【文献】
K.Janthawongwilai, T.Amornraksa,Improved Performance of Amplitude Modulation Based Digital Watermarking,Communications and Information Tecnology, 2004. ISCIT,IEEE,2004年10月26日,318−323頁,URL,http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=1412861
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された動画像の各フレームの画像に対して、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像、及び各フレームのマーカを表すマーカ画像を重畳した画像を出力する動画像埋め込み装置であって、
誤差拡散法に従って、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像を生成する電子透かし生成部と、
誤差拡散法に従って、各フレームのマーカを表すマーカ画像を生成するマーカ生成部と、
各フレームの画像に対して、前記電子透かし生成部によって生成された前記電子透かし画像と、前記マーカ生成部によって生成された前記マーカ画像とを合成した合成画像を生成し、前記生成された各フレームの合成画像について、前記合成画像の画素値の振幅を伸長した伸長済み合成画像を生成する電子透かしマーカ合算部と、
前記動画像の各フレームの画像に対して、前記電子透かしマーカ合算部によって各フレームの画像について生成された前記伸長済み合成画像を、特定の混合度合いを用いて重畳する電子透かしマーカ重畳部と、
前記動画像の各フレームに対する、前記伸長済み合成画像を重畳した画像を出力する埋め込み済み画像出力部と、
を含み、
前記電子透かしマーカ合算部は、各フレームの画像に対して、前記電子透かし画像の画素値の振幅と前記マーカ画像の画素値の振幅との何れか大きい方と予め定められた値との積を、合成画像の画素値の振幅の最大値とするように、前記合成画像を生成する動画像埋め込み装置。
前記電子透かしマーカ合算部は、前記電子透かし画像の画素値の振幅と、表現可能な画素値の最大振幅値とに基づいて算出される混合度合い、及び前記マーカ画像の画素値の振幅と、表現可能な画素値の最大振幅値とに基づいて算出される混合度合いのうち何れか大きい混合度合いを、前記特定の混合度合いとする請求項3記載の動画像埋め込み装置。
電子透かし生成部と、電子透かし重畳部と、埋め込み済み画像出力部とを含む、入力された動画像の各フレームの画像に対して、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像を重畳した画像を出力する動画像埋め込み装置における動画像埋め込み方法であって、
前記電子透かし生成部は、誤差拡散法に従って、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像を生成し、各フレームの電子透かし画像について、前記電子透かし画像の画素値の振幅を伸長した伸長済み電子透かし画像を生成し、
前記電子透かし重畳部は、前記動画像の各フレームの画像に対して、前記電子透かし生成部によって各フレームの電子透かし画像について生成された伸長済み電子透かし画像を、前記電子透かし画像の画素値の振幅と、表現可能な画素値の最大振幅値とに基づいて算出される混合度合いを用いて重畳し、
前記埋め込み済み画像出力部は、前記動画像の各フレームに対する、前記伸長済み電子透かし画像を重畳した画像を出力する、
動画像埋め込み方法。
マーカ生成部と、マーカ重畳部と、埋め込み済み画像出力部とを含む、入力された動画像の各フレームの画像に対して、各フレームのマーカを表すマーカ画像を重畳した画像を出力する動画像埋め込み装置における動画像埋め込み方法であって、
前記マーカ生成部は、誤差拡散法に従って、各フレームのマーカを表すマーカ画像を生成し、各フレームのマーカ画像について、前記マーカ画像の画素値の振幅を伸長した伸長済みマーカ画像を生成し、
前記マーカ重畳部は、前記動画像の各フレームの画像に対して、前記マーカ生成部によって各フレームのマーカ画像について生成された伸長済みマーカ画像を、前記マーカ画像の画素値の振幅と、表現可能な画素値の最大振幅値とに基づいて算出される混合度合いを用いて重畳し、
前記埋め込み済み画像出力部は、前記動画像の各フレームに対する、前記伸長済みマーカ画像を重畳した画像を出力する、
動画像埋め込み方法。
電子透かし生成部と、マーカ生成部と、電子透かしマーカ合算部と、電子透かしマーカ重畳部と、埋め込み済み画像出力部とを含む、入力された動画像の各フレームの画像に対して、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像、及び各フレームのマーカを表すマーカ画像を重畳した画像を出力する動画像埋め込み装置における動画像埋め込み方法であって、
前記電子透かし生成部は、誤差拡散法に従って、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像を生成し、
前記マーカ生成部は、誤差拡散法に従って、各フレームのマーカを表すマーカ画像を生成し、
前記電子透かしマーカ合算部は、各フレームの画像に対して、前記電子透かし生成部によって生成された前記電子透かし画像と、前記マーカ生成部によって生成された前記マーカ画像とを合成した合成画像を生成し、前記生成された各フレームの合成画像について、前記合成画像の画素値の振幅を伸長した伸長済み合成画像を生成し、
前記電子透かしマーカ重畳部は、前記動画像の各フレームの画像に対して、前記電子透かしマーカ合算部によって各フレームの画像について生成された前記伸長済み合成画像を、特定の混合度合いを用いて重畳し、
前記埋め込み済み画像出力部は、前記動画像の各フレームに対する、前記伸長済み合成画像を重畳した画像を出力することを含み、
前記電子透かしマーカ合算部により前記合成画像を生成する処理は、各フレームの画像に対して、前記電子透かし画像の画素値の振幅と前記マーカ画像の画素値の振幅との何れか大きい方と予め定められた値との積を、合成画像の画素値の振幅の最大値とするように、前記合成画像を生成する動画像埋め込み方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
まず、本発明の実施形態に係る動画像埋め込み装置の原理について説明する。
【0029】
本実施形態においては、埋め込み対象となる映像とは別に、予め電子透かしパターンと不可視マーカパターンとを映像として生成しておくとともに、それぞれの埋め込みの強さ(パターンの振幅の大きさを表す)を別に生成しαチャネルとして付加する。
【0030】
そして、電子透かしパターン映像と不可視マーカパターンとを、それぞれの埋め込みの強さに基づいて合算し、新たに適切なαチャネルを付加し直すことで電子透かしマーカ合算映像を生成する。次に、例えば、ビデオスイッチャー等の機器を用いて、映像に対し電子透かし情報及びマーカを重畳する。
【0031】
ここで、ビデオスイッチャーは下記(1)式に従って、2つの映像をミックスさせる機能を具備している。
【0033】
ここで、「Input1」は、埋め込み対象映像、「Input2」は、電子透かしマーカ合算映像を表す。また、cは、0以上1以下で定義される、混合度合を示すパラメータである。なお、「Input2」は、電子透かし情報とマーカとを合算していない場合には、電子透かし情報映像、又はマーカ映像を表す。
【0034】
そして、埋め込み後の映像をHDMI(登録商標)等の映像端子に出力する。
【0035】
ここで、2つの映像をミックスさせるにあたり、2つの問題がある。1つ目は、誤差拡散の問題である。映像のビット深度を超えた信号成分を表現可能とする方法として、例えば、電子透かし生成部およびマーカ生成部で誤差拡散を行い、映像のビット深度を超えた信号成分も表現可能とする方法がある(特許文献3:特許第4205737号公報)。
【0036】
しかし、誤差拡散による細かなパターンが、ミックスした時点でつぶされてしまう可能性がある。そのため、本実施形態においては、誤差拡散の仕方を工夫する。具体的には、上記(1)式のパラメータcを適切に設定するために、上述したαチャネルを利用する。
【0037】
そのため、本実施形態においては、電子透かしパターンおよびマーカパターンは、振幅最大になるよう生成する。ここで、電子透かしパターンおよびマーカパターンを、最終的にビデオスイッチャーでミックスした後の振幅と等しくなるよう生成し、誤差拡散もその生成の際に行うこととする。
【0038】
そして、
図1中央に示すように、生成したパターンに対して振幅が最大になるように伸長させる。ここで、αチャネルは埋め込みの強さの情報を反映しているため、このαチャネルの情報をパラメータcとして利用することで、元の埋め込みの強さを再現できる。すなわち、αチャネルを介することで、
図1右に示すように、伸長させた分が元の強さに戻るため、誤差拡散情報はつぶれることがない。
【0039】
2つ目の問題は、電子透かしパターンとマーカパターンとを合算する際に、両者の最大振幅の和が合算後の最大振幅になるように正規化すると、ミックスさせた後の出力映像のコントラストが不必要に大きく損なわれるおそれがある。具体的には、感覚的に述べると、白っぽくぼやけた映像になる。そのため、本実施形態においては、コントラスト減少を最大限に抑える。
【0040】
本実施形態においては、「電子透かしパターンとマーカパターンとの合算信号の振幅は必ずしも両者の最大振幅の和まで必要としない」という一般的な事象を利用する。つまり、両者の振幅の大きい方×定数b(ここで、b≧1とする)を合算後の最大振幅として定義し、その最大振幅を超える値が生じた場合は最大振幅でサチュレーションさせる(最大振幅値で置き換える)。具体例を
図2に示す。なお、
図2の例においては、bは1であるものとする。
【0041】
また、本実施形態においては、αチャネルについても、両者の振幅の大きい方のαチャネルを適用する。これにより、電子透かし情報が検出及び、コントラスト減少を抑えることが両立できる。
【0042】
<第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置の構成>
次に、本発明の第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置の構成について説明する。
図3に示すように、本発明の第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置100は、CPUと、RAMと、後述する動画像埋め込み処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この動画像埋め込み装置100は、機能的には
図3に示すように画像入力部10と、演算部20と、埋め込み済み画像出力部90とを含んで構成されている。なお、第1の実施形態においては、映像信号の1チャネルあたりのビット深度を8ビットとする。
【0043】
第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置100は、埋め込まれる電子透かしパターンである電子透かし情報がマーカとしての役割も兼ねる電子透かし情報を埋め込むこととする。
【0044】
画像入力部10は、ビデオカメラで撮影されたライブ映像、又は予め用意された映像コンテンツ(以後、動画像)をデジタルデータとして受け付ける。なお、動画像の時系列に連続する各フレーム画像として一枚ずつ受け付ける。
【0045】
演算部20は、記憶部22と、電子透かし生成部24と、電子透かし重畳部26とを含んで構成されている。
【0046】
記憶部22には、予め定められた電子透かし情報の振幅n
w、及び映像に対応するID番号が記憶されている。
【0047】
電子透かし生成部24は、画像入力部10において受け付けた動画像のサイズと、記憶部22に記憶されている電子透かし情報の振幅n
w及びID番号とに基づいて、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像について、誤差拡散法に従って、埋め込むID番号に対応する電子透かし情報を表す電子透かし画像の各々を生成する。
【0048】
具体的には、まず、電子透かし生成部24は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像について、例えば、上記特許文献1の電子透かし情報埋め込み方法等を用いて、フラットなグレー画像(当該画像の画素値が何れも中間値の128になっている画像)に対し、埋め込みID番号に対応する電子透かし情報を重畳することにより電子透かし画像を生成する。ここで、本実施形態においては、上記特許文献3の誤差拡散方式で電子透かし情報を画像に埋め込む。
【0049】
また、電子透かし生成部24は、生成した電子透かし画像の各々の各画素のαチャネルへ透かし強度に関する情報を入力する。具体的には、電子透かし生成部24は、混合度合いα
wを下記(2)式により算出し、電子透かし画像の各々の各画素のαチャネルを全て下記(2)式で算出された混合度合いα
wの値に置き換える。なお、画像入力部10において受け付けた動画像のビット深度に従って、混合度合いα
wの正規化を行う必要がある。例えば、ビット深度が8bitの場合、下位(2)式で算出された値を256倍した値をαチャネルの値として用いる。後述するαチャネルに関する説明においては、全てのαチャネルに関して正規化されているものとして、詳細な説明は省略する。
【0051】
ここで、n
wは、電子透かし情報の振幅であり、N
wは、電子透かし画像が表現可能な最大振幅値(例えば、ビット深度が8bitの場合、Nw=256/2=128となる)を表す。
【0052】
また、電子透かし生成部24は、生成した電子透かし画像の各々の画素について、当該画素の画素値の振幅の範囲を±n
wから±N
wまで伸長する。具体的には、
図1左、及び
図1中央に示すように、画素の各々について、当該画素の画素値の範囲±n
wを、表現可能な範囲である±N
wまで伸長する。そして、電子透かし生成部24は、αチャネルの値が置き換えられた伸長済みの電子透かし画像の各々を、電子透かし重畳部26へ出力する。
【0053】
電子透かし重畳部26は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレームの画像に対して、電子透かし生成部24から取得した各フレームの画像に対応する伸長済みの電子透かし画像を、当該伸長済み画像に設定されているαチャネルを用いて重畳し、埋め込み済み画像出力部90に出力する。具体的には、電子透かし重畳部26は、動画像のフレーム画像と電子透かし画像とを重畳するために、ビデオスイッチャーが持つ諸機能のうち、上記(1)式で2つの画像をミックスさせる機能(フェーダ機能、若しくは、キーヤ機能等)を利用する。なお、上記(1)式のcの値は、電子透かし画像に埋め込まれているαチャネルの値を用いる。このように、動画像の各フレームの画像に、対応する電子透かし画像を重畳させることにより、画像入力部10において受け付けた動画像に対し、電子透かし情報を重畳させることができる。
【0054】
埋め込み済み画像出力部90は、電子透かし重畳部26により取得した電子透かし情報が重畳されている動画像の各フレーム画像を、入力された順番となるように合成し、電子透かし情報が重畳された動画像を、HDMI(登録商標)やSDI等の映像信号として出力する。
【0055】
<第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置の作用>
次に、第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置100の作用について説明する。画像入力部10において、動画像について、時系列に連続する各フレーム画像を一枚ずつ受け付けると、動画像埋め込み装置100によって、
図4に示す動画像埋め込み処理ルーチンが実行される。
【0056】
まず、ステップS100で、電子透かし生成部24は、記憶部22から、予め定められている振幅n
wと、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像に対応するID番号が表す電子透かし情報を読み込む。
【0057】
次に、ステップS102で、電子透かし生成部24は、画像入力部10において受け付けた各フレームの画像のうち、処理対象となるフレーム画像を決定する。
【0058】
次に、ステップS104で、電子透かし生成部24は、処理対象となるフレーム画像に対応する電子透かし画像を、ステップS100において取得した振幅n
w及び電子透かし情報とに基づいて、誤差拡散法に従って、電子透かし画像を生成する。
【0059】
次に、ステップS106で、電子透かし生成部24は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像のビット深度から算出される最大振幅値N
wと、ステップS100において取得した振幅n
wとに基づいて、上記(2)式に従って、混合度合いα
wの値を算出する。
【0060】
次に、ステップS108で、電子透かし生成部24は、ステップS104において取得した、処理対象となるフレーム画像に対応する電子透かし画像の各画素のαチャネルの値を、ステップS106で取得した混合度合いα
wの値に置き換える。
【0061】
次に、ステップS110で、電子透かし生成部24は、ステップS104において取得した、処理対象となるフレーム画像に対応する電子透かし画像の各画素値を画素の振幅の範囲±n
wから、ステップS106において取得した最大振幅値の範囲±N
wの範囲に伸長する。
【0062】
次に、ステップS116で、電子透かし重畳部26は、処理対象となるフレーム画像と、ステップS110において取得した処理対象となるフレーム画像に対応する伸長済みの電子透かし画像とを、ステップS108において取得したαチャネルの値に基づいて、上記(1)式に従って、重畳する。
【0063】
次に、ステップS118で、電子透かし重畳部26は、全てのフレーム画像について、ステップS104〜ステップS116の処理を終了したか否かを判定する。電子透かし重畳部26が、全てのフレーム画像について、ステップS104〜ステップS116の処理を終了したと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS120へ移行する。一方、電子透かし重畳部26が、全てのフレーム画像について、ステップS104〜ステップS116の処理を終了していないと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS102へ移行し、処理対象となるフレーム画像を決定し、ステップS104〜ステップS118までの処理を繰り返す。
【0064】
次に、ステップS120で、埋め込み済み画像出力部90は、ステップS116において取得した、電子透かし情報が重畳された各フレーム画像を、画像入力部10において受け付けた順番に結合し、動画像として出力して、動画像埋め込み処理ルーチンを終了する。
【0065】
以上説明したように、第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置によれば、誤差拡散法に従って、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像を生成し、電子透かし画像の画素値の振幅と、表現可能な画素値の最大振幅値とに基づいて、混合度合いを設定し、各フレームの電子透かし画像について、電子透かし画像の画素値の振幅を伸長した伸長済み電子透かし画像を生成し、動画像の各フレームの画像に対して、各フレームの電子透かし画像について生成された伸長済み電子透かし画像を、設定された混合度合いを用いて重畳し、動画像の各フレームに対する、伸長済み電子透かし画像を重畳した画像を出力することにより高解像度の動画像に電子透かし情報を埋め込むことができる。
【0066】
また、人間の目で知覚されることなく電子透かし情報を埋め込み可能であり、かつ、ライブ映像などに対してリアルタイムに電子透かし情報を埋め込む方法を提供できる。
【0067】
また、ビデオスイッチャーの機能であるミキサー機能によって、元映像と電子透かし情報映像をミックスさせることで、高解像度の映像に対してもリアルタイムに電子透かし情報を埋め込むことができる。
【0068】
また、αチャネルを介してミックスの割合を調整することで、伸長させた分は元の強さに戻り、誤差拡散情報をつぶさずに電子透かし情報を埋め込むことができる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0070】
例えば、第1の実施形態においては、映像信号の1チャネルあたりのビット深度を8ビットとする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ビット深度を他のビットとしてもよい。
【0071】
また、第1の実施形態において、同じID番号に対応する電子透かし画像の画素値は一定である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、同じID番号に対応する各電子透かし画像の画素値を時間的に変動させてもよい。
【0072】
また、第1の実施形態においては、αチャネルの情報を画素の各々に埋め込む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、αチャネルのデータを、動画像と切り離して別ファイルとして保持してもよい。但し、当該場合においては、動画像同士の同期手段が必要となる。
【0073】
また、第1の実施形態においては、電子透かし情報が重畳された動画像を、HDMI(登録商標)やSDI等の映像信号として出力する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、HDD等の電子媒体へ映像ファイルとして蓄積するようにしてもよい。
【0074】
また、第1の実施形態においては、電子透かし情報の埋め込み位置を動画像の各フレームに埋め込む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、動画像の特定のフレームに埋め込んでもよい。
【0075】
また、第1の実施形態においては、αチャネルの値を上記(2)式に従って、算出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、αチャネルの値を一定値にできる場合には、数値をマニュアルで入力してもよい。
【0076】
次に、第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置について説明する。
【0077】
第2の実施形態においては、マーカのみを埋め込む点が第1の実施形態と異なる。なお、第1の実施形態に係る動画像埋め込み装置と同様の構成及び作用については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
<第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置の構成>
次に、本発明の第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置の構成について説明する。
図5に示すように、本発明の第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置200は、CPUと、RAMと、後述する動画像埋め込み処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この動画像埋め込み装置100は、機能的には
図5に示すように画像入力部10と、演算部220と、埋め込み済み画像出力部290とを含んで構成されている。なお、第2の実施形態においては、映像信号の1チャネルあたりのビット深度を8ビットとする。
【0079】
第2の実施形態では、例えば、画像認識の前処理としてマーカを利用する場合等における、マーカのみが必要で、電子透かし情報が必要でない場合について説明する。
【0080】
演算部220は、記憶部222と、マーカ生成部224と、マーカ重畳部226とを含んで構成されている。
【0081】
記憶部222には、予め定められたマーカの振幅n
mが記憶されている。
【0082】
マーカ生成部224は、画像入力部10において受け付けた動画像のサイズと、記憶部222に記憶されているマーカの振幅n
mとに基づいて、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像について、誤差拡散法に従って、マーカを表すマーカ画像の各々を生成する。
【0083】
具体的には、まず、マーカ生成部224は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像について、例えば、上記特許文献2のマーカ埋め込み方法等を用いて、フラットなグレー画像(当該画像の画素値が何れも中間値の128になっている画像)に対し、マーカを重畳することによりマーカを表すマーカ画像を生成する。ここで、本実施形態においては、上記特許文献3の誤差拡散方式でマーカを画像に埋め込む。
【0084】
また、マーカ生成部224は、生成したマーカ画像の各々の各画素のαチャネルへマーカ強度に関する情報を入力する。具体的には、マーカ生成部224は、混合度合いα
mを下記(3)式により算出し、マーカ画像の各々の各画素のαチャネルを全て下記(3)式で算出された混合度合いα
mの値に置き換える。なお、画像入力部10において受け付けた動画像のビット深度に従って、混合度合いα
mの正規化を行う必要がある。例えば、ビット深度が8bitの場合、下位(3)式で算出された値を256倍した値をαチャネルの値として用いる。
【0086】
ここで、n
mは、マーカの振幅であり、N
mは、マーカ画像が表現可能な最大振幅値(例えば、ビット深度が8bitの場合、N
m=256/2=128となる)を表す。
【0087】
また、マーカ生成部224は、生成したマーカ画像の各々の画素について、当該画素の画素値の振幅の範囲を±n
mから±N
mまで伸長する。具体的には、
図1左、及び
図1中央に示すように、画素の各々について、当該画素の画素値の範囲±n
mを表現できる範囲である±N
mまで伸長する。そして、マーカ生成部224は、αチャネルの値が置き換えられた伸長済みのマーカ画像の各々を、マーカ重畳部226へ出力する。
【0088】
マーカ重畳部226は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレームの画像に対して、マーカ生成部224から取得した各フレームの画像に対応する伸長済みのマーカ画像を、当該伸長済み画像に設定されているαチャネルを用いて重畳し、埋め込み済み画像出力部290に出力する。具体的には、マーカ重畳部226は、動画像のフレーム画像とマーカ画像とを重畳するために、ビデオスイッチャーが持つ諸機能のうち、上記(1)式で2つの画像をミックスさせる機能(フェーダ機能、若しくは、キーヤ機能等)を利用する。なお、上記(1)式のcの値は、マーカ画像に埋め込まれているαチャネルの値を用いる。このように、動画像の各フレームの画像に、対応するマーカ画像を重畳させることにより、画像入力部10において受け付けた動画像に対し、マーカを重畳させることができる。
【0089】
埋め込み済み画像出力部290は、マーカ重畳部226により取得したマーカが重畳されている動画像の各フレーム画像を、入力された順番となるように合成し、マーカが重畳された動画像を、HDMI(登録商標)やSDI等の映像信号として出力する。
【0090】
<第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置の作用>
次に、第2の実施形態に係るマーカ埋め込み装置200の作用について説明する。画像入力部10において、動画像について、時系列に連続する各フレーム画像を一枚ずつ受け付けると、動画像埋め込み装置200によって、
図6に示す動画像埋め込み処理ルーチンが実行される。
【0091】
まず、ステップS200で、マーカ生成部224は、記憶部222から、予め定められている振幅n
mを読み込む。
【0092】
次に、ステップS202で、マーカ生成部224は、画像入力部10において受け付けた各フレームの画像のうち、処理対象となるフレーム画像を決定する。
【0093】
次に、ステップS204で、マーカ生成部224は、処理対象となるフレーム画像に対応するマーカ画像を、ステップS200において取得した振幅n
mに基づいて、誤差拡散法に従って、マーカ画像を生成する。
【0094】
次に、ステップS206で、マーカ生成部224は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像のビット深度から算出される最大振幅値N
mと、ステップS200において取得した振幅n
mとに基づいて、上記(3)式に従って、混合度合いα
mの値を算出する。
【0095】
次に、ステップS208で、マーカ生成部224は、ステップS204において取得した、処理対象となるフレーム画像に対応するマーカ画像の各画素のαチャネルの値を、ステップS206で取得した混合度合いα
mの値に置き換える。
【0096】
次に、ステップS210で、マーカ生成部224は、ステップS204において取得した、処理対象となるフレーム画像に対応するマーカ画像の各画素値を画素の振幅の範囲±n
mから、ステップS206において取得した最大振幅値の範囲±N
mの範囲に伸長する。
【0097】
次に、ステップS216で、マーカ重畳部226は、処理対象となるフレーム画像と、ステップS210において取得した処理対象となるフレーム画像に対応する伸長済みのマーカ画像とを、ステップS208において取得したαチャネルの値に基づいて、上記(1)式に従って、重畳する。
【0098】
次に、ステップS218で、マーカ重畳部226は、全てのフレーム画像について、ステップS204〜ステップS216の処理を終了したか否かを判定する。マーカ重畳部226が、全てのフレーム画像について、ステップS204〜ステップS216の処理を終了したと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS220へ移行する。一方、マーカ重畳部226が、全てのフレーム画像について、ステップS204〜ステップS216の処理を終了していないと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS202へ移行し、処理対象となるフレーム画像を決定し、ステップS204〜ステップS218までの処理を繰り返す。
【0099】
次に、ステップS220で、埋め込み済み画像出力部290は、ステップS216において取得した、マーカが重畳された各フレーム画像を、画像入力部10において受け付けた順番に結合し、動画像として出力して、動画像埋め込み処理ルーチンを終了する。
【0100】
以上説明したように、第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置によれば、誤差拡散法に従って、各フレームのマーカを表すマーカ画像を生成し、マーカ画像の画素値の振幅と、表現可能な画素値の最大振幅値とに基づいて、混合度合いを設定し、各フレームのマーカ画像について、マーカ画像の画素値の振幅を伸長した伸長済みマーカ画像を生成し、動画像の各フレームの画像に対して、各フレームのマーカ画像について生成された伸長済みマーカ画像を、設定された混合度合いを用いて重畳し、動画像の各フレームに対する、伸長済みマーカ画像を重畳した画像を出力することにより高解像度の動画像に不可視マーカを埋め込むことができる。
【0101】
また、ビデオスイッチャーの機能であるミキサー機能によって、動画像とマーカ画像とをミックスさせることで、高解像度の映像に対してもリアルタイムにマーカを埋め込むことができる。
【0102】
また、αチャネルを介してミックスの割合を調整することで、伸長させた分は元の強さに戻り、誤差拡散情報をつぶさずにマーカを埋め込むことができる。
【0103】
また、人間の目で知覚されることなくマーカを埋め込み可能であり、かつ、ライブ映像などに対してリアルタイムにマーカを埋め込むことができる。
【0104】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0105】
例えば、第2の実施形態において、マーカ画像の各々の画素値は一定である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各マーカ画像の画素値を時間的に変動させてもよい。
【0106】
また、第2の実施形態においては、マーカが重畳された動画像を、HDMI(登録商標)やSDI等の映像信号として出力する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、HDD等の電子媒体へ映像ファイルとして蓄積するようにしてもよい。
【0107】
また、第2の実施形態においては、マーカの埋め込み位置を動画像の各フレームに埋め込む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、動画像の特定のフレームに埋め込んでもよい。
【0108】
また、第2の実施形態においては、αチャネルの値を上記(3)式に従って、算出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、αチャネルの値を一定値にできる場合には、数値をマニュアルで入力してもよい。
【0109】
次に、第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置について説明する。
【0110】
第3の実施形態においては、電子透かし情報、及びマーカを埋め込む点が第1及び第2の実施形態と異なる。なお、第1及び第2の実施形態に係る動画像埋め込み装置と同様の構成及び作用については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
<第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置の構成>
次に、本発明の第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置の構成について説明する。
図7に示すように、本発明の第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置300は、CPUと、RAMと、後述する動画像埋め込み処理ルーチンを実行するためのプログラムや各種データを記憶したROMと、を含むコンピュータで構成することが出来る。この動画像埋め込み装置300は、機能的には
図7に示すように画像入力部10と、演算部320と、埋め込み済み画像出力部390とを含んで構成されている。なお、第3の実施形態においては、映像信号の1チャネルあたりのビット深度を8ビットとする。
【0112】
第3の実施形態では、動画像埋め込み装置300が電子透かし情報及びマーカの双方を動画像に埋め込む場合について説明する。
【0113】
演算部320は、記憶部322と、電子透かし生成部323と、マーカ生成部324と、電子透かしマーカ合算部325と、電子透かしマーカ重畳部326とを含んで構成されている。
【0114】
記憶部322は、予め定められた電子透かし情報の振幅n
w及びマーカの振幅n
mと、映像に対応するID番号と、予め定められたパラメータbとが記憶されている。
【0115】
電子透かし生成部323は、画像入力部10において受け付けた動画像のサイズと、記憶部322に記憶されている電子透かし情報の振幅n
w及びID番号とに基づいて、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像について、誤差拡散法に従って、埋め込むID番号に対応する電子透かし情報を表す電子透かし画像の各々を生成する。
【0116】
マーカ生成部324は、画像入力部10において受け付けた動画像のサイズと、記憶部322に記憶されているマーカの振幅n
mとに基づいて、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレーム画像について、誤差拡散法に従って、マーカを表すマーカ画像の各々を生成する。
【0117】
電子透かしマーカ合算部325は、記憶部322に記憶されているパラメータbに基づいて、電子透かし生成部323において取得した電子透かし画像の各々と、当該電子画像に対応する、マーカ生成部324において取得したマーカ画像の各々とを合成した合成画像の各々を生成する。
【0118】
具体的には、まず、電子透かしマーカ合算部325は、記憶部322に記憶されている電子透かし情報の振幅n
wと、マーカの振幅n
mとに基づいて、下記(4)式、及び(5)式に従って、合成画像の振幅の範囲を算出する。
【0121】
次に、電子透かしマーカ合算部325は、電子透かし画像の各々について、処理対象となる電子透かし画像の画素毎に、当該画素の画素値と、対応するマーカ画像の画素の画素値との和を算出して、合成画像を生成する。次に、電子透かしマーカ合算部325は、算出された和が、上記(4)式で算出した値を超えている場合には、合成画像の対象となる画素の画素値を上記(4)式で算出したn
gの値に置き換える。一方、電子透かしマーカ合算部325は、算出された和が、上記(5)式で算出した値より下回っている場合には、合成画像の対象となる画素の画素値を上記(5)式で算出した−n
gに置き換える。すなわち、±n
gの値でサチュレーションさせる。上記のサチュレーションの処理を行うことにより、
図2右に示すように、合成画像の画素値の振幅の範囲が、±n
gの範囲内に収まることになる。
【0122】
次に、電子透かしマーカ合算部325は、サチュレーションされた合成画像の各々について、振幅を±n
gから±N
gまで伸長する。ここで、N
gは、合成画像が表現可能な最大振幅値を表す。
【0123】
また、電子透かしマーカ合算部325は、伸長済みの合成画像の各画素のαチャネルを、下記(6)式で算出される混合度合いα
gの値に置き換え、αチャネルが置き換えられた伸長済みの合成画像の各々を、電子透かしマーカ重畳部326へ出力する。なお、下記(6)式で算出された混合度合いα
gは正規化されているものとして以後説明する。
【0125】
電子透かしマーカ重畳部326は、画像入力部10において受け付けた動画像の各フレームの画像に対して、電子透かしマーカ合算部325から取得した各フレームの画像に対応する伸長済みの合成画像を、当該伸長済み合成画像に設定されているαチャネルを用いて重畳し、埋め込み済み画像出力部390に出力する。具体的には、電子透かしマーカ重畳部326は、動画像のフレーム画像と合成画像とを重畳するために、ビデオスイッチャーが持つ諸機能のうち、上記(1)式で2つの画像をミックスさせる機能(フェーダ機能、若しくは、キーヤ機能等)を利用する。なお、上記(1)式のcの値は、合成画像に埋め込まれているαチャネルの値(混合度合いα
g)を用いる。このように、動画像の各フレームの画像に、対応する合成画像を重畳させることにより、画像入力部10において受け付けた動画像に対し、電子透かし情報、及びマーカを重畳させることができる。
【0126】
埋め込み済み画像出力部390は、電子透かしマーカ重畳部326により取得した電子透かし情報及びマーカが重畳されている動画像の各フレーム画像を、入力された順番となるように合成し、電子透かし情報及びマーカが重畳された動画像を、HDMI(登録商標)やSDI等の映像信号として出力する。
【0127】
<第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置の作用>
次に、第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置300の作用について説明する。画像入力部10において、動画像について、時系列に連続する各フレーム画像を一枚ずつ受け付けると、動画像埋め込み装置300によって、
図8、及び
図9に示す動画像埋め込み処理ルーチンが実行される。
【0128】
まず、
図8のステップS300で、電子透かし生成部323は、記憶部322から予め定められた電子透かし情報の振幅n
w及びマーカの振幅n
mと、映像に対応するID番号と、予め定められたパラメータbとを読み込む。
【0129】
次に、ステップS302で、画像入力部10において受け付けた各フレームから処理対象となるフレームを決定する。
【0130】
次に、ステップS306で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS300において取得したn
m、n
w、パラメータbとに基づいて、上記(4)式に従って、n
gを算出する。
【0131】
次に、ステップS308で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS300において取得したn
m、n
w、パラメータbとに基づいて、上記(5)式に従って、−n
gを算出する。
【0132】
次に、ステップS312で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS104において取得した電子透かし画像の処理対象となる画素を決定する。
【0133】
次に、ステップS314で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS104において取得した電子透かし画像の画素の画素値と、当該電子透かし画像の画素に対応する、ステップS204において取得したマーカ画像の画素の画素値との和を算出して、合成画像の当該画素の画素値とし、
図9のステップS316へ移行する。
【0134】
次に、ステップS316で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS314において取得した画素値の和の値が、ステップS306及びステップS308において取得した±n
gの範囲内にあるか否か判定する。電子透かしマーカ合算部325は、画素値の和の値が、±n
gの範囲内にあると判定した場合には、当該画素値を合成画像の画素値として決定し、動画像埋め込み処理は、ステップS320へ移行する。一方、電子透かしマーカ合算部325が、画素値の和の値が、±n
gの範囲内にないと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS318へ移行する。
【0135】
ステップS318で、電子透かしマーカ合算部325は、処理対象の画素の画素値について、ステップS306、及びステップS308において取得した±n
gの値と、ステップS314において取得した画素値の和の値とに基づいて、サチュレーション処理を行い、当該サチュレーション処理が行われた値を、合成画像の画素値として置き換え、動画像埋め込み処理は、ステップS320へ移行する。
【0136】
次に、ステップS320で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS104において取得した電子透かし画像の全ての画素について、ステップS312〜ステップS316又はステップS318までの処理を終了したか否かを判定する。電子透かしマーカ合算部325が、ステップS104において取得した電子透かし画像の全ての画素について、ステップS312〜ステップS316又はステップS318までの処理を終了したと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS322へ移行する。一方、電子透かしマーカ合算部325が、ステップS104において取得した電子透かし画像の全ての画素について、ステップS312〜ステップS316又はステップS318までの処理を終了していないと判定した場合には、
図8のステップS312へ移行し、処理対象となる画素を変更し、ステップS314〜ステップS320までの処理を繰り返す。
【0137】
次に、ステップS322で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS316、及びステップS318の少なくとも一方において取得した合成画像の画素の画素値の各々を、ステップS104において取得した電子透かし画像及びステップS204において取得したマーカ画像のうち、表現可能な最大振幅値の大きい値を最大振幅値N
gとして、最大振幅値N
gまで、伸長させる。
【0138】
次に、ステップS326で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS306において取得したn
gと、ステップS322において取得した最大振幅値のN
gとに基づいて、上記(6)式に従って、混合度合いα
gの値を算出する。
【0139】
次に、ステップS328で、電子透かしマーカ合算部325は、ステップS322において取得した伸長済みの合成画像の各々の画素のαチャネルの値を、ステップS326において取得した混合度合いα
gの値に置き換える。
【0140】
次に、ステップS332で、電子透かしマーカ重畳部326は、処理対象となるフレーム画像に、ステップS322において取得した、当該フレーム画像に対応する伸長済みの合成画像とを、ステップS328において取得したαチャネルの値に基づいて、上記(1)式に従って、重畳する。
【0141】
次に、ステップS334で、電子透かしマーカ重畳部326は、全てのフレーム画像について、ステップS104〜ステップS332までの処理を終了したか否かを判定する。電子透かしマーカ重畳部326が、全てのフレーム画像について、ステップS104〜ステップS332までの処理を終了したと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、ステップS336へ移行する。一方、電子透かしマーカ重畳部326が、全てのフレーム画像について、ステップS104〜ステップS332までの処理を終了していないと判定した場合には、動画像埋め込み処理は、
図8のステップS302へ移行し、処理対象となるフレーム画像を決定し、ステップS104〜ステップS334までの処理を繰り返す。
【0142】
次に、ステップS336で、埋め込み済み画像出力部390は、ステップS332において取得した、電子透かし情報、及びマーカが重畳された各フレーム画像を、画像入力部10において受け付けた順番に結合し、動画像として出力して、動画像埋め込み処理ルーチンを終了する。
【0143】
以上説明したように、第3の実施形態に係る動画像埋め込み装置によれば、各フレームの電子透かし情報を表す電子透かし画像を生成し、各フレームのマーカを表すマーカ画像を生成し、各フレームの画像に対して、合成画像を生成し、生成された合成画像について、画素値の振幅を伸長した伸長済み合成画像を生成し、混合度合いを設定し、動画像の各フレームの画像に対して、各フレームの画像について生成された伸長済み合成画像を、設定された混合度合いを用いて重畳し、動画像の各フレームに対する、伸長済み合成画像を重畳した画像を出力することにより高解像度の動画像に電子透かし情報及び不可視マーカを埋め込むことができる。
【0144】
また、ビデオスイッチャーの機能であるミキサー機能によって、動画像と電子透かし画像及びマーカ画像とをミックスさせることで、高解像度の映像に対してもリアルタイムにマーカを埋め込むことができる。
【0145】
また、αチャネルを介してミックスの割合を調整することで、伸長させた分は元の強さに戻り、誤差拡散情報をつぶさずに電子透かし情報、及びマーカを埋め込むことができる。
【0146】
また、人間の目で知覚されることなく電子透かし情報、及びマーカを埋め込み可能であり、かつ、ライブ映像などに対してリアルタイムに電子透かし情報、及びマーカを埋め込むことができる。
【0147】
また、電子透かし情報とマーカを合算する際に、両者の振幅の大きい方×定数b(ここで、b≧1とする)を合算後の最大振幅として定義し、その最大振幅を超える値が生じた場合は最大振幅でサチュレーションさせることで、電子透かし情報が検出できることと、コントラスト減少を抑えることが両立できる。
【0148】
また、4K/8Kのような高解像度のライブ映像に対し、ビデオスイッチャー等の映像関連機器を利用してリアルタイムに電子透かし情報や不可視マーカを埋め込むことができる
【0149】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0150】
例えば、第3の実施形態において、電子透かし画像、及びマーカ画像の各々の画素値は一定である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各電子透かし画像、及び各マーカ画像の画素値を時間的に変動させてもよい
【0151】
また、第3の実施形態においては、電子透かし情報、及びマーカが重畳された動画像を、HDMI(登録商標)やSDI等の映像信号として出力する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、HDD等の電子媒体へ映像ファイルとして蓄積するようにしてもよい。
【0152】
また、第3の実施形態においては、電子透かし情報、及びマーカの埋め込み位置を動画像の各フレームに埋め込む場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、動画像の特定のフレームに埋め込んでもよい。
【0153】
また、第3の実施形態においては、αチャネルの値を上記(6)式に従って、算出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、αチャネルの値を一定値にできる場合には、数値をマニュアルで入力してもよい。
【0154】
また、第3の実施形態においては、電子透かし画像の生成において、当該電子透かし画像の最大振幅値N
wを用いて電子透かし画像を伸長させず、かつ、αチャネルの置き換えを行わない場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施形態と同様に、電子透かし画像の生成において、当該電子透かし画像の最大振幅値Nwを用いて電子透かし画像を伸長させ、当該電子透かし画像の画素の各々のαチャネルを算出した、混合度合いα
wで置き換えてもよい。この場合、マーカ画像との合成の際には、
図1中央、及び右に示すように、当該電子透かし画像の各画素の振幅に混合度合いα
wをかけて電子透かし画像の画素の各々の画素値を、元の振幅の大きさに戻す必要がある。
【0155】
また、第3の実施形態においては、マーカ画像の生成において、当該マーカ画像の最大振幅値N
mを用いてマーカ画像を伸長させず、かつ、αチャネルの置き換えを行わない場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2の実施形態と同様に、マーカ画像の生成において、当該マーカ画像の最大振幅値N
mを用いてマーカ画像を伸長させ、当該マーカ画像の画素の各々のαチャネルを算出した、混合度合いα
mで置き換えてもよい。この場合、電子透かし画像との合成の際には、
図1中央、及び右に示すように、当該マーカ画像の各画素の振幅に混合度合いα
mをかけてマーカ画像の画素の各々の画素値を、元の振幅の大きさに戻す必要がある。
【0156】
また、第1〜第3の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のCPU(MPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、実現できる。その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した第1〜第3の実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体、例えばCD−ROM、DVD−ROM、CD−R、CD−RW、MO、HDD等は上述した本発明を構成する。