【実施例】
【0026】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
(1)走査型電子顕微鏡(SEM)
装置:日本電子(株)製 JSM−7400F
【0028】
DBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸
PTSA:パラトルエンスルホン酸
【0029】
[実施例1]
撹拌機、還流コンデンサー及び温度計を装備した反応フラスコに、メラミン100質量部、37質量%ホルマリン193質量部(メラミンに対して3モル倍)、20質量%水性シリカゾル[日産化学工業(株)製、スノーテックス(登録商標)ST−N、平均粒子径12nm、pH9.5、以下同じ]19質量部、水722質量部及び25質量%アンモニア水1.4質量部を仕込んだ。このとき該混合物のpHは8であった。この混合物を撹拌しながら昇温し、70℃で30分間反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調製した。次にこの水溶液を70℃に維持したまま、酸触媒として、18質量%PTSA水溶液17質量部及び10質量%DBSA水溶液1.8質量部を添加した(PTSA/DBSAのモル比97/3、プロトン供与数比97/3)。このとき該水溶液のpHは5〜6であった。その後、90℃まで昇温して3時間硬化反応を続けた。冷却後、析出している樹脂粒子を濾別、乾燥して、白色の硬化メラミン樹脂粒子134質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は3.7μmであった。SEM像を
図1に示す。なお、平均粒子径については、SEM像から50個の粒子を無作為に抽出し、その直径の平均を求めた。
【0030】
[実施例2]
酸触媒を、18質量%PTSA水溶液16質量部及び10質量%DBSA水溶液6.1質量部(PTSA/DBSAのモル比90/10、プロトン供与数比90/10)に変更した以外は実施例1と同様に操作して、白色の硬化メラミン樹脂粒子131質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は4.4μmであった。
【0031】
[実施例3]
酸触媒を、65質量%硝酸水溶液1.8質量部及び10質量%DBSA水溶液1.9質量部(硝酸/DBSAのモル比97/3、プロトン供与数比97/3)に変更した以外は実施例1と同様に操作して、白色の硬化メラミン樹脂粒子138質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は3.8μmであった。
【0032】
[実施例4]
酸触媒を、96質量%硫酸水溶液1質量部及び10質量%DBSA水溶液1.9質量部(硫酸/DBSAのモル比94/6、プロトン供与数比97/3)に変更した以外は実施例1と同様に操作して、白色の硬化メラミン樹脂粒子133質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は4.1μmであった。
【0033】
[実施例5]
酸触媒を、シュウ酸1.7質量部及び10質量%DBSA水溶液1.9質量部(シュウ酸/DBSAのモル比97/3、プロトン供与数比97/3)に変更した以外は実施例1と同様に操作して、白色の硬化メラミン樹脂粒子138質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は3.7μmであった。
【0034】
[実施例6]
撹拌機、還流コンデンサー及び温度計を装備した反応フラスコに、メラミン100質量部、37質量%ホルマリン129質量部(メラミンに対して2モル倍)、20質量%水性シリカゾル28質量部、水541質量部及び25質量%アンモニア水1質量部を仕込んだ。このとき該混合物のpHは8であった。この混合物を撹拌しながら昇温し、70℃で30分間反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調製した。次にこの水溶液を70℃に維持したまま、酸触媒として、18質量%PTSA水溶液13質量部及び10質量%DBSA水溶液1.4質量部を添加した(PTSA/DBSAのモル比97/3、プロトン供与数比97/3)。このとき該水溶液のpHは5〜6であった。その後、90℃まで昇温して3時間硬化反応を続けた。冷却後、析出している樹脂粒子を濾別、乾燥して、白色の硬化メラミン樹脂粒子126質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は4.1μmであった。
【0035】
[比較例1]
撹拌機、還流コンデンサー及び温度計を装備した反応フラスコに、メラミン100質量部、37質量%ホルマリン193質量部(メラミンに対して3モル倍)、20質量%水性シリカゾル26質量部、水1300質量部及び25質量%アンモニア水1.2質量部を仕込んだ。このとき該混合物のpHは8であった。この混合物を撹拌しながら昇温し、70℃で30分間反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調製した。次にこの水溶液を70℃に維持したまま、酸触媒として、18質量%PTSA水溶液18質量部を添加した。このとき該水溶液のpHは5〜6であった。その後、90℃まで昇温して3時間硬化反応を続けた。冷却後、析出している樹脂粒子を濾別、乾燥して、白色の硬化メラミン樹脂粒子127質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は3.9μmであった。SEM像を
図2に示す。
【0036】
[比較例2]
メラミンの使用量を200質量部に、37質量%ホルマリンの使用量を386質量部(メラミンに対して3モル倍)にそれぞれ変更した以外は比較例1と同様に操作して、白色の硬化メラミン樹脂粒子266質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は8.1μmであった。
【0037】
[比較例3]
撹拌機、還流コンデンサー及び温度計を装備した反応フラスコに、メラミン100質量部、37質量%ホルマリン193質量部(メラミンに対して3モル倍)、20質量%水性シリカゾル15質量部、水589質量部及び25質量%アンモニア水1.1質量部を仕込んだ。このとき該混合物のpHは8であった。この混合物を撹拌しながら昇温し、70℃で30分間反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調製した。次にこの水溶液を70℃に維持したまま、酸触媒として、10質量%DBSA水溶液50質量部を添加した。このとき該水溶液のpHは5〜6であった。その後、90℃まで昇温して3時間硬化反応を続けたが、撹拌翼及び反応フラスコ内壁面に多量の塊状のゲル化物が付着し、硬化メラミン樹脂粒子は得られなかった。
【0038】
実施例1〜6及び比較例1〜3で製造した硬化メラミン樹脂粒子の平均粒子径、製造時のメラミン濃度(反応混合物の総質量に対するメラミン仕込量の質量%)、及び製造効率(反応混合物1t当りに換算した硬化メラミン樹脂粒子の得量)を表1に併せて示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示したように、酸触媒を二種併用した本発明の方法で製造した硬化メラミン樹脂粒子は、何れもメラミン濃度が9〜12質量%の条件で、平均粒子径が4μm程度と小さな粒子径を有する樹脂粒子を製造できた(実施例1〜6)。
これに対し、酸触媒を一種のみ(PTSA)使用した場合では、メラミン濃度が10質量%の場合には平均粒子径が8μm程度と実施例に比べて大きな粒子となり(比較例2)、平均粒子径が4μm程度の粒子を得るためには、メラミン濃度を6質量%とその濃度を低くしなければならなかった(比較例1)。さらに、酸触媒としてDBSAのみを使用した場合では、硬化メラミン樹脂粒子は得られなかった(比較例3)。
【0041】
[実施例7]
撹拌機、還流コンデンサー及び温度計を装備した反応フラスコに、メラミン100質量部、37質量%ホルマリン129質量部(メラミンに対して2モル倍)、20質量%水性シリカゾル68質量部、水904質量部及び25質量%アンモニア水1.6質量部を仕込んだ。このとき該混合物のpHは8であった。この混合物を撹拌しながら昇温し、70℃で30分間反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調製した。次にこの水溶液を70℃に維持したまま、酸触媒として、18質量%PTSA水溶液21質量部及び10質量%DBSA水溶液2.2質量部を添加した(PTSA/DBSAのモル比97/3、プロトン供与数比97/3)。このとき該水溶液のpHは5〜6であった。その後、90℃まで昇温して3時間硬化反応を続けた。冷却後、析出している樹脂粒子を濾別、乾燥して、白色の硬化メラミン樹脂粒子128質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は1.6μmであった。SEM像を
図3に示す。
【0042】
[比較例4]
撹拌機、還流コンデンサー及び温度計を装備した反応フラスコに、メラミン100質量部、37質量%ホルマリン192質量部(メラミンに対して3モル倍)、20質量%水性シリカゾル[日産化学工業(株)製、スノーテックス(登録商標)ST−NXS、平均粒子径5nm、pH9.5]88質量部、水2549質量部及び25質量%アンモニア水1.1質量部を仕込んだ。このとき該混合物のpHは8であった。この混合物を撹拌しながら昇温し、70℃で30分間反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調製した。次にこの水溶液を70℃に維持したまま、酸触媒として、18質量%PTSA水溶液15質量部を添加した。このとき該水溶液のpHは5〜6であった。その後、90℃まで昇温して3時間硬化反応を続けた。冷却後、析出している樹脂粒子を濾別、乾燥して、白色の硬化メラミン樹脂粒子124質量部を得た。
得られた硬化メラミン樹脂粒子をSEMで観察したところ、該粒子は真球状であり、その平均粒子径は1.5μmであった。SEM像を
図4に示す。
【0043】
実施例7及び比較例4で製造した硬化メラミン樹脂粒子の平均粒子径、製造時のメラミン濃度(反応混合物の総質量に対するメラミン仕込量の質量%)、及び製造効率(反応混合物1t当りに換算した硬化メラミン樹脂粒子の得量)を表2に併せて示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2に示したように、酸触媒を二種併用した本発明の方法で製造した硬化メラミン樹脂粒子は、メラミン濃度が8質量%の条件で、平均粒子径が1.6μmと小さな粒子径を有する樹脂粒子を製造できた(実施例7)。
これに対し、酸触媒を一種のみ(PTSA)使用した場合では、平均粒子径が1.6μm程度の粒子を得るためには、メラミン濃度を3質量%とその濃度を低くしなければならなかった(比較例4)。
【0046】
以上のことより、本発明の製造方法によれば、得られる硬化メラミン樹脂粒子の平均粒子径を増大させることなく、反応時のメラミン濃度を上げる(使用溶媒量を削減、すなわち同一容積での製造量を増加する)ことが可能となり、製造時の効率を1.6〜2.5倍に向上することができる。