(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する長手方向と幅方向と厚さ方向を有する吸収性本体と、前記吸収性本体の一方側の端部に配置された腹側部材と、前記吸収性本体の他方側の端部に配置された背側部材と、を備え、上下方向を有する吸収性物品であって、前記吸収性本体は、両側端部に一対の防漏壁を有しており、前記一対の防漏壁は、それぞれ、複数の弾性部材を備えた肌側部と、前記肌側部より非肌側に配置された非肌側部とを有し、前記肌側部と前記非肌側部との互いに対向する対向面同士の少なくとも一部が接合された接合部と、前記上下方向において前記接合部よりも上方に設けられ、前記対向面同士が接合されていない非接合部とを備え、前記接合部は、前記幅方向において、前記防漏壁の先端よりも内側に設けられており、前記上下方向において、前記接合部の少なくとも一部が、前記腹側部材又は前記背側部材と重なっていることを特徴とする吸収性物品である。
【0010】
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の上下方向において、腹側部材又は背側部材と、防漏壁の接合部の少なくとも一部が重なっているため、吸収性本体が排泄物を吸収して重たくなった場合でも、着用者の身体に当接させる、防漏壁同士を接合することによって先端部に形成された平面状の部分の状態を維持しやすくし、吸収性物品と着用者の身体との隙間を作りにくくして、排泄物が外部に漏れてしまう恐れを軽減することができる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記上下方向において、前記接合部の少なくとも一部が、前記腹側部材及び背側部材とそれぞれ重なっていることが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、吸収性本体が重たくなった場合でも、身体に当接させる防漏壁の平面状部分の状態をより維持しやすくし、吸収性物品と身体との隙間を作りにくくして排泄物が外部に漏れてしまう恐れをより軽減することができる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記上下方向において、前記腹側部材の長さより前記背側部材の方が長く、前記接合部と前記腹側部材が重なっている領域の長さより、前記接合部と前記背側部材が重なっている領域の長さの方が、長いことが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、臀部を覆う必要がある背側部材の上下方向の長さ方を、腹側部材の上下方向の長さよりも長くしたとき、上下方向において、接合部と腹側部材が重なっている領域の長さより、接合部と背側部材が重なっている領域の長さを長くすることで、吸収性本体が重くなった場合でも、身体に当接させる防漏壁の平面状部分の状態をより維持しやすくし、吸収性物品と身体との隙間を作りにくくして排泄物が外部に漏れてしまう恐れをより軽減することができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体の前記一方側の端部には、前記吸収性本体と前記腹側部材とが接着された腹側接着領域を有しており、前記吸収性本体の前記他方側の端部には、前記吸収性本体と前記背側部材とが接着された背側接着領域を有しており、前記腹側部材の下端が前記腹側接着領域よりも下方に位置していること、又は、前記背側部材の下端が前記背側接着領域よりも下方に位置していることが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、腹側部材の下端部又は背側部材の下端部が、吸収性本体と接着されていないため、着用者が吸収性物品を着用し、さらに衣服を着用すると、腹側部材の下端部又は背側部材の下端部が、衣服と接触して上方に折り返されることがある。吸収性物品及び衣服を着用して、排泄物を吸収した吸収性本体の重量が増した場合でも、腹側部材又は背側部材の折り返された部分によって吸収性物品が下方向へ落ちる恐れが軽減され、着用者の身体に当接する防漏壁の平面状部分の状態をより維持することができる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記上下方向において、前記腹側接着領域の下端から前記腹側部材の下端までの領域には、腹側弾性部材が配置されていないこと、又は、前記上下方向において、前記背側接着領域の下端から前記背側部材の下端までの領域には、背側弾性部材が配置されていないことが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、折り返される腹側部材の下端部又は折り返される背側部材の下端部が、腹側弾性部材又は背側弾性部材によって収縮される恐れを軽減し、腹側部材及び背側部材の折り返された部分によって吸収性物品が下方向へ落ちる恐れをより軽減することができる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記腹側部材及び前記背側部材より肌側に設けられており、前記吸収性本体の前記一方側の端部には、前記吸収性本体と前記腹側部材とが接着された腹側接着領域を有しており、前記吸収性本体の前記他方側の端部には、前記吸収性本体と前記背側部材とが接着された背側接着領域を有しており、前記幅方向において、前記腹側接着領域が、前記吸収性本体の両側端より内側に位置していること、又は、前記背側接着領域が、前記吸収性本体の両側端より内側に位置していることが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、吸収性本体の側端部と、腹側部材又は背側部材が接合されていないため、吸収性物品における脚回り開口での着用者の脚の可動域を広く維持することができる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記一方側の前記非接合部の少なくとも一部が、前記腹側部材に設けられ、前記幅方向に沿った複数の腹側弾性部材のうちの最も下方に位置する前記腹側弾性部材より下方に位置していること、又は、前記他方側の前記非接合部の少なくとも一部が、前記背側部材に設けられ、前記幅方向に沿った複数の背側弾性部材のうち最も下方に位置する前記背側弾性部材より下方に位置していることが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、防漏壁同士を接合することによって先端部に形成された平面状の部分が腹側弾性部材又は背側弾性部材によって縮められる恐れを軽減させることができるため、着用者の身体に当接させる状態をより維持しやすくし、吸収性物品と着用者の身体との隙間を作りにくくすることができる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記一方側及び前記他方側のうちの少なくともいずれかの側に、前記吸収性本体の下部よりも剛性の高い高剛性領域を有しており、前記上下方向において、前記接合部の前記いずれかの側の端部と前記高剛性領域の少なくとも一部とが重なっていることが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、上下方向において、吸収性本体の高剛性領域と接合部の端部とが重なっていることによって、腹側部材又は背側部材が有する弾性部材による伸縮を軽減させることができ、着用者の身体に当接させる、防漏壁同士を接合することによって先端部に形成された平面状部分の状態をより維持しやすくできる。
【0025】
===第1実施形態===
<おむつ1の基本構成>
本実施形態で扱う吸収性物品の一例として、パンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」とも呼ぶ)の基本的な構成について説明する。
図1は、第1実施形態のおむつ1を腹側から見た概略正面図である。
図2は、おむつ1の展開且つ伸長状態の平面図であり、
図3は、
図2中のX−X断面図である。なお、
図2における「伸長状態」とは、製品(おむつ1)を皺なく伸長させた状態、具体的には、おむつ1を構成する各部材(例えば、後述するバックシート14等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長した状態のことを言う。また、
図3では便宜上厚さ方向における縮尺を変えている。
【0026】
このおむつ1は、
図1のパンツ型の状態において、互いに直交する三方向として上下方向と幅方向と前後方向とを有している。そして、以下では、このパンツ型の状態における前後方向の前側及び後側のことを、それぞれ「腹側」及び「背側」とも言う。
【0027】
一方、
図2の展開状態においては、おむつ1は、互いに直交する三方向として長手方向と幅方向とを有している。そして、以下では、この展開状態における長手方向の「一方側」及び「他方側」のことを、それぞれ「腹側」及び「背側」とも言う。なお、展開状態における幅方向は、パンツ型の状態における幅方向と同じ方向である。また、展開状態の長手方向は、パンツ型の状態の上下方向に沿った方向である。また、
図3、
図4A〜
図4Cに示すように、上下方向(長手方向)及び幅方向と直交する方向を「厚さ方向」とし、着用対象者の肌と当接する側を「肌側」とし、その反対側を「非肌側」とする。
【0028】
また、おむつ1は、長手方向において腹側部材3と、背側部材4と、吸収性本体10とを有する。腹側部材3は、着用者の腹側を覆う部材であり、背側部材4は、着用者の背側を覆う部材であり、吸収性本体10は、着用者の股下に配置され排泄物を吸収する部材である。
図2の展開状態において、腹側部材3と背側部材4は、互いに間隔を空けて平行に並んだ状態において、腹側部材3と背側部材4の間に吸収性本体10が架け渡されている。
【0029】
おむつ1は、
図2の展開状態から、吸収性本体10の長手方向(上下方向)の所定位置CL10を折り位置として吸収性本体10が二つ折りされるとともに、二つ折りの状態において互いに対向する腹側部材3及び背側部材4が側端部3es及び側端部4esにて溶着等で接合されると、腹側部材3、背側部材4同士が環状に繋がって、
図1に示すような胴回り開口BH及び一対の脚回り開口LH、LHが形成されたパンツ型の状態のおむつ1となる。
【0030】
このとき、吸収性本体10の一方側(腹側)の端部、具体的には
図2における点a、b、c、dで囲まれた矩形領域に、腹側部材3が非肌側から重ねられ、腹側接着領域3Bで接着固定されている。腹側接着領域3Bは、ホットメルト等の接着剤が塗布されて接着固定された領域である。このとき、長手方向において、腹側部材3の下端3ebは、腹側接着領域3Bよりも他方側に位置しており、幅方向において、腹側接着領域3Bは、吸収性本体10の側端10eより内側に位置している。つまり、パンツ型の状態において、上下方向において、下端3edが腹側接着領域3Bの下端よりも下方に位置しており、点a、b、c、dで囲まれた矩形領域のうち、腹側接着領域3Bの下端から腹側部材3の下端3ebの間の領域3Fには、接着剤が塗布されておらず、腹側部材3と吸収性本体10が接着されていない領域となっている。また、点a、b、c、dで囲まれた矩形領域のうち、腹側接着領域3Bの側端から吸収性本体10の側端10eの間の領域3Gには、接着剤が塗布されておらず、腹側部材3と吸収性本体10が接着されていない領域となっている。
【0031】
同様に、吸収性本体10の他方側(背側)の端部、具体的には
図2における点e、f、g、hで囲まれた矩形領域に、背側部材4が非肌側から重ねられ、背側接着領域4Bで接着固定されている。背側接着領域4Bは、ホットメルト等の接着剤が塗布された領域である。このとき、長手方向において、背側部材の下端4ebは、背側接着領域4Bよりも一方側に位置しており、幅方向において、背側接着領域4Bは、吸収性本体10の側端10eより内側に位置している。つまり、パンツ型の状態において、上下方向において、下端4edが背側接着領域4Bの下端よりも下方に位置しており、点e、f、g、hで囲まれた矩形領域のうち、背側接着領域4Bの下端から背側部材4の下端4ebの間の領域4Fに接着剤が塗布されておらず、背側部材4と吸収性本体10が接着されていない領域となっている。また、点e、f、g、hで囲まれた矩形領域のうち、背側接着領域4Bの側端から吸収性本体10の側端10eの間の領域4Gには、接着剤が塗布されておらず、背側部材4と吸収性本体10が接着されていない領域となっている。
【0032】
さらに、点a、b、c、dで囲まれた矩形領域のうち、腹側接着領域3Bの下端から腹側部材3の下端3ebの間の領域3Fには、弾性部材35aが配置されておらず、点e、f、g、hで囲まれた矩形領域のうち、背側接着領域4Bの下端から背側部材4の下端4ebの間の領域4Fには、弾性部材45a、45lgが配置されていない。つまり、弾性部材35aは、領域3Fより上方(一方側)に配置されており、弾性部材45a、45lgは、領域4Fより上方(他方側)に配置されている。
【0033】
吸収性本体10は、尿等の排泄物を吸収する機能を有し、
図2に示されるように平面視略長方形をなし、その長手方向をおむつ1の上下方向に沿わせつつ幅方向の中央に配置されている。吸収性本体10は、液体吸収性の吸収性コア11と、吸収性コア11の外周面を被覆するコアラップシート12を有する。また、吸収性本体10の幅方向の両側には、防漏壁50が設けられている。防漏壁50の詳細については後で説明する。
【0034】
吸収性コア11は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を所定形状に成形したものであり、その内部には高吸収性ポリマー(所謂SAP)等が混入されている。本実施形態において、吸収性コア11は平面視略砂時計形状である。コアラップシート12は、吸収性コア11の外周面を被覆する液透過性のシート部材であり、ティッシュペーパーや不織布等を使用可能である。
【0035】
トップシート13は、吸収性コア11の厚さ方向の肌側面に配置され、着用時に着用者の肌と当接する液透過性のシート部材である。トップシート13は、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等によって形成される。
【0036】
バックシート14は、吸収性コア11の厚さ方向の非肌側に配置され、おむつ1の外層の一部を構成する液不透過性のシート部材である。バックシート14は、例えば樹脂フィルム等によって形成される。
【0037】
そして、トップシート13とバックシート14は、吸収性コア11から長手方向及び幅方向に突出した部分で接着や溶着等によって互いに接合され、これにより、トップシート13、バックシート14同士の間に吸収性コア11が保持されている。
【0038】
腹側部材3は、着用者の肌側に位置する肌側シート31と、着用者の非肌側に位置する非肌側シート32とが厚さ方向に重ねられている。肌側シート31と非肌側シート32は、略同一形状の略矩形形状を有している。また、それぞれ柔軟なシート部材であり、例えば不織布等によって形成される。
【0039】
腹側部材3には、糸ゴム等の複数の腹側弾性部材35aが所定の伸長倍率で幅方向に伸長された状態で肌側シート31と非肌側シート32との間に挟まれて接合されている。この腹側弾性部材35aによって、おむつ1の腹側部材3に幅方向の伸縮性が付与される。
【0040】
背側部材4は、着用者の肌側に位置する肌側シート41と、着用者の非肌側に位置する非肌側部材42とが厚さ方向に重ねられている。肌側シート41と非肌側シート42は、略同一形状で、長手方向の中央部(CL10側)が幅方向の内方に向かって幅狭となった幅狭部40cを有している。また、それぞれ柔軟なシート部材であり、例えば不織布等によって形成される。
【0041】
背側部材4には、糸ゴム等の複数の背側弾性部材45aが所定の伸長倍率で幅方向に伸長された状態で肌側シート41と非肌側シート42との間に挟まれて接合されている。この背側弾性部材45aによって、おむつ1の背側部材4に幅方向の伸縮性が付与される。
【0042】
また、背側部材4には、背側弾性部材45aと同様に、肌側シート41と非肌側シート42の厚さ方向の間に、複数の背側脚回り弾性部材45lgが設けられている。背側脚回り弾性部材45lgは、背側部材4の長手方向の内側の領域(吸収性コア11の長手方向の中央寄りの位置)から幅狭部4cに沿って湾曲して配置されている。具体的には、背側脚回り弾性部材45lgは、幅方向の中央部に幅方向に沿った直線部45lgsと、直線部45lgsの幅方向の両側から幅方向の外側に向かって斜め上方に湾曲した湾曲部45lgcと、を有する(
図2)。
【0043】
<防漏壁50について>
次に、防漏壁50について説明する。防漏壁50は、吸収性本体10の幅方向両側において、吸収性本体10の長手方向(おむつ1の上下方向)に沿って配置され、おむつ1の着用時には吸収性本体10の側端部から起立して、排泄物がおむつ1の外側に漏出するのを抑制する。
図4Aは、
図2中のA−A断面図であり、
図4Bは、
図2中のB−B断面図であり、
図4Cは、
図2中のC−C断面図である。
図5は、防漏壁50を展開且つ伸長状態にした吸収性本体10の平面図である。
図6は、
図4Cの領域Dについて説明する図である。なお、
図4A〜
図4C、
図6では便宜上厚さ方向における縮尺を変えている。
【0044】
図5に示すように、防漏壁50は、シート部材50sを長手方向に沿った折り曲げ線f1〜f3にて幅方向に折り畳むことによって形成される。防漏壁50を形成するシート部材50sは、例えば不織布等、柔軟性を有するシート部材を使用することができる。また、防漏壁50には、長手方向に沿った伸縮可能な糸ゴム等の複数の防漏壁弾性部材55が所定の伸長倍率で伸長された状態で防漏壁50に接合されている。本実施形態においては、防漏壁弾性部材551〜555が幅方向の外側から内側に向かって並んで配置されている。この複数の防漏壁弾性部材55によって防漏壁50に長手方向に沿った伸縮性が付与され、おむつ1着用時に防漏壁50を起立させる。防漏壁弾性部材55の数量や配置は
図5に示される限りではなく、おむつ1の使用に応じて適宜変更可能である。
【0045】
図5に示される展開状態において、防漏壁50(シート部材50s)の幅方向の内側端部50eiは、厚さ方向においてコアラップシート12で被覆された吸収性コア11とバックシート14との間に接着固定されている。一方、防漏壁50(シート部材50s)の幅方向の外側端部50eоは吸収性本体10の幅方向外側に張り出している。この状態で、外側端部50eоが折り曲げ線f1を基点として幅方向の内側に折り曲げられ、防漏壁弾性部材551〜555を間に挟んだ状態でシート部材50s同士が厚さ方向に重ねられ、互いに接合される。このとき、防漏壁弾性部材55のうち、幅方向において最も外側の防漏壁弾性部材551は、折り曲げ線f1の幅方向位置に揃えて配置されている。
【0046】
続いて、シート部材50sが折り曲げ線f2を基点として厚さ方向の非肌側かつ幅方向の内側に折り曲げられる。折り曲げ線f2の幅方向位置は、防漏壁弾性部材554の幅方向位置とほぼ同じ位置である。続いて、シート部材50sが折り曲げ線f3を基点として厚さ方向の肌側かつ幅方向の内側に折り曲げられる。これにより、
図4A〜
図4C及び
図6に示されるような略S字状に折り曲げられた防漏壁50が形成される。なお、
図6の場合、折り曲げ線f3の位置が防漏壁50を起立させる際の基部50rpとなる。
【0047】
防漏壁50は、シート部材50sが幅方向の一方側から他方側へ折り返されることにより、厚さ方向の最も肌側に肌側部51が形成されている。肌側部51には、折り曲げ線f1と折り曲げ線f2との間に防漏壁弾性部材551〜554が設けられている。また、肌側部51の厚さ方向の非肌側には非肌側部52が形成されている。非肌側部52には、折り曲げ線f2と折り曲げ線f3との間に防漏壁弾性部材554、555が設けられている。なお、防漏壁弾性部材554は幅方向について折り曲げ線f2とほぼ同じ位置に配置されていることから、肌側部51及び非肌側部52の両方に設けられているものとする。
【0048】
そして、防漏壁50では、肌側部51と非肌側部52との互いに対向する対向面同士の一部が接合されて、摘み接合部61が設けられている。以下、防漏壁50において、摘み接合部61、及び摘み接合部61が形成されている部分よりも幅方向の内側の領域を、折り込み部53とも呼ぶ。本実施形態では、肌側部51(非肌側部52)の幅方向内側の領域に、
図6の左斜め下がり斜線部で示される摘み接合部61が設けられ、折り込み部53が形成されている。なお、摘み接合部61はホットメルト接着剤等の接着剤を用いた接着手段や、エンボス加工等の圧着手段を用いて形成されている。摘み接合部61は、幅方向において、防漏壁50の先端より内側(幅方向の中央側)に設けられており、摘み接合部61が設けられていない防漏壁50の先端部(幅方向の外側)は、肌側部51と非肌側部52とが接合されていない。以下、肌側部51のうち、肌側部51と非肌側部52とが接合されていない領域を肌側単独部54とも呼ぶ。
【0049】
摘み接合部61の長手方向の外側の領域には、摘み接合部61が設けられていない。すなわち、防漏壁50のうちの、長手方向において摘み接合部61よりも一端側の領域及び他方側の領域は、防漏壁50(シート部材50s)の厚さ方向の対向面同士が接合されていない非接合部62を有する。この非接合部62では、
図4Bに示されるように防漏壁50の肌側部51と非肌側部52が接合されていないため、折り込み部53は形成されておらず、肌側部51の幅方向の全領域が肌側単独部54となる。
【0050】
また、防漏壁50の長手方向の両端部には、エンド接合部63が設けられている。エンド接合部63では、防漏壁50の肌側部51と非肌側部52とが接合されると共に、非肌側部52とトップシート13とが接合されている(
図4A等)。これにより、防漏壁50の長手方向の端部において肌側部51及び非肌側部52がトップシート13に固定される。
【0051】
摘み接合部61の一部は、上下方向において背側部材4と重なっている。つまり、
図2に示すように、摘み接合部61の他方側の端部は、背側部材4の下端4ebより他方側(上側)に位置している。このとき、摘み接合部61は、背側脚回り弾性部材45lg(直線部45lgs)と交差しており、背側脚回り弾性部材45lgとも上下方向において重なっている。
【0052】
この防露壁50を用いることで、股間部に隙間が生じることを抑制することができる。
図7Aは、排泄が行われる前のおむつ1の着用状態について説明する図である。
図7Bは、排泄が行われた後のおむつ1の着用状態について説明する図である。
【0053】
図7Aに示すように、おむつ1の着用状態では、防漏壁50のうち、肌側に配置された肌側部51が着用者の身体と当接する。すなわち、肌側部51の全体が着用者の身体に対して面接触するように配置される。摘み接合部61は、肌側部51と非肌側部52とが積層された状態で接合されていることにより剛性が高くなっている。そのため、防漏壁弾性部材554、555による収縮力が作用すると、肌側部51は面形状を維持したまま、着用者の身体にしっかりと押し当てられる。防漏壁弾性部材555が収縮することにより非肌側部52と肌側部51とが同時に着用者の肌側に押し上げられるため、折り込み部53が面形状を維持した状態で着用者の肌と当接(面接触)しやすくなる。一方、肌側部51のうち肌側単独部54は、折り込み部53よりも剛性が低いため自由に変形しやすい。そのため、肌側単独部54に配置された防漏壁弾性部材551〜553による収縮力が作用すると、肌側単独部54は身体の凹凸に応じた曲面を形成しながら着用者の肌側に押し当てられる。これにより、防漏壁50の肌側部51の全体を着用者の身体に面でピタッとフィットさせることができる。
【0054】
<<<本実施形態に係るおむつ1の有効性について>>>
まず、比較例として従来型の防漏壁150を有するパンツ型使い捨ておむつ100(以下、「おむつ100」とも呼ぶ)を着用する際に生じる問題について説明する。
図8Aは、排泄が行われる前のおむつ100(比較例)の着用状態について説明する図である。
図8Bは、排泄が行われた後のおむつ100(比較例)の着用状態について説明する図である。
【0055】
比較例のおむつ100の基本的な構造は、本実施形態のおむつ1とほぼ同様であるが、おむつ100の防漏壁の摘み接合部161は腹側部材3とも背側部材4とも上下方向(長手方向)において、重なっていない点が異なっている。吸収性本体110(吸収性コア111)の幅方向の両端部に一対の防漏壁150が設けられ、防漏壁150には、糸ゴム等の弾性部材155が複数(
図8Aにおける弾性部材1551〜1555)備えられており、弾性部材155による収縮力が作用することによって、防漏壁150が上方に起立する。おむつ100の着用状態では、
図8Aに示されるように弾性部材1551〜1555によって防漏壁150の肌側部151が面形状を形成し、肌側単独部154が着用者の身体に応じた曲面を形成しながら着用者の肌側に押し当てられる。
【0056】
この状態で、排泄が行われると、吸収性コア111が尿等を吸収して重量が重くなり、各防漏壁弾性部材155が下方に引っ張られて伸長する。これにより、平面状に当接していた肌側部151と、着用者の肌との間に隙間が生じてしまう。つまり、
図8Bに示すように、肌側部151のうち、防漏壁1552、1553、1554が、吸収性コア111の重さにより下方へ伸長して、防漏壁1552、1553、1554が設けられた部分と着用者の肌との間に隙間が生じることになる。このように、排泄が行われる前の、着用者の身体に当接していた面形状が変形して、股間部に隙間が生じ、排泄物が外部に漏出してしまう恐れがある。
【0057】
一方、本実施形態のおむつ1は、防漏壁50に設けられた肌側部51と非肌側部52の幅方向の内側の側部の対向面が接合された摘み接合部61と、摘み接合部61よりも上方に、非接合部62を有しており、上下方向において、摘み接合部61の一部が背側部材4と重なっている。つまり、
図2に示すように、摘み接合部61の他方側の端部は、背側部材4と重なっている。そのため、摘み接合部61と背側部材4とが重なっている部分は、背側部材4が防漏壁50の肌側部51と非肌側部52を肌側へ押し当てる方向へ力が働くため、肌側部51の平面状を維持しやすくなる。つまり、従来(
図8A、
図8B)のおむつ100は、摘み接合部61と背側部材4(又は腹側部材3)とが重ねられていないため、防漏壁150の肌側部151を着用者の肌に当接させた平面状態を防漏壁弾性部材155のみによって維持していたが、本実施形態のおむつ1においては、弾性部材55のみならず背側部材4によっても、肌側部51を肌に当接させる平面状態を維持している(
図7B)。背側部材4の弾性部材45a、45lgの収縮によって、肌側部51及び非肌側部61を含めた吸収性本体10がより肌側へ押し付けられる。つまり、弾性部材45a、45lgを有する背側部材4によって、非肌側から背側部材4が重なった非肌側部52が、肌側部51を肌側へ押し付ける力が働くため、肌側部51を着用者の肌側に当接された平面状態を維持しやすくなる。その結果、おむつ1と着用者の身体との隙間を作りにくくして、排泄物が外部に漏れてしまう恐れを軽減することができる。
【0058】
なお、おむつ1は、上下方向において、摘み接合部61の一部が背側部材4と重なっていることにしたが、これに限られない。上下方向において、摘み接合部61と腹側部材3とが重なっていてもよい。摘み接合部61と腹側部材3とが重なっている場合においても、背側部材4と同様に、防漏壁50(肌側部51)の平面状の部分を維持しやすくして、おむつ1と着用者の身体との隙間を作りにくくすることができる。
【0059】
さらに、摘み接合部61の一方側の端部及び他方側の端部が腹側部材3と背側部材4とそれぞれ重なっていることがより好ましい。これにより、摘み接合部61と重ねられた背側部材3又は腹側部材4が、防漏壁50の肌側部51及び非肌側部52をより肌側に押し当てることができるため、防漏壁50(肌側部51)の平面状の部分をより維持しやすくなる。
【0060】
摘み接合部61の一方側の端部及び他方側の端部が腹側部材3と背側部材4とそれぞれ重なっている場合、上下方向(長手方向)において、摘み接合部61と腹側部材3が重なっている領域の長さより、摘み接合部61と背側部材4が重なっている領域の長さの方が長いことがより好ましい。通常、おむつ1のような使い捨ておむつは、臀部を覆う必要がある背側部材4の方が腹側部材3より上下方向の長さが長い。そのため、上下方向における、摘み接合部61と腹側部材3が重なっている領域の長さより、摘み接合部61と背側部材4が重なっている領域の長さの方が長くすることで、防漏壁50(肌側部51)の平面状の部分をより維持しやすくし、おむつ1と着用者の身体との隙間をより作りにくくすることができる。
【0061】
さらに、本実施形態のおむつ1は、吸収性本体10が腹側部材3及び背側部材4より肌側に設けられており、吸収性本体10の一方側の端部(点a、b、c、dで囲まれた領域)に、吸収性本体10と腹側部材3とを接着する腹側接着領域3Bを有し、吸収性本体10の他方側の端部(点e、f、g、hで囲まれた領域)に吸収性本体10と背側部材4とを接着する背側接着領域4Bを有している。そして、腹側部材3の下端3ebは腹側接着領域3Bよりも下方に位置しており、背側部材4の下端4ebは背側接着領域4Bよりも下方に位置している。つまり、
図3A、
図3Bに示すように、点a、b、c、dで囲まれた領域のうち、腹側部材3の下端3ebと腹側接着領域3Bとの間の領域3Fには接着剤が塗布されず、腹側部材3と吸収性本体10とが接着されていない領域となっており、点e、f、g、hで囲まれた領域で囲まれた領域のうち、背側部材4の下端4ebと背側接着領域4Bとの間の領域4Fには接着剤が塗布されず、背側部材4と吸収性本体10とが接着されていない領域となっている。
【0062】
図9Aは、着用状態におけるおむつ1の幅方向の腹側中央断面の一部を説明する図である。
図9Bは、着用状態におけるおむつ1の幅方向の背側中央断面の一部を説明する図である。
図9Aに示すように、着用者がおむつ1を着用し、さらに衣服を着用すると、衣服と接触した腹側部材3の領域3Fの部分が上方に折り返されることがある。
図9Bに示すように、衣服と接触した背側部材4の領域4Fの部分が上方に折り返されることがある。このように、腹側部材3(背側部材4)のうち吸収性本体10と接着されていない領域3F(領域4F)が上方へ折り返されて、着用者の腹部(背部)と衣服との間に挟まれた場合、領域3F(領域4F)の部分が吸収性本体10と腹側部材3(背側部材4)と接着した場合よりも、折り返された部分(領域3F、4F)による衣服への引っかかりが生じやすくなるため、吸収性本体10が重くなった場合でも、領域3F(領域4F)の部分が吸収性本体10と腹側部材3(背側部材4)と接着した場合よりも、おむつ1を下方に垂れ下がりにくくし、防漏壁50の平面状の部分と身体との間に隙間が生じる恐れをより軽減することができる。
【0063】
なお、本実施形態のおむつ1においては、腹側部材3の下端3ebが腹側接着領域3Bよりも下方に位置し、かつ、背側部材4の下端4ebが背側接着領域4Bよりも下方に位置していることにしたが、これに限られない。いずれか一方のみに当てはまるものであってもよい。但し、腹側部材3の下端3ebが腹側接着領域3Bよりも下方に位置し、かつ、背側部材4の下端4ebが背側接着領域4Bよりも下方に位置していることによって、よりおむつ1が下方に垂れ下がることを抑制することができる。
【0064】
さらに、本実施形態のおむつ1においては、上下方向において、腹側接着領域3Bの下端から腹側部材3の下端3ebまでの領域3Fには、弾性部材35aが配置されておらず、背側接着領域4Bの下端から背側部材4の下端4ebまでの領域4Fには、弾性部材45a、45lgが配置されていない。これにより、着用時において、衣服によって折り返される領域3Fの腹側部材3及び領域4Fの背側部材4が、弾性部材35a、45a、45lgによって幅方向に収縮されてしまう恐れを軽減することができるため、おむつ1が下方に垂れ下がる恐れをより軽減することができる。
【0065】
さらに、本実施形態のおむつ1においては、幅方向において、腹側接着領域3Bが、吸収性本体10の両側端10eより内側に位置しており、背側接着領域4Bが、吸収性本体10の両側端10eより内側に位置している。これによって、幅方向における、吸収性本体10と腹側部材3(背側部材4)とが接着した領域をより狭くすることができ、脚回り開口LHにおける、着用者の脚の可動範囲をより広くすることができる。つまり、幅方向において、腹側部材3(背側部材4)と吸収性本体10との接着領域が広いほど、腹側部材3(背側部材4)がより強固に吸収性本体10を支持することができる一方で、脚回り開口LHが狭くなってしまい、着用者は脚を動かすことができる範囲が狭められてしまう恐れを生じる。そのため、おむつ1においては、幅方向において、腹側接着領域3B(背側接着領域4B)を、吸収性本体10の両側端10eより内側に設けることで、排泄物を吸収して重くなった吸収性本体10を支持しつつ、脚回り開口LHをより広く開口することができ、着用者の脚の可動域をより広くすることができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、幅方向において、腹側接着領域3Bが、吸収性本体10の両側端10eより内側に位置し、かつ、背側接着領域4Bが、吸収性本体10の両側端10eより内側に位置したが、これに限られない。幅方向において、腹側接着領域3Bのみが両側端10eより内側に位置してもよく、背側接着領域4Bのみが両側端10eより内側に位置してもよい。ただし、腹側接着領域3B及び背側接着領域4Bの両方が、吸収性本体10の両側端10eより内側に位置することで、着用者の脚回りの可動域をより広くすることができる。
【0067】
===第2実施形態===
<おむつ2の基本構成>
次に、本発明の第2実施形態に係るおむつ2の構成について、
図10を参照して説明する。
図10は、第2実施形態のおむつ2の展開且つ伸長状態の平面図である。
図10において、第1実施形態にかかるおむつ1の構成において説明したものと共通するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0068】
本実施形態に係るおむつ2は、おむつ1と同様に、腹側部材3、背側部材4、吸収性本体10を有するパンツ型の使い捨ておむつである。吸収性本体10の一方側(腹側)の端部(点a、b、c、dで囲まれた矩形領域)には、腹側部材3が非肌側から重ねられて、腹側接着領域(不図示)で接着固定され、他方側(背側)の端部(点e、f、g、hで囲まれた矩形領域)には、背側部材4が非肌側から重ねられて、背側接着領域(不図示)で接着固定されている。
【0069】
吸収性本体10の一方側の端部(点a、b、c、dで囲まれた矩形領域)には、吸収性本体10を厚み方向に圧搾することによって、吸収性本体10の下部(長手方向における中央部)より剛性が高くなった高剛性領域3Eが設けられている。高剛性領域3Eは、弾性部材35aの収縮によって吸収性本体10の一方側の端部が幅方向の内側に縮められる恐れを軽減している。
【0070】
同様に、吸収性本体10の他方側の端部(点e、f、g、hで囲まれた矩形領域)には、吸収性本体10を厚み方向に圧搾することによって、吸収性本体10の下部(長手方向における中央部)より剛性が高くなった高剛性領域4Eが設けられている。高剛性領域4Eは、弾性部材45aの収縮によって吸収性本体10の他方側の端部が幅方向の内側に縮められる恐れを軽減している。
【0071】
おむつ2は、
図10に示す展開状態から、吸収性本体10の長手方向(上下方向)の所定位置CL10を折り位置として吸収性本体10を二つ折り状態にし、互いに対向する腹側部材3及び背側部材4の、側端部3es及び側端部4esで溶着接合して、胴回り開口BH(不図示)、及び一対の脚回り開口LH、LH(不図示)が形成されたパンツ型状態のおむつ2となる。
【0072】
腹側部材3は、略矩形形状の肌側シート31と非肌側シート32が厚さ方向に重ねられ、肌側シート31と非肌側シートの間に、糸ゴム等の弾性部材35aが挟まれて接合されている。
【0073】
背側部材4は、長手方向の中央部(CL10側)が幅方向の内方に向かって幅狭となっている幅狭部4cを有した略同一形状の肌側シート41と非肌側シート42が厚さ方向に重ねられている。肌側シート41と非肌側シートの間に、糸ゴム等の弾性部材45aが挟まれて接合されている。弾性部材45aと同様に、肌側シート41と非肌側シート42の間に、複数の背側脚回り弾性部材45lgcが、背側部材4の長手方向の内側の領域(吸収性コア11の長手方向の中央寄りの位置)から幅狭部4cに沿って、幅方向の外側に向かって斜め上方に湾曲して配置されている。なお、おむつ2においては、背側脚回り弾性部材45lgのうち、おむつ1の幅方向に沿った直線部45lgsを有していない。
【0074】
吸収性本体10は、吸収性コア11、コアラップシート12、トップシート13、バックシート14を備え、一対の防漏壁50が設けられている。おむつ2の吸収性コア11は、平面視略矩形形状であり、SAP等が混入されたパルプ繊維等の液体吸収性繊維を成形したものである。
【0075】
防漏壁50は、おむつ1と同様に、吸収性本体10の長手方向に沿って配置され、おむつ2の着用時には吸収性本体の側端部から起立して、排泄物がおむつ2の外側に漏出するのを抑制する。防漏壁50は、長手方向に防漏壁弾性部材55を複数有しており、おむつ2の着用時に防漏壁を起立させる。また、シート部材(防漏壁50)の折り返しにより、肌側部(不図示)と非肌側部(不図示)が設けられ、肌側部と非肌側部との互いに対向する対向面同士の一部が接合された摘み接合部61と、肌側部と非肌側部の対向面同士が接合されていない非接合部62が設けられている。
【0076】
おむつ2は、上下方向において、摘み接合部61より上側(腹側及び背側)に、それぞれ非接合部62が設けられ、摘み接合部61の一部が背側部材4と重なっている。
【0077】
このとき、他方側(背側)の非接合部62の一部は、背側部材4の幅方向に沿った弾性部材45aのうち、最も下方に位置する弾性部材45aよりも下方(長手方向の中央側)に位置している。つまり、
図10に示すように、摘み接合部61は弾性部材45aと重なっておらず、また、おむつ1のような背側脚回り弾性部材45lgの直線部45lgsも有していないため、幅方向に沿った弾性部材と摘み接合部61は重なっていない。そのため、背側の摘み接合部61は、弾性部材によって幅方向へ収縮される恐れを軽減し、着用者の身体に当接させる防漏壁50の平面状の部分をより維持しやすくすることができる。
【0078】
さらに、おむつ2においては、上下方向において、摘み接合部61の背側の端部と高剛性領域4Eの一部が重なっている。つまり、高剛性領域4Eの一部の両側に摘み接合部61の一部が設けられている。高剛性領域4Eは、圧搾によって剛性が高くなっているので、圧搾を行っていない領域(吸収性本体10の長手方向の中央部)より変形しづらい領域となっている。そのため、上下方向において、剛性の高い高剛性領域4Eの一部と重なった摘み接合部61の部分が、高剛性領域4Eによって、変形しづらい状態となるため、弾性部材45a、45lgによる幅方向への収縮によって防漏壁50の肌側部51の平面状部分が変形してしまうことを抑制し、着用者に身体に当接させる平面状態を維持しやすくできる。
【0079】
なお、おむつ2においては、腹側部材3と背側部材4の両方に高剛性領域3E、4Eを設けたが、高剛性領域3Eだけでも、高剛性領域4Eだけでもよい。このとき、上下方向において、高剛性領域3E及び高剛性領域4Eと摘み接合部61の一部が重なっていてもよく、いずれか一方の高剛性領域と摘み接合部61の一部が重なるものであってもよい。なお、高剛性領域を腹側部材3及び背側部材4の両方に設けることで、防漏壁50の平面状の部分が変形される恐れをより軽減させることができ、さらに、摘み接合部61の一部が高剛性領域3E、4Eの両方と重なることで、より一層防漏壁50の平面状の部分を維持しやすくすることができる。
【0080】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0081】
上述の実施形態では、胴回り弾性部材や防漏壁弾性部材として、糸ゴムを用いる例について説明されていたが、これらの弾性部材は所謂糸ゴム等の線状弾性部材に限られるものではない。例えば、所定の幅を有する平面状(帯状の)弾性部材が用いられても良い。また、防漏壁やバックシートを構成するシート部材を、伸縮性を有するシート部材(例えば伸縮性不織布)とすることで、糸ゴム等の弾性部材を別途設ける必要のない構成としても良い。
【解決手段】吸収性本体(10)と、吸収性本体(10)の一方側の端部に配置された腹側部材(3)と、他方側の端部に配置された背側部材(4)と、を備え、上下方向を有する吸収性物品(1)であって、吸収性本体(10)は、両側端部に一対の防漏壁(50)を有し、防漏壁(50)は、それぞれ、複数の弾性部材(55)を備えた肌側部(51)と非肌側部(52)とを有し、肌側部(51)と非肌側部(52)との互いに対向する対向面同士の少なくとも一部が接合された接合部(61)と、接合部(61)よりも上方に設けられ、対向面同士が接合されていない非接合部(62)とを備え、接合部(61)は、幅方向において、防漏壁(50)の先端よりも内側に設けられており、上下方向において、接合部(61)の少なくとも一部が、腹側部材(3)又は背側部材(4)と重なっている。