(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒子の表面に形成されたコーティング層によって前記粒子どうしが接合されるとともに、前記粒子と粒子の間の空隙が形成されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の波長変換部材。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施態様1に係る波長変換部材は、
少なくとも一部に透光性を有する面を備えた密封筐体と、
前記密封筐体の中に封入された冷媒と、
前記密封筐体の外面の一部に設けられた冷却部と、
前記密封筐体の中に配置され、液状の前記冷媒を流動可能な複数の微細流路を有する流動部と、
を備え、
前記微細流路の少なくとも一部が、粒子と粒子の間の空隙によって形成され、
前記粒子に蛍光体粒子が含まれる。
【0011】
本実施態様によれば、透光性を有する面を介して光が蛍光体粒子に入射したとき、蛍光体粒子によって入射光とは異なる波長域の光を出射することができる。ただし、蛍光体粒子が波長変換を行うとき、蛍光体粒子の温度が上昇して、波長変換効率が低下する可能性がある。このため本実施態様では、冷媒が密封筐体の中に封入されており、冷却部が密封筐体の外面の一部に設けられており、更に、蛍光体粒子を含む粒子と粒子の間の空隙によって形成された複数の微細流路によって、液状の冷媒を流動させることができる。なお、微細流路による液状の冷媒の流動は、主に毛細管力によって実現される。
【0012】
上記のように、蛍光体粒子の温度が上昇したとき、蛍光体粒子の周囲の冷媒が気化し、その気化熱により、蛍光体粒子を冷却することができる。自然対流により気化した冷媒が冷却部の領域に流れると、冷却部によって冷却されて液化(凝縮)する。このとき、蛍光体粒子から奪った熱を密封筐体の外部へ放出する。液化した冷媒は、複数の微細流路によって、再び蛍光体粒子の領域へ流動し、これにより冷却サイクルが形成される。よって、ポンプのような駆動源を用いることなく、冷媒による蛍光体粒子の冷却サイクルを構成することができ、蛍光体の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
【0013】
ここで、「冷媒」とは、蛍光体粒子の温度上昇により気化し、冷却部による冷却で液化する流体である。具体的には、冷媒として、水、特に純水が好ましく、温度条件や密封筐体内の圧力条件によっては、アルコールやアンモニアを用いることも考えられる。
「密封筐体」は、液化した冷媒及び気化した冷媒が外部へ漏れることのないシール構造の筐体である。本実施形態の密封筐体4では、密封筐体4の全ての面が透光性を有する場合も、一部の面が透光性を有する場合も、1つの面の一部だけが透光性を有する場合もあり得る。
密封筐体は、金属材料、樹脂材料、ガラス、セラミック等の材料、またはそれらの組み合わせによって形成することができる。
「冷却部」として、放熱フィン等の放熱部材を用いることも、冷却液等を循環させる冷却装置を用いることも、その他の既知の任意の冷却手段を用いることもできる。更に、冷却部は、密封筐体の端部または外周部に配置される場合だけでなく、密封筐体の中央部に配置される場合もあり得る。
【0014】
「微細流路」とは、毛細管現象が生じる大きさの流路断面を有する流路であり、粒子と粒子の間の空隙で形成される流路だけでなく、複数の溝から形成される流路や、メッシュ状の部材から形成される流路や、毛細管現象が生じるその他の任意の流路が含まれる。微細流路が粒子と粒子の間の空隙で形成される場合には、例えば、粒径が1μm〜1mmの粒子が互いに接触して配置されている場合の粒子及び粒子の間の隙間として規定することもできるし、流路断面を円形断面に換算した場合において、内径1μm〜1mmの流路として規定することもできる。
特に、粒子が蛍光体粒子の場合には、粒径が1μm〜50μmの粒子が互いに接触して配置されている場合の粒子及び粒子の間の隙間、または円形断面換算で内径1μm〜50μmの流路として規定することが好ましい。
【0015】
本実施態様では、密封筐体の中に、微細流路によって液状の冷媒が流動する流動部と、気化した冷媒が流動する気体流動領域とがある。液体と気体との比重の差から、液状の冷媒が流動する流動部が下側に配置され、気化した冷媒が流動する気体流動領域が上側に配置されるのが好ましい。
自然対流で気化した冷媒が流動する気体流動領域は、空間となっている場合もあり得るし、通気路の設けられた物体やポーラスな物質が存在する場合もあり得る。
更に、気体流動領域に微細流路が設けられている場合、つまり、密封筐体内部の全体に微細流路が設けられている場合もあり得る。この場合には、毛細管現象で液状の冷媒が流動する微細流路が下側に配置され、自然対流で気体の冷媒が流動する微細流路が上側に配置されるのが好ましい。
【0016】
密封筐体の内部に存在する冷媒の量は、10%(体積)以下が好ましいが、気化した冷媒によって、密封筐体の内部圧力が高くなりすぎない程度がよい。つまりは、冷却能力、内部圧力、密封筐体の強度(漏れの防止)等を考慮して、最適な冷媒の量を定めることが好ましい。
【0017】
本実施態様では、粒子が全て蛍光体粒子の場合も、その他の粒子、例えば、光拡散材粒子等を含む場合もあり得る。その場合、蛍光体粒子の領域及びその他の粒子の領域が分かれている場合も、蛍光体粒子及びその他の粒子が混在している場合もあり得る。
【0018】
以上のように、本実施態様によれば、蛍光体粒子の温度が上昇したとき、蛍光体粒子近傍の冷媒が気化する。気化した冷媒が冷却部の方へ流れて、冷却部で冷却されて液化すると、複数の微細流路によって、液状の冷媒を再び温度が上昇した蛍光体粒子の領域へ流動させることができる。このような冷却サイクルにより、ポンプ等を有する大がかりな冷却装置を用いることなく、蛍光体粒子を冷却して、蛍光体粒子の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
よって、本実施態様では、駆動源を有さずに蛍光体を効率的に冷却可能で稼働時におけるエネルギ消費が少ない波長変換部材を提供することができる。
【0019】
本発明の実施態様2に係る波長変換部材は、上記の実施態様1において、
前記流動部において、外部から光が入射する入射領域に、前記蛍光体粒子が配置されている。
【0020】
本実施態様によれば、外部から光が入射する入射領域に、蛍光体粒子が配置されているので、入射光の波長変換を行って、所望の波長域の光を出射することができる。
【0021】
本発明の実施態様3に係る波長変換部材は、上記の実施態様2において、
前記流動部において、前記入射領域に、種類の異なる粒子で形成された複数の層または単一の層が形成されている。
【0022】
ここで、「種類の異なる粒子」とは、蛍光体粒子及び蛍光体粒子以外の粒子の場合もあるし、異なる種類の蛍光体粒子の場合もあり得るし、異なる種類の蛍光体粒子及び蛍光体粒子以外の粒子の場合もあり得る。
本実施態様によれば、入射領域に、例えば、蛍光体粒子及び光拡散材粒子で形成された複数の層または単一の層が形成されている場合には、入射した光を光拡散材粒子で拡散することができるので、光強度が均等な波長変換光を出射することができる。また、異なる波長域の光を発光する蛍光体粒子で形成された複数の層または単一の層が形成されている場合には、演色性の高い所望の波長域の光を出射することができる。
よって、本実施態様によれば、流動部において、入射領域に、種類の異なる粒子で形成された複数の層または単一の層が形成されているので、用途に応じた最適な波長変換光を出射することができる。
【0023】
本発明の実施態様4に係る波長変換部材は、上記の実施態様2または3において、
前記微細流路が、前記冷却部が配置された領域及び前記入射領域を繋ぐように延びている。
【0024】
本実施態様では、粒子と粒子の間の空隙で形成される微細流路のみが、冷却部が配置された領域及び入射領域を繋ぐように延びている場合もありえるし、粒子による微細流路に加えて、毛細管現象が生じるその他の流路が、冷却部が配置された領域及び入射領域を繋ぐように延びている場合もあり得るし、粒子による微細流路及び毛細管現象が生じるその他の流路が組み合わされた流路によって、冷却部が配置された領域及び入射領域を繋いでいる場合もあり得る。 本実施態様によれば、微細流路が、冷却部が配置された領域及び入射領域を繋ぐように延びているので、冷媒による蛍光体粒子の冷却サイクルを確実に形成することができる。
【0025】
本発明の実施態様5に係る波長変換部材は、上記の実施態様1から4の何れかにおいて、
前記粒子に光拡散材粒子が含まれる・
【0026】
本実施態様によれば、粒子に光拡散材粒子が含まれるので、透光性を有する面から入った光を拡散させて、光強度を均等にすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。特に、指向性の強い半導体レーザからの光が入った場合に有効である。
【0027】
本発明の実施態様6に係る波長変換部材は、上記の実施態様1から5の何れかにおいて、
前記粒子の表面に形成されたコーティング層によって前記粒子どうしが接合されるとともに、前記粒子と粒子の間の空隙が形成される。
【0028】
本実施態様によれば、粒子の表面に形成されたコーティング層によって粒子どうしが接合されるので、粒子間に樹脂を充填することなく安定した構造を得ることができ、これにより、粒子と粒子の間に空隙を形成することができる。この空隙を用いて微細流路を形成することができるので、確実に液化した冷媒を流動させることができる。
【0029】
本発明の実施態様7に係る波長変換部材は、上記の実施態様1から6の何れかにおいて、
前記微細流路の一部が、前記密封筐体の内面に設けられた複数の溝によって形成される。
【0030】
本実施態様によれば、微細流路の一部が、密封筐体の内面に設けられた複数の溝によって形成されるので、粒子と粒子の間の空隙によって形成された微細流路とともに、より多くの液状の冷媒を効果的に流動させることができる。
【0031】
本発明の実施態様8に係る波長変換部材は、上記の実施態様1から7の何れかにおいて、
前記微細流路の一部が、メッシュ状の部材によって形成される。
【0032】
本実施態様によれば、微細流路の一部が、メッシュ状の部材によって形成されるので、粒子と粒子の間の空隙によって形成された微細流路とともに、場合によっては、更に密封筐体の内面に設けられた複数の溝とともに、より多くの液状の冷媒を効果的に流動させることができる。
【0033】
本発明の実施態様9に係る波長変換部材は、上記の実施態様1から8の何れかにおいて、
前記冷却部が、前記密封筐体の端部または外周部に配置されている。
【0034】
本実施態様によれば、冷却部が、密封筐体の端部または外周部に配置されているので、密封筐体の中心部に蛍光体粒子を配置することにより、密封筐体の中心部と筐体の両端部または全外周部の間で、冷媒による冷却サイクルを形成でき、よって効率的な蛍光体の冷却を実現できる。
【0035】
本発明の実施態様10に係る光源装置は、上記の実施態様1〜8の何れかの実施形態の波長変換部材と、
前記波長変換部材に光を出射する光源と、
を備えている。
【0036】
ここで、「光源」としては、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)をはじめとする任意の光源を用いることができる。本実施態様に係る光源装置は、プロジェクタの光源装置、一般的な照明装置、表示装置のバックライト、自動車用の照明装置をはじめとする任意の用途に適用することができる。
本実施態様によれば、上記の実施態様に係る波長変換部材が奏する作用効果を全て得ることができ、駆動源を有さずに蛍光体を効率的に冷却可能で、稼働時におけるエネルギ消費が少ない光源装置を提供することができる。
次に、本発明の実施態様に係る光源装置及びこの光源装置を備えた実施形態に係るプロジェクタについて、図面を用いながら詳細に説明する。
【0037】
(本発明の1つの実施形態に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
はじめに、
図1を用いて、本発明の1つの実施形態に係る変換部材を備えた光源装置について、その概要を説明する。
図1は、本発明の1つの実施形態に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、光源装置50は、波長変換部材2と、波長変換部材2に光を出射する光源40とを備える。本実施形態では、重力方向で上側に波長変換部材2が配置され、下側に光源40が配置されている。光源40として、半導体レーザ(LD)が用いられているが、これに限られるものではなく、発光ダイオード(LED)をはじめとするその他の任意の光源を用いることができる。
【0038】
波長変換部材2は、冷媒が封入された密封筐体4と、密封筐体4の外面の一部に設けられた冷却部30と、密封筐体4の中に配置され、液状の冷媒を流動可能な複数の微細流路を有する流動部6とを備える。
冷媒とは、蛍光体の温度上昇により気化し、冷却部による冷却で液化する流体である。具体的には、冷媒として、水、特に純水が好ましく、温度条件や密封筐体内の圧力によっては、アルコールやアンモニアを用いることも考えられる。
【0039】
密封筐体4は、液化した冷媒及び気化した冷媒が外部へ漏れることのないシール構造の筐体である。
図1の断面図で示す密封筐体4は、矩形の上下面を有する直方体形状の場合(
図6(a)参照)もあり得るし、円形の上下面を有する筒形状の場合(
図6(b)参照)もあり得る。
冷却部30は、密封筐体4が直方体形状を有する場合には、密封筐体4の両端部の外面に配置され、密封筐体4が筒形状を有する場合には、密封筐体4の周囲部の外面に配置されている。なお、冷却部30は、密封筐体4の端部または外周部に配置される場合だけでなく、密封筐体4の中央部に配置される場合(
図9参照)もあり得る。
流動部6は、密封筐体4の内部の下側に配置されており、密封筐体4の内部の上側には、気化した冷媒が自然対流で流動可能な気体流動領域8(本実施形態では空間)が設けられている。複数の微細流路を有する流動部6は、冷却部30が配置された領域及び入射領域60を繋ぐように延びている。
【0040】
流動部6は、蛍光体粒子10どうしが互いに結合されて形成され、微細流路は、蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙によって形成されている。なお、微細流路とは、毛細管現象が生じる大きさの流路断面を有する流路であり、粒子と粒子の間の空隙で形成される流路だけでなく、複数の溝から形成される流路や、メッシュ状の部材から形成される流路や、毛細管現象が生じるその他の任意の流路が含まれる。微細流路が粒子と粒子の間の空隙で形成される場合には、例えば、粒径が1μm〜1mmの粒子が互いに接触して配置されている場合の粒子及び粒子の間の隙間として規定することもできるし、流路断面を円形断面に換算した場合において、内径1μm〜1mmの流路として規定することもできる。
特に、粒子が蛍光体粒子の場合には、粒径が1μm〜50μmの粒子が互いに接触して配置されている場合の粒子及び粒子の間の隙間、または円形断面換算で内径1μm〜50μmの流路として規定することが好ましい。
【0041】
本実施形態では、密封筐体4が光を透過する材料で構成されており、光源40から出射された光は、波長変換部材2の密封筐体4に入射し(上向きの白抜き矢印参照)、密封筐体4の入射領域60に配置された蛍光体粒子10に入射する。光源40からの光が入射すると、蛍光体粒子10は、入射光と異なる波長域の光である波長変換光を出射する。蛍光体粒子10から出射された波長変換光は、密封筐体4の光源40とは反対側の面の出射領域70から出射される(上向きの格子柄の矢印参照)。
例えば、光源40が青色光を出射する場合において、青色光が入射すると赤色光を出射する蛍光体粒子10を用いることもできるし、青色光が入射すると緑色光を出射する蛍光体粒子10を用いることもできるし、青色光が入射すると黄色光を出射する蛍光体粒子10を用いることもできる。青色光が入射すると黄色光を出射する蛍光体粒子10を用いた場合には、光源40からの光が波長変換されずに透過した青色光と混ざり合って、白色光を出射することもできる。
【0042】
光源40からの光が密封筐体4の入射領域60に配置された蛍光体粒子10に入射したとき、波長変換光を出射するが、このとき、蛍光体粒子10の温度が上昇する可能性があり、蛍光体粒子10の温度が上昇すると、蛍光体粒子10の波長変換効率が低下する可能性がある。
本実施形態では、蛍光体粒子10の温度が上昇したとき、蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、その気化熱により、蛍光体粒子10を冷却することができる。そして、気化した冷媒が自然対流により気体流動領域8を流動して、両端の冷却部30が設けられた領域に達すると、冷却部30により冷却されて液化(凝縮)する。このとき、蛍光体粒子10から奪った熱を密封筐体4の外部へ放出する。なお、自然対流による流動は、以下のように説明できる。冷媒が気化した領域では気圧が上がり、冷媒が液化する領域では気圧が下がるので、この気圧差により、気化した冷媒は気化した領域から液化する領域へ流動する。
【0043】
図1に示すように、本実施形態では、 蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙によって、連続した微細流路が形成され、このような複数の連続した微細流路が、冷却部30が配置された領域及び入射領域60を繋ぐように延びている。よって、波長変換で高温になった蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、気化した冷媒が冷却部30の近傍へ流れ、冷却部30による冷却で液化する。液化した冷媒は、流動部6の複数の微細流路によって、再び入射領域60へ流動し、これにより冷却サイクルが形成される。このような冷媒の流動サイクルを、
図1の矢印で示す。実線の矢印が液化した冷媒の流れを示し、点線の矢印が気化した冷媒の流れを示す。以上のように、ポンプのような駆動源を用いることなく、冷媒による蛍光体粒子10の冷却サイクルを構成することができ、蛍光体粒子10の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
【0044】
本実施形態によれば、微細流路が、冷却部30が配置された領域及び入射領域60を繋ぐように延びているので、冷媒による蛍光体粒子10の冷却サイクルを確実に形成することができる。
特に、冷却部30が、密封筐体4の端部または外周部に配置されているので、密封筐体4の中心部に蛍光体粒子10を配置することにより、密封筐体4の中心部と密封筐体4の両端部または全外周部の間で、冷媒による冷却サイクルを形成できる、よって、効率的な蛍光体の冷却を実現できる。
【0045】
なお、本実施形態では、気化した冷媒が流動する気体流動領域8が空間となっているが、それに限られる訳ではなく、気体流動領域8に通気路の設けられた物体やポーラスな物質が存在する場合もあり得る。更に、気体流動領域8に微細流路が設けられている場合もあり得る。この場合には、毛細管現象で液状の冷媒が流動する微細流路(流動部6)と、自然対流で気体の冷媒が流動する微細流路(気体流動領域8)とを有する。
【0046】
流動部6は、蛍光体粒子10どうしが互いに結合された構造を有し、微細流路は、蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙によって形成されている。
図2は、
図1に示す波長変換部材2において、蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙によって形成された微細流路の一例を示す模式図である。
図2に示すように、蛍光体粒子10の表面に形成されたコーティング層によって蛍光体粒子10どうしが接合されるとともに、蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙が形成されている。
【0047】
<流動部の形成方法の説明>
このような流動部を形成する方法の具体例としては、まず、蛍光体粒子及び酸化物粒子を有機溶剤(例えば、ブチルカルビトールアセテール)及び樹脂(例えば、エチルセルロース、アクリル系樹脂等)に混合してペーストを調製し、このペーストを筐体の内部の流動部が形成される位置に印刷法により塗布する。次に、有機溶剤及び樹脂を除去した後に、300℃以上、好ましくは400℃以上の温度で焼成を行い、樹脂をほぼ完全に除去する。これにより、蛍光体粒子の表面に複数の酸化物粒子が付着した状態となり、更にこの蛍光体粒子と酸化物粒子の表面にコーティング層を形成する。このコーティング層は、無機材料であることが好ましく、これにより、蛍光体粒子と蛍光体粒子の間の空隙を含む(つまり微細流路を含む)流動部を得ることができる。
特に、コーティング層としては、Al
2O
3、SiO
2等が好ましく、さらには酸化物粒子をこのコーティング層と同じ材料とすることが好ましい。またコーティング層は、原子層堆積法(ALD)、ゾルゲル法、MOCVD(有機金属化学的気相成長)法、PECVD(プラズマCVD)法、CVD法、大気圧プラズマ成膜法、スパッタ法、蒸着法等を利用することができるが、原子層堆積法(ALD)を用いることが好ましい。
【0048】
本実施形態によれば、蛍光体粒子10の表面に形成されたコーティング層によって粒子どうしが接合されるので、粒子間に樹脂を充填することなく安定した構造を得ることができ、これにより、蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間に空隙を形成することができる。この空隙を用いて微細流路を形成することができるので、確実に液化した冷媒を流動させることができる。
【0049】
図1に示す実施形態では、微細流路を形成する粒子の全てが蛍光体粒子10で構成されているが、これに限られるものではなく、流動部6において、少なくとも、外部から光が入射する入射領域60に蛍光体粒子10が配置されていればよい。
本実施形態によれば、外部から光が入射する入射領域60に蛍光体粒子10が配置されているので、入射光の波長変換を行って、所望の波長域の光を出力することができる。
【0050】
<波長変換部材2及び光源装置50を構成する各部材の説明>
以下に、波長変換部材2及び光源装置50を構成する各部材の更に詳細な説明を行う。
[光源40]
光源40として青色半導体レーザを用いる場合には、370〜500nmの波長域の光を発することが好ましく、420〜500nmの波長域の光を発することが更に好ましい。ただし、光源40として青色半導体レーザを用いる場合に限られるものではなく、その他の任意の波長域の半導体レーザを用いることもできるし、その他の種類の光源、例えば発光ダイオード(LED)を用いることもできる。
【0051】
[密封筐体4]
密封筐体4は、ヒートシンクの筐体として機能するので、熱伝導率が高い方が好ましく、それを考慮すれば、銅、アルミニウム、ステンレススチール等の金属材料を例示できる。ただし、樹脂材料、サファイア、窒化ガリウム、ガラス、セラミック材料等を用いることもできる。特に、密封筐体は透光性を有する面を有しているが、この透光性を有する面には、樹脂材料、サファイア、窒化ガリウム、ガラス等を用いる必要がある。
図1に示す密封筐体4はガラスで形成されており、密封筐体4の全面が透光性を有する面を有している。だだし、これに限られるものではなく、片面が透光性を有する場合(
図8参照)、1つの面の一部だけが透光性を有する場合(
図7、8参照)場合もあり得る。例えば、1つの面の一部だけが透光性を有する場合、光を透過しない部分を金属材料で形成し、光を透過する部分を樹脂材料またはガラスで形成することも考えられる。また、光を透過しない樹脂材料と光を透過する樹脂材料を一体成形(二色成形)した密封筐体4を用いることもできる。
【0052】
[冷却部30]
冷却部30として、放熱フィン等の放熱部材を用いることも、冷却液等を循環させる冷却装置を用いることも、その他の既知の任意の冷却手段を用いることができる
【0053】
[蛍光体粒子10]
蛍光体粒子10として、上述のように光源から青色光が入射した場合に、赤色光を出力する赤色蛍光体粒子、緑色光を出力する緑色蛍光体粒子、黄色光を出力する黄色蛍光体粒子を例示することができる。
赤色光を出力する赤色蛍光体粒子では、約600〜800nmの波長帯域の赤色の蛍光を発生させることが好ましい。具体的な材料の一例としては、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、CaAlSiN
3:Eu、SrAlSiN
3:Eu、K
2SiF
6:Mn等を挙げることができる。
緑色光を出力する蛍光体粒子では、約500〜560nmの波長帯域の緑色の蛍光を発生させることが好ましい。具体的な材料の一例としては、β−Si
6−ZAl
ZO
ZN
8−Z:Eu、Lu
3Al
5O
12:Ce、Ca
8MgSi
4O
16C
l2:Eu、Ba
3Si
6O
12N
2:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si
2O
2N
2:Eu等を挙げることができる。
黄色光を出力する蛍光体粒子では、約540〜700nmの波長帯域の黄色〜赤色の蛍光を発生させることが好ましい。材料の一例としては、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体をベースとした蛍光体を挙げることができ、更に具体的には、YAlO
3:Ce、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG:Ce)やY
4Al
2O
9:Ce、更にはこれらの混合物等が挙げられる。イットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体にBa、Sr、Mg、Ca、Znの少なくとも一種が含有されていてもよい。また、Siを含有させることによって、結晶成長の反応を抑制し蛍光体の粒子を揃えることができる。
【0054】
[フィルタ]
密封筐体4の入射領域60及び出射領域70において、誘電体多層膜の蒸着によりフィルタを備えることができる。このフィルタは、用途や透過または反射する光の波長域に応じて、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ロングパスフィルタを適宜用いることができる。また、輝度ムラ及び色度ムラを改善するために、散乱体、例えばSiO
2やTiO
2、Ba
2SO
4等の粒子を塗布することもできる。
このようなフィルタにより、密封筐体4の入射領域60において、光源40からの光が反射する抑止し、出射領域70において、所定の波長域の光のみを出射することができるので、性能の高い光源装置50を実現できる。
【0055】
以上のように、
図1に示す本実施形態によれば、蛍光体粒子10の温度が上昇したとき、蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化して、気化熱で蛍光体粒子10を冷却し、気化した冷媒が気体流動領域8を流れて、冷却部30が配置された領域に達すると、冷却部30で冷却されて液化し、このとき、蛍光体粒子10から奪った熱を密封筐体4の外部に放出する。液化した冷媒は、流動部6の複数の微細流路によって再び入射領域60流動する。このような冷却サイクルにより、ポンプ等を有する大がかりな冷却装置を用いることなく、蛍光体粒子10を冷却して、蛍光体粒子10の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
よって、本実施形態では、駆動源を有さずに蛍光体粒子10を効率的に冷却可能で、稼働時におけるエネルギ消費が少ない波長変換部材2及び光源装置50を提供することができる。また、このような波長変換部材とすることにより、波長変換部材の小型化が実現でき、また、製造コストも低い波長変換部材を得ることができる。
なお、本実施形態に係る光源装置50は、プロジェクタの光源装置、一般的な照明装置、表示装置のバックライト、自動車用の照明装置をはじめとする任意の用途に適用することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態及び後述する
図3〜
図9に示す実施形態では、気化した冷媒及び液化した冷媒が水平方向に流動するように配置されているが、これに限られるものではなく、気化した冷媒及び液化した冷媒が垂直方向に流動するように配置することもできる。なお、詳細は、
図10を用いて後述する。
【0057】
(本発明のその他の実施形態(その1)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図3を用いて、本発明のその他の実施形態(その1)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図3は、本発明のその他の実施形態(その1)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図3に示す本実施形態と、
図1に示す実施形態とを比較すると、流動部6の構成が異なり、その他の部分については同一である。よって、ここでは、
図1に示す実施形態と異なる点についてのみ説明を行い、
図1に示す実施形態と同一の部分についての説明は省略する。
【0058】
図3において、流動部6は、入射領域60及びその近傍領域、及びその周囲の領域(密閉筐体4の端部領域を含む)の2つの領域において、異なる構成を有している。つまり、流動部6の入射領域60及びその近傍領域に蛍光体粒子10が配置され、その周囲の領域には、光拡散材粒子12が配置されている。このように、光拡散材粒子12が配置されているので、入射領域60から広がって進んだ光を、光拡散材粒子12で拡散させて、光強度を均等にして、均一な波長変換光を出射することができる(上向きの格子柄の矢印参照)。
なお、光拡散材粒子12としては、SiO
2やTiO
2、Ba
2SO
4等の粒子を例示することができるが、これに限られるものではない。
【0059】
蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙、光拡散材粒子12と光拡散材粒子12の間の空隙、及び蛍光体粒子10と光拡散材粒子12の間の空隙によって、連続した微細流路を形成することができる。このような複数の連続した微細流路が、冷却部30が配置された領域及び入射領域60を繋ぐように延びている。
よって、上記と同様に、波長変換で高温になった蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、気化した冷媒が冷却部30の近傍へ流れ、冷却部30による冷却で液化した冷媒は、流動部6の複数の微細流路によって、再び入射領域60へ流動し、これにより冷却サイクルが形成される。このような冷媒の流動サイクルを、
図2の矢印で示す。実線の矢印が液化した冷媒の流れを示し、点線の矢印が気化した冷媒の流れを示す。以上のように、ポンプのような駆動源を用いることなく、冷媒による蛍光体粒子10の冷却サイクルを構成することができ、蛍光体粒子10の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
【0060】
本実施形態では、入射領域60及びその近傍領域に蛍光体粒子10が配置され、その周囲の領域に光拡散材粒子12が配置されているので、入射領域60から広がって進んだ光を拡散させて、光取り出し効率を向上させることができる。
【0061】
(本発明のその他の実施形態(その2)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図4を用いて、本発明のその他の実施形態(その2)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図4は、本発明のその他の実施形態(その2)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図4に示す本実施形態と、
図1及び
図2に示す実施形態とを比較すると、流動部6の構成が異なり、その他の部分については同一である。よって、ここでは、
図1及び
図2に示す実施形態と異なる点についてのみ説明を行い、
図1及び
図2に示す実施形態と同一の部分についての説明は省略する。
【0062】
図4において、流動部6は、入射領域60及びその近傍領域、その周囲の領域、並びに密閉筐体4の端部領域の3つの領域において、異なる構成を有している。つまり、流動部6の入射領域60及びその近傍領域に蛍光体粒子10が配置され、その周囲の領域に光拡散材粒子12が配置され、密閉筐体4の端部領域には、メッシュ状の部材24が配置されている。
メッシュ状の部材24は、ヒートシンクのウイックと称する毛細管構造体であり、銅、アルミニウム、ステンレス鋼といった金属材料や、合金材料、または多孔質の非金属材料で形成することができる。
【0063】
密閉筐体4の端部領域には、メッシュ状の部材24による連続した微細流路が形成され、上記のように、蛍光体粒子10と蛍光体粒子10の間の空隙、光拡散材粒子12と光拡散材粒子12の間の空隙、及び蛍光体粒子10と光拡散材粒子12の間の空隙によって、連続した微細流路を形成することができる。よって、メッシュ状の部材24、光拡散材粒子12及び蛍光体粒子10によって形成された複数の連続した微細流路が、冷却部30が配置された領域及び入射領域60を繋ぐように延びている。
【0064】
よって、上記と同様に、波長変換で高温になった蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、気化した冷媒が冷却部30の近傍へ流れ、冷却部30による冷却で液化した冷媒は、流動部6の複数の微細流路によって、再び入射領域60へ流動し、これにより冷却サイクルが形成される。このような冷媒の流動サイクルを、
図4の矢印で示す。実線の矢印が液化した冷媒の流れを示し、点線の矢印が気化した冷媒の流れを示す。以上のように、ポンプのような駆動源を用いることなく、冷媒による蛍光体粒子10の冷却サイクルを構成することができ、蛍光体粒子10の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
【0065】
本実施形態によれば、流動部6の微細流路の一部が、メッシュ状の部材24によって形成されるので、粒子と粒子の間の空隙によって形成された微細流路とともに、より多くの液状の冷媒を効果的に流動させることができる。
【0066】
(本発明のその他の実施形態(その3)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図5を用いて、本発明のその他の実施形態(その3)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図5は、本発明のその他の実施形態(その3)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図5に示す本実施形態と、
図1、
図3及び
図4に示す実施形態とを比較すると、流動部6の構成が異なり、その他の部分については同一である。よって、ここでは、
図1、
図3及び
図4に示す実施形態と異なる点についてのみ説明を行い、
図1、
図3及び
図4に示す実施形態と同一の部分についての説明は省略する。
【0067】
図5(a)において、流動部6は、入射領域60及びその近傍領域、並びにその周囲の領域(密閉筐体4の端部領域を含む)の2つの領域において、異なる構成を有している。つまり、流動部6の入射領域60及びその近傍領域に、異なる蛍光体粒子である黄色蛍光体粒子10a及び赤色蛍光体粒子10bと、光拡散材粒子12とが配置され、その周囲の領域には、光拡散材粒子12のみが配置されている。
入射領域60及びその近傍領域では、光源40に近い側から、光拡散材粒子12、黄色蛍光体粒子10a、赤色蛍光体粒子10bの順に積層されている。これにより、光源40からの光(上向きの白抜き矢印参照)を、光拡散材粒子12で拡散させて、光強度を均等にして、黄色蛍光体粒子10a及び赤色蛍光体粒子10bで波長変換を行って、出射領域70から出射する(上向きの格子柄の矢印参照)。黄色蛍光体及び赤色蛍光体を用いることにより、演色性の高い赤色光を出射することができる。よって、光強度を均等な演色性の高い赤色光源装置を提供することができる。
【0068】
よって、本実施形態によれば、流動部6において、入射領域60及び近傍領域に、種類の異なる粒子で形成された複数の層が形成されているので、用途に応じた最適な波長変換光を出射することができる。なお、種類の異なる粒子で形成された単一の層が形成されている場合もありえる。
【0069】
更に、本実施形態では、微細流路の一部として、密封筐体4の内面に設けられた複数の溝22によって、溝領域20が形成されている。
図5(a)の矢視A−Aの断面図である
図5(b)に示すように、密封筐体4の下側の内面に、複数の微細な溝22が形成された溝領域20が設けられており、液化した冷媒は、毛細管現象により微細な溝22内を流動することができる。つまり、溝22が微細流路に該当する。
【0070】
複数の微細な溝22が形成された溝領域20について、
図6を用いて、更に詳細に説明する。
図6は、密封筐体4の下側の内面を示しており、密封筐体4の内面に設けられた複数の溝22によって形成された微細流路の一例を示す模式図である。
図6(a)は、密封筐体4が矩形の上下面を有する直方体形状の場合を示し、
図6(b)は、密封筐体4が円形の上下面を有する筒形状の場合を示す。
図6(a)の密封筐体4が矩形の下面を有する場合には、複数の溝22が、一方の端部から他方の端部へ直線的に延びている。そして、中央領域に入射領域60が設けられている。一方、
図6(b)の密封筐体4が円形の下面を有する場合には、複数の溝22が、円の中心領域から放射状に直線的に延びている。そして、円の中心領域に入射領域60が設けられている。
【0071】
以上のように、密封筐体4の中央(中心)部に蛍光体粒子を有する入射領域60が配置されているので、各粒子間の隙間で形成された微細流路、及び複数の溝22による溝領域20からなる微細流路によって、筐体の両端部または全外周部から密封筐体の中心部に向けて、液化した冷媒を流動させることができる。
【0072】
図5に示す実施形態に係る流動部6の微細流路は、各粒子の間の隙間で形成された領域と、その下側に配置された溝領域20から構成され、各粒子の間の隙間で形成され領域は、入射領域60及びその近傍領域において、黄色蛍光体粒子10a、赤色蛍光体粒子10b及び光拡散材粒子12で形成され、その周囲の領域において、光拡散材粒子12で形成されている。
黄色蛍光体粒子10a、赤色蛍光体粒子10b及び光拡散材粒子12の各粒子の間の空隙によって、連続した微細流路を形成することができる。よって、各粒子によって形成された複数の連続した微細流路が、冷却部30が配置された領域及び入射領域60を繋ぐように延びている。よって、
図6(a)または
図6(b)に示す複数の溝22と同様な方向に液化した冷媒を流動させることができる。
【0073】
よって、本実施形態によれば、微細流路の一部が、密封筐体4の内面に設けられた複数の溝22によって形成されるので、粒子と粒子の間の空隙によって形成された微細流路とともに、より多くの液状の冷媒を効果的に流動させることができる。
【0074】
以上のように、波長変換で高温になった蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、気化した冷媒が冷却部30の近傍へ流れ、冷却部30による冷却で液化した冷媒は、流動部6の粒子と粒子の間の空隙によって形成された複数の微細流路、及び密封筐体4の内面に設けられた溝22からなる複数の微細流路によって、再び入射領域60へ流動し、これにより冷却サイクルが形成される。このような冷媒の流動サイクルを、
図5の矢印で示す。実線の矢印が液化した冷媒の流れを示し、点線の矢印が気化した冷媒の流れを示す。以上のように、ポンプのような駆動源を用いることなく、冷媒による蛍光体粒子10の冷却サイクルを構成することができ、蛍光体粒子10の光変換効率の低下を効率的に防ぐことができる。
【0075】
(本発明のその他の実施形態(その4)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図7を用いて、本発明のその他の実施形態(その4)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図7は、本発明のその他の実施形態(その4)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図7に示す本実施形態と、
図1に示す実施形態とを比較すると、密閉筐体4の面部の構成が異なり、その他の部分については同一である。よって、ここでは、
図1に示す実施形態と異なる点についてのみ説明を行い、
図1に示す実施形態と同一の部分についての説明は省略する。
【0076】
図1に示す密閉筐体4の全面が、透光性を有する面を有しているが、
図7に示す実施形態では、1つの面の一部だけが透光性を有するようになっている。つまり、密閉筐体4の光源40に近い側の面において、入射領域60及びその近傍領域に透光部4aを有し、その他の領域に非透光部4bを有する。同様に、密閉筐体4の光源40から離れた側の面において、出射領域70及びその近傍領域に透光部4aを有し、その他の領域に非透光部4bを有する。
【0077】
更に詳細に述べれば、透光部4aを樹脂材料またはガラスで形成し、非透光部4bを金属材料で形成することを例示できる。この場合には、密閉筐体4の一部に、熱電伝導率の高い金属材料を用いることができるので、蛍光体粒子10の冷却効率を高めることができる。特に、冷却部30と接する領域を金属材料で形成できるので、気化した冷媒の冷却を強化することができる。一方、透光部4a及び非透光部4bを樹脂材料の一体成形(二色成形)で形成することを可能で有り、この場合には、製造が容易であり、シール性も容易に向上することができる。
【0078】
(本発明のその他の実施形態(その5)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図8を用いて、本発明のその他の実施形態(その5)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図8は、本発明のその他の実施形態(その5)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図8に示す本実施形態と、
図1及び
図2〜
図7に示す実施形態とを比較すると、
図1及び
図2〜
図7に示す実施形態では、透過型の光源装置50が示されているが、
図8に示す実施形態では、反射型の光源装置50が示されている。
具体的な構成では、
図1に示す実施形態と比べて、密閉筐体4の面部の構成が異なり、その他の部分については同一である。よって、ここでは、
図1に示す実施形態と異なる点についてのみ説明を行い、
図1に示す実施形態と同一の部分についての説明は省略する。
【0079】
図1に示す密閉筐体4の全面が、透光性を有する面を有しているが、
図8に示す実施形態では、密閉筐体4の光源40に近い側の面において、1つの面の一部だけが透光性を有するようになっており、密閉筐体4の光源40から離れた側の面において、全面が透光性を有さないようになっている。
つまり、密閉筐体4の光源40に近い側の面において、入射領域60及びその近傍領域に透光部4aを有し、その他の領域に非透光部4bを有する。また、密閉筐体4の光源40から離れた側の面において、全面が非透光部4bで構成されている。なお、密閉筐体4の光源40から離れた側の内面は、光を反射する反射膜が設けられた反射面18になっている。
【0080】
図8に示す本実施形態に係る光源装置50では、光源40と、蛍波長変換部材2との間に
光学部材42が設置されている。光学部材42は、光源40からの光と同じ波長域の光は透過するが、その他の波長域の光は反射するようになっており、ダイクロイックミラーの機能を果たしている。
つまり、光源40から出射された光は、光学部材42を透過して、蛍波長変換部材2へ入射し(下向きの白抜きの矢印参照)、蛍光体粒子10で波長変換され、密閉筐体4の光源40から離れた側の反射面18で反射されて、再び蛍波長変換部材2から出射され(上向きの格子状の矢印参照)、光学部材42によって直交する方向へ反射される(左向きの格子状の矢印参照)。
【0081】
(本発明のその他の実施形態(その6)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図9を用いて、本発明のその他の実施形態(その6)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図9は、本発明のその他の実施形態(その6)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図9に示す本実施形態と、
図1及び
図2〜
図8に示す実施形態とを比較すると、
図1及び
図2〜
図8に示す実施形態では、冷却部30が、密封筐体4の端部または外周部に配置されているが、
図9に示す実施形態では、冷却部30が、密封筐体4の中央(中心)部に配置されている点で異なる。その他の構成については基本的に同一なので、ここでは、異なる点についてのみ説明を行い、
図1等に示す実施形態とほぼ同一の構成についての説明は省略する。
【0082】
図9に示す実施形態では、密閉筐体4の中央(中心)部の外面に冷却部30が設けられ、その両側にそれぞれ入射領域60及び出射領域70が設けられている。これに対応して、本実施形態では、2つの光源40が備えられている。
【0083】
冷却部30の左側の入射領域60で説明すれば、波長変換で高温になった蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、気化した冷媒が冷却部30の近傍へ流れ(左から右向き)、冷却部30による冷却で液化した冷媒は、流動部6の粒子と粒子の間の空隙によって形成された複数の微細流路によって、再び入射領域60へ流動し(右から左向き)、これにより冷却サイクルが形成される。
同様に、冷却部30の右側の入射領域60で説明すれば、波長変換で高温になった蛍光体粒子10の周囲の冷媒が気化し、気化した冷媒が冷却部30の近傍へ流れ(右から左向き)、冷却部30による冷却で液化した冷媒は、流動部6の粒子と粒子の間の空隙によって形成された複数の微細流路によって、再び入射領域60へ流動し(左から右向き)、これにより冷却サイクルが形成される。
以上のような冷媒の流動サイクルを、
図9の矢印で示す。実線の矢印が液化した冷媒の流れを示し、点線の矢印が気化した冷媒の流れを示す。
【0084】
本実施形態によれば、1つの冷却部30を用いて、複数の光源装置の役割を果たすことができる。更に、1つの波長変換部材2において、入射領域60との間に冷却部30を有するようにして、3つ以上の入射領域60を備えることも可能である。例えば、赤色の蛍光体粒子を備えた入射領域と、緑色の蛍光体粒子を備えた入射領域と、光拡散材粒子のみを備えた(波長変換なし)入射領域とを備え、更にそれぞれの入射領域に対応した3つの青色光を出射する光源を備えた光源装置を例示することができる。この光源装置の各光源の出力を調整することによって、任意の色の光を出射することができる。
【0085】
(本発明のその他の実施形態(その7)に係る波長変換部材を備えた光源装置の説明)
次に、
図10を用いて、本発明のその他の実施形態(その7)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50の説明を行う。
図10は、本発明のその他の実施形態(その7)に係る波長変換部材2を備えた光源装置50を模式的に示す断面図である。
図10に示す本実施形態と、
図1及び
図2〜
図9に示す実施形態とを比較すると、
図1及び
図2〜
図9に示す実施形態では、冷却部30が、入射領域60の両側に配置されているが、
図10に示す実施形態では、冷却部30が、入射領域60の片側にだけ配置されている点で異なる。
【0086】
更に、
図1及び
図2〜
図9に示す実施形態では、冷却部30及び入射領域60が水平方向に配置されているが、
図10に示す実施形態では、重力方向で上側に冷却部30が配置され、下側に入射領域60が配置されている点で異なる。この場合、波長変換部材2及び光源40が水平方向に配置されることになる。その他の点については基本的に同一なので、ここでは、異なる点についてのみ説明を行い、
図1等に示す実施形態とほぼ同一の構成についての説明は省略する。
図10に示すような配置により、液化した冷媒が上側から下側へ流れるため、微細流路の毛細管力に加えて、重力による流動力が加わるので、より確実に液化した冷媒を流動させることができる。一方、気化した冷媒は、下側から上側へ流れるため、重力が流動を妨げる方向に加わるが、気圧差による自然対流の力の方が大きいので、流動に問題が生じることはない。
【0087】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。