特許第6232838号(P6232838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232838レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232838
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20171113BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20171113BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20171113BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20171113BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G03F7/038 601
   G03F7/004 503A
   G03F7/039 601
   G03F7/38 511
   C08F20/00 510
【請求項の数】2
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2013-174228(P2013-174228)
(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2014-67015(P2014-67015A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-196907(P2012-196907)
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】西村 崇
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−073401(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/169620(WO,A1)
【文献】 特開2013−190637(JP,A)
【文献】 特開2013−190693(JP,A)
【文献】 特開2013−011866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/06;7/075−7/115;
7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される構造単位、式(a3−4)で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂と、式(B1)で表される酸発生剤とを含有するレジスト組成物。
[式(I)中、
は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
sは、1〜5の整数を表す。
tは、0〜3の整数を表す。但し、s+tは、5以下である。
は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
uは、0〜3の整数を表し、uが2以上のとき、複数のRは互いに同一又は相異なる。]

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基及び脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【請求項2】
(1)請求項1記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及び該レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細加工には光リソグラフィが利用され、光リソグラフィにはレジスト組成物が用いられている。このようなレジスト組成物として、特許文献1に、下記構造単位の組み合わせからなる樹脂と、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムトリフレートとを含有するレジスト組成物が記載されている。
また、レジスト組成物から、光リソグラフィによりレジストパターンを形成する際、アルカリ現像液で現像するとポジ型レジストパターンが得られ、有機溶剤で現像するとネガ型レジストパターンが得られることが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−239828号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】テクノタイムズ社発行 月刊ディスプレイ ’11 6月号 p.31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレジスト組成物によって形成されたネガ型レジストパターンでは、ラインエッジラフネス(LER)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕 式(I)で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂と、式(B1)で表される酸発生剤とを含有するレジスト組成物。
[式(I)中、
は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
sは、1〜5の整数を表す。
tは、0〜3の整数を表す。但し、s+tは、5以下である。
は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
uは、0〜3の整数を表し、uが2以上のとき、複数のRは互いに同一又は相異なる。]
[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基及び脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【0007】
〔2〕 (1)〔1〕記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレジスト組成物によれば、ラインエッジラフネス(LER)が良好なレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種」を意味する。「(メタ)アクリル酸」や「(メタ)アクリロイル」等の表記も、同様の意味を有する。
【0010】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、式(I)で表される構造単位及び酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(以下「樹脂(A)」という場合がある。)、並びに、酸発生剤(B)を含有する。
酸発生剤(B)は、式(B1)で表される酸発生剤(以下「酸発生剤(B1)」という場合がある。)を含有する。
本発明のレジスト組成物は、さらに溶剤(E)を含有していることが好ましい。
本発明のレジスト組成物は、さらに化合物(II)及び/又は塩基性化合物(C)を含有していることが好ましい。
【0011】
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、式(I)で表される構造単位(以下「構造単位(I)」という場合がある。)及び酸不安定基を有する構造単位(以下「構造単位(a)」という場合がある。)を含む。樹脂(A)は、さらに、酸不安定基を有しない構造単位(以下「構造単位(s)」という場合がある。)を含むことが好ましい。また、樹脂(A)は、酸の作用により分解し、酢酸ブチル又は2−ヘプタノンへの溶解性が減少する特性を有することが好ましい。
【0012】
〈式(I)で表される構造単位〉
構造単位(I)は、式(I)で表される。
[式(I)中、
は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
sは、1〜5の整数を表す。
tは、0〜3の整数を表す。但し、s+tは、5以下である。
は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
uは、0〜3の整数を表し、uが2以上のとき、複数のRは互いに同一又は相異なる。]
【0013】
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
のハロゲン原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基等が挙げられる。
は、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基又はエチル基であり、さらに好ましくは、水素原子又はメチル基である。
【0014】
の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられる。
は、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
uは、好ましくは、0又は1である。
【0015】
式(I)における環状エーテル構造としては、式(R−1−1)〜式(R−1−8)のいずれかで表される構造が好ましく、式(R−1−1)で表される構造がより好ましい。
【0016】
構造単位(I)の具体例を以下に示す。
【0017】
式(I−1)〜式(I−8)のいずれかで表される構造単位について、Rに相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(I)の具体例として挙げることができる。
【0018】
構造単位(I)は、式(I’)で表される化合物(以下、場合により「化合物(I’)」という。)から導かれる。以下の説明において、各符号は上記と同じ意味を表す。
【0019】
化合物(I’)は、市場から容易に入手できるか、例えば、以下の方法によって合成できる。
式(I’−a)で表される化合物と式(I’−b)で表される化合物とを、溶剤中で反応させることにより、式(I)で表される化合物を得ることができる。溶剤としては、クロロホルム等が挙げられる。
式(I’−a)で表される化合物としては、以下で表される化合物等が挙げられる。
式(I’−b)で表される化合物としては、以下で表される化合物等が挙げられる。
【0020】
樹脂(A)に含まれる構造単位(I)の含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは2〜45モル%、さらに好ましくは2〜40モル%、特に好ましくは3〜35モル%である。
【0021】
〈構造単位(a)〉
「酸不安定基」とは、上述したように、酸と接触すると脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2’)で表される基等が挙げられる。


[式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。
*は結合手を表す。]
[式(2’)中、Ra1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、該炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成する−CH−は、−O―又は―S−で置き換わってもよい。
Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
*は結合手を表す。]
式(2’)で表される基は、式(2)で表される基が好ましい。
[式(2)中、Ra1’、Ra2’及びRa3’は上記と同じ意味を表す。]
【0022】
a1〜Ra3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
a1〜Ra3の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。Ra1〜Ra3の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
アルキル基と脂環式炭化水素基とを組合わせた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
【0023】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。各式中、Ra3は上記と同じ意味であり、*は−O−との結合手を表す。
【0024】
式(1)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中においてRa1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及びこれらが結合する炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)等が挙げられる。
【0025】
a1'〜Ra3'の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
a2'及びRa3'が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、Ra1'〜Ra3'の炭化水素基から水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
a1'及びRa2'のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
【0026】
式(2’)で表される基の具体例としては、以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0027】
構造単位(a)を導くモノマー(以下「モノマー(a)」という場合がある。)は、好ましくは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0028】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有する構造単位(a)を有する樹脂をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0029】
式(1)で表される基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは式(a1−1)で表される構造単位又は式(a1−2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書では、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位を、それぞれ構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)と、構造単位(a1−1)を誘導するモノマー及び構造単位(a1−2)を誘導するモノマーを、それぞれモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)という場合がある。
【0030】
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又はこれらを組合わせた基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0031】
a1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7のアルキル基、脂環式炭化水素基及びこれらを組合わせた基としては、式(1)のRa1〜Ra3で挙げた基と同様の基が挙げられる。
a6及びRa7のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
a6及びRa7の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは6以下である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0032】
モノマー(a1−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
【0033】
モノマー(a1−2)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)で表されるモノマーが好ましく、式(a1−2−3)〜式(a1−2−4)又は式(a1−2−9)〜式(a1−2−10)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−2−3)又は式(a1−2−9)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0034】
樹脂(A)が構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0035】
式(2’)で表される基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位としては、式(a1−5)で表される構造単位(以下「構造単位(a1−5)」という場合がある)が挙げられる。
[式(a1−5)中、
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a1は、単結合又は*−[CH2k4−CO−La4−を表す。ここで、k4は1〜4の整数を表す。*は、La1との結合手を表す。
a1、La2、La3及びLa4は、それぞれ独立に、−O−又は−S−を表す。
s1は、1〜3の整数を表す。
s1’は、0〜3の整数を表す。]
【0036】
式(a1−5)においては、R31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
a1は、酸素原子が好ましい。
a2及びLa3は、一方が酸素原子、他方が硫黄原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
a1は、単結合又は*−CH−CO−O−が好ましい。
【0037】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。
【0038】
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜95モル%が好ましく、3〜90モル%がより好ましく、5〜85モル%がさらに好ましい。
【0039】
〈構造単位(s)〉
構造単位(s)は、酸不安定基を有さず、かつ構造単位(I)とは異なる構造単位である。構造単位(s)を導くモノマー(以下「モノマー(s)」という場合がある)としては、酸不安定基を有さず、かつ化合物(I’)とは異なるモノマーであれば特に限定されず、レジスト分野で公知のモノマーを使用できる。
構造単位(s)としては、ヒドロキシ基又はラクトン環を有する構造単位(s)が好ましい。ヒドロキシ基を有する構造単位(s)(以下「構造単位(a2)」という場合がある)及び/又はラクトン環を有する構造単位(s)(以下「構造単位(a3)」という場合がある)を有する樹脂をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度及び基板との密着性を向上させることができる。
【0040】
〈構造単位(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV(超紫外光)等の高エネルギー線による光リソグラフィに用いる場合、構造単位(a2)としては、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位が好ましい。ArFエキシマレーザ露光(193nm)等による光リソグラフィを用いる場合、構造単位(a2)としては、アルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位が好ましい。構造単位(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)としては、式(a2−0)で表される構造単位(以下「構造単位(a2−0)」という場合がある)が挙げられる。
[式(a2−0)中、
a30は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31は互いに同一又は相異なる。]
【0042】
ハロゲン原子としては例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等が挙げられる。
炭素数2〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
炭素数2〜4のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基及びブチリルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
a30は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましい。
a31のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0044】
構造単位(a2−0)を導くモノマーとしては、例えば、特開2010−204634号公報に記載されているモノマーが挙げられる。
なかでも、構造単位(a2−0)としては、式(a2−0−1)、式(a2−0−2)、式(a2−0−3)及び式(a2−0−4)でそれぞれ表されるものが好ましく、式(a2−0−1)又は式(a2−0−2)で表されるものがより好ましい。
【0045】
構造単位(a2−0)を含む樹脂(A)は、構造単位(a2−0)を導くモノマーが有するフェノール性ヒドロキシ基を、例えば、アセチル基のような保護基で保護したモノマーを用いて重合反応を行い、その後脱保護処理することにより製造できる。ただし、脱保護処理を行う際には、構造単位(a1)が有する酸不安定基を著しく損なわないようにして行う必要がある。
【0046】
樹脂(A)が、構造単位(a2−0)を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、15〜80モル%がさらに好ましい。
【0047】
アルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)としては、式(a2−1)で表される構造単位(以下「構造単位(a2−1)」という場合がある)が挙げられる。
構造単位(a2)としては、構造単位(a2−1)がより好ましい。
式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0048】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0049】
構造単位(a2−1)を導くモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。なかでも、式(a2−1−1)〜式(a2−1−6)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a2−1−1)〜式(a2−1−4)のいずれかで表されるモノマーがより好ましく、式(a2−1−1)又は式(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。
【0050】
樹脂(A)が構造単位(a2)を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常1〜45モル%であり、好ましくは1〜40モル%であり、より好ましくは1〜35モル%であり、さらに好ましくは2〜20モル%である。
【0051】
〈構造単位(a3)〉
構造単位(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、このようなラクトン環構造を含む橋かけ環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環又はγ−ブチロラクトン環構造を含む橋かけ環が挙げられる。
【0052】
構造単位(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)、式(a3−3)又は式(a3−4)で表される構造単位(以下、式番号に応じて「構造単位(a3−1)」等という場合がある。)である。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
[式(a3−1)中、
a4は、酸素原子又は*−O−(CH2k4−CO−O−(k4は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、p1が2以上の場合、複数のRa21は同じであってもよい。
式(a3−2)中、
a5は、酸素原子又は*−O−(CH2k4−CO−O−(k4は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。
a19は、水素原子又はメチル基を表す。
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、q1が2以上の場合、複数のRa22は同じであってもよい。
式(a3−3)中、
a6は、酸素原子又は*−O−(CH2k4−CO−O−(k4は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、r1が2以上の場合、複数のRa23は同じであってもよい。
式(a3−4)中、
a7は、酸素原子、*−O−(CH2k4−O−、*−O−(CH2k4−CO−O−、*−O−(CH2k4−CO−O−(CH2k5−CO−O−又は*−O−(CH2k4−O−CO−(CH2k5−O−(k4及びk5は、それぞれ独立に、1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a24は、水素原子又はメチル基を表す。]
【0054】
式(a3−1)〜式(a3−4)において、La4〜La7は、式(a2−1)のLa3で説明したものと同じものが挙げられる。
a4〜La7は、それぞれ独立に、酸素原子又は、k4が1〜4の整数である*−O−(CH2k4−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子及び、*−O−CH2−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21及びRa24は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。なお、p1が2である場合、2つのRa21は互いに同一でも異なっていてもよく、q1が2である場合、2つのRa22は互いに同一でも異なっていてもよく、r1が2である場合、2つのRa23は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0055】
構造単位(a3−1)を導くモノマーとしては、例えば、式(a3−1−1)〜式(a3−1−4)のいずれか表されるモノマー等が挙げられる。また、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。
【0056】
構造単位(a3−2)を導くモノマーとしては、例えば、式(a3−2−1)〜式(a3−2−4)のいずれか表されるモノマー等が挙げられる。また、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。
【0057】
構造単位(a3−3)を導くモノマーとしては、例えば、式(a3−3−1)〜式(a3−3−4)のいずれか表されるモノマー等が挙げられる。また、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。
【0058】
構造単位(a3−4)を導くモノマーとしては、例えば、式(a3−4−1)〜式(a3−4−6)のいずれか表されるモノマー等が挙げられる。また、特開2012−41274号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下記化合物において、Ra24に相当するメチル基が水素原子に置き換わった化合物も、構造単位(a3−4)を導くモノマーの具体例として挙げることができる。
【0059】
構造単位(a3)の中でも、式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−2−3)、式(a3−2−4)、式(a3−4−1)又は式(a3−4−2)で表されるモノマーに由来する構造単位がより好ましく、式(a3−1−1)、式(a3−2−3)又は式(a3−4−2)で表されるモノマーに由来する構造単位がさらに好ましい。
【0060】
樹脂(A)が、構造単位(a3)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、5〜70モル%が好ましく、10〜65モル%がより好ましく、10〜60モル%がさらに好ましい。
【0061】
また、構造単位(a3−1)、構造単位(a3−2)、構造単位(a3−3)及び構造単位(a3−4)の含有量は、それぞれ、樹脂(A)の全構造単位に対して、5〜60モル%が好ましく、5〜50モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましい。
【0062】
〈その他の構造単位(s)〉
構造単位(s)としては、構造単位(a2)及び構造単位(a3)以外にハロゲン原子を有する構造単位(以下「構造単位(a4)」という場合がある。)が挙げられる。
【0063】
構造単位(a4)としては、例えば、式(a4−1)で表される構造単位が挙げられる。
式(a4−1)中、
a41は、水素原子又はメチル基を表す。
a41は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−g1)で表される基を表す。
(式(a−g1)中、
sは0又は1を表す。
a42及びAa44は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。
a43は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は単結合を表す。
a41及びXa42は、それぞれ独立に、−O−、−CO−、−CO−O−又は−O−CO−を表す。)
a42は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
ただし、Aa41及びRa42のうち少なくとも一方は、ハロゲン原子を有する基である。
【0064】
a42の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらが組合わせられた基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、炭素炭素不飽和結合を有していてもよいが、脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。脂肪族飽和炭化水素基としては、鎖式及び環式のいずれでもよく、特に、直鎖又は分岐のアルキル基及び単環式又は多環式の脂環式炭化水素基並びにアルキル基及び脂環式炭化水素基を組み合わせた脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
鎖式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ペンタデシル基、ヘキシルデシル基、ヘプタデシル基及びオクタデシル基等のアルキル基が挙げられる。
単環式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基を組み合わせた脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェナントリル基及びフルオレニル基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とを組み合わせた基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0065】
a41のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
a41のアルカンジイル基における置換基としては、ヒドロキシ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。
a41は、好ましくは炭素数1〜4のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数2〜4のアルカンジイル基であり、さらに好ましくはエチレン基である。
【0066】
アルカンジイル基の置換基は、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
【0067】
a41の式(a−g1)で表される基(以下「基(a−g1)」という場合がある。)は、Aa44が−O−CO−Ra42と結合する。
基(a−g1)におけるAa42、Aa43及びAa44の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基等が挙げられる。
a42、Aa43及びAa44における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。
【0068】
a42が酸素原子である基(a−g1)としては、例えば、以下の基等が挙げられる。以下の例示において、それぞれ*で表される2つの結合手のうち、右側の*が−O−CO−Ra42との結合手である。
【0069】
a42がカルボニル基である基(a−g1)としては、例えば、以下の基等が挙げられる。
【0070】
a42がカルボニルオキシ基である基(a−g1)としては、例えば、以下の基等が挙げられる。
【0071】
a42がオキシカルボニル基である基(a−g1)としては、例えば、以下の基等が挙げられる。
なかでも、Aa42、Aa43、Aa44、Xa41及びXa42の炭素数の合計は6以下であることが好ましい。
【0072】
a42の炭化水素基としては、鎖式及び環式の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基並びにこれらが組合わせられた基が挙げられ、鎖式及び環式の脂肪族炭化水素基並びにこれらが組合わせられた基が好ましく、炭素炭素不飽和結合を有していてもよいが、鎖式及び環式の脂肪族飽和炭化水素基並びにこれらが組合わせられた基がより好ましい。具体的には、Ra41と同様の基が挙げられる。
a42は、脂肪族炭化水素基が好ましく、ハロゲン原子又は式(a−g3)で表される基を有する脂肪族炭化水素基がより好ましい。
[式(a−g3)中、
a43は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
a45は、少なくとも1つのハロゲン原子を有する炭素数3〜17の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0073】
a42がハロゲン原子を有する脂肪族炭化水素基である場合、好ましくはフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはペルフルオロアルキル基又はペルフルオロシクロアルキル基であり、より好ましくは炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基である。ペルフルオロアルキル基としては、例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基等が挙げられる。ペルフルオロシクロアルキル基としては、例えば、ペルフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0074】
a42が、式(a−g3)で表される基を有する脂肪族炭化水素基である場合、式(a−g3)で表される基に含まれる炭素数を含めて、脂肪族炭化水素基の総炭素数は、15以下が好ましく、12以下がより好ましい。式(a−g3)で表される基を置換基として有する場合、その数は1個が好ましい。
【0075】
式(a−g3)で表される基を有する脂肪族炭化水素は、さらに好ましくは式(a−g2)で表される基である。
[式(a−g2)中、
a46は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜17の脂肪族炭化水素基を表す。
a44は、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
a47は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数3〜17の脂肪族炭化水素基を表す。
ただし、Aa46、Aa47及びXa44の炭素数の合計は18以下であり、Aa46及びAa47のうち、少なくとも一方は、少なくとも1つのハロゲン原子を有する。]
【0076】
a46の脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
a47の脂肪族炭化水素基の炭素数は4〜15が好ましく、5〜12がより好ましく、Aa47は、シクロヘキシル基又はアダマンチル基がさらに好ましい。
【0077】
a46及びAa47の組み合わせのうち、より好ましいものを、*−Aa46−Xa44−Aa47で表される部分構造(*はカルボニル基との結合手である)で表すと、以下の構造が挙げられる。
【0078】
なお、式(a4−1)においては、Aa41及びRa42のうち少なくとも一方は、ハロゲン原子を有する基である。
【0079】
構造単位(a4−1)としては、式(a4−2)又は式(a4−3)で表される構造単位が好ましい。
[式(a4−2)中、
f1は、水素原子又はメチル基を表す。
f1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
f2は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
【0080】
f1のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
【0081】
f2の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含し、脂肪族炭化水素基は、鎖式、環式及びこれらの組み合わせを含む。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、脂環式炭化水素基が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基が挙げられる。
【0082】
f2のフッ素原子を有する炭化水素基としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有する脂環式炭化水素基等が挙げられる。
具体的には、フッ素原子を有するアルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基等のフッ化アルキル基が挙げられる。
フッ素原子を有する脂環式炭化水素基としては、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロアダマンチル基等のフッ化シクロアルキル基が挙げられる。
【0083】
式(a4−2)においては、炭素数2〜4のアルカンジイル基が好ましく、Af1としては、エチレン基がより好ましい。
f2としては、炭素数1〜6のフッ化アルキル基が好ましい。
【0084】
[式(a4−3)中、
f11は、水素原子又はメチル基を表す。
f11は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
f13は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。
f12は、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
f14は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。 ただし、Af13及びAf14の少なくとも1つは、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基を表す。]
【0085】
f11のアルカンジイル基としては、Af1のアルカンジイル基と同様の基が挙げられる。
【0086】
f13の脂肪族炭化水素基としては、鎖式及び環式のいずれか並びにこれらが組み合わせられた2価の脂肪族炭化水素基が包含される。この脂肪族炭化水素は、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよいが、好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。
f13のフッ素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、好ましくはフッ素原子を有していてもよい脂肪族飽和炭化水素基であり、より好ましくはペルフルオロアルカンジイル基である。
フッ素原子を有していてもよい2価の鎖式の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基及びペンタンジイル基等のアルカンジイル基;ジフルオロメチレン基、ペルフルオロエチレン基、ペルフルオロプロパンジイル基、ペルフルオロブタンジイル基及びペルフルオロペンタンジイル基等のペルフルオロアルカンジイル基等が挙げられる。
フッ素原子を有していてもよい2価の環式の脂肪族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキサンジイル基及びペルフルオロシクロヘキサンジイル基等が挙げられる。多環式の2価の脂肪族炭化水素基としては、アダマンタンジイル基、ノルボルナンジイル基、ペルフルオロアダマンタンジイル基等が挙げられる。
【0087】
f14の脂肪族炭化水素基としては、鎖式及び環式のいずれか並びにこれらが組み合わせられた脂肪族炭化水素基が包含される。この脂肪族炭化水素は、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよいが、好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。
f14のフッ素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、好ましくはフッ素原子を有していてもよい脂肪族飽和炭化水素基である。
フッ素原子を有していてもよい鎖式の脂肪族炭化水素基としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、メチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、エチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、プロピル基、ペルフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ブチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基及びペンチル基、ヘキシル基、ペルフルオロヘキシル基、ヘプチル基、ペルフルオロヘプチル基、オクチル基及びペルフルオロオクチル基等が挙げられる。
等が挙げられる。
フッ素原子を有していてもよい環式の脂肪族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂肪族炭化水素基を含む基としては、シクロプロピルメチル基、シクロプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。多環式の脂肪族炭化水素基を含む基としては、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、ペルフルオロアダマンチル基、ペルフルオロアダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0088】
式(a4−3)においては、Af11としては、エチレン基が好ましい。
f13の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜6が好ましく、2〜3がさらに好ましい。
f14の脂肪族炭化水素基は、炭素数3〜12が好ましく、3〜10がさらに好ましい。なかでも、Af14は、好ましくは炭素数3〜12の脂環式炭化水素基を含む基であり、より好ましくは、シクロプロピルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基である。
なお、Af13及びAf14の少なくとも1つにおいて、脂肪族炭化水素基がフッ素原子を有しているものが好ましく、特に、Af13がペルフルオロ脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0089】
式(a4−2)で表される構造単位を誘導するモノマーとしては、例えば、式(a4−1−1)〜式(a4−1−22)でそれぞれ表されるモノマーが挙げられる。
【0090】
【0091】
式(a4−3)で表される構造単位を誘導するモノマーとしては、例えば、式(a4−1’−1)〜式(a4−1’−22)でそれぞれ表されるモノマーが挙げられる。
【0092】
【0093】
構造単位(a4)としては、式(a4−4)で表される構造単位も挙げられる。
[式(a4−4)中、
f21は、水素原子又はメチル基を表す。
f21は、−(CHj1−、−(CHj2−O−(CHj3−又は−(CHj4−CO−O−(CHj5−を表す。
j1〜j5は、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。
f22は、フッ素原子を有する炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
【0094】
f22のフッ素原子を有する炭化水素基としては、式(a4−2)におけるRf2の炭化水素基と同じものが挙げられる。Rf22は、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基又はフッ素原子を有する炭素数1〜10の脂環式炭化水素基が好ましく、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、フッ素原子を有する炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましい。
【0095】
式(a4−4)では、Af21としては、−(CHj1−が好ましく、エチレン基又はメチレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0096】
式(a4−4)で表される構造単位を誘導するモノマーとしては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。
【0097】
【0098】
樹脂(A)が、構造単位(a4)を有する場合、それらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がより好ましく、3〜10モル%がさらに好ましい。
【0099】
樹脂(A)は、上述の構造単位以外の構造単位をさらに有していてもよく、このような構造単位としては、当技術分野で周知の構造単位を挙げられる。
【0100】
樹脂(A)は、好ましくは、構造単位(I)と構造単位(a)と構造単位(s)とからなる樹脂、すなわち、モノマー(I´)とモノマー(a)とモノマー(s)との共重合体である。
【0101】
樹脂(A)が、構造単位(I)(以下「(I)」)、構造単位(a)(以下「(a)」)及び構造単位(s)(以下「(s)」)からなる樹脂である場合、これらの構成比はそれぞれ、好ましくは、
(I):1〜50モル%
(a):20〜60モル%
(s):30〜70モル%
であり、より好ましくは、
(I):2〜40モル%
(a):25〜55モル%
(s):35〜65モル%
であり、さらに好ましくは、
(I):3〜35モル%
(a):30〜50モル%
(s):35〜65モル%
である。
【0102】
樹脂(A)が、構造単位(I)、構造単位(a)、構造単位(a2)(以下「(a2)」)及び構造単位(a3)(以下「(a3)」)からなる樹脂である場合、これらの構成比はそれぞれ、好ましくは、
(I):1〜50モル%
(a):20〜60モル%
(a2):1〜35モル%
(a3):29〜65モル%
であり、より好ましくは、
(I):2〜40モル%
(a):25〜55モル%
(a2):2〜30モル%
(a3):33〜65モル%
であり、さらに好ましくは、
(I):3〜35モル%
(a):30〜50モル%
(a2):2〜25モル%
(a3):33〜60モル%
である。
【0103】
構造単位(a1)は、好ましくは構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)(好ましくはシクロヘキシル基、シクロペンチル基を有する該構造単位)の少なくとも一種、より好ましくは構造単位(a1−1)である。
構造単位(s)は、好ましくは構造単位(a2)及び構造単位(a3)の少なくとも一種である。構造単位(a2)は、好ましくは構造単位(a2−1)である。構造単位(a3)は、好ましくは構造単位(a3−1)、構造単位(a3−2)及び構造単位(a3−4)の少なくとも一種である。
【0104】
樹脂(A)は、アダマンチル基を有するモノマーに由来する構造単位(特に、構造単位(a1−1))を、構造単位(a1)の含有量に対して15モル%以上含有していることが好ましい。アダマンチル基を有する構造単位の含有量が増えると、レジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。
【0105】
樹脂(A)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて含まれていてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。
【0106】
<樹脂(A)以外の樹脂>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)以外の樹脂を含んでもよい。このような樹脂としては、構造単位(a)と構造単位(s)とからなる樹脂、構造単位(s)のみからなる樹脂が挙げられる。
中でも、樹脂(A)以外の樹脂としては、構造単位(a4)を有する樹脂(以下「樹脂(X)」という場合がある。)が好ましい。樹脂(X)において、構造単位(a4)の含有割合は、樹脂(X)の全構造単位に対して、80モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
樹脂(X)がさらに有していてもよい構造単位としては、例えば、構造単位(a2)に、構造単位(a3)及びその他の公知のモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
樹脂(X)の重量平均分子量は、好ましくは、8,000以上(より好ましくは10,000以上)、80,000以下(より好ましくは60,000以下)である。かかる樹脂(X)の重量平均分子量の測定手段は、樹脂(A)の場合と同様である。
【0107】
本発明のレジスト組成物が樹脂(X)を含む場合、その含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部であり、より好ましくは3〜50質量部であり、さらに好ましくは5〜40質量部であり、特に好ましくは7〜30質量部である。
【0108】
本発明のレジスト組成物における樹脂の含有率は、レジスト組成物の固形分に対して、80質量%以上99質量%以下が好ましい。本明細書において、「レジスト組成物の固形分」とは、レジスト組成物の総量から、後述する溶剤(E)を除いた成分の合計を意味する。レジスト組成物の固形分及びこれに対する樹脂の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0109】
〈酸発生剤(B1)〉
酸発生剤B1は、式(B1)で表される。
【0110】
[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【0111】
ペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等が挙げられる。
式(B1)では、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、好ましくはトリフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0112】
2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0113】
b1の飽和炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わった基の具体例としては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−8)のいずれかで表される基が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−8)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、それぞれ*で表される2つの結合手のうち、左側でC(Q1)(Q2)と結合し、右側でYと結合する。以下に示す式(b1−1)〜式(b1−8)の具体例も同様である。
式(b1−1)〜式(b1−8)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、単結合又は炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。
b6は、炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb5及びLb6の合計炭素数の上限は15である。
b7は、単結合又は炭素数1〜15の2価の飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜16の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb7及びLb8の合計炭素数の上限は16である。
b9は、単結合又は炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。
b10は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は14である。
b11及びLb12は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。
b13は、炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb11、Lb12及びLb13の合計炭素数の上限は12である。
b14及びLb15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜13の2価の飽和炭化水素基を表す。
b16は、炭素数1〜14の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb14、Lb15及びLb16の合計炭素数の上限は14である。
b17は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜11の2価の飽和炭化水素基を表す。
b18及びLb19は、炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基を表す。但しLb17、Lb18及びLb19の合計炭素数の上限は11である。
b1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)及び式(b1−8)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)、式(b1−3)又は式(b1−8)で表される基である。
【0114】
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0115】
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0116】
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0117】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0118】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0119】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0120】
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0121】
式(b1−8)で表される2価の基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0122】
b1の2価の飽和炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基等が挙げられる。水素原子がフッ素原子又はヒドロキシ基で置換された基としては、例えば、以下に示す2価の基等が挙げられる。
【0123】
【0124】
Yのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である。
Yの脂環式炭化水素基としては、例えば、式(Y1)〜式(Y11)で表される基が挙げられる。また、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−が、−O−、−SO−又は−CO−に置き換わった基としては、例えば、式(Y12)〜式(Y26)で表される基が挙げられる。
【0125】
Yの脂環式炭化水素基は、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
【0126】
Yのアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)等が挙げられる。
Yの脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のヒドロキシ基含有アルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)等が挙げられる。
【0127】
ヒドロキシ基含有アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0128】
Yとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0129】
なお、Yがアルキル基であり、かつLb1が炭素数1〜17の直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基である場合、Yとの結合位置にある該2価の飽和炭化水素基の−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わっていることが好ましい。この場合、Yのアルキル基をに含まれる−CH−は、−O−又は−CO−に置き換わらない。Yのアルキル基及び/又はLb1の2価の直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基に含まれる水素原子が置換基で置換されている場合も同様である。
【0130】
Yは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましく置換基を有していてもよいアダマンチル基であり、これらの基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Yは、さら特に好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
【0131】
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、好ましくは、式(b1−1−1)〜式(b1−1−11)で表されるアニオン〔以下、式番号に応じて「アニオン(b1−1−1)」等という場合がある。〕が挙げられる。なかでも、より好ましくは、式(b1−1−2)又は式(b1−1−11)で表されるアニオンである。以下の式においては、符号の定義は上記と同じ意味であり、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。その他の符号は、上記と同じ意味を表す。
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0132】
【0133】
+の有機カチオンは、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等が挙げられ、好ましくは、有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンであり、より好ましくは、アリールスルホニウムカチオンである。
式(B1)中のZ+は、好ましくは式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表されるカチオン〔以下、式番号に応じて「カチオン(b2−1)」等という場合がある。〕である。
【0134】
【0135】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
b4とRb5とは、一緒になってそれらが結合する硫黄原子とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成してもよい。
【0136】
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0137】
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表す。
b9とRb10とは、一緒になってそれらが結合する硫黄原子とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成してもよい。該環に含まれる−CH−は、−O−、−SO−又は−CO−に置き換わってもよい。
b11は、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b11とRb12とは、一緒になってそれらが結合する−CH−CO−とともに3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよい。該環に含まれる−CH−は、−O−、−SO−又は−CO−に置き換わってもよい。
【0138】
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、−S−又は−O−を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のRb13は同一でも異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のRb14は同一でも異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のRb15は同一でも異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のRb16は同一でも異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のRb17は同一でも異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のRb18は同一でも異なってもよい。
【0139】
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。特に、Rb9〜Rb12の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜12である。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、該脂環式炭化水素基の炭素数には、該アルキル基の炭素数も含めて数えられ、好ましくは20以下である。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基等が挙げられる。
特に、Rb4〜Rb6の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18である。Rb9〜Rb11の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12である。
【0140】
水素原子がアルキル基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。
【0141】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、p−エチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−シクロへキシルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基には、芳香環に脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基が結合したアリール基も含められ、その場合の炭素数は、脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基の炭素数も併せて数えられる。Rb4〜Rb6の芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素数6〜224である。
水素原子がアルコキシ基で置換された芳香族炭化水素基としては、例えば、p−メトキシフェニル基等が挙げられる。
水素原子が芳香族炭化水素基で置換されたアルキル基、すなわちアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0142】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0143】
b4とRb5とが一緒になって形成してもよい硫黄原子を含む環としては、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよく、硫黄原子を1以上含むものであれば、さらに、1以上の硫黄原子及び/又は1以上の酸素原子を含んでいてもよい。該環としては、炭素数3〜18の環が好ましく、炭素数4〜18の環がより好ましい。
【0144】
b9とRb10とが結合する硫黄原子とともに形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環等が挙げられる。
b11とRb12とが結合する−CH−CO−とともに形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環等が挙げられる。
【0145】
カチオン(b2−1)としては、例えば、以下のカチオンが挙げられる。
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
カチオン(b2−2)としては、例えば、以下のカチオンが挙げられる。
【0151】
カチオン(b2−3)としては、例えば、以下のカチオンが挙げられる。
【0152】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、好ましくは、カチオン(b2−1)であり、より好ましくは、式(b2−1−1)で表されるカチオン(以下「カチオン(b2−1−1)」という場合がある。)であり、さらに好ましくは、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)、ジフェニルトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=0、x2=1であり、Rb21がメチル基である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)である。
【0153】
式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。また、Rb19〜Rb21から選ばれる2つが一緒になって硫黄原子を含む環を形成してもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一又は相異なる。
【0154】
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0155】
式(b2−1−1)で表されるカチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0156】
式(B1)で表される塩は、上述のスルホン酸アニオン及び上述の有機カチオンの組合せである。これらは任意に組み合わせることができ、好ましくは、アニオン(b1−1−1)〜アニオン(b1−1−9)のいずれかとカチオン(b2−1−1)との組合せ、並びにアニオン(b1−1−3)〜アニオン(b1−1−5)のいずれかとカチオン(b2−3)との組合せが挙げられる。
【0157】
酸発生剤(B1)としては、好ましくは、式(B1−1)〜式(B1−24)でそれぞれ表されるものがより好ましく、トリアリールスルホニウムカチオンを含む式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−5)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−13)、式(B1−20)、式(B1−21)、式(B1−22)、式(B1−23)及び式(B1−24)並びにでそれぞれ表されるものがとりわけ好ましい。
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
酸発生剤(B)は、酸発生剤(B1)以外の酸発生剤を含んでいてもよい。
本発明のレジスト組成物においては、酸発生剤(B)は、1種を単独で含有してもよく、複数種を含有してもよい。なかでも、酸発生剤(B)は2種以上の酸発生剤を含有していることが好ましく、2種以上の酸発生剤(B1)を含有していることがより好ましい。酸発生剤(B)が2種以上の酸発生剤を含有する場合、含有量が最も少ない酸発生剤の含有量は、酸発生剤(B)の総量に対して、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。
酸発生剤(B1)の含有率は、酸発生剤(B)の総量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、実質的に酸発生剤(B1)のみであることが特に好ましい。
【0163】
〈溶剤(E)〉
溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0164】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン等の環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤(E)は、1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0165】
<化合物(II)>
化合物(II)は式(II)で表される化合物である。
[式(II)中、
D1及びRD2は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数2〜7のアシルオキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。
m’及びn’は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、m’が2以上の場合、複数のRD1は同一又は相異なり、nが2以上の場合、複数のRD2は同一又は相異なる。]
【0166】
化合物(II)においては、RD1及びRD2の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基等のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式及び多環式のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよい。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基等のシクロアルキル基、ノルボニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、アントリル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
これらの組み合わせとしては、アルキル−シクロアルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アラルキル基(例えば、フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等)等が挙げられる。
【0167】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、シクロヘキサンカルボニル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、上記アシル基にオキシ基(−O−)が結合した基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、上記アルコキシ基にカルボニル基(−CO−)が結合した基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0168】
式(II)におけるRD1及びRD2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基又はハロゲン原子が好ましい。
m’及びn’は、それぞれ独立に、0〜2の整数が好ましく、0がより好ましい。mが2以上のとき、複数のRD1は同一又は相異なり、nが2以上のとき、複数のRD2は同一又は相異なる。
【0169】
化合物(II)としては、以下の化合物が挙げられる。
【0170】
【0171】
化合物(II)は、「Tetrahedron Vol. 45, No. 19, p6281-6296」に記載の方法で製造することができる。また、化合物(II)は、市販されている化合物を用いることができる。
【0172】
化合物(II)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜12質量部が好ましく、0.03〜10質量部がより好ましく、0.06〜6質量部がさらに好ましい。なお、化合物(II)の含有割合は、レジスト組成物の固形分に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜8質量%であり、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
【0173】
〈塩基性化合物(C)〉
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。また、アミンは、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)〜式(C8)及び式(C1−1)のいずれかで表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0174】
[式(C1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0175】
式(C1)で表される化合物は、好ましくは式(C1−1)で表される化合物である。
[式(C1−1)中、Rc2及びRc3は、上記と同じ意味を表す。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は同一又は相異なる。]
【0176】
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、Rc5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は同一又は相異なる。]
【0177】
[式(C5)及び式(C6)中、Rc10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上のとき、複数のRc14は同一又は相異なり、p3が2以上のとき、複数のRc15は、同一又は相異なる。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0178】
[式(C7)及び式(C8)中、Rc18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一又は相異なり、及びs3が2以上であるとき、複数のRc20は同一又は相異なる。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0179】
式(C1)〜式(C8)及び式(C1−1)においては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アルカンジイル基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0180】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0181】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0182】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0183】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0184】
〈その他の成分〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、上述の成分以外の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある。)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0185】
〈レジスト組成物の調製〉
本発明のレジスト組成物は、樹脂及び酸発生剤(B)、並びに、必要に応じて用いられる溶剤(E)、化合物(II)、塩基性化合物(C)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂等の種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0186】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0187】
レジスト組成物を基板上に塗布するには、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。基板としては、シリコンウェハ等の無機基板が挙げられる。レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、基板上に反射防止膜等が形成されていてもよい。
【0188】
塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤を除去し、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行う。加熱温度は、例えば、50〜200℃が好ましく、加熱時間は、例えば、10〜180秒間が好ましい。また、減圧乾燥する際の圧力は、1〜1.0×10Pa程度が好ましい。
【0189】
得られた組成物層に、通常、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域又は真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。なお、本明細書においては、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。露光の際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源が電子線の場合は、マスクを用いずに直接描画してもよい。
【0190】
露光後の組成物層を、樹脂(A)の脱保護反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)を行う。加熱温度は、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
【0191】
加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は、例えば、5〜60℃が好ましく、現像時間は、例えば、5〜300秒間が好ましい。
【0192】
現像液の種類を選択することにより、ポジ型レジストパターン又はネガ型レジストパターンを製造できる。
本発明のレジスト組成物からポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0193】
本発明のレジスト組成物からネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;アニソール等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
中でも、有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2−ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像の際、有機系現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止してもよい。
【0194】
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0195】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、特に液浸露光用のレジスト組成物として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0196】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、下記条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
装置:HLC−8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0197】
樹脂の合成
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。
以下、これらのモノマーを式番号に応じて「モノマー(a1−1−1)」等という。
【0198】
合成例1 〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−3)、モノマー(a3−2−3)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(I´−1)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−3):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1):モノマー(I´−1)〕が45:14:2.5:22:12.5:4となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂をメタノール中で攪拌し、ろ過することにより、重量平均分子量8.8×10の樹脂A1(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【0199】
合成例2 〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−4−2)及びモノマー(I´−1)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−4−2):モノマー(I´−1)〕が45:14:4:33:4となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂をメタノール中で攪拌し、ろ過することにより、重量平均分子量8.3×10の樹脂A2(共重合体)を収率74%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。
【0200】
合成例3 〔樹脂A3の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−1)、モノマー(I´−1)及びモノマー(IX)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−1):モノマー(I´−1):モノマー(IX)〕が40:40:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂をメタノール中で攪拌し、ろ過することにより、重量平均分子量7.6×10の樹脂A3(共重合体)を収率68%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。
【0201】
合成例4 〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−4−2)及びモノマー(I´−7)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−4−2):モノマー(I´−7)〕が45:14:4:33:4となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂をメタノール中で攪拌し、ろ過することにより、重量平均分子量8.3×10の樹脂A4(共重合体)を収率74%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。
【0202】
合成例5 〔樹脂A5の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−9)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−4−2)及びモノマー(I´−8)を用い、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−9):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−4−2):モノマー(I´−8)〕が45:14:4:33:4となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂をメタノール中で攪拌し、ろ過することにより、重量平均分子量8.3×10の樹脂A5(共重合体)を収率74%で得た。この樹脂A5は、以下の構造単位を有するものである。
【0203】
合成例6〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a4−1−7)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。
かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.8×10の樹脂X1を収率77%で得た。この樹脂X1は、以下の構造単位を有するものである。
【0204】
合成例7[式(B1−5)で表される塩の合成]
式(B1−5−a)で表される塩50.49部及びクロロホルム252.44部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した後、式(B1−5−b)で表される化合物16.27部を滴下し、23℃で1時間攪拌することにより、式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液を得た。得られた式(B1−5−c)で表される塩を含む溶液に、式(B1−5−d)で表される塩48.80部及びイオン交換水84.15部を添加し、23℃で12時間攪拌した。得られた反応液が2層に分離していたので、クロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水84.15部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。得られたクロロホルム層に、活性炭3.88部を添加攪拌した後、ろ過した。回収されたろ液を濃縮し、得られた残渣に、アセトニトリル125.87部を添加攪拌後、濃縮した。得られた残渣に、アセトニトリル20.62部及びtert−ブチルメチルエーテル309.30部を加えて23℃で30分間攪拌した後、上澄み液を除去した後、濃縮した。得られた残渣に、n−ヘプタン200部を添加、23℃で30分間攪拌した後、ろ過することにより、式(B1−5)で表される塩61.54部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 375.2
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
【0205】
合成例8[式(B1−23)で表される塩の合成]
式(B1−23−a)で表される化合物5.00部及びジメチルホルムアミド25部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した後、トリエチルアミン3.87部を滴下し、さらに、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、式(B1−23−b)で表される化合物6.14部をジメチルホルムアミド6.14部に溶解した溶液を30分かけて滴下し、さらに、23℃で2時間攪拌した。得られた反応液に、イオン交換水25部及び酢酸エチル150部を加え、23℃で30分間攪拌した後、分液し、有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水75部を仕込み23℃で30分間攪拌した後、分液し、有機層を回収した。この水洗の操作をさらに5回行った。得られた有機層を濃縮し、得られた濃縮物に、n−ヘプタン92.20部を添加して攪拌した後、ろ過することにより、式(B1−23−c)で表される化合物2.69部を得た。
【0206】
式(B1−23−d)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(B1−23−d)で表される塩2.99部及びアセトニトリル15.00部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した後、式(B1−23−e)で表される化合物1.30部を仕込み、70℃で2時間攪拌した。得られた反応物を23℃まで冷却した後、ろ過することにより、式(B1−23−f)で表される化合物を含む溶液を得た。式(B1−23−f)で表される化合物を含む溶液に、式(B1−23−c)で表される化合物2.12部をクロロホルム6.36部に溶解した溶液を仕込み、23℃で23時間攪拌した。得られた反応物を濃縮し、得られた濃縮物に、クロロホルム60部及び2%シュウ酸水溶液30部を仕込み、攪拌、分液を行った。このシュウ酸水溶液洗浄を2回行った。回収された有機層に、イオン交換水30部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層を濃縮し、得られた濃縮物をアセトニトリル30部に溶解した後、濃縮した。得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(B1−23)で表される塩3.46部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 517.2
【0207】
合成例9[式(B1−21)で表される塩の合成]
【0208】
特開2008−209917号公報に記載された方法によって得られた式(B1−21−b)で表される化合物30.00部、式(B1−21−a)で表される塩35.50部、クロロホルム100部及びイオン交換水50部を仕込み、23℃で15時間攪拌した。得られた反応液が2層に分離していたので、クロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水30部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。クロロホルム層を濃縮し、得られた残渣に、tert−ブチルメチルエーテル100部を加えて23℃で30分間攪拌した後、ろ過することにより、式(B1−21−c)で表される塩48.57部を得た。
【0209】
式(B1−21−c)で表される塩20.00部、式(B1−21−d)で表される化合物2.84部及びモノクロロベンゼン250部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合液に、二安息香酸銅(II)0.21部を添加した後、更に、100℃で1時間攪拌した。得られた反応溶液を濃縮した後、得られた残渣に、クロロホルム200部及びイオン交換水50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を5回繰り返した。得られた有機層を濃縮した後、得られた残渣に、アセトニトリル53.51部に溶解し、濃縮した後、tert−ブチルメチルエーテル113.05部を加えて攪拌した後、ろ過することにより、式(B1−21)で表される塩10.47部を得た。
【0210】
MASS(ESI(+)Spectrum):M 237.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
【0211】
合成例10[式(B1−22)で表される塩の合成]
【0212】
式(B1−22−a)で表される塩11.26部、式(B1−22−b)で表される化合物10.00部、クロロホルム50部及びイオン交換水25部を仕込み、23℃で15時間攪拌した。得られた反応液が2層に分離していたので、クロロホルム層を分液して取り出し、更に、該クロロホルム層にイオン交換水15部を添加し、水洗した。この操作を5回繰り返した。クロロホルム層を濃縮し、得られた残渣に、tert−ブチルメチルエーテル50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、ろ過することにより、式(B1−22−c)で表される塩11.75部を得た。
【0213】
式(B1−22−c)で表される塩11.71部、式(B1−22−d)で表される化合物1.70部及びモノクロロベンゼン46.84部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合液に、二安息香酸銅(II)0.12部を添加した後、更に、100℃で30分間攪拌した。得られた反応溶液を濃縮した後、得られた残渣に、クロロホルム50部及びイオン交換水12.50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水12.50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を8回繰り返した。得られた有機層を濃縮した後、得られた残渣に、tert−ブチルメチルエーテル50部を加えて攪拌した後、ろ過することにより、式(B1−22)で表される塩6.84部を得た。
【0214】
MASS(ESI(+)Spectrum):M 237.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 323.0
【0215】
実施例1〜6及び比較例1
<レジスト組成物の調製>
以下に示す成分の各々を表1に示す質量部で溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0216】
【表1】


【0217】
<樹脂>
A1〜A5、X1:樹脂A1〜樹脂A5、樹脂X1
<酸発生剤>
B1−5:式(B1−5)で表される塩
B1−21:式(B1−21)で表される塩
B1−22:式(B1−22)で表される塩
B1−23:式(B1−23)で表される塩
BX:トリフェニルスルホニウムトリフレート(和光純薬工業(株)製)
【0218】
<化合物(II)>
II−1:(東京化成工業(株)製)
【0219】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20部
2−ヘプタノン 20部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0220】
<ネガ型レジストパターンの製造>
12インチのシリコンウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の組成物層の膜厚が100nmとなるようにスピンコートした。塗布後、このシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして、シリコンウェハ上に組成物層を形成した。
シリコンウェハ上に形成された組成物層に、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、Annular σout=0.85 σin=0.65 XY−pol.照明]で、トレンチパターン(ピッチ120nm/トレンチ幅40nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行った。次いで、このシリコンウェハ上の組成物層を、現像液として酢酸ブチル(東京化成工業(株)製)を用いて、23℃で20秒間ダイナミックディスペンス法によって現像を行うことにより、ネガ型レジストパターンを製造した。
【0221】
得られたレジストパターンにおいて、トレンチパターンの幅が40nmとなる露光量を実効感度とした。
【0222】
<ラインエッジラフネス評価(LER)>
得られたレジストパターンについて、壁面の凹凸の振れ幅を走査型電子顕微鏡で観察測定した。この振れ幅が、
4nm以下であるものを○、
4nmを超えるものを×とした。結果を表2に示す。括弧内の数値は、振れ幅(nm)を示す。
【0223】
【表2】





【0224】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、優れたラインエッジラフネスのネガ型レジストパターンを製造できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明のレジスト組成物は、得られるレジストパターンのラインエッジラフネスが優れるため、半導体の微細加工に有用である。