特許第6232881号(P6232881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232881
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】SOIウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20171113BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01L27/12 B
   H01L21/304 622W
   H01L21/304 622R
   B24B37/10
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-200818(P2013-200818)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-70013(P2015-70013A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 秀光
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−224249(JP,A)
【文献】 特開2004−022839(JP,A)
【文献】 特開平10−233375(JP,A)
【文献】 特開平09−262762(JP,A)
【文献】 特開2003−142439(JP,A)
【文献】 特開平11−216661(JP,A)
【文献】 米国特許第06440855(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
B24B 37/10
H01L 21/304
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性層用ウェーハと支持ウェーハとを酸化膜を介して貼り合せて貼り合わせウェーハを得た後、前記活性層用ウェーハの表面を研磨処理して薄膜化する貼り合わせSOIウェーハの製造方法において、
前記貼り合わせの後の前記支持ウェーハの表面を、保持盤の保持面に吸着保持して、前記活性層用ウェーハの表面である被研磨面を研磨する第1研磨処理工程と、
前記第1研磨処理工程後の前記支持ウェーハの表面を、保持盤の保持面に吸着保持して、前記活性層用ウェーハの前記被研磨面を研磨する第2研磨処理工程と、
前記第1研磨処理工程後で前記第2研磨処理工程前の前記活性層用ウェーハの厚さ分布を測定する活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程と、
前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記第2研磨処理工程で使用する前記保持盤の前記保持面の形状を調整する保持面形状調整工程と、
を含み、
前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程が、前記活性層用ウェーハについて、中心部の厚さと周縁部の厚さとを測定する工程を含み、
前記保持面形状調整工程が、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記活性層用ウェーハの中心部の厚さから前記活性層用ウェーハの周縁部の厚さを差し引いた値が正の数である場合には、前記保持面が周縁部に比して中心部で突出した凸面になるように前記保持面を研磨することを含み、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記活性層用ウェーハの中心部の厚さから前記活性層用ウェーハの周縁部の厚さを差し引いた値が負の数である場合には、前記保持面が周縁部に比して中心部で凹んだ凹面になるように前記保持面を研磨することを含むことを特徴とするSOIウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI(Silicon on Insulator)ウェーハの製造方法に関し、特に、SOI層が面内で均一な厚さを有していることを要求されるSOIウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SOIウェーハは、支持ウェーハの上に絶縁層を介してSOI層(活性層)が設けられたものであり、デバイスの高集積化、低消費電力化、高速化、高信頼性等が要求される半導体装置を製造するために、広く用いられている。
【0003】
図1は、SOIウェーハ(貼り合わせSOIウェーハ)の従来の製造方法を示すフローチャートである。
この方法では、まず、支持ウェーハの上に、活性層用ウェーハを貼り合わせる(ステップT1)。そして、この貼り合わされた支持ウェーハおよび活性層用ウェーハ(以下、「貼り合わせウェーハ」という。)を、接合強化のために、熱処理する(ステップT2)。その後、貼り合わせウェーハの端縁部を、面取り加工する(ステップT3)。
【0004】
次に、貼り合わせウェーハの活性層用ウェーハを平面研削して、活性層用ウェーハを薄型化する(ステップT4)。続いて、活性層用ウェーハの研削面を研磨(一次研磨)して、活性層用ウェーハの厚さを、仕上げ厚さよりわずかに厚くなるように調整する(ステップT5)。そして、活性層用ウェーハの表面が仕上げ粗度を有するとともに、活性層用ウェーハの厚さが仕上げ厚さになるように、活性層用ウェーハの表面を、さらに研磨(二次研磨)する(ステップT6)。このように、研削および研磨により、活性層用ウェーハが薄膜化され(この研磨後の活性層用ウェーハを、以下、「SOI層」という。)て、SOIウェーハが得られる。その後、SOIウェーハの表面が洗浄される(ステップT7)。
【0005】
図2は、ウェーハの研磨に用いる研磨装置の構成例を示す斜視図であり、図3は、図2の研磨装置でウェーハを研磨するときのウェーハ近傍を示す側面図である。
この研磨装置1は、支持台2と、支持台2の上に設けられた複数(図2の例では、4つ)の吸着盤3と、これらの吸着盤3の上方に配置された定盤4とを備えている。
【0006】
複数の吸着盤3は、共通の中心軸の周りに、等角度間隔(図2の例では、90°間隔)に配置されている。各吸着盤3は、円筒形状を有しており、上端に、ウェーハ(たとえば、貼り合わせウェーハ)Wを、真空吸着により吸着保持する円形の吸着面3a(図3参照)を有している。各吸着盤3は、その中心軸まわりに回転(自転)するようになっている。複数の吸着盤3は、これらの吸着面3aが、ほぼ同一平面上にのるように配置されている。
【0007】
定盤4は、円板形状を有して、水平に配置されており、その中心軸の周りに回転するようになっている。平面視において、複数の吸着盤3の全体が、定盤4の領域内に含まれる。定盤4の下面には、研磨パッド(ポリッシングパッド)5が設けられており、研磨パッド5により、吸着盤3の吸着面3aに保持されたウェーハWを研磨することができる(図3参照)。研磨の際、吸着盤3、および定盤4は、それぞれの中心軸の周りに回転する。
【0008】
このような製造方法では、貼り合わせウェーハの面内方向に関して、支持ウェーハの厚さが不均一である場合は、貼り合わせウェーハ全体として均一な厚さを有するように活性層用ウェーハを研磨しても、SOI層の厚さは不均一になる。近年、SOI層の厚さの面内均一性に対する要求は厳しくなってきている。
【0009】
通常、支持ウェーハにおいて、活性層用ウェーハを貼り合わせるべき面のみが、貼り合わせ前に研磨(片面研磨)され、貼り合わせ面とは反対側の面は研磨されない。支持ウェーハを両面研磨することにより、支持ウェーハの厚さを、ある程度均一にすることは可能である。このような支持ウェーハを用いると、SOI層の厚さが面内で均一になるように活性層用ウェーハを研磨することが容易になる。この場合、得られるSOIウェーハの裏面(SOI層とは反対側の面)は、鏡面となる。
【0010】
しかし、このようなSOIウェーハは、デバイスプロセスで、取り扱いが困難になる場合がある。このため、支持ウェーハは片面研磨するものとし、SOIウェーハの裏面となる面は、研磨をしていないエッチング面とする必要がある。したがって、ウェーハの面内方向に関して、支持ウェーハの厚さが不均一であることを前提として、支持ウェーハの厚さの分布を把握した上で、SOI層の厚さの均一性が得られるように活性層用ウェーハを適切に研磨することが必要になる。
【0011】
支持ウェーハの面内厚さ分布は、支持ウェーハと活性層用ウェーハとを貼り合わせる工程(ステップT1)を実施する前に測定することが考えられる。しかし、その場合、それ以降、少なくとも一次研磨の工程まで(ステップT1〜T5)、その面内厚さ分布の情報を枚葉管理しなければならないので、時間および手間がかかる。
【0012】
特許文献1には、SOI基板を、活性層側から研磨してこの活性層を減厚するSOI基板の研磨方法が開示されている。この方法では、研磨前の活性層の中心部と外周部との厚さの差、および、研磨前の活性層の全体の厚さの平均値に応じて、研磨圧力、研磨時間が制御される。この制御は、予め実験により取得された研磨制御用のデータに基づいて行われる。これにより、SOI層の層厚の面内均一性が向上したSOI基板が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−22839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1の方法では、研磨圧力、および研磨時間を調整することで調整可能なSOI層の厚さ制御幅は狭く、研磨前の活性層の中心部と外周部との厚さの差が大きい場合には、層厚の面内均一性が向上したSOI層を得ることは困難であり、過度に研磨圧力を高めたり、研磨時間を長くした場合には、活性層の最外周部で外周ダレ(roll-off)やウェーハ割れを生じるおそれもある。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、SOI層の厚さの面内均一性を向上させることができるSOIウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、下記(1)のSOIウェーハの製造方法を要旨とする。
(1)活性層用ウェーハと支持ウェーハとを酸化膜を介して貼り合せて貼り合わせウェーハを得た後、前記活性層用ウェーハの表面を研磨処理して薄膜化する貼り合わせSOIウェーハの製造方法において、
前記貼り合わせの後の前記支持ウェーハの表面を、保持盤の保持面に吸着保持して、前記活性層用ウェーハの表面である被研磨面を研磨する第1研磨処理工程と、
前記第1研磨処理工程後の前記支持ウェーハの表面を、保持盤の保持面に吸着保持して、前記活性層用ウェーハの前記被研磨面を研磨する第2研磨処理工程と、
前記第1研磨処理工程後で前記第2研磨処理工程前の前記活性層用ウェーハの厚さ分布を測定する活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程と、
前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記第2研磨処理工程で使用する前記保持盤の前記保持面の形状を調整する保持面形状調整工程と、
を含み、
前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程が、前記活性層用ウェーハについて、中心部の厚さと周縁部の厚さとを測定する工程を含み、
前記保持面形状調整工程が、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記活性層用ウェーハの中心部の厚さから前記活性層用ウェーハの周縁部の厚さを差し引いた値が正の数である場合には、前記保持面が周縁部に比して中心部で突出した凸面になるように前記保持面を研磨することを含み、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記活性層用ウェーハの中心部の厚さから前記活性層用ウェーハの周縁部の厚さを差し引いた値が負の数である場合には、前記保持面が周縁部に比して中心部で凹んだ凹面になるように前記保持面を研磨することを含むことを特徴とするSOIウェーハの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
貼り合わせウェーハにおいて、活性層用ウェーハの表面を研磨すると、その研磨面は、通常、平坦になる。したがって、本発明において、十分な平坦性が確保された保持面に貼り合わせウェーハを保持して、第1研磨処理工程を実施すると、活性層用ウェーハの形状は、支持ウェーハの形状を反映したもの、たとえば、支持ウェーハの形状に対して相補的な形状となる。具体的には、たとえば、支持ウェーハが周縁部に比して中心部で厚さが厚いもの(以下、「凸形状」という。)であれば、活性層用ウェーハは、周縁部に比して中心部で厚さが薄いもの(以下、「凹形状」という。)となり、支持ウェーハが凹形状であれば、活性層用ウェーハは、凸形状となる。
【0018】
本発明において、第1研磨処理工程後で第2研磨処理工程前の活性層用ウェーハの厚さ分布は、支持ウェーハの厚さ分布を反映したものとなる。このため、活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程を実施することにより、支持ウェーハの形状が活性層用ウェーハの形状に与える影響を軽減、または打ち消すような保持面の形状がわかる。したがって、活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、保持面形状調整工程で、保持面を、このような形状に調整することができる。これにより、第2研磨処理工程実施後の活性層用ウェーハの厚さの面内均一性を向上させることができる。
【0019】
保持盤の保持面は、たとえば、支持ウェーハが凸形状であれば、周縁部に比して中心部で最も凹んだ凹面にし、また、支持ウェーハが凹形状であれば、周縁部に比して中心部で最も突出した凸面にする。これらの場合、第2研磨処理工程で、貼り合わせウェーハにおいて支持ウェーハの表面が保持盤の保持面に密接されると、支持ウェーハが凸形状(保持面が凹面)の場合は、活性層用ウェーハは、中心部に比して周縁部が突出し、支持ウェーハが凹形状(保持面が凸面)の場合は、活性層用ウェーハは、周縁部に比して中心部が突出する。いずれの場合も、活性層用ウェーハにおいて、突出量が大きい部分ほど、厚さが厚い。
【0020】
この状態で、活性層用ウェーハの研磨面をさらに研磨(第2研磨処理工程を実施)すると、活性層用ウェーハにおいて突出した部分、すなわち、厚い部分ほど研磨量が大きくなる。したがって、これにより、SOI層の厚さの面内均一性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】SOIウェーハの従来の製造方法を示すフローチャートである。
図2】研磨装置の構成例を示す斜視図である。
図3図2の研磨装置でウェーハを研磨するときのウェーハ近傍を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、SOIウェーハの製造方法を示すフローチャートである。
図5A】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凸形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第1の一次研磨工程を実施する際に吸着盤に吸着保持された貼り合わせウェーハを示す。
図5B】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凸形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第1の一次研磨工程を実施した後の貼り合わせウェーハを示す。
図5C】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凸形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第1の保持面形状調整工程を実施した後の吸着盤を示す。
図5D】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凸形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第2の一次研磨工程を実施する際に吸着盤に吸着保持された貼り合わせウェーハを示す。
図5E】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凸形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第2の一次研磨工程を実施した後の貼り合わせウェーハを示す。
図6A】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凹形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第1の一次研磨工程を実施する際に吸着盤に吸着保持された貼り合わせウェーハを示す。
図6B】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凹形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第1の一次研磨工程を実施した後の貼り合わせウェーハを示す。
図6C】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凹形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第1の保持面形状調整工程を実施した後の吸着盤を示す。
図6D】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凹形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第2の一次研磨工程を実施する際に吸着盤に吸着保持された貼り合わせウェーハを示す。
図6E】本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凹形状である場合の製造方法を説明するための断面図であり、第2の一次研磨工程を実施した後の貼り合わせウェーハを示す。
図7】SOIウェーハにおいて、活性層の厚さの測定点を示す平面図である。
図8A】従来の製造方法により6インチのSOIウェーハを製造したときの活性層の厚さの偏差分布を示す図である。
図8B】本発明の製造方法により6インチのSOIウェーハを製造したときの活性層の厚さの偏差分布を示す図である。
図9A】従来の製造方法により8インチのSOIウェーハを製造したときの活性層の厚さの偏差分布を示す図である。
図9B】本発明の製造方法により8インチのSOIウェーハを製造したときの活性層の厚さの偏差分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のSOIウェーハの製造方法は、前記の通り、「活性層用ウェーハと支持ウェーハとを酸化膜を介して貼り合せて貼り合わせウェーハを得た後、前記活性層用ウェーハの表面を研磨処理して薄膜化する貼り合わせSOIウェーハの製造方法において、前記貼り合わせの後の前記支持ウェーハの表面を、保持盤の保持面に吸着保持して、前記活性層用ウェーハの表面である被研磨面を研磨する第1研磨処理工程と、前記第1研磨処理工程後の前記支持ウェーハの表面を、保持盤の保持面に吸着保持して、前記活性層用ウェーハの前記被研磨面を研磨する第2研磨処理工程と、前記第1研磨処理工程後で前記第2研磨処理工程前の前記活性層用ウェーハの厚さ分布を測定する活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程と、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記第2研磨処理工程で使用する前記保持盤の前記保持面の形状を調整する保持面形状調整工程とを含み、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程が、前記活性層用ウェーハについて、中心部の厚さと周縁部の厚さとを測定する工程を含み、前記保持面形状調整工程が、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記活性層用ウェーハの中心部の厚さから前記活性層用ウェーハの周縁部の厚さを差し引いた値が正の数である場合には、前記保持面が周縁部に比して中心部で突出した凸面になるように前記保持面を研磨することを含み、前記活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程の測定結果に基づき、前記活性層用ウェーハの中心部の厚さから前記活性層用ウェーハの周縁部の厚さを差し引いた値が負の数である場合には、前記保持面が周縁部に比して中心部で凹んだ凹面になるように前記保持面を研磨することを含むことを特徴とするSOIウェーハの製造方法」である。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係る、SOIウェーハの製造方法を示すフローチャートである。図5A図5Eは、本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凸形状である場合の製造方法を説明するための断面図である。図6A図6Eは、本発明のSOIウェーハの製造方法であって、支持ウェーハが凹形状である場合の製造方法を説明するための断面図である。
【0024】
この方法では、まず、支持ウェーハ11の一方表面(貼り合わせ面11a)に、活性層用ウェーハ12の一方表面(貼り合わせ面12a)を対向させて、支持ウェーハ11と活性層用ウェーハ12とを貼り合わせる(ステップS1)。支持ウェーハ11は、予め表面を酸化させて、酸化膜で覆われた状態にしたものを用いる。したがって、支持ウェーハ11と、活性層用ウェーハ12とは、酸化膜(絶縁膜)を介して貼り合わされたものとなる。そして、この貼り合わされた支持ウェーハ11および活性層用ウェーハ12(以下、「貼り合わせウェーハW」という。)を、接合強化のために、熱処理する(ステップS2)。その後、貼り合わせウェーハWの端縁部を、面取り加工する(ステップS3)。
【0025】
次に、貼り合わせウェーハWの活性層用ウェーハ12を、平面研削して、活性層用ウェーハ12を薄型化し(ステップS4)、さらに研磨する。以下、貼り合わせウェーハWの研磨を、図2および図3に示した研磨装置1を用いて行う場合を例として説明する。
【0026】
研磨装置1に備えられた吸着盤3の吸着面3aは、支持ウェーハ11の厚さの面内ばらつきに比して、十分に平坦であるものとする。図5A図5C図5D図6A図6C、および図6Dに示すように、この実施形態では、吸着盤3の吸着面3aには、溝7が形成されていて、溝7を介した吸引により、吸着面3aにウェーハを吸着(真空吸着)させることができる。溝7は、たとえば、平面視において、渦巻き状に形成された1本の溝であってもよい。
【0027】
まず、支持ウェーハ11において、貼り合わせ面11aとは反対側の面である被保持面11bを、真空吸着により、吸着盤3の吸着面3aに吸着して、貼り合わせウェーハWを保持する(図5A、および図6A参照)。この際、吸着面3aと被保持面11bとが密接するようにする。そして、この状態で、活性層用ウェーハ12において貼り合わせ面12aの反対側の面である被研磨面12bを研磨する(ステップS5;第1の一次研磨工程)。研削(ステップS4)が施された被研磨面12bは表面粗度が大きい。第1の一次研磨工程により、被研磨面12bの表面粗度は低減される。
【0028】
研磨後の活性層用ウェーハ12の厚さは、最終的な活性層用ウェーハ12(SOI層)の厚さ(仕上げ厚さ)に比して、たとえば、5μm程度厚くなるようにする。図5A、および図6Aにおいて、研磨後の表面(新たな被研磨面12b)を、破線で示す。一次研磨を施された被研磨面12bの表面粗度は、最終的なSOIウェーハにおける被研磨面12の表面粗度(仕上げ粗度)より大きい。ここで、「一次研磨」には、第1の一次研磨工程における研磨のみならず、後述の第2および第3の一次研磨等における研磨が含まれる。
【0029】
次に、吸着盤3の吸着を解除して、貼り合わせウェーハWを吸着盤3から外し、貼り合わせウェーハWにおいて、中心部と周縁部とで、活性層用ウェーハ12の厚さを測定する(ステップS6;活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程)。測定方法としては、たとえば、フーリエ変換赤外分光法、光干渉法、エリプソメトリ法などを採用することができる。図5B、および図6Bに、活性層用ウェーハ12における厚さ測定位置を、矢印で示す。
【0030】
第1の一次研磨工程により、研磨後の活性層用ウェーハ12の断面形状は、支持ウェーハ11の断面形状を反映したものとなる。すなわち、支持ウェーハ11が凸形状であれば、研磨後の活性層用ウェーハ12は、凹形状となり(図5B参照)、支持ウェーハ11が凹形状であれば、研磨後の活性層用ウェーハ12は、凸形状となる(図6B参照)。
【0031】
このため、活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程を実施することにより、支持ウェーハ11の面内厚さ分布を推定することができる。たとえば、上記厚さ測定の結果に基づき、貼り合わせウェーハWの周縁部における活性層用ウェーハ12の厚さ(以下、「活性層用ウェーハ周縁部厚さ」という。)から、貼り合わせウェーハWの中心部における活性層用ウェーハ12の厚さ(以下、「活性層用ウェーハ中心部厚さ」という。)を差し引いた値が、支持ウェーハ11の中心部の厚さ(以下、「支持ウェーハ中心部厚さ」という。)から、支持ウェーハ11の周縁部の厚さ(以下、「支持ウェーハ周縁部厚さ」という。)を差し引いた値に等しいと推定することができる。
【0032】
この場合、活性層用ウェーハ周縁部厚さから活性層用ウェーハ中心部厚さを差し引いた値が、正の数であれば、支持ウェーハ中心部厚さから支持ウェーハ周縁部厚さを差し引いた値は、正の数となる。また、活性層用ウェーハ周縁部厚さから活性層用ウェーハ中心部厚さを差し引いた値が、負の数であれば、支持ウェーハ中心部厚さから支持ウェーハ周縁部厚さを差し引いた値は、負の数となる。このように、活性層用ウェーハ周縁部厚さから活性層用ウェーハ中心部厚さを差し引いた値が、正の数か、負の数かにより、支持ウェーハ中心部厚さから支持ウェーハ周縁部厚さを差し引いた値が、正の数か、負の数かを判断することができるので、これにより、支持ウェーハ11が、凸形状であるか、凹形状であるかを判定(凹凸判定)できる。
【0033】
このため、この凹凸判定の結果に基づき、支持ウェーハ11の形状が活性層用ウェーハ12の形状に与える影響を打ち消す(軽減する)ような吸着面3aの形状がわかる。結局、活性層用ウェーハ12の厚さ分布がわかれば、それに基づき、吸着面3aを、支持ウェーハ11の形状が活性層用ウェーハ12の形状に与える影響を打ち消す(軽減する)ような形状に調整することができる。吸着盤3の吸着面3aをこのような形状にするべく、活性層用ウェーハ周縁部厚さと、活性層用ウェーハ中心部厚さとに基づき、吸着面3aを研磨する(ステップS7;第1の保持面形状調整工程)。
【0034】
具体的には、活性層用ウェーハ中心部厚さから活性層用ウェーハ周縁部厚さを差し引いた値が、負の数である場合には、吸着面3aが、周縁部に比して中心部で最も凹んだ凹面になるように、吸着面3aを研磨し(図5C参照)、活性層用ウェーハ中心部厚さから活性層用ウェーハ周縁部厚さを差し引いた値が、正の数である場合には、吸着面3aが、周縁部に比して中心部で最も突出した凸面になるように、吸着面3aを研磨する(図6C参照)。この際、支持ウェーハ中心部厚さと、支持ウェーハ周縁部厚さとの差が、吸着面3aにおいて周縁部に対する中心部の突出量または凹み量に等しくなるようにすることが望ましい。
【0035】
吸着盤3は、少なくとも、吸着面3a近傍の部分が樹脂(たとえば、アクリル)からなることが望ましい。この場合、吸着面3aを、研磨により、容易に、所望の凸形状、または凹形状に成形することができる。このように成形するための方法としては、ウェーハの表面を、所望の凸形状、または凹形状に成形するための方法、たとえば、研磨パッド5(図3参照)を貼り合わせウェーハWに押しつける圧力、および研磨時間を制御する公知の方法(特許文献1参照)を適応することができる。この場合、研磨装置1自体で、吸着面3aを成形することができ、別の器具を用意する必要はない。
【0036】
次に、このように成形された吸着面3aに、上記第1の一次研磨工程で研磨された貼り合わせウェーハWを保持する。この際、吸着面3aと被保持面11bとが密接するようにする。これにより、支持ウェーハ11が凸形状(吸着面3aが凹面)の場合は、活性層用ウェーハ12は、中心部に対して周縁部が突出し(図5D参照)、支持ウェーハ11が凹形状(吸着面3aが凸面)の場合は、活性層用ウェーハ12は、周縁部に対して中央部が突出する(図6D参照)。すなわち、支持ウェーハ11の形状によらず、活性層用ウェーハ12は、被研磨面12b側で、活性層用ウェーハ12の厚い部分ほど突出する。
【0037】
この状態で、活性層用ウェーハ12の被研磨面12bを研磨し、被研磨面12bを平坦にする(ステップS8;第2の一次研磨工程)。この際、活性層用ウェーハ12において、突出量が大きい部分、すなわち、厚い部分ほど、研磨量が大きくなる。したがって、この研磨により、活性層用ウェーハ12(得られるSOIウェーハにおけるSOI層)の厚さの面内均一性が高くなる。図5D、および図6Dに、研磨後の表面(新たな被研磨面12b)を破線で示す。
【0038】
その後、活性層用ウェーハ12(SOI層)の厚さ(厚さ分布)をさらに調整する場合(ステップS9のYES)は、再度、ステップS6〜ステップS8(第2の活性層用ウェーハ厚さ分布測定工程、第2の保持面形状調整工程、第3の一次研磨工程)を実施する。第2の保持面形状調整工程を実施する際に、定盤4により吸着盤3に与える圧力は、必要により、第1の保持面形状調整工程での圧力に対して微調整する。これにより、活性層用ウェーハ12の厚さの面内均一性を、さらに高くすることができる。必要により、ステップS6〜ステップS8をさらに繰り返す。
【0039】
活性層用ウェーハ12の厚さをさらに調整しない場合(ステップS9のNO)は、最後に一次研磨(ステップS8)を行ったときの貼り合わせウェーハWの保持盤3による保持を維持したまま、活性層用ウェーハ12の表面を研磨する(ステップS10;二次研磨工程)。この研磨により、活性層用ウェーハ12の表面粗度を仕上げ粗度まで低減するとともに、活性層用ウェーハ12の厚さが仕上げ厚さになるように調整する。これにより、活性層用ウェーハ12は、SOI層13となり、支持ウェーハ11の上にSOI層13が設けられたSOIウェーハWsが得られる(図5E、および図6E参照)。
その後、このSOIウェーハWsを洗浄する(ステップS11)。
【0040】
以上の方法によれば、活性層用ウェーハ12の形状に対する支持ウェーハ11の形状の影響を、低減、または打ち消すように、吸着盤3の吸着面3aの形状が調整される。したがって、この方法により、SOI層13の厚さの面内均一性を向上させることができる。また、以上の方法によれば、活性層用ウェーハ12の厚さ分布は、第1の一次研磨工程の後に測定される。このため、支持ウェーハ11と活性層用ウェーハ12との貼り合わせ前に支持ウェーハ11の厚さ分布を測定して、その情報を、第1の一次研磨工程を実施するまで枚葉管理する必要はない。これにより、管理に要する時間および手間を削減することができる。
【実施例】
【0041】
直径が約6インチ(約150mm)のSOIウェーハ、および直径が約8インチ(約200mm)のSOIウェーハのそれぞれを、従来の製造方法(図1参照)、および本発明の製造方法(図4参照)により製造し、SOI層の厚さ(膜厚)を測定した。
【0042】
一次研磨は、図2に示す研磨装置1(4ヘッド構造のバッチ式片面研磨装置)を使用して行った。保持盤4は、アクリル板であり、研磨パッド5は、ポリウレタン性のものであった。研磨液として、砥粒(コロイダルシリカ)を含むアルカリを主剤とする水溶液スラリーを用いた。
活性層用ウェーハの厚さは、FTIR法により測定した。
【0043】
二次研磨は、図示しない枚葉式の片面研磨装置であって、不織布からなる研磨布を備えたものを使用して行った。研磨液として、砥粒(一次研磨で用いた研磨液のコロイダルシリカよりサイズの小さいコロイダルシリカ)を含むアルカリを主剤とする水溶液スラリーを用いた。
従来の製造方法として、所定の狙い値のSOI層厚さになるように活性層用ウェーハに対して一次研磨(厚さ制御)処理を行った後、枚葉式の片面研磨装置を用いて二次研磨(表面仕上げ)処理を行った。
【0044】
本発明の製造方法として、第1の一次研磨(厚さ制御)処理後の活性層用ウェーハの厚さ測定において、中心部厚さの値から周縁部厚さの値を差し引いた値の絶対値が0.05μm以上の差があった場合に、保持盤に対して研磨処理を施して形状調整した。その後、所定の狙い値のSOI層厚さになるように活性層に対して第2の一次研磨(厚さ制御)処理を行った。一方、当該絶対値が0.05μm未満の場合は、保持盤の形状調整は行わずに、第2の一次研磨(厚さ制御)処理を行った。その後、枚葉式の片面研磨装置にて二次研磨(表面仕上げ)処理を行った。
【0045】
図7に、SOIウェーハWsにおける膜厚測定位置を黒丸で示す。膜厚測定位置は、SOIウェーハWsにおいて、
(i) 中心、
(ii) 周縁部で中心周りに90°ずつ離間した4点、および
(iii) 上記(i)の点と上記(ii)の各点との中点
とした。すなわち、1枚のSOIウェーハWsにつき、9点で、SOI層の厚さを測定した。
【0046】
結果を、図8A図8B図9A、および図9Bに示す。これらの図は、目標の膜厚(膜厚狙い値;図8A図8B図9A、および図9Bに破線で示す。)に対する測定された膜厚の偏差の度数分布(以下、「膜厚偏差分布」という。)を示している。これらの図で、「膜厚狙い値」を、偏差がゼロとしている。測定したSOIウェーハには、支持ウェーハが、凸形状のものと凹形状のものとの双方が含まれていた。
【0047】
図8Aに、従来の製造方法で製造したSOIウェーハであって、直径が約6インチのものの膜厚偏差分布を示す。膜厚の測定数は、約3000であった。図8Bに、本発明の製造方法で製造したSOIウェーハであって、直径が約6インチのものの膜厚偏差分布を示す。膜厚の測定数は、約2000であった。図9Aに、従来の製造方法で製造したSOIウェーハであって、直径が約8インチのものの膜厚偏差分布を示す。膜厚の測定数は、約5000であった。図9Bに、本発明の製造方法で製造したSOIウェーハであって、直径が約8インチのものの膜厚偏差分布を示す。膜厚の測定数は、約600であった。
【0048】
図8A図8Bとを対比すると明らかなように、直径が6インチのSOIウェーハでは、従来の製造方法により製造した場合に比して、本発明の方法により製造した場合は、膜厚の偏差を大幅に低減できる。同様に、図9A図9Bとを対比すると明らかなように、直径が8インチのSOIウェーハでは、従来の製造方法により製造した場合に比して、本発明の方法により製造した場合は、膜厚の偏差を大幅に低減できる。この結果より、SOIウェーハの直径によらず、本発明の製造方法により、従来の製造方法に比して、SOI層の厚さの面内均一性を向上できることがわかる。
【符号の説明】
【0049】
3:吸着盤、 3a:吸着面、 11:支持ウェーハ、
11a:支持ウェーハの貼り合わせ面、 11b:支持ウェーハの被保持面、
12:活性層用ウェーハ、 12a:活性層用ウェーハの貼り合わせ面、
12b:活性層用ウェーハの被研磨面、 W:貼り合わせウェーハ、
Ws:SOIウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図9A
図9B