(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ハウジングには、該ハウジングの外面から上記径方向における内側に凹む凹状部が形成され、該凹状部に上記磁気センサが配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転機。
少なくとも2個の上記磁気センサを備え、該2個の磁気センサは、上記磁石から発生した磁界に基づく出力が互いに異なり、上記2個の磁気センサの出力の差を用いて、上記回転体の回転速度を検出するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転機。
上記回転機はターボチャージャとして用いられ、上記回転体は上記ターボチャージャのコンプレッサホイールであり、上記ハウジングは上記コンプレッサホイールを収容するコンプレッサハウジングであり、上記磁気センサは上記コンプレッサハウジングに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らが実験を行ったところ、上記構成を採用すると、回転体の回転速度が高くなるにつれて、磁気センサの出力が低下してしまうことが分かった(
図25参照)。これは、推定であるが、ハウジング内に発生する渦電流が原因だと考えられる。すなわち、ハウジングは金属等の導電性材料によって形成されているため、磁石が回転して、ハウジングに作用する磁石の磁界が時間的に変化すると、ハウジング内に渦電流が発生する。この渦電流によって発生した磁界によって、磁石の磁界が打ち消されるため、磁気センサの出力が低下すると考えられる。磁石の回転速度が高くなると、ハウジングに作用する、磁石の磁界の時間変化率が高くなる。そのため、渦電流が増加し、磁石の磁界が打ち消されやすくなる。したがって、回転速度が高くなるほど、磁気センサの出力が低下すると考えられる。そのため、上記構成は、回転速度が特に速い回転機には適用が難しくなる可能性がある。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、回転体の回転速度が高くなっても磁気センサの出力が低下しにくい回転機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、回転軸を中心に軸回転する回転体と、
導電性材料からなり、上記回転体を収容したハウジングと、
少なくとも一対の磁極の並び方向が上記回転体の径方向を向くように上記回転体に取り付けられた磁石と、
上記ハウジングに取り付けられ、上記磁石から発生した磁界の時間変化を検出することにより、上記回転体の回転速度を検出する磁気センサとを備え、
該磁気センサは、上記径方向において、上記磁石よりも外側に配されており、
上記磁気センサの感磁方向は上記径方向に直交していることを特徴とする回転機にある。
【発明の効果】
【0010】
上記回転機では、磁石を、一対の磁極の並び方向が回転体の径方向と一致するように、回転体に取り付けてある。また、磁気センサをハウジングに取り付けてある。そして、磁気センサの感磁方向を上記径方向に直交させている。
本発明者らは、実験を行ったところ、上記構成を採用すれば、回転体の回転速度が高くなっても、磁気センサの出力が低下しにくくなり、むしろ出力が高くなることを見出した(
図8、
図9参照)。これは、径方向に直交する方向には、磁石の磁界と、渦電流に起因する磁界とが打消し合わず、同じ方向を向いて、互いに強め合うからだと考えられる。そのため、磁石の回転速度が高くなり、ハウジングに渦電流が多く発生するほど、磁気センサの出力が高くなると考えられる。そのため、感磁方向が径方向に直交するように磁気センサを配置すれば、回転体の回転速度が高くなっても、磁気センサの高い出力を維持でき、回転体の回転速度を正確に検出することが可能になる。
【0011】
以上のごとく、本形態によれば、回転体の回転速度が高くなっても磁気センサの出力が低下しにくい回転機を提供することができる。
【0012】
なお、本発明では、磁気センサによって、磁石の磁界の変化を測定している。そのため、磁気センサを、磁石の磁界を測定できないように取り付けた場合は、本発明から除外される。例えば
図26に示すごとく、軸方向(X方向)において、磁気センサ5の中心59と磁石4の中心49とを一致させ、かつ磁気センサ5の感磁方向(磁気センサ5の長手方向)をX方向に向けた場合、磁石4の磁界は磁気センサ5に、中心59に対して左右殆ど同じ強さで作用する。そのため、磁気センサ5に作用する正味の磁界が殆ど0になってしまう。したがって、磁石4の磁界を測定できず、回転体2の回転速度を測定できなくなる。このような磁気センサ5の取り付け方は、本発明から除外される。
【0013】
また、上述したように、本発明では、磁気センサの感磁方向は上記径方向に直交している。ここで「感磁方向が径方向に直交している」とは、磁気センサ5(
図3参照)と回転軸Aとを通り該回転軸Aに直交する直線SLに平行な方向(径方向)と、磁気センサ5の感磁方向とが直交していることを意味する。なお、ここでいう「直交」は、厳密なものに限定するものではなく、若干のズレは許容されるものである。具体的には、直交からのズレが±10°程度は問題なく許容される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記磁気センサは、上記回転体の軸方向において、上記磁石から所定距離離れた位置に配されていることが好ましい。
磁石から発生した磁界の一部は、軸方向において磁石から離れた位置において、ハウジング内を、上記径方向に直交する向きに流れる(
図3参照)。そのため、磁気センサを、軸方向において磁石から所定距離離れた位置に配置すれば、磁気センサに感磁方向へ作用する、磁石の磁界の強さを高めることができる。そのため、磁気センサの出力を高くすることができ、回転体の回転速度を正確に検出することができる。
【0016】
また、上記磁気センサは、上記径方向において、上記ハウジングの外面と内面との中間位置よりも内側に位置していることが好ましい。
この場合には、磁気センサを、磁石により近づけることができる。そのため、磁気センサの出力を高くすることができる。したがって、回転体の回転速度をより正確に検出できる。
【0017】
また、上記ハウジングには、該ハウジングの外面から上記径方向における内側に凹む凹状部が形成され、該凹状部に上記磁気センサが配されていることが好ましい。
この場合には、回転機を製造する際に、ハウジングの外側から磁気センサを、ハウジング内に容易に配置することができる。したがって、回転機を容易に製造することができる。また、凹状部内に磁気センサを配置すると、磁気センサを磁石に接近させることができる。そのため、磁気センサの出力を高くすることができ、回転体の回転速度を正確に検出できる。
【0018】
また、少なくとも2個の上記磁気センサを備え、該2個の磁気センサは、上記磁石から発生した磁界に基づく出力が互いに異なり、上記2個の磁気センサの出力の差を用いて、上記回転体の回転速度を検出するよう構成されていることが好ましい。
この場合には、外乱磁場の影響を受けにくくなり、回転体の回転速度をより正確に測定することが可能になる。すなわち、回転機の外部から2個の磁気センサに外乱磁場が作用しても、この外乱磁場に基づく出力は、2個の磁気センサとも殆ど同じになる。そのため、2個の磁気センサの出力の差を算出すれば、出力から外乱磁場の影響を取り除くことができる。したがって、磁石の磁界の時間変化を正確に検出しやすくなり、回転体の回転速度をより正確に検出することが可能になる。
【0019】
また、上記回転機はターボチャージャとして用いられ、上記回転体は上記ターボチャージャのコンプレッサホイールであり、上記ハウジングは上記コンプレッサホイールを収容するコンプレッサハウジングであり、上記磁気センサは上記コンプレッサハウジングに取り付けられていることが好ましい。
この場合には、コンプレッサホイールの回転速度を正確に測定することが可能になる。また、コンプレッサハウジングは、ターボチャージャの吸気側のハウジングであるため、排気側のハウジングであるタービンハウジングよりも温度が低い。そのため、磁気センサをコンプレッサハウジングに取り付けることにより、磁気センサが高温になることを抑制でき、磁気センサの低寿命化を抑制できる。
【0020】
また、上記磁気センサはマグネトインピーダンスセンサであることが好ましい。
マグネトインピーダンスセンサ(以下、MIセンサとも記す)は、磁気の検出感度が高く、高速応答にも優れている。そのため、他の磁気センサも使用可能であるが、特に10000rpm以上の高速回転の場合、MIセンサを用いれば、磁石の磁界の時間変化を正確に検出でき、回転体の回転速度を正確に検出することができる。
【0021】
また、上記磁石は上記回転軸に取り付けられていることが好ましい。
磁石を回転軸に取り付ければ、磁石が、回転体の回転に伴って生じる遠心力の影響を受けにくくなる。そのため、遠心力によって磁石が脱落する等の不具合を抑制できる。
【0022】
(実施形態1)
上記回転機に係る実施形態につき、
図1〜
図9を参照して説明する。
図1、
図2に示すごとく、本形態の回転機1は、回転体2と、ハウジング3と、磁石4と、磁気センサ5とを備える。回転体2は、回転軸Aを中心に軸回転する。ハウジング3は、導電性材料からなり、回転体2を収容している。
【0023】
磁石4は、一対の磁極の並び方向が回転体2の径方向を向くように、回転体2に取り付けられている。磁気センサ5は、ハウジング3に取り付けられている。磁気センサ5は、磁石4から発生した磁界の時間変化を検出する。これにより、回転体2の回転速度を検出するよう構成されている。
【0024】
磁気センサ5は、径方向において、磁石4よりも外側に配されている。
磁気センサ5の感磁方向は、径方向に直交している。
【0025】
図1に示すごとく、本形態の回転機1は、車両のエンジン等に取り付けられるターボチャージャ1aである。ターボチャージャ1aは、ターボホイール11と、該ターボホイール11を収容するターボハウジング12と、ターボシャフト13と、コンプレッサホイール2aと、該コンプレッサホイール2aを収容するコンプレッサハウジング3aと、空気入口30と、空気出口14と、排気入口15と、排気出口16とを備える。ターボシャフト13は、ターボホイール11とコンプレッサホイール2aとを連結している。
【0026】
本形態の回転体2は、ターボチャージャ1aのコンプレッサホイール2aである。また、本形態のハウジング3は、上記コンプレッサハウジング3aである。このコンプレッサハウジング3aに、磁気センサ5を取り付けてある。コンプレッサハウジング3aはアルミニウム製である。
【0027】
図示しないエンジンから排気18が排出されると、ターボホイール11が回転する。これに伴って、コンプレッサホイール2aも回転する。そのため、空気入口30から空気17が吸い込まれ、エンジンに供給される。
【0028】
また、本形態の磁石4は、その中心が、コンプレッサホイール2aの回転軸Aと一致するように取り付けられている。本形態の磁石4は、磁化されたナット(磁化ナット)である。この磁化ナットを用いて、コンプレッサホイール2aをターボシャフト13に締結してある。
【0029】
また、
図3に示すごとく、磁気センサ5は、軸方向(X方向)において、磁石4から所定距離L離れた位置に配されている。本形態の磁気センサ5は、マグネトインピーダンスセンサである。また、ハウジング3には、外面31から径方向における内側に凹んだ凹状部33が形成されている。この凹状部33内に、磁気センサ5を配置してある。
【0030】
図3、
図4に示すごとく、磁気センサ5の感磁方向は、軸方向と一致している。また、磁気センサ5は、径方向において、ハウジング3の外面31と内面32との中間位置Mよりも内側に位置している。
【0031】
回転体2が回転すると、磁石4も回転する。そのため、磁石4から発生しハウジング3に作用する磁界が、時間的に変化する。したがって、
図5に示すごとく、磁気センサ5の出力が時間的に変化する。この出力の時間変化を用いて、回転体2の回転速度を検出するよう構成されている。本形態では、回転速度の検出値を、図示しないECUに送信する。ECUは、この検出値を、エンジンの制御に利用している。
【0032】
本形態の効果を確認するための実験を行った。まず、
図1〜
図3に示す回転機1を作成し、本発明の範囲内であるサンプル1とした。また、
図6、
図7に示すように、磁気センサ5の感磁方向を、軸方向(X方向)と、凹状部33の開口方向(Z方向)との双方に直交する方向(Y方向)に向けた回転機1を作成し、本発明の範囲内であるサンプル2とした。さらに、
図24に示すごとく、磁気センサ5の感磁方向が径方向(Z方向)を向いた回転機1を作成し、本発明の範囲外である比較サンプルとした。比較サンプルでは、磁気センサ5を、径方向において磁石4と隣り合う位置に配置した。これらのサンプルの回転体2を1000〜17000rpmまで回転させ、磁気センサ5の出力電圧の振幅を測定した。そして、回転体2の回転数と、出力電圧の振幅との関係をグラフにした。その結果を
図8、
図9、
図25に示す。なお、これらのグラフにおいて、磁気センサ5の出力(縦軸)は、回転数1000rpmの場合の出力の大きさを100とした指数比で表示した。
【0033】
図8はサンプル1の測定結果であり、
図9はサンプル2の測定結果である。また、
図25は比較サンプルの測定結果である。
図8、
図9から、本発明の範囲内であるサンプル1、2は、回転体2の回転数が上昇するにつれて、磁気センサ5の出力が徐々に高くなることが分かる。これに対して、
図25に示すごとく、比較サンプルは、回転体2の回転数が上昇するにつれて、磁気センサ5の出力が徐々に低下することが分かる。
【0034】
本発明の作用効果について説明する。
図3、
図6に示すごとく、本形態では、磁石4を、一対の磁極の並び方向が回転体の径方向と一致するように、回転体2に取り付けてある。また、磁気センサ5をハウジング3に取り付けてある。そして、磁気センサ5の感磁方向を、回転体の径方向に直交させている。
このようにすると、
図8、
図9に示すごとく、回転体2の回転速度が高くなっても、磁気センサ5の出力が低下しにくくなり、むしろ出力を高くすることができる。これは、推定であるが、径方向に直交する方向には、磁石4の磁界と、ハウジング3に発生した渦電流に起因する磁界とが打消し合わず、同じ方向を向いて、互いに強め合うからだと考えられる。そのため、磁石4の回転速度が高くなり、ハウジング3に渦電流が多く発生するほど、磁気センサ5の出力が高くなると考えられる。そのため、本形態のように、感磁方向が径方向に直交するように磁気センサ5を配置すれば、回転体2の回転速度が高くなっても、磁気センサ5の高い出力を維持でき、回転体2の回転速度を正確に検出することが可能になる。
【0035】
また、
図3に示すごとく、本形態の磁気センサ5は、回転体2の軸方向(X方向)において、磁石4から所定距離L離れた位置に配されている。
図3に示すごとく、磁石4から発生した磁界Hの一部は、軸方向において磁石4から離れた位置において、ハウジング3内を、径方向に直交する向きに流れる。そのため、磁気センサ5を、軸方向において磁石4から所定距離L離れた位置に配置すれば、磁気センサ5に感磁方向へ作用する、磁石4の磁界Hの強さを高めることができる。そのため、磁気センサ5の出力を高くすることができ、回転体2の回転速度を正確に検出することができる。
【0036】
また、
図3に示すごとく、本形態の磁気センサ5は、径方向において、ハウジング3の外面31と内面32との中間位置Mよりも内側に位置している。
このようにすると、磁気センサ5を、磁石4により近づけることができる。そのため、磁気センサ5の出力を高くすることができる。したがって、回転体2の回転速度をより正確に検出できる。
【0037】
また、
図3に示すごとく、本形態のハウジング3には、外面31から径方向における内側に凹む凹状部33が形成されている。そして、この凹状部33に磁気センサ5が配されている。
そのため、回転機1を製造する際に、ハウジング3の外側から磁気センサ5を、ハウジング3内に容易に配置することができる。したがって、回転機1を容易に製造することが可能となる。また、凹状部33内に磁気センサ5を配置すると、磁気センサ5を、磁石4に接近させることができる。そのため、磁気センサ5の出力を高くすることができ、回転体2の回転速度を正確に検出することができる。
【0038】
また、
図1に示すごとく、本形態の回転機1はターボチャージャ1aとして用いられる。回転体2はターボチャージャ1のコンプレッサホイール2aであり、ハウジング3はコンプレッサホイール2aを収容するコンプレッサハウジング3aである。磁気センサ5は、コンプレッサハウジング3aに取り付けられている。
そのため、コンプレッサホイール2aの回転速度を正確に測定することが可能になる。また、コンプレッサハウジング3aは、ターボチャージャ1aの吸気側のハウジング3であるため、排気側のハウジングであるタービンハウジング12よりも温度が低い。そのため、磁気センサ5をコンプレッサハウジング3aに取り付けることにより、磁気センサ5が高温になることを抑制でき、磁気センサ5の低寿命化を抑制できる。
【0039】
また、本形態の磁気センサ5はMIセンサである。
MIセンサは、磁気の検出感度と応答速度が共に優れている。そのため、MIセンサを用いれば、10000rpmを超える高速回転であっても、磁石4の磁界の時間変化を正確に検出でき、回転体2の回転速度を正確に検出することができる。
【0040】
また、
図1に示すごとく、本形態の磁石4は、その中心が回転体2の回転軸Aに一致するように取り付けられている。
磁石4を回転軸Aに一致するように取り付ければ、磁石4が、回転体2の回転に伴って生じる遠心力の影響を受けにくくなる。そのため、遠心力によって磁石4が脱落する等の不具合を抑制できる。
【0041】
以上のごとく、本形態によれば、回転体の回転速度が高くなっても磁気センサの出力が低下しにくい回転機を提供することができる。
【0042】
なお、本形態の回転機1はターボチャージャ1aであるが、本発明はこれに限るものではない。例えば、回転機1を、他の種類のターボや、エアモータ等とすることもできる。また、本形態では、磁気センサ5の感磁方向を、回転体2の軸方向(X方向:
図3参照)またはY方向(
図6参照)に向けているが、本発明はこれに限るものではなく、感磁方向が径方向と直交している限り、X方向とY方向の間の方向に向けても、同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、本形態では、一対の磁極を備える磁石4を用いているが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、2対以上の磁極を有する磁石4を用いてもよい。従って、複数対の磁極がそれぞれ径方向と一致するように、磁石4を回転体2に取り付けることもできる。
【0044】
以下の実施形態においては、図面に用いた符号のうち、実施形態1に用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施形態1と同様の構成要素等を表す。
【0045】
(実施形態2)
本形態は、ハウジング3の形状を変更した例である。
図10に示すごとく、本形態では、ハウジング3に、径方向に貫通した貫通孔34を形成してある。そして、この貫通孔34内に磁気センサ5を配置し、エポキシ樹脂やセラミック接着剤等の封止部材19によって、磁気センサ5を貫通孔34内に封止してある。
【0046】
本形態では、実施形態1と同様に、磁気センサ5の感磁方向が回転体2の軸方向(X方向)を向くように、磁気センサ5を配置してある。また、磁気センサ5は、径方向において、ハウジング3の外面31と内面32との中間位置Mよりも、内側に位置している。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0047】
(実施形態3)
本形態は、磁気センサ5の配置位置を変更した例である。
図11に示すごとく、本形態では、実施形態1と同様に、磁気センサ5を、軸方向(X方向)において磁石4から所定距離L離れた位置に配置してある。磁気センサ5は、X方向において、磁石4よりも回転体2側に位置している。
【0048】
また、ハウジング3には、凹状部33が形成されている。この凹状部33に、磁気センサ5を配置してある。磁気センサ5は、径方向において、ハウジング3の外面31と内面32との中間位置Mよりも、内側に位置している。
【0049】
上記構成にした場合も、実施形態1と同様に、磁石4の磁界Hが磁気センサ5に対して感磁方向に作用しやすくなる。そのため、磁気センサ5の出力を高くすることができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0050】
(実施形態4)
本形態は、磁気センサ5の配置位置を変更した例である。
図12、
図13に示すごとく、本形態では、磁気センサ5を、径方向において磁石4と隣り合う位置(磁気センサ5の中心が、磁石4を通り径方向に引いた直線SL上に存在する位置)に配置してある。磁気センサ5は、感磁方向がY方向を向くように配されている。
【0051】
図13に示すごとく、磁石4から発生した磁界Hの一部は、磁気センサ5に対してY方向、すなわち感磁方向に作用する。そのため、磁気センサ5の出力を高くすることができる。したがって、磁気センサ5によって、磁石4の磁界Hの時間変化を正確に検出でき、回転体2の回転速度を正確に測定することが可能になる。
【0052】
なお、
図26に示すごとく、磁気センサ5を、径方向において磁石4と隣り合う位置に配置し、かつ磁気センサ5の感磁方向をX方向に向けた場合には、磁石4から発生する磁気が、磁気センサ5の中心59に対して左右同じ大きさで作用するため、磁気センサ5の出力が小さくなり、好ましくないので注意を要する。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0053】
(実施形態5)
本形態は、ハウジング3の形状および磁気センサ5の取り付け位置を変更した例である。
図14に示すごとく、本形態では、ハウジング3に凹状部33又は貫通孔34を形成していない。本形態では、磁気センサ5を、ハウジング3の内面32に取り付けてある。なお、図示しないが、磁気センサ5を、ハウジング3の外面31に取り付けても良い。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0054】
(実施形態6)
本形態は、磁気センサ5の数を変更した例である。
図15、
図16に示すごとく、本形態の回転機1は、第1磁気センサ5aと第2磁気センサ5bとの、2個の磁気センサ5を備える。第1磁気センサ5aは、第2磁気センサ5bよりも、磁石4に近い位置に配されている。そのため、第1磁気センサ5aには、磁石4の磁界Hが、第2磁気センサ5bよりも強く作用する。したがって、
図17に示すごとく、第1磁気センサ5aの出力強度は、第2磁気センサ5bの出力強度(
図18参照)よりも高くなる。
【0055】
回転機1の周囲には、外乱磁場を発生する他の部品が配される場合がある。例えば回転機1をターボチャージャに適用する場合、エンジンルーム内には、外乱磁場を発生する他の部品が設けられる。磁気センサ5がこの外乱磁場の影響を受けると、回転体2の回転速度を充分正確に測定できなくなる可能性が生じる。そこで本実施形態では、2個の磁気センサ5a,5bを用いて、外乱磁場をキャンセルしている。すなわち、
図17、
図18に示すごとく、各磁気センサ5a,5bから、外乱磁場に起因した出力(ノイズ成分)が同じ様に発生する。ここで、2個の磁気センサ5a,5bを互いに比較的近い位置に配置すれば、外乱磁場は、2つの磁気センサ5a,5bに対し略同じ強さで作用する。その結果、各磁気センサ5a,5bから出力されるノイズ成分は、略同じ強さになる。したがって、第1磁気センサ5aの出力から第2磁気センサ5bの出力を減算すると、
図19に示すごとく、ノイズ成分が除去され、磁石4の磁界Hに起因する成分のみが残る。本形態では、この値を用いて、回転体2の回転速度を算出している。
【0056】
本形態の作用効果について説明する。上記構成にすると、磁気センサ5a,5bの出力から、回転速度の検出に必要となる、磁石4からの磁界に基づく出力を残し、外乱磁場に基づくノイズ成分のみを除去することができる。そのため、回転体2の回転速度をより正確に測定することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0057】
(実施形態7)
本形態は、2個の磁気センサ5a,5bの配置位置を変更した例である。
図21に示すごとく、本形態では、軸方向(X方向)から見たときに、第1磁気センサ5aと、回転軸Aと、第2磁気センサ5bとのなす角度が90°となるように、各磁気センサ5a,5bを配置してある。また、
図20に示すごとく、X方向において、個々の磁気センサ5a,5bから磁石4までの距離Lは、互いに等しくされている。
【0058】
このようにすると、磁石4から各磁気センサ5a,5bまでの距離Lが互いに等しいため、各磁気センサ5a,5bの出力の振幅は等しくなる。しかしながら、各磁気センサ5a,5bの出力の位相は互いに異なるため、2個の磁気センサ5a,5bの出力の差を算出すると、外乱磁場によるノイズ成分が除去された、一定の振幅をもった出力波形を得ることができる。この出力波形を用いることにより、回転体2の回転速度を正確に算出することができる。
その他、実施形態6と同様の構成および作用効果を備える。
【0059】
(実施形態8)
本形態は、2個の磁気センサ5a,5bの配置位置を変更した例である。
図23に示すごとく、本形態では、軸方向(X方向)から見たときに、第1磁気センサ5aと、回転軸Aと、第2磁気センサ5bとのなす角度が180°となるように、各磁気センサ5a,5bを配置してある。また、
図22に示すごとく、X方向において、個々の磁気センサ5a,5bから磁石4までの距離Lは、互いに等しくされている。
【0060】
このようにすると、磁石4から各磁気センサ5a,5bまでの距離Lが互いに等しいため、各磁気センサ5a,5bの出力の振幅は等しくなる。しかしながら、各磁気センサ5a,5bの出力の位相は180°ずれているため、2個の磁気センサ5a,5bの出力の差を算出すると、外乱磁場によるノイズ成分を除去できるとともに、算出後の出力の振幅を、元の磁気センサ5a,5bの出力の振幅の2倍の強さにすることができる。そのため、回転体2の回転速度を、より正確に測定することが可能になる。
その他、実施形態6と同様の構成及び作用効果を備える。
【解決手段】回転体2と、ハウジング3と、磁石4と、磁気センサ5とを備える。回転体2は、回転軸Aを中心に軸回転する。ハウジング3は、導電性材料からなり、回転体2を収容している。磁石4は、一対の磁極の並び方向が回転体2の径方向を向くように回転体2に取り付けられている。磁気センサ5は、ハウジング3に取り付けられている。磁気センサ5は、磁石4から発生した磁界の時間変化を検出する。これにより、回転体2の回転速度を検出するよう構成されている。磁気センサ5は、径方向において、磁石4よりも外側に位置している。磁気センサ5の感磁方向は径方向に直交している。