特許第6232448号(P6232448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232448
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】電子銃装置及び真空蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/30 20060101AFI20171106BHJP
   H01J 37/06 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C23C14/30 B
   H01J37/06 Z
【請求項の数】9
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-553358(P2015-553358)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(86)【国際出願番号】JP2014006086
(87)【国際公開番号】WO2015092998
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-264142(P2013-264142)
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】後田 以誠
(72)【発明者】
【氏名】矢島 太郎
(72)【発明者】
【氏名】増井 透
【審査官】 吉野 涼
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−096215(JP,A)
【文献】 特開2005−194552(JP,A)
【文献】 特開平11−233059(JP,A)
【文献】 特開2003−014899(JP,A)
【文献】 特開2005−026112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00〜14/58
H01J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子ビームを発生することが可能な第1のフィラメントと、
第2の電子ビームを発生することが可能な第2のフィラメントと、
前記第1のフィラメント及び前記第2のフィラメントのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する加熱電流供給部と、前記加熱電流にバイアス電圧を印加するバイアス供給部とを有する電源ユニットと、
前記加熱電流に前記バイアス電圧が印加された駆動電流を前記第1のフィラメントに供給する第1の状態と、前記駆動電流を前記第2のフィラメントに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成された切替ユニットと、
前記第1の状態と前記第2の状態との切り替えを制御する制御部と
を具備し、
前記加熱電流供給部は、
加熱電流用電源と、
前記第1のフィラメントに接続された第1の加熱電流回路とを有し、
前記切替ユニットは、
前記第2のフィラメントに接続された第2の加熱電流回路と、
前記第1の状態で前記加熱電流用電源と第1の加熱電流回路とを接続し、前記第2の状態で前記加熱電流用電源と第2の加熱電流回路とを接続する加熱電流切替部と、
前記第1の状態で前記バイアス供給部と前記第1の加熱電流回路とを接続し、前記第2の状態で前記バイアス供給部と前記第2の加熱電流回路とを接続するバイアス切替部と、を有する
電子銃装置。
【請求項2】
請求項に記載の電子銃装置であって、
前記第1の加熱電流回路は、
前記加熱電流の電圧値を変換することが可能な第1の変圧部を含み、
前記第2の加熱電流回路は、
前記加熱電流の電圧値を変換することが可能な第2の変圧部を含む
電子銃装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子銃装置であって、
前記制御部は、
前記第1の加熱電流回路及び前記第2の加熱電流回路のうちのいずれか一方に前記駆動電流が供給されているか否か判定し、
いずれにも前記駆動電流が供給されていない場合に、前記加熱電流用電源に対し前記加熱電流の供給を停止させる
電子銃装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子銃装置であって、
前記制御部は、
前記バイアス供給部により前記加熱電流に前記バイアス電圧が印加されているか否かを判定し、前記バイアス電圧が印加されていない場合に、前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える
電子銃装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子銃装置であって、
前記第1の電子ビームを偏向させることが可能な第1の偏向器と、
前記第2の電子ビームを偏向させることが可能な第2の偏向器と
をさらに具備し、
前記電源ユニットは、
前記第1の偏向器及び前記第2の偏向器のうちのいずれか一方に電流を供給する偏向電流供給部をさらに有し、
前記切替ユニットは、
前記第1の状態で前記偏向電流供給部と第1の偏向器とを接続し、前記第2の状態で前記偏向電流供給部と第2の偏向器とを接続する偏向電流切替部を有する
電子銃装置。
【請求項6】
請求項に記載の電子銃装置であって、
前記制御部は、
前記偏向電流供給部により前記第1の偏向器及び前記第2の偏向器のうちのいずれか一方に電流が供給されているか否かを判定し、
いずれにも前記電流が供給されていない場合に、前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替える
電子銃装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子銃装置であって、
前記電源ユニットと前記切替ユニットとを着脱自在に接続する接続部をさらに具備する
電子銃装置。
【請求項8】
第1の電子ビームを発生することが可能な第1のフィラメントを有する第1の加熱電流回路と、
第2の電子ビームを発生することが可能な第2のフィラメントを有する第2の加熱電流回路と、
前記第1の加熱電流回路及び前記第2の加熱電流回路のうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する加熱電流供給部と、
前記第1の加熱電流回路及び前記第2の加熱電流加熱回路の双方に接続され、前記加熱電流にバイアス電圧を印加するバイアス電圧供給部と、
前記加熱電流に前記バイアス電圧が印加された駆動電流を前記第1の加熱電流回路に供給する第1の状態と、前記駆動電流を前記第2の加熱電流回路に供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成された加熱電流切替部と、
前記第1の電子ビームを偏向させることが可能な第1の偏向器と、
前記第2の電子ビームを偏向させることが可能な第2の偏向器と、
前記第1の偏向器及び前記第2の偏向器のうちのいずれか一方に電流を供給する偏向電流供給部と、
前記第1の状態で前記偏向電流供給部と前記第1の偏向器とを接続し、前記第2の状態で前記偏向電流供給部と前記第2の偏向器とを接続する偏向電流切替部と
前記第1の状態と前記第2の状態との切り替えを制御する制御部と
を具備する電子銃装置。
【請求項9】
真空に維持されることが可能なチャンバと、
前記チャンバに配置され、基板を支持する支持部と、
前記支持部に対向して前記チャンバに配置され、グランド電位に維持されて第1の蒸発材料を保持する第1の蒸発材料保持部と、
前記支持部に対向して前記チャンバに配置され、グランド電位に維持されて第2の蒸発材料を保持する第2の蒸発材料保持部と、
電子銃装置と
を具備し、
前記電子銃装置は、
前記第1の蒸発材料に対して第1の電子ビームを出射することが可能な第1のフィラメントと、
前記第2の蒸発材料に対して第2の電子ビームを出射することが可能な第2のフィラメントと、
前記第1のフィラメント及び前記第2のフィラメントのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する加熱電流供給部と、前記加熱電流にバイアス電圧を印加するバイアス供給部とを有する電源ユニットと、
前記加熱電流に前記バイアス電圧が印加された駆動電流を前記第1のフィラメントに供給する第1の状態と、前記駆動電流を前記第2のフィラメントに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成された切替ユニットと、
前記第1の状態と前記第2の状態との切り替えを制御する制御部とを有するし、
前記加熱電流供給部は、
加熱電流用電源と、
前記第1のフィラメントに接続された第1の加熱電流回路とを有し、
前記切替ユニットは、
前記第2のフィラメントに接続された第2の加熱電流回路と、
前記第1の状態で前記加熱電流用電源と第1の加熱電流回路とを接続し、前記第2の状態で前記加熱電流用電源と第2の加熱電流回路とを接続する加熱電流切替部と、
前記第1の状態で前記バイアス供給部と前記第1の加熱電流回路とを接続し、前記第2の状態で前記バイアス供給部と前記第2の加熱電流回路とを接続するバイアス切替部と、を有する
真空蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空蒸着法等に用いられる電子銃装置及び真空蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子銃装置は、フィラメントを加熱することで電子ビームを発生させる装置である。電子銃装置は、例えば、真空蒸着法における加熱蒸発源に用いられ、蒸着装置内に配置された蒸発材料に電子ビームを照射して加熱し、当該蒸発材料を蒸発することが可能に構成される(例えば、特許文献1乃至3参照)。このような電子銃装置は、典型的には、フィラメントを加熱するための加熱電流用電源、電子ビームの軌道を制御するためのコイル、及び当該コイル用の電源等を備えている。また、特許文献4に示すように、例えば2台の電子銃装置を用いて蒸着を行う方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−112894号公報
【特許文献2】特開2002−97566号公報
【特許文献3】特開平1−149955号公報
【特許文献4】特開2004−55180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2つの電子銃装置を用いて交互に蒸発材料を加熱する場合は、一方の電子銃装置を使用している際、他方の電子銃装置を停止させることとなる。或いは2つの電子銃装置のうち、一方の電子銃のみしか使用しない場合も同様である。これらの場合、当該他方の電子銃装置の加熱電流用電源やコイル用の電源等の設備が過剰となり、設備コストを上昇させる可能性があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、複数の電子ビームを発生させることが可能であり、かつ設備を簡素化することが可能な電子銃装置及び真空蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子銃装置は、第1のフィラメントと、第2のフィラメントと、電源ユニットと、切替ユニットと、制御部とを具備する。
上記第1のフィラメントは、第1の電子ビームを発生することが可能である。
上記第2のフィラメントは、第2の電子ビームを発生することが可能である。
上記電源ユニットは、上記第1のフィラメント及び上記第2のフィラメントのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する加熱電流供給部と、上記加熱電流にバイアス電圧を印加するバイアス供給部とを有する。
上記切替ユニットは、上記加熱電流に上記バイアス電圧が印加された駆動電流を上記第1のフィラメントに供給する第1の状態と、上記駆動電流を上記第2のフィラメントに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。
上記制御部は、上記第1の状態と上記第2の状態との切り替えを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電子銃装置を備えた真空蒸着装置を示す概略図である。
図2】上記電子銃装置の回路図である。
図3】上記電子銃装置の制御部の一動作例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態の比較例に係る電子銃装置の回路図である。
図5】本発明の第1の実施形態の参考例に係る真空蒸着装置の概略図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る電子銃装置の回路図である。
図7】上記電子銃装置の接続部の構成と接続関係を示す要部回路図である。
図8】本発明の第2の実施形態の参考例に係る電子銃装置の回路図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る電子銃装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態に係る電子銃装置は、第1のフィラメントと、第2のフィラメントと、電源ユニットと、切替ユニットと、制御部とを具備する。
上記第1のフィラメントは、第1の電子ビームを発生することが可能である。
上記第2のフィラメントは、第2の電子ビームを発生することが可能である。
上記電源ユニットは、上記第1のフィラメント及び上記第2のフィラメントのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する加熱電流供給部と、上記加熱電流にバイアス電圧を印加するバイアス供給部とを有する。
上記切替ユニットは、上記加熱電流に上記バイアス電圧が印加された駆動電流を上記第1のフィラメントに供給する第1の状態と、上記駆動電流を上記第2のフィラメントに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。
上記制御部は、上記第1の状態と上記第2の状態との切り替えを制御する。
【0009】
上記電子銃装置によれば、切替ユニットにより、加熱電流供給部から、第1のフィラメント及び第2のフィラメントのいずれか一方へ加熱電流を選択的に供給することができる。これにより、1つの加熱電流供給部により第1の電子ビーム及び第2の電子ビームのいずれか一方を発生することが可能となり、無駄な構成を省き、設備を簡素化することができる。
【0010】
また、上記加熱電流供給部は、
加熱電流用電源と、
上記第1のフィラメントに接続された第1の加熱電流回路を有し、
上記切替ユニットは、
上記第2のフィラメントに接続された第2の加熱電流回路と、
上記第1の状態で上記加熱電流用電源と第1の加熱電流回路とを接続し、上記第2の状態で上記加熱電流用電源と第2の加熱電流回路とを接続する加熱電流切替部とを有していてもよい。
【0011】
上記加熱電流切替部により、加熱電流用電源からの加熱電流を第1の加熱電流回路及び第2の加熱電流回路のいずれか一方に選択的に供給することができる。
【0012】
さらに、上記切替ユニットは、
上記第1の状態で上記バイアス供給部と上記第1の加熱電流回路とを接続し、上記第2の状態で上記バイアス供給部と上記第2の加熱電流回路とを接続するバイアス切替部をさらに有してもよい。
【0013】
上記バイアス切替部がバイアス供給部と第1及び第2の加熱電流回路を接続可能であることから、高電圧となるバイアス電圧が印加される前に、加熱電流切替部により加熱電流の経路を切り替えることが可能となる。
【0014】
さらに、加熱電流切替部が、高電圧となるバイアス電圧からは絶縁された加熱用電源側で加熱電流を切り替えることが可能となることから、加熱電流切替部を比較的簡素なリレーや電磁接触機等で構成することが可能となる。
【0015】
また、上記第1の加熱電流回路は、
上記加熱電流の電圧値を変換することが可能な第1の変圧部を含み、
上記第2の加熱電流回路は、
上記加熱電流の電圧値を変換することが可能な第2の変圧部を含んでもよい。
【0016】
第1の変圧部及び第2の変圧部により、加熱電流(駆動電流)の電圧値を適切な電圧値に変換することが可能となる。
【0017】
あるいは、上記バイアス供給部は、上記第1の加熱電流回路及び上記第2の加熱電流回路の双方に接続される。
【0018】
これにより、高電圧なバイアス電圧の切り替えを不要とし、電子銃装置をより安価に構成することができる。
【0019】
また、上記制御部は、
上記第1の加熱電流回路及び上記第2の加熱電流回路のうちのいずれか一方に上記駆動電流が供給されているか否か判定し、
いずれにも上記駆動電流が供給されていない場合に、上記加熱電流用電源に対し上記加熱電流の供給を停止させてもよい。
【0020】
上記制御部により、第1の加熱電流回路及び第2の加熱電流回路への駆動電流の供給を監視し、フィラメントの接触不良や加熱電源の故障、バイアス切替部の故障等の異常を検出することが可能となる。したがって、実際の駆動電流の供給を確認し、確実な切り替えを行うことが可能となり、切り替え異常による成膜の不具合を防止することが可能となる。
【0021】
上記制御部は、
上記バイアス供給部により上記加熱電流に上記バイアス電圧が印加されているか否かを判定し、上記バイアス電圧が印加されていない場合に、上記第1の状態と上記第2の状態とを切り替えてもよい。
【0022】
これにより、バイアス電圧が印加された状態で切り替えることを回避し、加熱電流切替部等の接点溶着等の不具合を防止することができる。
【0023】
あるいは、上記電子銃装置は、
上記第1の電子ビームを偏向させることが可能な第1の偏向器と、
上記第1の電子ビームを偏向させることが可能な第2の偏向器と
をさらに具備し、
上記電源ユニットは、
上記第1の偏向器及び上記第2の偏向器のうちのいずれか一方に電流を供給する偏向電流供給部をさらに有し、
上記切替ユニットは、
上記第1の状態で上記偏向電流供給部と第1の偏向器とを接続し、上記第2の状態で上記偏向電流供給部と第2の偏向器とを接続する偏向電流切替部を有してもよい。
【0024】
上記偏向電流切替部により、1つの偏向電流供給部からの電流の経路を切り替えることで、第1の電子ビーム及び第2の電子ビームのいずれか一方を偏向することが可能となる。したがって、より設備の簡素化を実現できる。
【0025】
この場合に、上記制御部は、
上記偏向用電源供給部により上記第1の偏向器及び上記第2の偏向器のうちのいずれか一方に電流が供給されているか否かを判定し、
いずれにも上記電流が供給されていない場合に、上記第1の状態と上記第2の状態とを切り替えてもよい。
【0026】
さらに、上記電子銃装置は、
上記電源ユニットと上記切替ユニットとを着脱自在に接続する接続部をさらに具備してもよい。
上記接続部により、切替ユニットを後づけで接続することが可能となり、保管時や輸送時に電源ユニットと切替ユニットとを別個に取り扱うことが可能となる。したがって、保管や輸送を容易にし、取り扱い性を高めることができる。
【0027】
本発明の他の実施形態に係る真空蒸着装置は、真空に維持されることが可能なチャンバと、支持部と、第1の蒸発材料保持部と、第2の蒸発材料保持部と、電子銃装置とを具備する。
上記支持部は、上記チャンバに配置され、基板を支持する。
上記第1の蒸発材料保持部は、上記チャンバに配置され、グランド電位に維持されて第1の蒸発材料を保持する。
上記第2の蒸発材料保持部は、上記チャンバに配置され、グランド電位に維持されて第2の蒸発材料を保持する。
上記電子銃装置は、第1のフィラメントと、第2のフィラメントと、電源ユニットと、切替ユニットと、制御部とを具備する。
上記第1のフィラメントは、上記第1の蒸発材料に対して第1の電子ビームを出射することが可能である。
上記第2のフィラメントは、上記第2の蒸発材料に対して第2の電子ビームを出射することが可能である。
上記電源ユニットは、上記第1のフィラメント及び上記第2のフィラメントのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する加熱電流供給部と、上記加熱電流にバイアス電圧を印加するバイアス供給部とを有する。
上記切替ユニットは、上記加熱電流に上記バイアス電圧が印加された駆動電流を上記第1のフィラメントに供給する第1の状態と、上記駆動電流を上記第2のフィラメントに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。
上記制御部は、上記第1の状態と上記第2の状態との切り替えを制御する。
【0028】
上記真空蒸着装置によれば、1つの加熱電流供給部により第1の電子ビーム及び第2の電子ビームを交互に発生することが可能となり、無駄な構成を省き、設備を簡素化することができる。さらに、1つのチャンバを備えることから、蒸着の準備を整え真空雰囲気に維持されたチャンバに第1の電子ビーム及び第2の電子ビームのいずれか一方を出射することができ、安全性の高い構成とすることができる。
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る真空蒸着装置を示す概略図である。真空蒸着装置1は、チャンバ2、第1の蒸発材料保持部3a、第2の蒸発材料保持部3b、支持部4、メインコントローラ5及び電子銃装置100を備える。真空蒸着装置1は、第1の蒸発材料保持部3a、第2の蒸発材料保持部3bに保持された第1の蒸発材料31a及び第2の蒸発材料31bを、電子銃装置100を用いて加熱することで、第1の蒸発材料31a及び第2の蒸発材料31bを真空中で蒸発させ、基板W上に成膜するものである。
【0031】
チャンバ2は、真空に維持されることが可能に構成された真空チャンバであり、チャンバ2には図示しない真空ポンプが接続されている。
【0032】
チャンバ2の上部には、複数の基板Wを支持する支持部4が取り付けられている。支持部4は、例えば、複数の基板Wを保持することが可能なドーム状冶具で構成されてもよく、この場合、図示しない駆動部により、回転されることが可能に構成されていてもよい。これにより、複数の基板Wに対し均一に成膜することが可能となる。なお、支持部4は、上記構成に限定されない。
【0033】
第1の蒸発材料保持部3a及び第2の蒸発材料保持部3bは、例えば支持部4に対向して、チャンバ2の下部に配置される。第1の蒸発材料保持部3aは、第1の蒸発材料31aを保持し、第2の蒸発材料保持部3bは、第2の蒸発材料31bを保持する。第1の蒸発材料保持部3a及び第2の蒸発材料保持部3b各々は、典型的には、蒸発材料を収容する坩堝として構成される。この場合に、真空蒸着装置1は、当該坩堝を装着することが可能なハースを有していてもよい。なお、第1の蒸発材料保持部3a及び第2の蒸発材料保持部3bは、固体の第1及び第2の蒸発材料31a,31bを保持することが可能なリング状ハースを有していてもよい。
第1の蒸発材料保持部3a及び第2の蒸発材料保持部3b各々は、グランド電位に維持される。これにより、後述する第1のフィラメント110a及び第2のフィラメント110bに対して正の電位を維持することができる。
【0034】
メインコントローラ5は、真空蒸着装置1全体の駆動を制御する。メインコントローラ5は、例えば、第1の電子ビームB1及び第2の電子ビームB2の出射の切り替えを制御する切替制御信号を生成する。当該切替制御信号は、後述する電子銃装置100の制御部150の処理に利用される。
【0035】
電子銃装置100は、チャンバ2内に第1の電子ビームB1及び第2の電子ビームB2のいずれか一方を選択的に出射する。電子銃装置100から出射された第1の電子ビームB1又は第2の第2の電子ビームB2は、各々の軌道が制御されることで第1の蒸発材料31a又は第2の蒸発材料31bに入射し、これらを加熱、蒸発させる。なお、図1においては、第1の電子ビームB1が第1の蒸発材料31aに入射している態様を示す。以下、電子銃装置100の詳細な構成について説明する。
【0036】
[電子銃装置]
電子銃装置100は、第1のフィラメント110a、第2のフィラメント110b、第1の偏向コイル120a、第2の偏向コイル120b、電源ユニット130、切替ユニット140、制御部150及び検出部160を有する。電子銃装置100は、本実施形態において、第1の電子ビームB1及び第2の第2の電子ビームB2を交互に出射することで、基板W上に、蒸発材料31aを含む膜と、蒸発材料31bを含む膜とを交互に積層させることが可能に構成される。あるいは、電子銃装置100は、第1の電子ビームB1及び第2の第2の電子ビームB2のいずれか一方のみを連続的に出射する構成であってもよい。
【0037】
第1のフィラメント110aは、第1の電子ビームB1を発生する。具体的には、第1のフィラメント110aは、後述する加熱電流にバイアス電圧が印加された駆動電流により加熱され、第1の電子ビームB1として熱電子を放出する。第1の電子ビームB1は、カソードとして機能する第1のフィラメント110aに離間して設けられたアノード(図示せず)によって電気的に引き出された熱電子として定義される。
第1の電子ビームB1の出射方法は特に限定されない。例えば、第1の電子ビームB1は、例えば、アノード中央に形成された孔等を介してチャンバ2内へ出射されてもよいし、第1のフィラメント110aに平行に設けられた上記アノードによって電気的に引き出され、第1のフィラメント110aと同電位であるウェネルト(図示せず)を介してチャンバ2内へ出射されてもよい。あるいは、第1のフィラメント110aから出射された熱電子を他のカソードに衝突させることで当該カソードから熱電子を放出させ、第1の電子ビームB1を発生させてもよい。また、このカソードとアノードとの間に、第1の電子ビームB1を集束させるためのウェネルト(図示せず)を設けてもよい。
第1のフィラメント110aは、本実施形態において、第1の蒸発材料31aに対して第1の電子ビームB1を出射する。
【0038】
第2のフィラメント110bは、第2の電子ビームB2を発生し、第1のフィラメント110aと同様に構成される。すなわち第2のフィラメント110bは、具体的には、通電されることにより加熱され、第2の電子ビームB2となる熱電子を放出する。第2の電子ビームB2も、カソードとして機能する第2のフィラメント110bに離間して設けられたアノード(図示せず)によって電気的に引き出された熱電子として定義される。
第2のフィラメント110bは、本実施形態において、第2の蒸発材料31bに対して第2の電子ビームB2を出射する。
【0039】
第1の偏向コイル120aは、本実施形態に係る第1の偏向器として機能し、第1の電子ビームB1を偏向させる。第1の偏向コイル120aは、自身に流れる電流が制御されることで第1の電子ビームB1の軌道を磁気的に制御することが可能に構成される。第1の偏向コイル120aにより、第1の電子ビームB1が所望の軌道で第1の蒸発材料31aに照射されることが可能となる。
【0040】
第2の偏向コイル120bは、本実施形態に係る第2の偏向器として機能し、第2の電子ビームB2を偏向させる。第2の偏向コイル120bは、第1の偏向コイル120aと同様に、自身に流れる電流が制御されることで第2の電子ビームB2の軌道を磁気的に制御することが可能に構成される。第2の偏向コイル120bにより、第2の電子ビームB2が所望の軌道で第2の蒸発材料31bに照射されることが可能となる。
【0041】
図2は、電源ユニット130及び切替ユニット140の回路図である。
【0042】
電源ユニット130は、第1のフィラメント110a及び第2のフィラメント110bのうちのいずれか一方に電子ビームB1,B2を発生させる駆動電流を供給する。電源ユニット130は、図2に示すように、加熱電流供給部131と、バイアス供給部132と、偏向用電源(偏向電流供給部)133とを有する。
【0043】
加熱電流供給部131は、第1のフィラメント110a及び第2のフィラメント110bのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給する。加熱電流供給部131は、図2に示すように、加熱電流用電源134と、サイリスタ135と、第1の加熱電流回路136とを有する。
【0044】
加熱電流用電源134は、交流電源で構成され、所定の周波数の電流を加熱電流として供給する。加熱電流用電源134は、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に対し、例えば、最大で50A程度の駆動電流を供給することが可能に構成される。サイリスタ135は、加熱電流用電源134から供給された加熱電流の導通及び非導通を制御し、駆動状態において加熱電流を導通させ、駆動しない状態において加熱電流を導通させないように構成される。
【0045】
第1の加熱電流回路136は、第1のフィラメント110aに接続される。第1の加熱電流回路136は、切替ユニット140により、後述するように加熱電流用電源134と接続されることが可能に構成される。第1の加熱電流回路136は、加熱電流の電圧値を変換することが可能な第1の変圧部137を含む。
【0046】
第1の変圧部137は、加熱電流用のトランスとして構成されることができ、例えば、それぞれ巻数の異なる一次コイルと二次コイルとを有してもよい。この場合、一次コイルは、サイリスタ135を介して加熱電流用電源134に接続されることが可能であり、二次コイルは、第1のフィラメント110aに接続される。第1の変圧部137により、加熱電流(駆動電流)を適切な電圧値に変換することが可能になる。さらに、高電圧のバイアス電圧が一次コイル側の加熱電流用電源134等に印加され、不具合が生じることを防止することができる。
【0047】
バイアス供給部132は、加熱電流にバイアス電圧を印加する。加熱電流にバイアス電圧が印加された電流は、駆動電流として、第1のフィラメント110a又は第2のフィラメント110bを駆動することが可能となる。また、バイアス供給部132は、切替ユニット140により、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144の一方に選択的に接続される。本実施形態において、バイアス供給部132は、バイアス電源138と、抵抗器139とを含む。
【0048】
バイアス電源138は、直流電源で構成され、正極側が抵抗素子139に接続され、負極側が加熱電流供給部131に接続される。抵抗器139は、一方がバイアス電源138の正極側に接続され、他方がグランド電位に維持されており、例えば3Ω程度の抵抗値を有するものとすることができる。バイアス電源138と抵抗器139とにより、加熱電流に、バイアスとして例えば10kV程度の負の高電圧を印加することが可能となる。
【0049】
偏向用電源133は、本実施形態に係る偏向電流供給部として機能し、第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bのうちのいずれか一方に電流を供給する。偏向用電源133は、直流電源に所定の周波数の交流電源を重畳したもので構成されてもよい。これにより定電流制御が可能となり、第1及び第2の偏向コイル120a,120bの温度が上昇した場合であっても、一定の偏向磁場を発生させることができる。偏向用電源133は、切替ユニット140を介して、第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bの一方に選択的に接続される。偏向用電源133は、第1及び第2の偏向コイル120a,120bに対し、例えば、最大で1.5A程度の電流を供給することが可能に構成される。
【0050】
切替ユニット140は、駆動電流を第1のフィラメント110aに供給する第1の状態と、駆動電流を第2のフィラメント110bに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。すなわち、切替ユニット140は、加熱電流の供給を第1のフィラメント110a及び第2のフィラメント110bとで選択的に切り替えることが可能に構成される。具体的に、第1の状態は、第1のフィラメント110aで第1の電子ビームB1が発生する状態であり、第2の状態は、第2のフィラメント110bで第2の電子ビームB2が発生する状態である。切替ユニット140は、本実施形態において、加熱電流切替部141と、バイアス切替部142と、偏向電流切替部143と、第2の加熱電流回路144とを有する。
【0051】
第2の加熱電流回路144は、第1の加熱電流回路136と同様に構成され、第2のフィラメント110bに接続される。第2の加熱電流回路144は、加熱電流切替部141により、電源ユニット130の加熱電流用電源134と接続されることが可能に構成される。第2の加熱電流回路144は、加熱電流の電圧値を変換することが可能な第2の変圧部145を含む。
【0052】
第2の変圧部145は、第1の変圧部137と同様に、加熱電流用のトランスとして構成されることができ、例えば、それぞれ巻数の異なる一次コイルと二次コイルとを有してもよい。この場合、一次コイルは、加熱電流用電源134に接続されることが可能であり、二次コイルは、第2のフィラメント110bに接続される。第2の変圧部145により、加熱電流(駆動電流)の電圧値を適切な電圧値に変換することが可能になる。さらに、高電圧のバイアス電圧が一次コイル側の加熱電流用電源134等に印加され、不具合が生じることを防止することができる。
【0053】
加熱電流切替部141、バイアス切替部142、及び偏向電流切替部143は、例えば、リレーや電磁接触器、半導体リレーであるSSR(Solid-State Relay)等で構成されることができる。
【0054】
加熱電流切替部141は、第1の状態で加熱電流用電源134と第1の加熱電流回路136とを接続し、第2の状態で加熱電流用電源134と第2の加熱電流回路144とを接続する。本実施形態において、加熱電流切替部141は、第1の接点141aと、第2の接点141bと、スイッチ部材141cとを含む。第1の接点141aは、第1の加熱電流回路136に接続される固定接点を含み、例えば第1の変圧部137の一次コイル側に接続される。第2の接点141bは、第2の加熱電流回路144に接続される固定接点を含み、例えば第2の変圧部145の一次コイル側に接続される。スイッチ部材141cは、加熱電流用電源134に接続され、可動接点を含む。
【0055】
スイッチ部材141cの可動接点は、第1の状態で、第1の接点141aと接続される。これにより、加熱電流用電源134から供給された加熱電流が、第1の加熱電流回路136に流れることとなる。一方、スイッチ部材141cの可動接点は、第2の状態で、第2の接点141bと接続される。これにより、加熱電流用電源134から供給された加熱電流が、第2の加熱電流回路144に流れることとなる。
【0056】
バイアス切替部142は、第1の状態でバイアス供給部132と第1の加熱電流回路136とを接続し、第2の状態でバイアス供給部132と第2の加熱電流回路144とを接続する。本実施形態において、バイアス切替部142は、第1の接点142aと、第2の接点142bと、スイッチ部材142cとを含む。第1の接点142aは、第1の加熱電流回路136に接続される固定接点を含み、例えば第1の変圧部137の二次コイル側に接続される。第2の接点142bは、第2の加熱電流回路144に接続される固定接点を含み、例えば第2の変圧部145の二次コイル側に接続される。スイッチ部材142cは、バイアス供給部132のバイアス電源138に接続され、可動接点を含む。
【0057】
スイッチ部材142cの可動接点は、第1の状態で、第1の接点142aと接続される。これにより、バイアス供給部132から供給されたバイアス電圧が、第1の加熱電流回路136に供給されることとなる。一方、スイッチ部材142cの可動接点は、第2の状態で、第2の接点142bと接続される。これにより、バイアス供給部132から供給されたバイアス電圧が、第2の加熱電流回路144に供給されることとなる。
【0058】
偏向電流切替部143は、第1の状態で偏向用電源133と第1の偏向コイル120aとを接続し、第2の状態で偏向用電源133と第2の偏向コイル120bとを接続する。本実施形態において、偏向電流切替部143は、第1の接点143aと、第2の接点143bと、スイッチ部材143cとを有する。第1の接点143aは、第1の偏向コイル120aに接続される固定接点を含む。第2の接点143bは、第2の偏向コイル120bに接続される固定接点を含む。スイッチ部材143cは、偏向用電源133に接続され、可動接点を含む。
【0059】
スイッチ部材143cの可動接点は、第1の状態で、第1の接点143aと接続される。これにより、偏向用電源133から供給された電流が、第1の偏向コイル120aに供給されることとなる。一方、スイッチ部材143cの可動接点は、第2の状態で、第2の接点143bと接続される。これにより、偏向用電源133から供給された電流が、第2の偏向コイル120bに供給されることとなる。
【0060】
なお、加熱電流切替部141、バイアス切替部142及び偏向電流切替部143が有する各要素(第1の接点、第2の接点及びスイッチ部材)の配置や、各要素に含まれる固定接点及び可動接点の数等は特に限定されず、回路構成に応じて適宜決定されればよい。例えば、各要素に含まれる固定接点及び可動接点がそれぞれ1つずつであってもよいし(図2のバイアス切替部142及び偏向電流切替部143参照)、これらがそれぞれ2つずつであってもよい(図2の加熱電流切替部141参照)。
【0061】
検出部160は、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に流れる駆動電流、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に印加されるバイアス電圧、並びに第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bに流れる電流を検出可能に構成される。すなわち検出部160は、第1の駆動電流検出部161aと、第2の駆動電流検出部161bと、バイアス電圧検出部162と、第1の偏向電流検出部163aと、第2の偏向電流検出部163bとを有する。
【0062】
第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bは、それぞれ第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に設けられる。第1の駆動電流検出部161aは、例えば加熱電流切替部141と第1の変圧部137との間に設けられ、第2の駆動電流検出部161bは、例えば加熱電流切替部141と第2の変圧部145との間に設けられる。第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bは、例えばカレントトランス(CT)等を用いることができる。
【0063】
バイアス電圧検出部162は、バイアス電圧を検出可能に構成される。バイアス電圧検出部162は、本実施形態において、バイアス切替部142と第1の加熱電流回路136との間、及びバイアス切替部142と第2の加熱電流回路144との間にそれぞれ設けられる。バイアス電圧検出部162は、例えば、分圧抵抗によって電圧を検出可能に構成され、具体的には、第1の抵抗器と、第1の抵抗器とグランド電位に接続された第2の抵抗器と、第1及び第2の抵抗器の間に接続された電圧検出器とを含んでもよい。
【0064】
第1の偏向電流検出部163aは、例えば偏向電流切替部143と第1の偏向コイル120aの間に設けられ、第2の偏向電流検出部163bは、偏向電流切替部143と第2の偏向コイル120bの間に設けられる。第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bは、低抵抗器、ホール素子型電流センサ等を用いることができる。
【0065】
制御部150は、図1を参照し、第1の状態と第2の状態との切り替えを制御する。本実施形態において、制御部150は、真空蒸着装置1のメインコントローラ5により生成された制御信号に基づいて、電源ユニット130及び切替ユニット140の各構成の駆動を制御することが可能に構成される。なお、制御部150は、メインコントローラ5の一部として構成されてもよく、独立した構成であってもよい。独立した構成の場合、制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のハードウェアを有するコンピュータにより構成されてもよい。
【0066】
制御部150は、第1の状態において、加熱電流用電源134及び偏向用電源133を駆動させ、かつ、サイリスタ135を駆動状態とする。さらに、加熱電流切替部141、バイアス切替部142及び偏向電流切替部143各々のスイッチ部材141c,142c,143cを、それぞれ、第1の接点141a,142a,143aに接続させる。これにより、フィラメント110aに駆動電流が供給されて第1の電子ビームB1が発生され、かつ第1の偏向コイル120aにより、第1の電子ビームB1が偏向される。
【0067】
制御部150は、第2の状態において、加熱電流用電源134及び偏向用電源133を駆動させ、かつ、サイリスタ135を駆動状態とする。さらに、加熱電流切替部141、バイアス切替部142及び偏向電流切替部143各々のスイッチ部材141c,142c,143cを、それぞれ、第2の接点141b,142b,143bに接続させる。これにより、フィラメント110bに駆動電流が供給されて第2の電子ビームB2が発生され、かつ偏向コイル120bにより、第2の電子ビームB2が偏向される。
【0068】
制御部150は、本実施形態において、蒸着中、検出部160の検出結果に基づき、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に流れる駆動電流、並びに第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bに流れる電流を監視可能に構成される。具体的には、制御部150は、第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bからの出力に基づいて第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144の電流の有無を判定可能に構成され、第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bからの出力に基づいて第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bに流れる電流の有無を判定可能に構成される。
【0069】
図3は、制御部150の一動作例を示すフローチャートである。本動作例では、第1の状態及び第2の状態を相互に切り替える切替工程(ST100)を行い、その後、真空蒸着装置1での蒸着中に電流監視工程(ST200)を行う、制御部150の一連の動作について説明する。なお、切替工程(ST100)は以下のST101〜110を含み、電流監視工程(ST200)は以下のST201〜203を含む。
【0070】
まず制御部150は、一方の電子ビームを照射する状態から、他方の電子ビームを照射する状態に切り替えるために、第1の状態及び第2の状態を相互に切り替える(ST100)。制御部150は、周期的に、メインコントローラ5が生成した切替制御信号を受信したか判定している(ST101)。切替制御信号を受信していない場合は(ST101でNo)、再び切替制御信号の受信を判定する(ST101)。切替制御信号を受信した場合(ST101でYes)、制御部150は、バイアス電圧検出部162からの出力に基づき、バイアス供給部132がバイアス電圧の供給を停止しているか否かを判定する(ST102)。停止していない場合は(ST102でNo)、切替制御信号に基づく処理を行わず、再び切替制御信号の受信を判定する(ST101)。バイアス電圧の供給を停止している場合は(ST102でYes)、偏向用電源133に電流の供給を停止させるための信号を送信する(ST103)。これにより、バイアス供給部132(バイアス電源138)及び偏向用電源133の双方の駆動が停止される。
【0071】
次に制御部150は、第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bからの出力に基づいて偏向用電源133からの電流の供給が停止しているか否か判定する(ST104)。偏向用電源133からの電流の供給が停止している場合は(ST104でYes)、切替ユニット140に対し、第1の状態と第2の状態とを選択的に切り替えるための切替信号を送信する(ST105)。切替信号を受信した切替ユニット140の加熱電流切替部141、バイアス切替部142及び偏向電流切替部143は、各々のスイッチ部材141c,142c,143cが接続されていた接点を他方の接点に切り替えることにより、第1の状態と第2の状態とを切り替える。
【0072】
一方、偏向用電源133からの電流の供給が停止していない場合は(ST104でNo)、切替信号を送信せず、電源ユニット130にエラー信号を送信する(ST110)。これにより、電源ユニット130は、加熱電流用電源134の駆動を停止し、サイリスタ135を駆動しない状態にすることで、加熱電流供給部131からの加熱電流の供給を停止する。
【0073】
切替ユニット140に切替信号を送信した後、制御部150は、偏向電流切替部143に電流の供給を開始させる信号を送信し(ST106)、偏向用電源133から第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bのうちのいずれか一方への電流の供給が開始されたか否か判定する(ST107)。開始されている場合は(ST107でYes)、同様にバイアス供給部132から第1及び第2の加熱電流回路136,144のうちのいずれか一方へのバイアス電圧の供給が開始されたか否か判定する(ST108)。開始されている場合は(ST108でYes)、切り替えが完了したとして、その情報をメインコントローラ5に出力する(ST109)。一方、偏向電流切替部143からの電流の供給が開始されていない場合(ST107でNo)及びバイアス供給部132からのバイアス電圧の供給が開始されていない場合(ST108でNo)は、電源ユニット130にエラー信号を送信する(ST110)。
【0074】
切り替えが完了した後(ST109)、真空蒸着装置1による蒸着が開始され、制御部150は、電流経路の監視を行う(ST200)。すなわち、電源ユニット130の第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144のうちのいずれか一方に電流が流れているか否か判定する(ST201)。電流が流れている場合(ST201でYes)、制御部150は、電流が流れている第1の加熱電流回路136又は第2の加熱電流回路144に対応する第1の偏向コイル120a又は第2の偏向コイル120bに電流が流れているか否か判定する(ST202)。電流が流れている場合(ST202でYes)、制御部150は、電源ユニット130の運転を継続させるとともに、再びST201に戻り、電流経路の監視を継続する(ST201)。
【0075】
一方、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144のいずれにも電流が流れていない場合(ST201でNo)、及び第1の加熱電流回路136又は第2の加熱電流回路144に対応する第1の偏向コイル120a又は第2の偏向コイル120bに電流が流れていない場合(ST202でNo)には、切替ユニット140による切り替えが正常に行われていない可能性があるため、電源ユニット130に切替異常信号を送信する(ST203)。これにより、電源ユニット130は、加熱電流供給部131からの加熱電流の供給を停止する。
【0076】
以上のように、制御部150は、バイアス電圧の供給及び偏向用電源133からの電流の供給が停止された場合にのみ、切替ユニット140に対して切り替えを行わせる。これにより、切替ユニット140の各切替部141,142,143における放電等のリスクを最小限に抑え、安全に切り替えを行うことができる。
【0077】
また制御部150は、蒸着中、電源ユニット130の電流の経路を監視する。これにより、切替ユニット140への切り替えの指示のみならず、実際に切り替えが適切になされているか否か確認することが可能となる。したがって、切替ユニット140の各切替部141,142,143の故障等による成膜トラブルのリスクを低減することが可能となる。
【0078】
また、制御部150は、電流の経路の監視により、第1及び第2の加熱電流回路136,144に対応する第1及び第2の偏向コイル120a,120bに電流が流れているか否か確認することが可能となる。これにより、切り替えられた電子ビームの軌道を確実に制御することが可能となる。
【0079】
以上のような構成の電子銃装置100は、2つの蒸発材料31a,31bにそれぞれ対応する第1及び第2の電子ビームB1,B2を発生させることが可能な構成であって、かつ、1つの加熱電流用電源134及び1つの偏向用電源133のみを有する構成とすることが可能となる。以下、比較例を挙げて、本実施形態の作用効果を説明する。
【0080】
図4は、本実施形態の比較例に係る電子銃装置400の回路図である。電子銃装置400は、電子銃装置100と同様に、第1の電子ビームB1及び第2の第2の電子ビームB2を交互に出射することが可能に構成される。電子銃装置400は、第1及び第2のフィラメント410a,410bと、第1及び第2の加熱電流供給部431a,431bと、バイアス供給部432と、第1及び第2の偏向用電源433a,433bと、第1及び第2の偏向コイル420a,420bと、バイアス切替部460とを有する。電子銃装置100と異なる主な点は、2つの加熱電流供給部431a,431bを有する点と、2つの偏向用電源433a,433bを有する点である。その他の点は、電子銃装置100と同様の構成を有するため、その説明を省略又は簡略化する。
【0081】
2つの加熱電流供給部431a,431bは、それぞれ、加熱電流用電源434a,434bを有し、第1及び第2のフィラメント410a,410bに接続される。バイアス切替部460は、電子銃装置100のバイアス切替部142と同様に構成される。すなわち、第1の電子ビームB1が出射される第1の状態でバイアス供給部432と加熱電流供給部431aとが接続され、第2の電子ビームB2が出射される第2の状態でバイアス供給部432と加熱電流供給部431bとが接続される。
【0082】
電子銃装置400においては、第1の状態において、一方の加熱電流用電源434a及び偏向電流供給部433aが駆動されるが、他方の加熱電流用電源434b及び偏向用電源433bは停止している。第2の状態では、この逆の状態となる。したがって、蒸着中であっても、必ず一方の加熱電流用電源と偏向用電源が停止しており、設備が過剰となる。このような設備の過剰は、設備導入のコストのみならず、設備の維持コストを上昇させるとともに、設備の設置スペースを増大させる。
【0083】
一方、本実施形態に係る電子銃装置100は、切替ユニット140により、1つの加熱電流供給部131(加熱電流用電源134)及び偏向用電源133のみを有する構成とすることができる。したがって、第1及び第2の電子ビームB1,B2を交互に出射する場合であっても、設備を簡素化し、設備コストや設置スペースの問題を解消することが可能となる。
【0084】
さらに、電子銃装置100は、高電圧であるバイアスが印加される前に、加熱電流切替部141により加熱電流の経路を切り替えることが可能となる。仮に加熱電流切替部141に高電圧が負荷された場合には、アーク放電による接点溶着等のおそれが生じ得る。したがって、上記構成により、接点溶着等の加熱電流切替部の不具合を防止するとともに、加熱電流切替部141を比較的簡素なリレーや電磁接触機等で構成することが可能となる。
【0085】
また、図5は、本実施形態の参考例の真空蒸着装置を示す概略図である。同図に示すように、真空蒸着装置6は、2つのチャンバ7,8、第1の蒸発材料保持部9a、第2の蒸発材料保持部9b、及び電子銃装置600を備える。2つのチャンバ7,8には、それぞれ、第1の蒸発材料91aを保持した第1の蒸発材料保持部9aと、第2の蒸発材料91bを保持した第2の蒸発材料保持部9bが配置されている。電子銃装置600は、電子銃装置100と同様の構成を有し、チャンバ7に第1の電子ビームB1を出射する第1の状態と、チャンバ8に第2の電子ビームB2を出射する第2の状態とを選択的に切り替える。なお、図5において、支持部、メインコントローラ等の構成は省略している。
【0086】
上記構成によっても、所望のチャンバに配置された蒸発材料に対し、電子ビームを照射することが可能となる。一方、上記構成の場合、仮に制御部や切替ユニットに不具合が生じ、指令したチャンバとは異なるチャンバに電子ビームが出射された場合、十分真空引きされていない状態や、蒸発材料の準備ができていない状態のチャンバに電子ビームが出射されるおそれがある。
【0087】
そこで、本実施形態の真空蒸着装置1によれば、1つのチャンバ2のみ有する構成であることから、蒸着の準備を整えた適切な雰囲気のチャンバ2内に第1及び第2の電子ビームB1,B2のいずれか一方を出射することができる。これにより、より安全性の高い構成とすることができる。
【0088】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電子銃装置の回路図である。電子銃装置200は、第1の実施形態と同様に、第1のフィラメント210a、第2のフィラメント210b、第1の偏向コイル220a、第2の偏向コイル220b、電源ユニット230、切替ユニット240、制御部250、及び接続部260を有する。電子銃装置200が第1の実施形態に係る電子銃装置100と異なる点は、切替ユニット240が、接続部260を介して電源ユニット230から着脱自在に構成される点である。以下、第1の実施形態と同様の点については、その説明を省略又は簡略化する。
【0089】
第1のフィラメント210aは、第1の実施形態と同様に、第1の電子ビームB1を発生する。第1のフィラメント210aは、電源ユニット230の第1の加熱電流回路236に接続される。第2のフィラメント210bも同様に、第2の電子ビームB2を発生する。第2のフィラメント210bは、切替ユニット240の第2の加熱電流回路244に接続される。
【0090】
第1の偏向コイル220aは、第1の実施形態と同様に第1の偏向器として機能し、第1の電子ビームB1を偏向させる。第2の偏向コイル220bも、第1の実施形態と同様に第2の偏向器として機能し、第2の電子ビームB2を偏向させる。第1の偏向コイル220a及び第2の偏向コイル220bは、いずれも、切替ユニット240の偏向電流切替部243を介して偏向用電源233に接続される。
【0091】
電源ユニット230は、加熱電流供給部231と、バイアス供給部232と、偏向用電源(偏向電流供給部)233とを有する。
【0092】
加熱電流供給部231は、第1のフィラメント210a及び第2のフィラメント210bのうちのいずれか一方に電子ビームを発生させるための加熱電流を供給し、第1の実施形態と同様に、加熱電流用電源234と、サイリスタ235と、第1の加熱電流回路236とを有する。第1の加熱電流回路236は、第1の実施形態と同様に、加熱電流の電圧値を変換することが可能な第1の変圧部237を含む。バイアス供給部232は、バイアス電源238と、抵抗器239とを含み、加熱電流にバイアス電圧を印加する。偏向用電源233は、第1の偏向コイル220a及び第2の偏向コイル220bのうちのいずれか一方に電流を供給する。
【0093】
切替ユニット240は、駆動電流を第1のフィラメント210aに供給する第1の状態と、駆動電流を第2のフィラメント210bに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。切替ユニット240は、第1の実施形態と同様に、加熱電流切替部241と、バイアス切替部242と、偏向電流切替部243と、第2の加熱電流回路244とを有する。
【0094】
第2の加熱電流回路244は、第1の実施形態と同様に、第2のフィラメント210bに接続される。第2の加熱電流回路244は、加熱電流の電圧値を変換することが可能な第2の変圧部245を含む。
【0095】
加熱電流切替部241は、第1の状態で加熱電流用電源234と第1の加熱電流回路236とを接続し、第2の状態で加熱電流用電源234と第2の加熱電流回路244とを接続する。加熱電流切替部241は、第1の実施形態と同様に、第1の接点241aと、第2の接点241bと、スイッチ部材241cとを含む。
【0096】
バイアス切替部242は、第1の状態でバイアス供給部232と第1の加熱電流回路236とを接続し、第2の状態でバイアス供給部232と第2の加熱電流回路244とを接続する。バイアス切替部242は、第1の実施形態と同様に、第1の接点242aと、第2の接点242bと、スイッチ部材242cとを含む。
【0097】
偏向電流切替部243は、第1の状態で偏向用電源233と第1の偏向コイル220aとを接続し、第2の状態で偏向用電源233と第2の偏向コイル220bとを接続する。偏向電流切替部243は、第1の実施形態と同様に、第1の接点243aと、第2の接点243bと、スイッチ部材243cとを有する。
【0098】
制御部250は、第1の状態と第2の状態との切り替えを制御する。制御部250は、本実施形態において、切替モードと、後述する第2の電源ユニット280が接続された場合の2ソースモードとを選択的に切替可能に構成される。切替ユニット240を有する電子銃装置200では、切替モードが選択される。切替モードでは、第1の電子ビームB1及び第2の電子ビームB2のうちのいずれか一方が出射されるように制御され、第1の実施形態と同様の動作が可能に構成されてもよい。この場合に、第1の偏向コイル220a及び第2の偏向コイル220bに流れる電流と、第1の加熱電流回路236及び第2の加熱電流回路244の電流とを監視可能に構成されてもよい。
【0099】
なお、図示はしないが、電子銃装置200は、第1の実施形態と同様の構成の検出部を備えていてもよい。
【0100】
次に、接続部260の構成について説明する。
【0101】
図7は、接続部260の構成と接続関係を示す要部回路図である。図7は、接続部260と各要素との接続関係を示すために、図6の回路図の一部のみ記載しており、例えば、第2の変圧部237やサイリスタ235、第2の加熱電流回路244等は省略している。接続部260は、本実施形態において、電源ユニット230に接続される電源ユニット側端子部261と、切替ユニット240に接続される切替ユニット側端子部262とを有する。
【0102】
本実施形態において、電源ユニット側端子部261は、第1の端子261aと、第2の端子261bと、第3の端子261cと、第4の端子261dと、第5の端子261eと、第6の端子261fとを含む。また、切替ユニット側端子部262も、第1の端子262aと、第2の端子262bと、第3の端子262cと、第4の端子262dと、第5の端子262eと、第6の端子262fとを含む。第1の端子261a及び第1の端子262a間、第2の端子261b及び第2の端子262b間、第3の端子261c及び第3の端子262c間、第4の端子261d及び第4の端子262d間、第5の端子261e及び第5の端子262e間、並びに第6の端子261f及び第6の端子262f間は、相互に接続可能に構成される。これらの各端子261a〜261f,262a〜262fは、バネ端子等で構成されてもよいし、対応する端子がネジ等によって接続可能に構成されてもよい。
【0103】
電源ユニット側端子部261の第1の端子261aは、加熱電流用電源234に接続される。切替ユニット側端子部262の第1の端子262aは、加熱電流切替部241のスイッチ部材241cに接続される。
【0104】
電源ユニット側端子部261第2の端子261bは、第1の加熱電流回路236に接続される。切替ユニット側端子部262の第2の端子262bは、加熱電流切替部241の第1の接点241aに接続される。
【0105】
電源ユニット側端子部261の第3の端子261cは、第1の加熱電流回路236に接続される。切替ユニット側端子部262の第3の端子262cは、バイアス切替部242の第1の接点242aに接続される。
【0106】
電源ユニット側端子部261の第4の端子261dは、バイアス供給部232に接続される。切替ユニット側端子部262の第4の端子262dは、バイアス切替部242のスイッチ部材242cに接続される。
【0107】
電源ユニット側端子部261の第5の端子261eは、偏向用電源233に接続される。切替ユニット側端子部262の第5の端子262eは、偏向電流切替部243のスイッチ部材243cに接続される。
【0108】
電源ユニット側端子部261の第6の端子261fは、第1の偏向コイル220aに接続される。切替ユニット側端子部262の第6の端子262fは、偏向電流切替部243の第1の接点243aに接続される。
【0109】
電源ユニット側端子部261の各端子261a〜261fは、例えば電源ユニット230の図示しない筐体の一部に露出されて配置されることが可能に構成されてもよい。同様に、切替ユニット側端子部262の各端子262a〜262fは、切替ユニット240の図示しない筐体の一部に露出されて配置されてもよい。この場合、電源ユニット側端子部261の各端子261a〜261fは、切替ユニット側端子部262の各端子262a〜262fに対応して配置される。
【0110】
以上のような構成を有する接続部260により、電源ユニット230に対し切替ユニット240を着脱可能に接続することが可能となる。具体的には、例えば、電源ユニット側端子部261に、切替ユニット側端子部262を差し込むことで、電源ユニット側端子部261の各端子261a〜261fと、切替ユニット側端子部262の各端子262a〜262fとが接続される。
【0111】
また、電源ユニット230及び切替ユニット240を接続することにより、第1の実施形態と等価な回路を構成することができる。これにより、本実施形態も、第1の実施形態と同様に、設備の簡素化に貢献することができる。
【0112】
また、接続部260により、電源ユニット230及び切替ユニット240を、保管時や輸送時に別個に取り扱うことが可能となる。これにより、保管や輸送に係るスペースを縮小することが可能となるとともに、取り扱い性を高めることができる。
【0113】
さらに電源ユニット230は、接続切替部270を有してもよい。接続切替部270は、電源ユニット側端子部261に対し、電源ユニット側端子部261と切替ユニット側端子部262とが接続可能な切替ユニット接続状態と、加熱電流供給部231と第1のフィラメント210aとが切替ユニット240を介さずに閉回路を構成する閉回路状態とを切り替える。図6及び図7には、電源ユニット側端子部261が切替ユニット接続状態に切り替えられている態様を示す。接続切替部270の具体的な構成については、後述する。
【0114】
接続切替部270を閉回路状態に切り替えることにより、切替ユニット240に替えて第2の電源ユニット280を電源ユニット230に接続し、電子銃装置300を構成することが可能となる。
【0115】
[参考例]
図8は、本実施形態の参考例に係る電子銃装置300の回路図である。電子銃装置300は、第1の電源ユニット230と、第2の電源ユニット280とを有する。なお、第1の電源ユニット230は、電子銃装置200の電源ユニット230と同様の構成を有するため、電源ユニット230と同様の符号を用いて説明する。
【0116】
本参考例において、第1の電源ユニット230は、第1のフィラメント210aに接続され、第1の電子ビームB1を発生するための駆動電流を供給可能に構成される。一方、第2の電源ユニット280は、第2のフィラメント210bに接続され、第2の電子ビームB2を発生するための駆動電流を供給可能に構成される。すなわち、電子銃装置300は、第1の電子ビームB1と第2の電子ビームB2を交互に、又は同時に出射することが可能に構成される。
【0117】
第1の電源ユニット230の加熱電流供給部231は、本参考例において、第1のフィラメント210aに第1の電子ビームB1を発生させるための加熱電流を供給する。偏向用電源233は、第1の偏向コイル220aに電力を供給する。
【0118】
バイアス供給部232は、加熱電流にバイアス電圧を印加する。バイアス供給部232は、後述するように、第1の電源ユニット230の第1の加熱電流回路236及び第2の電源ユニット280の第2の加熱電流回路286の少なくともいずれか一方にバイアス電圧を印加する。バイアス供給部232は、後述するように、第2の電源ユニット280のバイアス接続部282に接続される。
【0119】
接続切替部270は、図7及び図8に示すように、第1の接続切替部271と、第2の接続切替部272とを含む。
【0120】
第1の接続切替部271は、第1の端子261a及び第2の端子261bの配置を切り替えることが可能に構成される。具体的には、切替ユニット接続状態において、第1の端子261a及び第2の端子261bが、電源ユニット230の図示しない筐体の一部に露出されて配置される(図6及び図7参照)。一方閉回路状態において、第1の端子261a及び第2の端子261bが相互に接続される(図8参照)。第1の接続切替部271の構成は特に限定されず、例えば、第1の端子261a及び第2の端子261b各々に接続された付勢部材を有してもよい(図示せず)。この場合、閉回路状態において、付勢部材が第1の端子261a及び第2の端子261bを付勢しているが、切替ユニット側端子部262の挿入に伴い、当該付勢状態が解除され、切替ユニット接続状態に切り替えられるように構成されてもよい。
【0121】
第2の接続切替部272は、第5の端子261e及び第6の端子261fの配置を切り替えることが可能に構成される。具体的には、切替ユニット接続状態において、第5の端子261e及び第6の端子261fが、電源ユニット230の図示しない筐体の一部に露出されて配置される(図6及び図7参照)。一方閉回路状態において、第5の端子261e及び第6の端子261fが相互に接続される(図8参照)。第2の接続切替部272の具体的な構成は特に限定されず、例えば、第1の接続切替部271と同様に構成されてもよい。
【0122】
接続切替部270は、第2の電源ユニット280を接続する際、接続部260の電源ユニット側端子部261(図6及び図7参照)を閉回路状態に切り替える。これにより、第1の電源ユニット230は、加熱電流用電源234、第1の変圧部237及び第1のフィラメント210aを含む閉回路と、偏向用電源233及び偏向コイル220aを含む閉回路の、2つの閉回路を含んで構成される。
【0123】
第2の電源ユニット280は、加熱電流供給部281と、バイアス接続部282と、偏向用電源283とを有する。
【0124】
加熱電流供給部281は、例えば加熱電流供給部231と同様に、加熱電流用電源284と、サイリスタ285と、第2の加熱電流回路286とを有し、第2のフィラメント210bに第2の電子ビームB2を発生させるための加熱電流を供給する。第2の加熱電流回路286は、第2の変圧部287を含む。偏向用電源283は、第2の偏向コイル220bに電力を供給する。
【0125】
バイアス接続部282は、バイアス供給部232と、第1の加熱電流回路236及び第2の加熱電流回路286のうちの少なくともいずれか一方とを接続可能に構成される。バイアス接続部282は、例えば、第1の接点282aと、第2の接点282bと、第1の接続端子282cと、第2の接続端子282dと、第1のスイッチ部材282eと、第2のスイッチ部材282fと、を含む。
【0126】
第1の接点282aは、第1の接続端子282cを介して第1の加熱電流回路236に接続可能に構成される。第1の接続端子282cは、電源ユニット側端子部261の第3の端子261cと接続可能に構成される。
【0127】
第2の接点282bは、第2の加熱電流回路286に接続される。第2の接続端子282dは、電源ユニット側端子部261の第4の端子261dと接続可能に構成される。第1のスイッチ部材282e及び第2のスイッチ部材282fは、いずれも、第2の接続端子282dと接続される。
【0128】
第1のスイッチ部材282eは、第1の接点282aと接続される閉状態と、第1の接点282aと接続されない開状態とを有する。閉状態では、バイアス供給部232と第1の接点282aが接続され、バイアス電圧が第1の加熱電流回路236の加熱電流に印加される。
【0129】
第2のスイッチ部材282fは、第2の接点282bと接続される閉状態と、第2の接点282bと接続されない開状態とを有する。閉状態では、バイアス供給部232と第2の接点282bが接続され、バイアス電圧が第2の加熱電流回路286の加熱電流に印加される。
【0130】
本参考例において、第1のスイッチ部材282eと第2のスイッチ部材282fとの双方が閉状態の場合には、バイアス電圧が第1の加熱電流回路236及び第2の加熱電流回路286の双方の加熱電流に印加される。この場合には、第1及び第2の加熱電流回路236,286各々に印加されるバイアス電圧の電圧値の合計が、バイアス供給部232の定格電圧の範囲内となればよい。
【0131】
第2の電源ユニット280は、上記構成により、加熱電流用電源284、第2の変圧部287及び第2のフィラメント210bを含む閉回路と、偏向用電源283及び偏向コイル220bを含む閉回路の、2つの閉回路を含んで構成される。
【0132】
制御部250は、上述のように、2ソースモードが選択される。2ソースモードにおいて、制御部250は、駆動電流を第1のフィラメント210aに供給する第1の状態と、駆動電流を第2のフィラメント210bに供給する第2の状態と、駆動電流を第1のフィラメント210a及び第2のフィラメント210bの双方に供給する第3の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。
【0133】
第1の状態において、制御部250は、加熱電流用電源234及び偏向用電源233を駆動させるとともに、バイアス接続部282の第1のスイッチ部材282eと第1の接点282aとを接続させる。これにより、第1のフィラメント210aに供給された駆動電流により第1の電子ビームB1が出射され、かつ偏向コイル220aにより、第1の電子ビームB1が偏向される。
【0134】
第2の状態において、制御部250は、加熱電流用電源284及び偏向用電源283を駆動させるとともに、バイアス接続部282の第2のスイッチ部材282fと第2の接点282bとを接続させる。これにより、第2のフィラメント210bに供給された駆動電流により、第2の電子ビームB2が出射され、かつ偏向コイル220bにより、第2の電子ビームB2が偏向される。
【0135】
第3の状態において、制御部250は、第1の加熱電流用電源234、第2の加熱電流用電源284、第1の偏向用電源233及び第2の偏向用電源283を駆動させるとともに、バイアス接続部282の第1のスイッチ部材282eと第1の接点282a、及び第2のスイッチ部材282fと第2の接点282bをそれぞれ接続させる。これにより、第1のフィラメント210a,210bに供給された駆動電流により第1及び第2の電子ビームB1,B2が出射され、かつ偏向コイル220a,210bにより、第1及び第2の電子ビームB1,B2がそれぞれ偏向される。
【0136】
以上のように、本実施形態によれば、第1の電源ユニット230に対し、切替ユニット240及び第2の電源ユニット280のうちのいずれか一方を選択的に接続することが可能となる。すなわち、切替ユニット240を備えた電子銃装置200により、第1及び第2の電子ビームB1,B2を交互に発生させる場合に対応することができ、第2の電源ユニット280を備えた電子銃装置300により、第1及び第2の電子ビームB1,B2を同時に出射させる場合に対応することが可能となる。すなわち、電子銃装置200及び電子銃装置300の第1の電源ユニット230を共通化することが可能となり、生産性を高めることが可能となるとともに、電子銃装置200及び電子銃装置300のいずれの要請にも容易に対応し得る。また、在庫のスペースを縮小することが可能となる。
【0137】
さらに、制御部250も、上述のモード切替により電子銃装置200,300で共通化することが可能となり、より生産性向上及び在庫スペース縮小に貢献することが可能となる。
【0138】
<第3の実施形態>
図9は、本発明の第3の実施形態に係る電子銃装置の回路図である。
上述の加熱電流切替部141及び偏向電流切替部143は、比較的低電圧の電流を切り替えることから、安価なリレーや電磁接触器等を用いることができた。一方、バイアス電圧を切り替える場合には、高電圧に対応する真空リレー等を用いることから高価になる傾向があった。
そこで、本発明者らは、加熱電流にバイアス電圧が重畳されてはじめて電子ビームが発生されることに着目し、バイアス電圧は常時双方の加熱電流回路に接続され、バイアス電圧を切り替えずに加熱電流の切り替えによって電子ビームが出射されるフィラメントを切り替える電子銃装置500に想到した。
【0139】
すなわち本実施形態では、上記課題に加え、より安価で、かつ出射される電子ビームの切り替えに伴う装置の不具合をより確実に防止することができる電子銃装置500を提供することを課題とする。
【0140】
すなわち電子銃装置500は、第1のフィラメント110a、第2のフィラメント110b、第1の偏向コイル120a、第2の偏向コイル120b、電源ユニット530、切替ユニット540、制御部550及び検出部160を有し、切替ユニット540がバイアス切替部を有さないことを特徴とする。なお、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
また、電子銃装置500は、本実施形態においても、図1に示すように1つのチャンバ内に第1及び第2の電子ビームのいずれか一方を出射する構成とすることができる。
【0141】
電源ユニット530は、第1のフィラメント110a及び第2のフィラメント110bのうちのいずれか一方に電子ビームB1,B2を発生させる駆動電流を供給する。電源ユニット530は、図9に示すように、加熱電流供給部131と、バイアス供給部532と、偏向用電源(偏向電流供給部)133とを有する。
【0142】
バイアス供給部532は、加熱電流にバイアス電圧を印加する。本実施形態において、バイアス供給部532は、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144の双方に接続される。本実施形態において、バイアス供給部532は、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144の双方に接続されたバイアス電源538と、抵抗器539とを含む。バイアス電源538及び抵抗器539は、それぞれ、バイアス電源138及び抵抗器139と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0143】
切替ユニット540は、駆動電流を第1のフィラメント110aに供給する第1の状態と、駆動電流を第2のフィラメント110bに供給する第2の状態とを選択的に切り替えることが可能に構成される。すなわち、切替ユニット540は、加熱電流の供給を第1のフィラメント110a及び第2のフィラメント110bとで選択的に切り替えることが可能に構成される。切替ユニット540は、本実施形態において、加熱電流切替部141と、偏向電流切替部143と、第2の加熱電流回路144とを有するが、バイアス切替部を有さない。また、偏向電流切替部143は、加熱電流切替部141と同様に、第1及び第2の変圧部137,145の一次側に配置され得る。
【0144】
また、本実施形態において、第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bの近傍に、それぞれコイル不良を検出する抵抗値インターロック(図示せず)が設けられていてもよい。抵抗値インターロックは、偏向コイルの電圧と電流を監視することにより
抵抗不良を検知することができる。偏向コイルは、一般に、長期の使用によってコイル巻線の劣化が進み、巻線間の層間ショート等が発生し、規定の磁場に達しないコイル不良が発生するおそれがある。抵抗値インターロックは、異常な抵抗値を検出することでこのようなコイル不良を検出することができる。
【0145】
検出部160は、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に流れる駆動電流、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に印加されるバイアス電圧、並びに第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bに流れる電流を検出可能に構成される。すなわち検出部160は、第1の駆動電流検出部161aと、第2の駆動電流検出部161bと、バイアス電圧検出部162と、第1の偏向電流検出部163aと、第2の偏向電流検出部163bとを有する。本実施形態において、バイアス電圧検出部162は、バイアス供給部532と第1の加熱電流回路136の間、及びバイアス供給部532と第2の加熱電流回路144の間の少なくとも一方に設けられる。
【0146】
制御部550は、第1の状態と第2の状態との切り替えを制御する。また、制御部550は、第1の状態において、加熱電流用電源134及び偏向用電源133を駆動させ、かつ、サイリスタ135を駆動状態とする。さらに、加熱電流切替部141及び偏向電流切替部143各々のスイッチ部材141c,143cを、それぞれ、第1の接点141a,143aに接続させる。これにより、フィラメント110aに駆動電流が供給されて第1の電子ビームB1が発生され、かつ第1の偏向コイル120aにより、第1の電子ビームB1が偏向される。
【0147】
制御部550は、第2の状態において、加熱電流用電源134及び偏向用電源133を駆動させ、かつ、サイリスタ135を駆動状態とする。さらに、加熱電流切替部141及び偏向電流切替部143各々のスイッチ部材141c,143cを、それぞれ、第2の接点141b,143bに接続させる。これにより、フィラメント110bに駆動電流が供給されて第2の電子ビームB2が発生され、かつ偏向コイル120bにより、第2の電子ビームB2が偏向される。
【0148】
本実施形態においては、第1の状態及び第2の状態のいずれの場合であっても、バイアス供給部532から加熱電流に対してバイアスが供給される。これにより、バイアス切替部を有さずとも加熱電流切替部141における切り替えによってフィラメント110a及びフィラメント110bのいずれかに駆動電流が供給され得る。
【0149】
制御部550は、本実施形態において、検出部160の検出結果に基づき、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に流れる駆動電流、第1の加熱電流回路136及び第2の加熱電流回路144に印加されるバイアス電圧、並びに第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bに流れる電流を監視可能に構成される。
【0150】
続いて、制御部550の切替工程(図3のST100参照)における一動作例を説明する。本動作例における切替工程では、バイアス電圧の切替工程を有さない。なお、上述の電流監視工程は、図3に示すST201〜203を適用することができる。
【0151】
まず制御部550は、周期的に、メインコントローラ(図1参照)が生成した切替制御信号を受信したか判定している。切替制御信号を受信した場合、制御部550は、バイアス供給部532に対し、バイアス電圧の供給を停止させるための信号を送信し、かつ加熱電流用電源134に電流の供給を停止させるための信号を送信する。そして制御部550は、第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bからの出力に基づいて、加熱電流用電源134からの電流の供給が停止しているか否か判定する。停止していない場合は、制御部550は、電源ユニット530にエラー信号を送信する。これにより、電源ユニット530は、加熱電流用電源134の駆動を停止し、サイリスタ135を駆動しない状態にすることで、加熱電流供給部131からの加熱電流の供給を停止する。
【0152】
加熱電流用電源134からの電流の供給が停止している場合、制御部550は、バイアス電圧検出部162からの出力に基づいて、バイアス電圧が印加されているか否か判定する。
【0153】
バイアス電圧が印加されていないと判定した場合、偏向用電源133に電流の供給を停止させるための信号を送信し、第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bからの出力に基づいて、偏向用電源133からの電流の供給が停止しているか否か判定する。偏向用電源133からの電流の供給が停止している場合、制御部550は、偏向電流切替部143に対し、スイッチ部材143cが接続されていた接点を他方の接点に切り替えるための切替信号を送信する。一方、偏向用電源133からの電流の供給が停止していない場合は、切替信号を送信せず、電源ユニット530にエラー信号を送信する。
【0154】
切替信号を送信した後、制御部550は、偏向用電源133に電流の供給を開始させる信号を送信し、偏向用電源133の電流値を所定の値に設定する。そして、制御部550は、第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bからの出力に基づいて、偏向用電源133から第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bのうちの一方の所望の偏向コイルに電流が供給されているか否か判定する。所望の偏向コイルに電流が供給されていないと判定した場合、制御部550は、電源ユニット530にエラー信号を送信する。
このように、本動作例における偏向電流の切替は、偏向電流が供給されていない状態で行うため、偏向電流切替部143の接点溶着等の不具合を防止することができる。また、上記偏向電流の切替は、駆動電流が供給されていない状態で行い、かつ、駆動電流切替後に、第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bにより、所望の偏向コイルに電流が供給されているか判定することができる。これにより、意図しない方向へ電子ビームが出射されることを防止し、より安全に電子銃装置500を運転することができる。
【0155】
所望の偏向コイルに電流が供給されていると判定した場合、制御部550は、加熱電流用電源134が停止しているか否か判定し、駆動していないと判定した場合、さらに第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bからの出力に基づいて、加熱電流用電源134からの電流の供給が引き続き停止しているか否か判定する。停止していない場合は、制御部550は、電源ユニット530にエラー信号を送信する。
【0156】
停止している場合、制御部550は、加熱電流切替部141に対し、スイッチ部材141cが接続されていた接点を他方の接点に切り替えるための切替信号を送信し、加熱電流用電源134の電流値を所定の値に設定する。その後、制御部550は、第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bからの出力に基づいて、第1及び第2の加熱電流回路136,144のうちの所望の回路に加熱電流が供給されているか否か判定する。供給されていない場合は、電源ユニット530にエラー信号を送信する。
このように、本動作例における加熱電流の切替は、加熱電流が供給されていない状態で行うことができるため、加熱電流切替部141の接点溶着等の不具合を防止することができる。また、上記切替は、偏向電流が所望の偏向コイルに切り替えられた後に行うことができるため、加熱電流の供給後、意図しない方向へ電子ビームが出射されることを防止し、より安全に電子銃装置500を運転することができる。
【0157】
所望の加熱電流回路に加熱電流が供給されている場合、制御部550は、バイアス供給部532に対し、駆動を開始させるための信号を送信する。そして制御部550は、バイアス電圧検出部162からの出力に基づいて、バイアス電圧が印加されているか否か判定する。バイアス電圧が印加されていると判定した場合、切替が完了したとして、その情報をメインコントローラに出力する。
【0158】
以上のように、本実施形態によれば、バイアス供給部532が第1及び第2の加熱電流回路136,144の双方に接続されていることから、バイアス電圧を切り替えることなく、加熱電流切替部141の切替によって電子ビームを出射するフィラメントを切り替えることが可能となる。これにより、高電圧の切替を行う手段を用いることなく、より安価な構成の電子銃装置500を提供することができる。
さらに、バイアス切替部を有さないことから、バイアス切替部におけるアーク放電や、それに伴う接点の溶着等のリスクを排除することができる。
【0159】
また、本実施形態においても1つのチャンバ内に第1及び第2の電子ビームのいずれか一方を出射する構成とすることができる。したがって、蒸着の準備を整えた適切な雰囲気のチャンバに電子ビームを出射することができ、より安全性の高い構成とすることができる。
【0160】
また、偏向用電源133が定電流制御を行っており、かつ偏向電流切替部143が通電状態で切り替えを行った場合、アーク放電が発生し、通電不良となるおそれがある。そこで、本実施形態によれば、制御部550が、第1の偏向電流検出部163a及び第2の偏向電流検出部163bからの出力に基づいて、偏向用電源133からの電流の供給が停止しているか否か判定することができる。これにより、偏向電流切替部143における通電状態での切り替えを防止し、アーク放電等に起因する偏向電流切替部143の接触不良を防止することができる。
【0161】
加えて、偏向電流切替部143が通電状態で切り替えをすると、切り替えの瞬間に偏向電流回路の抵抗値が異常な高値となり得る。このため、上述のように第1の偏向コイル120a及び第2の偏向コイル120bの近傍に抵抗値インターロックが設けられている場合、当該抵抗値インターロックが異常値を検出し、コイル不良と判定されるおそれがある。そこで、本実施形態によれば、偏向用電源133からの電流の供給が停止しているか否か判定してから偏向電流切替部143の切替動作を行うことにより、このような誤判定を防止することが可能となる。
【0162】
また本実施形態によれば、制御部550が、偏向電流切替部143及び加熱電流切替部141の切替後、検出部160からの出力を参照し、適切な通電状態か否か確認することができる。これにより、偏向電流切替部143及び加熱電流切替部141の機械的な接点の不具合があった場合、即、対応することが可能となる。したがって、意図しない電子ビームの発生を防止し、より安全性の高い電子銃装置500を提供することができる。
【0163】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。また、上述の第1〜第3の各実施形態は、矛盾が生じない限り如何様にも組み合わされて実行され得る。
【0164】
以上の各実施形態において回路図を示して説明したが、勿論、この回路図と等価な種々の構成を採り得る。
【0165】
以上の実施形態において、第1及び第2の加熱電流回路が、第1及び第2の変圧部を有さない構成としてもよい。この場合に、加熱電流切替部がバイアス電圧の高電圧に耐え得る構成であれば、バイアス供給部のバイアス電源は、例えば加熱電流切替部と加熱電流用電源との間に接続可能に構成されてもよい。
【0166】
加熱電流供給部が、サイリスタを有すると説明したが、有さなくてもよいし、必要に応じて他の素子を有してもよい。また、偏向電流供給部が、偏向用電源と、サイリスタ等を有していてもよい。
【0167】
第1の駆動電流検出部161a及び第2の駆動電流検出部161bは、図2及び図9に示すように、加熱電流切替部141と第1及び第2の変圧部137,145との間に設けられる他、例えば第1の変圧部137及び第2の変圧部145の高電圧(2次)側にもそれぞれ設けられてもよい。
【0168】
以上の第2の実施形態において、接続切替部270を有すると説明したが、有さない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0169】
100,200,300,500…電子銃装置
110a,210a…第1のフィラメント
110b,210b…第2のフィラメント
120a,220a…第1の偏向コイル(第1の偏向器)
120b,220b…第2の偏向コイル(第2の偏向器)
130,230,530…電源ユニット
131,231…加熱電流供給部
132,232…バイアス供給部
133,233…偏向電流供給部
134,234…加熱電流用電源
136,236…第1の加熱電流回路
137,237…第1の変圧部
140,240,540…切替ユニット
141,241…加熱電流切替部
142,242…バイアス切替部
143,243…偏向電流切替部
144,244…第2の加熱電流回路
145,245…第2の変圧部
150,250,550…制御部
260…接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9