(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いてネガパターンを形成し、次いで得られたネガパターンに、αトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位とのコポリマーと、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤から選ばれる溶媒を含有するシュリンク剤溶液を塗布し、ベーク後余分なシュリンク剤を除去し、パターンのスペース部分の寸法を縮小させることを特徴とするパターン形成方法であって、
前記炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤が、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルシクロペンチルエーテル、エチルシクロヘキシルエーテル、エチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、シメン、アミルベンゼン、ジエチルベンゼン、オクタン、ノナン、デカン、テレピン油、ピネン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン酸アミル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、蟻酸ヘキシル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸tert−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸tert−ブチル、イソ吉草酸イソアミル、ピバル酸エチル、ピバル酸プロピル、ピバル酸イソプロピル、ピバル酸ブチル、ピバル酸tert−ブチル、ペンテン酸エチル、ペンテン酸プロピル、ペンテン酸イソプロピル、ペンテン酸ブチル、ペンテン酸tert−ブチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸tert−ブチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピオン酸ベンジル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸tert−ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を含む単独又は混合溶剤であるパターン形成方法。
一般式(1)で示されるコポリマーを含有するシュリンク剤の溶媒が炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤であり、現像後のパターンの膜に30秒間、該溶剤に触れた時の膜減りが10nm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のパターン形成方法。
シュリンク剤の除去溶剤として、前記炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、レジストパターン上に架橋型あるいは中和反応の付着型のRELACS
TM剤を適用する方法では、形状の変形はないもののレジストパターンの寸法変動を低減させることができない。DSAを適用させた場合は、現像後のホールパターンの寸法変動を小さくすることは可能だが、現像後のトレンチパターンに適用するとパターンの変形が生じる。
本発明は、上記事情を改善したもので、レジストパターンにシュリンク剤を適用することによって現像後レジストパターンの寸法ばらつきが低減し、トレンチパターンに適用させてもパターン変形を起こすことなくシュリンクすることが可能であるシュリンク剤及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、下記に示されるパターン形成方法及びこれに用いるシュリンク剤が有効であることを知見した。
従って、本発明は、下記のパターン形成方法並びにこれに用いるシュリンク剤を提供する。
〔1〕
カルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト材料を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いてネガパターンを形成し、次いで得られたネガパターンに、αトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位とのコポリマーと、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤から選ばれる溶媒を含有するシュリンク剤溶液を塗布し、ベーク後余分なシュリンク剤を除去し、パターンのスペース部分の寸法を縮小させることを特徴とするパターン形成方法
であって、
前記炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤が、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルシクロペンチルエーテル、エチルシクロヘキシルエーテル、エチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、シメン、アミルベンゼン、ジエチルベンゼン、オクタン、ノナン、デカン、テレピン油、ピネン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン酸アミル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、蟻酸ヘキシル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸tert−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸tert−ブチル、イソ吉草酸イソアミル、ピバル酸エチル、ピバル酸プロピル、ピバル酸イソプロピル、ピバル酸ブチル、ピバル酸tert−ブチル、ペンテン酸エチル、ペンテン酸プロピル、ペンテン酸イソプロピル、ペンテン酸ブチル、ペンテン酸tert−ブチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸tert−ブチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピオン酸ベンジル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸tert−ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を含む単独又は混合溶剤であるパターン形成方法。
〔2〕
αトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位とのコポリマーが、下記一般式(1)で示されることを特徴とする〔1〕記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R
1、R
3、R
6は水素原子又はメチル基である。mは1又は2であり、mが1の場合のX
1、X
2はフェニレン基、又は−C(=O)−O−R
9−である。R
9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、あるいは炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。mが2の場合のX
1は上記mが1の場合のX
1より水素原子が1個脱離した3価の基である。R
2は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基であり、X
1と結合して炭素数1〜6の環を形成していてもよく、環の中にフッ素原子又はエーテル基を有していてもよい。R
4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R
5は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であり、少なくとも1個以上のフッ素原子を有する。nは1又は2であり、nが1の場合のYは単結合、又は−C(=O)−O−R
10−もしくは−C(=O)−NH−であり、R
10は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、−N=、−S−のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基又はナフチレン基である。nが2の場合のYは上記nが1の場合のYより水素原子が1個脱離した3価の基である。R
7は酸不安定基である。R
8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は酸不安定基であり、Yと結合して炭素数3〜10の環を形成してもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0である。)
〔3〕
繰り返し単位a1及び/又はa2と、繰り返し単位bとがブロックコポリマーであることを特徴とする〔2〕記載のパターン形成方法。
〔4〕
一般式(1)で示されるコポリマーを含有するシュリンク剤の溶媒が炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤であり、現像後のパターンの膜に30秒間、該溶剤に触れた時の膜減りが10nm以下であることを特徴とする〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載のパターン形成方法。
〔
5〕
シュリンク剤の除去溶剤として、前記炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤を用いることを特徴とする〔1〕〜〔
4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔
6〕
レジスト材料における高分子化合物が、下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする〔1〕〜〔
5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R
11は水素原子又はメチル基を示す。R
12は酸不安定基である。Zは単結合又は−C(=O)−O−R
13−であり、R
13は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。)
〔
7〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔1〕〜〔
6〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔
8〕
下記一般式(1)で示されるαトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位a1及び/又はa2と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位bとのブロックコポリマーが、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルシクロペンチルエーテル、エチルシクロヘキシルエーテル、エチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、シメン、アミルベンゼン、ジエチルベンゼン、オクタン、ノナン、デカン、テレピン油、ピネン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン酸アミル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、蟻酸ヘキシル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸tert−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸tert−ブチル、イソ吉草酸イソアミル、ピバル酸エチル、ピバル酸プロピル、ピバル酸イソプロピル、ピバル酸ブチル、ピバル酸tert−ブチル、ペンテン酸エチル、ペンテン酸プロピル、ペンテン酸イソプロピル、ペンテン酸ブチル、ペンテン酸tert−ブチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸tert−ブチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピオン酸ベンジル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸tert−ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を含む単独又は混合溶剤に溶解してなることを特徴とするシュリンク剤。
【化3】
(式中、R
1、R
3、R
6は水素原子又はメチル基である。mは1又は2であり、mが1の場合のX
1、X
2はフェニレン基、又は−C(=O)−O−R
9−である。R
9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、あるいは炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。mが2の場合のX
1は上記mが1の場合のX
1より水素原子が1個脱離した3価の基である。R
2は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基であり、X
1と結合して炭素数1〜6の環を形成していてもよく、環の中にフッ素原子又はエーテル基を有していてもよい。R
4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R
5は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であり、少なくとも1個以上のフッ素原子を有する。nは1又は2であり、nが1の場合のYは単結合、又は−C(=O)−O−R
10−もしくは−C(=O)−NH−であり、R
10は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、−N=、−S−のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基又はナフチレン基である。nが2の場合のYは上記nが1の場合のYより水素原子が1個脱離した3価の基である。R
7は酸不安定基である。R
8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は酸不安定基であり、Yと結合して炭素数3〜10の環を形成してもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0である。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、αトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位との共重合ポリマーを、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤に溶解させたシュリンク剤を現像後のレジストパターン上に塗布し、ベーク、剥離によって余分な該シュリンク剤を剥離し、レジストパターンのスペース部分の寸法を寸法制御よく縮小させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、現像後のレジストパターンを効率的に縮小できるシュリンク材料及びこれを使ったシュリンク方法について鋭意検討を行った。
【0012】
即ち、本発明者らは、種々検討した結果、αトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位の共重合ポリマーを、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤に溶解させた材料をシュリンク剤とし、これを現像後のレジストパターン上に塗布し、ベークし、次いで炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤によって余分な該材料を剥離し、レジストパターンのスペース部分の寸法を寸法制御よく縮小させることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0013】
本発明に係るパターン形成方法に用いられるシュリンク剤の主剤を構成する高分子化合物としては、αトリフルオロメチルヒドロキシ基及び/又はフルオロアルキルスルホンアミド基を有する繰り返し単位と、酸不安定基で置換されたアミノ基を有する繰り返し単位との共重合コポリマーが用いられ、好ましくは下記一般式(1)で示されるものである。
【化4】
(式中、R
1、R
3、R
6は水素原子又はメチル基である。mは1又は2であり、mが1の場合のX
1、X
2はフェニレン基、又は−C(=O)−O−R
9−である。R
9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、あるいは炭素数6〜10のアリーレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。mが2の場合のX
1は上記mが1の場合のX
1より水素原子が1個脱離した3価の基である。R
2は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基であり、X
1と結合して炭素数1〜6の環を形成していてもよく、環の中にフッ素原子又はエーテル基を有していてもよい。R
4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R
5は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基であり、少なくとも1個以上のフッ素原子を有する。nは1又は2であり、nが1の場合のYは単結合、又は−C(=O)−O−R
10−もしくは−C(=O)−NH−であり、R
10は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、−N=、−S−のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基又はナフチレン基である。nが2の場合のYは上記nが1の場合のYより水素原子が1個脱離した3価の基である。R
7は酸不安定基である。R
8は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は酸不安定基であり、Yと結合して炭素数3〜10の環を形成してもよい。0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0、0.5≦a1+a2+b≦1.0である。)
【0014】
シュリンク剤溶液をレジストパターン上に適用させたときに、シュリンク剤の溶剤によってレジストパターンが溶解することを避けなければならない。このためには、シュリンク剤の溶剤としてはレジスト膜を溶解させないための溶剤を選択する必要がある。レジスト膜を溶解させないための溶剤としては、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤、又は水を挙げることができる。水溶媒ベースのシュリンク剤は前述の通り多くの材料が提案されているが、水は表面張力が高いために大口径ウエハーに素早く塗布するのが困難である。特に、ネガ現像で形成した微細なホールパターンにおいてはスピンコートでシュリンク剤を埋め込むときに表面張力が高い水溶媒を用いた場合はホールの底までシュリンク剤が埋め込まれない問題が生じる。ここで、水よりも表面張力が低い有機溶剤に溶解したシュリンク剤を適用させることによってホールの底への埋め込み特性が向上する。前述の有機溶剤の溶解性を上げるためにはフルオロアルコールを有するa1単位、フルオロスルホンアミドを有するa2単位が必須である。
【0015】
上記式(1)で示される繰り返し単位a1、a2を得るためのモノマーとしては、下記一般式Ma1、Ma2で示される。ここで、R
1〜R
5、X
1、X
2、mは前述と同じである。
【化5】
【0016】
Ma1は具体的には下記に例示される。
【化6】
【0023】
Ma2は具体的には下記に例示される。
【化13】
【0024】
シュリンク剤を適用させるレジストパターン膜の表面にはカルボキシル基と酸触媒が存在している。アミノ基を有する水溶性のシュリンク剤は中和反応によってレジスト膜表面に付着することによってシュリンクが行われる。繰り返し単位a1、a2は酸性ユニットなので、これらとアミノ基を有する繰り返し単位とを共重合すると、塩を形成して有機溶剤に溶解しないゲルを形成してしまう。そこで、本発明では塩基性がない保護化アミンの繰り返し単位bとa1、a2の繰り返し単位を共重合したポリマーをシュリンク剤として適用させることを提案するもので、これだとa1、a2ユニットとbユニットが塩を形成してゲル化することがない。
【0025】
上記式(1)で示される繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、下記一般式Mbで示される。ここで、R
6〜R
8、Y、nは前述と同じである。
【化14】
【0026】
Mbは具体的には下記に例示される。
【化15】
【0032】
一般式(1)中のR
7、R
8、後述する一般式(2)中のR
12で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0034】
式(AL−10)、(AL−11)において、R
51、R
54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R
52、R
53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R
52とR
53、R
52とR
54、又はR
53とR
54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R
55、R
56、R
57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR
55とR
56、R
55とR
57、又はR
56とR
57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0035】
式(AL−10)で示される基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【化22】
【0036】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R
58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R
59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0037】
前記式(AL−11)で示されるアセタール基を(AL−11)−1〜(AL−11)−112に例示する。
【化23】
【0043】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化29】
【0044】
上記式中、R
61、R
62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R
61とR
62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR
61、R
62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0045】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−113〜(AL−11)−120のものが挙げられる。
【化30】
【0046】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【化31】
【0047】
上記式中、R
64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R
64同士が結合して環を形成してもよい。R
65、R
67は水素原子、又はメチル基、エチル基を示す。R
66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0048】
上記シュリンク剤用の高分子化合物は、上記繰り返し単位a1、a2、bに加えて、必要に応じて酸拡散を制御する目的でスチレン類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、アセナフチレン類、芳香族エステルを有する(メタ)アクリレート類、炭素数6〜20の環状アルキル基エステルを有する(メタ)アクリレート類等の繰り返し単位cを共重合することもできる。これらのモノマーは置換又は非置換のヒドロキシ基を有していてもよい。更に、剥離溶液への溶解性をコントロールする目的で、酸不安定基で置換されたカルボキシル基や酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、カルボキシル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホンアミド基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カーボネート基、カルバメート基を有する繰り返し単位dを共重合してもよい。
【0049】
上記繰り返し単位a1、a2、b、c、dは、
0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0<b<1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、
好ましくは
0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0.1≦b≦0.9、0≦c≦0.7、0≦d≦0.7、
更に好ましくは
0≦a1≦0.85、0≦a2≦0.85、0.2≦a1+a2≦0.85、0.15≦b≦0.8、0≦c≦0.6、0≦d≦0.6
である。なお、a1+a2+b+c+d=1である。
【0050】
一方、本発明のパターン形成に用いるレジスト材料のベースポリマーは、酸によりアルカリ溶解性が向上する高分子化合物であり、カルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有することを必須とする。これは、シュリンク材塗布後のベークによって発生するアミノ基との中和反応を加速させるためである。
【0051】
具体的には、かかるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位としては、下記式(2)で示されるものが挙げられる。
【化32】
(式中、R
11は水素原子又はメチル基を示す。R
12は酸不安定基である。Zは単結合又は−C(=O)−O−R
13−であり、R
13は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。)
R
12の酸不安定基としては、上記R
7で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0052】
酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位としては、例えば特開2014−119659号公報(USP2014/170563A1)中、段落[0036]〜[0097]に記載されている。更には、レジスト材料のベースポリマーは特開2014−119659号公報中、段落[0099]〜[0106]に記載されているヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位を含んでもよく、また段落[0116]に記載のインデン類、アセナフチレン類、クロモン類、クマリン類、ノルボルナジエン類、段落[0117]に記載のスチレン類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、ビニルピレン類、メチレンインダン類に由来する繰り返し単位を有してもよく、段落[0108]〜[0114]に記載の重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤の繰り返し単位を有してもよい。
【0053】
本発明のパターン形成方法に用いられるシュリンク剤及びレジスト材料のベースポリマーとなる上記高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとシュリンク剤の場合は酸拡散距離が伸びてシュリンク量が多くなりすぎてコントロールできない場合があり、レジスト材料の場合はPAGから発生した酸の拡散距離が大きくなりすぎて解像性が低下する場合がある。分子量が大きすぎるとシュリンク剤の場合は剥離用溶剤への溶解性が低下して剥離プロセス後のスペース部分にスカムが生じる場合があり、裾引き現象が生じ易くなる場合がある。
【0054】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるシュリンク剤及びレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0055】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては所用のモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0056】
本発明のシュリンク剤に用いられるポリマーは、繰り返し単位a1、a2とbがランダムに共重合されていてもそれぞれがブロックで共重合されていてもシュリンク可能であるが、特にブロック共重合されていた方がシュリンク後のパターンの寸法均一性に優れるので好ましい。シュリンク剤としてブロック共重合ポリマーを適用した場合、レジスト表面側には酸とカルボン酸に反応した親水性のb単位が配列し、反対側には疎水性のa1、a2単位が配列する。DSAを適用したときのような自己配列機能を有するシュリンク剤によって、現像後のホールの寸法均一性を一段と向上させることができる。
【0057】
ラジカル重合でランダム共重合を行う場合は、共重合を行うモノマーやラジカル開始剤を混合して加熱によって重合を行う方法が一般的である。a1、a2のモノマーとラジカル開始剤存在下重合を開始し、後にモノマーbを添加した場合は、ポリマー分子の片側がa1、a2でもう一方がbの繰り返し単位となる。しかしながらこの場合、中間部分が繰り返し単位a1、a2とbが混在しており、ブロックコポリマーとは形態が異なる。ラジカル重合でブロックコポリマーを形成するには、リビングラジカル重合が好ましく用いられる。Reversible Addition Fragmentation chain Transfer(RAFT) polymerizationと呼ばれるリビングラジカルの重合方法は、ポリマー末端のラジカルが常に生きているので、a1、a2のモノマーで重合を開始し、これらが消費された段階でbのモノマーを添加することによってa1、a2とbの繰り返し単位によるブロックコポリマーを形成することが可能である。
【0058】
RAFT重合を行うには連鎖移動剤が必要であり、具体的には2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート、4−シアノ−4−フェニルカルボノチオイルチオペンタン酸、2−シアノ−2−プロピル ドデシルトリチオカルボネート、4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−2−メチルプロパン酸、シアノメチルドデシルチオカルボネート、シアノメチル メチル(フェニル)カルバモチオエート、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドを挙げることができる。これらの中では2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエートが最も好ましく用いることができる。
【0059】
リビングアニオン重合によってブロックコポリマーを重合することもできる。この場合使用するアニオン種としては、有機金属を用い、例としてはアルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド、ナフタレンナトリウム、アルキル化ランタノイド系化合物等が挙げられ、特にブチルリチウムや、ブチルマグネシウムクロライドが好ましい。アニオン重合を行う場合a1のヒドロキシ基を置換しておく必要がある。例えばtert−BOC、アセタール、トリメチルシリル基等で置換しておき、重合後酸によって脱保護するが、この場合繰り返し単位bの酸不安定基を脱保護しないように注意が必要である。
【0060】
本発明のパターン形成方法に用いられるシュリンク剤は、有機溶剤、必要に応じて塩化合物、塩基性化合物、界面活性剤を含有することができる。
一般式(1)で示されるコポリマーを含有するシュリンク剤の溶媒としては、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、又は炭素数7〜16のケトン系溶剤が挙げられ、現像後のパターンの膜に30秒間、該溶剤に触れた時の膜減りが10nm以下であることが好ましい。
炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤として、具体的には、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルシクロペンチルエーテル、エチルシクロヘキシルエーテル、エチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、シメン、アミルベンゼン、ジエチルベンゼン、オクタン、ノナン、デカン、テレピン油、ピネン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン酸アミル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、蟻酸ヘキシル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸tert−ブチル、吉草酸アミル、吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸tert−ブチル、イソ吉草酸イソアミル、ピバル酸エチル、ピバル酸プロピル、ピバル酸イソプロピル、ピバル酸ブチル、ピバル酸tert−ブチル、ペンテン酸エチル、ペンテン酸プロピル、ペンテン酸イソプロピル、ペンテン酸ブチル、ペンテン酸tert−ブチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸tert−ブチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピオン酸ベンジル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸tert−ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上を含む単独又は混合溶剤が挙げられる。
【0061】
上記有機溶剤としては、炭素数8〜12のエーテル化合物が好ましい。炭素数8〜12のエーテル化合物はレジストパターンを溶解させない特徴がある。レジスト材料として用いることができる溶剤を用いると、シュリンク剤をレジストパターン上に塗布したときにシュリンク剤とレジストパターンがミキシングし、現像後にレジストパターンが溶解してしまう。これを防ぐためにシュリンク剤としてレジスト材料用の高分子化合物を溶解させることがない炭素数8〜12のエーテル化合物が好ましく用いられる。炭素数8〜12のエーテル化合物として具体的には、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができ、これらの1種あるいは2種以上の混合溶剤を用いることができる。
【0062】
上記溶剤の使用量は、シュリンク剤用高分子化合物100質量部に対して100〜100,000質量部、特に200〜50,000質量部であることが好ましい。
【0063】
本発明に係るシュリンク剤中に塩化合物や塩基性化合物を添加することができる。添加できる塩としては、レジスト材料に添加されるスルホニウム塩、ヨードニウム塩に加えてアンモニウム塩を挙げることができる。塩基性化合物もレジスト材料に添加させるものと同様の第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等を挙げることができる。上記塩、塩基性化合物を添加することによってレジスト膜からの過剰な酸の拡散を抑え、シュリンク量をコントロールすることができる。界面活性剤もレジスト材料と同様の材料を添加することができる。
【0064】
この場合、シュリンク剤用高分子化合物100質量部に対して、それぞれ塩の配合量は0〜50質量部、塩基性化合物の配合量は0〜30質量部、界面活性剤の配合量は0〜10質量部、特に0〜5質量部であることが好ましい。なお、配合する場合は、それぞれ0.1質量部以上とすることが好ましい。
【0065】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール類、その他の成分を含有することができる。
【0066】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料は、特に化学増幅型レジスト材料として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、酸不安定基が脱保護し易いアセタール基の場合は必ずしもα位がフッ素化されている必要はない。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0067】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタール基の脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0068】
塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の一級、二級、三級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
また、特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、特許第3991462号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして併用することもできる。
【0069】
酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタール基である場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。このときのクエンチャーとしてはスルホン酸のオニウム塩を用いることができないため、このような場合はイミド酸のオニウム塩単独で用いることが好ましい。
【0070】
界面活性剤は特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0071】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報に例示されている。レジスト材料に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト材料のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0072】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
また、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類の配合量は、その配合目的に応じて適宜選定し得る。
【0073】
本発明に係るパターンシュリンク方法は、
図1及び2に示す通りであり、基板10上の被加工基板20上に必要によりハードマスク層を介して化学増幅型レジスト材料によるフォトレジスト膜30を形成する(A)。次いで、レジスト膜30を常法により露光(B)、PEB、有機溶剤現像し、ネガレジストパターン30aを形成し(C)、その上にシュリンク剤40を塗布する(D)。次いでベークし、その熱によってレジストパターン30aからシュリンク剤40へ酸の拡散を生じさせる。これによってシュリンク剤の高分子化合物に脱保護反応を生じさせ、溶剤剥離によって余分なシュリンク剤膜40を除去してレジストパターン30aをシュリンク剤膜40aにより厚膜化することによってレジストパターンのスペースの幅を細らせる(E)。シュリンクしたパターンをマスクにしてドライエッチングによって被加工基板20を加工する(F)。
【0074】
この場合、基板としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板としては、SiO
2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。また、ハードマスクとしては、SiO
2、SiN、SiON、p−Siなどが用いられる。ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜を敷いても構わないし、ハードマスクとフォトレジスト膜との間に有機反射防止膜を敷いても構わない。
【0075】
本発明においては、上記被加工基板に直接又は上記中間介在層を介して化学増幅型レジスト材料によるレジスト膜を形成するが、レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては50〜180℃、特に60〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0076】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4〜10のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0077】
露光における露光量は1〜200mJ/cm
2程度、好ましくは10〜100mJ/cm
2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で50〜150℃、1〜5分間、好ましくは60〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0078】
更に、有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上にネガパターンを形成する。
【0079】
現像液に用いる有機溶剤としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上である。現像の終了時にはリンスを行うことができる。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0080】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。リンス液をかけた後はスピンドライとベークによって乾燥を行う。リンスは必ずしも必要ではなく、現像液のスピンドライによって乾燥を行い、リンスを省略することもできる。
【0081】
現像後のレジストパターンの上に本発明に係るシュリンク剤を塗布する。塗布後40〜150℃で5〜300秒間ベークを行う。ベークによって溶剤を蒸発させるだけでなくレジスト膜からシュリンク剤への酸の拡散と脱保護反応とシュリンク剤膜中に発生したアミノ基の中和反応を行い、これによりシュリンク剤膜をレジスト膜に付着する。シュリンク剤の塗布膜厚は1〜100nm、好ましくは1.5〜50nmである。
【0082】
シュリンク剤の剥離は、シュリンク剤の組成物として用いられる溶剤によって行われることが好ましい。剥離用剤としては、炭素数6〜12のエーテル系溶剤、炭素数4〜10のアルコール溶剤、炭素数6〜12の炭化水素系溶剤、炭素数6〜16のエステル系溶剤、炭素数7〜16のケトン系溶剤、及びこれらの混合溶剤によって行うことができる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0084】
[合成例1]
シュリンク剤又はレジスト材料に用いられる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成のランダムコポリマーの高分子化合物(ポリマー1〜12、比較ポリマー1,2、レジストポリマー1、撥水性ポリマー1)を得た。得られた高分子化合物の組成は
1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0085】
ポリマー1
分子量(Mw)=15,800
分散度(Mw/Mn)=1.94
【化33】
【0086】
ポリマー2
分子量(Mw)=26,000
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化34】
【0087】
ポリマー3
分子量(Mw)=26,000
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化35】
【0088】
ポリマー4
分子量(Mw)=9,400
分散度(Mw/Mn)=1.94
【化36】
【0089】
ポリマー5
分子量(Mw)=7,200
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化37】
【0090】
ポリマー6
分子量(Mw)=7,100
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化38】
【0091】
ポリマー7
分子量(Mw)=9,900
分散度(Mw/Mn)=1.97
【化39】
【0092】
ポリマー8
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化40】
【0093】
ポリマー9
分子量(Mw)=10,300
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化41】
【0094】
ポリマー10
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化42】
【0095】
ポリマー11
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化43】
【0096】
ポリマー12
分子量(Mw)=25,800
分散度(Mw/Mn)=1.91
【化44】
【0097】
比較ポリマー1
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.68
【化45】
【0098】
比較ポリマー2
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化46】
【0099】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.61
【化47】
【0100】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.55
【化48】
【0101】
[合成例2]
シュリンク剤に用いるブロックコポリマーを得るために下記RAFT重合によってブロックコポリマー1を得た。
窒素雰囲気下、メタクリル酸4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−トリフルオロメチルブタン−2−イル16gと、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート0.15g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.04gをメチルエチルケトン11gに溶解させ、その溶液を窒素雰囲気下80℃で4時間撹拌した。続けてメタクリル酸1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル3gをメチルエチルケトン3gに溶解させた溶液を滴下し、80℃で更に4時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、重合液を300gのヘキサンに滴下した。析出した固形物を濾別し、ヘキサン120gで洗浄し、60℃で15時間真空乾燥して、下記式ブロックコポリマー1を得た。
ブロックコポリマー1
分子量(Mw)=16,000
分散度(Mw/Mn)=1.20
【化49】
【0102】
[実施例1〜16、比較例1〜3]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜12、比較ポリマー1,2、ブロックコポリマー1)、スルホニウム塩、アミンクエンチャー、溶剤を表1に示す組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過してシュリンク剤溶液を調製した。比較シュリンク剤2では、比較ポリマー2が溶剤に溶解しなかった。
【0103】
下記表中の各組成は次の通りである。
スルホニウム塩1、アミンクエンチャー1(下記構造式参照)
【化50】
【0104】
【表1】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0105】
レジスト材料の調製
上記した高分子化合物(レジストポリマー1)、酸発生剤、スルホニウム塩、アミンクエンチャー、撥水性ポリマー、溶剤を用いて、下記表2に示す組成で溶解させた住友3M社製の界面活性剤FC−4430を100ppm含有する溶液を0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト溶液を調製した。
【0106】
酸発生剤:PAG1(下記構造式参照)
【化51】
【0107】
【表2】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0108】
ArF露光パターニング評価
表2に示す組成で調製したレジスト材料を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−102を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後90℃で60秒間ベーク(PEB)し、酢酸n−ブチルで30秒間パドル現像してピッチが100nmでスパース幅が45nmのトレンチパターンを形成した。現像後のレジストパターン上に表1に記載のシュリンク剤を塗布し、表3に記載の温度で60秒間ベークし、4−メチル−2−ペンタノール溶液を200rpmで回転しながらディスペンスして余分なシュリンク剤を剥離した。現像後とシュリンク処理後のピッチ100nmのトレンチの寸法とエッジラフネスを測長SEM((株)日立製作所製CG−4000)で測定した。結果を表3に示す。
【0109】
【表3】
【0110】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。