(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
浸透を有する基材による第1の層と透明フィルム基材による第2の層が積層され、一部の領域にすかし模様が形成され、前記すかし模様が主体的に前記第1の層側から視認可能な透過画像形成体の作製方法であって、
前記すかし模様の基画像を画像処理装置を用いて作製又はあらかじめ設定済みの画像を取得する画像設定工程と、
前記第2の層に色材層を形成する色材層形成工程と、
前記設定された基画像を、前記第2の層の透明フィルムの一方の面の少なくとも一部に、熱加工により表面を変性させて第1の画像部を形成する画像形成工程と、
前記第1の画像部が形成された側の前記透明フィルムの面に、前記第2の層における前記第1の画像部は溶融し、前記第1の画像部以外は表面の一部が前記第1の層の表面の繊維に食い込む程度の温度で、前記浸透を有する基材を熱圧着して、前記変性させた第1の画像部が溶融して前記第1の層に浸透することで、すき入れ模様を形成する圧着工程を有することを特徴とする透過画像形成体の作製方法。
【背景技術】
【0002】
銀行券、パスポ−ト、有価証券及びカード等に代表されるセキュリティ製品には、複製や偽造を防止するために、偽造防止技術が必要とされている。特に、偽造防止技術の中でも、すかしに代表されるように、道具を必要とせず、製品を手にした全ての人が真偽判別に利用することができる偽造防止技術が特に必要とされている。
【0003】
このすかしについては、古くから紙の製造工程において、繊維密度を変化させて形成することが一般的に知られている。ただし、この紙にすかし模様を形成する方法は、円網抄紙機や長網抄紙機のような大掛かりな製造装置を要するものであり、基本的に形成されるすかし模様は、同一の模様となってしまう。
【0004】
また、前述のような大掛かりな装置を用いず、印刷技術を用いて擬似的にすかし模様を形成する方法がある。これは、浸透型のインキを用いて模様を印刷し、模様部とその他の領域とを透過光量を異ならせる技術であるが、浸透型インキは透明性を有しているため、反射光下では模様を視認することができないが、透過光下では、浸透型インキにより形成された模様部と他の領域との透過光量の差により透かし模様が視認できる技術である。
【0005】
この印刷による擬似すかしは、版面を交換すれば、異なる印刷物ごとに模様を変化させることは、抄紙機を用いてすかし模様を形成することよりは比較的容易に実施可能ではあるが、1枚ごとに変化させることは実質上不可能である。
【0006】
さらに、紙へ施すすかし模様及び印刷により施す擬似すかしについては、透過光下では基材に対してどちら側の面から観察しても一つの模様しか視認できないものであったが、近年、多層構造を用いることにより、基材に対して両方での観察で異なるすかし模様を視認できる技術が開示されている。
【0007】
例えば、第1層の紙に第1透かし又は擬似透かしを有し、第2層の紙に第2透かし又は擬似透かしを有することで、表裏で異なる透かしが視認できるシートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。またこのシートは、第1層と第2層の間に光を拡散し、かつ、透過性を有する中間層を有することで、より一層表裏で視認できる透かしが鮮明に視認できるものである。
【0008】
また、複数の紙片を接着剤により剥離不能に接着される積層体において、積層体の一部層間に、印刷インキにより埋込情報を印刷することで、埋込情報が印刷された部分が積層体形成の加圧により厚さ方向で他の部分よりも密となることで透かし形態で視認することが可能な情報形成シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、表裏で異なるすかし模様を視認することができるが、紙自体に透かしを形成するため、従来のすかし技術と同様、大掛かりな製造装置を要するものであり、シートごとに模様を変化させることは実施上不可能である。また、擬似透かしを形成する場合には、特定物質を塗布することにより繊維層の透過性を変更して形成又はエンボスにより形成することが可能と記載されているが、特定物質を塗布する形成方法では、特定物質の浸透範囲が所望する部分に確定されるものではなく、形成されたすかし模様に鮮明さが欠けてしまうという問題がある。またエンボスによる形成においても、繊維量を変化させるものではないため、鮮明なすかし模様を形成することが困難である。
【0011】
特許文献1における透かし又は擬似透かしは、どちらも鮮明なすかし模様を形成することが困難であるとともに、シートごとに異なるすかし模様を形成することはできないという問題があった。
【0012】
また、特許文献2記載の技術は、スクリーン印刷又はディスペンサによって印刷インキが埋込情報の形態に応じて形成されることで、透かし形態で視認することができるため、シートごとに埋込情報を変化させることも可能ではあるが、印刷インキ等を用いて積層された複数の紙の間に模様を形成するため、透過光下での観察では、その模様が鮮明には視認できないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、用紙製造用の抄紙機のような大掛かりな装置を用いなくても、鮮明なすかし模様を形成でき、製品ごとに異なる模様を形成することが可能であり、故に、オンデマンドによる作製もできる透過画像形成体及びその作製方法を提供する。
【0014】
また、すかし模様を二つ形成した場合には、基材の表裏で異なる模様とすることが可能な透過画像形成体及びその作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、浸透を有する基材の第1の層及び透明フィルム基材の第2の層が積層された形成体であって、第1の層の少なくとも一部に、透明フィルムの一部が溶融し、第1の層に浸透して形成された第1の層の他の領域より透過光量が高い第1の画像部が形成され、形成体を透過光下で第1の層側から観察すると、第1の画像部がすかし模様として視認されることを特徴とする透過画像形成体である。
【0016】
また、本発明の透過画像形成体における第2の層は、少なくとも一つのPETG層と、第1の層の色とは異なる色の色材層から成ることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の透過画像形成体における第2の層は、第1の層の色とは異なる色で着色されたPETG層から成ることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の透過画像形成体は、第1の層とは反対側に第2の層に更に隣接して浸透を有する基材の第3の層が積層され、第3の層の少なくとも一部に、透明フィルムの一部が溶融し、第3の層に浸透して形成された第3の層の他の領域より透過光量が高い第2の画像部が形成され、形成体を透過光下で第1の層側から観察すると、第1の画像部がすかし模様として視認され、第3の層側から観察すると、第2の画像部がすかし模様として視認されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の透過画像形成体における第2の層は、少なくとも二つのPETG層と、そのPETG層に挟まれた少なくとも一つの色材層から成ることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、浸透を有する基材による第1の層と透明フィルム基材による第2の層が積層され、一部の領域にすかし模様が形成され、すかし模様が主体的に第1の層側から視認可能な透過画像形成体の作製方法であって、すかし模様の基画像を画像処理装置を用いて作製又はあらかじめ作製済みの画像を取得する画像設定工程と、設定された基画像を、第2の層の透明フィルムの一方の面の少なくとも一部に、熱加工により表面を変性させて第1の画像部を形成する画像形成工程と、第1の画像部が形成された側の透明フィルムの一方の面に、浸透を有する基材を熱圧着する圧着工程を有することを特徴とする透過画像形成体の作製方法である。
【0021】
また、本発明の透過画像形成体の作製方法における画像設定工程は、異なる二つのすかし模様の基画像を設定し、画像形成工程は、異なる二つの基画像における一方の画像を、透明フィルムの一方の面の少なくとも一部の第1の領域に、熱加工により表面を変性させて第1の画像部を形成する第1の画像形成工程と、異なる二つの基画像における他方の画像を、透明フィルムの他方の面の少なくとも一部の第2の領域に、熱加工により表面を変性させて第2の画像部を形成する第2の画像形成工程と、圧着工程は、第2の層の両面に浸透を有する基材を熱圧着することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の透過画像形成体の作製方法における画像形成工程は、炭酸ガスレーザにより熱加工を施すことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の透過画像形成体の作製方法は、画像形成工程よりも前に、第2の層に色材層を形成する色材層形成工程を更に有することを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の透過画像形成体の作製方法において、画像設定工程は、複数の異なる基画像を設定し、画像形成工程は、異なる透明フィルムに対して、各々異なる基画像を形成することで、可変模様としてすかし模様を形成可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、用紙製造段階で形成するすかし模様のように、大掛かりな装置を用いなくても鮮明なすかし模様を形成することが可能である。
【0026】
また、本発明は、透過画像形成体の表裏に異なるすかし模様を形成すると、透過光下において、表裏で異なるすかし模様を確認することが可能である。
【0027】
また、本発明は、色材層を形成することで、色の着いたすかし模様を形成することができる。
【0028】
また、本発明は、透明フィルムに模様を形成するため、製品ごとに模様を変化させることが可能である。したがって、オンデマンドによる可変情報としても模様を付与可能である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0031】
(第1の実施形態)
図1に、本発明における透過画像形成体(以下、「形成体」という。)(1)を示す。
図1(a)は、形成体(1)を反射光下で視認した場合の模式図であり、
図1(b)は、
図1(a)におけるA−A’断面図である。形成体(1)は、
図1(b)に示すように、少なくとも浸透を有する基材の第1の層(2)と透明フィルム基材の第2の層(3)が積層されて形成されている。この第1の層(2)と第2の層(3)の層間の少なくとも一部に、本発明の特徴点である第1の画像部(4)が形成されている。なお、第1の画像部(4)は、主体的に第1の層(2)側から透過光下で観察した場合に視認できる「すかし模様」であるため、
図1(a)は、第1の層(2)側から反射光下で観察した模式図であるため、第1の画像部(3)は「すかし模様」として視認できない。
【0032】
図2は、形成体(1)の観察状態を示すための模式図である。
図2(a)は、形成体(1)を第1の層(2)側から反射光下で観察した状態を示す図である。前述したように、反射光下では第1の画像部(4)は視認できず、浸透を有する基材のみの状態として視認される。この形成体(1)を
図2(b)のように、第1の層(2)側から透過光下で観察すると、第1の画像部(4)が「すかし模様」として視認できる。
【0033】
第1の層(2)については、微細な繊維によって構成されるシートである必要がある。その理由については、第2の層(3)の熱により変性した物質が熱圧着によって第1の層(2)の繊維の空隙に浸透することで、第1の層(2)の局所的な光に透過率が変化する現象を利用しているためである。第1の層(2)の具体的な基材としては、紙、不織布、多孔質なコーティング材が挙げられる。以下、第1の層(2)を紙基材として説明する。
【0034】
次に第2の層(3)について説明する。第2の層(3)は、反射光下では不可視であり、透過光下で視認できることが必要となるため、透明、且つ、レーザ照射等による熱で基材の融点よりも低い温度で溶融するように変性する基材である必要がある。具体的に使用可能な基材の例としては、PETG、ポリウレタン等が挙げられる。以下、第2の層(3)の透明フィルムはPETGとして説明する。
【0035】
以上の第1の層(2)及び第2の層(3)を用いて実際に第1の画像部(4)を形成する方法について
図3を用いて説明する。まず、Step1として、すかし模様として形成体に形成したい基画像を設定する画像設定工程から始まる。この基画像の設定については、あらかじめ形成されている基画像を外部入力により取得しても良いし、画像処理装置を用いて所望の画像を作製してから、外部入力により取得しても良い。どちらの方法によっても、形成したい画像を設定して、次の工程に使用するレーザ装置又は超音波加工装置等に画像を設定するものである。なお、作製する画像は、
図2(b)に示すような模様に限らず、文字、図形、記号等、特に限定されるものではない。また、後述するオンデマンドによる形成に対応するように、複数の基画像を設定することでも良い。
【0036】
次のStep2として、第1の画像部(4)となるStep1で設定した画像を第2の層(3)の少なくとも一部の領域に熱加工により形成する画像形成工程を行う。本発明における熱加工とは、炭酸ガスレーザを用いることが好ましい。一般的なレーザマーキングにおいて、発振波長が近赤外や可視光領域のレーザが用いられることがあるが、これらのレーザでは、透明基材である第2の層(3)への透過率が高く、第2の層(3)の表面に十分な加工を施すことが困難である。炭酸ガスレーザの発振波長は10μm前後であり、第2の層(3)を透過せずに第2の層(3)の表面で光エネルギーが吸収され、熱加工が可能である。第1の画像部(4)の形成方法は、画像データの画素値に応じてレーザのオン・オフをしながら第2の層(3)の表面をラスタースキャンすることで行う。
【0037】
また、別の熱加工の方法としては、超音波ウェルダーと呼ばれる超音波溶着機の振動子と固定された加工治具で第2の層(3)を挟み込み、瞬間的に超音波振動によって第1の画像部(4)を形成することもできる。振動子とは、ホーンとも呼ばれ、超音波の振動エネルギーを効率よく伝達させるための共振体のことである。加工治具とは、アンビルとも呼ばれ、ホーンからの超音波振動を効率良く受け、振動子と加工治具の間にある被加工物を適切に加工するためのものである。第2の層(3)に接する振動子の表面に所望の型形状を施すことにより、振動子、第2の層(2)のPETG及び加工治具との間に摩擦熱が発生し、第2の層(3)には、所望の型形状の第1の画像部(4)が形成されることとなる。なお、該技術の特長としては、溶着部周辺への熱等の影響が全くないことである。
【0038】
図1及び
図2で説明した第1の層(2)及び第2の層(3)によって形成された形成体(1)については、Step2の画像形成工程は一つだけであるが、後述する、もう一つ紙基材の第3の層(5)を積層して形成する場合には、第2の層(3)の表裏に画像を形成することとなるため、一方の表面に画像を形成する第1の画像形成工程と、他方の表面に画像を形成する第2の画像形成工程を行うこととなる。いずれの工程も、対象が第2の層(3)の表面となるか、裏面となるかの違いだけであり、行う作業は同じである。
【0039】
最後に、Step3として、第1の画像部(4)が形成された透明フィルムの第2の層(3)と、紙基材の第1の層(2)を積層して一体化する圧着工程について説明する。炭酸ガスレーザによって第1の画像部(4)を形成した第2の層(3)の面に紙基材の第1の層(2)を積層し、この一体化された形成体(1)の表裏から熱と圧力をかけて密着することで、第1の層(2)と第2の層(3)を接着する。この際、第2の層(3)が熱により軟化し、第2の層(3)の表面の一部が第1の層(2)の表面の繊維の隙間に食い込む程度の温度と圧力であり、かつ、第2の層(3)の第1の画像部(4)が溶融し、第1の層(2)の繊維間に浸透する熱圧着条件とする。
【0040】
例えば、第1の層(2)に一般的なコピー用途に用いる上質紙、第2の層(3)に厚み約1mmの透明PETGを用い、双方を70mm×100mmのサイズで行った場合、温度110℃、加圧20kNの条件で、第1の層(2)と第2の層(3)が強固に接着するとともに、第1の画像部(4)が溶融して繊維間に浸透し、「すかし模様」の第1の画像部(4)を形成することができる。
【0041】
圧着工程についても、第2の層(3)の表裏に画像部を形成する場合、第3の層(5)を第2の層(3)に圧着する必要があるが、第1の層(2)を第2の層(3)に圧着する方法と同様のため、説明は省略する。
【0042】
以上、形成体(1)を作製する方法について
図3のフローチャートを用いて説明したが、本発明の別の形態として、出現する「すかし模様」を色彩豊かに視認させるために、後述する色材層(7)を第2の層(3)に形成する方法もあるが、詳細については、第2の実施形態で色材層(7)を説明するところで併せて説明する。
【0043】
ここで、本発明の特徴点である第1の画像部(4)が、第1の層(2)と第2の層(3)を一体化した形成体(1)となった際に「すかし模様」となる原理について説明する。第2の層(3)の透明フィルムに形成された第1の画像部(4)は、レーザによる熱加工により、透明フィルムは、レーザが照射されていない部分よりも低い温度で溶融するよう変性している。そのため、第2の層(3)の透明フィルムと第1の層(2)の紙基材の熱圧着によって、第2の層(3)の透明フィルムの第1の画像部(4)は溶融して第1の層(2)の繊維間に浸透し、かつ、第1の画像部(4)以外の領域は、第2の層(3)の表面が第1の層(2)の表面の繊維の隙間に食い込む程度となる。これを透過光下で観察した場合、第1の画像部(4)は、第1の層(2)の繊維間が第2の層(3)から浸透した溶融物で埋められているため、透過光の乱反射が減じて、同じ第1の層(2)の他の領域よりも透過光量が増え(高く)、その結果明るく見える。第1の画像部(4)以外の領域では、第1の画像部(4)のように第1の層(2)の繊維間が埋められることはないため、第2の層(3)と第1の層(2)を積層しても、透過光量の変化はほとんど無い。
【0044】
次に、前述した形成体(1)の構成に対し、更に紙基材の第3の層(5)を積層した形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0045】
図4(a)は、本発明の第1の実施形態の変形例における形成体(1)を反射光下で視認した場合の模式図であり、
図4(b)は、
図4(a)におけるA−A’断面図である。変形例における形成体(1)は、
図4(b)に示すように、少なくとも紙基材の第1の層(2)と透明フィルム基材の第2の層(3)及び紙基材の第3の層(5)が順次積層されて形成されている。したがって、前述した第1の実施形態に対しては、第2の層(3)に隣接して積層された第1の層(2)とは反対側に第3の層(5)が第2の層(3)に隣接して積層されており、第1の層(2)と第3の層(5)により第2の層(3)を挟んだ状態となっている。
【0046】
第1の実施形態同様、第1の層(2)と第2の層(3)の層間の少なくとも一部の第1の領域に、第1の画像部(4)が形成されており、更に、第2の層(3)と第3の層(5)の層間の少なくとも一部の第2の領域に、第2の画像部(6)が形成されている。なお、第2の画像部(6)も、第1の画像部(3)同様、主体的に第3の層(5)側から透過光下で観察した場合に視認できる「すかし模様」であるため、
図4(a)では、第1の画像部(3)及び第2の画像部(6)共に視認できない。
【0047】
図5及び
図6は、変形例における形成体(1)の観察状態を示すための模式図である。
図5(a)は、形成体(1)を第1の層(2)側から反射光下で観察した状態を示す図である。前述したように、反射光下では第1の画像部(4)は視認できず、紙基材のみの状態として視認される。また、
図5(b)は、形成体(1)を第3の層(5)側から反射光下で観察した状態を示す図である。反射光下では第2の画像部(6)は視認できず、紙基材のみの状態として視認される。
【0048】
次に、この形成体(1)を透過光下で観察した場合を
図6で説明する。
図6(a)は、形成体(1)を第1の層(2)側から透過光下で観察した状態を示す図である。この観察状態では第1の画像部(4)が「すかし模様」として視認され、第2の画像部(6)は視認できない。逆に、
図6(b)に示すように、形成体(1)を第3の層(5)側から透過光下で観察した場合は、第2の画像部(6)が「すかし模様」として視認され、第1の画像部(3)は視認できない。ここで第2の画像部(6)についても、前述した第1の画像部(4)と同様、第3の層(5)の他の領域よりも透過光量は異なって高くなっている。
【0049】
第2の画像部(6)を形成する方法については、第1の画像部(4)を形成する方法と同様であるため、説明は省略するが、第1の画像部(4)と第2の画像部(6)は、それぞれ透明フィルムの第2の層の表裏に形成する。
図4から
図6では、第1の画像部(4)と第2の画像部(6)は第2の層(3)の表裏に対して同じ位置に形成されているが、必ず同じ位置に形成されていなくても良い。
【0050】
第2の層の表裏に、それぞれ炭酸ガスレーザにより第1の画像部(4)及び第2の画像部(6)を形成し、この表裏に第1の層(2)と第3の層(5)となる紙基材を積層し、この積層体の表裏から熱と圧力をかけて密着することで、第1の層(2)、第2の層(3)、第3の層(5)を接着して一体化した形成体(1)を形成する。第1の画像部(4)と第2の画像部(6)を形成する位置は、前述のとおり、表裏で重複していてもよいし、重複していなくてもよい。ただし、視認できるすかし模様は、透過光下で、観察している側に形成された画像部であり、光源側、つまり、観察している側の反対の側に形成された画像部は視認困難となる。
【0051】
また、第2の画像部(6)に形成する画像についても、前述した第1の画像部(4)と同様、オンデマンドによる可変情報の付与として、形成体(1)ごとに異なる画像を形成することも可能である。
【0052】
(第2の実施形態)
本発明の形成体(1)は、色材層(7)を設けることで、基材色、所謂第1の層(2)又は第3の層(5)の色とは異なる色の「すかし模様」を形成することも可能である。以下、第2の実施形態として、形成体における色の着いた「すかし模様」について説明する。
【0053】
図7は、形成体(1)に更に色材層(7)を設けたものである。色材層(7)は、第1の画像部(4)のみを形成する形態の場合、
図7(a)に示すように、透明フィルムから成る第2の層(2)において、第1の画像部(4)が形成されている面とは反対側の面側に第2の層(2)に接するように設ける。なお、この色材層(7)は、着色されている透明フィルムであれば特に限定はない。
【0054】
この色材層(7)は、
図7(a)に示すように、基材となる第1の層(2)と同じ大きさでもよく、また、
図7(b)のように、第1の層(2)よりは小さいが第1の画像部(3)よりは大きくてもよく、更には、
図7(c)のように、第1の画像部(4)よりも小さくてもよい。
図7(a)又は
図7(b)の場合には、視認できる「すかし模様」全体が色材層(7)の色となって視認できることとなり、
図7(c)の場合には、色材層(7)の大きさの範囲のみ着色された「すかし模様」が視認できることとなる。
【0055】
また、
図8に示すように、第2の層(3)の透明PETG自体が有色となっていても良い。このような有色のフィルムは市販品を用いることで構わない。
【0056】
色材層(7)が
図8のように、第2の層(3)自体を共有している場合には、色材層(7)を設けるための工程を新たに有しないが、
図7に示すように、第1の画像部(4)が形成されている第2の層(3)の面とは反対側の面側に色材層(7)を形成する場合には、
図3で示すように、色材層形成工程として画像形成工程を行うまでに行う。色材層(7)を第2の層(3)に積層する方法は、熱圧着でもよいし、所定の接着剤を用いて形成してもよい。
【0057】
色材層(7)を設けた形成体(1)を反射光下で観察すると、第1の層(2)側からは
図9(a)に示すように、第1の層(2)の色として視認される。前述したように、第1の画像部(3)で形成された「すかし模様」は視認できない。形成体(1)を反転させて色材層(7)側から見ると、色材層(7)の色として視認される。
【0058】
この形成体(1)を
図10(a)に示すように透過光下で第1の層(2)側から観察すると、
図10(b)に示すように、形成した第1の画像部(3)が色材層(7)の色を成した「すかし模様」として視認できる。
【0059】
次に、第1の画像部(3)と第2の画像部(6)の二つの画像部を形成した形態において、色材層(7)を設ける形態を説明する。
図11は、第1の画像部(3)と第2の画像部(6)が形成されている形成体(1)である。
図11(a)は、色材層(7)が、二つの画像部が形成されている第2の層(3−1)及び(3−2)の間に挟まれるように設けられている。この色材層(7)が第2の層(3)の透明フィルムの間に挟まれているような形態についても、色材層(7)を形成する方法を前述したとおり、熱圧着による接着や接着剤を用いた接着等、特に限定はなく、第1の画像部(4)及び第2の画像部(6)を形成する画像形成工程よりも前までに行っておけばよい。
【0060】
また、
図8を用いて説明したように、
図11(b)に示すように、第2の層(3)自体が着色されて色材層(7)となっていてもよい。
【0061】
この色材層(7)を中間に設けた形成体(1)を反射光下で観察すると、第1の層(2)側からは
図12(a)に示すように、第1の層(2)の色として視認される。前述したように、第1の画像部(3)で形成された「すかし模様」は視認できない。また、
図12(b)に示すように、形成体(1)を反転させて第3の層(5)側から見ても、やはり第3の層(5)の色として視認され、第2の画像部(6)で形成された「すかし模様」は視認できない。
【0062】
この形成体(1)を
図13(a)に示すように透過光下で第1の層(2)側から観察すると、形成した第1の画像部(3)が色材層(7)の色を成した「すかし模様」として視認できる。また、形成体(1)を反転させて、
図13(b)に示すように透過光下で第3の層(5)側から観察すると、形成した第2の画像部(6)が色材層(7)の色を成した「すかし模様」として視認できる。
【0063】
このように、第1の層(2)と第3の層(5)に第2の層(3)が挟まれた形態において、第2の層(3)の中間に色材層(7)又は第2の層(3)自体が着色されて色材層(7)を兼ねる場合も、図示はしないが、前述したように色材層の大きさは、第1の層(2)及び第3の層(5)と同一でもよいし、それよりも小さくてもよい。さらには第1の画像部(4)及び/又は第2の画像部(6)よりも小さくてもよい。
【0064】
以上、本発明における透過画像形成体について説明したが、本発明において特徴となる「すかし模様」を確認することが真偽判別の一助になることは、銀行券を筆頭に、広く知られていることである。その中でも、本発明は、画像設定工程自体が、画像データを用いてレーザ装置により「すかし模様」を形成することができるため、前述したように、画像設定工程において、複数の基画像を設定することで、画像加工工程において形成体ごとに異なる画像をオンデマンドで形成することが可能であり、例えば、パスポートやIDカードのように個々に異なる情報が記録されたものに応用した場合、個別情報を「すかし模様」として施すこともできる。したがって、「すかし模様」をオンデマンドにより可変情報として付与可能である。本発明による「すかし模様」は、汎用のコピー機やプリンタでは容易に作製できないことから、偽造防止技術の一つとして有意義である。
【実施例1】
【0065】
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した形成体(1)の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0066】
図14(a)に、本実施例1における形成体(1’)を示す。形成体(1’)は、
図14(b)に示すように、第2の層(3’)の厚み約1mm、縦横7×10cmの透明PETGシート、その表面に炭酸ガスレーザマーカ(Keyence ML-G9300)を用いて形成した第1の画像部(4’)、さらに、その第1の画像部(4’)を挟むように第1の層(2’)の白色上質紙(しらおい 日本製紙製)から成る。
【0067】
第1の画像部(4’)は、
図14(c)に示すように、ディザで2値化した黒反転疑似階調画像(約4×3cm)の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」とし、解像度400dpi、スキャンスピード2000mm/sで第2の層(3’)にマーキングした。この際、レーザ照射部の基材は熱によって表面が溶融している状態であった。
【0068】
第2の層(3’)に第1の画像部(4’)をレーザによりマーキングした後、第1の層(2’)の白色上質紙をレーザ照射した第2の層(3’)の面に重ね、温度115℃、圧力20kNの条件で熱圧着した。白色上質紙と透明PETGは密着し、形成体(1’)が完成した。
【0069】
この形成体(1’)を観察した状態を示すのが
図15である。
図15(a)に示すように、反射光では階調画像がほぼ視認できない程度であったが、
図15(b)に示すように、透過光下で観察した場合、第1の画像部(4’)の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」が階調画像として明瞭に視認することができた。
【実施例2】
【0070】
図16(a)に、本実施例2における形成体(1’’)を示す。形成体(1’’)は、
図16(b)に示すように、第2の層(3’’)の厚み約1mm、縦横7×10cmの透明PETGシート、その一方の面に炭酸ガスレーザマーカ(Keyence ML-G9300)を用いて形成した第1の画像部(4’’)と、その反対側に第2の画像部(6’’)、さらに、この第2の層(3’’)を挟むように、第2の層(3’’)の両側に第1の層(2’’)及び第3の層(5’’)の白色上質紙(しらおい 日本製紙製)から成る。
【0071】
第1の画像部(4’’)は、
図16(c)に示すように、ディザで2値化した白黒反転疑似階調画像(約4×3cm)の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」とし、また第2の画像部(6’’)は、
図16(d)に示すように白黒反転疑似階調画像の鳳凰として、解像度400dpi、スキャンスピード2000mm/sでマーキングした。
【0072】
第2の層(3’’)の一方の面側に第1の画像部(4’’)及び他方の面側に第2の画像部(6’’)をレーザによりマーキングした後、第1の層(2’’)の白色上質紙をレーザ照射した第2の層(3’’)の両面に重ね、温度115℃、圧力20kNの条件で熱圧着し、形成体(1’’)が完成した。
【0073】
この形成体(1’’)を観察した状態を示すのが
図17及び
図18である。
図17は、形成体(1’’)を反射光下で観察した状態を示す図であり、上質紙と透明PETGは密着しており、反射光では形成体(1’’)のどちらの面側から観察しても、
図17(a)及び
図17(b)のように、それぞれの面で階調画像がほぼ視認できない程度あった。
【0074】
図18は、形成体(1’’)を透過光下で観察した状態を示す図であり、
図18(a)のように、形成体(1’’)の一方の面側から透過光下で観察すると、第2の層(3’’)の一方の面側に形成された第1の画像部(4’’)の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」が「すかし模様」として視認でき、また、
図18(b)のように、形成体(1’’)を反対にして、他方の面側から透過光下で観察すると、第2の層(3’’)の他方の面側に形成された第2の画像部(6’’)の鳳凰が視認でき、表裏で異なる階調画像が明瞭に視認することができた。