特許第6232302号(P6232302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232302リチウムイオン電池用電極タブの製造方法
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  • 特許6232302-リチウムイオン電池用電極タブの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232302
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用電極タブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/26 20060101AFI20171106BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
   H01M2/30 D
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-14847(P2014-14847)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-141845(P2015-141845A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】児玉 篤志
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−012468(JP,A)
【文献】 日本電子ニュース,2004年,36,p.38−41
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/26
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuまたはCu合金の表面にNiめっきを施し、次にNiめっきの表面に厚さ1〜10nmの三価Cr化成処理を形成すること、Niめっき断面のめっき組織の大きさが0.05μm以上であることを特徴とするリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
【請求項2】
Niめっきが光沢剤を添加しない無光沢Niめっきであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
【請求項3】
Niめっきの厚さが0.3〜5.0μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
【請求項4】
CuまたはCu合金からなる基材と、
CuまたはCu合金の表面に設けられたNiめっき層と、
Niめっき層の表面に設けられた三価Cr化成処理層とを含み、
Niめっき層の断面のめっき組織の大きさが0.05μm以上である、リチウム電池用電極タブ材。
【請求項5】
Niめっき層が、光沢剤を添加しない無光沢Niめっきによって設けられたNiめっき層である、請求項に記載のリチウム電池用電極タブ材。
【請求項6】
Niめっき層の厚さが0.3〜5.0μmである、請求項4または5に記載のリチウム電池用電極タブ材。
【請求項7】
三価Cr化成処理層が、三価クロムを含有する溶液中に浸漬されて設けられた層である、請求項4〜6のいずれかに記載のリチウム電池用電極タブ材。
【請求項8】
三価Cr化成処理層の厚さが1〜10nmである、請求項4〜7のいずれかに記載のリチウム電池用電極タブ材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池用電極タブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、液状、ゲル状および高分子ポリマー状の電解質を持ち、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウムイオン電池の構成は、一般的に正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質等)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)で構成されるリチウムイオン電池本体及び、リチウムイオン電池本体を密閉して包装する外装体からなる。リチウムイオン電池の本体の正極及び負極は、それぞれ、外装体を貫通する導電性の部材(電極タブ)によって、外部と電気的に接続可能となっている。
【0003】
この正極及び負極の電極タブは、外装体による密閉を維持するために、外装体と隙間なく密着するように接着される。この接着は例えば接着テープによって行われる。そして、この接着が剥離することなく維持されることが、電極タブに求められる。また、この正極及び負極の電極タブは、外装体の内部では、リチウムイオン電池の電解質に接触することとなる。そして、この電解質に対する耐食性が、電極タブには求められる。
【0004】
このような電極タブとして、上記の耐食性及び接着テープとの密着性を維持するために、電極タブの金属の表面に、樹脂皮膜と金属塩の複合皮膜を設けた電極タブが、開示されている(特許文献1)。しかし、このような複合皮膜は、樹脂を含んだ塗膜として形成されており、樹脂硬化工程などが必要となる。また、樹脂を含んだ塗膜のために、接点部の電気接続性が低下し、あるいは端子部の溶接性が低下する。これを回避するためには、端子部について別途、部分塗布工程、あるいはマスキング工程、あるいは皮膜剥離工程、あるいは研磨工程などが、必要となる。これらはいずれも、製造工程を複雑化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−81992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、より簡易な製造工程によって、耐食性、密着性及び電気的接続性を実現した、リチウムイオン電池用電極タブ材、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、リチウムイオン電池用電極タブの金属材料の表面処理を鋭意研究した結果、金属材料に三価クロム化成処理を所定の厚みの処理層を形成するように施すという簡易な操作によって、リチウムイオン電池の電解質に対する耐食性と、外装体による密閉を確実にするための接着用テープに対する密着性と、端子の電気的接続性を、同時に備えた電極タブを製造できることを見いだして、本発明に到達した。
【0008】
したがって、本発明は、次の(1)〜(4)を含む。
(1)
CuまたはCu合金の表面にNiめっきを施し、次にNiめっきの表面に厚さ1〜10nmの三価Cr化成処理を形成することを特徴とするリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
(2)
Niめっきが光沢剤を添加しない無光沢Niめっきであることを特徴とする(1)に記載のリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
(3)
Niめっきの厚さが0.3〜5.0μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載のリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
(4)
Niめっき断面のめっき組織の大きさが0.05μm以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載のリチウム電池用電極タブ材の製造方法。
【0009】
さらに、本発明は、次の(11)〜にもある。
(11)
CuまたはCu合金からなる基材と、
CuまたはCu合金の表面に設けられたNiめっき層と、
Niめっき層の表面に設けられた三価Cr化成処理層とを含む、リチウム電池用電極タブ材。
(12)
Niめっき層が、光沢剤を添加しない無光沢Niめっきによって設けられたNiめっき層である、(11)に記載のリチウム電池用電極タブ材。
(13)
Niめっき層の厚さが0.3〜5.0μmである、(11)または(12)に記載のリチウム電池用電極タブ材。
(14)
Niめっき層の断面のめっき組織の大きさが0.05μm以上である、(11)〜(13)のいずれかに記載のリチウム電池用電極タブ材。
(15)
三価Cr化成処理層が、三価クロムを含有する溶液中に浸漬されて設けられた層である、(11)〜(14)のいずれかに記載のリチウム電池用電極タブ材。
(16)
三価Cr化成処理層の厚さが1〜10nmである、(11)〜(15)のいずれかに記載のリチウム電池用電極タブ材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な製造工程によって、耐食性、密着性、電気的接続性を同時に実現した、リチウムイオン電池用電極タブ材を提供することができる。そこで、本発明による電極タブ材を使用すれば、腐食や外装材の剥離による、電解質の漏出が防止され、安全で長寿命のリチウムイオン電池を提供することができる。さらに、本発明による電極タブ材を使用すれば、電池の端子の電気抵抗を低減させて、電圧持続時間の長いリチウムイオン電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1はリチウムイオン電池の電極タブが取り付けられている構造を例示して説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に具体的な実施の形態をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
[リチウムイオン電池用電極タブ材の製造方法]
本発明に係るリチウムイオン電池用電極タブ材は、CuおよびCu合金の表面にNiめっきを施し、さらにNiめっき表面に三価クロム化成処理皮膜を形成する製造方法によって、製造することができる。
【0014】
[CuおよびCu合金]
リチウム電池用電極タブ材の基材として、CuおよびCu合金の条材を使用することができる。CuおよびCu合金を例として、無酸素銅、タフピッチ銅、丹銅、リン青銅、黄銅、コルソン銅などが挙げられる。CuおよびCu合金は導電性に優れまた耐食性も比較的良好であるため、電極タブ材として好都合である。CuおよびCu合金の種類について制限はないが、比較的大電流を流すタイプの電池のタブ材には、無酸素銅やタフピッチ銅などの高導電材料が好ましい。これらの材料は圧延等により厚さ0.1〜0.8mm程度の薄板に加工し、さらにスリット加工し、幅3〜100mm程度の条とする。さらに必要に応じ、連続プレスにより部分的に穴が開いた形状の条に加工する。三価クロム化成処理後の条は切断されるが、プレスで穴を開けている箇所では材料断面にもNiめっきと化成処理が施されているため、耐食性がより向上する。タブ材に部分的に耐食性をアップさせたい箇所がある場合は、上述のように基材をプレスした後にめっきと化成処理を行うとよい。
【0015】
〔Niめっき〕
本発明の製造方法では、CuおよびCu合金の表面にNiめっきを行う。Niめっきを行う理由は、タブ材の耐食性を向上させるためと、タブ材を他の材料と溶接する際の溶接性を向上させるためである。NiめっきはCuまたはCu合金条を用い、連続めっきライン(フープめっきライン)でめっきする。めっきラインでは、前処理として電解脱脂、酸洗を行い、続いて電解Niめっきを行う。Niめっき液は、ウッド浴やスルファミン酸浴など工業的に用いられているめっき液を用いることができる。めっき液にはサッカリン等の光沢剤を添加することができるが、耐食性を重視する場合には光沢剤を添加しながらめっき液を使用して無光沢めっき皮膜を形成するとよい。この理由は、光沢剤の成分である硫黄を含有する有機化合物がめっき皮膜中に取り込まれることにより、Niめっきの耐食性が低下するためである。Niめっき厚みとしては、例えば0.2〜7.0μmとすることができ、0.3〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0μmである。Niめっき厚さが0.2μm未満ではめっき皮膜のピンホールが多くなり耐食性が悪くなる。一方Niめっき厚さが7μmを超えると耐食性の効果が飽和する一方で、めっきの曲げ性が悪くなるという問題が生じる。一方,Niめっき後にめっき皮膜をFIB(Focused Ion Beam)等で切断すると、めっき断面の組織を観察することができる。この断面組織の大小がめっきの耐食性等に影響を及ぼすことが確認されている。具体的にはめっき組織の大きさが0.02μm未満では耐食性が悪くなり、まためっきの曲げ性も悪くなる。めっきの曲げ性評価は、タブ材を曲げた際に曲げ部に発生するクラックの有無、大きさを観察して行う。Niめっき組織が0.02μm以上のタブ材では,曲げ半径を小さくして曲げてもクラックが発生しにくいことが確認された。Niめっき組織の大きさに特に上限はないが、例えば、1.0μm以下、0.5μm以下、0.3μm以下とすることができる。
【0016】
[三価クロム化成処理]
三価クロム化成処理は、三価クロムを含有する溶液中に、金属材を浸漬し、浸漬された金属材を乾燥することによって、行うことができる。三価クロム化成処理は、このような浸漬の工程、及び乾燥の工程という簡素な工程によって行うことができるために、従来の技術において必要となるような、樹脂についての樹脂硬化工程、端子部についての、部分塗布工程、あるいはマスキング工程、あるいは皮膜剥離工程、あるいは研磨工程などを含む複雑な工程は、本質的に必要がない。
【0017】
好適な実施の態様において、三価クロムを含有する溶液としては、主成分の三価クロムの他に、亜鉛、ニッケルなどを含有する水溶性化合物を溶解した水溶液を使用することができる。水溶性三価クロム化合物としては、例えば、硝酸クロム、硫酸クロム、塩化クロム、燐酸クロム、酢酸クロム等の塩類の他、クロム酸や重クロム酸塩等の六価クロム化合物を還元剤により三価に還元した化合物を使用することも可能である。また、これらを複数併用することもできる。
【0018】
好適な実施の態様において、三価クロム化成処理は、ニッケルめっきの表面に三価クロム化成処理被膜を1〜10nmの厚みの被膜として形成する工程として、行うことができる。三価クロム化成処理被膜の厚みは、好ましくは1.5〜5nm、とすることができる。厚みがこの範囲よりも小さい場合には、浸漬試験後の剥離強度が小さくなり、耐食性に劣るものとなる。厚みがこの範囲よりも大きい場合には、接触抵抗が大きいものとなる。
【0019】
三価クロム処理は例えばめっきラインのNiめっき、その後の水洗処理、という工程の後に三価クロム処理槽を設け、連続的に処理する方法が効率的であり好ましい。一方めっきラインと三価クロム処理ラインを別々に設けて、それぞれ処理してもよい。三価クロム処理に通常使用される条件において行うことができ、処理温度、処理pH、処理時間、任意の添加剤などについて、当業者が通常行う通りに、具体的な実施の態様に応じた処理条件の変更を行うことができる。
【0020】
[リチウムイオン電池用電極タブ]
本発明によるリチウムイオン電池用電極タブ材は、化成処理後の適切な形状とすることによって、そのままリチウムイオン電池用電極タブとして、使用することができる。またすでに説明したように、めっき前に適切な形状にプレス加工し、その後Niめっき、三価クロム化成処理を行ってもよい。電極タブとしてリチウムイオン電池に組み込まれる場合には、所望により、適切な形状となった電極タブに対して、接着テープの貼り合わせや、接着剤の塗布を、その表面に対して行うことができ、また、必要に応じて正極又は負極への電気的な接続等を、行うことができる。
【0021】
図1は、リチウムイオン電池の電極タブが取り付けられている構造を例示して説明する説明図であり、リチウムイオン電池の正極又は負極の電極タブ付近の断面を拡大した説明図である。電極タブ(1)は導電性の金属材に表面処理等がなされてなる。電極タブ(1)は、図示されない正極又は負極の活性物質層と、正極又は負極の集電材(7)を介して電気的に接続されており、リチウムイオン電池の内部から外部へ貫通して、電気的な接続を与える。リチウムイオン電池の外装体(5)は、通常は多数の層からなる構造であり、リチウムイオン電池を密閉して、リチウムイオン電池の内部(9)を、外部から遮断している。外装体(5)は、リチウムイオン電池の内部から外部へ貫通する電極タブ(1)の近傍から、電解質が漏出することがないように、接着層(3)によって間隙なく接着(密着)されている。接着層(3)としては、例えば接着テープが使用される。このように、リチウムイオン電池の電極タブ(1)は、端子としての電気接続性が優れていることに加えて、電解質に対する耐食性が優れていること、密閉を維持するための密着性が優れていることが、重要となっており、本発明による電極タブは、このような要求を満たすものとなっている。
【実施例】
【0022】
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔CuおよびCu合金〕
タブ材の基材となるCuおよびCu合金として、タフピッチ銅(C1100)、リン青銅(C5200)、コルソン銅(C7025)を用いた。これらの銅合金を厚さ0.2mm、幅30mm、長さ100mmの短冊し、これらにNiめっき、三価クロム化成処理を行って評価用試験片とした。
【0023】
〔Niめっき〕
無光沢Niめっきは、めっき液としてスルファミン酸浴(スルファミン酸ニッケルとホウ酸を含有、液温55℃)を使用し、厚さ1μmのめっき皮膜を形成した。半光沢Niめっきは、めっき液として無光沢Niめっき液にサッカリンを1.2g/L添加した液を使用し、厚さ1μmのめっき皮膜を形成した。光沢Niめっきは、めっき液として半光沢Niめっき液に1,4ブチンジオールを0.6g/L添加しためっき液を使用し、厚さ1μmのめっき皮膜を形成した。
【0024】
[三価クロム化成処理]
三価クロム化成処理は市販の処理液(40℃,pH4.5)を用い、処理液の中にNiめっき後の試料を浸漬させて処理した。三価クロム化成膜の厚さは、浸漬時間を変えることで調整した。
【0025】
[三価クロム化成処理被膜の厚さの測定]
三価クロム化成処理被膜(クロメート層)の厚さは、三価クロム化成処理された試験片の表面に対して、AES(JEOL製JAMP-7800F)による深さ方向分析を行って決定した。
【0026】
〔Niめっき皮膜断面観察とめっき組織の大きさ測定〕
Niめっき皮膜断面観察は、FIB(SII製ナノテクノロジー製SMI−4500)を使用して行った。この観察で得られた断面像(27000倍で撮影)をもとに、めっき組織の大きさを測定した。測定は断面像から30個のめっき組織を任意に選び、組織の短辺と長辺の長さを測定し、これらの平均値をめっき組織の大きさとした。次に30個の組織について同様に大きさを求め、30個の平均値を各試料の組織の大きさ(代表値)とした。
【0027】
〔腐食試験〕
まずリチウム電池の電解液として一般的に使用されているエチレンカーボネート+ジメチルカーボネート+ジエチルカーボネート液(1:1:1)にLiPF6を1mol/L添加し、次に純水を1000ppm添加した腐食液を準備した。次にこの液に各試料を浸漬させ60℃の恒温槽の中に72時間放置した。
【0028】
[外観観察]
上記腐食試験実施後の試料を腐食液から取出して洗浄、乾燥させ、試験片表面の外観を光学顕微鏡(20〜200倍)で観察して評価した。腐食が観察された場合には×(バツ)、腐食が観察されなかった場合には○(マル)と評価した。
【0029】
[接触抵抗の測定]
上記のように三価クロム化成処理した試験片、及び対照試験用の試験片を用意して、これらの接触抵抗を、測定した。接触抵抗は、JIS C 5402 5.3に準拠し、ロレスタ2端子法APプローブを使用して、直流抵抗として、測定した。
【0030】
〔曲げ試験〕
曲げ試験は、W型の金型を用いて三価化成処理後の試料を曲げ半径1.0mmで曲げ、曲げた箇所を光学顕微鏡(500倍)で観察し、めっき割れの有無、割れの大きさを評価した。
【0031】
実施例、比較例をまとめて表1に示す。
本発明の製造方法で作製した実施例1〜13のリチウムイオン電池用電極タブでは、比較的良好な耐食性、低接触抵抗が得られた。一方比較例1〜3では、電極タブの耐食性が劣るか、接触抵抗が高い、という評価結果が得られた。
【0032】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、簡易な製造工程によって、耐食性、電気的接続性を同時に実現した、リチウムイオン電池用電極タブ材を提供することができる。本発明による電極タブ材を使用すれば、腐食等による電解質の漏出が防止され、安全で長寿命のリチウムイオン電池を提供することができ、電池の端子の電気抵抗を低減させて、電圧持続時間の長いリチウムイオン電池を提供することができる。本発明は産業上有用な発明である。
【符号の説明】
【0034】
1 電極タブ
3 接着層
5 外装体
7 集電体
9 リチウムイオン電池内部
図1