【文献】
Astushi Momose et al,Grating-Based X-ray Phase Imageing Using Multiline X-ray Source (Abstract),Japanese Journal of Applied Physics,日本,IOP Science,2009年 7月21日,第48巻,p.076512
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0022】
(実施形態1)
[基本原理]
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態1に係るX線撮像装置1の基本原理を説明する。
図1は、X線撮像装置1を模式的に示す斜視図である。
図2は、X線撮像装置1を模式的に示す平面図である。
【0023】
X線撮像装置1は、X線源3と、回折格子5と、検出器7とを備える。X線源3は、X線xrを発生する。回折格子5には、X線xrが照射される。検出器7は、X線xrに基づく回折格子5の自己像を検出する。検出器7は検出手段として機能する。
【0024】
X線源3は、基板9と、複数のライン状金属11とを含む。複数のライン状金属11は、基板9に形成され、X線xrを発生する。複数のライン状金属11は、互いに平行に形成される。なお、互いに平行に形成される複数のライン状金属11は、周期的に配列された複数の金属の一例である。
【0025】
本実施形態1によれば、複数のライン状金属11に電子線eを照射することによってX線xrを発生できる。ライン状金属11の厚みは、ライン状金属11への電子線eの侵入長と同程度で十分であるため、従来の光源格子の開口部の線幅よりも細い線幅のライン状金属11を形成できる。従って、X線xrの可干渉性を確保しつつ、回折格子5とX線源3との間の距離R1を短縮でき、ひいては、回折格子5の自己像の拡大率を確保しつつ、回折格子5と検出器7との間の距離R2を短縮できる。その結果、X線撮像装置1の小型化を実現できる。
【0026】
[X線撮像装置1の構成及び配置]
図1及び
図2を参照して、X線撮像装置1の構成及び配置について説明する。X線撮像装置1は、フィラメント13をさらに備えることができる。フィラメント13は、複数のライン状金属11(複数のターゲット金属)に電子線eを照射する。フィラメント13は、電子源として機能する。回折格子5は、複数のライン状開口部14(周期的に配列された複数の開口部の一例)を有する。複数のライン状開口部14は、互いに平行に形成される。なお、各ライン状開口部14は、回折格子5の一方主面から他方主面まで貫通してもよいし、溝状に形成されてもよい。検出器7は、N行×M列の画素15を含む。N及びMの各々は2以上の整数を示す。N行×M列の画素15の表面は検出面16を構成する。検出器7は、例えば、CCD(charge−coupled device)カメラである。
【0027】
回折格子5を基準にして三次元直交座標系を定義する。Z軸は、回折格子5に直交する方向に沿っている。Y軸は、ライン状開口部14の長手方向に沿っている。X軸は、Y軸及びZ軸に直交する。
【0028】
フィラメント13、X線源3、回折格子5、及び検出器7は、この順番でZ軸に沿って配置される。X線源3、回折格子5、及び検出面16は、Z軸に沿った方向、つまり、X線xrの光軸方向(電子線eの光軸方向)に直交する。ライン状金属11の長手方向はY軸に沿っている。従って、X線源3の複数のライン状金属11の長手方向は、回折格子5の複数のライン状開口部14の長手方向と平行である。被写体Obは、回折格子5と検出器7との間に配置される。
【0029】
[X線撮像装置1の動作]
図1及び
図2を参照して、X線撮像装置1の動作について説明する。X線撮像装置1は、X線吸収イメージング、X線位相イメージング、及びX線暗視野イメージングを実行する。X線吸収イメージングは、X線xrが被写体Obを透過することによるX線xrの強度変化を検出して、被写体Obの内部構造を観察する。X線位相イメージングは、X線xrが被写体Obを透過することによるX線xrの位相シフトの微分値を検出して、被写体Obの内部構造を観察する。X線位相イメージングを実行するためには、X線xrに可干渉性が要求される。X線暗視野イメージングは、X線xrが被写体Obを透過するときに発生するX線xrの小角散乱を検出して、被写体Obの内部構造を観察する。
【0030】
一般的なX線位相イメージングでは、マイクロフォーカスX線源(微小な光源)が使用される。マイクロフォーカスX線源は可干渉性を有するX線を発生する。しかし、マイクロフォーカスX線源の強度は弱いため、実用的な時間でのX線撮像は困難である。
【0031】
そこで、本実施形態1では、X線源3を使用することによって、X線xrの可干渉性及び強度を確保する。ライン状金属11の線幅Wは、値(λ・R1/P1)よりも小さいため、X線xrの可干渉性は確保される。λはX線xrの波長を示し、P1は回折格子5のライン状開口部14の周期を示す。
【0032】
なお、線幅Wが値(λ・R1/P1)よりも大きくなるほど、回折格子5の自己像にボケが発生する。しかし、ボケが発生しても撮像の目的を達成できることもある。従って、ボケを許容できる限度において、線幅Wを値(λ・R1/P1)より大きくしてもよい。また、線幅Wは値(λ・R1/P1)と同一でもよい。本発明は、線幅Wが値(λ・R1/P1)よりも小さい場合に限定されない。
【0033】
以下、詳細な動作を説明する。X線源3は、フィラメント13と回折格子5との間に配置される。フィラメント13は、電子線eを複数のライン状金属11に照射する。電子線eが照射された複数のライン状金属11は、可干渉性を有するX線xrを発生する。X線xrは、基板9を透過し、回折格子5に照射される。回折格子5は、位相格子である。位相格子はX線xrに対して位相差を与える。なお、回折格子5は吸収格子(振幅格子)でもよい。吸収格子はX線xrに対して強度差を与える。
【0034】
複数のライン状金属11が発生したX線xrは、回折格子5上で可干渉性を有する。従って、X線xrは、回折格子5により回折され、互いに干渉する。その結果、回折格子5よりも下流の特定位置に、回折格子5と同様な干渉パターン、つまり、回折格子5の自己像が形成される(タルボ効果)。フィラメント13の側を上流、検出器7の側を下流と記載する。
【0035】
自己像が形成される特定位置又は特定位置の近傍に検出器7が配置される。従って、自己像が検出器7の検出面16に投影される。検出器7が特定位置又は特定位置の近傍に配置されるため、検出面16での自己像のボケを抑制できる。また、自己像の周期が検出器7の1画素(画素15)の数倍以上となるように、距離R1及び距離R2を決定する。その結果、複数の画素15によって、自己像自体が検出される(自己像が直接検出される)。つまり、検出器7は、自己像自体を検出する(自己像を直接検出する)。なお、自己像の拡大率は、距離(R1+R2)と距離R1との比の値((R1+R2)/R1)によって決定される。
【0036】
なお、検出器7が、自己像が形成される特定位置及び特定位置の近傍から離れるほど、回折格子5の自己像にボケが発生する。しかし、ボケが発生しても撮像の目的を達成できることもある。従って、ボケを許容できる限度において、検出器7を特定位置から離れて配置してもよい。本発明は、検出器7が特定位置及び特定位置の近傍に配置される場合に限定されない。
【0037】
被写体Obを回折格子5と検出器7との間に配置すると、X線xrが被写体Obを通過することに応じて、被写体ObによるX線xrの吸収、位相シフト、及び小角散乱が発生し、回折格子5の自己像が変化する。従って、検出器7が検出した1枚の自己像の画像(被写体Obなし)及び1枚の自己像の画像(被写体Obあり)に基づいて、3種類の画像(吸収像、位相微分像(位相シフトの微分像)、及び暗視野像(小角散乱像))を算出(取得)することができる。吸収像は、被写体ObによるX線xrの強度変化に対応する像である。位相微分像は、被写体ObによるX線xrの位相シフトの微分値に対応する像である。暗視野像は、被写体ObによるX線xrの小角散乱に対応する像である。
【0038】
[X線源3の構造]
図3を参照して、X線源3の構造について説明する。
図3(a)は、X線源3の第1例を示す断面図である。第1例では、ライン状金属11は、一部が露出するように基板9に埋め込まれる。つまり、ライン状金属11のうち、電子線eが照射される面は露出している。
図3(b)は、X線源3の第2例を示す断面図である。第2例では、ライン状金属11は、露出することなく基板9に埋め込まれる。
図3(c)は、X線源3の第3例を示す断面図である。第3例では、ライン状金属11は、基板9の表面に形成される。
【0039】
第1例〜第3例において、ライン状金属11の各々は、線幅W及び厚みHを有する。線幅Wは、ライン状金属11の長手方向に垂直な方向に沿った長さである。厚みHは、ライン状金属11の基板9に直交する方向に沿った長さである。隣り合うライン状金属11の間隔Lは、ライン状金属11の線幅Wと同一、又は線幅Wより大きい。従って、回折格子5の自己像にボケが発生することを抑制できる。例えば、線幅W:間隔L=1:2である。線幅Wは、例えば、100nm〜2μmである。複数のライン状金属11は、周期P0(=W+L)で形成される。第2例に係るライン状金属11は、基板9の表面から深さDの位置に埋め込まれる。
【0040】
なお、間隔Lが線幅Wより小さくなるほど、回折格子5の自己像にボケが発生する。しかし、ボケが発生しても撮像の目的を達成できることもある。従って、ボケを許容できる限度において、間隔Lを線幅Wより小さくしてもよい。本発明は、間隔Lが線幅Wと同一である場合及び間隔Lが線幅Wより大きい場合に限定されない。
【0041】
ライン状金属11は、電子線eを照射することによってX線xrを発生可能な金属である。ライン状金属11は、例えば、銅、モリブデン、タングステン、又は銀である。基板9は、軽元素材料により形成される。例えば、基板9は、高融点及び高熱伝導率の軽元素材料により形成される。軽元素は、原子番号がアルゴンより小さい元素である。例えば、軽元素材料は、炭素(例えば、ダイヤモンド)、ベリリウム、アルミニウム、ボロンナイトライド、又はシリコンカーバイトである。
【0042】
X線源3に電子線eを照射すると、X線は、基板9及びライン状金属11から発生する。ライン状金属11から発生するX線の強度は、基板9から発生するX線の強度よりも圧倒的に強い。従って、ライン状金属11が実質的に有効な光源となる。また、電子線eのライン状金属11への侵入長は1μm〜数μmである。例えば、管電圧を20kVとして発生した電子線を銅に照射すると、電子線の銅への侵入長は約1μmである。
【0043】
ライン状金属11の厚みHは、電子線eの侵入長と同程度で十分であるため、容易に1μm〜数μmの線幅W及び厚みHのライン状金属11を形成できる。また、従来の光源格子の開口部の線幅を細くする場合と比較して、容易に100nm〜数μmの線幅W及び厚みHのライン状金属11を形成できる。
【0044】
[透過型ターゲットとしてのX線源3]
図2及び
図4を参照して、透過型ターゲットとしてのX線源3について説明する。
図4は、X線源3によるX線xrの発生を説明する図である。X線源3は透過型ターゲットである。X線源3は、電子線eを受けてライン状金属11(ターゲット金属)が発生するX線のうち、電子線eの進行方向(Z軸に沿った方向)に放射されるX線xrを出力する。そして、X線源3はフィラメント13と回折格子5との間に配置される。従って、X線xrは回折格子5に照射される。なお、X線のうち電子線eの進行方向に放射されるX線xrを取り出す手法として一般的な手法が採用される。従って、説明を省略する。
【0045】
[X線源3の視野角(一般的なX線源との比較)]
図5及び
図6を参照して、本実施形態1に係るX線源3と一般的なX線源とを比較しつつ、X線源3の視野角について説明する。
【0046】
図5は、一般的なX線源の視野角を説明する図である。一般的なX線源(例えば、特許文献1に開示されたX線源)は、光源Mと光源格子Gとからなる。光源格子Gは開口部OPを有する。なお、
図5では、説明の簡略化のため、1本の開口部OPを示している。光源MのサイズC0を考慮しない場合、視野角θc1は、開口部OPの幅g1及び光源格子Gの厚みg2によって、2tan
-1(g1/g2)として表される。光源格子Gから距離Aだけ離れた位置PSにおける視野Vc1は、2Atan(θc1/2)として表される。
【0047】
幅g1が1μmであり、厚みg2が30μmであり、距離Aが1mである。この場合、視野角θc1は3.8度、視野Vc1は66mmである。
【0048】
光源MのサイズC0を考慮して、視野角θc2及び視野Vc2を検討する。光源MのサイズC0を1mmとし、光源Mが光源格子Gから距離B1(20mm)の位置に配置される場合、視野角θc2は視野角θc1より小さくなり、視野Vc2は視野Vc1より狭くなる。また、光源Mが光源格子Gから離れるほど、視野角θc2は小さくなり、視野Vc2は狭くなる。
【0049】
なお、視野角θc1(3.8度)を確保するためには、光源Mには、距離B1(20mm)に対してサイズC1(1.3mm)が要求され、距離B2(40mm)に対してサイズC2(2.7mm)が要求され、距離B3(75mm)に対してサイズC3(5mm)が要求される。なお、一般的には、光源MのサイズC0は1mm以下であり、光源格子Gと光源Mとの間の距離は50mm以上である。
【0050】
図6は、X線源3の視野角を説明する図である。なお、
図6では、説明の簡略化のため、1本のライン状金属11を示している。ライン状金属11の線幅Wを1μmとして視野角θp及び視野Vpを考察する。視野Vpは、X線源3から距離Aだけ離れた位置PSにおける視野である。距離Aは、
図5に示した距離Aと同じであり、1mである。
【0051】
X線源3は、
図5を参照して説明した光源格子Gの開口部OPの幅g1による制約及び光源MのサイズC0による制約を受けない。従って、X線源3は、一般的なX線源の視野角θc1及び視野Vc1と比較して、大きい視野角θp及び広い視野Vpを有する。
【0052】
[変形例]
図7及び
図8を参照して、本発明の実施形態1の変形例に係るX線撮像装置1について説明する。
図7は、変形例に係るX線撮像装置1を模式的に示す平面図である。X線撮像装置1は、
図1に示したX線撮像装置1の構成に加えて、移動装置20をさらに備える。移動装置は移動手段として機能する。移動装置20は、X軸に沿って(矢印19が示す方向に)検出器7を段階的に移動させる。つまり、移動装置20は、回折格子5のライン状開口部14の長手方向に直交する方向に沿って、回折格子5に対して平行に、検出器7を段階的に移動させる。
【0053】
より詳細には、移動装置20は、検出器7の1画素(画素15)のX軸に沿った幅PWだけ、K(Kは2以上の整数)ステップで、検出器7を移動させる。従って、検出器7は、距離(PW/K)ずつ移動される。検出器7は、各ステップで回折格子5の自己像SIを検出する。その結果、K枚の自己像SIの画像が取得される。
【0054】
検出器7によって取得されたK枚の自己像SIの画像(被写体Obあり)に基づいて、3種類の画像(吸収像、位相微分像、及び暗視野像)を算出(取得)することができる。複数枚の自己像SIの画像(被写体Obあり)に基づいて3種類の画像を算出するため、1枚の自己像SIの画像(被写体Obなし)と1枚の自己像SIの画像(被写体Obあり)とに基づいて3種類の画像を算出する場合と比較して、より精細な画像を取得できる。
【0055】
図8は、被写体Obを配置しない場合に検出器7が出力する画素信号の強度変化を示す図である。横軸は、空間座標(X座標)を示し、縦軸は、画素信号の強度(任意単位)を示す。
図8では、一例として、移動装置20が4ステップ(K=4)で検出器7を移動させ場合に、検出器7が出力する画素信号の強度変化が示される。4ステップは、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、及び第4ステップからなる。また、検出面16での自己像SIの1周期が約4画素に対応する例を示している。
【0056】
図8に示すように、自己像SIに対応して、画素信号a1〜画素信号a4、画素信号b1〜画素信号b4、画素信号c1〜画素信号c4、及び画素信号d1〜画素信号d4が検出される。
【0057】
画素信号a1は第1ステップで画素15Aが出力した画素信号であり、画素信号a2は第2ステップで画素15Aが出力した画素信号であり、画素信号a3は第3ステップで画素15Aが出力した画素信号であり、画素信号a4は第4ステップで画素15Aが出力した画素信号である。
【0058】
画素信号b1は第1ステップで画素15Bが出力した画素信号であり、画素信号b2は第2ステップで画素15Bが出力した画素信号であり、画素信号b3は第3ステップで画素15Bが出力した画素信号であり、画素信号b4は第4ステップで画素15Bが出力した画素信号である。
【0059】
画素信号c1は第1ステップで画素15Cが出力した画素信号であり、画素信号c2は第2ステップで画素15Cが出力した画素信号であり、画素信号c3は第3ステップで画素15Cが出力した画素信号であり、画素信号c4は第4ステップで画素15Cが出力した画素信号である。
【0060】
画素信号d1は第1ステップで画素15Dが出力した画素信号であり、画素信号d2は第2ステップで画素15Dが出力した画素信号であり、画素信号d3は第3ステップで画素15Dが出力した画素信号であり、画素信号d4は第4ステップで画素15Dが出力した画素信号である。
【0061】
なお、移動装置20による検出器7の移動を実行しない場合は、例えば、画素信号a1、画素信号b1、画素信号c1、及び画素信号d1が検出される。
【0062】
以上、
図1〜
図3を参照して説明したように、本実施形態1及び変形例によれば、マルチラインターゲット(基板9と基板9に形成した複数のライン状金属11とにより形成されたX線源3)により、X線xrの可干渉性を確保しつつ距離R1を短縮でき、ひいては、回折格子5の自己像の拡大率を確保しつつ距離R2を短縮できる。従って、X線撮像装置1の小型化を実現できる。
【0063】
小型化により、X線源3から検出器7までの距離(R1+R2)が短縮される。しかも、X線撮像装置1は、
図5に示した光源格子Gを用いることなく、マルチラインターゲットにより可干渉性を有するX線xrを発生する。従って、X線xrの減衰率が小さくなる。その結果、フィラメント13への投入電力(管電圧×管電流)を低減させ、X線xrの強度を弱くしても、明瞭な吸収像、位相微分像、及び暗視野像を取得できる(投入電力の低減化)。また、露出時間の短縮化(撮像時間の短縮化)を実現できる。さらに、回折格子5をX線源3に近づけることができるので、回折格子5の小型化を実現できる。その結果、回折格子5のコストを低減できる。
【0064】
また、
図5及び
図6を参照して説明したように、本実施形態1及び変形例によれば、マルチラインターゲットにより可干渉性を有するX線xrを発生する。従って、光源格子Gを用いる場合と比較して、大きい視野角θp及び広い視野Vpを確保できる。また、光源格子Gを用いないので、コストの低減を図ることができる。
【0065】
(実施形態2)
[要部]
図9及び
図10を参照して、本発明の実施形態2に係るX線撮像装置1について説明する。
図9は、X線撮像装置1を模式的に示す斜視図である。
図10は、X線撮像装置1を模式的に示す平面図である。本実施形態2と実施形態1とでは、X線源3の種類が異なる。つまり、本実施形態2では、X線源3は反射型ターゲットである。従って、本実施形態2では、実施形態1と比較して、X線撮像装置1の各構成の配置が異なる。その他は、本実施形態2と実施形態1とは同様であり、適宜説明を省略し、異なる点を説明する。
【0066】
X線源3は、Z軸に対して角度θr(例えば鋭角)だけ傾斜して配置される。フィラメント13は、電子線eを複数のライン状金属11に照射する。電子線eが照射された複数のライン状金属11は、角度θrに対応した方向に(電子線eの反射方向に)、可干渉性を有するX線xrを放射する。従って、X線xrは、回折格子5に照射される。そして、実施形態1と同様に、回折格子5の自己像が検出面16に投影される。その結果、検出器7は、自己像を検出し、自己像の画像が取得される。検出器7が検出した1枚の自己像の画像(被写体Obなし)及び1枚の自己像の画像(被写体Obあり)に基づいて、3種類の画像(吸収像、位相微分像、及び暗視野像)を算出(取得)することができる。
【0067】
[反射型ターゲットとしてのX線源3]
図10を参照して、反射型ターゲットとしてのX線源3について説明する。X線源3は、電子線eを受けてライン状金属11(ターゲット金属)が発生するX線のうち、電子線eの反射方向に放射されるX線xrを出力する。そして、回折格子5は電子線eの反射方向に対応して配置される。従って、X線xrは回折格子5に照射される。なお、X線のうち電子線eの反射方向に放射されるX線xrを取り出す手法として一般的な手法が採用される。従って、説明を省略する。
【0068】
以上、
図9及び
図10を参照して説明したように、本実施形態2によれば、X線撮像装置1は実施形態1に係るX線撮像装置1と同様の構成を有するため、実施形態1と同様の効果を奏する。つまり、X線撮像装置1の小型化、投入電力の低減化、及び露出時間の短縮化(撮像時間の短縮化)を実現できる。また、光源格子Gを用いる場合と比較して、大きい視野角θp及び広い視野Vpを確保できる。さらに、光源格子Gを用いないので、コストの低減を図ることができる。
【0069】
(実施形態1と実施形態2との比較)
図2、
図4、及び
図10を参照して、実施形態1に係る透過型ターゲットと実施形態2に係る反射型ターゲットとを比較しつつ、X線源3の視野角について説明する。
【0070】
図2及び
図4に示す透過型ターゲットとしてのX線源3は、
図10に示す反射型ターゲットとしてのX線源3と比較して、大きい視野角及び広い視野を確保できる。理由は次の通りである。
【0071】
図2及び
図4に示すように、透過型ターゲットとしてのX線源3では、X線xrは各ライン状金属11から電子線eの進行方向に放射される。従って、複数のライン状金属11からの複数のX線xr間での光路差の発生を抑制できる。その結果、反射型ターゲットと比較して、有効な視野角が大きくなるとともに有効な視野が広くなる。
【0072】
これに対して、
図10に示すように、反射型ターゲットとしてのX線源3では、X線xrは各ライン状金属11から電子線eの反射方向に放射される。従って、複数のライン状金属11からの複数のX線xr間での光路差が発生する。その結果、X線xrの光軸から離れるほど光路差の影響が大きくなり、透過型ターゲットと比較して、有効な視野角が小さくなるとともに有効な視野が狭くなる。
【0073】
以上、
図2、
図4、及び
図10を参照して説明したように、実施形態1(変形例を含む。)によれば、X線源3は透過型ターゲットであるため、実施形態2に係る反射型ターゲットとしてのX線源3と比較して、大きい視野角及び広い視野を確保できる。
【0074】
(実施形態3)
図1、
図7、
図9、及び
図11を参照して、本発明の実施形態3に係るX線撮像方法について説明する。
図11は、X線撮像方法を示すフローチャートである。X線撮像方法は、
図1に示した実施形態1に係るX線撮像装置1、
図7に示した変形例に係るX線撮像装置1、又は
図9に示した実施形態2に係るX線撮像装置1によって実行される。
【0075】
X線撮像方法は、ステップS1と、ステップS3と、ステップS5とを含む。ステップS1において、X線源3の複数のライン状金属11にフィラメント13から電子線eを照射する。ステップS3において、X線源3から回折格子5にX線xrを照射する。ステップS5において、X線xrに基づく回折格子5の自己像を検出する。
【0076】
以上、
図1及び
図11を参照して説明したように、本実施形態3によれば、X線撮像方法は実施形態1に係るX線撮像装置1によって実行されるため、実施形態1と同様の効果を奏する。つまり、X線撮像装置1の小型化、投入電力の低減化、及び露出時間の短縮化(撮像時間の短縮化)を実現できるとともに、大きい視野角及び広い視野を確保できる。その他、本実施形態3によれば、実施形態1の変形例と同様に、より精細な3種類の画像を取得できる。
【0077】
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
図1、
図2、
図3(a)、
図12、及び
図13を参照して、本発明の実施例1について説明する。
図12は、実施例1に係る回折格子5の自己像の画像を示す図である。
図13は、
図12の自己像の画像の一部に対応する画素信号の強度を示す図である。横軸は、位置(画素15)を示し、縦軸は、画素信号の強度(任意単位)を示す。
図13では、
図12の自己像の画像のうちX軸に沿った太線部分に対応する画素信号の強度を示している。なお、太線は説明の便宜のための記載であり、実際には存在しない。
【0079】
本実施例1では、
図1及び
図2に示したX線撮像装置1を使用した。また、
図3(a)に示すX線源3を使用した。X線源3において、基板9はダイヤモンド基板であり、ライン状金属11は銅である。ライン状金属11の線幅Wは1μmであり、厚みHは1μmであり、周期P0は3μmである。距離R1は2.83cmであり、距離R2は96cmである。回折格子5のライン状開口部14の周期P1は2.914μmである。検出器7の1画素(画素15)のサイズは、24μm×24μmである。管電圧は20kVであり、管電流は100μAであり、露出時間は1分である。投入電力は2Wである。
【0080】
以上の条件の下、検出器7により、回折格子5の自己像を検出し、
図12に示す自己像の画像を得た。また、
図13に示すように、検出器7によって、自己像に対応する良好な画素信号を取得できた。
【0081】
自己像の画像において、ライン状開口部14の周期P1に対応する周期は100μmであった。従って、自己像の周期が、検出器7の1画素(画素15)のサイズ(24μm)より大きいことが確認できた。しかも、距離R1と距離R2との和(X線撮像装置1の要部の全長に相当)は、約99cmである。従って、本実施例1により、X線撮像装置1の小型化を実現しつつ、自己像を良好に検出できることが確認できた。
【0082】
(実施例2)
図3(a)、
図7、
図14、及び
図15を参照して、本発明の実施例2について説明する。
図14(a)、
図14(b)、及び
図14(c)は、それぞれ、本実施例2に係る吸収像、位相微分像、及び暗視野像を示す図である。
【0083】
本実施例2では、
図7に示したX線撮像装置1を使用した。また、
図3(a)に示すX線源3を使用した。X線源3、距離R1、距離R2、回折格子5、及び検出器7の画素15の条件は、実施例1と同じである。管電圧は20kVであり、管電流は300μAであり、露出時間は30秒である。投入電力は6Wである。
【0084】
回折格子5と検出器7との間において、Z軸に沿った検出器7からの距離が30cmの位置に被写体Ob(被写体Ob1〜被写体Ob3)を配置した。被写体Ob1は、米粒であり、被写体Ob2は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)球であり、被写体Ob3は、ポリエチレン(PE)球である。
【0085】
移動装置20は、1画素(画素15)に対応する幅PWだけ、8ステップで検出器7を移動させた(矢印19参照)。幅PWは24μmであるため、1ステップは3μm(=24μm/8)である。その結果、回折格子5の自己像SIの8枚の画像を取得できた。8枚の画像を処理することによって、
図14(a)に示す吸収像、
図14(b)に示す位相微分像、及び
図14(c)に示す暗視野像を取得できた。なお、これらの像を得るための処理方法として、一般的な処理方法を採用した。従って、説明を省略する。
【0086】
本実施例2では、吸収像では確認し難い被写体Ob1の内部の傷を位相微分像及び暗視野像で確認できた。また、吸収像では確認し難い被写体Ob3の内部の空洞を位相微分像及び暗視野像で明瞭に確認できた。
【0087】
また、距離R1と距離R2との和(X線撮像装置1の要部の全長に相当)は、約99cmである。従って、本実施例2により、X線撮像装置1の小型化を実現しつつ、良好な吸収像、位相微分像、及び暗視野像を取得できた。
【0088】
図15は、本実施例2に係る位相微分値を示す図である。横軸は、位置(画素15)を示し、縦軸は、位相微分値(濃淡値)を示す。縦軸に示される位相微分値の単位は任意単位である。
図15では、
図14(b)の位相微分像に含まれる被写体Ob2の太線部分に対応する位相微分値(濃淡値)をドットで示している。太線は説明の便宜のための記載であり、実際には存在しない。直線SMはシミュレーション結果を示す。
【0089】
本実施例2では、検出面16での自己像SIの周期は100μmである。一方、検出器7の1画素(画素15)のサイズは24μmである。従って、自己像SIの1周期は約4画素に対応する。検出器7を8ステップ(K=8)で移動させ、取得した8枚(K枚)の画像によって補完を実行すると、自己像SIの1周期は32画素に対応する。位相微分値は、この32画素の画素信号について、正弦関数によってフィッティングすることによって得られた位相微分像の濃淡値である。位相微分値の2つのピークは、それぞれ、位相微分像における被写体Ob2のエッジの白色部分及び黒色部分に対応する。本実施例2により、位相微分値と直線SMで示すシミュレーション結果との良好な一致を確認できた。
【0090】
なお、検出面16での自己像SIの1周期がJ(Jは2以上の整数)個の画素に対応し、K(Kは2以上の整数)枚の自己像SIの画像(被写体Obあり)を使用する場合(Kステップで検出器7を移動させる場合)、位相微分値は、(J×K)個の画素の画素信号について、正弦関数によってフィッティングすることによって算出される。一方、1枚の自己像SIの画像(被写体Obなし)と1枚の自己像の画像(被写体Obあり)とに基づいて位相微分値を算出することもできる。この場合、位相微分値は、J個(本実施例2では、4個)の画素(検出面16での自己像SIの1周期に対応する画素)の画素信号について、正弦関数によってフィッティングすることによって算出される。
【0091】
(実施例3)
図1、
図2、
図3(b)、
図16、及び
図17を参照して、本発明の実施例3について説明する。
図16は、本実施例3に係る回折格子5の自己像の画像を示す図である。
図17は、
図16の自己像の画像のうち領域ARの拡大図である。
【0092】
本実施例3では、
図1及び
図2に示したX線撮像装置1を使用した。また、
図3(b)に示すX線源3を使用した。X線源3、距離R1、距離R2、及び回折格子5の条件は、実施例1と同じである。検出器7の画素15のサイズは、50μm×50μmである。管電圧は20kVであり、管電流は100μAであり、露出時間1分である。投入電力は2Wである。
【0093】
以上の条件の下、検出器7により、回折格子5の自己像を検出し、
図16に示す自己像の画像を得た。自己像の画像のサイズは、11.5cm×11.5cmである。
図17に示すように、
図16に示した領域ARを拡大して観察すると、回折格子5の複数のライン状開口部14の像を確認できた。従って、11.5cm×11.5cmの広い視野は有効な視野である。しかも、距離R1と距離R2との和(X線撮像装置1の要部の全長に相当)は、約99cmである。従って、本実施例3により、X線撮像装置1の小型化を実現しつつ、広い視野で自己像を検出できることが確認できた。
【0094】
以上、
図1〜
図17を参照して、本発明の実施形態及び実施例を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態及び実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば、以下のような変形も可能である。
【0095】
(1)
図7を参照して説明した移動装置20は、X軸に沿って(矢印19が示す方向に)検出器7を段階的に移動させた。ただし、検出器7を移動させる代わりに、移動装置20は、X軸に沿って(矢印19が示す方向に)回折格子5を段階的に移動させることもできる。つまり、移動装置20は、回折格子5のライン状開口部14の長手方向に直交する方向に沿って、検出面16に対して平行に、回折格子5を段階的に移動させることができる。その結果、複数枚の自己像の画像(被写体Obあり)が取得され、複数枚の自己像の画像に基づいて、吸収像、位相微分像、及び暗視野像を得ることができる。
【0096】
(2)
図7を参照して説明した移動装置20又は上記(1)で説明した移動装置20を使用して、
図9を参照して説明したX線撮像装置1の検出器7又は回折格子5を段階的に移動させることもできる。その結果、複数枚の自己像の画像(被写体Obあり)が取得され、複数枚の自己像の画像に基づいて、吸収像、位相微分像、及び暗視野像を得ることができる。
【0097】
(3)
図9及び
図10を参照して説明したX線撮像装置1では、ライン状金属11の長手方向及びライン状開口部14の長手方向は、Y軸に沿った方向であった。そして、X線源3は、Y軸に沿った軸の周りの回転により、傾斜(角度θr)して配置された。ただし、ライン状開口部14の長手方向がX軸に沿った方向になるように、回折格子5を配置することもできる(つまり、
図9及び
図10に示した回折格子5をZ軸の周りに90度回転した状態)。この場合、ライン状金属11の長手方向が、ZX平面に平行になるように、X線源3を配置する(つまり、
図9及び
図10に示したX線源3に直交する軸の周りにX線源3を90度回転した状態)。この場合も、X線源3は、Y軸に沿った軸の周りの回転により、傾斜(角度θr)して配置される。
【0098】
(4)
図1及び
図2を参照して説明した実施形態1、
図7を参照して説明した変形例、並びに
図9及び
図10を参照して説明した実施形態2では、被写体Obは、回折格子5と検出器7との間に配置された。ただし、被写体Obは、X線源3と回折格子5との間に配置されてもよい。
【0099】
(5)
図18(a)〜
図18(d)を参照して、本発明の一実施形態に係るX線源3について説明する。
図18(a)〜
図18(d)は、X線源3を示す断面図である。
図1及び
図2を参照して説明した実施形態1のX線源3、
図7を参照して説明した変形例のX線源3、並びに
図9及び
図10を参照して説明した実施形態2のX線源3に代えて、
図18(a)〜
図18(d)の各々に示すX線源3を使用できる。
【0100】
図18(a)に示すX線源3は、
図3(a)に示すX線源3の複数のライン状金属11及び基板9を膜12で覆うことにより形成される。
図18(b)に示すX線源3は、
図3(c)に示すX線源3の複数のライン状金属11及び基板9を膜12で覆うことにより形成される。
【0101】
図18(c)に示すX線源3は、基板9に埋め込まれた複数のライン状金属11を複数の膜12で覆うことにより形成される。この場合、膜12の表面と基板9の表面とが面一になるように、複数のライン状金属11及び複数の膜12が形成される。
図18(d)に示すX線源3は、
図3(a)に示すX線源3の基板9のうち、隣り合うライン状金属11とライン状金属との間の領域を膜12で覆うことにより形成される。
【0102】
なお、
図18(a)〜
図18(d)に示す膜12は、基板9と異なる軽元素材料により形成される。
【0103】
(6)
図19を参照して、本発明の一実施形態に係るX線源3について説明する。
図19(a)〜
図19(c)は、X線源3を示す斜視図である。
図1及び
図2を参照して説明した実施形態1のX線源3、
図7を参照して説明した変形例のX線源3、並びに
図9及び
図10を参照して説明した実施形態2のX線源3に代えて、
図19(a)〜
図19(c)の各々に示すX線源3を使用できる。
【0104】
図19(a)〜
図19(c)の各々に示すX線源3は、周期的に配列された複数の金属11を基板9に設けることにより形成される。
【0105】
具体的には、
図19(a)に示すX線源3は、基板9において、X軸に沿った複数のライン状の金属11とY軸に沿った複数のライン状の金属11とを交差させて形成される(井桁格子状金属)。
図19(b)に示すX線源3は、基板9において、E1行×F1列に(E1×F1)個の立方体状(直方体状)の金属11を配列することによって形成される。E1及びF1の各々は2以上の整数である。
図19(c)に示すX線源3は、基板9において、複数の立方体状(直方体状)の金属11を市松格子状に設けることによって形成される(市松格子状金属)。
【0106】
図19(a)〜
図19(c)の各々に示すX線源3において、電子線eが照射されると、周期的に配列された複数の金属11は、可干渉性を有するX線xrを発生する。各金属11の厚みは、金属11への電子線eの侵入長と同程度で十分であるため、従来の光源格子の開口部の線幅よりも細い幅の金属11を基板9に形成できる。従って、X線の可干渉性を確保しつつ、回折格子5とX線源3との間の距離を短縮でき、ひいては、回折格子5の自己像の拡大率を確保しつつ、回折格子5と検出器7との間の距離を短縮できる。その結果、X線撮像装置1の小型化を実現できる。
【0107】
図19(a)〜
図19(c)の各々に示すX線源3は、透過型ターゲットとして使用することもできるし、反射型ターゲットとして使用することもできる。
【0108】
図19(a)〜
図19(c)の各々に示すX線源3において、複数の金属11は、一部が露出するように基板9に埋め込まれてよいし(
図3(a)参照)、露出することなく基板9に埋め込まれてもよいし(
図3(b)参照)、基板9の表面に形成されてもよい(
図3(c)参照)。
【0109】
図19(a)〜
図19(c)の各々に示すX線源3において、複数の金属11及び基板9が膜12で覆われてもよいし(
図18(a)及び
図18(b)参照)、複数の金属11の露出面が膜12で覆われてもよいし(
図18(c)参照)、隣り合う金属11と金属11との間の領域が膜12で覆われてもよい(
図18(d)参照)。
【0110】
(7)
図1及び
図2を参照して説明した実施形態1、
図7を参照して説明した変形例、並びに
図9及び
図10を参照して説明した実施形態2では、回折格子5は複数のライン状開口部14を有していた。ただし、回折格子5は、周期的に配列された複数の開口部を有していればよい。また、各開口部は、回折格子5の一方主面から他方主面まで貫通してもよいし、凹状に形成されてもよい。以下、具体的に説明する。
【0111】
図20を参照して、本発明の一実施形態に係る回折格子5について説明する。
図20(a)〜
図20(c)は、回折格子5を示す斜視図である。
図20(a)に示す回折格子5は、E2行×F2列に配列された(E2×F2)個の開口部14を有する。E2及びF2の各々は2以上の整数である。
図20(b)に示す回折格子5は、X軸に沿った複数のライン状の開口部14とY軸に沿った複数のライン状の開口部14とを交差させて形成される(井桁格子状開口部)。
図20(c)に示す回折格子5は、複数の立方体状(直方体状)の開口部14を市松格子状に設けることによって形成される(市松格子状開口部)。
【0112】
なお、例えば、X線撮像装置1において、
図19(a)のX線源3と
図20(a)の回折格子5とが組合せて使用される。例えば、X線撮像装置1において、
図19(b)のX線源3と
図20(b)の回折格子5とが組合せて使用される。例えば、X線撮像装置1において、
図19(c)のX線源3と
図20(c)の回折格子5とが組合せて使用される。
【0113】
(8)回折格子5が周期的に配列された複数の開口部14を有している場合、
図7を参照して説明した移動装置20又は上記(1)で説明した移動装置20を使用して、X線撮像装置1の検出器7又は回折格子5を段階的に移動させることができる。移動装置20は、周期的に配列された複数の開口部14に応じて定められた方向に沿って、回折格子5に対して平行に、検出器7を段階的に移動させる。又は、移動装置20は、周期的に配列された複数の開口部14に応じて定められた方向に沿って、検出面16に対して平行に、回折格子5を段階的に移動させる。
【0114】
例えば、X線撮像装置1において、
図19(a)〜
図19(c)に示すX線源3のうちいずれかのX線源3、及び/又は
図20(a)〜
図20(c)に示す回折格子5のうちいずれかの回折格子5が使用される場合を説明する。移動装置20は、X軸に沿って、回折格子5に対して平行に、検出器7を段階的に移動させ、その後、Y軸に沿って、回折格子5に対して平行に、検出器7を段階的に移動させる。又は、移動装置20は、X軸に沿って、検出面16に対して平行に、回折格子5を段階的に移動させ、その後、Y軸に沿って、検出面16に対して平行に、回折格子5を段階的に移動させる。