特許第6232325号(P6232325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232325加熱調理用油脂組成物とその製造方法及び食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232325
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】加熱調理用油脂組成物とその製造方法及び食品
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20171106BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20171106BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20171106BHJP
   A23L 27/60 20160101ALN20171106BHJP
   A23D 7/00 20060101ALN20171106BHJP
【FI】
   A23D9/00 506
   A23L5/10 D
   !A23G3/00 108
   !A23L27/60 A
   !A23D7/00 500
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-64301(P2014-64301)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-186446(P2015-186446A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(72)【発明者】
【氏名】豊島 尊
(72)【発明者】
【氏名】野坂 直久
(72)【発明者】
【氏名】笠井 通雄
【審査官】 鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/132931(WO,A1)
【文献】 特開平07−034087(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103555416(CN,A)
【文献】 国際公開第2009/028483(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0070079(KR,A)
【文献】 特開2012−143171(JP,A)
【文献】 特開2012−217408(JP,A)
【文献】 特開2006−204266(JP,A)
【文献】 特開2013−247883(JP,A)
【文献】 特開2013−183638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未焙煎の食用油脂を含有し、大豆を焙煎温度220〜300℃で焙煎して得られる焙煎大豆油及び菜種を焙煎温度210〜300℃で焙煎して得られる焙煎菜種油(フルフラールを0.7ppm以上含有するものを除く)から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に30質量%以上含有することを特徴とする加熱調理用油脂組成物。
【請求項2】
前記選ばれる焙煎油は、前記焙煎大豆油のみであることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項3】
前記焙煎大豆油の焙煎温度が225〜260℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項4】
前記選ばれる焙煎油は、前記焙煎菜種油のみであることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項5】
前記焙煎菜種油の焙煎温度が250〜260℃であることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項6】
前記焙煎油の油脂組成物中の含量が45質量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
【請求項7】
未焙煎の食用油脂を含有し、大豆を焙煎温度220〜300℃で焙煎して得られる焙煎大豆油及び菜種を焙煎温度250〜300℃で焙煎して得られる焙煎菜種油から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に30質量%以上含有することを特徴とする加熱調理用油脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物を使用して製造されたことを特徴とする食品。
【請求項9】
大豆を焙煎温度220〜300℃で焙煎して得られる焙煎大豆油及び菜種を焙煎温度210〜300℃で焙煎して得られる焙煎菜種油(フルフラールを0.7ppm以上含有するものを除く)から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に30質量%以上含有するように、前記焙煎油と未焙煎の食用油脂とを配合することを特徴とする加熱調理用油脂組成物の製造方法。
【請求項10】
大豆を焙煎温度220〜300℃で焙煎して得られる焙煎大豆油及び菜種を焙煎温度250〜300℃で焙煎して得られる焙煎菜種油から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に30質量%以上含有するように、前記焙煎油と未焙煎の食用油脂とを配合することを特徴とする加熱調理用油脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記焙煎油は、焙煎油(圧搾粗油又は抽出粗油)を水脱ガム処理して得られた焙煎油(原油)であることを特徴とする請求項又は請求項10に記載の加熱調理用油脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂組成物及び食品に関するものであり、特に、焙煎油を含有する油脂組成物及び当該油脂組成物を使用して製造された食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油脂組成物は、フライ調理、炒め調理など、加熱を伴う調理時、又は長期保管時に酸化を受けやすく、酸化により油脂組成物及び調理品の品質が劣化する。そのため、酸化安定性の高い油脂組成物が求められている。
【0003】
一方、焙煎油を含有する油脂組成物として、例えば、特許文献1及び2に記載の油脂組成物がある。
【0004】
特許文献1には、大豆を焙煎温度120〜200℃で焙煎処理し、焙煎処理された大豆の水分含量を7〜13質量%に水分調整処理した後、水分含量が調整された大豆を圧搾処理して得られる焙煎大豆油及び動植物油を含有する油脂組成物が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、大豆独特の好ましい風味のある大豆香味油を簡便に高収率で得ることができ、かつ他の油と混合してマスキング剤として用いることができる焙煎大豆油の製造方法、及び焙煎大豆油を提供することができる、と特許文献1に記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、大豆を焙煎温度130〜220℃で焙煎して得られた焙煎大豆油(段落〔0095〕)、又は菜種を焙煎温度130〜200℃で焙煎して得られた焙煎菜種油(段落〔0097〕)を微量、含有する油脂組成物が開示されている。
【0007】
特許文献2に記載の発明によれば、大豆油、パーム系油脂、フラックス油、エゴマ油等の油脂が有する原料特有の不快な臭い、例えば、大豆油における青臭さや、戻り臭、加熱臭の発生が抑制されるようになる、及び焙煎油の含有量が微量であるため焙煎油の風味がしないので、調理品への焙煎油風味が付与されることがない、と特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−204266号公報
【特許文献2】国際公開第2009/028483号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の120〜200℃程度で焙煎された焙煎油は、酸化安定性が十分とは言えないという問題がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、酸化安定性が向上した焙煎油含有油脂組成物及び当該油脂組成物を使用して製造された食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の[1]〜[8]を提供する。
[1]大豆を焙煎温度220〜300℃で焙煎して得られる焙煎大豆油及び菜種を焙煎温度210〜300℃で焙煎して得られる焙煎菜種油から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に15〜100質量%含有することを特徴とする油脂組成物。
[2]前記選ばれる焙煎油は、前記焙煎大豆油のみであることを特徴とする前記[1]に記載の油脂組成物。
[3]前記焙煎大豆油の焙煎温度が225〜260℃であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の油脂組成物。
[4]前記選ばれる焙煎油は、前記焙煎菜種油のみであることを特徴とする前記[1]に記載の油脂組成物。
[5]前記焙煎菜種油の焙煎温度が220〜260℃であることを特徴とする前記[1]又は[4]に記載の油脂組成物。
[6]前記焙煎油の油脂組成物中の含量が45〜100質量%であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[7]前記油脂組成物が加熱調理用油脂であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の油脂組成物を使用して製造されたことを特徴とする食品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、酸化安定性が向上した焙煎油含有油脂組成物及び当該油脂組成物を使用して製造された食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔油脂組成物〕
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、大豆を焙煎温度220〜300℃で焙煎して得られる焙煎大豆油及び菜種を焙煎温度210〜300℃で焙煎して得られる焙煎菜種油から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に15〜100質量%含有する。
【0014】
(焙煎大豆油)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物に含有される焙煎大豆油は、原料である大豆を焙煎温度(品温)220〜300℃で焙煎する工程を経て得られる。焙煎温度の下限値は、225℃以上であることが好ましく、230℃以上であることがより好ましい。一方、焙煎温度の上限値は、280℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、260℃以下であることがさらに好ましく、255℃以下であることが最も好ましい。
【0015】
焙煎時間は、焙煎温度、焙煎処理量、焙煎処理機等によって異なるが、上記焙煎温度にて1〜30分間程度行うことが好ましく、3〜25分程度行うことがより好ましく、5〜20分程度行うことがさらに好ましい。温度上昇の方法は、特に限定されるものではないが、一定の上昇率(例えば、10〜20℃上昇/分)で徐々に温度上昇することが好ましい。
【0016】
焙煎方法は特に限定されないが、例えば、外部より過熱水蒸気、電熱、熱風、バーナー、マイクロ波などを介して大豆を加熱することにより行うことができる。また、使用する焙煎機は特に限定されないが、例えば、回転流動床式、回転ドラム式、ロータリーキルン式などを使用することができる。
【0017】
原料である大豆としては、そのままの大豆のほか、粉砕されたもの、割砕されたもの又は圧偏されたものを用いることができる。また、大豆の種類としては、米国産食品用大豆IOM(インディアナ,オハイオ,ミシガンの略)、米国産一般搾油用大豆(オーディナリー(ordinary))、国産大豆、ブラジル産大豆、中国産大豆等を用いることができ、遺伝子組み替え、非遺伝子組み替えを問わずに使用できる。
【0018】
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、上記焙煎大豆油及び後述する焙煎菜種油から選ばれる1種以上の焙煎油を油脂組成物中に15〜100質量%含有する。すなわち、焙煎大豆油のみ含有する場合、焙煎菜種油のみ含有する場合、焙煎大豆油及び焙煎菜種油を含有する場合のいずれであってもよい。焙煎油(焙煎大豆油及び焙煎菜種油の総量)の油脂組成物中の含有量の下限値は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、45質量%以上であることが最も好ましい。油脂組成物中の上記焙煎油の含量が15質量%未満では、本発明の効果(酸化安定性の向上)が殆ど得られない。
【0019】
焙煎処理された大豆は、圧搾機にて機械的に圧搾され、油分が搾り取られる。油分をろ過することで焙煎大豆油(圧搾粗油)が得られる。
【0020】
圧搾機は、特に型式は問わないが、例えば円筒状に形成されたケーシングとその内部に回転自在に設けられたスクリューよりなるエキスペラー式圧搾機を好適に利用することができる。回転数や処理量は適宜調整することができる。
【0021】
圧搾処理に加えて、又は圧搾処理に換えて、ヘキサン等の有機溶媒を用いた抽出処理、及びその後の減圧蒸留による有機溶媒の除去により、焙煎大豆油(抽出粗油)を得ても良い。抽出処理は、公知の方法で行なうことができる。
【0022】
得られた焙煎大豆油(圧搾粗油又は抽出粗油)は、このまま用いることもできるが、例えば、温度70〜110℃、水添加量3質量%(対粗油)の条件下、遠心分離機で遠心分離されることで脱ガム処理(以下、水脱ガム処理という)がなされ、再度ろ過されることが好ましい。これにより、焙煎大豆油(原油)が得られる。
【0023】
このようにして得られた焙煎大豆油は、脱酸、脱色、脱臭の精製処理を行わずに食用に供することができる。もちろん、これらの処理を一般的な方法にて行なうこともできるが、圧搾粗油は風味を生かす場合は行わないことが好ましく、抽出粗油は脱有機溶媒の点から脱臭を行うことが好ましい。
【0024】
(焙煎菜種油)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物に含有される焙煎菜種油は、原料である菜種を焙煎温度(品温)210〜300℃で焙煎する工程を経て得られる。焙煎温度の下限値は、220℃以上であることが好ましく、225℃以上であることがより好ましく、230℃以上であることがさらに好ましい。一方、焙煎温度の上限値は、280℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、260℃以下であることがさらに好ましく、255℃以下であることが最も好ましい。
【0025】
焙煎時間、焙煎方法については、前述の焙煎大豆油の場合と同様である。また、圧搾又は抽出方法、脱ガム処理方法、精製処理方法についても、前述の焙煎大豆油の場合と同様である。
【0026】
原料である菜種としては、特に限定されるものではなく、食用油の製造に用いられている各種の品種のものを用いることができる。品種改良によって作り出されたキャノーラ(Canola)種ももちろん使用できる。
【0027】
(油脂組成物中のその他の油脂)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、上記焙煎油(焙煎大豆油及び焙煎菜種油)以外に、通常の食用油脂を含有することができる。通常の食用油脂としては、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、藻類油、品種改良によって低飽和化されたこれらの油脂、これらの分別油脂、これらの水素添加油脂、及びこれらのエステル交換油脂等があり、これらの混合油脂であってもよい。これらの食用油脂は、精製油であることが好ましく、また、未焙煎油であることが好ましい。
【0028】
(油脂組成物中のその他の成分)
また、本発明の実施の形態に係る油脂組成物には、本発明の効果を奏する限りにおいて、例えば、トコフェロール類、アスコルビン酸パルミテート、カロテン類等の酸化防止剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベート、シュガーエステル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、シリコーンオイル等の消泡剤を添加することもできる。
【0029】
(用途)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、香ばしい風味があり、かつ焙煎油を含有していながらも酸化安定性を向上させることができるため、例えば、フライ油、炒め油、スプレー油等の加熱調理用油脂として好適に使用することができる。
【0030】
〔食品〕
本発明の実施の形態に係る食品は、上記の本発明の実施の形態に係る油脂組成物を使用して製造されたことを特徴とする。当該食品としては、例えば、揚げ物、天ぷら、炒め物、せんべい、菓子類、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等を挙げることができる。これらの食品は公知の常法で製造することができる。
【0031】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
<実験1>
家庭用ウォーターオーブン(商品名:ヘルシオAX−HC1、シャープ(株)製)の内部温度を表1に示す各焙煎温度に予加熱した後、オーブン内のトレー上に100gの大豆原料(皮付き大豆)を載せて10分間焙煎した。焙煎した大豆原料を粉砕後、ヘキサンで抽出した後、減圧(60〜100℃)でヘキサンを除去して焙煎大豆油(抽出粗油)を得た。比較例1Aでは、未焙煎の大豆原料を粉砕後、ヘキサンで抽出した後、減圧(60〜100℃)でヘキサンを除去して焙煎大豆油(抽出粗油)を得た。得られた抽出粗油に対して前述の方法で水脱ガム処理を行ない、焙煎大豆油(原油)を得た後、下記の酸化安定性試験を行った。
【0033】
油脂の酸化安定性試験として、基準油脂分析試験法(2.5.1.2-1996)に準拠してCDM(Conductometric Determination Method)試験を行なった。自動油脂安定性試験装置(ランシマット743型、メトローム・シバタ(株)製)を用いた。
【0034】
(CDM試験の方法)
油脂(試料)を反応容器で120℃に加熱しながら、清浄空気を送り込む。酸化により生成した揮発性分解物を水中に補集し、水の導電率が急激に変化する折曲点までの時間を測定する。数値(時間)が大きいほど、酸化安定性が良いことを示す。
【0035】
【表1】
【0036】
<実験2>
家庭用ウォーターオーブン(商品名:ヘルシオAX−HC1、シャープ(株)製)の内部温度を250℃に予加熱した後、オーブン内のトレー上に100gの大豆原料(皮むき、粗砕大豆)を載せて20分間焙煎した。焙煎した大豆原料を粉砕後、ヘキサンで抽出した後、減圧(60〜100℃)でヘキサンを除去して焙煎大豆油(抽出粗油)を得た。得られた抽出粗油に対して前述の方法で水脱ガム処理を行ない、焙煎大豆油(原油)を得た後、実験1と同様にして酸化安定性試験(CDM試験)を行った。
【0037】
【表2】
【0038】
<実験3>
家庭用ウォーターオーブン(商品名:ヘルシオAX−HC1、シャープ(株)製)の内部温度を表3に示す各焙煎温度に予加熱した後、オーブン内のトレー上に100gの菜種原料を載せて10分間焙煎した。焙煎した菜種原料を粉砕後、ヘキサンで抽出した後、減圧(60〜100℃)でヘキサンを除去して焙煎菜種油(抽出粗油)を得た。比較例1Bでは、未焙煎の菜種原料を粉砕後、ヘキサンで抽出した後、減圧でヘキサンを除去して焙煎菜種油(抽出粗油)を得た。得られた抽出粗油に対して前述の方法で水脱ガム処理を行ない、焙煎菜種油(原油)を得た後、実験1と同様にして酸化安定性試験(CDM試験)を行った。
【0039】
【表3】
【0040】
<実験4>
家庭用ウォーターオーブン(商品名:ヘルシオAX−HC1、シャープ(株)製)の内部温度を250℃に予加熱した後、オーブン内のトレー上に100gの大豆原料(皮付き大豆)を載せて10分間焙煎した。焙煎した大豆原料を粉砕後、ヘキサンで抽出した後、減圧(60〜100℃)でヘキサンを除去して焙煎大豆油(抽出粗油)を得た。得られた抽出粗油に対して前述の方法で水脱ガム処理を行なった。得られた焙煎大豆油(原油)に表4に示す配合比で未焙煎の大豆製品油(商品名:大豆サラダ油、日清オイリオグループ(株)製)(精製油)を配合した後、実験1と同様にして酸化安定性試験(CDM試験)を行った。
【0041】
【表4】
【0042】
比較例1C(大豆製品油/焙煎大豆油=100/0)の油脂は口に含んだ時のコクが無く、焙煎風味も無いのに対し、実施例1C〜5Cの油脂組成物はいずれも、口に含んだ時にコクがあり、香ばしい焙煎風味があった。