すフラグを記憶する記憶部と、
前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続され、前記フラグに基づいて、前記電圧生成回路の出力と前記外部容量素子とが接続されている接続状態を前記フラグが示す場合は、前記第3NMOSトランジスタをオフ状態にし、前記電圧生成回路の出力と前記外部容量素子とが非接続である接続状態を前記フラグが示す場合は、前記第3NMOSトランジスタをオン状態にして、前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する制御部と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記フラグが示す接続状態が、前記電圧生成回路の出力と前記外部容量素子とが接続されていることを示す場合は、第1の電流量に制御し、
前記フラグが示す接続状態が、前記電圧生成回路の出力と前記外部容量素子とが非接続であることを示す場合は、前記第1の電流量よりも電流量が多い第2の電流量に制御する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記フラグに基づいて前記電流生成回路が生成する電流の電流量を制御する、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
ソースが電源電圧部に接続された第1PMOSトランジスタ、
ソースが電源電圧部に接続され、ゲートが前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続された第2PMOSトランジスタ、
ドレインが前記第1PMOSトランジスタのドレイン及びゲートに接続され、ゲートが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第1NMOSトランジスタ、
ドレインが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続され、ゲートが前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続された第2NMOSトランジスタ、
一端が前記第1NMOSトランジスタのソースに接続された第1抵抗素子、
一端が前記第1抵抗素子の他端に接続され、他端が所定の電位を有する部位に接続された第2抵抗素子、
及びドレインが前記第1抵抗素子の他端に接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続された第3NMOSトランジスタを備え、
電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路で生成された電流を用いて基準電圧から所定の電圧を生成して出力する、自装置が搭載された集積回路の内部に設けられた内部容量素子が出力に接続された電圧生成回路と、
前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続され、前記電圧生成回路から出力された出力電圧が、所定の時間内に前記基準電圧の電圧値よりも高い制御用基準電圧値に到達した場合に、前記第3NMOSトランジスタをオン状態にして、前記電圧生成回路の出力と前記集積回路の外部に設けられた外部容量素子との接続状態を判断し、接続状態に基づいて前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する制御部と、
を備えた半導体装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電圧生成回路から出力された出力電圧の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記接続状態を判断する、
請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電圧生成回路の出力に所定の電流を供給する定電流回路と、
前記基準電圧よりも電圧値が高い制御用基準電圧を生成する制御用基準電圧生成回路と、
前記制御用基準電圧と前記電圧生成回路の出力の電圧とを比較する比較回路と、を備え、
前記比較回路の比較結果に基づいて前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する、
請求項4または請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記制御部は、
スタート信号とストップ信号とを出力する制御回路と、
前記スタート信号に応じたレベルの信号がセットされて出力され、かつ、前記比較回路の比較結果と前記ストップ信号との組み合わせに対応する信号に応じてリセットされる第1のRSラッチと、
前記第1のRSラッチの出力のレベルに応じて、前記定電流回路から前記電圧生成回路の出力に電流を供給させる制御を行うスイッチング素子と、
前記比較回路の比較結果に応じたレベルの信号がセットされて出力され、かつ、前記スタート信号に応じたレベルの信号に応じてリセットされる第2のRSラッチと、
を備え、前記第2のRSラッチから出力された信号に基づいて電流量を制御する請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置における電流量制御方法であって、
電流生成回路により、電流を生成する工程と、
出力に自装置が搭載された集積回路の内部に設けられた内部容量素子が接続された電圧生成回路により、前記電流生成回路で生成された電流を用いて基準電圧から所定の電圧を生成して出力する工程と、
制御部により、記憶部に記憶された前記電圧生成回路の出力と前記集積回路の外部に設けられた外部容量素子との接続状態を示すフラグに基づいて前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する工程と、
を備えた電流量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電流量制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ(半導体集積回路)に搭載されたロジック回路等の処理回路では、使用されているトランジスタの微細化に伴う耐圧低下等の理由から半導体チップの電源電圧を直接印加することができない場合がある。このような場合は、当該半導体チップ上に定電圧装置を搭載し、当該定電圧装置により所定の電圧を生成してロジック回路に供給している。このような定電圧装置として、特許文献1には、デカップリング容量として外付けの容量素子が出力に接続された電源発生回路が記載されている。
【0003】
近年、コスト削減と実装基板小型化の要求から、デカップリング容量を外付けではなく、半導体チップに内蔵することが求められている。一般に、デカップリング容量を内蔵する場合、外付けする場合に比べて容量が小さくなる。そのため、定電圧装置では、本来の出力電圧の電位に対するロジック回路の駆動による負荷電流によって生じる電圧降下の影響が大きくなる。
【0004】
これに対応するために、容量素子を内蔵する場合は、定電圧装置の駆動電流を容量素子を外付けする場合よりも多くすることにより定電圧装置の応答時間を短縮することが行われている。電流量を可変とする方法としては、例えば、特許文献2には、カレントミラー回路が生成する電流の電流量を可変にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−17566号公報
【特許文献2】特開2007−228357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容量素子を半導体チップに内蔵する場合は、上述のように定電圧装置の電流量が増加するため、消費電流が増加するという問題が生じる。そのため、実装基板小型化よりも消費電流を重視する場合(消費電流を抑制した場合)では、外付けの容量素子が用いられる。
【0007】
このように、外付けの容量素子を用いるか否かは、ユーザ等の所望に応じて定められるため、外付けの容量素子の有無に対応することができる定電圧装置が望まれている。しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、外付けの容量素子の有無に基づいて定電流装置の駆動電流の電流量を変更するものではない。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、外部容量素子の接続状態に応じて電圧生成回路が所定の電圧の生成に用いる電流の電流量を調整することができる、半導体装置及び電流量制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、ソースが電源電圧部に接続された第1PMOSトランジスタ、ソースが電源電圧部に接続され、ゲートが前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続された第2PMOSトランジスタ、ドレインが前記第1PMOSトランジスタのドレイン及びゲートに接続され、ゲートが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第1NMOSトランジスタ、ドレインが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続され、ゲートが前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続された第2NMOSトランジスタ、一端が前記第1NMOSトランジスタのソースに接続された第1抵抗素子、一端が前記第1抵抗素子の他端に接続され、他端が所定の電位を有する部位に接続された第2抵抗素子、及びドレインが前記第1抵抗素子の他端に接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続された第3NMOSトランジスタを備え、電流を生成する電流生成回路と、前記電流生成回路で生成された電流を用いて基準電圧から所定の電圧を生成して出力し、かつ出力に自装置が搭載された集積回路の内部に設けられた内部容量素子が接続された電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力と前記集積回路の外部に設けられた外部容量素子との接続状態を示すフラグを記憶する記憶部と、前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続され、前記フラグに基づいて、前記電圧生成回路の出力と前記外部容量素子とが接続されている接続状態を前記フラグが示す場合は、前記第3NMOSトランジスタをオフ状態にし、前記電圧生成回路の出力と前記外部容量素子とが非接続である接続状態を前記フラグが示す場合は、前記第3NMOSトランジスタをオン状態にして、前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の半導体装置は、ソースが電源電圧部に接続された第1PMOSトランジスタ、ソースが電源電圧部に接続され、ゲートが前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続された第2PMOSトランジスタ、ドレインが前記第1PMOSトランジスタのドレイン及びゲートに接続され、ゲートが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第1NMOSトランジスタ、ドレインが前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続され、ゲートが前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続された第2NMOSトランジスタ、一端が前記第1NMOSトランジスタのソースに接続された第1抵抗素子、一端が前記第1抵抗素子の他端に接続され、他端が所定の電位を有する部位に接続された第2抵抗素子、及びドレインが前記第1抵抗素子の他端に接続され、ソースが所定の電位を有する部位に接続された第3NMOSトランジスタを備え、電流を生成する電流生成回路と、前記電流生成回路で生成された電流を用いて基準電圧から所定の電圧を生成して出力する、自装置が搭載された集積回路の内部に設けられた内部容量素子が出力に接続された電圧生成回路と、前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続され、前記電圧生成回路から出力された出力電圧が、所定の時間内に前記基準電圧の電圧値よりも高い制御用基準電圧値に到達した場合に、前記第3NMOSトランジスタをオン状態にして、前記電圧生成回路の出力と前記集積回路の外部に設けられた外部容量素子との接続状態を判断し、接続状態に基づいて前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する制御部と、を備える。
【0011】
本発明の電流量制御方法は、本発明の半導体装置における電流量制御方法であって、電流生成回路により、電流を生成する工程と、出力に自装置が搭載された集積回路の内部に設けられた内部容量素子が接続された電圧生成回路により、前記電流生成回路で生成された電流を用いて基準電圧から所定の電圧を生成して出力する工程と、制御部により、記憶部に記憶された前記電圧生成回路の出力と前記集積回路の外部に設けられた外部容量素子との接続状態を示すフラグに基づいて前記電圧生成回路が前記所定の電圧を生成するのに用いる電流の電流量を制御する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部容量素子の接続状態に応じて電圧生成回路が所定の電圧の生成に用いる電流の電流量を調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態の定電圧装置の一例の構成を示す回路図である。
図2】第1の実施の形態のマイクロコントローラに容量素子C2が接続されていない場合の負荷電流、PG電位、及びVDDL電位のタイムチャートである。
図3】第1の実施の形態のマイクロコントローラに容量素子C2が接続されている場合の負荷電流、PG電位、及びVDDL電位のタイムチャートである。
図4】第2の実施の形態の定電圧装置の一例の構成を示す回路図である。
図5】第2の実施の形態のマイクロコントローラに容量素子C2が接続されていない場合の負荷電流、PG電位、及びVDDL電位のタイムチャートである。
図6】第2の実施の形態のマイクロコントローラに容量素子C2が接続されている場合の負荷電流、PG電位、及びVDDL電位のタイムチャートである。
図7】定電圧装置のその他の一例の構成を示す回路図である。
図8】定電圧装置のその他の一例の構成を示す回路図である。
図9】比較例である従来の定電圧装置の一例の構成を示す回路図である。
図10】比較例である図9に示したマイクロコントローラに容量素子C2が接続されていない場合の負荷電流、PG電位、及びVDDL電位のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態の半導体装置としての定電圧装置の構成について説明する。図1には、本実施の形態の定電圧装置の一例の構成を表す回路図を示す。図1に示すように、本実施の形態の定電圧装置10は、ロジック回路16、容量接続端子18、及び容量素子C1と共に、マイクロコントローラ(半導体集積回路)1上に搭載されている。すなわち、定電圧装置10、ロジック回路16、容量接続端子18、及び容量素子C1は、同一の半導体チップ上に搭載されている。
【0015】
本実施の形態の定電圧装置10(ボルテージフォロアアンプ30)の出力は、ロジック回路16に接続されており、定電圧装置10は、ノードVDDLを介してロジック回路16に所定の電圧(出力VDDL)を供給する機能を有している。本実施の形態のマイクロコントローラ1の電源電圧は、例えば、5Vであるが、ロジック回路16に使用されるトランジスタは、微細化に伴う耐圧低下により5Vの電圧を直接印加することができない。そのため、定電圧装置10により、電源電圧をロジック回路16に使用されるトランジスタの耐圧以下の電圧(例えば、2V)に低下させて、ロジック回路16に供給する。
【0016】
また、本実施の形態の定電圧装置10(ボルテージフォロアアンプ30)の出力は、容量素子C1に接続されている。デカップリングコンデンサである容量素子C1は、一端が定電圧装置10の出力に接続されており、他端が接地されている。さらに、本実施の形態の定電圧装置10(ボルテージフォロアアンプ30)の出力には、容量接続端子18を介して、必要に応じて(ユーザの所望に応じて)容量素子C2が接続される。デカップリングコンデンサである容量素子C2は、マイクロコントローラ1の外部に設けられた容量素子である。本実施の形態のマイクロコントローラ1では、容量素子C2は容量素子C1に比べて容量が大きい。具体的な一例として本実施の形態では、容量素子C1の容量を1nF、容量素子C2の容量を1μFとしている。
【0017】
本実施の形態の定電圧装置10は、基準電圧生成回路12、定電流切替信号生成回路14、定電流生成回路20、及びボルテージフォロアアンプ30を備える。
【0018】
カレントミラー回路である定電流生成回路20は、生成した定電流をボルテージフォロアアンプ30にノードBLを介して供給する機能を有している。本実施の形態の定電流生成回路20は、PMOS(PMOSトランジスタ、以下、PMOSという)22、PMOS24、NMOS(NMOSトランジスタ、以下、NMOSという)26、NMOS28、NMOS29、抵抗素子R1、及び抵抗素子R2を備えている。
【0019】
PMOS22のドレインは、NMOS26のドレインに接続されている。一方、PMOS24のドレインは、NMOS28のドレインに接続されている。PMOS22のソース及びPMOS24のソースは、電位がVDDの電源電圧部に接続されている。なお、以下では、電位がVDDの電源電圧部を「電源電圧VDD」という。PMOS22のゲート及びPMOS24のゲートは、PMOS22のドレイン及びNMOS26のドレインに接続されている。
【0020】
NMOS26のゲート及びNMOS28のゲートは、PMOS24のドレイン及びNMOS28のドレインに接続されている。NMOS28のソースは、所定の電位を有する部位に接続されている。なお、本実施の形態では、一例として所定の電位を有する部位として接地されているため、以下では、このように所定の電位を有する部位に接続されている場合を「接地」されているという。また、NMOS28のゲートは、ノードBLに接続されている。一方、NMOS26のソースは、抵抗素子R1の一端に接続されている。
【0021】
抵抗素子R1は、一端がNMOS26のソースに接続されており、他端が抵抗素子R2の一端に接続されている。抵抗素子R2は、一端が抵抗素子R1の他端に接続されており、他端が接地されている。
【0022】
抵抗素子R1と抵抗素子R2との間には、NMOS29のドレインが接続されている。NMOS29のソースは接地されている。また、NMOS29のゲートは、定電流切替信号生成回路14に接続されている。
【0023】
定電流切替信号生成回路14は、メモリ15を備えている。メモリ15の具体的な一例としては、フラッシュROM(Read Only Memory)やフューズが挙げられるが特に限定されるものではなく、不揮発性の記憶装置であればよい。メモリ15には、容量素子C2の接続状態(容量接続端子18に接続されているか否か)を示すフラグが記憶されている。なお、本実施の形態では、外部装置(CPU:Central Processing Unit)等により、当該フラグをメモリ15に予め記憶させておくようにしている。定電流切替信号生成回路14は、当該フラグに応じたレベルの信号をノードSELを介してNMOS29のゲートに供給することによりNMOS29のオン・オフを制御する機能を有している(詳細後述)。
【0024】
ボルテージフォロアアンプ30は、定電流生成回路20から供給された電流を用いて、基準電圧生成回路12の出力(基準電圧VREF)から所定の電圧VDDLを生成して出力することにより、電源電圧VDDより低い電位の電圧をロジック回路16に供給する機能を有している。なお、本実施の形態では、基準電圧VREFの電位(例えば、VR)と、所定の電圧VDDLの電位とは同じである。
【0025】
ボルテージフォロアアンプ30は、差動段として機能するPMOS32、PMOS34、NMOS36、NMOS38、及びNMOS40と、出力段として機能するPMOS42、及びNMOS44と、を備えている。
【0026】
NMOS40のゲートはノードBLを介して、定電流生成回路20に接続されている。また、NMOS40のドレインは、NMOS36のソース及びNMOS38のソースに接続されている。
【0027】
カレントミラー回路を構成するPMOS32のゲート及びPMOS34のゲートは、PMOS34のドレイン及びNMOS38のドレインに接続されている。PMOS32のソース及びPMOS34のソースは、電源電圧VDDに接続されている。また、PMOS32のドレインは、NMOS36のドレイン及びPMOS42のゲートに接続されている。PMOS34のドレインは、NMOS38のドレインに接続されている。
【0028】
差動対回路を構成するNMOS36のソース及びNMOS38のソースは、NMOS40のドレインに接続されている。NMOS36のゲートは、基準電圧生成回路12に接続されている。基準電圧生成回路12は、基準電圧VREF(VR電位)を生成してボルテージフォロアアンプ30(NMOS36のゲート)に供給する機能を有している。一方、NMOS38のゲートは、PMOS42のドレイン及びNMOS44のドレインにノードVDDLを介して接続されている。
【0029】
PMOS42はゲートがPMOS32のドレイン及びNMOS36のドレインに接続されている。また、PMOS42のソースは、電源電圧VDDに接続されている。さらに、PMOS42は、ドレインがNMOS44のドレインに接続されている。
【0030】
NMOS44のゲートは、ノードBLに接続されている。また、NMOS44のソースは接地されている。PMOS42とNMOS44との間の電位が、ボルテージフォロアアンプ30の出力VDDLとして出力される。
【0031】
次に、本実施の形態の定電圧装置10の動作について説明する。
【0032】
図2には、マイクロコントローラ1に容量素子C2が接続されていない場合の負荷電流、PMOS42のゲートの電位(PG電位)、及び出力VDDLの電位(VDDL電位)のタイムチャートを示す。また、図3には、マイクロコントローラ1に容量素子C2が接続されている場合の負荷電流、PMOS42のゲートの電位(PG電位)、及び出力VDDLの電位(VDDL電位)のタイムチャートを示す。
【0033】
基準電圧生成回路12の出力である基準電圧VREFは、ボルテージフォロアアンプ30に入力される。ボルテージフォロアアンプ30の出力VDDLの電位が基準電圧VREFと同電位(例えば、VR)になるように、ボルテージフォロアアンプ30が動作する。
【0034】
図2及び図3の時刻t0〜t1では、ロジック回路16が動作しておらず、負荷電流は、微少である。本実施の形態では、具体的な一例としてロジック回路16が動作していない場合の負荷電流を0.1μAとしている。
【0035】
負荷電流が0.1μAと微少なため、PMOS42は限りなくオフ状態に近い。言い換えると、PMOS42がオンしたときの抵抗(以下、オン抵抗という。)は高い状態であり、PMOS42のゲート電位(PG電位)は、負荷電流0.1μAに対応する電位、例えばVDD−Vg0になっている。
【0036】
ロジック回路16が動作を開始すると図2及び図3の時刻t1に示したように、負荷電流の電流量が増加する。本実施の形態では、具体的な一例としてロジック回路16が動作している場合の負荷電流を1mAとしている。負荷電流が増加すると、ノードVDDLの電位が低下する。NMOS38のゲート電位が低下するため、NMOS38の電流が低下し、NMOS38のドレイン電位が上昇することで、PMOS34の電流と、PMOS34とゲート電位が共通のPMOS32の電流とが低下する。これにより、PMOS32のドレイン電位は低下し、PMOS32のドレインにゲートが接続されているPMOS42の電流が増加して、負荷電流に応じた電流を供給し、ノードVDDLの電位を基準電圧VREFと同じ電位に保持しようとする。
【0037】
このようにボルテージフォロアアンプ30は、PMOS42のゲート電位(PG電位)を低下させることでPMOS42の電流供給能力を上げることにより、ノードVDDL(出力電圧VDDL)の電位が所望の電位(VR)となるように動作する。
【0038】
しかしながら、ボルテージフォロアアンプ30の応答時間は、ある一定時間を要するため、PMOS42の電流供給能力は、ボルテージフォロアアンプ30が応答するまでの間、負荷電流よりも供給電流が少ない状態が続くことになる。
【0039】
ノードVDDLの電位の電圧降下ΔVと、負荷電流Iと、負荷電流が継続する時間Tと、ノードVDDLに接続されるデカップリング容量(容量素子C1及び容量素子C2)の総容量Cとの関係は、下記(1)式で表される。なお、下記(1)式は、PMOS42の供給電流が負荷電流Iに対して無視できる場合について表している。また、本実施の形態では、ボルテージフォロアアンプ30の応答時間Tを負荷電流が継続する時間Tとみなしている。
【0040】
ΔV=I×(T/C) ・・・(1)式
ここで、従来の定電圧装置を備えたマイクロコントローラを比較例として挙げて説明する。図9には、従来の定電圧装置110を備えたマイクロコントローラ100の一例の回路図を示す。また、図10には、図9に示した従来のマイクロコントローラ100における負荷電流、PMOS42のゲートの電位(PG電位)、及び出力VDDLの電位(VDDL電位)のタイムチャートを示す。
【0041】
従来の定電圧装置110では、定電流生成回路120のNMOS26のソースには、抵抗素子R(抵抗値R)のみが接続されている。従来の定電圧装置110では、容量接続端子18に容量素子C2が接続されていない場合、容量素子C1の容量=1nF、負荷電流I=1mA、応答時間T=2μsとすると、電圧降下ΔVは、上記(1)式より、1mA×(2μs/1nF)=2Vになる。例えば、定電圧装置110の出力電圧VDDLの本来のVR電位が2Vである場合は、電圧降下ΔVにより、2μsの時間で電位が0Vになってしまう。このような場合、ロジック回路16が正常に動作できないという懸念が生じる。
【0042】
一方、本実施の形態の定電圧装置10では、定電流生成回路120のNMOS26のソースには、抵抗素子R1及び抵抗素子R2が接続されている。なお、抵抗素子R1の抵抗値R1及び抵抗素子R2の抵抗値R2は、例えば、抵抗値R1+抵抗値R2=抵抗値Rとしている。また、本実施の形態の定電圧装置10では、NMOS29、定電流切替信号生成回路14、及びメモリ15を備えており、上述したように、予めメモリ15に、容量接続端子18に容量素子C2が接続されているか否かを示すフラグが記憶されている。具体的な一例として本実施の形態の定電圧装置10では、容量接続端子18に容量素子C2が接続されていない(非接続)場合は、フラグ「1」が記憶されており、容量接続端子18に容量素子C2が接続されている場合は、フラグ「0」が記憶されている。定電流切替信号生成回路14は、当該フラグに基づいたレベルを有する信号SELをNMOS29のゲートに印加することにより、NMOS29のオン及びオフを制御する。
【0043】
本実施の形態のマイクロコントローラ1において容量接続端子18に、容量素子C2が接続されていない場合は、メモリ15に記憶されているフラグ「1」に応じて、Hレベルの信号SELをNMOS29のゲートに印加する。信号SELによりNMOS29は、オン状態になる。NMOS26を流れた電流は、抵抗素子R2に替わりNMOS29を介して流れることになり、定電流生成回路20の抵抗値は小さくなる。
【0044】
抵抗値の低下に応じて、定電流生成回路20からボルテージフォロアアンプ30に供給される電流量が増加するため、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流が増加する。ボルテージフォロアアンプ30の応答時間Tは、駆動電流の電流量に依存し、駆動電流が多ければ応答時間は短くなる。本実施の形態の定電圧装置10では、従来の定電流生成回路120の抵抗値Rよりも定電流生成回路20の抵抗値R1が小さいため、従来の定電流生成回路120に比べて応答時間Tが短縮される。上記(1)式から分かるように、応答時間が短縮されると、電圧降下ΔVは、小さくなる。従って、本実施の形態の定電圧装置10では、ノードVDDLの電位の低下を抑制することができる。
【0045】
このように本実施の形態の定電圧装置10では、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流の電流量を増加させることにより、電圧効果ΔVを抑制することができるが、消費電流が増加する。そのため、消費電流を増加させたくない用途に定電圧装置10を使用する場合には、マイクロコントローラ1の容量接続端子18に容量素子C2が接続される。
【0046】
本実施の形態のマイクロコントローラ1において容量接続端子18に、容量素子C2が接続されている場合は、メモリ15に記憶されているフラグ「1」に応じて、Lレベルの信号SELをNMOS29のゲートに印加する。信号SELによりNMOS29は、オフ状態になる。NMOS26を流れた電流は、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を介して流れることになり、定電流生成回路20の抵抗値は、抵抗素子R1及び抵抗素子R2の合成抵抗の抵抗値(抵抗値R1+抵抗値R2)になる。
【0047】
容量素子C2が接続されていない場合に比べて、定電流生成回路20の抵抗値が大きいため、ボルテージフォロアアンプ30に供給される電流量が少ない。ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流が少ないため、容量素子C2が接続されていない場合に比べて、ボルテージフォロアアンプ30の応答時間Tは長くなる。しかしながら、ボルテージフォロアアンプ30が応答するまでの間、容量素子C2から電流を供給することができるため、電圧降下ΔVは小さくなる。
【0048】
なお、実際には、ノードVDDLには、容量素子C1及び容量素子C2が接続されている状態になるため、ノードVDDLには、容量素子C1及び容量素子C2の合成容量が接続されていることになる。しかしながら、容量素子C2の容量=1μFは、容量素子C1の容量=1nFに比べて非常に大きいため、容量素子C1の容量をほとんど無視することができる。
【0049】
負荷電流I=1mA、応答時間T=10μsとすると、電圧降下ΔVは、上記(1)式より、1mA×(10μs/1μF)=10mVになる。当該電圧降下ΔVは、定電圧装置110の出力電圧VDDLの本来のVR電位(例えば、2V)に比べて、無視できる値である。従って、本実施の形態の定電圧装置10では、容量接続端子18に容量素子C2を接続することにより、電圧効果ΔVを抑制すると共に、消費電流を抑制することができる。
【0050】
以上説明したように本実施の形態の定電圧装置10では、定電流切替信号生成回路14及びメモリ15を備えており、さらに定電流生成回路20が抵抗素子R1、抵抗素子R2、及びNMOS29を備えている。容量素子C2が接続されている場合は、定電流切替信号生成回路14によりNMOS29をオフ状態にする。容量素子C2が接続されている場合は、定電流切替信号生成回路14によりNMOS29をオン状態にすることにより、定電流生成回路20の抵抗値を小さくして、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流の電流量を増加させる。これにより、本実施の形態の定電圧装置10では、容量素子C2の接続状態に関わらず、電圧降下ΔVを抑制することができる。
【0051】
このように、本実施の形態の定電圧装置10では、容量素子C2の接続状態に応じてボルテージフォロアアンプ30の駆動電流の電流量を調整することができる。従って、消費電流を考慮せずに容量素子C2を接続しないで用いる用途と、容量素子C2を接続して消費電流を減らす用途と、両方の用途に対して1種類の定電圧装置10(マイクロコントローラ1)で対応することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、ロジック回路16のメモリ15に予め容量素子C2の接続状態を示すフラグが記憶されている場合について説明したがこれに限らない。例えば、マイクロコントローラ1の外部装置が容量素子C2の接続状態を検出または判断してメモリ15に記憶させるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
本実施の形態の定電圧装置は、第1の実施の形態の定電圧装置10と同様の構成及び動作を含むため、同様の構成及び動作についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0053】
図4には、本実施の形態の定電圧装置の一例の構成を表す回路図を示す。図4に示すように、本実施の形態の定電圧装置10は、定電流生成回路20の駆動電流の電流量を制御するための構成が異なる。具体的には、本実施の形態の定電圧装置10では、容量素子C2が接続されているか否かを検出して定電流生成回路20のNMOS29のオン及びオフを制御する構成が第1の実施の形態の定電圧装置10と異なっている。
【0054】
本実施の形態の定電圧装置10は、第1の実施の形態の定電圧装置10と同様に、基準電圧生成回路12、定電流生成回路20、及びボルテージフォロアアンプ30を備えている。また、本実施の形態の定電圧装置10は、定電流回路50、PMOS52、基準電圧生成回路54、比較回路56、インバータ58、RSラッチ60、RSラッチ62、論理和回路64、及び制御回路66を備えている。
【0055】
定電流回路50は、電源電圧VDD及びPMOS52のソースに接続されており、PMOS52に電流量が一定の電流を供給する機能を有している。PMOS52は、ソースが定電流回路50に、ドレインがノードVDDLに、ゲートがインバータ58の出力に接続されている。
【0056】
比較回路56は、非反転入力端子がノードVDDLに接続されている。また、比較回路56は、反転入力端子に基準電圧生成回路54が接続されている。
【0057】
基準電圧生成回路54は、基準電圧VREF2を生成して比較回路56に供給する機能を有している。なお、本実施の形態では、基準電圧生成回路54が生成する基準電圧VREF2のVR電位2は、基準電圧VREFのVR電位よりも高い。
【0058】
比較回路56の出力は、RSラッチ60のセット端子S、及び論理和回路64の入力に接続されている。論理和回路64は、比較回路56の出力と、制御回路66から入力される信号STOPとの論理和に応じたレベルの信号をRSラッチ62のリセット端子に出力する。RSラッチ62のセット端子には、制御回路66が接続されている。制御回路66は、所定のタイミングで、Hパルスの信号START及び信号STOPを出力する機能を有している(詳細後述)。
【0059】
RSラッチ60のリセット端子は制御回路66に接続されており、セット端子は比較回路56の出力に接続されており、出力端子は定電流生成回路20のNMOS29のゲートに接続されている。
【0060】
次に、本実施の形態の定電圧装置10の動作について説明する。
【0061】
基準電圧生成回路12の出力である基準電圧VREFは、ボルテージフォロアアンプ30に入力される。ボルテージフォロアアンプ30の出力VDDLの電位が基準電圧VREFと同電位(例えば、VR)になるように、ボルテージフォロアアンプ30が動作する。
【0062】
図5には、マイクロコントローラ1に容量素子C2が接続されていない場合の負荷電流、PMOS42のゲートの電位(PG電位)、及び出力VDDLの電位(VDDL電位)のタイムチャートを示す。
【0063】
制御回路66からHパルスの信号STARTが出力される。Hパルスの信号STARTにより、RSラッチ60はリセットされ、RSラッチ62はセットされる。RSラッチ62からインバータ58に出力される信号SENは、Hレベルになる。これにより、PMOS52のゲートには、Lレベルの信号が印加されるため、PMOS52はオン状態になる。PMOS52がオン状態になると、定電流回路50からノードVDDLに電流が供給される。供給された電流は、マイクロコントローラ1(容量接続端子18)に容量素子C2が接続されていない場合は、容量素子C1のみに流れる。容量素子C1は、容量が小さいため、容量素子C2が接続されている場合に比べて、短い時間でノードVDDLの電位(VDDL電位)が上昇する。すなわち、容量素子C2が接続されていない場合は、VDDL電位の立ち上がりが急峻に(単位時間当たりの変化量が大きく)なる。
【0064】
本実施の形態では、基準電圧VREF2の電位VR2を基準電圧VREFのVR電位よりも高く(VR2>VR)としているため、VDDL電位がVR2電位を超えると、比較回路56の出力信号CMPがHレベルとなる。Hレベルの信号CMPにより、RSラッチ60がセットされる。これにより、RSラッチ60から定電流生成回路20のNMOS29のゲートには、Hレベルの信号が印加される。
【0065】
また、Hレベルの出力信号CMPにより論理和回路64がHレベルの信号をRSラッチ62のリセット端子に出力するため、RSラッチ62がリセットされる。信号STARTはLレベルであるため、RSラッチ62から出力される信号SENのレベルがLレベルになる。これにより、PMOS52のゲートには、Hレベルの信号が印加されるため、PMOS52はオフ状態になる。PMOS52がオフ状態になると、定電流回路50からノードVDDLへの電流供給が停止される。
【0066】
一方、定電流生成回路20では、NMOS29のゲートに印加される信号SELがHレベルとなったため、NMOS29がオン状態になり、NMOS26を流れた電流は、抵抗素子R2に替わりNMOS29を介して流れることになり、定電流生成回路20の抵抗値は小さくなる。上記第1の実施の形態の定電圧装置10の場合と同様に、抵抗値の低下に応じて、定電流生成回路20からボルテージフォロアアンプ30に供給される電流量が増加するため、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流が増加する。従って、本実施の形態の定電圧装置10においても、ボルテージフォロアアンプ30の応答時間Tが短縮され、ノードVDDLの電位の低下を抑制することができる。
【0067】
また、図6には、マイクロコントローラ1に容量素子C2が接続されている場合の負荷電流、PMOS42のゲートの電位(PG電位)、及び出力VDDLの電位(VDDL電位)のタイムチャートを示す。
【0068】
制御回路66からHパルスの信号STARTが出力される。Hパルスの信号STARTにより、RSラッチ60はリセットされ、RSラッチ62はセットされる。RSラッチ62からインバータ58に出力される信号SENは、Hレベルになる。これにより、PMOS52のゲートには、Lレベルの信号が印加されるため、PMOS52はオン状態になる。PMOS52がオン状態になると、定電流回路50からノードVDDLに電流が供給される。供給された電流は、マイクロコントローラ1(容量接続端子18)に容量素子C2が接続されている場合は、容量素子C1及び容量素子C2に流れる。容量素子C2は、上述したように容量素子C1に比べて大容量であるため、容量素子C2が接続されていない場合に比べて、長い時間でノードVDDLの電位(VDDL電位)が上昇する。すなわち、容量素子C2が接続されている場合は、VDDL電位の立ち上がりがなだらかに(単位時間当たりの変化量が小さく)なる。
【0069】
本実施の形態では、基準電圧VREF2の電位VR2を基準電圧VREFのVR電位よりも高く(VR2>VR)としているため、VDDL電位はVR2電位を超えない、もしくは超えるのに長時間を要する。そのため、比較回路56の出力信号CMPはLレベルを維持する。信号CMPがLレベルを維持するため、RSラッチ60がセットされず、RSラッチ60から定電流生成回路20のNMOS29のゲートに印加される信号SELもLレベルを維持する。
【0070】
制御回路66からHパルスの信号STOPが出力されると、RSラッチ62はリセットされる。信号STARTはLレベルであるため、RSラッチ62から出力される信号SENのレベルがLレベルになる。これにより、PMOS52のゲートには、Hレベルの信号が印加されるため、PMOS52はオフ状態になる。PMOS52がオフ状態になると、定電流回路50からノードVDDLへの電流供給が停止される。
【0071】
一方、定電流生成回路20では、NMOS29のゲートに印加される信号SELはLレベルを維持しているため、NMOS29はオフ状態であり、NMOS26を流れた電流は、抵抗素子R1及び抵抗素子R2を介して流れることになり、定電流生成回路20の抵抗値が大きくなる。上記第1の実施の形態の定電圧装置10の場合と同様に、定電流生成回路20からボルテージフォロアアンプ30に供給される電流量が少ないため、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流が少ない。従って、本実施の形態の定電圧装置10においても、ボルテージフォロアアンプ30の応答時間Tは短縮されないが、ボルテージフォロアアンプ30が応答するまでの間、容量素子C2から電流を供給することができるためノードVDDLの電位の低下を抑制することができる。
【0072】
なお、本実施の形態で制御回路66が、Hパルスの信号STARTを出力してからHパルスの信号STOPを出力するまでの間隔、及び基準電圧生成回路54が生成する基準電圧VREF2のVR2電位は、予め実験等により定めておけばよい。例えば、容量素子C2を容量接続端子18に接続させた状態におけるVDDL電位がVR2電位に至るまでの時間(図6参照)を超えなければよく、予め実験等により定めておけばよい。
【0073】
本実施の形態の定電圧装置10では、第1の実施の形態の定電圧装置10に備えられていた定電流切替信号生成回路14及びメモリ15を要しないため、フラッシュROMやフューズ等を備える必要がない。そのため、本実施の形態の定電圧装置10は、フラッシュROMやフューズ等を備えていないマイクロコントローラ1(半導体チップ)にも適用することができる。
【0074】
また、本実施の形態の定電圧装置10では、定電流回路50からノードVDDLに電流を供給し、ノードVDDLの電位の変化(立ち上がり)に応じて、立ち上がりが急峻ならば、容量素子C2が接続されていないと判断し、立ち上がりがなだらかならば容量素子C2が接続されていると判断している。このように、本実施の形態の定電圧装置10では、容量素子C2の接続の有無を自動的に判断するため、第1の実施の形態の定電圧装置10のようにフラグを記憶させておく必要がない。従って、本実施の形態の定電圧装置10は、用いる用途(容量素子C2を接続して用いる用途及び容量素子C2を接続して用いる用途(消費電流抑制))に対する自由度が高い。
【0075】
以上説明したように、上記各実施の形態の定電圧装置10では、容量素子C2がマイクロコントローラ1(容量接続端子18)に接続されていない場合は、NMOS29をオン状態にして定電流生成回路20の抵抗値を小さくして、定電流生成回路20からボルテージフォロアアンプ30に供給する電流の電流量を増加させる。これにより、ボルテージフォロアアンプ30は、駆動電流が増加するため、応答時間Tが短くなり、ノードVDDLの電圧降下が抑制される。また、容量素子C2がマイクロコントローラ1(容量接続端子18)に接続されている場合は、NMOS29をオフ状態にして定電流生成回路20の抵抗値を大きくして、定電流生成回路20からボルテージフォロアアンプ30に供給する電流の電流量を抑制し、消費電流を抑制する。この場合は、容量素子C2からノードVDDLに電流を供給するため、ノードVDDLの電圧降下が抑制される。
【0076】
従って、本実施の形態の定電圧装置10は、容量素子C2の接続状態に応じて定電流生成回路20の駆動電流の電流量を調整することができる。
【0077】
なお、上記各実施の形態では、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流を制御するために、定電流生成回路20の抵抗値を変化させて定電流生成回路20からボルテージフォロアアンプ30に供給する電流の電流量を制御する場合について説明した。しかしながら、ボルテージフォロアアンプ30の駆動電流を制御する構成及び動作はこれに限らない。例えば、定電流生成回路20とボルテージフォロアアンプ30の定電流ミラー比を変化させるようにしてもよい。図7には、容量素子C2が容量接続端子18に接続されているか否かにより、定電流生成回路20とボルテージフォロアアンプ30の定電流ミラー比を変化させる場合の定電圧装置10の一例の構成の回路図を示す。また、図8には、容量素子C2が容量接続端子18に接続されているか否かにより、定電流生成回路20とボルテージフォロアアンプ30の定電流ミラー比を変化させる場合の定電圧装置10のその他の一例の構成の回路図を示す。
【0078】
図7及び図8に示した定電圧装置10では、上記各実施の形態の定電圧装置10と異なり、定電流生成回路20は抵抗素子R1及び抵抗素子R2に換わり抵抗素子Rを備えており、また、NMOS29を備えていない。
【0079】
図7に示した定電圧装置10の場合では、上記各実施の形態の定電圧装置10と異なり、ボルテージフォロアアンプ30がNMOS41、NMOS43、NMOS45、及びNMOS46を更に備えている。NMOS41のソースは、NMOS43のドレインに接続されている。NMOS41のドレインは、NMOS36のソース及びNMOS38のソースに接続されている。また、NMOS45のソースは、NMOS46のドレインに接続されている。NMOS45のドレインは、PMOS42のドレインに接続されている。NMOS41のゲート及びNMOS45のゲートは、定電流切替信号生成回路14に接続されている。
【0080】
定電流切替信号生成回路14は、上記各実施の形態の定電圧装置10と同様にメモリ15に記憶されているフラグに基づいたレベルを有する信号SELをNMOS41のゲート及びNMOS45のゲートに印加することにより、NMOS41及びNMOS45のオン及びオフを制御する。
【0081】
上記各実施の形態の定電圧装置10と同様に、容量素子C2が接続されていない場合は、NMOS41及びNMOS45はオン状態になり、電流が多くなる。一方、容量素子C2が接続されている場合は、NMOS41及びNMOS45はオフ状態になる。これにより、定電流生成回路20とボルテージフォロアアンプ30の定電流ミラー比を変化させてボルテージフォロアアンプ30に供給する電流の電流量を制御することができる。
【0082】
図8に示した定電圧装置10の場合では、上記各実施の形態の定電圧装置10と異なり、定電流生成回路20がNMOS27、及びNMOS29を更に備えている。NMOS27のソースは、NMOS29のドレインに接続されている。NMOS27のドレインは、PMOS24のドレイン、NMOS26のゲート、及びNMOS28のドレインに接続されている。NMOS27のゲートは、定電流切替信号生成回路14に接続されている。
【0083】
定電流切替信号生成回路14は、上記各実施の形態の定電圧装置10と同様にメモリ15に記憶されているフラグに基づいたレベルを有する信号SELをNMOS27のゲートに印加することにより、NMOS27のオン及びオフを制御する。
【0084】
図8に示した定電圧装置10は異なり、容量素子C2が接続されていない場合は、NMOS27はオフ状態になり、電流はNMOS28のみとなる。一方、容量素子C2が接続されている場合は、NMOS27はオン状態になる。これにより、定電流生成回路20とボルテージフォロアアンプ30の定電流ミラー比を変化させてボルテージフォロアアンプ30に供給する電流の電流量を制御することができる。
【0085】
また、上記各実施の形態では、定電流生成回路20の抵抗を直列に接続された抵抗素子R1及び抵抗素子R2で構成したがこれに限らず、抵抗値を可変とできる構成であれば特に限定されるものではない。例えば、並列に接続された複数の抵抗素子であってもよいし、その他の可変抵抗であってもよい。
【0086】
また、上記各実施の形態では、定電流生成回路20の抵抗値を2段階(抵抗値R1の場合と、抵抗値R1+R2の場合)としたが抵抗値を変化させる段階はこれに限らず、2段階以上(例えば、3段階)としてもよい。
【0087】
また、その他の上記各実施の形態で説明したマイクロコントローラ1、定電圧装置10、定電流生成回路20、及びボルテージフォロアアンプ30の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0088】
1 マイクロコントローラ
10 定電圧装置
14 定電流切替信号生成回路
15 メモリ
16 ロジック回路
18 容量接続端子
20 定電流生成回路
22、24、32、34、42、52 PMOS
26、27、28、29、36、38、40、41、43、44、45、46 NMOS
30 ボルテージフォロアアンプ
50 定電流回路
54 基準電圧生成回路
56 比較回路
58 インバータ
60、62 RSラッチ
64 論理和回路
66 制御回路
C1、C2 容量素子
R1、R2 抵抗素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10