特許第6233310号(P6233310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233310液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233310
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20171113BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20171113BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20171113BHJP
   C08G 77/20 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G02F1/1337 530
   G02F1/1337 525
   C08L79/08 Z
   C08L83/07
   C08G77/20
【請求項の数】10
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2014-533086(P2014-533086)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】JP2013073179
(87)【国際公開番号】WO2014034792
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-190328(P2012-190328)
(32)【優先日】2012年8月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】橋本 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 耕平
(72)【発明者】
【氏名】平賀 浩二
(72)【発明者】
【氏名】元山 賢一
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−217866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
(A)成分:ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体。
(B)成分:式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(3)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン。

Si(OR (1)

(Rは下記式(2)の構造であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
【化1】
(Yは、−(CH−(aは1〜15の整数である)、又は−CH−である。
は単結合、二重結合を含有する炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、又は−(CR17R18b−(bは1〜15の整数であり、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。)である。
は単結合、−(CH−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−である。
はベンゼン環、シクロへキシル環、及び複素環から選ばれる2価の環状基であり、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、又はフッ素原子で置換されていてもよい。さらに、Yはステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基であってもよい。
はベンゼン環、シクロへキシル環及び複素環よりなる群から選ばれる2価の環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。nは0〜4の整数である。)

Si(OR (3)

(Rは、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基又はスチリル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
【請求項2】
(B)成分が、下記式(4)で表されるアルコキシシランをさらに含有する、アルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、請求項1に記載の液晶配向処理剤。

(RSi(OR4−n (4)

(Rは、水素原子、又はヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基で置換されていてもよい、炭素原子数1〜10の炭化水素基である。Rは炭素原子数1〜5のアルキル基であり、nは0〜3の整数である。)
【請求項3】
前記式(4)で表されるアルコキシシランが、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランである請求項2に記載の液晶配向処理剤。
【請求項4】
(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される全アルコキシシラン中、式(1)で表されるアルコキシシランが2〜20モル%使用され、かつ式(3)で表されるアルコキシシランが5〜80モル%使用される請求項1に記載の液晶配向処理剤。
【請求項5】
(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される全アルコキシシラン中、式(4)で表されるアルコキシシランが10〜90モル%使用される請求項2又は3に記載の液晶配向処理剤。
【請求項6】
(A)成分の100質量部に対し、(B)成分が、(B)成分が有するケイ素原子のSiO換算値で、0.5〜80質量部含有される請求項1〜5のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【請求項7】
有機溶媒をさらに含有し、該有機溶媒が液晶配向処理剤中、90〜99質量%含有される請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
【請求項9】
みが、5〜300nmである請求項8に記載の液晶配向膜。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向処理剤、及び前記液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜、並びにその液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子の表示方式の中でも、垂直(VA)方式の液晶表示素子は、大画面の液晶テレビや高精細なモバイル用途(デジタルカメラや携帯電話の表示部)など、広く利用されている。VA方式には、液晶の倒れる方向を制御するための突起をTFT基板やカラーフィルタ基板に形成するMVA方式(Multi Vertical Alignment)や、基板のITO(インジウム・スズ酸化物)電極にスリットを形成し、電界によって液晶の倒れる方向を制御するPVA(Patterned Vertical Alignment)方式が知られている。
別の配向方式として、PSA(Polymer sustained Alignment)方式がある。
【0003】
VA方式の中でも、PSA方式は近年注目されている技術である。この方式は、液晶中に光重合性化合物を添加し、液晶パネルの作製後に、電界を印加し、液晶が倒れた状態で紫外線(UV)を液晶パネルに照射する。その結果、重合性化合物が光重合することで、液晶の配向方向が固定化され、プレチルトが生じ、応答速度が向上する。液晶パネルを構成する片側の電極にスリットを作製し、対向側の電極パターンには、MVAのような突起やPVAのようなスリットを設けていない構造でも動作可能であり、製造の簡略化や優れたパネル透過率が得られることを特徴としている。(特許文献1参照。)
【0004】
しかし、PSA方式の液晶表示素子においては、液晶に添加する重合性化合物の溶解性が低く、その添加量を増やすと低温時に析出するという問題がある。また、重合性化合物の添加量を減らすと良好な配向状態、応答速度が得られなくなる。さらに、液晶中に残留する未反応の重合性化合物は液晶中の不純物となり、液晶表示素子の信頼性を低下させるという問題もある。
そこで、ポリマー分子中に光反応性の側鎖を導入したポリマーを用いた液晶配向処理剤を基板に塗布し、焼成して得られた液晶配向膜に接触させた液晶層を設け、この液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射して、液晶表示素子を作製することにより、液晶中に重合性化合物を添加せずとも、応答速度の速い液晶表示素子を得ることが出来る技術が提案されている。(特許文献2参照。)
【0005】
一方、従来から用いられているポリイミド等の有機系の液晶配向膜材料と共に、無機系の液晶配向膜材料も知られている。例えば、塗布型の無機系の液晶配向膜材料として、テトラアルコキシシランと、トリアルコキシシランと、アルコールと、蓚酸との反応生成物を含有する液晶配向剤組成物が提案され、液晶表示素子の電極基板上で、垂直配向性、耐熱性及び均一性に優れる液晶配向膜を形成することが報告されている。(特許文献3参照。)
【0006】
また、テトラアルコキシシラン、特定のトリアルコキシシラン及び水との反応生成物と、特定のグリコールエーテル系溶媒を含有する液晶配向処理剤組成物が提案され、表示不良を防止し、長時間の駆動後も残像特性の良好な、液晶を配向させる能力を低下させることなく、且つ光及び熱に対する電圧保持率の低下が少ない液晶配向膜を形成することが報告されている。(特許文献4参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本特開2004−302061号公報
【特許文献2】日本特開2011−95967号公報
【特許文献3】日本特開平09−281502号公報
【特許文献4】日本特開2005−250244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
垂直配向をするVAモードにおいては、垂直配向をさせるための強い垂直配向力が必要であるが、重合性化合物を用いないこの方式では、垂直配向力を向上させるとUV照射後の応答速度は遅くなり、UV照射後の応答速度を向上させると、垂直配向力が低下する。垂直配向力とUV照射後の応答速度向上はトレードオフの関係にある。
【0009】
本発明の課題は、重合性化合物を添加しない液晶を用いて、PSA方式と同様に処理し、UV照射後の応答速度を向上させる方式の液晶表示素子においても、垂直配向力を低下させることなく、UV照射後の応答速度を向上させ得る液晶配向膜を形成可能な液晶配向処理剤、該液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を有する液晶表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の目的を達成するため、鋭意研究を進めたところ、ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体((A)成分)と、特定のポリシロキサン((B)成分)とを含有する液晶配向処理剤により上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は以下の要旨を有するものである。
1.下記の(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
(A)成分:ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体。
(B)成分:式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(3)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン。

Si(OR (1)

(Rは下記式(2)の構造であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
【化1】
(Yは、−(CH−(aは1〜15の整数である)、又は−CH−である。
は単結合、二重結合を含有する炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、又は−(CR17R18b−(bは1〜15の整数であり、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。)である。
は単結合、−(CH−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−である。
はベンゼン環、シクロへキシル環、及び複素環から選ばれる2価の環状基であり、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、又はフッ素原子で置換されていてもよい。さらに、Yはステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基であってもよい。
はベンゼン環、シクロへキシル環及び複素環よりなる群から選ばれる2価の環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。nは0〜4の整数である。)

Si(OR (3)

(Rは、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基又はスチリル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
【0012】
2.(B)成分が、下記式(4)で表されるアルコキシシランをさらに含有する、アルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである、上記1に記載の液晶配向処理剤。
(RSi(OR4−n (4)

(式(4)中、Rは、水素原子、又はヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基で置換されていてもよい、炭素原子数1〜10の炭化水素基である。Rは炭素原子数1〜5のアルキル基であり、nは0〜3の整数である。)
3.前記式(4)で表されるアルコキシシランが、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランである上記2に記載の液晶配向処理剤。
4.(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される全アルコキシシラン中、式(1)で表されるアルコキシシランが2〜20モル%使用され、かつ式(3)で表されるアルコキシシランが5〜80モル%使用される上記1に記載の液晶配向処理剤。
5.(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される全アルコキシシラン中、式(4)で表されるアルコキシシランが10〜90モル%使用される上記2又は3に記載の液晶配向処理剤。
6.(A)成分の100質量部に対し、(B)成分が、(B)成分が有するケイ素原子のSiO換算値で、0.5〜80質量部含有される上記1〜5のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
7.有機溶媒をさらに含有し、該有機溶媒が液晶配向処理剤中、90〜99質量%含有される上記1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
8.上記1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
9.厚みが、5〜300nmである上記に記載の液晶配向膜。
10.上記8又は9に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。




【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、垂直配向力を低下させることなく、UV照射後の応答速度を向上させることが可能な液晶配向膜を形成可能な液晶配向処理剤、該液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜、及び該液晶配向膜を有し、重合性化合物を添加しない液晶を用いて、PSA方式と同様に処理し、UV照射後の応答速度を向上させる方式の液晶表示素子が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<(A)成分:ポリアミック酸及び/又はポリイミド>
本発明の液晶配向処理剤には、ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種類のポリマーを含有する。このポリアミック酸及びポリイミドの具体的な構造は特に限定されず、例えば、公知の液晶配向処理剤に含有されているポリアミック酸又はポリイミドであってもよい。
【0015】
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸又はテトラカルボン酸の誘導体と、ジアミンとの(重縮合)反応によって容易に得ることができる。
本発明に用いる(A)成分であるポリアミック酸及びポリイミドの製造方法は、特に限定されない。一般的には、テトラカルボン酸又はその誘導体からなる群から選ばれる1種又は複数種からなるテトラカルボン酸成分と、1種又は複数種のジアミン化合物からなるジアミン成分とを反応させて、ポリアミック酸を得る。
さらに、ポリイミドを得る方法としては、ポリアミック酸をイミド化する方法が用いられる。
【0016】
その際、得られるポリアミック酸は、原料であるテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを適宜選択することによって単重合体(ホモポリマー)又は共重合体(コポリマー)とすることができる。
ここで、テトラカルボン酸又はその誘導体とは、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド又はテトラカルボン酸二無水物である。なかでも、テトラカルボン酸二無水物はジアミン化合物との反応性が高いので好ましい。
【0017】
具体的には、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、オキシジフタルテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロヘプタンテトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、3,4−ジカルボキシ−1−シクロへキシルコハク酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,3,0]ノナン−2,4,7,9−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,7,9−テトラカルボン酸、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,8,10−テトラカルボン酸、トリシクロ[6.3.0.0<2,6>]ウンデカン−3,5,9,11−テトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、テトラシクロ[6,2,1,1,0,2,7]ドデカ−4,5,9,10−テトラカルボン酸、などのテトラカルボン酸が挙げられる。更に、これらのテトラカルボン酸のジハロゲン化物、又はテトラカルボン酸の二無水物などが挙げられる。
【0018】
なかでも、塗膜の透明性の点から脂環式テトラカルボン酸、これらの二無水物又はこれらのジカルボン酸ジハロゲン化物が好ましい。特に1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸、これらテトラカルボン酸のジハロゲン化物、又はこれらテトラカルボン酸の二無水物が好ましい。
【0019】
上記したテトラカルボン酸又はその誘導体は、液晶配向膜にした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上混合して使用することができる。
ポリアミック酸の製造に使用されるジアミンは特に限定されない。具体的には、p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,12−(3−アミノフェノキシ)ドデカン、1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレアなどの芳香族ジアミン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどの脂肪族ジアミンなどを挙げることができる。
なかでも、電気特性、ポリシロキサンとの相溶性等の観点から、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンが好ましく用いられる。
【0020】
また、ジアミン側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、又はそれらからなる大環状置換体を有するジアミンを挙げることができる。
具体的には、下記式[A1]〜[A20]で表されるジアミンを例示することができる。
【化2】
(Rは、炭素数1以上22以下のアルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0021】
【化3】
(Rは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH−、−O−、−CO−、又は−NH−であり、Rは、水素原子、炭素数1以上22以下の、アルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0022】
【化4】
(Rは、−O−、−OCH−、−CHO−、−COOCH−、又は−CHOCO−であり、Rは、炭素数1以上22以下の、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0023】
【化5】
(Rは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、又は−CH−である。Rは、炭素数1以上22以下の、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0024】
【化6】
(Rは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、−CH−、−O−、又は−NH−であり、Rは、フッ素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、水酸基、又はカルボキシル基である。)
【0025】
【化7】
【0026】
さらに、下記式[A21]で示されるようなジアミノシロキサンなども挙げることができる。
【化8】
(mは、1〜10の整数である。)
【0027】
上記したジアミンは、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
上記したポリアミック酸の原料の中で、水酸基又はカルボキシル基を有するジアミンを使用すると、ポリアミック酸又はポリイミドと、後記する架橋性化合物との反応効率を高めることができる。
このようなジアミンの具体例としては、2,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、式[A22]〜[A25]で示されるジアミンなどが挙げられる。
【0028】
【化9】
(R10は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH−、−O−、−CO−、又は−NH−である。)
【0029】
【化10】
(R11は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、−CH−、−O−、又は−NH−である。R12は、水酸基、又はカルボキシル基である。)
【0030】
ポリアミック酸を製造する際に用いられる溶媒としては、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどである。
【0031】
これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ポリアミック酸を製造する際のテトラカルボン酸若しくはその誘導体とジアミンとを有機溶媒中で反応させる方法としては、ジアミンを有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸若しくはその誘導体をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸若しくはその誘導体を、有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミンを添加する方法、テトラカルボン酸若しくはその誘導体とジアミンとを交互に添加する方法などが挙げられる。これらは、いずれの方法であってもよい。また、テトラカルボン酸若しくはその誘導体、又はジアミンが複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としてもよい。
【0032】
ポリアミック酸を合成する際の温度は−20〜150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5〜100℃の範囲である。
また、反応は任意の濃度で行うことができる。しかし、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加しても構わない。
ポリアミック酸の製造において、テトラカルボン酸若しくはその誘導体のモル数に対する、ジアミン成分のモル数の比は0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることがより好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミック酸の分子量は大きくなる。
【0033】
ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、加熱による熱イミド化、触媒を使用する触媒イミド化が一般的であるが、比較的低温でイミド化反応が進行する触媒イミド化の方が、得られるポリイミドの分子量低下が起こりにくく好ましい。
【0034】
触媒イミド化は、ポリアミック酸を有機溶媒中において、塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。このときの反応温度は−20〜250℃、好ましくは0〜180℃である。反応温度が高い方がイミド化は早く進行するが、高すぎるとポリイミドの分子量が低下する場合がある。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒や酸無水物の量が少ないと反応が十分に進行せず、また多すぎると反応終了後に完全に除去することが困難となる。
【0035】
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。
また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
【0036】
触媒イミド化の際の有機溶媒としては、ポリアミック酸が溶解するものであれば限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどである。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
【0037】
生成したポリイミドは、上記反応溶液を貧溶媒に投入して生成した沈殿を回収することで得られる。その際、用いる貧溶媒は特に限定されない。例えば、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリイミドは、濾過した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱乾燥して粉末とすることができる。そのポリイミド粉末を、更に有機溶媒に溶解して、再沈殿する操作を2〜10回繰り返すと、ポリイミドを精製することもできる。一度の沈殿回収操作では不純物が除ききれないときは、この精製工程を行うことが好ましい。
【0038】
本発明に用いるポリイミドの分子量は特に制限されないが、取り扱いのしやすさと、膜形成した際の特性の安定性の観点から重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは4,000〜50,000である。分子量は、GPC(ゲルパーミエッションクロマトグラフィ)により求めたものである。
【0039】
<(B)成分:ポリシロキサン>
本発明の液晶配向処理剤に含有される(B)成分は、式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(3)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである。

Si(OR (1)

(Rは下記式(2)の構造であり、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基である。)
【化11】
Si(OR (3)

(Rは、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基、又はスチリル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
式(1)で表されるアルコキシシランのR(以下、特定有機基ともいう)は、上記の式[2]で表す構造である。
【0040】
式(2)中、Yは単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−である。なかでも、単結合、−(CH−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−又は−COO−を選択することは、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましい。なかでも、単結合、−(CH−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CHO−又は−COO−を選択することがより好ましい。
【0041】
は単結合、二重結合を含有する炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、又は−(CR17R18−(bは1〜15の整数であり、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。)である。なかでも、液晶表示素子の応答速度をより顕著に改善させる観点からは、−(CH−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
は単結合、−(CH−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−である。なかでも、単結合、−(CH−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−を選択することは、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましい。なかでも、単結合、−(CH−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CHO−、−COO−又は−OCO−を選択することがより好ましい。
【0042】
はベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる2価の環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子により置換されていてもよい。さらに、Yは、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基より選ばれる2価の有機基であってもよい。なかでも、ベンゼン環、シクロへキサン環又はステロイド骨格のうちのいずれかを有する炭素数12〜25の有機基が好ましい。
【0043】
はベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
nは0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。
【0044】
は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。さらに好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
【0045】
このような側鎖と光反応性基を導入したポリシロキサンを用いた液晶配向処理剤が、なぜ応答速度特性と良好な垂直配向性を両立出来るのかについては定かではないが、液晶骨格と類似した構造を有する側鎖を用いることで、通常はトレードオフの関係にある応答速度と垂直配向性が両立しているものと推察される。
式(2)におけるY、Y、Y、Y、Y、Y及びnの好ましい組み合わせとしては、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の13頁〜34頁の表6〜表47に掲載される(2−1)〜(2−629)と同じ組み合わせが挙げられる。なお、国際公開公報の各表では、本発明におけるY〜Yが、Y1〜Y6として示されているが、Y1〜Y6は、Y〜Yに読み替えるものとする。
【0046】
式(1)で表されるアルコキシシランのRは、炭素原子数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である。より好ましくは、Rがメチル基又はエチル基である。
このような式(1)で表されるアルコキシシランは、公知の方法(日本特開昭61−28639号公報)によって製造することができる。
以下にその具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
【化15】
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
(Rは−O−、−OCH−、−CHO−、−COOCH−又は−CHOCO−であり、Rは炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0053】
【化18】
(Rは単結合、−COO−、−OCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−(CHO−(nは1〜5の整数)、−OCH−又は−CH−であり、Rは炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0054】
【化19】
(Rは−COO−、−OCO−、−COOCH−、−CHOCO−、−CHO−、−OCH−、−CH−又は−O−であり、R10はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基又は水酸基である。)
【0055】
【化20】
(R11は炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0056】
【化21】
(R12は、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0057】
【化22】
(Bはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基であり、Bは1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基である。
は酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手がBと結合する。)であり、Bは酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH)a)と結合する。)である。
また、aは0又は1の整数であり、aは2〜10の整数であり、aは0又は1の整数である。)
【0058】
上記のアルコキシシランは、シロキサンポリマーとした際の溶媒への溶解性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、プレチルト角特性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。また、炭素数10〜18の長鎖アルキル基を含有するアルコキシシランとの併用も可能である。
上記の特定有機基を有する式(1)で表されるアルコキシシランは、ポリシロキサンを得るために用いる全アルコキシシラン中において、良好な液晶配向性を得るため、1モル%以上が好ましい。より好ましくは1.5モル%以上である。更に好ましくは2モル%以上である。また、形成される液晶配向膜の充分な硬化特性を得るためには、30モル%以下が好ましい。より好ましくは25モル%以下である。さらに好ましくは20モル%以下である。
【0059】
式(3)で表されるアルコキシシランのR(以下、第二の特定有機基ともいう)は、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基又はスチリル基で置換されたアルキル基である。置換されている水素原子は1つ以上であり、好ましくは1つである。アルキル基の炭素原子数は1〜30が好ましく、より好ましくは1〜20である。更に好ましくは1〜10である。
式(3)で表されるアルコキシシランのRは、炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である
【0060】
式(3)で表されるアルコキシシランの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではでない。例えば、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシエチルトリエトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリエトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランなどである。なかでも、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、又はスチリルエチルトリメトキシシランが好ましい。
【0061】
(B)成分であるポリシロキサンの製造には、式(1)で表されるアルコキシシラン及び式(3)で表されるアルコキシシラン以外に、基板との密着性の向上、液晶分子との親和性改善等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、下記式(4)で表されるアルコキシシランを一種又は複数種使用することもできる。
式(4)で表されるアルコキシシランは、ポリシロキサンに種々の特性を付与させることが可能であり、必要な特性に応じて一種又は複数種を選択して用いることができる。

(RSi(OR4−n (4)

(Rは、水素原子、又はヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基で置換されていてもよい、炭素原子数1〜10の炭化水素基である。Rは炭素原子数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である。nは0〜3、好ましくは0〜2の整数である。)
【0062】
式(4)で表されるアルコキシシランのRは水素原子又は炭素原子数が1〜10の有機基(以下、第三の有機基ともいう)である。第三の有機基の例としては、脂肪族炭化水素;脂肪族環、芳香族環、ヘテロ環のような環構造;不飽和結合;酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子;等を含んでいてもよく、分岐構造を有していてもよい、炭素原子数が1〜6の有機基である。さらに、この有機基はハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基などで置換されていてもよい。
【0063】
式(4)で表されるアルコキシシランの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。例えば、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3―アミノプロピルジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
【0064】
式(4)で表されるアルコキシシランにおいて、nが0であるアルコキシシランは、テトラアルコキシシランである。テトラアルコキシシランは、式(1)及び(3)で表されるアルコキシシランと縮合し易いので、本発明のポリシロキサンを得るために好ましい。
このような式(4)において、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランがより好ましく、特に、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが好ましい。
【0065】
本発明では、式(1)で表されるアルコキシシランが、(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される全アルコキシシラン中、好ましくは2〜20モル%、特に好ましくは3〜15モル%使用され、かつ式(3)で表されるアルコキシシランが、(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される全アルコキシシラン中、5〜80モル%、特に好ましくは10〜70モル%使用されるのが望ましい。
また、式(4)で表されるアルコキシシランは、(B)成分のポリシロキサンの製造に使用される場合、使用される全アルコキシシラン中、好ましくは10〜90モル%、特に好ましくは20〜90モル%使用されるのが望ましい。
【0066】
[(B)成分のポリシロキサンの製造方法]
本発明に用いるポリシロキサンを得る方法は特に限定されないが、上記した式(1)のアルコキシシランを必須成分とするアルコキシシランを有機溶媒中で重縮合させて得られる。そのため、ポリシロキサンは有機溶媒に均一に溶解した溶液として得られる。
例えば、上記式(1)のアルコキシシランをアルコール又はグリコールなどの溶媒中で加水分解・縮合する方法が挙げられる。その際、加水分解・縮合反応は、部分加水分解及び完全加水分解のいずれであってもよい。完全加水分解の場合は、理論上、アルコキシシラン中の全アルコキシド基の0.5倍モルの水を加えればよいが、通常は0.5倍モルより過剰量の水を加えるのが好ましい。
【0067】
本発明においては、上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5〜2.5倍モルの範囲で行われる。好ましくは0.5〜2.5倍モル、より好ましくは0.5〜1.5倍モルである。
また、通常、加水分解・縮合反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸などの酸;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアルカリ;塩酸、硫酸、硝酸などの金属塩;などの触媒が用いられる。また、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、更に、加水分解・縮合反応を促進させることも一般的である。その際、加熱温度及び加熱時間は所望により適宜選択できる。例えば、50℃で24時間加熱・撹拌する、還流下で1時間加熱・撹拌するなどの方法が挙げられる。
【0068】
また、別法として、例えば、アルコキシシラン、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して重縮合する方法が挙げられる。具体的には、予めアルコールに蓚酸を加えて蓚酸のアルコール溶液とした後、該溶液を加熱した状態で、アルコキシシランを混合する方法である。その際、用いる蓚酸の量は、アルコキシシランが有する全アルコキシ基の1モルに対して0.2〜2モルとすることが好ましい。この方法における加熱は、液温50〜180℃で行うことができる。好ましくは、液の蒸発や揮散などが起こらないように、還流下で数十分〜十数時間加熱する方法である。
複数のアルコキシシランを用いてポリシロキサンを得る場合は、複数のアルコキシシランをあらかじめ混合してから反応させても良いが、複数のアルコキシシランを順次混合して反応させてもよい。
【0069】
アルコキシシランを重縮合する際に用いられる溶媒(以下、重合溶媒ともいう)は、アルコキシシランを溶解するものであれば特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない場合でも、アルコキシシランの重縮合反応の進行とともに溶解するものであればよい。一般的には、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、又はアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられる。
【0070】
上記重合溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール,ジアセトンアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類;N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、m−クレゾール等が挙げられる。本発明においては、上記の重合溶媒を複数種混合して用いてもよい。
【0071】
上記の方法で得られたポリシロキサンの重合溶液(以下、重合溶液ともいう。)は、原料として仕込んだ全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算した濃度(以下、SiO換算濃度ともいう。)で、20質量%以下が好ましく、特に5〜15質量%とすることが好ましい。この濃度範囲において任意の濃度を選択することにより、ゲルの生成を抑え、均質な溶液を得ることができる。
【0072】
[(B)成分のポリシロキサンの溶液]
本発明においては、上記の方法で得られたポリシロキサンの重合溶液をそのまま(B)成分の溶液としてもよいし、必要に応じて、上記の方法で得られた溶液を、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換して、(B)成分の溶液としてもよい。
その際、用いる溶媒(以下、添加溶媒ともいう)は、重合溶媒と同じでもよいし、別の溶媒でもよい。この添加溶媒は、ポリシロキサンが均一に溶解している限りにおいて特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
【0073】
添加溶媒の具体例としては、上記の重合溶媒の例として挙げた溶媒のほかに、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
これらの溶媒は、液晶配向処理剤の粘度の調整、又はスピンコート、フレキソ印刷、インクジェット等で液晶配向処理剤を基板上に塗布する際の塗布性を向上できる。
【0074】
本発明では、(A)成分であるポリアミック酸及び/又はポリイミドと混合することから、(B)成分の溶液で使用する溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
さらに、本発明では、(A)成分であるポリアミック酸及び/又はポリイミドと混合する前に、ポリシロキサンを製造する際に使用、又は発生するアルコールを常圧又は減圧で留去することがより好ましい。
【0075】
[液晶配向処理剤]
本発明の液晶配向処理剤における(B)成分(ポリシロキサン)の含有量は、ポリアミック酸及び/又はポリイミドを含む(A)成分100質量部に対して、(B)成分が有するケイ素原子のSiO換算値で0.5〜80質量部であり、好ましくは0.5〜50質量部である。また、MVA、PVA、PSA等の垂直配向型の場合は、液晶の垂直配向性を低下させないために、(B)成分(ポリシロキサン)の含有量は、同じ基準で、より好ましくは10〜80質量部であり、さらに好ましくは20〜70質量部である。
【0076】
本発明の液晶配向処理剤は特に限定されないが、通常、液晶配向膜を作製する際に、基板上に0.01〜1.0μmの均一な薄膜を形成する必要があることから、(A)成分及び(B)成分に加えて、これらの成分を溶解させる有機溶媒を含有する塗布液であることが好ましい。
本発明の液晶配向処理剤が上記有機溶媒を含有する場合は、塗布により均一な薄膜を形成するという観点から、有機溶媒の含有量は、液晶配向処理剤中、90〜99質量%であることが好ましく、92〜97質量%であることがより好ましい。これらの含有量は、目的とする液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができる。
【0077】
本発明の液晶配向処理剤に用いる有機溶媒の具体例としては、前述したポリアミック酸又はポリイミドの合成反応に用いられる有機溶媒を挙げることができる。特に好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどである。これらの有機溶媒は1種類でもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0078】
また、有機溶媒中には、塗膜の均一性を向上させる目的で、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノへキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、ジアセトンアルコール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなど、低表面張力を有する溶媒を含有することが好ましい。
【0079】
これらの溶媒は通常1種類又は2種類以上を混合して用いられる。これらの溶媒は一般的にポリアミック酸又はポリイミドを溶解させる能力が低いので、有機溶媒中の80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下である。また、塗膜の均一性の向上を期待するのであれば、有機溶媒中の5質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上である。
さらに、本発明の液晶液晶配向処理剤は、塗膜と基板との密着性を向上させる化合物、塗膜の平坦化性を高めるための界面活性剤等を含有することが可能である。
【0080】
塗膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物などが挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどである。
【0081】
これらの化合物の添加量は、密着性向上の効果を得ることができ、液晶の配向性を低下させないという観点から、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、より好ましくは1〜20質量部であり、特には1〜10質量部である。
塗膜の平坦化性を高めるための界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えばエフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製))、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。
これらの界面活性剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0082】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向処理剤は、基板上に塗布し、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、又は垂直配向用途などでは配向処理無しでも液晶配向膜として用いることができる。
この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板;アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板;などを用いることができる。さらに、液晶駆動のためのITO電極やIZO(インジウム・亜鉛酸化物)電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極は金属アルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
【0083】
液晶配向処理剤の塗布方法は特に限定されないが、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向処理剤を塗布した後の基板は、70〜100℃のホットプレート上に1〜3分程度置いて溶媒を揮発させて乾燥し、その後、焼成を行う。焼成は、100〜350℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは120〜300℃であり、さらに好ましくは150〜250℃である。この焼成はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などで行うことができる。
【0084】
焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは50〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線照射などで処理される。
【0085】
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、表示素子としたものである。液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にカラムスペーサーを形成したり、ビーズスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、カラムスペーサーを形成したり、ビーズスペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に、基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。
【0087】
実施例で用いた化合物における略語は以下のとおりである。
(アルコキシシランモノマー)
TEOS:テトラエトキシシラン
C18:オクタデシルトリエトキシシラン
C12:ドデシルトリエトキシシラン
UPS:3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
MPMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
VTMS:ビニルトリメトキシシラン
STMS:スチリルエチルトリメトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
【0088】
(テトラカルボン酸二無水物)
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
BDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
【0089】
【化23】
【0090】
(ジアミン化合物)
m−PDA:m−フェニレンジアミン
DBA:3,5−ジアミノ安息香酸
DDM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
4,4'DADPA:4,4’−ジアミノジフェニルアミン
BAPU:1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア
Sin0:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
PCH7DAB:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロへキシル)フェノキシ〕ベンゼン
【0091】
【化24】
【0092】
(有機溶媒)
THF:テトラヒドロフラン
DMF:ジメチルホルムアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:2−ブトキシエタノール
【0093】
NMRの測定、分子量の測定、イミド化率の測定等は、以下のように行った。
H−NMRの測定)
H−NMR(500MHz、プロトンNMR)は、日本電子データム社製のNMR測定器(JNW−ECA500)を用い、重クロロホルム(CDCl)中、内部標準にテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。
【0094】
(ポリアミック酸及びポリイミドの分子量測定)
分子量は、昭和電工社製 常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)、Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)を用い、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml(ミリリットル)/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、及び30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、及び1,000)。
【0095】
(イミド化率の測定)
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)0.53mLを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製のNMR測定器(JNW−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0096】
【化25】
【0097】
<化合物10の合成>
マグネチックスターラーを備えた500mL四口フラスコに、化合物9を30.00g、炭酸カリウムを25.24g、及びDMFを120g仕込み、室温下、臭化アリルを22.10g滴下した。その後、50℃にて11時間攪拌した。反応液を500gの酢酸エチルで希釈し、有機層を200gの純水で3回洗浄した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、これを濾過した。その後、濾液を濃縮乾燥し、化合物10を34.80g得た(収率100%)。
1H-NMR(500MHz) in CDCl3: 0.90ppm(t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.99-1.09ppm(m, 2H), 1.18-1.46ppm(m, 11H), 1.84-1.89ppm(m, 4H), 2.37-2.44ppm(m, 1H), 4.51ppm(dt, J = 5.4 Hz, 1.6 Hz, 2H), 5.26ppm(dq, J = 10.6 Hz, 1.6 Hz, 1H), 5.40ppm(dq, J = 17.2 Hz, 1.6 Hz, 1H), 6.07ppm(ddd, J = 17.2 Hz, 10.6 Hz, 5.4 Hz, 1H), 6.83ppm(dd, J = 8.8 Hz, 2.9 Hz, 2H), 7.10ppm(dd, J = 8.8 Hz, 2.9 Hz, 2H)
【0098】
<化合物11の合成>
マグネチックスターラーを備えた300mL四口フラスコに、化合物10を20.00g、及びトルエンを120g仕込み、室温にて攪拌した。次に、karstedt触媒(白金(0)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体 0.1mol/L キシレン溶液)700μlを添加した後、トリメトキシシランを12.4mL滴下した。室温にて29時間攪拌後、反応液を濃縮乾燥し、粗物を得た。得られた粗物を減圧蒸留し、外温245℃/圧力0.8torrの条件で留出させ、化合物11を12.15g得た(収率43%)。
1H-NMR(500MHz) in CDCl3: 0.76-0.82ppm(m, 2H), 0.89ppm(t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.98-1.08ppm(m, 2H), 1.18-1.45ppm(m, 11H), 1.84-1.93ppm(m, 6H), 2.36-2.43ppm(m, 1H), 3.58ppm(s, 9H), 3.91ppm(t, J = 6.8 Hz, 2H), 6.81ppm(d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.08ppm(d, J = 8.8 Hz, 2H)
【0099】
[(A)成分(ポリアミック酸及びポリイミド)の合成]
<合成例1>
テトラカルボン酸二無水物成分としてCBDA 97.1g(0.5mol)、ジアミン成分としてDBA 76.1g(0.5mol)をNMP 1270g中で混合し、室温で5時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は16,800であり、重量平均分子量は48,300であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A1)を得た。
【0100】
<合成例2>
テトラカルボン酸二無水物成分としてBDA 79.1g(0.4mol)、ジアミン成分としてDBA 60.9g(0.4mol)をNMP 560g中で混合し、室温で7時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は9,800であり、重量平均分子量は31,300であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A2)を得た。
【0101】
<合成例3>
テトラカルボン酸二無水物成分としてPMDA 106.1g(0.49mol)、ジアミン成分としてDBA 76.1g(0.5mol)をNMP 1336g中で混合し、室温で5時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は15,600であり、重量平均分子量は44,300であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A3)を得た。
【0102】
<合成例4>
テトラカルボン酸二無水物成分としてPMDA 102.8g(0.47mol)、ジアミン成分としてBAPU 149.2g(0.5mol)をNMP 1843g中で混合し、室温で5時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は13,800であり、重量平均分子量は41,400であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A4)を得た。
【0103】
<合成例5>
テトラカルボン酸二無水物成分としてCBDA 94.1g(0.48mol)、ジアミン成分としてBAPU 149.2g(0.5mol)をNMP 1784g中で混合し、室温で5時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は15,200であり、重量平均分子量は46,700であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A5)を得た。
【0104】
<合成例6>
テトラカルボン酸二無水物成分としてCBDA 78.2g(0.4mol)、ジアミン成分としてm−PDA 43.2g(0.4mol)をNMP 664g中で混合し、室温で5時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は21,800であり、重量平均分子量は51,500であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A6)を得た。
【0105】
<合成例7>
テトラカルボン酸二無水物成分としてCBDA 19.2g(0.098mol)、ジアミン成分としてDDM 19.8g(0.1mol)をNMP 221.3g中で混合し、室温で24時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は18,800であり、重量平均分子量は52,300であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A7)を得た。
【0106】
<合成例8>
テトラカルボン酸二無水物成分としてCBDA 19.6g(0.1mol)、ジアミン成分として4,4'DADPA 18.7g(0.094mol)をNMP 345.1g中で混合し、室温で5時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。重合反応は容易にかつ均一に進行した。得られたポリアミック酸の数平均分子量は17,500であり、重量平均分子量は48,100であった。さらに、この溶液をポリアミック酸4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリアミック酸溶液(A8)を得た。
【0107】
<合成例9>
BODA 150.1g(0.6mol)、DBA 60.9g(0.4mol)、及びPCH7DAB 152.2g(0.4mol)をNMP 1290g中で混合し、80℃で5時間反応させた。その後、CBDA 38.8g(0.2mol)とNMP 320gを加え、40℃で3時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液 100.8gにNMPを加え、6質量%に希釈した。その後、イミド化触媒として無水酢酸 10.66g、及びピリジン 8.26gを加え、80℃で3時間反応させた。その後、この反応溶液をメタノール 1300ml中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、次いで100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(C1)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は28,500であり、重量平均分子量は66,100であった。
このポリイミド粉末(C1)7.4gにNMPを41.9g加え、80℃にて40時間攪拌して溶解させた。さらに、この溶液をポリイミド4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリイミド溶液(A9)を得た。
【0108】
<合成例10>
BODA 7.5g(30.0mmol)、DBA 1.8(12.0mmol)、Sin0 2.0g(8.0mmol)、及びPCH7DAB 7.6g(20.0mmol)をNMP 55g中で混合し、80℃で5時間反応させた。その後、CBDA 1.9g(10.0mmol)とNMP 27.0gを加え、40℃で3時間反応させポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液 30.0gにNMPを加え、6質量%に希釈した。その後、イミド化触媒として無水酢酸 2.99g、及びピリジン 2.32gを加え、80℃で3時間反応させた。その後、この反応溶液をメタノール 370ml中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、次いで100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末(C2)を得た。このポリイミドのイミド化率は57%であり、数平均分子量は26,800であり、重量平均分子量は63,400であった。
このポリイミド粉末(C2)7.4gにNMPを41.9g加え、80℃にて40時間攪拌して溶解させた。さらに、この溶液をポリイミド4重量%、NMP76重量%、及びBCS20重量%となるようにNMPとBCSを加え、ポリイミド溶液(A10)を得た。
【0109】
[(B)成分(ポリシロキサン)の合成]
<合成例11>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS29.5g、TEOS38.8g、及び上記で得られた化合物11の4.1gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS14.7g、水10.8g及び触媒として蓚酸0.2gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液1.2gとBCS0.9gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B1]を得た。
【0110】
<合成例12>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS29.4g、TEOS38.8g、及びC18 4.2gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS14.7g、水10.8g及び触媒として蓚酸0.2gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液1.2gとBCS0.9gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B2]を得た。
【0111】
<合成例13>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS30.2g、TEOS39.6g、及び上記で得られた化合物11の4.1gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS14.7g、水10.8g及び触媒として蓚酸0.2gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して60分間還流させ、次いで放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B3]を得た。
【0112】
<合成例14>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS28.2g、TEOS37.5g、及び上記で得られた化合物11の4.1gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS14.1g、水10.8g及び触媒として蓚酸0.4gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液2.9gとBCS2.1gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B4]を得た。
【0113】
<合成例15>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS25.4g、TEOS20.0g、上記で得られた化合物11 8.2g、及びMPMS19.9gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS12.7g、水10.8g及び触媒として蓚酸1.1gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液1.2gとBCS0.9gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B5]を得た。
【0114】
<合成例16>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS25.2g、TEOS20.0g、上記で得られた化合物11 8.2g、及びSTMS20.2gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS12.6g、水10.8g及び触媒として蓚酸1.1gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液1.2gとBCS0.9gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B6]を得た。
【0115】
<合成例17>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS25.8g、TEOS20.0g、C18 4.2g、C12 3.3g、及びMPMS19.9gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS12.9g、水10.8g及び触媒として蓚酸1.1gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液1.2gとBCS0.9gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B7]を得た。
【0116】
<合成例18>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS31.5g、TEOS37.1g、及びMTES3.6gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS15.7g、水10.8g及び触媒として蓚酸0.1gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して60分間還流させた後、放冷してSiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B8]を得た。
【0117】
<合成例19>
温度計及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、BCS26.2g、TEOS20.8g、上記で得られた化合物11 8.2g、及びMPMS19.9gを混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めBCS13.1g、水10.8g及び触媒として蓚酸1.1gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、UPS含有量が92質量%のメタノール溶液0.6gとBCS0.4gとの混合液を加えた。更に30分間還流させ、その後放冷して、SiO換算濃度が12重量%のポリシロキサン溶液を得た。
得られたポリシロキサン溶液10.0g及びNMP20.0gを混合し、SiO換算濃度が4重量%のポリシロキサン溶液[B9]を得た。
【0118】
液晶セルの作製 、及び電気特性、垂直配向性、リワーク性、白化特性、応答速度等の評価は、以下のように行った。
[液晶セルの作製]
液晶配向処理剤を、ベタITO電極が形成されているITO電極基板、又は画素サイズが100μm×300μm(ミクロン)で、ライン/スペースがそれぞれ5μmのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートした。次いで、80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、200℃若しくは220℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この基板を2枚(ベタ基板同士、又はベタ基板とパターン基板)用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に4μm若しくは6μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷した。他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、両基板を張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。その後、空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−6608(メルク社製、商品名)を注入し、液晶セルを作製した。
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流または直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射することで、液晶分子の配向を制御することができる。
【0119】
[電気特性(電圧保持率及びイオン密度)の評価]
液晶セルを60℃の温度下で、1Vの電圧を60μs印加して1667ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHR)として計算した。
さらに、上記の液晶セルを用いて、60℃の温度下でのイオン密度の測定を行った。すなわち、液晶セルに電圧±10V、周波数0.01Hzの三角波を印可した時のイオン密度を測定した。測定装置は、東陽テクニカ社製の6245型液晶物性評価装置を用いた。
【0120】
[垂直配向性の評価]
液晶セルを100℃の循環式オーブンで30分のアニールを行った。その後、取り出したセルを、偏光板をクロスニコルにした状態で、顕微鏡観察を行い、液晶の配向乱れであるドメイン(Domain)の状態を観察した。
【0121】
[リワーク性の評価]
液晶配向処理剤を、ベタITO電極が形成されているITO電極基板上にスピンコートした。その後、80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、200℃若しくは220℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この基板を50℃の東京応化工業社製のNMD−3に10分間浸漬した後、水洗し、80℃熱風循環式オーブンで10分間乾燥させた。その後、浸漬前後の状態を目視での観察及び接触角測定を行い、接触角が液晶配向処理剤の塗布前の状態に戻るものをリワーク可能:○、戻らないものをリワーク不可:×とし評価を行った。
【0122】
[白化特性の評価]
液晶配向処理剤をクロム基板(クロムを蒸着したガラス基板)にスピンコートし、温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下で10分間放置し、その後、塗膜面端部に重合体の凝集物が発生しているかどうかを目視観察した。
[応答速度の評価]
液晶セルに、±5VのAC電圧、周波数1kHzの矩形波を印加した際の、液晶パネルの輝度の時間変化をオシロスコープにて取り込んだ。電圧を印加していない時の輝度を0%、±5Vの電圧を印加し、飽和した輝度の値を100%として、輝度が10〜90%まで変化する時間を立ち上がりの応答速度とし、上記液晶セルの作製方法に従って得られたセルについて交流または直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射した後の応答速度の評価を行った。
【0123】
(参考例1)
ポリシロキサン溶液(B1)を液晶配向処理剤として用い、[垂直配向性の評価]及び[リワーク性の評価]を行った。結果は表1及び表3に示す。更に、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表2に示す。
【0124】
(参考例2)
ポリシロキサン溶液(B1)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[リワーク性の評価]、[白化特性の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表3、表4及び表5に示す。更に、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表6に示す。
【0125】
(参考例3)
ポリシロキサン溶液(B1)3.0gとポリアミック酸溶液(A2)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[リワーク性の評価]を行った。結果は表3示す。
【0126】
(参考例4)
ポリシロキサン溶液(B1)3.0gとポリアミック酸溶液(A3)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[リワーク性の評価]を行った。結果は表3示す。
【0127】
(参考例5)
ポリシロキサン溶液(B1)3.0gとポリアミック酸溶液(A4)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[リワーク性の評価]を行った。結果は表3示す。
【0128】
(参考例6)
ポリシロキサン溶液(B1)3.0gとポリアミック酸溶液(A5)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[リワーク性の評価]、[白化特性の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表3、表4及び表5に示す。更に、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表6に示す。
【0129】
(参考例7)
ポリシロキサン溶液(B4)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[白化特性の評価]を行った。結果は表6に示す。
【0130】
(参考例8)
ポリシロキサン溶液(B4)3.0gとポリアミック酸溶液(A2)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[白化特性の評価]を行った。結果は表6に示す。
【0131】
(実施例1)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0132】
(実施例2)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A2)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0133】
(実施例3)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A3)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0134】
(実施例4)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A4)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0135】
(実施例5)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A5)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]、[垂直配向性の評価]、及び[リワーク性の評価]を行った。結果は表7、表8及び表10に示す。更には、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表9に示す。
【0136】
(実施例6)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A6)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0137】
(実施例7)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A7)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0138】
(実施例8)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A8)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。更には、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表9に示す。
【0139】
(実施例9)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A9)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(16)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]、[垂直配向性の評価]及び[リワーク性の評価]を行った。結果は表7及び表10に示す。
【0140】
(実施例10)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリアミック酸溶液(A10)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(17)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0141】
(実施例11)
ポリシロキサン溶液(B6)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(18)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7及び表8に示す。
【0142】
(比較例1)
ポリシロキサン溶液(B2)を液晶配向処理剤として用いて、[垂直配向性の評価]及び[リワーク性の評価]を行った。結果は表1及び表3に示す。
【0143】
(比較例2)
ポリシロキサン溶液(B3)を液晶配向処理剤として用いて、 [電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表2に示す。更に、[リワーク性の評価]を行った。結果は表3に示す。
【0144】
(比較例3)
ポリシロキサン溶液(B2)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(19)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[垂直配向性の評価]及び[白化特性の評価]を行った。結果は表4及び表5に示す。
【0145】
(比較例4)
ポリシロキサン溶液(B2)3.0gとポリアミック酸溶液(A5)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(20)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[垂直配向性の評価]及び[白化特性の評価]を行った。結果は表4及び表5に示す。
【0146】
(比較例5)
ポリシロキサン溶液(B3)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(21)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表6に示す。
【0147】
(比較例6)
ポリシロキサン溶液(B3)3.0gとポリアミック酸溶液(A5)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(22)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表6に示す。
【0148】
(比較例7)
ポリシロキサン溶液(B7)3.0gとポリアミック酸溶液(A1)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(23)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。
【0149】
(比較例8)
ポリイミド/ポリアミック酸溶液(A9)を液晶配向処理剤として用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]及びを行った。結果は表7及び表8に示す。
【0150】
(比較例9)
ポリシロキサン溶液(B8)3.0gとポリアミック酸溶液(A5)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(24)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。更に、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表9に示す。
【0151】
(比較例10)
ポリシロキサン溶液(B8)3.0gとポリアミック酸溶液(A8)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(25)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[垂直配向性の評価]を行った。結果は表7に示す。更に、[電気特性の評価]に従い、電圧保持率及びイオン密度の評価を行った。結果は表9に示す。
【0152】
(比較例11)
ポリシロキサン溶液(B5)3.0gとポリシロキサン溶液(B9)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(26)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[リワーク性の評価]を行った。結果は表8及び表10に示す。
【0153】
(比較例12)
ポリシロキサン溶液(B6)3.0gとポリシロキサン溶液(B9)7.0gを混合し、液晶配向処理剤(27)を得た。この液晶配向処理剤を用いて、[応答速度の評価]及び[リワーク性の評価]を行った。結果は表8及び表10に示す。
【0154】
【表1】
表1において、参考例1の液晶セルでは、アニール後に、配向乱れであるドメインは全く観察されなかった。一方、比較例1の液晶セルでは、アニール後に、配向乱れであるドメインが多数観察された。
【0155】
【表2】
表2において、電気特性に関しても、ウレイド基を含有する液晶配向処理剤(参考例1)は、ウレイド基を含有しない液晶配向処理剤(比較例2)と比較し、VHR(電圧保持率)が高く、イオン密度が低いことがわかった。
【0156】
【表3】
表3において、リワーク性に関して、ポリシロキサンの成分だけを含有する液晶配向処理剤と比較し、ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体を含有する液晶配向処理剤の方が、リワーク性が高いことがわかった。
【0157】
【表4】
表4において、ウレイド基を含有する液晶配向処理剤は、ウレイド基を含有しない液晶配向処理剤と比較し、白化特性に優れることがわかった。
【0158】
【表5】
表5において、表1と同様に参考例2、6の液晶セルでは、アニール後に、配向乱れであるドメインは全く観察されなかった。一方、比較例3、4の液晶セルでは、アニール後に、配向乱れであるドメインが多数観察された。
【0159】
【表6】
表6において、表2と同様に電気特性に関しても、ウレイド基を含有する液晶配向処理剤(参考例2、6)は、ウレイド基を含有しない液晶配向処理剤(比較例5、6)と比較し、VHRが高く、イオン密度が低いことがわかった。
【0160】
【表7】
応答速度の判定 ○:早い(良好) ×:遅い(悪い)
アニール後のドメイン観察結果
×:ドメインが多数観察される
○:良好
◎:非常に良好
【0161】
表7において、実施例1ではUV照射後の応答速度が速く、かつアニール後のドメイン観察結果でも、良好な結果であった。一方、比較例8においては、アニール後のドメイン観察結果は非常に良好であるが、UV照射後の応答速度が遅かった。比較例7においては、応答速度は速かったが、アニール後にドメインが多数観察された。
更に実施例2〜11、比較例9及び10においては、UV照射後の応答速度が速く、且つアニール後のドメイン観察結果でも非常に良好な結果を示した。
【0162】
【表8】
応答速度の判定
○:早い(非常に良好)<50msec
△:早い(良好)<50〜100msec
×:遅い(悪い)>200msec
【0163】
表8において、UV照射量に対する応答速度は、比較例11及び比較例12のポリシロキサン単独からなる液晶配向処理剤と比較し、ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体を含有する液晶配向処理剤の方が、UV照射に対する応答速度の向上する範囲が広いことがわかった。
【0164】
【表9】
表9においては、表2、及び表6と同様に、電気特性に関しても、ウレイド基を含有する液晶配向処理剤は、ウレイド基を含有しない液晶配向処理剤と比較し、VHRが高く、イオン密度が低いことがわかった。
【0165】
【表10】
表10において、表3と同様に、無機単独からなる液晶配向処理剤と比較し、ポリアミック酸及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種類の重合体を含有する液晶配向処理剤の方が、リワーク性が高いことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明の液晶配向処理剤を用いて形成された液晶配向膜は、垂直配向力が低下せず、UV照射後の応答速度も優れており、本発明の液晶配向膜を有する液晶表示素子は、TFT液晶表示素子、TN液晶表示素子、VA液晶表示素子などに有用である。
なお、2012年8月30日に出願された日本特許出願2012−190328号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。