特許第6232681号(P6232681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232681コンピューティングシステムおよびその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232681
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】コンピューティングシステムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H05K1/18 S
   H05K1/18 L
   H01L25/08 Z
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-195262(P2013-195262)
(22)【出願日】2013年9月20日
(62)【分割の表示】特願2011-526113(P2011-526113)の分割
【原出願日】2009年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-30042(P2014-30042A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2013年10月9日
【審判番号】不服2016-13688(P2016-13688/J1)
【審判請求日】2016年9月12日
(31)【優先権主張番号】12/231,965
(32)【優先日】2008年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シールズ、ダミオン
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ウェストン、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ラミレズ、マーガレット、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、ジェームス、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ライナー、イー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲーラー、チャールズ、イー.
【合議体】
【審判長】 酒井 朋広
【審判官】 國分 直樹
【審判官】 関谷 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−204053(JP,A)
【文献】 特開2006−13555(JP,A)
【文献】 特開2006−40870(JP,A)
【文献】 特開2006−186391(JP,A)
【文献】 特開2008−514004(JP,A)
【文献】 特開2001−207031(JP,A)
【文献】 特開2005−340389(JP,A)
【文献】 特開2006−295136(JP,A)
【文献】 特開2004−179232(JP,A)
【文献】 特開平9−260433(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/119605(US,A1)
【文献】 特開2005−166886(JP,A)
【文献】 特開2008−71953(JP,A)
【文献】 特開2004−273938(JP,A)
【文献】 特開2006−351565(JP,A)
【文献】 特開2008−166373(JP,A)
【文献】 特開2004−356133(JP,A)
【文献】 特開2005−108962(JP,A)
【文献】 特開2001−274317(JP,A)
【文献】 特開2008−135781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L25/04
H01L25/18
H01L25/07
H01L25/10
H01L25/065
H05K1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインボードと、
前記メインボードに直接取着されているダイレクト・チップ・アタッチ集積回路ダイ(DCA ICダイ)と、
基板と、前記基板に配設されている第1の集積回路ダイ(ICダイ)と、アンダーフィル材料とを有し、前記メインボードに取着されているパッケージと、
前記メインボードに配設されている少なくとも1つの他の部品と
を備え、
前記メインボードは、前記DCA ICダイを前記パッケージに結合する少なくとも1つの電気経路と、前記DCA ICダイを前記少なくとも1つの他の部品に結合する少なくとも1つの他の電気経路とを有し、
前記基板は、前記DCA ICダイの少なくとも一部分を被覆しており、
前記アンダーフィル材料は、前記DCA ICダイおよびインターコネクトの周囲を覆って、前記基板と前記基板が被覆する前記DCA ICダイの一部との間、および前記パッケージと前記メインボードとの間に設けられ、且つ、全体を同一の材料で形成され、
前記メインボードは、プリント配線基板であり、
前記DCA ICダイが前記インターコネクトの内側に配置され、前記メインボードが前記DCA ICダイと前記インターコネクトとを電気的に接続する電気経路を有するコンピューティングシステム。
【請求項2】
前記パッケージは、前記基板に配設されており、前記第1のICダイの上方に積層されている第2のICダイを備える請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項3】
前記第1のICダイおよび前記第2のICダイはそれぞれ、メモリを含む請求項2に記載のコンピューティングシステム。
【請求項4】
前記パッケージは、ソリッドステートドライブ(SSD)を有する請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記SSDは、メモリコントローラを含む請求項4に記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記第1のICダイは、前記DCA ICダイに対向している請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記DCA ICダイは処理システムを有し、前記パッケージは少なくとも1つのメモリダイを有し、前記少なくとも1つの他の部品は無線通信デバイスを有する請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記メインボードに配設されているグラフィクスディスプレイと、
前記メインボードに配設されている電源と
をさらに備え、
前記メインボードは、前記グラフィクスディスプレイと前記DCA ICダイおよび前記パッケージのうち少なくとも1つとを結合する電気経路を有し、前記DCA ICダイおよび前記パッケージを前記電源に電気結合している請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項9】
前記メインボードに配設されているデータ入力デバイスをさらに備える請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
前記プリント配線基板は、複数の金属層から構成され、前記複数の金属層は互いに誘電体材料の層によって分離される請求項1からのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記基板は、前記第1のICダイの周囲に組み立てられた誘電体材料と金属とが交互に積層された層を含む請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
ダイレクト・チップ・アタッチ集積回路ダイ(DCA ICダイ)をメインボードに直接取着する段階と、
前記DCA ICダイの少なくとも一部分を被覆する基板と、前記基板に配設されている第1の集積回路ダイ(ICダイ)とを有するパッケージを前記メインボードに取着する段階と、
前記DCA ICダイおよびインターコネクトの周囲を覆って、前記基板と前記基板が被覆する前記DCA ICダイの一部との間、および前記パッケージと前記メインボードとの間にアンダーフィル材料を、全体を同一の材料で形成する段階と、
を備え
前記メインボードは、プリント配線基板であり、
前記DCA ICダイが前記インターコネクトの内側に配置され、前記メインボードが前記DCA ICダイと前記インターコネクトとを電気的に接続する電気経路と、
前記DCA ICダイと、前記パッケージとの間において、前記メインボード内を通る電気経路と、
前記DCA ICダイと、前記メインボードに配設され、他の部品と結合している端末との間に、前記メインボード内を通る電気経路とを有する方法。
【請求項13】
前記端末に部品を電気結合する段階をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パッケージを前記メインボードに取着するためのリフロー処理を実行する段階をさらに備え、前記部品は、前記リフロー処理時に前記端末に電気結合される
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記DCA ICダイを前記メインボードに取着するべく、および、前記パッケージを前記メインボードに取着するべくリフロー処理を1回実行する段階をさらに備える請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
前記プリント配線基板は、複数の金属層から構成され、前記複数の金属層は互いに誘電体材料の層によって分離される請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基板は、前記第1のICダイの周囲に組み立てられた誘電体材料と金属とが交互に積層された層を含む請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されている実施形態は、概してコンピューティングシステムに関し、具体的にはシステムレベルのボード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス等のハンドヘルドコンピューティングデバイスは通常、システムレベルの回路基板上に複数の部品が配設されている。このような部品としては、集積回路(IC)デバイス、受動型電気素子、および、さまざまな入出力(I/O)デバイス、ならびに、上記および/またはその他の部品の任意の組み合わせがあるとしてよい。上記の部品の多くは、おそらく全てではないが、メインボードと呼ばれる、システムレベルの回路基板上に集められて組み合わせられる場合がある。メインボードは、このような複数の部品を相互接続する電気経路を持ち、コンピューティングシステムを構成する。
【0003】
ハンドヘルドコンピューティングデバイスでは、システムレベル基板構造はフォームファクターが小さいことが望ましい場合がある。フォームファクターを小さくする方法の1つに、パッケージ・オン・パッケージ(PoP)アーキテクチャを利用する方法がある。PoPアーキテクチャでは通常、上側ICパッケージが下側ICパッケージに積層されると共に、両者が電気結合される。各パッケージでは、基板またはその他のダイ担体に1以上のICダイが配設されている。しかし、PoP構成では、構造全体の高さ(または厚み)が大きくなってしまう可能性がある。また、PoP構成の下側基板では層数が比較的少なくなることが多く(例えば、層数が6層以上であるメインボードに比べて、層数は2層から4層となる)、上側パッケージと下側パッケージとの間のルーティングの自由度が制限される可能性がある。一方、2つのパッケージを互いに横方向に隣接するようにメインボード上に搭載すると、メインボード構造の表面積が大きくなってしまう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】メインボードに直接取着されているICダイをパッケージが被覆しているメインボードを含む構造の実施形態を示す概略立面図である。
図1B】メインボードに直接取着されているICダイをパッケージが被覆しているメインボードを含む構造の別の実施形態を示す概略立面図である。
図1C】メインボードに直接取着されているICダイをパッケージが被覆しているメインボードを含む構造のさらに別の実施形態を示す概略立面図である。
図2】メインボードに直接取着されているICダイをパッケージが被覆しているメインボードを含むメインボード構造を製造する方法の実施形態を説明するためのブロック図である。
図3A図2に示すメインボード構造を製造する方法の実施形態を説明するための概略図である。
図3B図2に示すメインボード構造を製造する方法の実施形態を説明するための概略図である。
図3C図2に示すメインボード構造を製造する方法の実施形態を説明するための概略図である。
図3D図2に示すメインボード構造を製造する方法の実施形態を説明するための概略図である。
図3E図2に示すメインボード構造を製造する方法の実施形態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
集積回路(IC)ダイが直接メインボードに取着されており、パッケージがICダイの少なくとも一部分を被覆しているシステムレベル構造の実施形態を開示する。メインボードまたはその他の種類の回路基板に直接結合されるICダイは、ダイレクト・チップ・アタッチ(DCA)ダイと呼ばれることがある。パッケージも同様にメインボードに取着されている。当該パッケージは、基板またはその他のダイ担体に配設されている1以上のその他のICダイも含むとしてよい。メインボードは、DCAダイとそれを被覆しているパッケージとの間を電気的に通信可能な状態とすると共に、DCAダイとメインボード上に配設された1以上のその他の部品との間も電気的に通信可能な状態とする。メインボードはさらに、パッケージとメインボード上に配設されているその他の部品のうち1以上の部品との間も電気的に通信可能な状態とする。例えば、DCAダイは処理システムを含むとしてよく、パッケージは1以上のメモリデバイスを含むとしてよい。また、上述したメインボード構造を製造する方法の実施形態も開示する。
【0006】
ここで図1Aを参照しつつ説明すると、構造100のある実施形態が図示されている構造100では、メインボード110上に複数の部品が配設されている。メインボード110には、第1の面112および反対側の第2の面114があり、第1の面112および第2の面114のうち一方または両方の面にさまざまな部品が配設されているとしてよい。メインボードにはさらに、複数の電気経路(例えば、導電配線、導電ビア、メッキされた貫通孔等)が設けられており、これらの電気経路によってメインボード110上に配設されている部品のうち1以上の部品が相互接続され、コンピューティングシステムが形成されている。メインボード構造100は任意の種類のコンピューティングシステムを含むとしてよく、例えば、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス等)、または、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップコンピュータ、ネットトップコンピュータ等)が含まれるとしてよい。しかし、開示されている実施形態は、ハンドヘルドコンピューティングデバイスおよびその他のモバイルコンピューティングデバイスに限定されず、デスクトップコンピュータおよびサーバ等のその他の種類のコンピューティングシステムにおいて利用され得る。
【0007】
メインボード110は、その上に配設されているさまざまな部品のうち1以上の部品同士の間を電気通信可能な状態にすることができるものであれば、任意の適切な種類の回路基板またはその他の基板を備えるとしてよい。一実施形態によると、例えば、メインボード110は、複数の金属層から構成され、当該金属層は互いに、誘電体材料の層によって分離されると共に、導電ビアによって相互接続されるプリント配線基板(PCB)を備える。このような金属層のうち任意の1以上の金属層は、おそらくはその他の金属層と組み合わせられることによって、メインボード110に結合されている部品同士の間で電気信号をルーティングするように、所望の回路パターンに形成されているとしてよい。しかし、本明細書に開示されている実施形態は上記のPCBに限定されるものではなく、メインボード110は任意のその他の適切な基板を備えるものと理解されたい。
【0008】
メインボード110の第1の面112には、ICダイ120が直接配設されている。ICダイ120は、任意の種類の集積回路デバイスを含むとしてよい。一実施形態によると、ICダイ120は、(シングルコア型またはマルチコア型の)処理システムを有する。例えば、ICダイは、マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、信号プロセッサ、ネットワークプロセッサ、チップセット等を有するとしてよい。しかし、本明細書に開示されている実施形態は特定の種類またはクラスのICデバイスに限定されるものではないと理解されたい。
【0009】
ICダイ120は、複数のインターコネクト125によってメインボード110に電気結合されている。インターコネクト125は、ダイ120とメインボード110との間の電気通信を可能とする任意の種類の構造および材料を含むとしてよい。さらに、インターコネクト125は、単独で、または、ダイと基板とを結合するその他の構造またはフィーチャと組み合わせられることによって、ICダイ120をメインボード110に直接取着しているとしてよい。一実施形態によると、インターコネクト125は、ダイ120とメインボード110とを電気結合すると共に、ダイをメインボードへ機械的に固定することを補助する。しかし、別の実施形態によると、インターコネクト125が、ダイ120をメインボード110へ機械的に取着することに関して果たす役割は最小限に留まるとしてもよい。さらに別の実施形態によると、以下で説明するが、アンダーフィル材料の層もダイ120をメインボード110へ機械的に固定することを補助するとしてよい。前述したように、上述した構成において回路基板に直接結合されているICダイは、ダイレクト・チップ・アタッチ(DCA)ダイと呼ばれる場合がある。
【0010】
上述したように、インターコネクト125は、任意の適切な種類のインターコネクトを含むとしてよく、任意の適切な導電材料から形成されるとしてよい。一実施形態によると、インターコネクト125は、ダイ120とメインボード110との間に延設されているアレイ状のハンダバンプを含み(おそらくは、ダイ120および/またはメインボード110上に配設されているアレイ状の銅カラムおよび/または銅パッドと組み合わせられる)、ハンダリフロープロセスを用いてインターコネクト125を形成するとしてよい。言うまでもなく、多くのその他の種類のインターコネクトおよび材料を利用することが可能で(例えば、ダイ120とメインボード110との間にワイヤボンドを延在させることも可能)と理解されたい。
【0011】
メインボード110上にはさらに、パッケージ150aが配設されている。パッケージ150aは、DCAダイ120のうち少なくとも一部分を被覆している。一実施形態によると、DCAダイ120の周縁は、パッケージ150aの周縁の内部に完全に納まっている。別の実施形態によると、DCAダイ120およびパッケージ150aは同心円状に配置されている(図1Aではこの構成が示されている)。パッケージ150aは、第1の面162aおよび反対側の第2の面164aを持つ基板160aを含む。また、パッケージ150aは、基板の第1の面162a(または、以下で説明するが、反対側の第2の面162b)に設けられている少なくとも1つのICダイ170aを含む。また、一部の実施形態では、パッケージ150aにその他の部品が設けられることに留意されたい。パッケージ150aに設けられるほかの部品としては、例えば、電圧レギュレータ、および、キャパシタ、フィルタ、インダクタ等の受動型電気素子がある。
【0012】
ICダイ170aは、任意の種類の集積回路デバイスを含むとしてよい。一実施形態によると、ICダイ170aはメモリを含む。例えば、ICダイ170aは、任意の種類のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、任意の種類のスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、または、任意の種類のフラッシュメモリを含むとしてよい。さらに別の実施形態によると、パッケージ150aは、メモリコントローラおよび1以上のメモリダイを含む複数のICダイから構成されるソリッドステートドライブ(SSD)を含むとしてよい(別の実施形態では、パッケージ150aは、メモリコントローラを含まないとしてもよい)。しかし、ご想到いただけると思うが、ICダイ170aは任意のその他の種類またはクラスのICデバイスを含むとしてよい。
【0013】
ICダイ170aは、複数のインターコネクト175aによって基板160aに電気結合されている。インターコネクト175aは、ダイ170aと基板160aとの間を電気接続すると共に、ダイを基板に機械的に固定することを補助するとしてよい。ダイ170aの基板160aへの固定を補助するべく、アンダーフィルの層(不図示)をダイ170aと基板160aとの間に設けるとしてよい。インターコネクト175aは、任意の適切な種類のインターコネクトを含むとしてよく、任意の適切な導電材料から形成されるとしてよい。一実施形態によると、インターコネクト175aは、ダイ170aと基板160aとの間に延設されているアレイ状のハンダバンプを含み(おそらくは、ダイ170aおよび/または基板160a上に配設されているアレイ状の銅カラムおよび/または銅パッドと組み合わせられる)、ハンダリフロープロセスを用いてインターコネクト175aを形成するとしてよい。言うまでもなく、多くのその他の種類のインターコネクトおよび材料を利用することが可能で(例えば、ダイ170aと基板160aとの間にワイヤボンドを延在させることも可能)と理解されたい。
【0014】
基板160aは、「パッケージ基板」と呼ばれることもあるが、ICダイ170aとその下方にあるメインボード110との間の電気通信を可能とする任意の適切な種類の基板を含むとしてよい。基板160aはさらに、ダイ170aを構造的に支持する機能を持つとしてもよい。例えば、一実施形態によると、基板160aは、誘電体材料の層と金属の層とが交互にコア層(コアは、誘電体または金属から形成される)を中心として積層されている多層基板を含む。別の実施形態によると、基板160aはコアのない多層基板を含む。本明細書に開示する実施形態では上記以外の種類の基板および基板材料(例えば、セラミックス、サファイア、ガラス等)も利用し得る。さらに、一実施形態によると、基板160aは、ダイ170a自身を中心として誘電体材料の層と金属の層とが交互に積層されているとしてもよく、このプロセスは「バンプ無し積層(bumpless build−up)プロセス」とも呼ばれる。このような方法が用いられる場合、インターコネクト175aは不要としてもよい(ダイ170aに直接積層されるためである)。
【0015】
基板160aは、しいてはパッケージ150aは、複数のインターコネクト165aによってメインボード110に電気結合されている。インターコネクト165aは、パッケージ150aとメインボード110との間を電気接続すると共に、パッケージ150aをメインボードに機械的に固定することを補助するとしてよい。別の実施形態によると、以下で説明されているように、アンダーフィル材料の層がパッケージ150aをメインボード110へ機械的に固定することを補助するとしてもよい。インターコネクト165aは、任意の適切な種類のインターコネクトを含むとしてよく、任意の適切な導電材料から形成されるとしてよい。一実施形態によると、インターコネクト165aは、基板160aとメインボード110との間に延設されているアレイ状のハンダバンプを含み(おそらくは、基板160aおよび/またはメインボード110上に配設されているアレイ状の銅カラムおよび/または銅パッドと組み合わせられる)、ハンダリフロープロセスを用いてインターコネクト165aを形成するとしてよい。一実施形態によると、リフロー後のインターコネクト165aの高さは、DCAダイ120とパッケージ150aの下面164aとの間に間隙180aが設けられるような高さとなる。他の実施形態によると、リフロー後のインターコネクト165aの高さは、ダイ120の少なくとも一部分が下面164aに接触するような高さとなる。
【0016】
DCAダイ120およびパッケージ150aに加えて、メインボード110の面112および114のうち一方または両方の面に1以上の部品を追加で設けるとしてよい。一例として、図示しているように、部品130a、130b、130cをメインボード110の第1の面112に配設して、部品140a、140bをメインボードの反対側の面114に配設するとしてよい。複数の電気端末(不図示)、例えば、金属製のパッドまたはランドをメインボードの第1の面112および第2の面114に配設して、追加で設けた部品との間に電気接続を構築するとしてよい。メインボード110に追加で設ける部品は、他のICデバイス(例えば、処理デバイス、メモリデバイス、信号処理デバイス、無線通信デバイス等)、電源供給部品(例えば、電圧レギュレータ、電池等の電源、および/または、キャパシタ等の受動型デバイス)、ならびに、1以上のI/Oデバイス(例えば、アンテナ、マイク、キーパッド、または、タッチスクリーンディスプレイ等のその他のデータ入力デバイス、および/または、グラフィクスディスプレイ等)、ならびに、上記および/またはその他のデバイスの任意の組み合わせを含む。
【0017】
上述したように、メインボード110は、当該メインボード上に配設されている部品120、130a−c、140a−b、150aを電気経路によって相互接続して、コンピューティングシステムを形成する。一実施形態によると、メインボード110には、DCAダイ120とパッケージ150aとを電気結合する電気経路が少なくとも1つ設けられている。別の実施形態によると、メインボード110には、DCAダイ120とメインボード上に配設されている別の部品(例えば、部品130a−c、140a−bのうちいずれか1つ)とを電気結合する電気経路が少なくとも1つ設けられている。別の実施形態によると、メインボード110には、パッケージ150aとメインボード上に配設されている部品のいずれかとを電気結合する電気経路が少なくとも1つ設けられている。例えば、メインボード110は、DCAダイ120とパッケージ150aとを結合する電気経路190aと、DCAダイ120と部品130aとを結合する電気経路190bと、パッケージ150aと部品130cとを結合する電気経路190cと、ICパッケージ150aとメインボードの反対側の面114に設けられている部品140bとを結合する電気経路190dとを備えているとしてよい。電気経路190a−dは、任意の適切な導電材料(例えば、銅)から形成される任意の適切な導電構造(例えば、配線、ビア、メッキされた貫通孔等の任意の組み合わせ)を含むとしてよい。図示されている電気経路190a−dは、本明細書に開示している実施形態を理解し易いように提示されている例であり、実際のメインボードには、配設されているさまざまな部品のうち1以上の部品を相互接続する電気経路がさらに(おそらくは、数百または数千もの電気経路が)設けられているものと理解されたい。
【0018】
別の実施形態によると、メインボード110上には、放射線遮蔽体(不図示)がDCAダイ120およびパッケージ150a(または150bまたは150c)の上方に延在するように設けられるとしてよい。DCAダイ120および/またはパッケージ150aは、電磁放射線を発することがあり、放射線遮蔽体は、ダイ120およびパッケージ150aの近傍にある高感度電気機器との電磁干渉を防ぐことを目的として、発生した電磁放射線の漏れを抑制するとしてよい。放射線遮蔽体は、任意の適切な導電材料から形成されるとしてよく(例えば、ニッケル、銀、アルミニウム、銅、ならびに、これらの金属および/またはその他の金属の合金等の導電性の金属)、任意の適切な形状および構成を持つとしてよい。一実施形態によると、放射線遮蔽体は、メインボード110に電気結合および接地されている。また、別の実施形態によると、放射線遮蔽体は、パッケージ150aおよび/またはDCAダイ120から熱を取り除くことを補助するとしてもよい。別の実施形態によると、メインボード110には、その他の熱対策部品(例えば、熱拡散器、ヒートシンク等)を単独または放射線遮蔽体と組み合わせて設けるとしてよい。
【0019】
本明細書に開示される実施形態は図1Aに示す構成に限定されるのではなく、その他の種類のパッケージをDCAダイ120の上方に配設し得ることを強調しておきたい。その他の実施形態を図1Bおよび図1Cに図示し、以下で説明する。図1Aに示す構造100の特徴を特定するべく用いられている参照番号は、図1Bおよび図1Cに示す構造の同様の構成要素についても同じ参照番号を用いる。また、図1Aに関連して既に説明した構成要素と同様のものについては、以下では説明を省略する場合もある。
【0020】
まず図1Bを参照しつつ説明すると、構造100の別の実施形態が図示されている。図1Bに示す実施形態は図1Aに示した実施形態と同様であるが、図1Bに示す構造ではダイ下向き構成でパッケージ150bが配設されている。具体的に説明すると、パッケージ150bは、第1の面162bおよび反対側の第2の面164bを持つ基板160bを有する。パッケージ150bは、複数のインターコネクト165bによってメインボードに電気結合されている。基板の第2の面164bにはICダイ170bが配設されており、複数のインターコネクト165bによって基板160bに電気結合されている。ICダイ170bは、DCAダイ120に対向している。一実施形態によると、ICダイ170bとDCAダイ120との間には間隙180bが設けられているが、別の実施形態によると、ICダイ170bの一部分はその下方にあるDCAダイ120と接触しているとしてもよい。また、別の実施形態によると、以下で説明するように、基板160bとメインボード110との間にアンダーフィルの層(図1Bでは不図示)が設けられるとしてもよい。このアンダーフィルの層は、DCAダイ120とメインボード110との間の間隙、ダイ170bとダイ120との間の間隙180b、および/または、ダイ170bと基板160bとの間の間隙にも設けられるとしてよい。また、さらに別の実施形態によると、ICダイ170bに加えて、1以上のICダイを基板160bの反対側の面162bに追加で設けるとしてもよい。
【0021】
次に図1Cを参照しつつ説明すると、構造100の別の実施形態が図示されている。図1Cに示す実施形態は図1Aに示した実施形態と同様であるが、図1Cに示す構造ではパッケージ150cの上にダイ積層体が設けられている。より具体的に説明すると、パッケージ150cは、第1の面162cおよび反対側の第2の面164cを持つ基板160cを有する。パッケージ150cは、複数のインターコネクト165cによってメインボード110に電気結合されている。積層体を構成している複数のダイ170cは、基板160c上に設けられている。複数のダイ170cは、基板160cに取着されるとしてよく、接着層178cによって互いに取着されるとしてよい。別の実施形態によると、任意の2つの隣接するダイ170cの間にはスペーサが設けられるとしてよい。複数のインターコネクト175cは、本例では複数のワイヤボンドは、各ダイ170cを基板160cに電気結合し、および/または、ダイ170c同士を電気結合しているとしてよい。一実施形態によると、ダイ170cは全て同じ種類の集積回路を含む。しかし、他の実施形態によると、ダイ170cのうちいずれか1つのダイが、別の1つのダイとは異なるとしてもよい。一実施形態によると、ICダイ170cはそれぞれ、メモリデバイスを含む。別の実施形態によると、ダイ170cのうち少なくとも1つはメモリコントローラを含み、積層体を構成する残りのダイ170cはメモリデバイスを含む。一実施形態によると、パッケージ150cはソリッドステートドライブ(SSD)を含む。一実施形態によると、基板160cとDCAダイ120との間には間隙180cが設けられているが、別の実施形態によると、ダイ120の一部分はその下方にある基板160cと接触しているとしてもよい。また、さらに別の実施形態によると、以下で説明するように、基板160cとメインボード110との間にアンダーフィルの層(図1Cでは不図示)が設けられるとしてもよい。このアンダーフィルの層は、DCAダイ120とメインボード110との間の間隙、および/または、DCAダイ120と基板160cとの間の間隙180cにも設けられるとしてよい。
【0022】
ここで図2を参照すると、メインボード構造、例えば、図1Aから図1Cに図示した構造100の実施形態のいずれか等を製造する方法の実施形態が図示されている。図2に示す方法のさまざまな実施形態については、図3Aから図3Eでさらに説明すると共に、以下の説明でも必要であれば図3Aから図3Eに言及する。また、図1Aに示す構造100の特徴を特定するべく用いられている参照番号は、同様の構成要素については図3Aから図3Eにおいても同じ参照番号を用いることに留意されたい。このような同様の構成要素についての説明は以下では省略することもある。
【0023】
まず図2のブロック210について説明すると、ダイをメインボードに直接取着する。この様子は図3Aに図示されている。同図によると、ICダイ120が複数のインターコネクト125によってメインボード110に直接取着されている。リフロー処理を実行して、DCAダイ120とメインボード110との間にインターコネクト125を形成するとしてよい。しかし、他の実施形態によると、ダイ120をメインボード110に載置した直後に、リフロー処理を実行しない場合もある。別の実施形態によると、ブロック205に記載し図3Aに示しているように、DCAダイ120を取着する前に、1以上のその他の部品(例えば、メインボードの反対側の面114に配設される部品140a、140b)をメインボード110に固定するとしてもよい。しかし、別の実施形態によると、DCAダイ120が取着される前にメインボードに取着される部品はない。
【0024】
ブロック220に記載しているように、メインボードにパッケージを取着する。当該パッケージは、既に取着されているDCAダイの少なくとも一部分の上方に配設される。この様子は図3Bおよび図3Cに図示されている。同図によると、パッケージ150aは、DCAダイ120の上方に配設されており、インターコネクト165aによってメインボードに結合されている。図3Bには側方立面図を図示し、図3Cには平面図を図示する。図3Cが最も分かりやすいが、同図に図示されている実施形態によると、パッケージ150aおよびDCAダイ120は通常、同心円状に配置され、ダイ120およびインターコネクト125は、インターコネクト165aのパターンの内側に位置している。別の実施形態によると、ブロック225に記載しているように、パッケージ150aと共にメインボード110にはその他の部品が追加で設けられるとしてよい。この様子は図3Bに図示されており、同図によると、部品130a−130cもメインボード110に配設されている(図示の便宜上、部品130a−cは図3Cでは図示を省略している)。一実施形態によると、リフロー処理を実行して、インターコネクト165aの形成を完了させる。インターコネクト165aは、パッケージ150aとメインボード110との間に延在しており、部品130a−cをメインボード110に結合する。別の実施形態によると、1回のリフロー処理でインターコネクト125およびインターコネクト165aを形成するとしてもよい。さらに別の実施形態によると、このようにリフロー処理を1回実行することによってさらに、部品130a−cもメインボード110に取着されるとしてよい。しかし、別の実施形態によると、インターコネクト165aのみを形成するためのリフロー処理が実行されるとしてよい(この前には、インターコネクト125を形成するためのリフロー処理を実行する)。
【0025】
ブロック230を参照しつつ説明すると、アンダーフィル材料はメインボード上に設けられるとしてよい。この様子は図3Dに図示されており、同図によると、パッケージ150aとメインボード110との間にアンダーフィル層105を形成するための材料が設けられている。このアンダーフィル層105はさらに、DCAダイ120と基板160aとの間の間隙180aを充填していると共に、DCAダイ120とメインボード110との間の間隙を充填している。アンダーフィル材料105は、任意の適切な材料から形成されるとしてよく、例えば、液体状のエポキシ化合物または前もって塗布されているエポキシ化合物から形成されるとしてよい。さらに、このアンダーフィル材料は、任意の適切な方法(例えば、キャピラリーフロー法、ジェット吐出、事前整形シート等)で塗布されるとしてよい。一実施形態によると、アンダーフィル層105を塗布した後、加熱処理を実行してアンダーフィル層を硬化させる。さらに別の実施形態によると、アンダーフィル層はリフロー処理(例えば、インターコネクト165aを形成するためのリフロー処理)によって硬化する。別の実施形態によると、アンダーフィル材料は2段階で塗布されるとしてよい。例えば、1段階目でDCAダイ120の下方にアンダーフィル層を塗布して、2段階目でパッケージ150aの下方にアンダーフィル層を塗布するとしてよい。
【0026】
別の実施形態によると、ブロック240に記載されているように、アンダーフィル層を形成した後(および/または、パッケージを取着した後)1以上の処理を追加で実行するとしてよい。例えば、部品を追加で(例えば、部品130a−cおよび/または部品140a−b)を、メインボード110に固定して、メインボード110に電気結合するとしてよい。繰り返しになるが、上述したように、このような部品のうち1以上の部品は、組立工程のより早い段階でメインボードに固定されるとしてもよい。一実施形態によると、このように追加で設けられる部品130a−c、140a−cのうち任意の1以上の部品を結合するための電気的インターコネクトは、インターコネクト125および/またはインターコネクト165aを形成するためのリフロー処理で形成される。追加で実行され得るその他の処理としては、部品の機械的な取着(例えば、リベット、クリップ、ネジ、および、その他の固定器具による取着等)、および、試験が挙げられる。
【0027】
上述した実施形態には幾つか、注目すべき特徴があるとしてよい。例えば、構造100全体の高さまたは厚みH(図1Aを参照のこと)が比較的小さくなるとしてよい(例えば、厚みHは約1.6mmであるとしてよい。一方、標準的なPoP構造の対応する厚みは、約2.7mmであるとしてよい)。さらに例を挙げると、メインボード110が有する金属層の数が比較的多くなるとしてよく(例えば、6層以上)、この結果、DCAダイ120とパッケージ150a(および/または、メインボード110に設けられているほかの部品)との間のルーティングの自由度が高まる。また、本明細書に開示されている実施形態を適用しても、メインボード構造全体の大きさまたはフットプリントに増加は見られないと見られる。
【0028】
上述した詳細な説明および添付図面は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本明細書で開示する実施形態を明確且つ完全に説明することを第一義的な目的としたものであり、いかなる点においても不要に本発明を限定する根拠となるものではない。当業者であれば、本明細書に開示している実施形態の思想および請求の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載する実施形態に対する数多くの追加内容、削除内容および変形内容、ならびに、代替構成に想到するとしてよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E